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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182118
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】原子炉システム
(51)【国際特許分類】
   G21C 15/00 20060101AFI20231219BHJP
   G21C 19/303 20060101ALI20231219BHJP
   G21C 3/26 20060101ALI20231219BHJP
   G21D 5/00 20060101ALI20231219BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G21C15/00 G
G21C19/303 300
G21C3/26
G21D5/00
G21D1/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095530
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】522115826
【氏名又は名称】株式会社Blossom Energy
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(72)【発明者】
【氏名】濱本 真平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造可能な最大容量の原発を設置せざるをえないという非効率さを低減する。
【解決手段】被覆燃料粒子、減速材及び冷却材を用いる複数の原子炉と、蒸気発生器と、前記蒸気発生器に連通する蒸気タービンと、を備え、一つの前記蒸気発生器に対して前記複数の原子炉が接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆燃料粒子、減速材及び冷却材を用いる複数の原子炉と、
前記原子炉から取り出される熱エネルギーから蒸気を発生する蒸気発生器と、
前記蒸気発生器に連通しており前記蒸気が持つエネルギーを回転エネルギーに変換する蒸気タービンと、
を備え、
一つの前記蒸気発生器に対して前記複数の原子炉が接続されている原子炉システム。
【請求項2】
前記蒸気発生器から配管が水平方向に放射状に伸び、その先に前記原子炉が接続されている
請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項3】
前記蒸気発生器から伸びた配管が途中で分岐し、分岐先のそれぞれに前記原子炉が接続されている
請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項4】
前記複数の原子炉のそれぞれと前記蒸気発生器とは二重配管で接続されており、
当該二重配管は、内管と、当該内管の円周方向に渡って間隔を設けて覆う外管とで構成されており、当該内管には、原子炉から前記蒸気発生器に向かう高温ガスが通り、当該外管には、前記蒸気発生器から原子炉に戻る低温ガスが通る
請求項1から3のいずれか一項に記載の原子炉システム。
【請求項5】
前記原子炉、前記蒸気発生器の全てもしくはいずれかは、水平方向の熱膨張を許容する構造体によって下から支持されている
請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項6】
前記水平方向の熱膨張を許容する構造体は、フリーボールベアリングである
請求項5に記載の原子炉システム。
【請求項7】
前記原子炉および/または前記蒸気発生器は、地震時の加振に対して揺れを抑える支持構造体によって支持されている
請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項8】
前記支持構造体は、ダンパーである
請求項7に記載の原子炉システム。
【請求項9】
前記原子炉および前記蒸気発生器は第1の階層に配置され、前記蒸気タービンは当該第1の階層より上の第2の階層に配置されている
請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項10】
前記冷却材を純化するとともに当該冷却材を冷やす冷却材純化設備と、
前記複数の原子炉と前記冷却材純化設備の吸込口とをつなぐ吸込配管と、
前記複数の原子炉と前記冷却材純化設備の吐出口とをつなぐ吐出配管と、
を更に備え、
前記原子炉が正常に冷却できない場合、前記冷却材が前記冷却材純化設備を通って冷やされ、当該冷やされた冷却材が再度、原子炉に供給される
