(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182084
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】罫書き器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20231219BHJP
B25H 7/02 20060101ALI20231219BHJP
A61F 2/28 20060101ALI20231219BHJP
G01B 3/04 20060101ALI20231219BHJP
G01B 3/56 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61B17/56
B25H7/02 Z
A61F2/28
G01B3/04
G01B3/56
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095485
(22)【出願日】2022-06-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】304050912
【氏名又は名称】オリンパステルモバイオマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】黒田 宏一
(72)【発明者】
【氏名】高見 公彰
(72)【発明者】
【氏名】岩永 宗久
(72)【発明者】
【氏名】横田 友花里
【テーマコード(参考)】
2F061
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
2F061AA16
2F061AA46
2F061DD22
2F061FF34
2F061FF36
2F061FF43
2F061FF44
2F061FF74
2F061GG01
2F061HH32
2F061JJ02
2F061JJ08
2F061JJ23
2F061LL27
2F061LL61
2F061UU19
4C097AA02
4C097MM05
4C097SC10
4C160LL12
4C160LL29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】正確にかつ容易に骨移植材のブロックに罫書き線を引くことができる罫書き器を提供する。
【解決手段】書き器1は、第1方向の第1突当面2aと第2方向の第2突当面2bとを有するベース部材2と、第1方向に移動可能にベース部材2に支持された第1スライド部材3と、第1スライド部材3に揺動可能に支持された揺動部材5とを備える。揺動部材5は、第2突当面2bを跨いで延びるガイド面5aを有し、ガイド面5aは、ガイド面5aまたはガイド面5aと同一の平面が第1突当面2aと交差する原点Oを一定の位置に保持しながら揺動可能である。第1スライド部材3は、突当面2aとガイド面5aとの間の角度を示す角度目盛り8と、原点Oから第2突当面2bまでの第1方向の距離を示す第1距離目盛り6を有し、ベース部材2は、原点Oからガイド面5aまでの第2方向の距離を示す第2距離目盛り7を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨移植材のブロックに罫書き線を引くために使用される罫書き器であって、前記ブロックが、第1側面と、該第1側面と角度を成す第2側面とを有し、
第1方向に延び前記第1側面が突き当てられる第1突当面と、前記第1方向に交差する第2方向に延び前記第2側面が突き当てられる第2突当面とを有するベース部材と、
前記第1方向に移動可能に前記ベース部材に支持された第1スライド部材と、
該第1スライド部材に揺動可能に支持された揺動部材であって、前記第1突当面と角度を成して配置され前記第2突当面を跨いで延びるガイド面を有し、前記揺動部材の揺動によって前記ガイド面が、該ガイド面または該ガイド面と同一の平面が前記第1突当面と交差する原点を一定または略一定の位置に保持しながら揺動する、揺動部材と、
前記第1スライド部材は、前記第1突当面と前記ガイド面との間の角度を示す角度目盛りと、前記原点から前記第2突当面までの前記第1方向の第1距離を示す第1距離目盛りと、を有し、
前記ベース部材は、前記原点から、前記ガイド面が前記第2突当面と交差する位置までの前記第2方向の第2距離を示す第2距離目盛りを有する、罫書き器。
【請求項2】
前記第2方向に移動可能に前記ベース部材に支持された第2スライド部材をさらに備え、
該第2スライド部材が、前記第2突当面と同一の平面上に配置され前記揺動部材が前記第2方向に突き当てられるストッパ端を有する、請求項1に記載の罫書き器。
【請求項3】
前記第1スライド部材を前記ベース部材に対して固定および固定解除する第1固定部、ならびに、前記揺動部材を前記第1スライド部材に対して固定および固定解除する第3固定部の内、少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載の罫書き器。
【請求項4】
前記揺動部材が、前記第1距離目盛りを拡大した第1拡大目盛りおよび前記第2距離目盛りを拡大した第2拡大目盛りのうち、少なくとも一方を有する、請求項1に記載の罫書き器。
【請求項5】
前記第2距離が、前記第2方向の正側に向かって増大し、
前記ガイド面が、前記揺動部材の前記正側の側面から形成され、
