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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182111
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】トロイダル型無段変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 15/38 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
F16H15/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095519
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】西村 健
(72)【発明者】
【氏名】向井 善也
【テーマコード(参考)】
3J051
【Fターム(参考)】
3J051AA03
3J051AA08
3J051BA03
3J051BB07
3J051BD02
3J051BE09
3J051CA05
3J051CB07
3J051EC01
3J051EC02
3J051ED08
3J051FA01
(57)【要約】
【課題】軸側において油膜切れが無く、かつディスクに高応力部位が発生するのを抑制して、当該ディスクの疲労破壊を防止できるトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】出力軸1Aの外径面と入力側ディスク2の内径面との間に油室50が設けられ、油室50に軸受70が設けられ、出力軸1Aの外径面に、出力軸1Aの周方向に延在する嵌合溝1g,1gが軸方向に離間して設けられ、嵌合溝1gに、油室50の軸方向における端部を形成し、かつ入力側ディスク2の内径面に接する油室形成部材51の軸方向への移動を油室50の油圧に抗して規制する止め輪53が嵌め込まれている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と、この軸にそれぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ前記軸と一体的に回転可能に設けられた第1ディスクおよび前記軸に対して回転可能に設けられた第2ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、を備えたトロイダル型無段変速機において、
前記軸の外径面と前記第2ディスクの内径面との間に、油室が設けられるとともに、前記油室の前記軸の軸方向における端部を形成し、かつ前記第2ディスクの内径面に接するシール体が設けられ、
前記油室に、前記第2ディスクと前記軸とを回転可能に支持する軸受が設けられ、
前記軸の外径面に、前記軸の周方向に延在する嵌合溝が前記軸方向に離間して設けられ、
前記嵌合溝に、前記シール体の、前記軸方向でかつ前記軸受から離れる方向への移動を規制する止め輪が嵌め込まれていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
【請求項2】
前記シール体は、前記軸に所定の隙間を持って外挿される円筒状の円筒部材と、当該円筒部材の外周面に設けられて、前記第2ディスクの前記内径面に油密に接するシール部材とを備え、
前記円筒部材の内径寄りの前記止め輪側を向く面が、前記止め輪に当接していることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
【請求項3】
軸と、この軸にそれぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ前記軸と一体的に回転可能に設けられた第1ディスクおよび前記軸に対して回転可能に設けられた第2ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、を備えたトロイダル型無段変速機において、
前記軸の外径面と前記第2ディスクの内径面との間に、油室が設けられるとともに、前記油室の前記軸の軸方向における端部を形成し、かつ前記第2ディスクの内径面に油密に接する円環板状のシール部材が設けられ、
前記軸の外径面に、前記軸の周方向に延在する嵌合溝が前記軸方向に離間して設けられ、
前記嵌合溝にシール部材が嵌め込まれ、
前記油室の油圧によって、前記軸と前記第2ディスクとが回転可能に支持されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機の発電機または各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図6および図7に示すように構成されている。図6に示すように、ケーシング49の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車(伝達歯車)4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部(スリーブ)4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図6中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング49内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
【0003】
