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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018209
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20230201BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20230201BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20230201BHJP
【FI】
E05B49/00 J
B60R25/24
B60R25/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122134
(22)【出願日】2021-07-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩之
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB35
2E250DD06
2E250FF24
2E250FF25
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】盗難防止機能を向上させかつ利便性の高い車両制御システムを提供する。
【解決手段】本発明の電子キーシステム100は、車両のドアの施錠や開錠の操作を可能なスマートフォン110と、車両のドアの施錠ボタン142および開錠ボタン144を備えたキーフォブ140と、スマートフォン110からの操作に関する信号に基づき駆動信号を出力する通信ユニット120と、車内に配置され、かつキーフォブ140を収容し、通信ユニット120からの駆動信号に基づきキーフォブ140の施錠ボタン142および開錠ボタン144を物理的に押下可能なFOB制御ユニット130とを含む。通信ユニット120は、施錠ボタン142および開錠ボタン144を押下させキーフォブ140を省電力モードに移行させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの施錠や開錠に関する操作を可能な携帯端末と、
車両のドアの施錠ボタンおよび開錠ボタンを備えたキーフォブと、
前記車両内に配置され、かつ前記キーフォブを保持し、前記携帯端末からの操作に関する信号に基づき前記キーフォブの施錠ボタンおよび開錠ボタンの押下を可能にする制御ユニットとを含み、
前記制御ユニットは、前記施錠ボタンおよび前記開錠ボタンの押下により前記キーフォブを省電力モードに移行させる、車両制御システム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記携帯端末において施錠に関する操作が行われてから一定時間経過後、前記キーフォブを省電力モードに移行させる、請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記携帯端末において利用終了に関する操作が行われたことに応答して、前記キーフォブを省電力モードに移行させる、請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記携帯端末においていずれかの操作が行われたことに応答して前記キーフォブの省電力モードを解除する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記施錠ボタンを押下可能な第1のアクチュエータと、前記開錠ボタンを押下可能な第2のアクチュエータとを含み、前記制御ユニットは、前記携帯端末の操作に応じて第1および第2のアクチュエータを制御する、請求項1ないし4いずれか1つに記載の車両制御システム。
【請求項6】
車両のドアの施錠や開錠に関する操作を可能な携帯端末と、
車両のドアの施錠ボタンおよび開錠ボタンを備えたキーフォブと、
前記車両内に配置され、かつ前記キーフォブを保持し、前記携帯端末からの操作に関する信号に基づき前記キーフォブの施錠ボタンおよび開錠ボタンの押下を可能にする制御ユニットとを含み、
前記制御ユニットは、前記車両の搭乗者の人数に応じて車両のドアの開錠を可能にする、車両制御システム。
【請求項7】
前記制御ユニットは、搭乗者が1人の場合には運転席のドアのみを開錠させ、搭乗者が複数の場合には車両の全てのドアを開錠させる、請求項6に記載の車両制御システム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記車両の予約情報に基づき搭乗者の人数を識別する、請求項6または7に記載の車両制御システム。
【請求項9】