前記揺動部材が、前記第1スライド部材に揺動可能に接続される接続部を有し、該接続部の全体が、前記ガイド面を含み前記ガイド面よりも前記第2方向の負側の領域に配置される、請求項1に記載の罫書き器。
【請求項6】
前記第1スライド部材が、前記第1突当面と平行に配置される側面を有し、該側面は、前記第1突当面から前記第2方向の負側にオフセットし、
前記第2突当面が、前記第1スライド部材の前記側面まで延び、
前記第1距離目盛りが、前記側面に沿って設けられている、請求項1に記載の罫書き器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、罫書き器に関し、特に、骨移植材のブロックを楔形の断片に切断するための罫書き線を引くときに使用される罫書き器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内反変形(O脚)の変形性膝関節症の治療法として、高位脛骨骨切り術(HTO)が用いられている。
図13に示されるように、内側楔状型(open-wedge)HTOは、脛骨Dの近位部を内側から骨切りし骨切り部Eを楔状に開大することによって、O脚を矯正する方法である。開大された骨切り部Eには、楔形の骨移植材Cが補填される。
【0003】
患者の体格および脛骨Dの矯正角度に応じて、骨切り部Eの開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θは異なる。骨切り部Eに適した寸法および形状の骨移植材Cを得るために、手術の現場では、医師等の作業者が、罫書き器を使用してブロックに線を罫書き、ブロックを線に沿って刃物で楔形の断片に切断する(例えば、特許文献1および2参照。)。
図6に示されるように、楔形の断片Cは、開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θにそれぞれ対応する高さh、底辺長さSおよび楔角度φの3つのパラメータを有する。特許文献1,2では、罫書き線を規定する直線定規4または罫書き定規60を、パラメータを示す目盛りに基づいてブロックに対して位置合わせすることによって、パラメータを決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6940354号公報
【特許文献2】特開2016-200573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
楔形の断片の形状および寸法は、上記3つのパラメータの内の2つを決定することによって、一意に決まる。特許文献1には、罫書き器を使用して、高さhおよび楔角度φ、または、高さhおよび底辺長さSを決定することが記載されている。特許文献2には、罫書き器を使用して、高さhおよび楔角度φを決定することが記載されている。このように、特許文献1,2の罫書き器の場合、2つのパラメータの組み合わせが固定であり、作業者が2つのパラメータの組み合わせを自由に選択することができない。
【0006】
さらに、所望通り正確な罫書き線を引くためには、2つのパラメータを正確に決定する必要がある。特許文献1の罫書き器では、底辺長さを決定するための補助定規6が様々な方向に自由に移動可能であり、特許文献2の罫書き器では、罫書き線を規定する罫書き定規60が様々な方向に自由に移動可能である。このように、ブロックと、罫書き線の位置を決定するための部材とが自由に相対移動可能であるため、パラメータを正確に決定することが困難である。パラメータを正確に決定したとしても、その後にブロックに対して定規6,60の位置が様々な方向に容易にずれてしまう。したがって、罫書き線をブロックに所望通り正確に引くことが難しい。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、高さ、底辺長さおよび楔角度の3つのパラメータの内の任意の2つに基づき、所望通り正確にかつ容易に骨移植材のブロックに罫書き線を引くことができる罫書き器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、骨移植材のブロックに罫書き線を引くために使用される罫書き器であって、前記ブロックが、第1側面と、該第1側面と角度を成す第2側面とを有し、第1方向に延び前記第1側面が突き当てられる第1突当面と、前記第1方向に交差する第2方向に延び前記第2側面が突き当てられる第2突当面とを有するベース部材と、前記第1方向に移動可能に前記ベース部材に支持された第1スライド部材と、該第1スライド部材に揺動可能に支持された揺動部材であって、前記第1突当面と角度を成して配置され前記第2突当面を跨いで延びるガイド面を有し、前記揺動部材の揺動によって前記ガイド面が、該ガイド面または該ガイド面と同一の平面が前記第1突当面と交差する原点を一定または略一定の位置に保持しながら揺動する、揺動部材と、を備え、前記第1スライド部材は、前記第1突当面と前記ガイド面との間の角度を示す角度目盛りと、前記原点から前記第2突当面までの前記第1方向の第1距離を示す第1距離目盛りと、を有し、前記ベース部材は、前記原点から、前記ガイド面が前記第2突当面と交差する位置までの前記第2方向の第2距離を示す第2距離目盛りを有する、罫書き器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高さ、底辺長さおよび楔角度の3つのパラメータの内の任意の2つに基づき、所望通り正確にかつ容易に骨移植材のブロックに罫書き線を引くことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1の罫書き器のベース部材の上面図である。
