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特開2023-182117シャッター停止位置の設定方法および電動シャッター
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  • 特開-シャッター停止位置の設定方法および電動シャッター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182117
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】シャッター停止位置の設定方法および電動シャッター
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20231219BHJP
   E06B 9/82 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E06B9/82 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095529
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬郡 匠汰
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042BA00
2E042CA01
2E042CB01
2E042CB02
2E042CB06
2E042CB10
2E042CC10
(57)【要約】
【課題】シャッターの停止位置を正確に設定できるシャッター停止位置の設定方法および電動シャッターを提供すること。
【解決手段】シャッター停止位置の設定方法は、チューブラモータによりシャッター7を開閉する電動シャッター1において当該シャッター7の停止位置を設定する方法であって、シャッター7を閉鎖移動させ、チューブラモータを流れる電流の変化率と第一閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいてチューブラモータの回転を停止する第1ステップと、第1ステップの後、シャッター7を開放移動する第2ステップと、第2ステップの後、第1ステップにおけるシャッター7の移動速度よりも低い移動速度でシャッター7を閉鎖移動させ、チューブラモータを流れる電流の変化率と第二閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいてシャッター7の停止位置を設定する第3ステップとを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータによりシャッターを開閉する電動シャッターにおいて当該シャッターの停止位置を設定するシャッター停止位置の設定方法であって、
前記シャッターを第1方向に移動させ、前記電動モータを流れる電流と第一閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいて前記電動モータの回転を停止する第1ステップと、
前記第1ステップの後、前記シャッターを前記第1方向とは逆の第2方向に移動する第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記第1ステップにおける前記シャッターの移動速度よりも低い移動速度で前記シャッターを前記第1方向に移動させ、前記電動モータを流れる電流と第二閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいて前記シャッターの停止位置を設定する第3ステップとを有する
ことを特徴とするシャッター停止位置の設定方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター停止位置の設定方法において、
前記電動モータを流れる電流と前記第二閾値との比較は、
前記電動モータを流れる電流の変化率が前記第二閾値を超えたか否かを判定することによって行い、
前記電流の変化率が前記第二閾値を超えたと判定した場合には前記シャッターの停止位置の設定を行い、
前記電流の変化率が前記第二閾値を超えたと判定しない場合には前記シャッターの停止位置の設定を行わない
ことを特徴とするシャッター停止位置の設定方法。
【請求項3】
請求項2に記載のシャッター停止位置の設定方法において、
