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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182080
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】生体認証装置
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20231219BHJP
【FI】
G06V40/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095475
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】安次嶺 勉成
(57)【要約】
【課題】 手や指などの認証対象の位置を直感的に把握することができる生体認証装置を提供する。
【解決手段】 本発明の生体認証装置100は、生体の意匠を表す空中像P1を高さDに表示させるための光拡散部136が形成された導光層130と、導光層130に光を照射する光源110と、導光層130の上面側に配置された偏光ビームスプリッター150と、導光層130の底面側に配置された再帰反射層140と、再帰反射層140に形成された開口142を介して空中像P1に重畳された生体を撮像する撮像カメラ160とを有し、撮像カメラ160によって撮像された画像に基づき生体認証を行う。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射を利用して空中像を表示する機能を備えた生体認証装置であって、
空中像のための意匠が形成された導光層と、
前記導光層に光を照射する光源と、
前記導光層の一方の主面側に配置された偏光ビームスプリッターと、
前記導光層の前記一方の主面と対向する他方の主面側に配置された再帰反射層と、
前記再帰反射層に形成された開口を介して空中像が表示される領域近傍の生体を撮像する撮像手段とを有し、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づき生体認証を行う、生体認証装置。
【請求項2】
前記開口と整合する位置に、前記偏光ビームスプリッターと偏光方向が異なる偏光フィルターが設けられる、請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記偏光フィルターの偏光方向は、前記偏光ビームスプリッターの偏光方向と直交する、請求項2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、前記光源が消灯する時間に生体を撮像する、請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記空中像の表示と前記撮像手段の撮像は、時分割制御される、請求項4に記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、赤外線カメラを含み、前記開口と整合する位置に可視光を遮蔽する可視光フィルターが設けられる、請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項7】
前記空中像は、前記偏光ビームスプリッターの面に関し、前記意匠と対称の位置に生成され、前記撮像手段の焦点は、前記空中像の位置に合わせられる、請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項8】
生体認証装置はさらに、撮像手段による撮像が終了したことをユーザーに知らせる出力手段を含む、請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項9】
前記生体は、指紋または静脈である、請求項1に記載の生体認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再帰反射を利用して空中に映像を表示する機能を備えた生体認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再帰反射を用いた空中表示(Aerial Imaging by Retro-Reflection:AIRR)が知られている。例えば、特許文献1の表示装置は、空中に形成される像をより広い角度から観察可能とするため、2つの再帰反射部材を用い、その一方の再帰反射部材を光源の出射軸上に配置している。特許文献2の表示装置は、画像の結像位置の調整を容易にするため、ハーフミラー、再帰反射部材、および画像出力装置をそれぞれ平行に配置している。特許文献3の表示装置は、画像の視認性の低下を抑制するため、光が位相差部材(λ/4板)を透過する回数を低減している。特許文献4の表示装置は、装置の薄型化を図るため、ビームスプリッターに対しディスプレイおよび再帰反射部材を平行に配置し、ディスプレイ上に偏向光学素子を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-107165号公報
【特許文献2】特開2018-81138号公報
【特許文献3】特開2019-66833号公報
【特許文献4】特開2019-101055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
種々の電子機器や電子システムにおいて、指紋や静脈等の生体を利用した本人認証が進められている。例えば、手のひらの静脈認証では、透明なアクリル板の表面に手を乗せ、その状態でアクリル板の裏面側から手のひらの静脈をカメラで撮像し、撮像した画像に基づき本人か否かを認証している。