【
図3】
図1の罫書き器の第1スライド部材の上面図である。
【
図4】
図1の罫書き器の第2スライド部材の上面図である。
【
図5】
図1の罫書き器の揺動部材の(a)一例および(b)他の例の上面図である。
【
図6】(a),(b)骨移植材のブロックから切断される楔形の断片のパラメータを説明する図である。
【
図7】
図1の罫書き器の第1使用方法を説明する図である。
【
図8】
図1の罫書き器の第2使用方法を説明する図である。
【
図9】
図1の罫書き器の第3使用方法を説明する図である。
【
図10】第2距離目盛り用の拡大目盛りを説明する図である。
【
図12】第2スライド部材の変形例を説明する図であり、(a)ベース部材の第2部分上に配置された第2スライド部材の上面図、および(b)ベース部材の第2部分の上面図である。
【
図13】Open-wedge HTOを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る罫書き器1について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る罫書き器1は、骨移植材のブロックBを楔形の断片Cに切断するための罫書き線GをブロックBに引くために使用される(
図6(a),(b)参照。)。
ブロックBは、相互に隣接する第1側面b1、第2側面b2および上面b3を有する直方体である。これらの面b1,b2,b3は、相互に90°を成す。罫書き線Gは、上面b3に引かれる。ブロックBは、直方体以外の形状であってもよい。
【0012】
図13は、内側楔状型開大式高位脛骨骨切り術(open-wedge HTO)を説明している。Open-wedge HTOにおいて、脛骨Dの近位部が内側から骨切りされ、楔形に開大された骨切り部Eに断片Cが補填され、脛骨Dの内側面に骨プレートFが固定される。骨切り部Eの開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θは、患者の体格および脛骨Dの矯正角度に応じて異なる。開大幅Wは、脛骨Dの外側面における骨切り部Eの幅であり、底辺長さLは、低位側の骨切り面の長さである。
【0013】
断片Cの形状および寸法は、高さh、楔角度φおよび底辺長さSの3つのパラメータの内の任意の2つが決定されることによって、一意に決定される。高さh、楔角度φおよび底辺長さSは、骨切り部Eの開大幅W、開大角度θおよび底辺長さLにそれぞれ対応する。骨切り部Eに適合する形状および寸法の断片Cを得るために、開大幅W、開大角度θおよび底辺長さLにそれぞれ基づいて、高さh、楔角度φおよび底辺長さSが決定される。
なお、本明細書において、「楔形」は、三角形の側面を有する楔形(例えば、
図6(b)の断片C参照。)と、尖端部を欠いた台形または略台形の側面を有する部分楔形(例えば、
図6(a)の断片C参照。)と、の両方を含む。
【0014】
図1から
図5に示されるように、罫書き器1は、ベース部材2と、ベース部材2にスライド可能に支持された第1スライド部材3および第2スライド部材4と、第1スライド部材3に揺動可能に支持された揺動部材5と、を備える。これらの部材2,3,4,5は、厚さ方向に相互に対向する上面および下面を有する平坦なプレートからそれぞれ形成され、相互に平行に厚さ方向に重なっている。
図1は、部材2,3,4,5が組み立てられた罫書き器1を上面側から見た図であり、
図2、
図3、
図4および
図5は、個々の部材2,3,4,5を上面側から見た図である。
【0015】
罫書き器1は、相互に直交するX方向(第1方向)、Y方向(第2方向)およびZ方向を有する。X方向およびY方向は、部材2,3,4,5の上面および下面に沿う方向であり、Z方向は、部材2,3,4,5の厚さ方向に沿う方向である。使用時、罫書き器1は、Z方向が鉛直または略鉛直になるように、水平に配置される。
図1から
図4において、X方向は左右方向であり、右側が正側、左側が負側である。Y方向は上下方向であり、上側が正側、下側が負側である。Z方向は紙面に垂直な方向であり、手前側が正側、奥側が負側である。
【0016】
図2に示されるように、ベース部材2は、略T字型であり、X方向に延びる略矩形状の第1部分21と、第1部分21からY方向に正側に向かって延びる略矩形状の第2部分22とを有する。
さらに、ベース部材2は、凹角部を形成しブロックBの第1側面b1および第2側面b2がそれぞれ突き当てられる第1突当面2aおよび第2突当面2bを有する。第1突当面2aは、Y方向の正側における第1部分21の側面であり、X方向に真っ直ぐに延びZ方向に平行な平坦面である。第2突当面2bは、X方向の負側における第2部分22の側面であり、Y方向に真っ直ぐに延びZ方向に平行な平坦面である。
【0017】
図3に示されるように、第1スライド部材3は、略L字型であり、X方向に延びる略矩形状の直線部分31と、直線部分31の端部からY方向に突出する円弧状の円弧部分32とを有する。
直線部分31は、第1部分21の上面上に配置され、第1スライド部材3は、ベース部材2に対してX方向に直線移動可能にベース部材2に支持されている。第1スライド部材3および揺動部材5は、ベース部材2に対して一体的にX方向に移動する。
