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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182119
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】食器カゴ
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/50 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A47L15/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095531
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】592193535
【氏名又は名称】タニコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【弁理士】
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】松浦 一昭
(72)【発明者】
【氏名】岡田 晃平
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 裕樹
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082FF01
3B082FF07
(57)【要約】
【課題】食器カゴの収容空間の大きさを容易に調整でき、且つ調整のために使用する食器支持部材が食器カゴ本体から離れて別体とならない構造の食器カゴを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の食器カゴは、食器カゴを構成する線状部材のうち、収容される食器の重ね方向に伸延する線状部材の少なくとも1つが食器支持部材の開口部を貫通して、食器支持部材が線状部材から抜けない構造であるため、食器支持部材が食器カゴ本体から離れて別体となることがない。また、食器カゴの一部である線状部材が貫通する食器支持部材の開口部が回転中心となって当該食器支持部材の回動を行った際、回動作用で食器支持部材が位置固定部材から外れる構造であるため、ワンタッチで食器支持部材の位置を変えることが可能となり、収容容器の数にあわせた収容空間の調整を容易に行うことができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線状部材の組み合わせにより構成される食器カゴであって、
前記複数の線状部材のうち、前記食器カゴ内に収容される食器の重ね方向の線状部材の少なくとも1つが貫通するための開口部を有する食器支持部材と、
前記食器支持部材を前記食器カゴ内で所望の位置に制止させるために、前記重ね方向に沿って前記食器支持部材の一部と当接する要素部分を複数有する位置固定部材と、を備え、
前記食器の重ね方向の線状部材の少なくとも1つが前記食器支持部材の前記開口部を貫通すると共に、前記食器支持部材が前記線状部材から外れて別体とならずに、前記食器支持部材が前記位置固定部材の現在の固定位置における当接から外れる、ことを特徴とする食器カゴ。
【請求項2】
前記開口部、又は前記開口部内で前記線状部材が前記開口部の内縁と接触する箇所を回転中心に前記食器支持部材が回動することにより、前記食器支持部材が前記位置固定部材の現在の固定位置における当接から外れる、請求項1に記載の食器カゴ。
【請求項3】
前記開口部、又は前記開口部内で前記線状部材が前記開口部を貫通した状態で、前記食器支持部材が前記食器の重ね方向を左右方向とした場合の上方向に相当する食器搬入出方向に移動することにより、前記食器支持部材が前記位置固定部材の現在の固定位置における当接から外れる、請求項1記載の食器カゴ。
【請求項4】
前記食器の重ね方向に沿って対向して配設された複数の線状部材が前記食器支持部材の両端部の開口部をそれぞれ貫通する場合、前記回転中心を有さない側の開口部の形状は、前記食器支持部材の回動により前記食器支持部材が前記位置固定部材から外れるのに必要な大きさの孔径が形成されている、請求項1又は2に記載の食器カゴ。
【請求項5】