前記電流の変化率が連続的に前記第二閾値を超えたか否かを判断し、
前記判断が成立する場合には、前記電流の変化率が前記第二閾値を超えたと判定して前記シャッターの停止位置の設定を行い、
前記判断が成立しない場合には、前記シャッターの停止位置は設定しない
ことを特徴とするシャッター停止位置の設定方法。
【請求項4】
請求項1に記載のシャッター停止位置の設定方法において、
前記第1方向は前記シャッターの閉鎖移動方向であり、
前記第2方向は前記シャッターの開放移動方向であり、
前記第3ステップにおいて設定する前記シャッターの停止位置を当該シャッターの閉鎖下限位置とする
ことを特徴とするシャッター停止位置の設定方法。
【請求項5】
請求項1に記載のシャッター停止位置の設定方法において、
前記第1方向は前記シャッターの開放移動方向であり、
前記第2方向は前記シャッターの閉鎖移動方向であり、
前記第3ステップにおいて設定する前記シャッターの停止位置を当該シャッターの開放上限位置とする
ことを特徴とするシャッター停止位置の設定方法。
【請求項6】
電動モータにより回転される巻取り軸と、前記巻取り軸に巻取られまたは繰り出されるシャッターと、前記電動モータの回転を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシャッター停止位置の設定方法によって前記シャッター停止位置を設定する
ことを特徴とする電動シャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シャッターにおけるシャッター停止位置の設定方法および電動シャッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッター体(シャッター)を巻上げ、巻下げるためのステッピングモータを回転させるシャッターの巻上構造が知られている(特許文献1参照)。このシャッターの巻上構造は、ステッピングモータに通電する電源部における電流が設定電流よりも大きい電流であると検出したとき巻上限、巻下限に達したと判断し、ステッピングモータの回転を停止させた後、該回転方向とは反対方向に所定角度回転させるように制御する制御部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-30878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のシャッターの巻上構造では、シャッター体を巻上げ、巻下げる途中においてステッピングモータを回転させる電流は変化が生じ得るうえ、例えばシャッター体を巻き下げる際に異物が当たったり、シャッター体を巻き上げる際にシャッター動作時に引っ掛かるような現象(本明細書ではしゃくり現象と称する)が生じたりすると、シャッター体が巻上限、巻下限に達したと制御部が判断する誤検出を生じるおそれがあり、このような誤検出を避けるために設定電流を大きく設定する必要がある。
しかし、設定電流を大きく設定すると、ステッピングモータを回転させる電流が設定電流よりも大きいと判断しない限り、ステッピングモータは停止することなく回転するので、シャッター体の巻上限や巻下限の停止位置を正確に設定することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、シャッターの停止位置を正確に設定できるシャッター停止位置の設定方法および電動シャッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャッター停止位置の設定方法は、電動モータによりシャッターを開閉する電動シャッターにおいて当該シャッターの停止位置を設定するシャッター停止位置の設定方法であって、前記シャッターを第1方向に移動させ、前記電動モータを流れる電流と第一閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいて前記電動モータの回転を停止する第1ステップと、前記第1ステップの後、前記シャッターを前記第1方向とは逆の第2方向に移動する第2ステップと、前記第2ステップの後、前記第1ステップにおける前記シャッターの移動速度よりも低い移動速度で前記シャッターを前記第1方向に移動させ、前記電動モータを流れる電流と第二閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいて前記シャッターの停止位置を設定する第3ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シャッターの停止位置を正確に設定できるシャッター停止位置の設定方法および電動シャッターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電動シャッターを示す外観姿図。