前記制御ユニットは、搭乗者が1人の場合、前記開錠ボタンを1回押下させ、搭乗者が複数の場合、前記開錠ボタンを2回押下させる、請求項8に記載の車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの開錠等に用いられる車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
キーレスエントリおよびイグニッションスタートなどのアクションを可能にするキーフォブが知られている。一部のキーフォブは、ユーザーが近くにいるときに車両ドアをロック解除する動作を自動化することができる。スマートフォンを電子キーとして用いて、車両ドアの開錠や施錠、エンジン始動等を行うようにした車両制御システムが知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-509171号公報
【特許文献2】特開2020-197099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスマートフォンを利用したスマートキーシステム(以下、電子キーシステムと称す)の構成を図1に示す。電子キーシステム10は、電子キーまたはデジタルキーとして用いるスマートフォン20と、スマートフォン20から施錠/開錠のコマンドを受け取る通信ユニット30と、車両Mのドアの施錠/開錠を行うための施錠ボタン42および開錠ボタン44を備えたキーフォブ(以下、FOBと称す)40と、通信ユニット30からの信号に応答してFOB40の施錠ボタン42または開錠ボタン44を物理的に押下する駆動機構(例えば、ラックアンドピニオンギアなど)52、54を含むFOB制御ユニット50とを含んで構成される。
【0005】
ユーザーは、スマートフォン20と通信ユニット30とを相互認証させた後、スマートフォン20の画面を操作して施錠コマンドを通信ユニット30に送信すると、通信ユニット30は、施錠コマンドに応じた駆動信号をFOB制御ユニット50に出力する。通信ユニット30とFOB制御ユニット50は、車両Mの内部に配置され、FOB制御ユニット50にはFOB40が収容されている。駆動回路56は、通信ユニット30からの駆動信号に基づき駆動機構52を介してFOB40の施錠ボタン42を押下し、これにより、車両Mのドアが施錠される。ユーザーが開錠コマンドを操作した場合には、通信ユニット30は、開錠コマンドに応じた駆動信号をFOB制御ユニット50に出力し、駆動回路56は、駆動機構54を介してFOB40の開錠ボタン44を押下し、これにより、車両Mのドアが開錠される。
【0006】
昨今、スマートキーシステムを搭載する車両が増加することで利便性が高まった反面、いわゆるリレーアタックと呼ばれる手法による車両の盗難が増えてきている。FOB40(スマートキー)と車両本体は、双方が発する電波を感知する送受信機をそれぞれ含み、1台ごとに暗号化された固有の電波を識別することでキーを認識し、認識したFOB40からの施錠や開錠の信号を有効にしている。FOB40からは常時微弱な電波が出力されており、FOB40が車両に接近すると、FOB40からの電波が車両本体側で認証され、ユーザーは、認証後、瞬時に施錠や開錠を行うことができる。リレーアタックとは、FOB40を保持するユーザーに第三者が近づき、FOB40が発する微弱な電波を増幅・中継して車両本体側に発信し、車両のドアの開錠を可能にすることである。
【0007】
このようなリレーアタックは、スマートフォンを電子キーとして利用する電子キーシステムにおいても、FOB40を車内に置くことために生じ得るリスクである。
【0008】
また、日本車の場合、FOB40の開錠ボタンを1回押しと、全ドアの鍵が開くのに対し、外国車の場合、FOB40の開錠ボタンを1回押しただけでは、運転席側のドアしか開かない車種が多い。1名で出張するような場合には問題ないが、複数名で移動する場合は、運転者が車内に乗り込んだ後に、更に全てのドアの開錠操作を行う必要があり、不便である。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、盗難防止機能を向上させかつ利便性の高い車両制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車両制御システムは、車両のドアの施錠や開錠に関する操作を可能な携帯端末と、車両のドアの施錠ボタンおよび開錠ボタンを備えたキーフォブと、前記車両内に搭載され、かつ前記キーフォブを保持し、前記携帯端末からの操作に関する信号に基づき前記キーフォブの施錠ボタンおよび開錠ボタンの押下を可能にする制御ユニットとを含み、前記制御ユニットは、前記施錠ボタンおよび前記開錠ボタンの押下により前記キーフォブを省電力モードに移行させる。
【0011】