前記位置固定部材に設けられる要素部分は、櫛歯形状の構造又は所定間隔の位置止め用ピン穴を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の食器カゴ。
【請求項6】
前記食器支持部材の前記開口部に代わり、前記食器支持部材に結合し且つ前記線状部材を貫通できる開口部を有する部品を備えた前記食器支持部材が使用される、請求項1に記載の食器カゴ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、学校、病院等の給食で使用する皿などの食器を複数まとめて収納する食器カゴに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用済みの複数の食器を食器カゴ内で整列収納した状態で、洗浄水を食器に向けて噴射させることで食器を洗浄する方法が従来からなされている。洗い残しを生じさせないためには、各食器同士の間隔に適当な余裕があり、洗浄水が食器全体に行き渡らせることが必要である。
【0003】
これは、洗浄水の噴射力によって食器同士を離隔させる洗浄方式において重要な課題であって、各食器同士の間隔を維持するには、食器カゴ内の収容容積、すなわち収容空間との関係で、収納すべき食器の数が適切になっていなければならない。食器カゴ内の食器の数が多すぎると洗浄水の噴射力によって食器同士を離隔させることができないし、逆に少なすぎると、食器が整列方向に対して前方又は後方に倒れてしまって食器全体に洗浄水が噴射されず洗い残しが生じてしまう。
【0004】
この問題を解決するため、洗浄時の食器の数に応じて食器カゴ内の収容空間を適宜調整可能な機構を食器カゴに設けることが提案されている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6169320号公報
【特許文献2】特開2017-18166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の食器カゴは、収容空間を画定するための底板(収容容器の底部に配置された食器支持部材)が、カゴ本体から完全に離脱する構造である。これは、カゴ本体に取り付けられた固定具受板の千鳥状貫通穴に底板の突起部を挿入し、別体の底板固定具で底板の抜け止めをする。食器の数に応じて収容空間を変える場合は、底板固定具を引き抜いて底板を食器カゴから完全離脱させ、適切な千鳥状位置の貫通穴に再び底板の突起部を挿入して底板固定具で抜け止めをする。つまり、カゴ本体に取り付けられた固定具受板の千鳥状貫通穴を選択することで食器支持部材である底板の位置が変わり、その結果として収容空間を変化させることが可能であるが、底板及び底板固定具が食器カゴ本体から別体となるので紛失しやすい。特に、底板固定具は小さな線材であって、底板自体の洗浄時に食器カゴ本体から外された底板固定具は紛失してしまうリスクが高いものである。
【0007】
また、特許文献2の食器カゴは、食器支持部材である仕切手段が側面視でX字状をなすように配置され、互いに異なる方向に回転する2つの回転枠を有することを基本構造としている。そのため、回転枠を回転しながら仕切手段の形状を変化させれば、食器の数に対応した収容空間を設けることは可能である。しかしながら、このような仕切手段は複雑な構造であって製作に手間がかかり、食器カゴの製造コストが高くなってしまうという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は上述した問題を解決するため、食器カゴの収容空間の大きさを容易に調整でき、且つ調整のために使用する食器支持部材が食器カゴ本体から離れて別体とならない構造の食器カゴを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る食器カゴは、複数の線状部材の組み合わせにより構成され、前記複数の線状部材のうち、前記食器カゴ内に収容される食器の重ね方向の線状部材の少なくとも1つが貫通するための開口部を有する食器支持部材と、前記食器支持部材を前記食器カゴ内で所望の位置に制止させるために、前記重ね方向に沿って前記食器支持部材の一部と当接する要素部分を複数有する位置固定部材と、を備え、前記食器の重ね方向の線状部材の少なくとも1つが前記食器支持部材の前記開口部を貫通すると共に、前記食器支持部材が前記線状部材から外れて別体とならずに、前記食器支持部材が前記位置固定部材の現在の固定位置における当接から外れることを特徴とする。
【0010】
