(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182110
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20231219BHJP
B65B 11/20 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65B57/00 C
B65B11/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095518
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 剛
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA08
3E051AB09
3E051BA05
3E051BA12
3E051CA04
3E051CA08
3E051DA10
3E051EA05
3E051EB03
3E051FB02
3E051LA02
3E051LB07
(57)【要約】
【課題】不要なフィルムを取り除く際の不具合を抑制することができる包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置1は、前側把持部34と、第1モータと、制御部とを備える。前側把持部34は、物品Pを包むためのフィルムSFを把持する。第1モータは、フィルムSFを把持した前側把持部34を移動させ、フィルムSFを包装エリアPAまで搬送する。制御部は、前側把持部34および第1モータを制御する。制御部は、第1モータが前側把持部34を移動させているときに、受信信号に基づき停止の判断をすると、第1モータによる前側把持部34の移動を停止させ、前側把持部34によるフィルムSFの把持を解除する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包むためのフィルムを把持するクランプと、
前記フィルムを把持した前記クランプを移動させ、前記フィルムを包装エリアまで搬送する搬送部と、
前記クランプおよび前記搬送部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記搬送部が前記クランプを移動させているときに、受信信号に基づき停止の判断をすると、前記搬送部による前記クランプの移動を停止させ、前記クランプによる前記フィルムの把持を解除する、
包装装置。
【請求項2】
前記クランプは、
前記フィルムを押さえる第1部材と、
前記第1部材が前記フィルムを押さえている状態と前記第1部材が前記フィルムから離れている状態とを切り替えるアクチュエータと、
を有している、
請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記フィルムは、ストレッチフィルムであり、
前記包装エリアにおいて、前記フィルムに前記物品を押し当て、前記フィルムの周縁部を前記物品の裏側に折り込む包装機構をさらに備える、
請求項1又は2に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1(特開2005-96797号公報)に示されているような包装装置が知られている。この包装装置は、張力がかかった状態でフィルムを保持し、そのフィルムに物品を押し当てた状態でフィルムの周縁部を物品の裏側に折り込むことで、物品を包装する。フィルムの前側部分を把持するクランプを移動させることによって、フィルムが物品を包装する包装エリアまで搬送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような包装装置では、フィルムが切れたり、フィルムが途中で無くなったりしたときに、フィルムの搬送を止めるために停止制御が行われることがある。停止制御が行われるとフィルムの搬送が止まり、不要なフィルムは、作業者によって包装装置から取り除かれる。
【0004】
しかし、従来の包装装置では、フィルムを取り除く作業について考慮が十分に為されておらず、フィルムを取り除く作業に時間を要していたり、フィルムを取り除くときにクランプなどの部品が損傷したりする不具合が生じている。
【0005】
本発明の課題は、不要なフィルムを取り除く際の不具合を抑制することができる包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の包装装置は、クランプと、搬送部と、制御部とを備える。クランプは、物品を包むためのフィルムを把持する。搬送部は、フィルムを把持したクランプを移動させ、フィルムを包装エリアまで搬送する。制御部は、クランプおよび搬送部を制御する。制御部は、搬送部がクランプを移動させているときに、受信信号に基づき停止の判断をすると、搬送部によるクランプの移動を停止させ、クランプによるフィルムの把持を解除する。
【0007】