【0005】
従来の生体認証は、アクリル板に手を接触させる接触タイプが主流であるが、その一方で、生体認証の非接触化も進められている。接触タイプでは、手をアクリル板に乗せるため、カメラによる安定した静脈の撮影が可能であるが、非接触にすると空中で手の高さが定まらずに、カメラのフォーカスが合わなかったり、フォーカスを合わせるのに時間がかかってしまう(手間取る)等の課題がある。
【0006】
そのため、例えば、手の適正位置を照明の色で表現する提案がなされている。図1に、そのような機能を搭載した生体認証装置の概略構成を示す。図1(A)に示すように、認証装置10の表面または内部に手の映像Pが点灯し、ユーザーは、映像Pの位置に合うように空中に手のひらHを空中にかざし、その後、生体認証装置10の内蔵カメラによって手のひらHが撮像される。
【0007】
図1(B)は、生体認証装置10の内部構成を示すブロック図である。生体認証装置10は、手のひらHまでの距離を計測するセンサ20と、計測した距離に応じた色で映像Pを照明する照明部30と、手のひらHを撮像するカメラ40と、各部を制御する制御部50とを含んでいる。
【0008】
図1(C)に示すように、手のひらHが生体認証装置10に接近しているとき(但し、高さD1は、カメラ40の焦点距離よりも大きい)、制御部50は、照明部30を介して映像Pを青色で点灯させ、手のひらHが適正な位置から離れすぎていることを知らせる。図1(D)に示すように、手のひらHまでの高さD2が適正な位置(焦点距離に概ね一致)すると、制御部50は、照明部30を介して映像Pを緑色で点灯させ、手のひらHが正しい高さにあることをユーザーに知らせる。このとき、カメラ40は、手のひらHを撮像する。図1(E)に示すように、手のひらHまでの高さD3が近すぎる場合、制御部50は、赤色で映像Pを点灯させ、手のひらHが近すぎることをユーザーに知らせる。
【0009】
このように従来の生体認証装置は、映像Pを点灯する色を変えることで手の高さが適正か否かをユーザーに知らせることができるが、ユーザーは、直感的に適正な手の高さを知ることができないため、依然として映像Pの点灯色を確認しながら手のひらHの高さを調整する等の作業をしなければならず、煩わしさがある。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決し、手や指などの認証対象の位置を直感的に把握することができる生体認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る生体認証装置は、再帰反射を利用して空中像を表示する機能を備えたものであって、空中像のための意匠が形成された導光層と、前記導光層に光を照射する光源と、前記導光層の一方の主面側に配置された偏光ビームスプリッターと、前記導光層の前記一方の主面と対向する他方の主面側に配置された再帰反射層と、前記再帰反射層に形成された開口を介して空中像が表示される領域近傍の生体を撮像する撮像手段とを有し、前記撮像手段によって撮像された画像に基づき生体認証を行う。
【0012】
ある態様では、前記開口と整合する位置に、前記偏光ビームスプリッターと偏光方向が異なる偏光フィルターが設けられる。ある態様では、前記偏光フィルターの偏光方向は、前記偏光ビームスプリッターの偏光方向と直交する。ある態様では、前記撮像手段は、前記光源が消灯する時間に生体を撮像する。ある態様では、前記空中像の表示と前記撮像手段の撮像は、時分割制御される。ある態様では、前記撮像手段は、赤外線カメラを含み、前記開口と整合する位置に可視光を遮蔽する可視光フィルターが設けられる。ある態様では、前記空中像は、前記偏光ビームスプリッターの面に関し、前記意匠と対称の位置に生成され、前記撮像手段の焦点は、前記空中像の位置に合わせられる。ある態様では、生体認証装置はさらに、撮像手段による撮像が終了したことをユーザーに知らせる出力手段を含む。ある態様では、前記生体は、指紋または静脈である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生体を空中に置くべき位置をガイドするように空中像を表示し、その位置に置かれた生体を撮像するようにしたので、ユーザーは、生体をかざす位置を直感的に認識することができ、非接触による生体認証の煩わしさを解消させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の生体認証装置の概略構成を説明する図である。
図2図2(A)は、本発明の第1の実施例に係る生体認証装置の外観斜視図、図2(B)は、その側面図である。
図3図2に示す生体認証装置のX-X線で切断した概略断面図である。
図4】本発明の第2の実施例に係る生体認証装置の概略断面図である。
図5】本発明の第3の実施例に係る生体認証装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第5の実施例に係る生体認証装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の生体認証装置は、特殊なメガネ等をかけなくても3次元空間内に空中像を表示する機能を備えた薄型空中映像認証装置に関する。ユーザーは、空中像によってガイドされた位置に生体をかざし、その位置の生体が撮像カメラによって撮像され、生体認証が行われる。なお、以下の実施例の説明で参照される図面は、発明の理解を容易にするために誇大または強調した部分を含んでおり、実際の製品の形状やスケールをそのまま表したものではないことに留意すべきである。
【実施例0016】