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図6中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図6中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1とともに回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図7参照)が回転自在に挟持されている。
【0004】
図6中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図6の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力(予圧)を付与する。
【0005】
図7は、図6のA-A線に沿う断面図である。図7に示すように、ケーシング49の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図7においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図7上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
【0006】
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
【0007】
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図7の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図7の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング49に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ56によって揺動自在に支持されている。
【0008】
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図7で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
【0009】
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受(スラスト軸受)24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
【0010】
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
【0011】
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図7の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ56と下側シリンダボディ57とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
【0012】
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、さらにこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
【0013】
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図7の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。
その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
【0014】
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004-347047号公報
【特許文献2】特開2003-166609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、トロイダル型無段変速機では、ディスク(入力側ディスクまたは出力側ディスク)と軸との間にころ軸受またはケージ&ローラを介在させることによって、軸によってディスクが回転可能に支持されている。ディスクと軸の回転の向きは反対であり、両者の間にある軸受は相対回転を支持する必要がある。高速回転で用いられる航空機向けのトロイダル型無段変速機では、当該軸受の相対回転数は最大3万rpm程度となり、軸受の保持器と、軸方向の位置を支持するための相手部品(例えば止め輪)とが接触すると焼き付きや保持器摩耗が懸念され、最終的には保持器破損や止め輪破損性に至る可能性がある。
軸受の保持器が破損すると、支持しているディスクや軸の振れが大きくなり、トロイダル型無段変速機の非同期が発生し動力伝達不可となる可能性がある。また、保持器破損時に周辺部品に衝撃を与えディスクや軸の割れが発生する可能性がある。
また、軸受の止め輪が破損すると、軸受が軸方向に移動することで本来の軌道面ではない箇所で軸受のころが転動することになり、軸受の早期破損が発生する懸念がある。
止め輪は上記の通り高速回転しているため遠心力が発生する。遠心力により止め輪が変形しても抜けが発生しないようにするため、穴側、すなわちディスクの内径側に止め輪を設けることが設計上有利となる。一方で、ディスク内径面に、止め輪を嵌め込むための止め輪溝(嵌合溝)を設けると、ディスクの止め輪溝が高応力部位となり、ディスク割れの懸念がある。
【0017】
例えば、図8に示す従来技術では、軸受70の保持器72は、ディスク2のスプライン加工された段差部(スプライン部の軸方向端面)2dおよびシム73、止め輪74で軸方向に支持されている。一方でディスク内径面2cはパワーローラ11からの法線力の影響により内側に変形するため、ディスク内径面2cに設けられた止め輪溝2eが高応力となる。航空機向けのディスク2は約2万rpm(300Hz以上)で回転し、かつ本変形はディスク1回転あたり2回発生するため、ディスクの疲労破壊(ディスク割れ)の懸念がある。