また、前記開口部、又は前記開口部内で前記線状部材が前記開口部の内縁と接触する箇所を回転中心に前記食器支持部材が回動することにより、前記食器支持部材が前記位置固定部材の現在の固定位置における当接から外れることを特徴とする。或いは、前記開口部、又は前記開口部内で前記線状部材が前記開口部を貫通した状態で、前記食器支持部材が前記食器の重ね方向を左右方向とした場合の上方向に相当する食器搬入出方向に移動することにより、前記食器支持部材が前記位置固定部材の現在の固定位置における当接から外れることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記食器の重ね方向に沿って対向して配設された複数の線状部材が前記食器支持部材の両端部の開口部をそれぞれ貫通する場合、前記回転中心を有さない側の開口部の形状は、前記食器支持部材の回動により前記食器支持部材が前記位置固定部材から外れるのに必要な大きさの孔径が形成されている。また、前記位置固定部材に設けられる要素部分は、櫛歯形状の構造又は所定間隔の位置止め用ピン穴を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る食器カゴは、食器カゴを構成する線状部材のうち、収容される食器の重ね方向に伸延する線状部材の少なくとも1つが食器支持部材の開口部を貫通して、食器支持部材が線状部材から抜けない構造である。したがって、食器支持部材が食器カゴ本体から離れて別体となることがない。また、食器の重ね方向に関して食器支持部材の位置を固定するには食器カゴ本体に結合する位置固定部材を利用して行うことから、位置決めピンなどを用意することもなく、その結果、食器支持部材等が紛失することが生じ得ない。
【0013】
また、食器カゴの一部である線状部材が貫通する食器支持部材の開口部が回転中心となって当該食器支持部材の回動を行った際、回動作用で食器支持部材が位置固定部材から外れる構造である。そのため、ワンタッチで食器支持部材の位置を変えることが可能となり、収容容器の数にあわせた収容空間の調整を容易に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態である食器カゴの概略を示した全体斜視図である。
図2図1に示す食器カゴの一部を示した図である。
図3図1に示す食器カゴの一部を異なる視点から示した図である。
図4図1に示す実施形態とは異なる、位置固定部材の形状及び配置の他の例を示した図である。
図5図1に示す実施形態とは異なる、位置固定部材の形状及び配置の他の例を示した図である。
図6】位置固定部材の一例を示す図である。
図7】位置固定部材の一例を示す図である。
図8】位置固定部材の一例を示す図である。
図9図1に示す食器カゴの食器支持部材を外す様子を示す図である。
図10】食器支持部材及び位置固定部材を主に抜き出して示した図である。
図11】食器支持部材を回動させて位置固定部材からはずれる様子を示す図である。
図12】食器支持部材の開口部の形状の他の例を示す図である。
図13】食器支持部材の開口部の形状の他の例を示す図である。
図14】食器支持部材の開口部の形状の他の例を示す図である。
図15】食器支持部材の開口部の形状の他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、食器洗浄システムに搬入される食器カゴ100である。この食器カゴ100は、食器やトレーを食器カゴに収納し、食器洗浄システムから噴射する洗浄液によって食器カゴごと洗浄する際に使用される。図1に示すように、食器カゴ100は、複数の平行な線状部材1を略矩形状に組み合わせて構成される。線状部材1は、食器の重量や高温のすすぎ水に対する耐久性を考慮し、ステンレス製などの材質が使用される。
【0016】
複数の線状部材1のうち、食器カゴの一面を構成する線状部材1c,1dは、食器カゴ100から食器が飛び出ないようにする蓋としての機能しており、上方に回転して内部への食器の収納をし易くし、同時に食器を収容し終えると当該線状部材1c,1dを元に戻してから食器洗浄システムに搬入する。また、この線状部材1c,1dは、食器のみならず、後述する食器支持部材2を支持する役割も有する。また、人が運搬し易くするために食器カゴに持ち手6を備える。さらに、線状部材1c,1dの蓋機能を確実にするために他の線状部材1eと係合してロックする機構(不図示)を設けてもよい。なお、持ち手6によって食器カゴ100を搬送する際に、収容食器から落下する食べ残しや汁の受けるため、ステンレス材等を用いた板状の部材で構成される食器底板4を備えている。