ある態様では、前記制御ユニットは、前記携帯端末において施錠に関する操作が行われてから一定時間経過後、前記キーフォブを省電力モードに移行させる。ある態様では、前記制御ユニットは、前記携帯端末において利用終了に関する操作が行われたことに応答して、前記キーフォブを省電力モードに移行させる。ある態様では、前記制御ユニットは、前記携帯端末においていずれかの操作が行われたことに応答して前記キーフォブの省電力モードを解除する。ある態様では、前記制御ユニットは、前記施錠ボタンを押下可能な第1のアクチュエータと、前記開錠ボタンを押下可能な第2のアクチュエータとを含み、前記制御ユニットは、前記携帯端末の操作に応じて第1および第2のアクチュエータを制御する。
【0012】
本発明に係る車両制御システムは、車両のドアの施錠や開錠に関する操作を可能な携帯端末と、車両のドアの施錠ボタンおよび開錠ボタンを備えたキーフォブと、前記車両内に搭載され、かつ前記キーフォブを保持し、前記携帯端末からの操作に関する信号に基づき前記キーフォブの施錠ボタンおよび開錠ボタンの押下を可能にする制御ユニットとを含み、前記制御ユニットは、前記車両の搭乗者の人数に応じて車両のドアの開錠を可能にする。
【0013】
ある態様では、前記制御ユニットは、搭乗者が1人の場合には運転席のドアのみを開錠させ、搭乗者が複数の場合には車両の全てのドアを開錠させる。ある態様では、前記制御ユニットは、前記車両の予約情報に基づき搭乗者の人数を識別する。ある態様では、前記制御ユニットは、搭乗者が1人の場合、前記開錠ボタンを1回押下させ、搭乗者が複数の場合、前記開錠ボタンを2回押下させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、キーフォブを省電力モードに移行させるようにしたので、キーフォブを車内に置いたとしてもリレーアタック等の盗難を防止することができる。また、本発明によれば、搭乗者の人数に応じて車両のドアの開錠を行うようにしたので、利用者が開錠操作をする必要がなくなり、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来の電子キーシステムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施例に係る電子キーシステムの構成を示す図である。
図3】本実施例のスマートフォンのアプリ画面の表示例である。
図4】本発明の第1の実施例に係る電子キーシステムの動作を説明するためのテーブルである。
図5】本発明の第2の実施例に係る電子キーシステムの構成を示す図である。
図6】本発明の第2の実施例に係る電子キーシステムの動作を説明するテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る車両制御システムは、車両のドアの施錠または開錠を電子的に行う電子キーシステムに関する。本発明の電子キーシステムは、スマートフォン等の携帯端末を利用して車内に配置されたFOBの施錠ボタンまたは開錠ボタンの物理的な押下を行い、車両のドアの施錠または開錠を可能にする。
【実施例0017】
次に、本発明の実施例に係る電子キーシステムの構成を図2に示す。同図に示すように、本実施例の電子キーシステム100は、スマートフォン110、通信ユニット120、FOB制御ユニット130およびFOB140を含んで構成される。
【0018】
スマートフォン110は、いわゆる多機能型携帯端末であり、公衆電話回線網を利用した通話機能、4G、5G等の移動通信システムを利用したデータ通信機能、ブルートゥース、無線LAN、WiFi、赤外線通信等の近距離無線通信機能を含み、さらに種々のアプリケーションソフトウエアを搭載し、アプリケーションソフトウエアの機能を実行することができる。
【0019】
ここでは、スマートフォン110は、車両のドアの施錠または開錠を行うための電子キーとして使用するための電子キー用アプリケーションを搭載する。電子キー用アプリケーションが起動されると、スマートフォン110の画面には、例えば、図3に示すような車両のドアの施錠または開錠に関する操作をするためのアプリ画面が表示される。アプリ画面には、利用開始ボタン112、施錠ボタン114、開錠ボタン116、利用終了ボタン118などが表示され、ユーザーは、これらの入力ボタンをタッチ操作することで、施錠や開錠に関する指示またはコマンドを通信ユニット120に与える。
【0020】
スマートフォン110を所持するユーザーは、必ずしも車両の所有者に限らない。例えば、電子キーシステム100がカーシェアリングサービスやレンタカーサービスに利用される場合、スマートフォン110は、車両をシェアするユーザーあるいは車両をレンタルするユーザーが所持する。
【0021】