例えば、直線部分31の下面に突起(図示略)が設けられ、第1部分21の上面に、X方向に延び突起が配置される溝21aが形成されている。また、直線部分31は、X方向に沿うスロット31aを有し、スロット31aを通り第1部分21のねじ穴21b(
図2参照。)に挿入されるねじ11によって、第1スライド部材3は、X方向に移動可能に第1部分21に接続されている。
【0018】
直線部分31のX方向の負側の端部には、原点Oが定義されている。原点Oは、楔形の断片Cの頂点に対応する点である。
図1に示されるように、第1スライド部材3がベース部材2に支持された状態において、原点Oは、第1突当面2aと同一の平面上に配置され、第1スライド部材3のX方向の移動によって第1突当面2aに沿って移動する。
円弧部分32は、原点Oを曲率中心とする円弧状であり、直線部分31のX方向の正側の端部からY方向の正側に向かって延びる。円弧部分32は、原点Oを曲率中心とする円弧状のスロット32aを有する。
【0019】
図4に示されるように、第2スライド部材4は、略矩形状であり、第2部分22の上面上に配置される。第2スライド部材4は、揺動部材5がY方向に突き当たるストッパ端4aをY方向の負側に有する。ストッパ端4aは、第2突当面2bと同一の平面上に配置される(例えば、
図1参照。)。
第2スライド部材4は、第2突当面2bに突き当てられるブロックBおよびストッパ端4aに突き当てられる揺動部材5と干渉しない形状を有する。本実施形態において、第2スライド部材4のX方向の負側の側面4cは第2突当面2bと同一の平面に配置され、第2スライド部材4のY方向の負側の側面4dは、側面4cと鋭角を成す。ストッパ端4aは、2つの側面4c,4dが形成する角部である。側面4cに対する側面4dの角度は、最大角度γ(例えば、20°)の揺動部材5と干渉しないように設計されている。
【0020】
第2スライド部材4は、Y方向に直線移動可能にベース部材2に支持される。例えば、第2スライド部材4は、Y方向に沿うスロット4bを有し、第2部分22は、Y方向に間隔をあけて配列するねじ穴22aおよび突起22cを有する。スロット4b内に挿入される突起22cと、スロット4bを通りねじ穴22aに挿入されるねじ12と、によって、第2スライド部材4は、Y方向に移動可能に第2部分22に接続される。第2スライド部材4のY方向の移動によって、ストッパ端4aは第2突当面2bに沿って移動する。
【0021】
揺動部材5は、細く長尺の棒状の部材であり、突当面2a,2bを跨ぎ突当面2a,2bに対して斜めに配置される。ベース部材2の下面から揺動部材5の下面までのZ方向の距離はブロックBの厚さよりも大きく、揺動部材5はブロックBの上面b3の上に配置される(
図7~
図9参照。)。
【0022】
揺動部材5は、平坦かつ真っ直ぐな側面5aをY方向の正側に有する。側面5aは、ブロックBの上面b3に対して罫書き線Gを規定する面であり、ペンまたはメスのような罫書き線Gを引く罫書き具を案内するガイド面である。ガイド面5aは、第1突当面2aと角度γを成して配置され第2突当面2bを跨いで延びる。
【0023】
揺動部材5は、長手方向の両側に第1端部(接続部)51および第2端部52をさらに有する。第1端部51は、Z方向の揺動軸線A回りに揺動可能に直線部分31に接続され、第2端部52は、揺動軸線A回りに揺動可能に円弧部分32に接続される。これにより、揺動部材5は、揺動軸線A回りに揺動可能に第1スライド部材3に支持されている。
【0024】
揺動軸線Aは、ガイド面5a上またはガイド面5aと同一の平面上に配置され、かつ、原点Oを通るZ方向の軸線である。揺動部材5の揺動によってガイド面5aはXY平面内で揺動し、それにより、ガイド面5aと第1突当面2aとの間の角度γが変化する。角度γは、楔角度φに相当し、角度γの範囲は、開大角度θの範囲に応じて決定される。
図1において、角度γは、0°から20°までの間で変更可能である。
ここで、揺動部材5の揺動によって、ガイド面5aは、ガイド面5aまたは該ガイド面5aと同一の平面が第1突当面2aと交差する原点Oを一定または略一定の位置に保持しながら揺動する。すなわち、角度γに関わらず、ガイド面5aまたはガイド面5aと同一の平面は、原点Oにおいて第1突当面2aと交差する。
【0025】
具体的には、
図5(a),(b)に示されるように、第1端部51は、揺動軸線Aを中心軸線とする内周面51aおよび外周面51bを有する。
図5(a)の揺動部材5のガイド面5aは、揺動軸線Aを超えて揺動部材5の一端まで延びている。
図5(b)に示されるように、ガイド面5aが、揺動軸線Aの手前において終端し、揺動軸線Aおよび原点Oが、ガイド面5aを延長した平面上に配置されてもよい。ガイド面5aは、少なくとも揺動軸線Aの近傍まで延びることが好ましく(
図5(b)参照。)、揺動軸線Aまで、または揺動軸線AをY方向の負側に超えた位置まで延びることがより好ましい(
図5(a)参照。)。
【0026】
内周面51aよび外周面51bは、Y方向の負側に凸の半円弧状である。直線部分31のX方向の負側の端部には、直線部分31の上面から突出する3つ以上の円柱状の突起31bが設けられている。1つの突起31bが内周面51aに接触し、2つ以上の突起31bは、原点O回りの周方向に間隔を空けた位置に配置され、外周面51bとそれぞれ接触する。3つ以上の突起31bは、面51a,面51bの中心軸線である揺動軸線Aが原点Oを通るように、内周面51aおよび外周面51bを支持する。これにより、原点Oを中心にガイド面5aが揺動するように、第1端部51が揺動軸線A回りに揺動可能に支持される。