ここでは、搬送部によるクランプの移動が停止され、包装装置から不要なフィルムをとり除く必要があるときに、クランプによるフィルムの把持が解除された状態になっている。このため、不要なフィルムを取り除く際の不具合が抑制される。
【0008】
なお、停止の判断は、例えば、供給されているフィルムが無くなったことを示す信号、フィルムが破れたり切れたりして正規の搬送経路から外れたことを判断するためのセンサからの信号、フィルムの状態を見てユーザーが停止ボタンを押したときの停止信号、などの受信信号に基づいて行われる。
【0009】
第2観点の包装装置は、第1観点の包装装置であって、クランプは、フィルムを押さえる第1部材と、アクチュエータとを有している。アクチュエータは、第1部材がフィルムを押さえている状態と、第1部材がフィルムから離れている状態と、を切り替える。
【0010】
ここでは、アクチュエータによる状態の切替を制御することで、第1観点の包装装置の作用効果を得ることができる。
【0011】
第3観点の包装装置は、第1観点又は第2観点の包装装置であって、フィルムは、ストレッチフィルムであり、包装機構をさらに備えている。包装機構は、包装エリアにおいて、フィルムに物品を押し当て、フィルムの周縁部を物品の裏側に折り込む。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る包装装置によれば、不要なフィルムを取り除く際の不具合が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】計量搬送機構および包装機構の構成を示す図。
【
図6】前側把持部が全体として後ろ側に移動した状態を示す平面図。
【
図7】装置停止制御における前側把持部の移動および把持の制御フロー図。
【
図8】切れたフィルムが異物として異物検知センサで検知されている状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)包装装置の全体構成
図1に示す、本発明の一実施形態に係る包装装置1は、野菜や果物などの物品P(
図2参照)を計量した後に包装する装置である。また、この包装装置1は、計量結果に応じた商品の価格等が印字されたラベルLを正面側に出す機能も有している。包装装置1では、トレーに搭載された状態の商品をトレーとともに包装することができる。また、包装装置1では、商品(物品)をトレーに搭載せずにそのまま包装することができる。ここで、トレーに搭載されている商品については、トレーとそれに搭載されている商品との両方をあわせて「物品」と呼ぶ。以下の説明では、包装装置1の前後方向、左右方向、上下方向を、それぞれ、X方向、Y方向、Z方向と呼ぶ(
図1参照)。
【0015】
(1-1)
包装装置1は、計量搬送機構2と、包装機構3と、ラベル発行機構4と、タッチパネル式のディスプレイ5と、操作パネル6と、これらの構成要素を制御する制御部9とを有している。制御部9は、筐体10内に収納されるコンピュータにより実現されるものである。制御部9は、制御演算装置と記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0016】
(1-2)計量搬送機構
計量搬送機構2は、作業者によって投入された物品Pを包装機構3に向けて搬送しながら、物品Pの計量を行う。
【0017】
(1-3)包装機構
包装機構3は、リフト部30を使用して、計量搬送機構2から搬送されてきた物品Pを包装エリアPAまで持ち上げる(
図2参照)。このとき、包装機構3では、ストレッチフィルムSFが包装エリアPAに供給されている。包装機構3には、
図1に示すように、ストレッチフィルムSFがロール状に巻かれたフィルムロールFRを収容するフィルム収容部31が設けられており、包装エリアPAに対して、フィルムロールFRからストレッチフィルムSFが供給される。包装エリアPAに供給されたストレッチフィルムSFは、包装機構3の前側把持部34、後側把持部35などの把持機構301によって把持される。把持機構301の詳細については後述する。
【0018】
包装機構3は、リフト部30によって物品Pを持ち上げることによって、包装エリアPAに配置されたストレッチフィルムSFに対して物品Pを突き上げて、物品PをストレッチフィルムSFで覆う。その後、包装機構3は、包装エリアPAにおいて、ストレッチフィルムSFで覆われた物品Pの裏側(下側)に、ストレッチフィルムSFの周縁部を折り込む。これにより、物品Pが包装される。物品Pは、包装機構3のプッシャー38によって、あるいは、ストレッチフィルムSFの折り込み動作によって、排出台45に向けて排出される。プッシャー38の配備を省略した包装装置の場合には、ストレッチフィルムSFの折り込み動作によって物品Pが排出台45に送られる。
【0019】
フィルム収容部31には、