請求項1に記載の原子炉システム。
【請求項11】
前記原子炉は、ガス冷却炉である
請求項1に記載の原子炉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な原子力プラントの開発が進められている。例えば特許文献1には、敷地内に複数の原子炉を設置するようにした原子力プラントにおいて、複数の炉心の各々を内部に収納した複数の原子炉容器と、前記複数の原子炉容器の各々を内部に収納した複数の原子炉格納容器と、前記複数の原子炉格納容器のすべてを内部に収納した原子炉建屋と、を備え、前記原子炉建屋の水平断面形状は略円形又は略正方形であることを特徴とする原子力プラントが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-115692号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様に係る原子炉システムは、被覆燃料粒子、減速材及び冷却材を用いる複数の原子炉と、前記原子炉から取り出される熱エネルギーから蒸気を発生する蒸気発生器と、前記蒸気発生器に連通しており前記蒸気が持つエネルギーを回転エネルギーに変換する蒸気タービンと、を備え、一つの前記蒸気発生器に対して前記複数の原子炉が接続されている。
【0005】
本発明の第2の態様に係る原子炉システムは、第1の態様に係る原子炉システムであって、前記蒸気発生器から配管が水平方向に放射状に伸び、その先に前記原子炉が接続されている。
【0006】
本発明の第3の態様に係る原子炉システムは、第1の態様に係る原子炉システムであって、前記蒸気発生器から伸びた配管が途中で分岐し、分岐先のそれぞれに前記原子炉が接続されている。
【0007】
本発明の第4の態様に係る原子炉システムは、第1から3のいずれかの態様に係る原子炉システムであって、前記複数の原子炉のそれぞれと前記蒸気発生器とは二重配管で接続されており、当該二重配管は、内管と、当該内管の円周方向に渡って間隔を設けて覆う外管とで構成されており、当該内管には、原子炉から前記蒸気発生器に向かう高温ガスが通り、当該外管には、前記蒸気発生器から原子炉に戻る低温ガスが通る。
【0008】
本発明の第5の態様に係る原子炉システムは、第1から4のいずれかの態様に係る原子炉システムであって、前記原子炉、前記蒸気発生器の全てもしくはいずれかは、水平方向の熱膨張を許容する構造体によって下から支持されている。
【0009】
本発明の第6の態様に係る原子炉システムは、第5の態様に係る原子炉システムであって、前記水平方向の熱膨張を許容する構造体は、フリーボールベアリングである。
【0010】
本発明の第7の態様に係る原子炉システムは、第1から6のいずれかの態様に係る原子炉システムであって、前記原子炉および/または前記蒸気発生器は、地震時の加振に対して揺れを抑える支持構造体によって支持されている。
【0011】
本発明の第8の態様に係る原子炉システムは、第7の態様に係る原子炉システムであって、前記支持構造体は、ダンパーである。
【0012】
本発明の第9の態様に係る原子炉システムは、第1から8のいずれかの態様に係る原子炉システムであって、前記原子炉および前記蒸気発生器は第1の階層に配置され、前記蒸気タービンは当該第1の階層より上の第2の階層に配置されている。
【0013】
本発明の第10の態様に係る原子炉システムは、第1から9のいずれかの態様に係る原子炉システムであって、前記冷却材を純化するとともに当該冷却材を冷やす冷却材純化設備と、前記複数の原子炉と前記冷却材純化設備の吸込口とをつなぐ吸込配管と、前記複数の原子炉と前記冷却材純化設備の吐出口とをつなぐ吐出配管と、を更に備え、前記原子炉が正常に冷却できない場合、前記冷却材が前記冷却材純化設備を通って冷やされ、当該冷やされた冷却材が再度、原子炉に供給される。
【0014】
本発明の第11の態様に係る原子炉システムは、第1から10のいずれかの態様に係る原子炉システムであって、前記原子炉は、ガス冷却炉である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、出力の小さな原子炉を、電力需要の要求に合わせて必要な基数だけ複数設置し、かつ複数の原子炉から取り出される熱エネルギーを一つの蒸気発生器に接続することで、電力需要の要求に応じた電力を発電することができ、効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の原子炉システムの一例を示す概略模式図である。
図2】本実施形態の別の第1態様に係る原子炉システムにおいて、蒸気発生器と原子炉の接続態様の一例を示す概略模式図である。