【0027】
このような第1端部51の支持構造によれば、第1端部51の全体が、ガイド面5a含みガイド面5aよりもY方向の負側の領域に配置され、かつ、第1突当面2aよりもY方向の負側の領域において第1端部51は直線部分31に支持される。したがって、原点Oの周囲に罫書き具と干渉する構造物が存在せず、原点Oの周囲にブロックBが配置される場合に原点Oまで罫書き具によって罫書き線Gを引くことができる。
【0028】
第2端部52は、ねじ穴52aを有し、円弧部分32の下を通る。スロット32aを通りねじ穴52aに挿入されたねじ13によって、第2端部52は、揺動軸線A回りの周方向に移動可能に円弧部分32に接続される。
第2端部52は、Z方向において第1端部51と異なる位置に配置される。したがって、揺動部材5は、第2部分22と円弧部分32との間に配置される部分に、第1端部51に対して第2端部52をZ方向に変位させる段差部5bを有していてもよい。
【0029】
第1スライド部材3は、上面上に第1距離目盛り6および角度目盛り8をさらに有し、ベース部材2は、上面上に第2距離目盛り7をさらに有する。
第1距離目盛り6は、原点Oから第2突当面2bまでのX方向の第1距離α(
図1参照。)を示す。距離αは、断片Cの底辺長さSに相当し、距離αおよび第1距離目盛り6の値は、X方向の正側に向かって増大する。第1距離目盛り6は、直線部分31のY方向の正側の側面31dに沿って設けられ、第2突当面2bは側面31dまで延びる。これにより、作業者は、第2突当面2bを第1距離目盛り6に対して正確に位置合わせすることができる。
【0030】
第2距離目盛り7は、揺動部材5がストッパ端4aに突き当てられた状態における、原点Oから、ガイド面5aが第2突当面2bと交差する位置までのY方向の第2距離β(
図1参照。)を示す。距離βは、断片Cの高さhに相当し、距離βおよび第2距離目盛り7の値は、Y方向の正側に向かって増大する。第2距離目盛り7は、第2突当面2bに沿って設けられている。これにより、作業者は、ストッパ端4aを第2距離目盛り7に対して正確に位置合わせすることができる。
【0031】
角度目盛り8は、第1突当面2aとガイド面5aとの間の角度γ(
図1参照。)を示す。角度γは、断片Cの楔角度φに相当し、角度γおよび角度目盛り8の値は、Y方向の正側に向かって増大する。角度目盛り8は、円弧部分32のX方向の負側の側面に沿って設けられ、ガイド面5aは、円弧部分32と交差する。これにより、作業者は、ガイド面5aを角度目盛り8に対して正確に位置合わせすることができる。
【0032】
第1距離目盛り6に対する第2突当面2bの正確な位置合わせのために、側面31dは、第1突当面2aからY方向の負側にオフセットしていることが好ましい(
図1参照。)。さらに、第2突当面2bが側面31dまで延び、第2スライド部材4の上面が直線部分31の上面と同一の平面に配置されることが好ましい。このような配置のために、第1部分21と第2部分22との間には段差が形成され、直線部分31が載置される第1部分21の上面は、第2部分22の上面に対してZ方向の負側にオフセットしている。
【0033】
このような構成によれば、角度γが、例えば5°または10°のように小さい場合であっても、揺動部材5と直線部分31との間にY方向の間隔が確保される。したがって、作業者は、第2突当面2bと側面31dとの交点を明確に視認することができ、第2突当面2bを第1距離目盛り6に対して正確に位置合わせすることができる。
仮に、側面31dが第1突当面2aと同一の平面上に配置されている場合、角度γが小さいときに、揺動部材5と直線部分31との間の間隔が狭くなり、前記交点を視認することが難しくなり、その結果、第1距離目盛り6に対する第2突当面2bの正確な位置合わせが困難になり得る。
【0034】
罫書き器1は、第1スライド部材3、第2スライド部材4および揺動部材5をそれぞれ固定および固定解除する固定部11,12,13をさらに備える。
第1固定部は、ねじ11である。ねじ11を締めることによって、第1スライド部材3がベース部材2の第1部分21に対して固定され、ねじ11を緩めることによって、第1スライド部材3の固定が解除される。
第2固定部は、ねじ12である。ねじ12を締めることによって、第2スライド部材4がベース部材2の第2部分22に対して固定され、ねじ12を緩めることによって、第2スライド部材4の固定が解除される。
【0035】
第3固定部は、ねじ13である。ねじ13を締めることによって、揺動部材5の第2端部52が第1スライド部材3の円弧部分32に対して固定され、ねじ13を緩めることによって、揺動部材5の固定が解除される。
揺動部材5を第1端部51において第1スライド部材3に対して固定するもう1つの第3固定部が設けられていてもよい。例えば、第1端部51が、揺動軸線Aを曲率中心とする円弧状の長穴51cを有し、直線部分31が、長穴51cを通過してねじ14が挿入されるねじ穴31cを有していてもよい。ねじ14が、もう1つの第3固定部である。
作業者が工具を使用せずに指でねじ11,12,13,14を容易に回すことができるように、ねじ11,12,13,14は、ローレットねじのようなつまみねじであることが好ましい。
【0036】
次に、罫書き器1の使用方法について説明する。
図7、
図8および
図9に示されるように、罫書き器1には3通りの使用方法がある。
図7に示される第1使用方法は、底辺長さSおよび楔角度φに基づいてガイド面5aを位置決めする方法である。