図2に示すように、フィルムロールFRを支持する一対の支持ローラ51,52が設けられている。さらにフィルム収容部31には、フィルムロールFRから繰り出されるストレッチフィルムSFを案内する案内ローラ53,54が設けられている。支持ローラ51と案内ローラ53とには、図示しないベルトが巻き掛けられており、このベルトが制御部9によって制御されるモータ(図示せず)によって回転する。これにより、フィルムロールFRからストレッチフィルムSFが繰り出される。
【0020】
(1-4)ラベル発行機構
ラベル発行機構4は、包装機構3が包装後の物品Pを排出台45に向けて排出する際に、ラベルLを発行する(
図1参照)。このラベルLには、商品の重量および価格などが印字されている。これらの重量および価格は、制御部9が計量搬送機構2での計量結果に基づいて求める。ラベルLは、作業者によって、包装後の物品Pに貼り付けられる。
【0021】
なお、各機構の詳細構成や動作については、日本の公開特許公報である特開2011-189956号公報や特開2005-96797号公報と同様あるいは類似の構成、動作である。
【0022】
(2)把持機構の詳細構成
(2-1)把持機構の構成
包装機構3の一部である把持機構301は、
図3に示すように、前側把持部34、後側把持部35、左側把持部36および右側把持部37から構成されている。前側把持部34、後側把持部35、左側把持部36および右側把持部37は、それぞれ、ストレッチフィルムSFを把持するクランプである。
【0023】
前側把持部34および後側把持部35は、包装エリアPAを間に挟んで前後方向(Y方向)で対向するように配置されている。左側把持部36および右側把持部37は、包装エリアPAを間に挟んで左右方向(X方向)で対向するように配置されている。
【0024】
前側把持部34は、X方向に並ぶ3つの前側下方把持部材340bと、それらの上方に配置された前側上方把持部材340aとを有している。各前側下方把持部材340bの後側の端部は、櫛歯形状となっている。同様に、前側上方把持部材340aの後側の端部は、櫛歯形状となっている(
図3および
図4参照)。
【0025】
3つの前側下方把持部材340bのそれぞれは、第1ソレノイド91a,91b,91cによって駆動されることにより、個別に上下方向(Z方向)に移動する。具体的には、第1ソレノイド91a,91b,91cが通電オン状態であるときに、前側下方把持部材340bが第1ソレノイド91a,91b,91cから上方向の力を受け、前側下方把持部材340bが前側上方把持部材340aに押し上げられる(
図4の破線で示す前側下方把持部材340bの状態を参照)。この状態のときに、前側下方把持部材340bと前側上方把持部材340aとによって、ストレッチフィルムSFの端部(前側部分)が把持される。一方、第1ソレノイド91a,91b,91cが通電オフ状態であるときに、前側下方把持部材340bが前側上方把持部材340aから離れる(
図4の実線で示す前側下方把持部材340bの状態を参照)。この状態のときには、前側下方把持部材340bと前側上方把持部材340aとの間に隙間が生じ、前側把持部34によるストレッチフィルムSFの端部の把持が解除される。
【0026】
また、前側把持部34は、第1モータ96によって駆動されることにより、タイミングベルトを介して前後方向(Y方向)に移動する。第1モータ96およびタイミングベルトは、ストレッチフィルムSFを把持した前側把持部34を移動させることによって、ストレッチフィルムSFを包装エリアPAまで搬送する。すなわち、第1モータ96およびタイミングベルトは、ストレッチフィルムSFを包装エリアPAまで搬送する搬送部として機能する。
【0027】
後側把持部35は、
図3に示すように、第1把持部350および第2把持部351を有している。第1把持部350および第2把持部351は、Y方向に沿って並べられている。第1把持部350と第2把持部351との間にはフィルム切断部33が設けられている。フィルム切断部33は、第2モータ97によって駆動されることにより、上下方向(Z方向)に移動する。
【0028】
第1把持部350は、上方把持部材350aと、その下方に配置された下方把持部材350bとを有している。下方把持部材350bは、第2ソレノイド92によって駆動されることにより、上下方向(Z方向)に移動する。下方把持部材350bが上方向に移動すると、下方把持部材350bと上方把持部材350aとによってストレッチフィルムSFが把持される。
【0029】
第2把持部351は、X方向に並ぶ3つの下方把持部材351bと、それらの上方に配置された上方把持部材351aとを有している。各下方把持部材351bの前側の端部は、櫛歯形状となっている。同様に、上方把持部材351aの前側の端部は、櫛歯形状となっている。
【0030】
3つの下方把持部材351bのそれぞれは、第3ソレノイド93a,93b,93cによって駆動されることにより、個別に上下方向(Z方向)に移動する。下方把持部材351bが上方向に移動すると、その下方把持部材351bと上方把持部材351aとによって、ストレッチフィルムSFが把持される。
【0031】