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。図2(A)は、本発明の第1の実施例に係る生体認証装置の概略斜視図、図2(B)は、その側面図である。本実施例の生体認証装置100は、ハウジング等の筐体の表面から高さDの位置に空中像P1を表示する。ユーザーは、高さDの空中像P1に合わせるように手のひらHをかざし、内蔵された撮像カメラによって高さDの手のひらHが撮像され、本人認証が行われる。ユーザーは、空中像P1を視認することで直感的に手のひらHをかざすことができる。高さDは、撮像カメラによって手のひらHを鮮明に撮像することができる距離である。認証すべき生体は、特に限定されないが、例えば、手のひらや指などの指紋や静脈などである。
【0017】
図3は、図2(A)に示す生体認証装置100のX-X線の構成を示す概略断面図である。同図に示すように、生体認証装置100は、光源110、偏光フィルター120、導光層130、再帰反射層140、偏光ビームスプリッター150、撮像カメラ160を含んで構成される。
【0018】
光源110は、導光層130の側部132の近傍に配置され、一定の出射角(または放射角)を持つ光を導光層130に向けて出射し、導光層130内を一様に照射する。光源110は、特に限定されないが、例えば、発光ダイオードやレーザーダイオードのような発光素子を用いることができる。また、発光素子の数は、特に限定されない。
【0019】
光源110と導光層130の入射面(側部)132との間に偏光フィルター120が設けられる。偏光フィルター120は、例えば、偏光フィルムあるいはDBEF(反射型偏光素子)であり、光源110からの光を、ある偏光状態(例えば、直線偏光)に変換する。偏光フィルター120は、光源110からの光が無偏光の場合に特に有用であるが、光源110からの光が偏光している場合には、省略してもよい。
【0020】
導光層130は、平坦な上面、平坦な底面および上面と底面とを接続する側面とを備えた板状またはフィルム状の透明な光学部材である。導光層130の平面形状は特に限定されないが、例えば矩形状である。導光層130は、公知のものを用いることができ、例えば、ガラス、アクリル製のプラスチック、ポリカーボネート樹脂、あるいはシクロオレフィン系樹脂などから構成される。
【0021】
導光層130の底部または底面134には、光を垂直方向に拡散または散乱させるための光拡散部136が形成される。光拡散部136は、空中像P1の意匠(原画像)を生成し、本例では、光拡散部136は、認証すべき生体である手のひらの意匠を生成する。光拡散部136は、例えば、導光層130の底面をレーザー加工や印刷によりドットパターンなどの微細構造を加工することよって形成される。
【0022】
導光層130の底面側に再帰反射層140が形成される。再帰反射層140は、入射光と同じ方向に光を反射する光学部材であり、その構成は特に限定されないが、例えば、三角錐型再帰反射素子、フルキューブコーナー型再帰反射素子などのプリズム型再帰反射素子やビーズ型再帰反射素子によって構成される。導光層130と再帰反射層140との間には、保護フィルムや位相差フィルム(例えば、λ/4フィルム)などを介在させるようにしてもよい。
【0023】
導光層130の上面側に偏光ビームスプリッター150が配置される。偏光ビームスプリッター150は、入射した光の一部を透過し、一部を反射する光学素子であり、入射光をp偏光成分とs偏光成分とに分割する偏光分離素子である。例えば、偏光ビームスプリッター150は、ある偏光状態の光の一部を透過し、一部を反射する。
【0024】
導光層130の側部132から入射した光L1は、例えば、導光層130の上面および底面で全反射しながら内部を進行し、その一部の光L2は、光拡散部136によって垂直方向に拡散、散乱され、その拡散、散乱した光L2が導光層130の上面を透過し、偏光ビームスプリッター150によって反射される。偏光ビームスプリッター150で反射された光の一部L3は、再帰反射層140によって入射光と同じ方向に反射され、再帰反射層140によって反射された光L4の一部が偏光ビームスプリッター150を透過し、空中像P1を生成する。空中像P1は、光拡散部136によって生成された意匠(原画像)をそのままの姿勢で空中に浮かび上がらせたものであり、空中像P1は、偏光ビームスプリッター150から高さDの位置に生成され、高さDは、偏光ビームスプリッター150の面に関し光拡散部136と対称の位置である。
【0025】
本実施例の生体認証装置100は、高さDの位置に空中像P1を表示する機能に加え、図2に示したように、空中像P1の高さに重畳されたユーザーの手のひらHを撮像する機能を備える。撮像機能を得るため、再帰反射層140には、貫通する開口142が形成され、撮像カメラ160は、開口142を介して手のひらHを撮像する。開口142の位置や大きさは、撮像カメラ160によって手のひらHの全体が撮像可能となるように選択される。また、撮像カメラ160の焦点は、空中像P1の高さDの近傍に調整される。例えば、空中像P1の高さがDであれば、撮像カメラ160の焦点距離Fは、F≒2Dに調整される。
【0026】
空中像P1に重なるようにユーザーの手のひらHが空中に置かれたとき、撮像カメラ160は、手のひらHを撮像する。撮像するタイミングは、特に限定されないが、例えば、空中像P1が表示されてから一定期間内に自動的に撮像するようにしてもよいし、あるいは、撮像カメラ160による撮像の指示をユーザーが与えるようにしてもよいし、あるいは、生体認証装置が距離センサまたは近接センサなどを搭載している場合には、センサが生体を検知したことに応答して撮像カメラ160が撮像するようにしてもよい。撮像カメラ160によって撮像された画像データは、ユーザーの本人認証に利用される。