通信ユニット120は、車内に配置される。通信ユニット120は、認証部200、通信部210、制御部220および送信部230を含んで構成される。認証部200は、通信ユニット120とスマートフォン110とを相互認証する。認証方法は、特に限定されないが、例えば、スマートフォン110のブルートゥースモジュールと通信ユニット120のブルートゥースモジュールとが予めペアリングされ、認証部200は、ペアリング登録されたスマートフォン110を認証する。あるいは、スマートフォン110の認証情報(ユーザーIDやパスワード)を認証部200に予め登録しておき、スマートフォン110から送信された認証情報が登録している認証情報に一致したとき、認証部200は、スマートフォン110を認証する。
【0022】
通信部210は、ブルートゥース、無線LAN、WiFi、赤外線通信等の近距離無線通信機能を含み、認証されたスマートフォン110との間で双方向のデータ通信を可能にする。通信部210はさらに、4G、5G等の移動通信システムを利用したデータ通信機能を備え、インターネット等のネットワーク上のサーバ等に接続する機能を備えることも可能である。通信部210は、スマートフォン110から車両の施錠または開錠の操作に関する信号を受け取ると、当該信号を制御部220へ提供する。
【0023】
制御部220は、スマートフォン110から受け取った信号に基づきFOB制御ユニット130の動作を制御する。制御部220は、例えば、マイクロコンピュータやROM/RAMを含むマイクロプロセッサ等を含み、予め用意されたプログラムを実行することでFOB制御ユニット130を制御することが可能である。
【0024】
本実施例では、FOB140は、車両のドアの施錠または開錠を可能にする通常モードに加え、省電力モードを備える。通常モードでは、バッテリーで駆動される送受信機が微弱な電波を常時出力し、FOB140から一定距離内にある車両本体がその電波を識別し、キーを認証する。一方、省電力モードでは、事実上、送受信機の待機状態が停止され、それ故、送受信機からは微弱な電波が殆ど出力されず、バッテリーの消費電力が節約される。
【0025】
FOB140は、施錠ボタン142および開錠ボタン144を含み、施錠ボタン142が押下されると、車両本体が車両のドアを施錠し、開錠ボタン144が押下されると、車両本体が車両のドアを開錠する。省電力モードの設定方法は、車両メーカーによって任意に決定することができる。ここでは、FOB140の施錠ボタン142を押しながら、開錠ボタン144を2回押したとき、FOB140が省電力モードに移行するものと仮定する。また、FOB140は、省電力モードに設定されことをユーザーに知らせるため、例えば、FOB140のインジケータを発光させるようにしてもよい。また、省電力モードの設定は、FOB140のいずれかのボタンを押しことによって解除される。
【0026】
制御部220は、スマートフォン110からの施錠または開錠の操作に関する信号に基づき、FOB140を省電力モードに移行させることができるようにFOB制御ユニット130を制御する。具体的な制御方法は後述する。送信部230は、制御部220の制御下において、FOB制御ユニット130のアクチュエータを駆動するための駆動信号をFOB制御ユニット130に送信する。
【0027】
FOB制御ユニット130は、インターフェース(I/F)部300、駆動回路310、第1および第2のアクチュエータ320、330、FOB収容部340を含んで構成される。FOB制御ユニット130は、FOB140を収容するためのハウジングまたは筐体を有し、ここでは通信ユニット120と別に構成されるが、同一のハウジング内に通信ユニット120の機能とFOB制御ユニット130の機能とが実装されるようにしてもよい。
【0028】
I/F部300は、送信部230から送信される駆動信号を有線または無線により受け取り、受け取った駆動信号を駆動回回路310へ提供する。駆動回路130は、受け取った駆動信号に基づき第1のアクチュエータ320および第2のアクチュエータ330を駆動する。第1のアクチュエータ320は、FOB収容部340に収容されたFOB140の施錠ボタン142を物理的に押下可能であり、第2のアクチュエータ330は、FOB140の開錠ボタン144を物理的に押下可能である。
【0029】
第1および第2のアクチュエータ320、330の構成は、特に限定されないが、例えば、図1に示すようなラックアンドピニオンを用いて構成される。駆動回路310は、駆動信号に基づきピニオンギアを回転させることでこれと噛み合うラックを直線運動させ、ラックの端部を施錠ボタン142に接触させ、これを押下させる。開錠ボタン144についても同様である。また、駆動回路310は、ピニオンギアを逆転させることで、ラックを元の位置に退避される。なお、第1および第2のアクチュエータ320、330は、ラックアンドピニオン以外にも、カムやリンク等の他の駆動機構により構成されるようにしてもよい。
【0030】