左側把持部36は、上方把持部材360と、その下方に配置された下方把持部材361とを有している。下方把持部材361は、第4ソレノイド94によって駆動されることにより上下方向(Z方向)に移動する。下方把持部材361が上方向に移動すると、上方把持部材360と下方把持部材361とによって、ストレッチフィルムSFの端部が把持される。
【0032】
右側把持部37は、上方把持部材370と、その下方に配置された下方把持部材371とを有している。下方把持部材371は、第5ソレノイド95によって駆動されることにより上下方向(Z方向)に移動する。下方把持部材371が上方向に移動すると、上方把持部材370と下方把持部材371とによって、ストレッチフィルムSFの端部が把持される。
【0033】
(2-2)把持機構によるストレッチフィルムの搬送
前側把持部34が
図3に示す位置から
図6に示す位置まで後側に移動してくると、前側把持部34における前側上方把持部材340aの櫛歯状の端部と、後側把持部35の第2把持部351における上方把持部材351aの櫛歯状の端部とが互いに嵌合するとともに、前側把持部34における複数の前側下方把持部材340bの櫛歯状の端部と、後側把持部35の第2把持部351における複数の下方把持部材351bの櫛歯状の端部とが互いに嵌合する。このとき、ストレッチフィルムSFの前側の端部は、前側把持部34における、前側上方把持部材340aと複数の前側下方把持部材340bとの間に挿入される。そして、前側上方把持部材340aと、複数の前側下方把持部材340bとが、ストレッチフィルムSFの前側の端部を把持する。
【0034】
次に、前側把持部34が前側に移動する。そうすると、前側把持部34と後側把持部35との間、つまり、包装エリアPAにストレッチフィルムSFが搬送、供給される。
【0035】
なお、包装エリアPAへのストレッチフィルムSFの搬送が行われるとき、左側把持部36および右側把持部37は、ストレッチフィルムSFを把持せず、第4ソレノイド94および第5ソレノイド95は通電オフ状態となっている。
【0036】
(3)停止判断時の把持機構の前側把持部の動作制御の内容
コンピュータにより実現される制御部9は、上述のように、プログラムに従って計量搬送機構2、包装機構3、ラベル発行機構4などを制御する。
【0037】
制御部9は、
図5に示すように、計量搬送機構2、包装機構3、ラベル発行機構4、ディスプレイ5、操作パネル6、非常停止ボタン99、異物検知センサ98、などと接続される。制御部9による包装機構3の把持機構301の前側把持部34の動作の制御について、以下に詳述する。
【0038】
制御部9は、
図5に示すように、包装機構3のリフト部30の上下動を担うモータの制御に加えて、包装機構3の把持機構301の各アクチュエータの制御を行う。ここでは、制御部9が、
図1に示す非常停止ボタン99が押されたという信号や、
図2および
図8に示す異物検知センサ98による異物検知の信号を受信して、停止制御を行う必要があると判断したときの、把持機構301の第1モータ96および第1ソレノイド91a,91b,91cの制御について、説明を行う。
【0039】
なお、異物検知センサ98は、
図2に示すように、リフト部30によって物品Pが持ち上げられる物品Pの移動経路の途中の高さ位置にある所定ポイントを監視するセンサである。具体的には、異物検知センサ98は、水平方向(X方向)に光を照射する照射部と、その照射光を検知する光検知部とから成る光電センサである。リフト部30によって物品Pが上昇していて光を遮断している時間帯を除く他の時間帯において、異物検知センサ98が照射光の遮断を検知すると、制御部9は、何らかの異物によって光が遮られたと判断し、停止の判断をする。例えば、
図8に示すように、ストレッチフィルムSFが前側把持部34に把持されて搬送されているときに千切れてしまって、前側把持部34からストレッチフィルムSFが垂れ下がった場合、異物検知センサ98が、ストレッチフィルムSFによって照射光が遮断されたことを検知する。制御部9は、ストレッチフィルムSFなどの異物によって照射光の遮断を検知したという信号を異物検知センサ98から受信すると、その受信信号に基づいて停止の判断をする。
【0040】
図7に示すように、ステップS11において、非常停止ボタン99が押された又は異物検知センサ98が異物を検知したと判断されると、制御部9は、停止の判断をして、停止制御を行う。前側把持部34に関し、制御部9は、ステップS12において、前後方向(Y方向)に前側把持部34が移動している途中か否かを判定する。ステップS12において前側把持部34が移動中であると判定すると、制御部9は、ステップS13において、第1モータ96を止めて、前側把持部34の移動を停止させ、ステップS14に移行する。ステップS12において前側把持部34が止まっていると判定すると、ステップS14に移行する。ステップS14では、第1ソレノイド91a,91b,91cが通電されていてストレッチフィルムSFが前側把持部34に把持されているときには、制御部9が、第1ソレノイド91a,91b,91cを通電オフ状態にする。これにより、前側把持部34によるストレッチフィルムSFの把持が解除される。続いて、ステップS15において、制御部9は、ディスプレイ5にエラーを表示させ、ユーザーに包装装置1が止まっていることを知らせる。ユーザーは、その後、必要に応じて、ストレッチフィルムSFを包装エリアPAから取り除く等の作業を行う。
