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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182121
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】洗浄時間算出方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643Z
H01L21/304 647A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095533
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】脇田 明日香
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恵理
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 賢二郎
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BB22
5F157BB45
5F157BF22
5F157CB32
5F157CC41
5F157CD04
5F157CD36
5F157CE82
5F157CF14
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF62
5F157CF99
5F157DC21
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】配管などの適切な洗浄時間を算出する。
【解決手段】洗浄時間算出方法は、基板を処理する処理ユニットの処理液を供給するための配管ラインを、洗浄液で満たす工程と、配管ライン内において第1の時刻までに生じた洗浄液中の不純物含有量の時間変化である第1の含有量変化と、配管ライン内において第1の時刻よりも後の時刻である第2の時刻までに生じた洗浄液中の不純物含有量の時間変化である第2の含有量変化とを測定する工程と、第1の含有量変化と第2の含有量変化との差異に基づいて、配管ラインのための洗浄時間を算出する工程とを備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理ユニットの処理液を供給するための配管ラインを、洗浄液で満たす工程と、
前記配管ライン内において第1の時刻までに生じた前記洗浄液中の不純物含有量の時間変化である第1の含有量変化と、前記配管ライン内において前記第1の時刻よりも後の時刻である第2の時刻までに生じた前記洗浄液中の不純物含有量の時間変化である第2の含有量変化とを測定する工程と、
前記第1の含有量変化と前記第2の含有量変化との差異に基づいて、前記配管ラインのための洗浄時間を算出する工程とを備える、
洗浄時間算出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄時間算出方法であり、
前記配管ラインを前記洗浄液で満たす工程が、すでに前記配管ライン内を満たしていた前記洗浄液を排液した後で、前記配管ラインを前記洗浄液で満たす工程である、
洗浄時間算出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄時間算出方法であり、
前記第1の含有量変化および前記第2の含有量変化が、前記洗浄液に含まれるパーティクルの含有量変化である、
洗浄時間算出方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の洗浄時間算出方法であり、
前記洗浄液が、前記基板を処理するための薬液である、
洗浄時間算出方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の洗浄時間算出方法であり、
前記洗浄液が、イソプロピルアルコールである、
洗浄時間算出方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の洗浄時間算出方法であり、
前記第1の含有量変化および前記第2の含有量変化を測定する工程が、前記洗浄時間が算出されるまで繰り返し行われる、
洗浄時間算出方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の洗浄時間算出方法であり、
算出された前記洗浄時間経過後に、前記処理ユニットにおいて前記基板の処理を開始する工程をさらに備える、
洗浄時間算出方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の洗浄時間算出方法であり、
前記配管ラインが、樹脂チューブを含む、
洗浄時間算出方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の洗浄時間算出方法であり、