次に、本実施例の電子キーシステムの動作について説明する。図4(A)は、省電力モードに対応していないFOBを駆動させるときのスマートフォンの操作とFOB制御ユニットの動作との関係を示すテーブルである。ユーザーは、スマートフォン110のアプリ画面において施錠または開錠の操作が可能である(図3を参照)。
【0031】
ユーザーがアプリ画面において施錠ボタン114をタッチ操作すると、当該操作に関する信号が通信ユニット120に送信される。通信ユニット120の制御部220は、施錠ボタン114がタッチ操作されたことを認識し、このタッチ操作に対応する駆動信号を送信部230を介してFOB制御ユニット130に送信する。駆動信号は、I/F部300を介して駆動回路310に受け取られ、駆動回路310は、第1のアクチュエータ320を介してFOB140の施錠ボタン142を物理的に特定時間だけ押下させる。施錠ボタン142の押下により車両の全ドアが施錠される。
【0032】
一方、ユーザーがアプリ画面の開錠ボタン116をタッチ操作すると、通信ユニット120の制御部220は、開錠ボタン116がタッチ操作されたことを認識し、このタッチ操作に対応する駆動信号を送信部230を介してFOB制御ユニット130に送信する。駆動回路310は、この駆動信号に基づき第2のアクチュエータ330(開錠側ラック制御)を第2のアクチュエータ330を介してFOB140の開錠ボタン144を特定時間だけ押下させる。開錠ボタン144の押下により車両のドアが開錠される。
【0033】
図4(B)は、本実施例による省電力モードに対応するFOBを用いたときのスマートフォンの操作とFOB制御ユニットの動作との関係を示すテーブルである。ユーザーは、スマートフォン110のアプリ画面において利用開始ボタン112をタッチ操作すると、制御部220は、ユーザーが利用開始ボタンをタッチ操作したことを認識し、このタッチ操作に対応する駆動信号を送信部230を介してFOB制御ユニット130に送信する。駆動回路310は、この駆動信号に基づき第1のアクチュエータ320(施錠側ラック制御)または第2のアクチュエータ330(開錠側ラック制御)を介してFOB140の施錠ボタン142または開錠ボタン144を押下させる。利用開始ボタン112は、現在の車両のドアの状態を反転させる操作である。例えば、ドアが施錠された状態であればそれを開錠させ、反対に、ドアが開錠された状態であればそれを施錠させる。この場合、制御部220は、最後に車両のドアを施錠または開錠させたときの状態を識別するためのフラグを保持し、当該フラグにより現在のドアの開閉状態を認識する。
【0034】
ユーザーがアプリ画面において施錠ボタン114または開錠ボタン116をタッチ操作した場合には、図4(A)のときと同様に、FOB制御ユニット130は、第1または第2のアクチュエータ320、330を介して施錠ボタン142または開錠ボタン144を押下する。
【0035】
ユーザーがアプリ画面において施錠ボタン114をタッチ操作した場合、制御部220は、ユーザーが施錠ボタン114をタッチ操作したことを認識し、このタッチ操作を認識した時点から時間の経過をカウントし、所定時間が経過したとき、制御部220は、省電力モードに対応する駆動信号を送信部230を介してFOB制御ユニット130に送信する。所定時間は、第1のアクチュエータ320がFOB140の施錠ボタン142を押下するのに必要な時間とおおむね一致する。省電力モードに対応する駆動信号は、FOB140を省電力モードに移行させるための動作であり、つまり、施錠ボタン142を押しながら開錠ボタン144を2回押下させる信号である。
【0036】
駆動回路310は、省電力モードに対応する駆動信号を受け取ると、第1のアクチュエータ320を介して開錠ボタン144が2回押下されるまでの間、施錠ボタン142を長押しさせ、第2のアクチュエータ330を介して施錠ボタン142の長押し中に開錠ボタン142を2回押下させる。これにより、FOB140が省電力モードに移行する図4(B)のハッチングで示す領域400は、省電力モードを表している。
【0037】
また、ユーザーがアプリ画面において利用終了ボタン118をタッチ操作した場合、制御部220は、ユーザーが利用終了ボタン118をタッチ操作したことを認識し、省電力モードに対応する駆動信号を送信部230を介してFOB制御ユニット130に送信する。省電力モードに対応する駆動信号は、上記と同様に、第1および第2のアクチュエータ320、330を介して、開錠ボタン144が2回押下されるまでの間、施錠ボタン142を長押しさせる。この省電力モードは、図4(B)のハッチングで示す領域410で表される。
【0038】
ユーザーがアプリ画面においていずれかの入力ボタンをタッチ操作した場合には、制御部220は、そのタッチ操作に対応する駆動信号をFOB制御ユニット130に送信し、第1および第2のアクチュエータ320、330を介して施錠ボタン142、開錠ボタン144を物理的に押下させることで、省電力モードが事実上解除される。