【0018】
そこで、軸1A側に止め輪を設ける構成が考えられるが、油が高速回転による遠心力によって径方向外側に向けて移動するため、径方向内側、すなわち軸側において、油不足が生じ易く、軸側の止め輪とシム(ケージ&ローラと止め輪間に存在する部品)の接触部に油が存在しない可能性がある。その結果、油膜切れにより止め輪およびシムの摩耗が進行し、止め輪破損の懸念がある。
なお、航空機向けのトロイダル型無段変速機では、符号1Aで示す軸は出力軸であり、この出力軸1Aによって入力側ディスク2が軸受70を介して回転可能に支持されている。
【0019】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、軸側において油膜切れが無く、かつディスクに高応力部位が発生するのを抑制して、当該ディスクの疲労破壊を防止できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機は、軸と、この軸にそれぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ前記軸と一体的に回転可能に設けられた第1ディスクおよび前記軸に対して回転可能に設けられた第2ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、を備えたトロイダル型無段変速機において、
前記軸の外径面と前記第2ディスクの内径面との間に、油室が設けられるとともに、前記油室の前記軸の軸方向における端部を形成し、かつ前記第2ディスクの内径面に接するシール体が設けられ、
前記油室に、前記第2ディスクと前記軸とを回転可能に支持する軸受が設けられ、
前記軸の外径面に、前記軸の周方向に延在する嵌合溝が前記軸方向に離間して設けられ、
前記嵌合溝に、前記シール体の、前記軸方向でかつ前記軸受から離れる方向への移動を規制する止め輪が嵌め込まれていることを特徴とする。
【0021】
ここで、トロイダル型無段変速機の作動中には、前記油室に、例えば軸の内部に形成された油供給孔から油が常時供給される。
【0022】
本発明においては、軸の外径面に軸方向に離間して設けられた嵌合溝に、油室の軸方向における端部を形成し、かつ第2ディスクの内径面に接するシール体の、軸方向でかつ軸受から離れる方向への移動を規制する止め輪が嵌め込まれているので、従来と異なり第2ディスクの内径面に止め輪溝を形成する必要がない。このため第2ディスクに発生する高応力部位が無くなり、第2ディスクの疲労破壊を防止できる。
また、軸の外径面と、第2ディスクの内径面と、シール体とによって油室を形成できるので、軸側において油膜切れが無い。したがって、油室に設けられる軸受、油室に面するシール体、シール体の移動を規制する止め輪に油膜が形成され、よって、油膜切れに起因する摩耗を抑制できる。
【0023】
また、本発明の前記構成において、前記シール体は、前記軸に所定の隙間を持って外挿される円筒状の円筒部材と、当該円筒部材の外周面に設けられて、前記第2ディスクの前記内径面に油密に接するシール部材とを備え、
前記円筒部材の内径寄りの前記止め輪側を向く面が、前記止め輪に当接していてもよい。
前記「油密に」とは、「シール部材(の外径面)が第2ディスクの内径面にルーズフィットし、かつ、粘性を有している油が、シール部材(の外径面)と第2ディスクの内径面との間を通過するのを防止もしくは抑制するように」という意味であり、以下の説明においても同様である。
【0024】
ここで、油室に油が過剰に供給されると、軸および第2ディスクの動トルク(回転抵抗)が増大するため、当該増大が生じないように、軸と円筒部材との間の隙間の大きさによって油室からの油の抜け出(排出)を調整するのが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、第2ディスクの内径面に、シール体のシール部が油密に接し、円筒部材の内径寄りの止め輪側を向く面が、止め輪に当接しているので、油室に供給される油は、円筒部材(の内径面)と軸との間の隙間から排出され、円筒部材と止め輪との当接部に供給される。このため、止め輪と円筒部材との当接部の摩耗を抑制できる。
【0026】
また、本発明のトロイダル型無段変速機は、軸と、この軸にそれぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ前記軸と一体的に回転可能に設けられた第1ディスクおよび前記軸に対して回転可能に設けられた第2ディスクと、これら両ディスクの間に挟持されるパワーローラと、を備えたトロイダル型無段変速機において、
前記軸の外径面と前記第2ディスクの内径面との間に、油室が設けられるとともに、前記油室の前記軸の軸方向における端部を形成し、かつ前記第2ディスクの内径面に油密に接する円環板状のシール部材が設けられ、
前記軸の外径面に、前記軸の周方向に延在する嵌合溝が前記軸方向に離間して設けられ、
前記嵌合溝にシール部材が嵌め込まれ、
前記油室の油圧によって、前記軸と前記第2ディスクとが回転可能に支持されていることを特徴とする。
【0027】
ここで、トロイダル型無段変速機の作動中には、前記油室に、例えば軸の内部に形成された油供給孔から油が常時供給される。
【0028】
本発明においては、軸の外径面に軸方向に離間して設けられた嵌合溝に、油室の軸方向における端部を形成し、かつ第2ディスクの内径面に油密に接するシール部材が嵌め込まれているので、従来と異なり第2ディスクの内径面に止め輪溝を形成する必要がない。このため第2ディスクに発生する高応力部位が無くなり、第2ディスクの疲労破壊を防止できる。