前記配管ラインが、前記洗浄時間を算出する対象である測定ラインを一部に含み、
前記第1の含有量変化および前記第2の含有量変化を測定する工程が、
前記測定ラインの下流に位置する前記配管ライン内の前記洗浄液を排液した後で、前記測定ライン内の前記洗浄液を前記基板上に吐出する工程と、
前記洗浄液が吐出された前記基板を乾燥処理する工程と、
前記乾燥処理された前記基板上の不純物を検出する工程とを備える、
洗浄時間算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理に関連する洗浄時間の算出に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板処理装置の配管などの構成には樹脂部材が用いられている(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
上記のような基板処理装置の装置立ち上げ時またはパーツ交換時などでは、それぞれの構成が洗浄された後で基板処理が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-222189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように洗浄が行われた後でも、樹脂部材の内部などに残存する不純物が処理液中に流出する場合があり、洗浄が適切に行われることが重要である。
【0006】
しかしながら、洗浄直後の不純物含有量の測定だけでは、時間の経過とともに流出する不純物の有無を予測することは難しく、一方で、過度に長い洗浄時間は、基板処理の効率を低下させることとなる。
【0007】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、基板処理において、配管などの適切な洗浄時間を算出するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である洗浄時間算出方法は、基板を処理する処理ユニットの処理液を供給するための配管ラインを、洗浄液で満たす工程と、前記配管ライン内において第1の時刻までに生じた前記洗浄液中の不純物含有量の時間変化である第1の含有量変化と、前記配管ライン内において前記第1の時刻よりも後の時刻である第2の時刻までに生じた前記洗浄液中の不純物含有量の時間変化である第2の含有量変化とを測定する工程と、前記第1の含有量変化と前記第2の含有量変化との差異に基づいて、前記配管ラインのための洗浄時間を算出する工程とを備える。
【0009】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である洗浄時間算出方法は、第1の態様である洗浄時間算出方法に関連し、前記配管ラインを前記洗浄液で満たす工程が、すでに前記配管ライン内を満たしていた前記洗浄液を排液した後で、前記配管ラインを前記洗浄液で満たす工程である。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第3の態様である洗浄時間算出方法は、第1または2の態様である洗浄時間算出方法に関連し、前記第1の含有量変化および前記第2の含有量変化が、前記洗浄液に含まれるパーティクルの含有量変化である。
【0011】
本願明細書に開示される技術の第4の態様である洗浄時間算出方法は、第1から3のうちのいずれか1つの態様である洗浄時間算出方法に関連し、前記洗浄液が、前記基板を処理するための薬液である。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第5の態様である洗浄時間算出方法は、第1から4のうちのいずれか1つの態様である洗浄時間算出方法に関連し、前記洗浄液が、イソプロピルアルコールである。
【0013】
本願明細書に開示される技術の第6の態様である洗浄時間算出方法は、第1から5のうちのいずれか1つの態様である洗浄時間算出方法に関連し、前記第1の含有量変化および前記第2の含有量変化を測定する工程が、前記洗浄時間が算出されるまで繰り返し行われる。
【0014】
本願明細書に開示される技術の第7の態様である洗浄時間算出方法は、第1から6のうちのいずれか1つの態様である洗浄時間算出方法に関連し、算出された前記洗浄時間経過後に、前記処理ユニットにおいて前記基板の処理を開始する工程をさらに備える。
【0015】
本願明細書に開示される技術の第8の態様である洗浄時間算出方法は、第1から7のうちのいずれか1つの態様である洗浄時間算出方法に関連し、前記配管ラインが、樹脂チューブを含む。
【0016】