図7の例において、底辺長さSが70mmであり、楔角度φが10°である。
作業者は、第1スライド部材3をX方向にスライドさせることによって第2突当面2bを第1距離目盛り6の70mmの位置に合わせ、続いて、ねじ11を締めることによって第1スライド部材3を固定する。また、作業者は、揺動部材5を揺動させることによってガイド面5aを角度目盛り8の10°の位置に合わせ、続いて、ねじ13,14を締めることによって揺動部材5を固定する。
次に、作業者は、突当面2a,2bに側面b1,b2が突き当たるようにブロックBに対して罫書き器1を配置し、ガイド面5aに沿って罫書き線Gを引く。これにより、断片Cの底辺長さSが70mm、楔角度φが10°となるように、罫書き線GをブロックBに引くことができる。
【0037】
図8に示される第2使用方法は、底辺長さSおよび高さhに基づいてガイド面5aを位置決めする方法である。
図8の例において、底辺長さSが70mmであり、高さhが20mmである。
作業者は、第1使用方法と同様に、第2突当面2bを第1距離目盛り6の70mmの位置に合わせ、続いて、第1スライド部材3を固定する。また、作業者は、第2スライド部材4をY方向にスライドさせることによってストッパ端4aを第2距離目盛り7の20mmの位置に合わせ、続いて、ねじ12を締めることによって第2スライド部材4を固定する。
【0038】
次に、作業者は、二点鎖線で示されるように、揺動部材5を揺動させることによってガイド面5aをストッパ端4aに突き当て、続いて、ねじ13,14を締めることによって揺動部材5を固定する。
その後、作業者は、第1使用方法と同様に、ブロックBに対して罫書き器1を配置し、ガイド面5aに沿って罫書き線Gを引く。これにより、断片Cの底辺長さSが70mm、高さhが20mmとなるように、罫書き線GをブロックBに引くことができる。
【0039】
図9に示される第3使用方法は、楔角度φおよび高さhに基づいてガイド面5aを位置決めする方法である。
図9の例において、楔角度φが10°であり、高さhが10mmである。
作業者は、第1使用方法と同様に、ガイド面5aを角度目盛り8の10°の位置に合わせ、続いて、揺動部材5を固定する。また、作業者は、第2実施形態と同様に、ストッパ端4aを第2距離目盛り7の10mmの位置に合わせ、続いて、第2スライド部材4を固定する。
【0040】
次に、作業者は、二点鎖線で示されるように、第1スライド部材3をX方向にスライドさせることによってガイド面5aをストッパ端4aに突き当て、続いて、ねじ11を締めることによって第1スライド部材3を固定する。
その後、作業者は、第1使用方法と同様に、ブロックBに対して罫書き器1を配置し、ガイド面5aに沿って罫書き線Gを引く。これにより、断片Cの楔角度φが10°、高さhが10mmとなるように、罫書き線GをブロックBに引くことができる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、底辺長さS、高さhおよび楔角度φの3つのパラメータの内、任意の2つに基づいて、ガイド面5aを位置決めしブロックBに罫書き線Gを引くことができる。したがって、作業者は、自身の好みや状況等に応じて、2つのパラメータの組み合わせを自由に選択することができ、使い勝手のよい罫書き器1を実現することができる。
【0042】
また、罫書き器1を構成する4つの部材2,3,4,5は相互に接続されて一体化され、4つの部材2,3,4,5の相対的な動きが制限されている。具体的には、ベース部材2に対する第1スライド部材3の動きは、X方向の直線移動のみに制限され、ベース部材2に対する第2スライド部材4の動きは、Y方向の直線移動のみに制限され、第1スライド部材3に対する揺動部材5の動きは、原点O回りの揺動のみに制限されている。
このように、部材3,4,5は、第2突当面2b、ストッパ端4aおよびガイド面5aをそれぞれ目盛り6,7,8に対して位置合わせするために必要な動きのみが許容されている。したがって、第2突当面2b、ストッパ端4aおよびガイド面5aをそれぞれ目盛り6,7,8に対して正確にかつ容易に位置合わせすることができ、また、位置合わせ後に部材3,4,5が位置ずれし難い。これにより、罫書き線Gを所望通り正確にかつ容易に引くことができるとともに、さらに使い勝手の良い罫書き器1を実現することができる。
【0043】
さらに、可動の部材3,4,5をそれぞれ一時的に固定する固定部11,12,13が設けられている。位置合わせ後、固定部11,12,13を使用して部材3,4,5を固定することによって部材3,4,5の位置が保持される。したがって、さらに正確な罫書き線Gを引くことができる。また、作業者は、罫書き器1の使用中、部材3,4,5が動かないように部材3,4,5手で押さえたりする必要がない。したがって、罫書き器1を使用して簡便に作業することができ、罫書き器1の使い勝手をさらに向上することができる。
【0044】
上記実施形態において、罫書き器1は、拡大目盛りをさらに有していてもよい。
角度目盛り8の目盛り線の間隔は、原点Oから角度目盛り8までの距離を大きくすることによって容易に拡大することができるが、距離目盛り6,7の目盛り線の間隔は拡大することが難しい。したがって、罫書き器1は、距離目盛り6,7の目盛り線の間隔を拡大した拡大目盛りを有することが好ましい。
【0045】
例えば、
図1に示されるように、第2距離目盛り7を拡大した拡大目盛り9が、揺動部材5に設けられる。