また、軸の外径面と、第2ディスクの内径面と、シール部材とによって油室を形成できるので、軸側において油膜切れが無い。したがって、油室に面するシール部材に油膜が形成され、よって、油膜切れに起因する摩耗を抑制できる。
さらに、油室の油圧によって、軸と2ディスクとが回転可能に支持されているので、軸と第2ディスクとの間にこれらを回転可能に支持する軸受を設ける必要がなく、部品点数の削減を行える。
加えて、シール部材が第2ディスクの内径面に油密に接しているので、油室に充填されている油がシール部材と第2ディスクとの間から漏れることがなく、油室内の油圧を一定に保持できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、軸側に油膜切れが無く、かつディスク(第2ディスク)に高応力部位が発生するのを抑制して、当該ディスクの疲労破壊を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、全体の概略を示す断面図である。
図2】同、要部の断面図である。
図3】同、図2における要部の拡大断面図である。
図4】同、軸受の斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、要部の断面図である。
図6】従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。
図7図6におけるA-A線に沿う断面図である。
図8】従来の航空機向けのトロイダル型無段変速機の一例を示すもので、要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本実施の形態のトロイダル型無段変速機は、航空機用発電機で用いられる変速機であり、航空機のエンジンからの回転数が変動する回転を一定の回転数となるように変速して発電機に出力する。
図1は第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の全体の概略を示す断面図、図2は同要部の断面図、図3図2における要部の拡大断面図である。
なお、図6および図7に示す従来技術では、出力側ディスク3を、軸受5を介して入力軸1によって回転可能に支持した場合を例にとって説明したが、本実施形態では、入力側ディスク2を軸受70を介して出力軸1Aによって回転可能に支持した場合を例にとって説明する。但し、本実施形態のトロイダル型無段変速機と従来のトロイダル型無段変速機では、入力側ディスク2と出力側ディスク3との間に挟持されるパワーローラ11、入力側ディスク2と出力側ディスク3とのうちの一方のディスク2(3)を他方のディスク3(2)に向けて押圧する押圧装置12等の他の構成は共通するので、その説明を省略する。また、図1においてハッチングは省略している。
【0032】
本実施形態のトロイダル型無段変速機は、上述したように、航空機(の発電機)向けのダブルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機であり、一方のキャビティ内に配置された入力側ディスク(第2ディスク)2と、出力側ディスク(第1ディスク)3とが、出力軸(軸)1Aの周りに取り付けられ、他方のキャビティ内に配置された入力側ディスク(第2ディスク)2と、出力側ディスク(第1ディスク)3とが、出力軸(軸)1Aの周りに取り付けられている。
出力側ディスク3は出力軸1Aと一体的に回転可能に設けられ、入力側ディスク2は出力軸1Aに対して軸受70を介して回転可能に設けられている。入力側ディスク2と出力側ディスク3との間にはパワーローラ11が設けられ、当該パワーローラ11は両ディスク2,3の間に挟持されている。
また、本実施形態では、出力側ディスク3を押圧装置12によって入力側ディスク2に向けて押圧するようになっている。
【0033】
図2図4に示すように、前記軸受70は、出力軸1Aと入力側ディスク2との間で転動可能な複数の円筒状のころ71と、これら複数のころ71を転動可能に保持し、かつ出力軸1Aに装着される円筒状の保持器72とを備えている。ころ71は出力軸1Aの外径面と入力側ディスク2の内径面に転動可能に接している。
保持器72の外周面(外径面)72aには、所定の等しい角度間隔をもって複数の保持穴72dが保持器72の径方向に開口して形成されている。各保持穴72dは、出力軸1Aと入力側ディスク2との間で転動するころ71を転動自在に保持できるようになっている。
【0034】
このような軸受70は、図2および図3に示すように、出力軸1Aと入力側ディスク2との間に設けられた後述する油室50に設けられている。
また、入力側ディスク2は、径方向中央部に断面円形状でかつ軸方向に延在する軸孔2Aを有しており、この軸孔2Aに出力軸1Aが挿通されている。軸孔2Aの一端は入力側ディスク2の小端面側(図2において、軸方向右側)で開口し、他端は入力側ディスク2の大端面側(図2において、軸方向左側)で開口している。
【0035】
また、図1に示すように、一対の入力側ディスク2,2の間には、入力歯車40が設けられている。入力歯車40には、例えば、エンジンのタービンの回転軸からの回転力が歯車等を介して伝達される。
この入力歯車40は、図2に示すように、入力側ディスク2の外側(軸方向外側)に配置された歯車部41と、この歯車部41の径方向中央部側(図2において出力軸1A側)の右端部に設けられた円筒状のスリーブ42とを備えている。このスリーブ42は入力側ディスク2の軸孔2Aと同軸に配置され、当該スリーブ42の先端側略半分が軸孔2Aに挿入されている。なお、図1に示すように、歯車部41の径方向中央部側の左端部には、前記スリーブ42と同様のスリーブ42が対称的に設けられており、このスリーブ42は、歯車部41の左側に配置されている他方のキャビティに設けられた入力側ディスク2の軸孔2Aに同様にして挿入されている。