図2】前記実施形態に係る電動シャッターを示す縦断面図。
図3】前記実施形態に係る電動シャッターの動作に関するフロー図。
図4】前記実施形態に係る電動シャッターの動作に関するフロー図。
図5】前記実施形態に係る電動シャッターの動作手順を示す説明図。
図6】前記実施形態に係る電動シャッターのシャッターを動作させる電流および時間の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、本発明の実施形態に係る電動シャッター1は、戸建て住宅等の建物における外壁2の開口部3の屋外側に設けられるものであり、枠体4と、枠体4の上部に取り付けられたシャッターケース5と、シャッターケース5内に配置される巻取り軸6と、巻取り軸6に対して巻取られまたは繰り出されるシャッター7とを備えている。シャッターケース5内には、巻取り軸6を回転(正回転、逆回転)させるチューブラモータ8(電動モータ)と、シャッター7の重量とのバランスをとるバランススプリング(図示省略)と、チューブラモータ8の回転を制御する制御部9とが設けられている。なお、開口部3には建具としての窓10が設けられており、チューブラモータ8にはエンコーダが備えられている。
以下の説明において、電動シャッター1の左右方向をX軸方向とし、電動シャッター1の上下方向をY軸方向とし、電動シャッター1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
枠体4は、上枠41、下枠42および左右の縦枠43を有しており、左右の縦枠43は、シャッター7の左右両端をY軸方向に案内する構成とされている。
シャッター7は、複数のスラット71が上下に連なって構成されており、最上位のスラット71(トップスラット)が巻取り軸6に取り付けられている。シャッター7の下端には、X軸方向に沿った端部材72が設けられている。
この電動シャッター1では、巻取り軸6に巻き取られるシャッター7の端部材72がシャッターケース5に当接する位置が開放上限位置であり、巻取り軸6から繰り出されるシャッター7の端部材72が下枠42に当接する位置が閉鎖下限位置である。
【0011】
制御部9は、演算装置(CPU)、記憶部、通信部などを有し、リモコン等の操作部からの操作信号を受けてチューブラモータ8に流れる電流を制御する構成とされている。
この制御部9は、電動シャッター1を少なくとも通常動作モードまたは設定モードで動作させる。
制御部9は、通常動作モードでは、操作信号としての閉鎖信号を受けてシャッター7を閉鎖下限位置まで閉鎖移動するようにチューブラモータ8への電流を制御し、操作信号としての開放信号を受けてシャッター7を開放上限位置まで開放移動するようにチューブラモータ8への電流を制御し、操作信号としての停止信号を受けてチューブラモータ8への電流を制御する。
【0012】
制御部9は、設定モードでは、シャッター7の動作を次のように制御して当該シャッター7の閉鎖下限位置(シャッター停止位置)を設定する。この設定モードでの制御は、図3および図4の示すフロー図に沿った処理を行う。
まず、制御部9は、設定モードで動作する旨の操作部の操作(処理S1)による操作信号を受け、チューブラモータ8を所定の回転速度R1(rpm)で正回転させて巻取り軸6からシャッター7を繰り出すことで当該シャッター7をY軸方向において下方(第1方向)に図5の(A)に示すように閉鎖移動(下降)させ、この1回目の閉鎖移動において、チューブラモータ8に供給される所定の周期tにおける現在の電流値Iを取得する(処理S2)。なお、過去の電流値はIとして周期t毎に所定個数記録される(I,I2・・・I)。なお、各電流値I,Iに対応するエンコーダからのパルス位置P,Pも併せて記録する。
次に、現在の電流値Iの一つ前の電流値IをIとし(処理S3)、IとおよびIに基づいて算出される電流の変化率が閾値α(第一閾値)を超えたか否かを判定する(処理S4)。閾値αは、ここでは3.0とするが、この値に限らず適宜に適切な閾値を設定可能である。また、判定は次の数式(1)を用いて行う。なお、閾値αは後述する閾値βよりも大きな値に設定されており、これにより、シャッター7が閉鎖下限位置に到達していないのに例えば異物が干渉して当該シャッター7の閉鎖移動に対する抵抗力が増してチューブラモータ8に供給される電流が増大した場合でも、異物等がシャッター7に干渉した位置で閉鎖移動が停止してしまうおそれを低減できる。