本願明細書に開示される技術の第9の態様である洗浄時間算出方法は、第1から8のうちのいずれか1つの態様である洗浄時間算出方法に関連し、前記配管ラインが、前記洗浄時間を算出する対象である測定ラインを一部に含み、前記第1の含有量変化および前記第2の含有量変化を測定する工程が、前記測定ラインの下流に位置する前記配管ライン内の前記洗浄液を排液した後で、前記測定ライン内の前記洗浄液を前記基板上に吐出する工程と、前記洗浄液が吐出された前記基板を乾燥処理する工程と、前記乾燥処理された前記基板上の不純物を検出する工程とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1の態様によれば、不純物の含有量変化の時間推移に基づいて、測定ラインの適切な洗浄時間を算出することができる。
【0018】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を概略的に示す平面図である。
図2図1に例が示された制御部の構成の例を示す図である。
図3】実施の形態に関する基板処理装置における、処理ユニットおよびその関連する構成の例を概略的に示す側面図である。
図4】基板処理装置の動作のうちの、処理ユニットにおける動作を示すフローチャートである。
図5】配管ラインに使われる樹脂部材に混入している不純物が処理液中に混入する様子の例を概念的に示す図である。
図6】配管ラインに使われる樹脂部材に混入している不純物が処理液中に混入する様子の例を概念的に示す図である。
図7】測定ラインの洗浄時間を算出するための、測定ラインにおける洗浄液の不純物含有量を測定するタイミングの例を示す図である。
図8】洗浄液における不純物含有量の変化を評価した実験結果を示す図である。
図9】図に示されたそれぞれの点線の傾きをプロットした図である。
図10】本実施の形態に関する、処理ユニットおよびその関連する構成の例を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0021】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0022】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0023】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0024】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0025】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0026】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「Aの上面に設けられるB」と記載される場合、AとBとの間に別の構成要素「C」が介在することを妨げるものではない。
【0027】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置の構成、および、洗浄時間算出方法について説明する。
【0028】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置1の構成の例を概略的に示す平面図である。基板処理装置1は、ロードポート601と、インデクサロボット602と、センターロボット603と、制御部90と、少なくとも1つの処理ユニット600(図1においては4つの処理ユニット)とを備える。
【0029】
処理ユニット600は、基板処理に用いることができる枚葉式の装置であり、具体的には、基板Wに付着している有機物を除去する処理を行う装置である。基板Wに付着している有機物は、たとえば、使用済のレジスト膜である。当該レジスト膜は、たとえば、イオン注入工程用の注入マスクとして用いられたものである。
【0030】
なお、処理ユニット600は、チャンバ180を有することができる。その場合、チャンバ180内の雰囲気を制御部90によって制御することで、処理ユニット600は、所望の雰囲気中における基板処理を行うことができる。
【0031】
制御部90は、基板処理装置1におけるそれぞれの構成(後述のスピンモータ10D、アクチュエータ22C、バルブ25など)の動作を制御することができる。キャリアCは、基板Wを収容する収容器である。また、ロードポート601は、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボット602は、ロードポート601と基板載置部604との間で基板Wを搬送することができる。センターロボット603は、基板載置部604および処理ユニット600間で基板Wを搬送することができる。
【0032】
以上の構成によって、インデクサロボット602、基板載置部604およびセンターロボット603は、それぞれの処理ユニット600とロードポート601との間で基板Wを搬送する搬送機構として機能する。
【0033】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボット602によって取り出される。そして、未処理の基板Wは、基板載置部604を介してセンターロボット603に受け渡される。