図3A】本実施形態の別の第2態様に係る原子炉システムにおいて、蒸気発生器と原子炉の接続態様の一例を示す概略模式図である。
図3B】本実施形態の別の第2態様に係る原子炉システムの構成の一例を示す斜視図である。
図3C】本実施形態の二重配管の構成の一例を示す斜視図である。
図4】本実施形態の原子炉システムにおける原子炉の支持態様の一例を示す模式図である。
図5】原子炉の固定方法の一例を示す模式図である。
図6】原子炉システムの構成要素の設置例を示す模式図である。
図7】冷却の仕組みの一例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0018】
原子炉は開発にコストがかかるため、新しく原子力発電所を設置する場合は通常最も新しく開発された原子炉が設置される。このため電力需要に合わせた出力の原子炉を選定することはなされず、電力需要がそれほど大きくない地域であっても、製造可能な最大容量の原発を設置せざるをえないという非効率さがあるという課題がある。
【0019】
本実施形態では、この課題に対して、出力の小さな原子炉を、電力需要地の要求に合わせて必要な基数だけ設置し、かつ原子炉から取り出される熱エネルギーから蒸気を発生する蒸気発生器、さらに蒸気を動力に変換する蒸気タービン及び動力を電気に変換する発電機を1基もしくは最小限の数とすることで、効率性を向上させ、この課題を解決する。また1つの蒸気発生器、蒸気タービンに複数の原子炉を、分岐配管(例えばT字配管)を用いて接続するため、これらにより原子炉システムに組み込む設備の物量を合理的に出来る限り削減し、製作および建設コストを削減することができる。
【0020】
上記の課題に加えて、本実施形態に係る原子炉システムでは、高温になる原子炉圧力容器が複数設置されることで、原子炉圧力容器と蒸気発生器の間を結ぶ配管が取り付けられるノズルに応力(例えば熱応力または地震等の負荷)が大きくなり、設備の損傷を招くおそれがあることが第2の課題である。
この第2の課題に対して、高温になる原子炉圧力容器の熱変位を吸収するため、原子炉、蒸気発生器の全てもしくはいずれかは、熱膨張に応じて水平方向に移動可能にする構造体(例えばフリーボールベアリング)によって、垂直荷重は支えながらも水平方向の変位は拘束しないことで解決する。
【0021】
さらに上記の課題に加えて、安全性を高めるために新たな設備を付加した場合には、経済性が悪化するとともに運用の複雑さを招くために新たな事故等の懸念を内包するという別の課題がある。
この課題に対し、付加的な設備を用いずに原子炉の安全性を向上させるために、通常運転中に冷却材ヘリウムを純化する設備を介した放熱を利用して事故時の冷却系として利用できるようにし、経済性の悪化や運用の複雑さを招くという課題を解決する。
【0022】
図1は、本実施形態の原子炉システムの一例を示す概略模式図である。図1に示すように、原子炉システムSは、原子炉1、原子炉2、原子炉1及び原子炉2が第1配管P1及び第2配管P2を介して接続されている蒸気発生器3、蒸気発生器3に連通する蒸気タービン4、蒸気タービン4と連結している発電機5、蒸気タービン4に連通する復水器6、冷却材(例えば低温ヘリウム)を循環させる循環機(Gas Circulator:GC)7を備える。蒸気発生器3は、原子炉から取り出される熱エネルギーから蒸気を発生する。蒸気タービン4は、当該蒸気が持つエネルギーを回転エネルギーに変換する。発電機5は、この回転エネルギーを電気に変換する。
【0023】
一態様によれば、原子炉1、2の中でウランが核分裂によって出る熱を用いて原子炉1、2の中でつくられた高温へリウムを第1配管P1を介して蒸気発生器3に送る。蒸気発生器3は高温へリウムを用いて水を蒸気に変え、その蒸気の力で蒸気タービン4を回し,連結している発電機5で電気を起こす。蒸気タービン4を回し終えた蒸気は,復水器6で冷やされて水に戻り,蒸気発生器3へ送られる。高温へリウムは蒸気発生器3で水を蒸気に変えると温度が低下した低温ヘリウムとなり、この低温ヘリウムが循環機7によって第2配管P2を介して原子炉1、2へ送られる。
【0024】
原子炉1及び原子炉2は、被覆燃料粒子、減速材(例えば黒鉛)、及び冷却材(例えばヘリウムガス)を用いる。減速材は、原子炉内で、核分裂で発生した高速の中性子の速度を落とし、次の核分裂を起こしやすい状態にするものである。例えば減速材として中性子を吸収しにくい黒鉛が使用される。一方、冷却材は原子炉内で発生した熱を取り出すために使われるものである。
【0025】