【0017】
ところで、食器洗浄システムは、食器カゴにあらかじめ複数の仕切りが線状部材に連結又は線状部材の一部として設けられ、各食器をこの仕切りにあわせて収容するタイプの食器カゴと、仕切りがないタイプの食器カゴに大別できる。
【0018】
家庭用の食器洗い機で使用されるような仕切りがある食器カゴの場合、食器と食器の間には空間が設けられるので洗浄液を空間めがけて噴射すれば高い洗浄能力を発揮することができる。ただし、複数の仕切り位置は固定されているので、食器の種類やサイズ(特に、食器の深さ)が仕切り間隔に適合した食器でなければならず、上手く収まらない食器に対する洗浄には不向きである。学校、病院等では、食器ごとに専用の食器カゴを用意して使用することが多い。
【0019】
一方、仕切りがない食器カゴを使用する食器洗浄システムは、洗浄ノズルから噴射する洗浄水の噴射力が食器と食器の間に空間を作り、汚れを落とす仕組みである。食器カゴには各食器を区分けする仕切りが存在しないので、種類やサイズが異なる食器でも同じ食器カゴを使用することができる。食器にあわせた専用の食器カゴを準備しなくてよい点はメリットである。一方で、仕切りが無いので収容する食器の数が少ないと食器が整列方向に対して前方又は後方に倒れてしまって、洗い残しが生じてしまう。食器が倒れないようにするため、本実施形態の食器カゴ100はステンレス製などの材質からなる食器支持部材2を備える。つまり、食器支持部材2は本棚のブックエンドとしての機能を有しており、食器カゴ内で食器を支持する。
【0020】
本実施形態の食器カゴ100の特徴の一つは、食器支持部材2に貫通孔である開口部5a,5bが設けられており、この開口部5a,5bに食器カゴ本体を構成する線状部材の一部1a,1bがそれぞれ貫通する構成であるという点が挙げられる。その結果、食器支持部材2が食器カゴ100から分離できないようになっている。また、食器支持部材2が支持機能を果たすことができるようにするために、食器カゴ内で固定するための位置固定部材3a,3bが食器カゴ内部に取り付けられている。食器支持部材2の一部が位置固定部材3a,3bに当接することで食器支持部材2の位置が固定され(つまり、食器重ね方向の動きが制止され)、収容された食器を支えることができる。図1に示す実施形態の場合、食器支持部材2の厚みに適合する櫛歯のような切れ込みが連続した位置固定部材3a,3bを食器支持部材2の両側に配設した例を示している。なお、位置固定部材3a,3bは、食器カゴ本体を構成する線状部材1或いは食器底板4に溶接等で固定させる。
【0021】
また、図2及び図3は、主に図1の食器支持部材2及び位置固定部材3a,3bを抜き出した図である。両図から分かるとおり、2つの位置固定部材3a,3bは同一形状ではなく、溝の主な部分の向きも異なって配設されている。具体的には、位置固定部材3bは溝の切れ込みが主に食器カゴ内中央に向けられているのに対し、位置固定部材3aの溝は食器カゴ内中央のみならず上方側にも存在する。ただし、図4又は図5に示すように、食器支持部材の両側で同一の位置固定部材3a又は位置固定部材3bを同じように配設するようにしてもよい。
【0022】
また、別の実施形態では、図6に示すような櫛歯形状の位置固定部材や、さらに、図7に示すように櫛歯形状が傾斜するような態様の位置固定部材であってもよい。さらに別の実施形態では、図8に示すように食器支持部材2が突起部分22を有し、この突起部分22が図8の位置固定部材3aに設けた穴に挿入する形態で食器支持部材2の位置止めがなされる形態であってもよい。
すなわち、食器支持部材2が位置固定部材3a,3bにおける選択可能な複数の制止位置で、食器支持部材の食器配列方向での動きが止まるよう位置決めできれば、位置固定部材3a,3bの形状及び配設向き等は問わない。
【0023】
次に、食器支持部材2の移動について説明する。
図9に示す食器支持部材2のA付近を上方に持ち上げると、食器支持部材2が貫通する開口部5b(より正確には、食器支持部材2が接触する開口部周囲縁の箇所)を回転中心として食器支持部材2が上方向に回動する。つまり、食器支持部材2は、図10から図11の状態になる。
【0024】