【0013】
【数1】
【0014】
処理S4において、電流値I,Iに基づき数式(1)にて算出される電流の変化率が閾値αを超えたと判定した場合、当該超えたとの判定を連続的に所定回数したか否かを判断し(処理S5)、当該超えたとの判定を所定回数したと判断した場合には、チューブラモータ8の正回転を停止してシャッター7の閉鎖移動を停止する(1回目の閉鎖状態となる)と共に、シャッター7の1回目の閉鎖移動における閉鎖下限位置の暫定値を設定する(処理S6)。本実施形態では、処理S5での所定回数の判定のうち最初に電流の変化率が閾値αを超えたと判定した際のIに対応する位置Pを前記暫定値として設定する。また、処理S5において、当該超えたとの判定を所定回数していないと判断した場合には、チューブラモータ8の回転を継続しつつ処理S2の処理に戻り、新たな現在の電流値Iを取得し、電流値Iと最初に超えたと判定した際の電流値Iに基づき数式(1)にて算出される電流の変化率が閾値αを超えたか否かを再び判定し(処理S2~S4)、前述したその後の処理を行う。
S4において、電流値I,Iに基づき数式(1)にて算出される電流の変化率が閾値αを超えなかったと判定した場合、過去の電流値Iのnがn+1として記録され(処理S7)、nが記録する最大個数kを超えるかまたは最大個数k以下であるかを判断し(処理S8)、nが記録する最大個数kを超えると判断した場合には、S2に戻り、新たな電流値Iを取得してその後の処理を再び行う。また、nが記録する最大個数k以下であると判断した場合には、処理S4に戻りその後の処理を再び行う。
前述した処理S2~S8が本実施形態における第1ステップである。
【0015】
処理S6の後、チューブラモータ8を逆回転させ、シャッター7の1回目の閉鎖移動における閉鎖下限位置として設定した暫定値を基準として図5の(B)に示すようにシャッター7をY軸方向における上方(第2方向)に所定量を開放移動(上昇)させて停止する(S9)。本実施形態では60mm上昇させる。前述した処理S9が本実施形態における第2ステップである。
【0016】
処理S9の後、チューブラモータ8を回転速度R2(rpm)で正回転させて巻取り軸6からシャッター7を繰り出すことで当該シャッター7を図5の(C)に示すようにY軸方向において下方(第1方向)に閉鎖移動(下降)させ、この2回目の閉鎖移動において、チューブラモータ8に供給される周期tにおける現在の電流値Iを取得する(処理S10)。ここで、チューブラモータ8の回転速度R2は回転速度R1よりも低い速度であり、このため、シャッター7の閉鎖移動(2回目の閉鎖移動)の移動速度は、1回目の閉鎖移動の移動速度よりも低速である。なお、過去の電流値はIとして周期t毎に所定個数記録される(I,I2・・・I)。なお、各電流値I,Iに対応するエンコーダからのパルス位置P,Pも併せて記録する。
次に、現在の電流値Iの一つ前の電流値IをIとし(処理S11)、IおよびIに基づいて算出される電流の変化率が閾値β(第二閾値)を超えたか否かを判定する(処理S12)。閾値βには、ここでは閾値αよりも小さい値として1.5を設定するが、この値に限らず、閾値αよりも小さい値において適宜に適切な閾値を設定可能である。また、判定は次の数式(2)を用いて行う。なお、閾値βは閾値αよりも小さい値であるが、1回目の閉鎖移動に比べて閉鎖移動距離が短いので、異物等が挟まりにくく、また、低速でも多くの移動時間を要しない。
【0017】
【数2】
【0018】
処理S12において、電流値I,Iに基づき数式(2)にて算出される電流の変化率が閾値βを超えたと判定した場合、当該超えたとの判定を連続的に所定回数したか否かを判断し(処理S13)、当該超えたとの判定を所定回数したと判断した場合には、チューブラモータ8の正回転を停止してシャッター7の閉鎖移動を停止(実際の停止位置)すると共に、シャッター7の2回目の閉鎖移動における閉鎖下限位置(シャッター停止位置)を設定する(処理S14)。本実施形態では、処理S13での所定回数の判定のうち最初に電流の変化率が閾値βを超えたと判定した際のIに対応する位置Pを前記閉鎖下限位置(シャッター停止位置)として設定する。また、処理S13において、当該超えたとの判定を所定回数していないと判断した場合には、チューブラモータ8の回転を継続しつつ処理S10の処理に戻り、新たな現在の電流値Iを取得し、電流値Iと最初に超えたと判定した際の電流値Iに基づき数式(2)にて算出される電流の変化率が閾値βを超えたか否かを再び判定し(処理S10~S12)、前述したその後の処理を行う。