一例では、原子炉1及び原子炉2はガス冷却炉の一つであり高温ガス炉であり、この高温ガス炉は例えば黒鉛を減速材としヘリウムを冷却材として用いる原子炉である。炉心温度が高くなるため、被覆燃料粒子は例えばセラミックス材料で被覆されている。
【0026】
なお、原子炉1、2は上記で説明したガス冷却炉だけに限らず、水冷却炉、液体金属冷却炉、溶融塩炉であってもよい。ここで水冷却炉には、軽水冷却炉、重水冷却炉がある。軽水冷却炉の場合、軽水(普通の水)が減速材と冷却材に兼用されていてもよい。
【0027】
図2は、本実施形態の別の第1態様に係る原子炉システムにおいて、蒸気発生器と原子炉の接続態様の一例を示す概略模式図である。図2に示すように、蒸気発生器3(具体的には例えば蒸気発生器3の複数の管台)から配管が水平方向に放射状に伸び、その先に原子炉11、12、13、14が接続されていてもよい。これにより、出力の調整をすることができる。なお、原子炉11、12、13、14それぞれと蒸気発生器3が、後述する二重配管によって接続されていてもよい。
【0028】
図3Aは、本実施形態の別の第2態様に係る原子炉システムにおいて、蒸気発生器と原子炉の接続態様の一例を示す概略模式図である。図3Bは、本実施形態の別の第2態様に係る原子炉システムの構成の一例を示す斜視図である。図3Cは、本実施形態の二重配管の構成の一例を示す斜視図である。図3A及び図3Bに示すように、蒸気発生器3(具体的には例えば蒸気発生器3の管台)から伸びた二重配管P10が途中で分岐し、分岐先のそれぞれが一つの原子炉(例えば図3Bに示すように原子炉の下面側)に接続されることによって、2基の原子炉21、22が1つの蒸気発生器3に接続されている。図3A及び図3Cに示すように、二重配管P10は、内管P11と、内管P11の円周方向に渡って間隔を設けて覆う外管P12とで構成されている。図3Cに示すように、内管P11には、原子炉21、22から蒸気発生器3に向かう高温ガスが通る。一方、外管12には、蒸気発生器3から原子炉21、22に戻る低温ガスが通る。
同様に、図3A及び図3Bに示すように、蒸気発生器3(具体的には例えば蒸気発生器3の管台)から伸びた二重配管P20が途中で分岐し、分岐先のそれぞれが一つの原子炉(例えば図3Bに示すように原子炉の下面側)に接続されることによって、2基の原子炉23、24が1つの蒸気発生器3に接続されている。二重配管P20は、内管P21と、内管P21の円周方向に渡って間隔を設けて覆う外管P22とで構成されている。内管P21には、原子炉23、24から蒸気発生器3に向かう高温ガスが通る。一方、外管22には、蒸気発生器3から原子炉23、24に戻る低温ガスが通る。
図3Bに示すように、冷却材(例えば低温ヘリウム)を循環させる循環機(Gas Circulator:GC)71、72が設けられ、蒸気発生器3に接続されている。循環機71、72は原子炉21~24と蒸気発生器3の間で冷却材を循環させる。複数台設置することで、1台を保守のために停止させた場合でも残りの循環機を作動させることで原子炉が稼働できるようにし、経済性を向上させることができる。
【0029】
このような分岐配管(例えばT字配管)によって2基の原子炉が1つの蒸気発生器に接続される態様を、1以上組み合わせることで効率的な出力の増加が可能となる。
【0030】
蒸気発生器3に設けられた管台と配管が接続する部分であるノズルの応力(例えば熱応力または地震等の負荷)が大きいが、ノズルが増えるとその分、応力が大きくなるという問題がある。これに対して、上記のように、分岐配管(例えばT字配管)によって2基の原子炉が1つの蒸気発生器に接続されることで、接続する原子炉を増やしつつ相対的にノズルの数を減らすことで、応力の増加を抑えることができる。
【0031】
図4は、本実施形態の原子炉システムにおける原子炉の支持態様の一例を示す模式図である。図4に示すように、原子炉1は、水平方向の熱膨張を許容する構造体の一例であるフリーボールベアリング31によって一例として下から支持されている。同様に、原子炉2は、水平方向の熱膨張を許容する構造体の一例であるフリーボールベアリング32によって一例として下から支持されている。これにより、原子炉1、2が水平方向に熱膨張した場合でも、水平方向の熱膨張を許容することで発生する応力を緩和することができる。
【0032】
なお、図4の例では、原子炉1、2がフリーボールベアリング31、32によって下から支持されているがこれに限らず、それに加えてもしくは替えて、蒸気発生器3がフリーボールベアリングによって下から支持されてもよい。一方、フリーボールベアリングは原子炉の下側(建屋側)に設置されることに限らず、これに替えてまたは加えて、原子炉の上側(機器側)に設置されてもよい。このように、原子炉、前蒸気発生器の全てもしくはいずれかは、水平方向の熱膨張を許容する構造体(例えばフリーボールベアリング)によって支持されている。