【0034】
センターロボット603は、当該未処理の基板Wを処理ユニット600に搬入する。そして、処理ユニット600は基板Wに対して処理を行う。
【0035】
処理ユニット600において処理済みの基板Wは、センターロボット603によって処理ユニット600から取り出される。そして、処理済みの基板Wは、必要に応じて他の処理ユニット600を経由した後、基板載置部604を介してインデクサロボット602に受け渡される。インデクサロボット602は、処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上によって、基板Wに対する処理が行われる。
【0036】
図2は、図1に例が示された制御部90の構成の例を示す図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)91、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)92、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)93、記録装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0037】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記録装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記録装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、ユーザーから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部97は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0038】
記録装置94には、図1の基板処理装置1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、外部の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0039】
<処理ユニットについて>
図3は、本実施の形態に関する基板処理装置1における、処理ユニット600およびその関連する構成の例を概略的に示す側面図である。
【0040】
処理ユニット600は、1枚の基板Wを略水平姿勢で保持しつつ、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線Z1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック10と、基板Wの上面に処理液120を吐出する処理液ノズル20と、処理液ノズル20に処理液120を供給する処理液供給源29と、処理液供給源29から処理液ノズル20へ処理液120を供給するための配管28と、配管28に設けられ、かつ、配管28内を流れる処理液120の供給量を調整するバルブ25およびバルブ26と、処理液ノズル20が端部に取り付けられたノズルアーム22と、基板Wの上面に向けられたパーティクル検出器702と、基板Wの回転軸線Z1まわりにスピンチャック10を取り囲む筒状の処理カップ12とを備える。
【0041】
処理液120は、基板処理に使われる薬液および基板を洗浄する洗浄液を含み、たとえば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、純水(DIW)、過酸化水素水、有機酸(たとえば、クエン酸、または、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)など)、IPA(イソプロピルアルコール)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液であってもよい。これらを混合した薬液の例としては、硫酸と過酸化水素水との混合溶液(SPM)、アンモニアと過酸化水素水との混合液(SC1)、フッ化水素酸(HF)を純水で希釈した希フッ酸(DHF)などが挙げられる。
【0042】
配管28の一部は、測定ライン28Aに相当する。バルブ25は、測定ライン28Aよりも上流に位置する。また、バルブ26は、測定ライン28Aよりも下流に位置する。すなわち、測定ライン28Aは、バルブ25とバルブ26とに挟まれる範囲の配管28である。測定ライン28Aは、後述の洗浄時間算出のための測定対象となる部分であり、たとえば、パーツ交換などによって取り替えられる部分であってもよい。
【0043】
上記の処理液供給源29、(測定ライン28Aを含む)配管28、バルブ25、バルブ26および処理液ノズル20を、処理液120が基板Wに供給されるための配管ラインと称する。