【0027】
このように本実施例によれば、生体認証すべき意匠を表した空中像P1を空中に表示し、生体のかざす位置をガイドするようにしたので、ユーザーは、直感的に空中像P1の高さDに手のひらや指などの生体を置くことができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図4は、本発明の第2の実施例に係る生体認証装置100Aの概略断面図であり、第1の実施例と同一構成については同一参照番号を付してある。
【0029】
第1の実施例で説明したように、撮像カメラ160は、開口142を介して手のひらHを撮像するが、偏光ビームスプリッター150で反射された光の一部L5が開口142を介して迷光となって撮像カメラ160に取り込まれてしまう。この迷光が取り込まれると、SN比が低下し、画像データが悪影響を受け、生体認証の精度が低下してしまう。
【0030】
そこで、第2の実施例では、開口142と撮像カメラ160との間に偏光フィルター170を介在させ、偏光ビームスプリッター150からの反射光L5が撮像カメラ160に取り込まれないようにする。偏光フィルター170は、偏光ビームスプリッター150からの反射光L5の透過を抑制するような偏光状態を有する。例えば、偏光フィルター170の偏光方向は、偏光ビームスプリッター150の偏光方向と異なり、例えば、偏光フィルター170の偏光方向は、偏光ビームスプリッター150の偏光方向と直交する。これにより、偏光ビームスプリッター150からの不要な反射光L5が撮像カメラ160に取り込まれないようにし、撮像カメラ160で撮像された生体の画像データの品位の低下が防止される。
【0031】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図5(A)は、第3の実施例に係る生体認証装置100Bの電気的な構成を示すブロック図である。生体認証装置100Bは、光源110を駆動する光源駆動部200と、空中像P1の近傍の生体を撮像する撮像カメラ210(図3図4の撮像カメラ160)と、各部を制御する制御部220とを含んで構成される。
【0032】
第3の実施例では、制御部220は、図5(B)に示すように、光源駆動部200を介して光源110を一定周期で点灯と消灯とを繰り返させ、光源110が消灯している期間中に、撮像カメラ200に生体を撮像させる。例えば、時刻t1と時刻t2との間で光源110を消灯させている間に、撮像カメラ210に生体を撮像させる。
【0033】
このように空中像P1の表示と撮像カメラの撮像とを時分割制御し、偏光ビームスプリッター150からの反射光L5が生じない期間中に生体を撮像することで、撮像した画像データに迷光が取り込まれるのとを防止することができる。なお、第3の実施例では、第2の実施例で用いた偏光フィルター170は必ずしも必要ではないが、偏光フィルター170を介在させるようにしてもよい。
【0034】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第4の実施例では、手のひらなどの静脈等を撮像するために赤外線カメラを用いる場合、第2の実施例で用いた偏光フィルター170とともにあるいは偏光フィルター170に代えて、可視光フィルターを用いる。可視光フィルターは、可視光をカットし、可視光が赤外線カメラに入り込むのを抑制し、可視光以外の波長の赤外線等を透過する。
【0035】
本実施例によれば、開口142と整合する位置に可視光フィルターを介在させることで赤外線カメラへの可視光の映り込みを防止し、可視光ノイズのカットにより赤外線画像データのS/Nを上げ、生体認証精度を向上させることができる。
【0036】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。本実施例の生体認証装置100Cは、図6に示すように、図5の構成に加えて、生体の接近または距離を検知するセンサ230と、出力部240とを含む。制御部220は、センサ230によって生体が空中像P1の高さDに接近したことが検知されたことに応答して、撮像カメラ210に生体を撮像させる。そして、撮像カメラ210による生体の撮像が終了したことに応答して、出力部240から撮像終了を表す音声(例えば、ビープ音)を出力させる。これにより、ユーザーは、生体の認証のための撮像が行われたことを知ることができ、手のひらHを元の位置に戻すことができる。
【0037】
また、別な態様として、制御部220は、撮像カメラ210による撮像終了をユーザーに知らせるため、光源駆動部200を介して光源110を点滅させたり、通常と異なる明るさや色で光源110を点灯させるようにしてもよい。例えば、生体のための撮像を促す場合には、空中像P1を青色で表示させ、撮像が終了したとき、空中像P1を緑色で表示させるようにしてもよい。
【0038】
本実施例の生体認証装置は、あらゆる機器のユーザー入力に適用することができ、例えば、コンピュータ装置、車載用電子機器、銀行等のATM、駅等のチケットの購入機、エレベータの入力ボタンなどに適用することができる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
100、100A、100B、100C:生体認証装置
110:光源
120:偏光フィルター
130:導光層
136:光拡散部
140:再帰反射層
150:偏光ビームスプリッター
160:撮像カメラ
170:偏光フィルター
P1:空中像
図1
図2
図3
図4
図5
図6