【0033】
図5は、原子炉の固定方法の一例を示す模式図である。図5に示すように一例として、原子炉1は、ダンパー41、42、43、44を介して建物または構築物に固定されている。ここで、ダンパー41、42、43、44は、地震時の加振に対して揺れを抑える支持構造体の一例である。これによって、地震時の加振に対して、ダンパー41、42、43、44が揺れを吸収するので、原子炉1の揺れを抑えることができる。
【0034】
なお、ここでは原子炉が、地震時の加振に対して揺れを抑える支持構造体(例えばダンパー)によって支持されている例を説明したが、これに加えてもしくは替えて、蒸気発生器が、地震時の加振に対して揺れを抑える支持構造体(例えばダンパー)によって支持されていてもよい。このように、原子炉および/または蒸気発生器は、地震時の加振に対して揺れを抑える支持構造体によって支持されていてもよい。
【0035】
原子炉1、2および蒸気発生器3は第1の階層(下階ともいう)に配置され、蒸気タービン4は当該第1の階層より上の第2の階層(上階ともいう)に配置されてもよい。その一つの設置態様として上階を地上とし且つ下階を地下とした場合の設置例について図6を用いて説明する。図6は、原子炉システムの構成要素の設置例を示す模式図である。図6には、x軸が水平方向を表し、z軸が高さ方向を表しており、地盤表面の線であるグランドレベル(Ground Level:GL)が示されている。原子炉1、2、蒸気発生器3、蒸気タービン4及び発電機5は原子炉建屋9に設けられている。原子炉1、2及び蒸気発生器3は地下に配置され、蒸気タービン4及び発電機5は地上に配置されている。
【0036】
ここで、地震等の異常時には、原子炉建屋9の扉54などの構成要素に亀裂が入って開口部(図示せず)が形成される場合がある。原子炉1、2及び蒸気発生器3が地下に配置されることで、例えばブルトーザ51などの建機によって周辺の土55で、扉54などに生じた開口部を遮蔽することで、事故または異常時に放射性物質が拡散しないように対処することが容易になる。
【0037】
緊急時には、水を排出可能な消防車等52のタンクに接続されたホースのノズル53から放水することによって、放射性物質の拡散を抑制することが容易になる。
なお、上記の例では、第1の階層(下階)を地下とした場合について説明したが、これに限らず、第1の階層(下階)または第2の階層(上階)は半地下であってもよい。
【0038】
図7は、冷却の仕組みの一例を説明する模式図である。図7に示すように、原子炉システムSは、冷却材(例えばヘリウム)を純化するとともに当該冷却材を冷やす冷却材純化設備8と、原子炉1、2と冷却材純化設備8の吸込口とをつなぐ吸込配管61と、原子炉1、2と冷却材純化設備8の吐出口とをつなぐ吐出配管62と、を更に備えてもよい。この場合、原子炉1、2が正常に冷却できない場合、当該冷却材(例えばヘリウム)が冷却材純化設備8を通って冷やされ、当該冷やされた冷却材が再度、原子炉1、2に供給される。
【0039】
これにより、冷却材純化設備8で冷却材が冷やされ、吸込配管61と吐出配管62で冷却材が冷やされるので、冷却材を冷却することができ、異常時の冷却機能を兼ね合わせることができる。
【0040】
以上、本実施形態に係る原子炉システムSは、被覆燃料粒子、減速材及び冷却材を用いる複数の原子炉と、当該原子炉から取り出される熱エネルギーから蒸気を発生する蒸気発生器3と、蒸気発生器に連通しており当該蒸気が持つエネルギーを回転エネルギーに変換する蒸気タービン4と、を備え、一つの蒸気発生器3に対して複数の原子炉が接続されている。
【0041】
この構成によれば、原子炉を小型化し、電力需要の要求に合わせて必要な基数だけ複数設置し、かつ複数の原子炉から取り出される熱エネルギーを一つの蒸気発生器に接続することで、電力需要の要求に応じた電力を発電することができ、効率性を向上させることができる。
【0042】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、11、2、21、23、25、27 原子炉
3 蒸気発生器
31、32 フリーボールベアリング
4 蒸気タービン
41 ダンパー
5 発電機
51 ブルトーザ
52 排水車
53 ノズル
6 復水器
61 吸込配管
62 吐出配管
7 循環機
8 冷却材純化設備
S 原子炉システム
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7