処理S12において、電流値I,Iに基づき数式(2)にて算出される電流の変化率が閾値βを超えなかったと判定した場合、過去の電流値Iのnがn+1として記録され(処理S15)、nが記録する最大個数kを超えるかまたは最大個数k以下であるかを判断し(処理S16)、nが記録する最大個数kを超えると判断した場合には、処理S10に戻り、新たな電流値Iを取得してその後の処理を再び行う。また、nが記録する最大個数k以下であると判断した場合には、処理S12に戻りその後の処理を再び行う。
前述した処理S10~S16が本実施形態における第3ステップである。
本実施形態では、処理S14における閉鎖下限位置の設定後、シャッター7を実際の停止位置から当該設定した閉鎖下限位置まで上昇するリリース動作(処理S17)を行い、シャッター7を最終的に停止する。
【0019】
以上のようにして、制御部9は、設定モードにおいてシャッター7の閉鎖下限位置を設定する。ここで、図6において、第3ステップにおける実際の停止位置をST1とし、第3ステップにおける設定した閉鎖下限位置をST2とし、第1ステップにおける実際の停止位置をST3とし、第1ステップにおける暫定値としての閉鎖下限位置をST4とした場合、第3ステップにおける実際の停止位置ST1と設定した閉鎖下限位置ST2との差D1(図6の(B)参照)は、第1ステップにおける実際の停止位置ST3と暫定値としての閉鎖下限位置ST4との差D2(図6の(A)参照)よりも小さくなっている。差D1が差D2よりも小さくなっている分、閉鎖下限位置が正確に設定されている。なお、図6のグラフにおいて、縦軸は電流(mA)であり、横軸は時間(sec)である。実際の停止位置ST1,ST3および閉鎖下限位置ST2,ST4は、シャッター7を閉鎖移動した時間に対応したエンコーダのパルス位置である。
【0020】
[変形例]
前記実施形態では、処理S5,処理S13において電流の変化率が閾値α,βを連続的に所定回数超えたか否かを判断することとしたが、これに限らず、連続的でなく断続的であってもよく、また、1回の判断でもよい。
前記実施形態では、制御部9は、第1、第3ステップにおいて電流の変化率が閾値α,βを超えたか否かを判定したが、これに限らず、第1、第3ステップにおいて電流値Iがこれに応じた第一閾値、第二閾値を超えたか否かを判定してもよい。
前記実施形態では、設定モードでは電動シャッター1のシャッター停止位置としてシャッター7の閉鎖下限位置を設定したが、これに限らず、シャッター7の開放上限位置を設定するようになっていてもよい。この場合、前記第1方向はシャッター7が開放移動する方向となり、前記第2方向はシャッター7が閉鎖移動する方向となる。ここで、シャッター7が開放移動する際にしゃくり現象などに起因してチューブラモータ8に供給される電流が変動するが、閾値αが大きい値に設定されているので停止位置の誤検出を抑制できる。
【0021】
[発明のまとめ]
本発明のシャッター停止位置の設定方法は、電動モータによりシャッターを開閉する電動シャッターにおいて当該シャッターの停止位置を設定するシャッター停止位置の設定方法であって、前記シャッターを第1方向に移動させ、前記電動モータを流れる電流と第一閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいて前記電動モータの回転を停止する第1ステップと、前記第1ステップの後、前記シャッターを前記第1方向とは逆の第2方向に移動する第2ステップと、前記第2ステップの後、前記第1ステップにおける前記シャッターの移動速度よりも低い移動速度で前記シャッターを前記第1方向に移動させ、前記電動モータを流れる電流と第二閾値とを比較し、当該比較した結果に基づいて前記シャッターの停止位置を設定する第3ステップとを有することを特徴とする。