【0041】
(4)特徴
(4-1)
上記の実施形態に係る包装装置1では、
図7に示すように、非常停止ボタン99あるいは異物検知センサ98からの受信信号に基づいて、非常停止ボタン99が押された又は異物検知センサ98が異物を検知したと判断すると、制御部9は、停止の判断をして、停止制御を行う。例えば、ストレッチフィルムSFの前側の端部を把持した前側把持部34が、
図6に示す位置から
図3に示す位置に向けて前側に移動しているときに、非常停止ボタン99あるいは異物検知センサ98からの受信信号に基づいて、停止する必要があると判断すると、制御部9は、
図7のステップS13およびステップS14に示すように、第1モータ96を止めて、前側把持部34の移動を停止させ、第1ソレノイド91a,91b,91cを通電オフ状態にする。これにより、前側把持部34の移動が止まるとともに、前側把持部34によるストレッチフィルムSFの把持が解除された状態になる。これにより、包装装置1から不要なストレッチフィルムSFをとり除く必要があるときに、ストレッチフィルムSFを取り除き難かったり、ストレッチフィルムSFを手で引っ張ったときに前側把持部34の部品が損傷したりする不具合が少なくなる。
【0042】
(4-2)
上記の実施形態に係る包装装置1では、把持機構301の前側把持部34が、前側下方把持部材340bと、前側上方把持部材340aとを有している。前側下方把持部材340bは、第1ソレノイド91a,91b,91cによって駆動されることにより、上下方向に移動する。具体的には、第1ソレノイド91a,91b,91cが通電オン状態であるときに、前側下方把持部材340bが第1ソレノイド91a,91b,91cから上方向の力を受け、前側下方把持部材340bが前側上方把持部材340aに押し上げられて、ストレッチフィルムSFが前側把持部34によって把持される。一方、第1ソレノイド91a,91b,91cが通電オフ状態であるときに、前側下方把持部材340bが前側上方把持部材340aから離れ、前側把持部34によるストレッチフィルムSFの把持が解除される。
【0043】
このような構成を採っているため、アクチュエータである第1ソレノイド91a,91b,91cの通電のオン・オフによって、前側下方把持部材340bがストレッチフィルムSFを押さえている状態と、前側下方把持部材340bがストレッチフィルムSFから離れている状態とが切り替わる。
【0044】
(5)変形例
(5-1)
上記の実施形態に係る包装装置1では、
図7のステップS11において、非常停止ボタン99が押された又は異物検知センサ98が異物を検知したと判断されると、制御部9が停止の判断をする。すなわち、制御部9は、非常停止ボタン99からの受信信号や異物検知センサ98からの受信信号に基づいて、停止の判断を行っている。
【0045】
この制御部9による停止の判断は、更に、他のセンサから受信信号に基づいて行ってもよい。例えば、停止の判断は、ストレッチフィルムSFが切れたことを検知できる位置に配備される他の光電センサからの受信信号に基づいて行われてもよいし、フィルム収容部31のフィルムロールFRに巻かれているストレッチフィルムSFが無くなったことを検知するセンサからの受信信号に基づいて行われてもよい。
【0046】
(5-2)
上記の実施形態では、
図7を参照し、停止制御における前側把持部34の移動停止や把持解除に関する制御フローを説明したが、包装エリアPAにおいて前側把持部34、後側把持部35、左側把持部36および右側把持部37がストレッチフィルムSFを把持しているタイミングにおいても、非常停止ボタン99が押された又は異物検知センサ98が異物を検知したと判断されたときには、後側把持部35、左側把持部36および右側把持部37によるストレッチフィルムSFの把持を解除することが好ましい。このストレッチフィルムSFの把持の解除によって、包装装置1が停止した後に、作業者が不要なストレッチフィルムSFを取り除き易くなる。
【符号の説明】
【0047】
1 包装装置
3 包装機構
9 制御部
34 前側把持部(クランプ)
91a,91b,91c 第1ソレノイド(アクチュエータ)
96 第1モータ(搬送部)
98 異物検知センサ
99 非常停止ボタン
340a 前側上方把持部材
340b 前側下方把持部材(クランプの第1部材)
P 物品
PA1 包装エリア
SF ストレッチフィルム(フィルム)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】