【0036】
また、図2に示すように、スリーブ42の先端部の外径面には、径方向に凹凸となる凹凸形状が周方向に沿って延在(連続)し、かつ軸方向に延在するスプライン部45aが設けられている。
一方、入力側ディスク2の軸孔2Aの前記スプライン部45aと径方向において対向する内径面には、径方向に凹凸となる凹凸形状が周方向に沿って延在(連続)し、かつ軸方向に延在する内径側スプライン部45bが設けられている。内径側スプライン部45bと前記スプライン部45aとは軸方向においてほぼ同長さとなっている。
そして、この内径側スプライン部45bとスリーブ42の外径側のスプライン部45aとがスプライン結合することによって、入力歯車40の回転が、スリーブ42を介して入力側ディスク2に伝達され、この入力側ディスク2の回転がパワーローラ11、出力側ディスク3を介して、出力軸1Aに伝達される。
【0037】
また、本実施形態では、図2および図3に示すように、出力軸1Aの外径面と入力側ディスク(第2ディスク)2の内径面との間に、前記スリーブ42の先端部より入力側ディスク2の小端面側において、油室50が設けられている。この油室50の軸方向(出力軸1Aの軸方向)における両端部には、シール体51,51が軸方向に対向離間して設けられている。したがって、当該一対のシール体51,51と、出力軸1Aの外径面と、入力側ディスク2の内径面とによって囲まれた部位が油室50となっている。この油室50に前記軸受70が設けられている。
【0038】
シール体51は、出力軸1Aに径方向において所定の隙間Sを持って外挿される鉄製の円筒状の円筒部材51aと、当該円筒部材51aの外周面に設けられて、入力側ディスク2の内径面に油密に接するシール部材51bとを備えている。円筒部材51aの外周面には凹溝51cが周方向に沿って形成されており、当該凹溝51cにリング状のシール部材51bの内周部が嵌め込まれている。このシール部材51bは入力側ディスク2の内径面に油密に接している。入力側ディスク2は出力軸1Aを軸として回転するので、回転する当該入力側ディスク2の内径面にシール部材51bが油密に摺接する。シール部材51bは、例えば、Оリングや樹脂製リング状のシール材によって形成されている。
【0039】
また、出力軸1Aの外径面には、出力軸1Aの周方向に延在する嵌合溝1g,1gが軸方向に離間して設けられている。嵌合溝1gには、円環板状の止め輪53の内周部が嵌め込まれ、当該止め輪53の外周部は出力軸1Aの外径面および円筒部材51aの内径面より径方向外方に突出している。
止め輪53は、シール体51の、軸方向でかつ軸受70から離れる方向(図3において、右側のシール体51は右方、左側のシール体51は左方)への移動を規制するものである。すなわち、シール体51の円筒部材51aの内径寄りでかつ止め輪53側を向く面が、止め輪53に当接しており、これによって、シール体51の軸方向でかつ軸受70から離れる方向への移動が規制されている。つまり、図3において、右側の止め輪53によって右側のシール体51の右方への移動が規制され、左側の止め輪53によって左側のシール体51の左方への移動が規制されている。
【0040】
また、出力軸1Aには、径方向中央部に、軸方向に延在する油路1eが設けられ、当該油路1eから径方向に延在する油供給孔1fが周方向に所定間隔で複数設けられている。
油供給孔1fは出力軸1Aに外径面において油室50に開口している。したがって、油室50には、油路1eおよび油供給孔1fを通して油がトロイダル型無段変速機の作動時において常時供給されるようになっている。油室50には上述したように、軸受70が設けられている。
この油室50に供給された油によって、軸受70、当該軸受70によって支持されている出力軸1Aの外径面および入力側ディスク2の内径面に油が供給される。また、シール体51の円筒部材51aの内径面と、出力軸1Aとの間には隙間Sが設けられているので、油室50に供給された油は隙間Sを通って排出され、止め輪53とシール体51の円筒部材51aとの接触部に供給される。なお、このような油の流れを、図3において、矢印で示している。
油室50に油が過剰に供給されると、出力軸1Aおよび入力側ディスク2の動トルク(回転抵抗)が増大するため、当該増大が生じないように、出力軸1Aと円筒部材51aとの間の隙間Sの大きさによって油室50からの油の抜け出(排出)を調整する。
【0041】
第1の実施形態によれば、出力軸1Aの外径面に軸方向に離間して設けられた嵌合溝1g,1gに、油室50の軸方向における端部を形成するシール体51の、出力軸1Aの軸方向でかつ軸受70から離れる方向への移動を規制する止め輪53,53が嵌め込まれているので、入力側ディスク2の内径面に止め輪溝部を設ける必要がない。このため、入力側ディスク2に発生する高応力部位が無くなり、入力側ディスク2の疲労破壊を防止できる。
また、出力軸1Aの外径面と、入力側ディスク2の内径面と、シール体51,51とによって油室50を形成できるので、出力軸1A側において油膜切れが無い。したがって、油室50に設けられる軸受70、油室50に面するシール体51、シール体51の移動を規制する止め輪53に油膜が形成され、よって、油膜切れに起因する摩耗を抑制できる。
【0042】
また、シール体51は、出力軸1Aに所定の隙間Sを持って外挿される円筒状の円筒部材51aと、当該円筒部材51aの外周面に設けられて、入力側ディスク2の内径面に油密に接するシール部材51bとを備え、円筒部材51aの内径寄りでかつ止め輪53側を向く面が、止め輪53に当接しているので、油室50に供給される油は、円筒部材51aの内径面と出力軸1Aとの間の隙間Sから排出され、円筒部材51aと止め輪53との当接部(接触部)に供給される。このため、止め輪53と円筒部材51aとの当接部の摩耗を抑制できる。