本発明のシャッター停止位置の設定方法によれば、第3ステップでは、第2ステップでシャッターを第2方向に移動した位置から再び第1方向に移動させればよいので、第1ステップよりも移動距離を短く設定し得て、例えばシャッターに異物が当たったり、シャッターにしゃくり現象が生じたりすることによる誤検出によってシャッターの停止位置が意図しない位置に設定されることを生じ難くし得る上、第3ステップでは、第1ステップにおけるシャッターの移動速度よりも低い移動速度でシャッターを移動させ且つ電動モータを流れる電流と比較する第二閾値を第一閾値よりも小さい値に設定するので、例えば第1ステップでシャッターの停止位置を設定する場合よりも、シャッターの停止位置を正確に設定できる。また、第1ステップでは、第3ステップにおけるシャッターの移動速度よりも速い移動速度でシャッターを移動することになると共に第一閾値は第二閾値よりも大きい値となるので、本発明のシャッター停止位置の設定方法によるシャッター停止位置の設定に要する時間を短縮し得る。
【0022】
本発明のシャッター停止位置の設定方法では、前記電動モータを流れる電流と前記第二閾値との比較は、前記電動モータを流れる電流の変化率が前記第二閾値を超えたか否かを判定することによって行い、前記電流の変化率が前記第二閾値を超えたと判定した場合には前記シャッターの停止位置の設定を行い、前記電流の変化率が前記第二閾値を超えたと判定しない場合には前記シャッターの停止位置の設定を行わなくてもよい。
このような構成によれば、例えば電動モータを流れる電流値を第二閾値と比較する場合には、様々な寸法や重量を有する各種シャッターによって電動モータを流れる電流値が異なるので、各種シャッターに応じて第二閾値の値を都度設定する必要があるが、電動モータを流れる電流の変化率を第二閾値と比較することで、前述した各種シャッターに対して第二閾値を共通の値に設定すればよく、設定の手間を軽減できる。
【0023】
本発明のシャッター停止位置の設定方法では、前記電流の変化率が連続的に前記第二閾値を超えたか否かを判断し、前記判断が成立する場合には、前記電流の変化率が前記第二閾値を超えたと判定して前記シャッターの停止位置の設定を行い、前記判断が成立しない場合には、前記シャッターの停止位置は設定しなくてもよい。
このような構成によれば、前述した電流の変化率が連続的に第二閾値を超えたか否かを判断するので、例えば電流の変化率が断続的に第二閾値を超えた場合と比べて、シャッターに異物が当たったり、シャッターにしゃくり現象が生じたりすることによる誤検出を生じてシャッターが意図しない位置で停止するおそれをより低減できる。
【0024】
本発明のシャッター停止位置の設定方法では、前記第1方向は前記シャッターの閉鎖移動方向であり、前記第2方向は前記シャッターの開放移動方向であり、前記第3ステップにおいて設定する前記シャッターの停止位置を当該シャッターの閉鎖下限位置としてもよい。
このような構成によれば、シャッターに異物が当たったりすることによる誤検出を生じてシャッターが意図しない位置で停止するおそれを低減しつつシャッターの閉鎖下限位置を正確に設定できる。
【0025】
本発明のシャッター停止位置の設定方法では、前記第1方向は前記シャッターの開放移動方向であり、前記第2方向は前記シャッターの閉鎖移動方向であり、前記第3ステップにおいて設定する前記シャッターの停止位置を当該シャッターの開放上限位置としてもよい。
このような構成によれば、シャッターにしゃくり現象が生じたりすることによる誤検出を生じてシャッターが意図しない位置で停止するおそれを低減しつつシャッターの開放上限位置を正確に設定できる。
【0026】
本発明の電動シャッターは、電動モータにより回転される巻取り軸と、前記巻取り軸に巻取られまたは繰り出されるシャッターと、前記電動モータの回転を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前述した本発明のシャッター停止位置の設定方法によって前記シャッター停止位置を設定してもよい。
このような構成によれば、前述した本発明のシャッター停止位置の設定方法による作用効果と同等の作用効果を発揮可能な電動シャッターを構成できる。
【符号の説明】
【0027】
1…電動シャッター、10…窓、2…外壁、3…開口部、4…枠体、41…上枠、42…下枠、43…縦枠、5…シャッターケース、6…巻取り軸、7…シャッター、71…スラット、72…端部材、8…チューブラモータ(電動モータ)、9…制御部、I…現在の電流値、I…過去の電流値、α,β…閾値、S1~S17…処理、ST1,ST3…実際の停止位置、ST2,ST4…閉鎖下限位置、D1,D2…差。
図1
図2
図3
図4
図5
図6