この回動を可能にするため、回転中心の開口部5bとは反対側の開口部5aの形状は、図示するとおり線状部材1aの軸径よりもはるかに大きな長径の略楕円形状の長孔である。この長径の大きさが食器支持部材2の回動量を規定することになる。回動の目的は食器支持部材2が現在挟まっている位置固定部材3aの櫛歯の溝から外れて、別の溝に挟まるように食器支持部材2の位置をずらすことであるので、食器支持部材2が位置固定部材3aの溝から外れる回動量でなければならない。同時に、回転中心がある側に配設した位置固定部材3bからも食器支持部材2が外れる回動量である必要がある。したがって、食器支持部材が両側の位置固定部材3a,3bの溝から外れるための回転角度を基に、開口部5aの長孔の径サイズを決定する。
【0025】
図10の場合、開口部5aの長孔は鉛直方向に沿って直線的な開口形状を成しているが、図12に示す長孔の開口部5aのように、開口部5bにおける回転中心から描かれる円弧にあわせて鉛直方向に対して傾斜する長孔であってもよい。
【0026】
なお、上記実施形態では、図1等が示すとおり、食器支持部材2の両側に開口部5a,5bがあり且つ食器支持部材2の両側に位置固定部材3a,3bを設ける構成であるが、開口部5bのみしかなく、そこに線状部材1bが貫通する構成であってもよい。開口部5bのみの場合、食器支持部材2の回動がし易くなる。このとき、開口部5bが存在する側と反対側(回転中心が存在しない側)に位置固定部材(即ち、位置固定部材3a)を配設させると食器支持部材が安定しやすくなるが、回転中心側に位置固定部材のみ(即ち、位置固定部材3b)を配設すること、或いは両側(即ち、位置固定部材3a,3b)の配設もあり得る。
つまり、位置固定部材が食器支持部材の少なくとも片側にあれば、その位置固定部材の溝や突起部と当接することで、当該位置固定部材の食器重ね方向の動きを制限できる。
【0027】
ただし、このような片側のみによる位置固定部材の構成は、食器支持部材2が食器の重ね方向に動くことを止める力が相対的に小さくなる。例えば、重量のある複数の数の食器が食器支持部材2に傾倒したとき、食器支持部材2が位置固定部材3a及び/又は位置固定部材3bの溝から外れてしまうことが発生しやすい。そのため、食器が食器支持部材2に傾倒したときの重さに耐えられる小型で軽量の食器を収容するときに、位置固定部材の片側配設を採用することが好ましい。
【0028】
(応用例)
上述した実施形態の食器カゴ100の場合、回転中心となる開口部5bの形状は線状部材1bが貫通できる当該線状部材1bの直径サイズよりも若干大きな穴径であるとしている。これは、食器支持部材2の回動を行う上で回転中心がずれないようにすることを意図していたからである。しかし、開口部5bの形状は必ずしも限定する必要はない。例えば、図13に示すように両側の開口部5a,5bの形状が長孔であっても本発明の目的を達成することができる。ただし、図13のような両側が長孔形状の開口部の場合は、長孔の大きさにもよるが、食器支持部材2を上方(食器の搬入出方向)に動かせば位置固定部材3a,3bからはずすことも可能となるので、回動なしで行うこともできることになる。
【0029】
また、食器支持部材2自体に貫通孔となる開口部を設けず、図14のように線状部材1bを通すことができる部品7食器支持部材2に一体的に取り付けて使用するようにしてもよい。図14のような食器支持部材2と線状部材1bとの関係であっても、本発明の目的を達成することができる。
【0030】
さらに、上述した実施形態では、線状部材1a及び/又は1bが通るときの開口部はいずれも、いわゆる閉じた孔として説明していた。少なくとも1つの線状部材が閉じた孔である開口部を通っていれば食器支持部材は食器カゴ本体から分離することはないので、他の線状部材については、図15に示すような開いた孔の開口部5aに通る形態であってもよい。
【0031】
なお、線状部材1a,1bは、滑らかな回動を実現するために通常は丸棒を使用するが、必ずしも丸棒に限定するものではなく、その断面形状が例えば矩形などであっても所定の回動が達成できる限り、任意の線状部材を選択し得る。
【符号の説明】
【0032】
1a 線状部材
1b 線状部材
2 食器支持部材
3a 位置固定部材
3b 位置固定部材
4 食器底板
5a 開口部
5b 開口部
6 持ち手
7 部品
100 食器カゴ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15