【0044】
配管ラインの処理液120に接触する部分には、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)などのフッ素系樹脂が使われている。配管28は、たとえば樹脂チューブである。
【0045】
パーティクル検出器702は、基板Wの上面に向けられたカメラなどの撮像部を備え、制御部90の制御によって基板Wの上面の画像を撮像する。パーティクル検出器702には、たとえば、time delay integration(TDI)カメラなどが備えられる。そして、得られた画像データを制御部90に出力して、画像解析によって基板Wの上面にパーティクルなどの不純物が残存していないかを検出する。当該画像解析には、機械学習アルゴリズムが適用されてもよい。
【0046】
スピンチャック10は、略水平姿勢の基板Wの下面に対向する円板状のスピンベース10Aと、スピンベース10Aの外周部から基板Wを挟持する複数のチャックピン10Eと、スピンベース10Aの中央部から下方に延びる回転軸10Cと、回転軸10Cを回転させることによって、スピンベース10Aに保持されている基板Wを回転させるスピンモータ10Dとを備える。複数のチャックピン10Eは、円形の基板Wの円周上に沿って、均等な間隔をあけて配置される。なお、スピンチャック10の代わりに、基板Wの下面を真空吸着する吸着式のチャックが用いられてもよい。
【0047】
ノズルアーム22は、アーム部22Aと、軸体22Bと、アクチュエータ22Cとを備える。アクチュエータ22Cは、軸体22Bの軸周りの角度を調整する。アーム部22Aの一方の端部は軸体22Bに固定されており、アーム部22Aの他方の端部は軸体22Bの軸から離れて配置される。また、アーム部22Aの他方の端部には、処理液ノズル20が取り付けられている。アクチュエータ22Cによる軸体22Bの角度調整によって、処理液ノズル20は、基板Wの径方向に揺動可能に構成される。なお、揺動による処理液ノズル20の移動方向は、基板Wの径方向の成分を有していればよく、基板Wの径方向に厳密に平行である必要はない。
【0048】
また、上記の例では、処理ユニット600におけるノズルの数は1つとされているが、基板Wに処理液を吐出するためのノズルがさらに備えられていてもよい。
【0049】
<基板処理装置の動作について>
次に、基板処理装置1の動作の例について、図4を参照しつつ説明する。なお、図4は、基板処理装置1の動作のうちの、処理ユニット600における動作を示すフローチャートである。
【0050】
インデクサロボット602は、ロードポート601におけるキャリアCから基板載置部604に基板Wを搬送する。センターロボット603は、基板載置部604から1つの処理ユニット600に基板Wを搬送する。処理ユニット600は、基板Wを処理する。センターロボット603は、処理ユニット600から基板載置部604に基板Wを搬送する。インデクサロボット602は、基板載置部604からロードポート601におけるキャリアCに基板Wを搬送する。
【0051】
処理ユニット600における基板処理としては、まず、基板Wの上面に処理液ノズル20から薬液を供給して所定の薬液処理を行う(図4におけるステップST01)。その後、基板Wの上面に処理液ノズル20から純水(DIW)などを供給してリンス処理を行う(図4におけるステップST02)。さらに、純水を処理液ノズル20から供給されたIPA(イソプロピルアルコール)に置換した上で、基板Wをスピンチャック10で高速回転させることによってIPAを振り切る。それによって基板Wを乾燥させる(図4におけるステップST03)。
【0052】
上記の基板処理のうち、薬液処理においては、スピンチャック10に保持され、かつ、回転している基板Wの上面に、処理液ノズル20から所定の処理液が吐出される。処理液ノズル20から吐出される処理液の種類、吐出量、濃度、温度または吐出タイミングなどは、記録装置94などに記録されている処理レシピに基づいて制御部90によって制御される。
【0053】
<配管ラインにおける不純物について>
上記のように、配管ラインの処理液120に接触する部分には、フッ素系樹脂が使われている。当該樹脂部材には製造過程で混入した不純物(金属の粉塵などを含むパーティクル)が含まれているため、基板処理に先立って当該不純物を除去しておくことが重要である。
【0054】
図5および図6は、配管ラインに使われる樹脂部材に混入している不純物が処理液120中に混入する様子の例を概念的に示す図である。
【0055】
図5に例が示されるように、樹脂部材101は、複数の塊状樹脂102によって構成されている。塊状樹脂102は、単一のポリマー分子または複数個のポリマー分子によって構成されている。樹脂部材101の表面には、不純物103が付着している。不純物103は、樹脂部材101の表面だけでなく、樹脂部材101の内部にも存在する。
【0056】