【0043】
(第2の実施形態)
図5は第2の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部を示す断面図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、出力軸1Aの外径面と入力側ディスク2の内径面との間に軸受を設けることなく、油室60の油圧によって、入力側ディスク2と出力軸1Aとを回転可能に支持に支持した点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施形態と同一構成には、同一符号を付してその説明を省略する場合もある。
【0044】
第2の実施形態では、前記スリーブ42の先端部より入力側ディスク2の小端面側において、出力軸1Aの外径面と入力側ディスク2との間に油室60が設けられている。
この油室60の軸方向(出力軸1Aの軸方向)における両端部には、シール部材61,61が軸方向に対向離間して設けられている。したがって、当該一対のシール部材61,61と、出力軸1Aの外径面と、入力側ディスク2の内径面とによって囲まれた部位が油室60となっている。
【0045】
シール部材61は円環板状に形成されたものであり、例えば樹脂製リング状のシール材によって形成されている。このシール部材61は入力側ディスク2の内径面に油密に接している。入力側ディスク2は出力軸1Aを軸として回転するので、回転する当該入力側ディスク2の内径面にシール部材61が油密に摺接する。
また、出力軸1Aの外径面には、出力軸1Aの周方向に延在する嵌合溝1h,1hが軸方向に離間して設けられている。嵌合溝1hには、円環板状のシール部材61の内周部が嵌め込まれている。これによって、シール部材61の軸方向への移動が規制されている。つまり、図5において、右側の嵌合溝1hによって右側のシール部材61の右方への移動が規制され、左側の嵌合溝1hによって左側のシール部材61の左方への移動が規制されている。
【0046】
また、第1の実施形態と同様に、出力軸1Aには、径方向中央部に、軸方向に延在する油路1eが設けられ、当該油路1eから径方向に延在する油供給孔1fが周方向に所定間隔で複数設けられている。
油供給孔1fは出力軸1Aに外径面において油室60に開口している。したがって、油室60には、油路1eおよび油供給孔1fを通して油がトロイダル型無段変速機の作動時において常時供給されるようになっている。
この油室60に供給された油の油圧によって、入力側ディスク2と出力軸1Aとが回転可能に支持されている。これによって、出力軸1Aの径方向への移動や共振が抑制されている。
【0047】
第2の実施形態によれば、出力軸1Aの外径面に軸方向に離間して設けられた嵌合溝1h,1hに、油室60の軸方向における端部を形成し、かつ入力側ディスク2の内径面に油密に接するシール部材61,61が嵌め込まれているので、入力側ディスク2の内径面に止め輪溝を設ける必要がない。このため、入力側ディスク2に発生する高応力部位が無くなり、入力側ディスク2の疲労破壊を防止できる。
また、出力軸1Aの外径面と、入力側ディスク2の内径面と、シール部材61,61とによって油室60を形成できるので、出力軸1A側において油膜切れが無い。したがって、油室60に面するシール部材61,61に油膜が形成され、よって、油膜切れが無く、油膜切れに起因する摩耗を抑制できる。
【0048】
さらに、シール部材61が、円環板状に形成され、内周部が嵌合溝1hに嵌め込まれ、外周部が入力側ディスク2の内径面に油密に接しているので、油室60に充填されている油がシール部材61と入力側ディスク2との間から漏れることがなく、油室60内の油圧を一定に保持できる。
【0049】
なお、第1および第2の実施形態では、本発明を航空機向けのトロイダル型無段変速機を対象として説明したが、本発明はその他の用途(例えば自動車の変速機用)にも適用できる。
また、第1および第2の実施形態では本発明を、ダブルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機に適用する場合を例にとって説明したが、これに限ることなく、本発明はダブルキャビティ型のフルトロイダル型無段変速機にも適用でき、さらに、シングルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機や、シングルキャビティ型のフルトロイダル型無段変速機にも適用できる。
【0050】
さらに、第1および第2の実施形態では、出力側ディスク3を押圧装置12によって押圧する場合を例にとって説明したが、トロイダル型無段変速機では、入力側ディスクと出力側ディスクの入出力関係を逆にする場合もある。したがって、本発明は入力側ディスク2を押圧装置12によって押圧する場合にも適用できる。つまり、図6および図7に示すように、入力軸1と、この入力軸1にボールスプラインによってスプライン結合されて入力軸1と一体で回転する入力側ディスク2と、入力側ディスク2に対向し、かつ入力軸1に対して回転可能に設けられた出力側ディスク3とを備えたトロイダル型無段変速機にも適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1A 出力軸(軸)
1g,1h 嵌合溝
2 入力側ディスク(第2ディスク)
3 出力側ディスク(第1ディスク)
11 パワーローラ
50,60 油室
51 シール体
51a 円筒部材
51b シール部材
53 止め輪
61 シール部材
70 軸受
72 保持器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8