図1の罫書き器1の場合、第2距離目盛り7の目盛り線の間隔は1mmであり、拡大目盛り9の目盛り線の間隔は約3mmである。すなわち、拡大目盛り9は、第2距離目盛り7の約3倍に拡大されている。このような拡大目盛り9を使用することによって、ストッパ端4aをより正確に位置合わせすることができる。例えば、0.5mm単位でストッパ端4aを目視で位置合わせすることができる。
【0046】
図10は、高さhが10mmである場合の拡大目盛り9の使用方法を説明している。この拡大目盛り9は、20°用である。すなわち、20°の角度γで揺動部材5を固定し、スライド部材3,4のスライドによって、ストッパ端4aを拡大目盛り9の10mmの位置に合わせ、ねじ12を締めて第2スライド部材4を固定する。次に、第2突当面2bを第1距離目盛り6の所望の位置に合わせるか、または、ガイド面5aを角度目盛り8の所望の位置に合わせる。
拡大目盛り9と同様の原理を利用し、第1距離目盛り6を拡大した拡大目盛りが揺動部材5に設けられていてもよい。
【0047】
上記実施形態において、揺動部材5の第1端部51が、ガイド面5a上またはガイド面5aと同一の平面上に配置され原点Oを通る揺動軸線A回りに揺動可能に第1スライド部材3に支持されることとしたが、第1端部51の支持構造はこれに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0048】
図11は、第1端部51の他の支持構造を有する罫書き器1の変形例を示している。
図11の変形例において、揺動軸線Aは、原点OからY方向の負側にオフセット距離dだけオフセットした位置に配置される。第1端部51は、揺動軸線Aを中心としガイド面5aと連続する半円弧状の端面を有する。
この変形例においても、第1端部51の全体が、ガイド面5a含みガイド面5aよりもY方向の負側の領域に配置され、かつ、第1突当面2aよりもY方向の負側の領域において第1端部51は直線部分31に支持される。したがって、原点Oの周囲に罫書き具と干渉する構造物が存在せず、罫書き具によって原点Oまで罫書き線Gを引くことができる。
【0049】
角度γが変化したときに、ガイド面5aが第1突当面2aと交差する位置(すなわち、原点O)が略一定の位置に保持されるように、揺動部材5の形状および寸法は設計される。具体的には、揺動軸線Aを通りガイド面5aに平行な軸線(一点鎖線参照。)からガイド面5aまでの距離はオフセット距離dと等しく、第1端部51の半径はオフセット距離dと等しい。
このような構成によれば、角度γの変化に伴う原点Oの位置のX方向の変化は、無視できる程度にわずかであり、原点Oを略一定の位置に保持することができる。
【0050】
上記実施形態において、ベース部材2に対する第1スライド部材3の位置が無段階に変更可能であることとしたが、これに代えて、段階的に変更可能であってもよい。同様に、上記実施形態において、第1スライド部材3に対する第2スライド部材4の位置が無段階に変更可能であることとしたが、これに代えて、段階的に変更可能であってもよい。
図12(a),(b)は、段階的に位置を変更可能である第2スライド部材4の変形例を示している。
図12(a)は、ストッパ端4aが20mmに位置合わせされた状態を示し、
図12(b)には、スライド部材4が取り外された第2部分22を示す。
【0051】
第2スライド部材4は、Y方向に傾斜する方向に一列に配列する複数の穴4eを有する。穴4eは、ねじ(図示略)が通る通し穴である。各穴4eは、1つまたは2つの距離βi(βi=4mm、5mm、…、20mm)に対応する。例えば、
図11(a)において、最も下側の穴4eは距離4mmおよび距離14mmに対応し、最も上側の穴4eは距離13mmに対応する。
【0052】
第2部分22は、Y方向に傾斜する方向に二列に配列する複数のねじ穴22bを有する。各ねじ穴22bは、1つの距離βiに対応する。ストッパ端4aが第2距離目盛り7のβi(mm)の位置に合わされているときに、距離βi用のねじ穴22bが距離βi用の穴4eと同軸に配置されるように、複数のねじ穴22bの位置が設計されている。
【0053】
図12(a)に示されるように、一のねじ穴22bを対応する一の穴4eに一致させた後、一の穴4eを通してねじをねじ穴22bに挿入することによって、第2スライド部材4が第2部分22に固定される。
このように、各距離βiに対応する穴4e,22bを設けることによって、ストッパ端4aの位置をY方向に段階的に変更することができる。これにより、Y方向におけるストッパ端4aの位置合わせの誤差を排除し、ストッパ端4aを所望の位置に正確に合わせることができる。
【0054】
上記実施形態において、第2距離目盛り7に対して位置合わせされたストッパ端4aに揺動部材5を突き当てることによって、ガイド面5aを第2距離目盛り7に対して位置合わせすることとしたが、これに代えて、罫書き器1が第2スライド部材4を備えず、ガイド面5aを第2距離目盛り7に対して直接位置合わせしてもよい。
すなわち、第2使用方法において、第2突当面2bを第1距離目盛り6に対して位置合わせした後、揺動部材5の揺動によってガイド面5aが第2距離目盛り7に対して直接位置合わせされる。第3使用方法において、ガイド面5aを角度目盛り8に対して位置合わせした後、第1スライド部材3のスライドによってガイド面5aが第2距離目盛り7に対して直接位置合わせされる。
このような構成においても、3つのパラメータS,h,φの内の任意の2つに基づいてガイド面5aを位置決めすることができる。