以下では、樹脂部材101の表面に付着している不純物103を不純物103Aとし、樹脂部材101の内部に存在する不純物103を不純物103Bとする。不純物103Bは、主に塊状樹脂102同士の間に存在している。
【0057】
不純物103は、たとえば、樹脂部材101が射出成形によって形成される際に、樹脂部材101の内部に入り込む。不純物103は、パーティクルとも呼ばれ、たとえば、有機物である。
【0058】
常温の洗浄液120Aで樹脂部材101を洗浄すると、図6に例が示されるように、樹脂部材101の表面に付着している不純物103Aを洗浄液120A中に溶出させる、または、液流で洗浄液120A中に流出させることによって除去することができる。
【0059】
しかしながら、図6に例が示されるように、樹脂部材101の内部に存在する不純物103Bの少なくとも一部は、除去されずに樹脂部材101の内部に残存してしまう。これらの残存した不純物103Bは、時間の経過とともに徐々に洗浄液120A中または基板処理に使われる薬液中に溶出または流出する。
【0060】
処理液120中に不純物を混入させないためには、配管ラインの十分な洗浄が必要となる。しかしながら、どの程度の時間の洗浄が必要となるかを特定することが困難であり、必要以上に長い時間をかけて洗浄が行われる場合もある。
【0061】
本実施の形態では、配管ラインの洗浄時間を効果的に算出する方法を述べる。
【0062】
<洗浄時間の算出について>
本実施の形態では、配管ラインのうち、図3に示される測定ライン28Aの洗浄時間を算出する場合について、図3を参照しつつ説明する。
【0063】
図7は、測定ライン28Aの洗浄時間を算出するための、測定ライン28Aにおける洗浄液の不純物含有量を測定するタイミングの例を示す図である。図7において、横軸は、測定ライン28Aが洗浄液で満たされて浸漬している時間の長さを示す。また、浸漬時間は、測定ライン28Aが連続して浸漬している場合に限られるものではなく、途中途切れてもよいものとする。
【0064】
まず、バルブ25およびバルブ26を開いて処理液供給源29から洗浄液を流し、測定ライン28Aを含む配管28内を洗浄液で満たす。
【0065】
次に、バルブ25およびバルブ26を閉じて、バルブ26よりも下流に位置する配管28内および処理液ノズル20内の洗浄液を、図示しない待機ポッドなどへ排液する。なお、当該排出のタイミングは、後述の測定ライン28A内の洗浄液を吐出するタイミングの前であれば、いずれのタイミングであってもよい。
【0066】
次に、測定ライン28A内が洗浄液で満たされて浸漬している時間があらかじめ定められた時間となった時点でバルブ26を開いて、測定ライン28A内を満たしていた洗浄液を基板Wの上面に吐出する。なお、洗浄液が吐出される当該基板Wは、測定ライン28Aの洗浄時間の算出のために用いられる、テスト用の基板などであってもよい。
【0067】
ここで、測定ライン28A内の浸漬時間としては、0時間(すなわち、浸漬開始直後に、洗浄液を吐出する場合)のほかに少なくとも2種類の浸漬時間(たとえば、x時間、y時間)が設定される必要がある。
【0068】
本実施の形態では、配管28内の処理液120のフラッシング(予備吐出)を行った後で、0時間、x時間、y時間の順に浸漬時間を設定し、さらに、再度配管28内のフラッシングを行った後で、0時間、x時間、y時間の順に浸漬時間を設定するというように、フラッシングと浸漬とを繰り返す。x時間、y時間の浸漬時間を設定する際にも、測定ライン28A内の洗浄液はその都度吐出される。なお、測定ライン28A内の洗浄液の不純物含有量の検出が可能であれば、フラッシングおよび排液を行うことは必須ではないが、フラッシングおよび排液を行うことによって、それぞれの浸漬時間の管理が容易となる。
【0069】
あらかじめ定められた時間となった時点で基板Wの上面に吐出された上記の洗浄液のそれぞれについては、不純物含有量が検出される。不純物含有量の検出は、後述の洗浄時間が算出されるまで繰り返し行われる。
【0070】
具体的には、洗浄液が吐出された基板Wは、スピンチャック10で高速回転されて乾燥処理が行われる。そして、乾燥処理の後で基板Wの上面に残存する不純物(パーティクル)を、パーティクル検出器702で検出する。上記の乾燥処理を行う観点で、洗浄液としては、IPA(イソプロピルアルコール)を採用することができる。
【0071】
図8は、洗浄液における不純物含有量の変化を評価した実験結果を示す図である。図8において、縦軸が洗浄液における不純物含有量(相対値)を示し、横軸が測定ライン28Aの浸漬時間[h]を示す。
【0072】
また、図8においては、処理液120のフラッシング後に0時間、x時間、y時間の順に測定された不純物含有量を1セットとし、同一セットの不純物含有量の測定結果同士(具体的には、0時間後の測定結果およびy時間後の測定結果)を点線で結んでいる。当該点線の傾きは、洗浄液における不純物含有量の時間変化(含有量変化)に相当する。