【0039】
このように本実施例によれば、通信ユニット120の制御部220がFOB140の省電力モードに対応するようにしたので、FOB140を車内に置いた場合でもリレーアタックによる盗難を防止することができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図5は、第2の実施例に係る電子キーシステムの構成を示す図である。本実施例の電子キーシステム100Aは、第1の実施例の電子キーシステムに、車両Mについての予約システムを統合したものである。
【0041】
車両Mを利用するユーザーは、自身が所持するスマートフォン110またはパーソナルコンピュータ112を用いてネットワーク上の予約システム500にアクセスし、そこに車両Mの予約情報を登録する。予約情報は、例えば、車両Mを利用する日時、乗車人数などを登録する。
【0042】
車両Mには、第1の実施例で説明した通信ユニット120およびFOB制御ユニット130が搭載される。FOB制御ユニット130にはFOB140が収容されている。ここで、車両本体は、FOB140の開錠ボタン144が1回押下されたとき、運転席側のドアのみを開錠し、開錠ボタン144が2回押下されたとき、車両の全ドアを開錠するものと仮定する。
【0043】
通信ユニット120の制御部220は、通信部210を介して予約システム500にアクセスし、そこから車両Mの予約情報を取得し、取得した予約情報を参照してFOB制御ユニット130の開錠を制御する。具体的には、制御部220は、車両Mの搭乗者の人数に応じて車両Mの運転席側のドアの開錠または全ドアの開錠を制御する。
【0044】
図6(A)は、運転席側のドアのみを開錠させるFOBを駆動させるときのスマートフォンの操作とFOB制御ユニットの動作との関係を示すテーブルである。例えば、外車などに利用されるFOB(スマートキー)は、開錠ボタンを押下したとき、運転席側のドアのみが開錠する。このような場合、ユーザーがアプリ画面において開錠ボタン116をタッチ操作すると、通信ユニット120は、当該開錠操作に対応する駆動信号をFOB制御ユニット130に送信し、駆動回路310は、第2のアクチュエータ330(開錠側ラック制御)を介してFOB140の開錠ボタン144を特定時間だけ押下させる。開錠ボタン144の押下により車両の運転席側のドアだけが開錠される。
【0045】
図6(B)は、本実施例におけるスマートフォンの操作とFOB制御ユニットの動作との関係を示すテーブルである。通信ユニット120の制御部220は、予約システム500から予約情報を取得し、同乗者の有無または搭乗者の人数を予め知ることができる。
【0046】
ユーザーがアプリ画面で開錠ボタン116をタッチ操作すると、制御部220は、施錠ボタン116がタッチ操作されたことを認識し、さらに予約情報の搭乗者の人数を認識し、この認識結果に基づき第2のアクチュエータ330を駆動するための駆動信号をFOB制御ユニット130に送信する。駆動回路310は、搭乗者が1名である場合には、第2のアクチュエータ330を介してFOB140の開錠ボタン144を1回押下させ、搭乗者が複数である場合には、第2のアクチュエータ330を介してFOB140の開錠ボタン144を2回押下させ、全ドアを開錠させる。
【0047】
このように本実施例によれば、ユーザーがアプリ画面で開錠を操作したときに、通信ユニット120の制御部220は、予約情報に基づき搭乗者の人数に応じてFOB制御ユニット130の開錠動作を制御するようにしたので、複数名が搭乗する場合に車両の全てのドアを開錠させることで、搭乗者が開錠操作を行う必要がなくなり、利便性を向上させることができる。なお、デフォルトで全開錠にすることもできるが、アクチュエータによる機械的な動作により1回の押下には一定の時間がかかる。このため、運転者一人が搭乗する場合は、開錠ボタンを1回押しにすることで迅速な開錠を可能にする。
【0048】
以上説明したように第1および第2の実施例によれば、FOB制御ユニット130の制御方法を追加するだけで追加のコストを生じさせることなく電子キーシステムの性能・品質を向上させることができ、利用者の利便性が改善される。
【0049】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
100、100A:電子キーシステム
110:スマートフォン
120:通信ユニット
130:FOB制御ユニット
140:FOB
142:施錠ボタン
144:開錠ボタン
200:認証部
210:通信部
220:制御部
300:I/F
310:駆動回路
320、330:アクチュエータ
340:FOB収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6