【0055】
上記実施形態において、第2スライド部材4が、揺動部材5に対して第1突当面2aとは反対側に配置され、ガイド面5aがストッパ端4aに突き当てられることとしたが、これに代えて、第2スライド部材4が、揺動部材5に対して第1突当面2aと同一側に配置されていてもよい。
この場合、第2スライド部材4は、Y方向の正側にストッパ端を有し、揺動部材5のガイド面5aと対向する側面がストッパ端に突き当てられる。第2距離目盛り7は、対向する側面がストッパ端に突き当てられた状態での、第1突当面2aからガイド面5aまでのY方向の距離を示す。
【0056】
上記実施形態において、第1スライド部材3のX方向のスライドによって第2突当面2bを第1距離目盛り6に位置合わせすることとしたが、これに代えて、第2突当面2bのX方向のスライドによって第2突当面2bを第1距離目盛り6に位置合わせするように構成されていてもよい。
例えば、ベース部材2が、第1突当面2a、第1距離目盛り6および角度目盛り8を含む第1ベース部材と、第2突当面2bおよび第2距離目盛り7を含む第2ベース部材とを有し、第2ベース部材がX方向に移動可能に第1ベース部材に支持されていてもよい。この場合、第1スライド部材3が省略され、揺動部材5が第1ベース部材に支持されていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 罫書き器
2 ベース部材
2a 第1突当面
2b 第2突当面
3 第1スライド部材
4 第2スライド部材
4a ストッパ端
5 揺動部材
5a ガイド面
51 第1端部(接続部)
52 第2端部
6 第1距離目盛り
7 第2距離目盛り
8 角度目盛り
9 拡大目盛り(第2拡大目盛り)
11 ねじ(第1固定部)
12 ねじ(第2固定部)
13,14 ねじ(第3固定部)
A 揺動軸線
B ブロック
b1 第1側面
b2 第2側面
【手続補正書】
【提出日】2023-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨移植材のブロックに罫書き線を引くために使用される罫書き器であって、前記ブロックが、第1側面と、該第1側面と角度を成す第2側面とを有し、
第1方向に延び前記第1側面が突き当てられる第1突当面と、前記第1方向に交差する第2方向に延び前記第2側面が突き当てられる第2突当面とを有するベース部材と、
前記第1方向に移動可能に前記ベース部材に支持された第1スライド部材と、
該第1スライド部材に揺動可能に支持された揺動部材であって、前記第1突当面と角度を成して配置され前記第2突当面を跨いで延び前記罫書き線を引く罫書き具を案内するガイド面を有し、前記揺動部材の揺動によって前記ガイド面が、該ガイド面または該ガイド面と同一の平面が前記第1突当面と交差する原点を一定または略一定の位置に保持しながら揺動する、揺動部材と、を備え、
前記第1スライド部材は、前記第1突当面と前記ガイド面との間の角度を示す角度目盛りと、前記原点から前記第2突当面までの前記第1方向の第1距離を示す第1距離目盛りと、を有し、
前記ベース部材は、前記原点から、前記ガイド面が前記第2突当面と交差する位置までの前記第2方向の第2距離を示す第2距離目盛りを有する、罫書き器。
【請求項2】
前記第2方向に移動可能に前記ベース部材に支持された第2スライド部材をさらに備え、
該第2スライド部材が、前記第2突当面と同一の平面上に配置され前記揺動部材が前記第2方向に突き当てられるストッパ端を有する、請求項1に記載の罫書き器。
【請求項3】
前記第1スライド部材を前記ベース部材に対して固定および固定解除する第1固定部、前記第2スライド部材を前記ベース部材に対して固定および固定解除する第2固定部、ならびに、前記揺動部材を前記第1スライド部材に対して固定および固定解除する第3固定部の内、少なくとも1つをさらに備える、請求項2に記載の罫書き器。
【請求項4】
前記揺動部材が、前記第1距離目盛りを拡大した第1拡大目盛りおよび前記第2距離目盛りを拡大した第2拡大目盛りのうち、少なくとも一方を有する、請求項1に記載の罫書き器。
【請求項5】
前記第2距離が、前記第2方向の正側に向かって増大し、
前記ガイド面が、前記揺動部材の前記正側の側面から形成され、
前記揺動部材が、前記第1スライド部材に揺動可能に接続される接続部を有し、該接続部の全体が、前記ガイド面よりも前記第2方向の負側の領域に配置される、請求項1に記載の罫書き器。
【請求項6】
前記第1スライド部材が、前記第1突当面と平行に配置される側面を有し、該側面は、前記第1突当面から前記第2方向の負側にオフセットし、
前記第2突当面が、前記第1スライド部材の前記側面まで延び、
前記第1距離目盛りが、前記側面に沿って設けられている、請求項1に記載の罫書き器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
さらに、可動の部材3,4,5をそれぞれ一時的に固定する固定部11,12,13が設けられている。位置合わせ後、固定部11,12,13を使用して部材3,4,5を固定することによって部材3,4,5の位置が保持される。したがって、さらに正確な罫書き線Gを引くことができる。また、作業者は、罫書き器1の使用中、部材3,4,5が動かないように部材3,4,5を手で押さえたりする必要がない。したがって、罫書き器1を使用して簡便に作業することができ、罫書き器1の使い勝手をさらに向上することができる。