【0073】
図8における白丸の点は、浸漬時間が8a時間程度である場合の排液から0時間後の測定結果および排液から3a時間後の測定結果を示す。また、図8における白三角の点は、浸漬時間が30a時間程度である場合の排液から0時間後の測定結果および排液から3a時間後の測定結果を示す。また、図8における黒丸の点は、浸漬時間が50a時間程度である場合の排液から0時間後の測定結果および排液から3a時間後の測定結果を示す。また、図8における黒三角の点は、浸漬時間が180a時間程度である場合の排液から0時間後の測定結果および排液から3a時間後の測定結果を示す。図8においては、互いに異なる時刻までの不純物の含有量変化が4セット示されていることになる。
【0074】
図8に示されたように、浸漬時間が長くなるにしたがって、同一セットの測定結果同士を結ぶ点線の傾きは小さくなっている。すなわち、浸漬時間が長くなるにしたがって、不純物の含有量変化が小さくなっている。
【0075】
図9は、図8に示されたそれぞれの点線の傾きをプロットした図である。図9において、縦軸が図8における点線の傾き(相対値)を示し、横軸が浸漬時間[h]を示す。
【0076】
図8に示された4つの点線の傾きをプロットすると図9に示されるような配置となり、これらのプロットの近似直線300を示すことができる。なお、プロット間の関係を示す近似線は、直線である場合に限られるものではなく、たとえば、フィッティングなどによって求められる近似曲線であってもよい。
【0077】
図9に示されるように、近似直線300は、時間の経過とともに対応する傾きの値が小さくなっている。すなわち、洗浄液における不純物の含有量変化が時間とともに鈍化している。ここで、洗浄液における不純物の含有量変化がほとんどないと考えられる傾きのしきい値(図9では、傾き1とする)を設定すると、近似直線300が当該しきい値以下となる時点を、測定ライン28Aの適切な洗浄時間とすることができる。すなわち、不純物の含有量変化の時間推移に基づいて、測定ライン28Aの適切な洗浄時間を算出することができる。
【0078】
なお、上記のプロットが適切な近似直線300を示すまで(すなわち、要請される精度で洗浄時間を算出するために十分な数のプロット数が揃うまで)、洗浄液の不純物含有量の検出が繰り返される。言い換えれば、十分な精度で洗浄時間が算出された後は、洗浄液の不純物含有量の検出は不要である。そのため、過度な洗浄液の吐出および洗浄液における不純物含有量の検出を防ぐことができる。
【0079】
上記の方法によれば、複数の時点における、洗浄液の不純物含有量の時間変化に基づいて近似直線300を算出し、さらに、近似直線300の値がしきい値以下となる時点を算出することによって、測定ライン28Aの洗浄時間を推測することができる。よって、樹脂部材に製造過程で混入する不純物が流出するという樹脂部材特有の問題に対しても過度に長い洗浄時間を設定する必要がなくなり、基板処理の効率が高まる。
【0080】
また、測定ライン28Aの洗浄時間を推測することができるため、測定ライン28Aの洗浄時間を含む基板処理を自動的に実行して、作業効率を高めることもできる。
【0081】
たとえば、まず、基板処理装置1全体における、パーツ交換などが行われる箇所を測定ライン28Aとして特定する。そして、制御部90の制御によって、処理液供給源29から測定ライン28Aへ洗浄液が供給される。
【0082】
次に、制御部90の制御によって、異なる浸漬時間となるタイミングで測定ライン28Aから洗浄液が吐出され、さらに、パーティクル検出器702によって、吐出された洗浄液中の不純物含有量が測定される。そして、パーティクル検出器702から出力される洗浄液中の不純物含有量と、バルブなどの制御情報から得られる対応する浸漬時間との情報が、制御部90へ入力される。
【0083】
制御部90は、入力された不純物含有量と対応する浸漬時間との情報に基づいて、複数の時点における不純物含有量の時間変化を算出する。そして、制御部90は、図9に示されるようなグラフを作成して、近似直線が、あらかじめ定められたしきい値を下回る時間、すなわち、測定ライン28Aの洗浄時間を算出する。
【0084】
そして、制御部90は、算出された洗浄時間が、現時点で測定ライン28Aが洗浄液に浸漬した積算時間よりも長いか否かを判定する。そして、制御部90は、算出された洗浄時間が、測定ライン28Aが浸漬した積算時間よりも長い場合には、算出された洗浄時間に達するまで、測定ライン28Aの浸漬を続行させる。一方で、制御部90は、算出された洗浄時間が、測定ライン28Aが浸漬した積算時間よりも短い場合には、測定ライン28Aの浸漬を終了させて、基板処理に自動的に移行させる。
【0085】
<不純物の検出について>
上記では、基板W上に吐出された洗浄液から、パーティクル検出器702によってパーティクルが検出されたが、測定ライン28A内においてパーティクルが検出されてもよい。
【0086】
図10は、本実施の形態に関する、処理ユニット600Aおよびその関連する構成の例を概略的に示す側面図である。図10に示される構成は、図3におけるパーティクル検出器702がパーティクルカウンター704に変更されている以外は、図3における構成と同様である。
【0087】
図10に例が示されるように、パーティクルカウンター704は、光学式のパーティクル測定器であり、測定ライン28Aに接続される。そして、パーティクルカウンター704は、測定ライン28A内の洗浄液をサンプリングして、サンプリングされた当該洗浄液内に存在するパーティクルを、洗浄液の測定によって得られた応答波長などに基づいて検出する。
【0088】
このような構成によれば、洗浄液を処理液ノズル20から吐出せずに、測定ライン28A内において連続して不純物含有量の検出ができる。この場合、測定ライン28Aの浸漬は連続して行うことができ、浸漬の開始時刻と共通とし、設定された浸漬時間に到達した時点でその都度、対応する不純物含有量が検出されればよい。
【0089】
また、基板処理装置1の構成のうちの一部の構成を新たに交換した場合に、過去に交換された同様の構成に関して既に算出された洗浄時間を基準として、新たに交換した構成に関する洗浄時間を算出することができる。そのようにすれば、洗浄時間の算出のために効果的なタイミングで不純物含有量の測定を行うことができる。そのため、洗浄時間の算出に必要な測定の回数を減らすことができる。
【0090】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0091】
以上に記載された実施の形態によれば、洗浄時間算出方法において、基板Wを処理する処理ユニット600の処理液を供給するための配管ラインを、洗浄液で満たす。そして、配管ライン内において第1の時刻までに生じた洗浄液中の不純物含有量の時間変化である第1の含有量変化(たとえば、図8における白丸の点同士を結ぶ含有量の時間変化)と、配管ライン内において第1の時刻よりも後の時刻である第2の時刻までに生じた洗浄液中の不純物含有量の時間変化である第2の含有量変化(たとえば、図8における黒丸の点同士を結ぶ含有量の時間変化)とを測定する。そして、第1の含有量変化と第2の含有量変化との差異(たとえば、図9における白丸のプロットから黒丸のプロットへと低下する含有量変化の時間推移)に基づいて、配管ラインのための洗浄時間を算出する。
【0092】
このような構成によれば、不純物の含有量変化の時間推移に基づいて、測定ライン28Aの適切な洗浄時間を算出することができる。
【0093】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0094】
また、以上に記載された実施の形態によれば、配管ラインを洗浄液で満たす工程が、すでに配管ライン内を満たしていた洗浄液を排液(すなわち、浸漬時間の基準となるフラッシング、または、浸漬時間切り替えのタイミングでの排液)した後で、配管ラインを洗浄液で満たす工程である。このような構成によれば、それぞれの浸漬時間の管理が容易となる。
【0095】
また、以上に記載された実施の形態によれば、第1の含有量変化および第2の含有量変化が、洗浄液に含まれるパーティクルの含有量変化である。このような構成によれば、パーティクルの含有量変化の時間推移に基づいて、測定ライン28Aの適切な洗浄時間を算出することができる。
【0096】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄液が、基板Wを処理するための薬液である。このような構成によれば、基板処理に使われる薬液を配管ラインの浸漬にも流用することができる。
【0097】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄液が、イソプロピルアルコールである。このような構成によれば、不純物含有量の検出の前処理として乾燥処理を行う場合であっても、基板Wに与えるダメージを抑制しつつ、不純物含有量の検出を行うことができる。
【0098】
また、以上に記載された実施の形態によれば、第1の含有量変化および第2の含有量変化を測定する工程が、洗浄時間が算出されるまで繰り返し行われる。このような構成によれば、十分な精度で洗浄時間が算出された後は、洗浄液の不純物含有量の検出は不要となるため、過度な洗浄液の吐出および洗浄液における不純物含有量の検出を防ぐことができる。
【0099】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄時間算出方法において、算出された洗浄時間経過後に、処理ユニット600において基板Wの処理を開始する。このような構成によれば、算出された測定ライン28Aの洗浄時間経過をトリガーとして、基板処理を自動的に実行することができるため、作業効率を高めることもできる。
【0100】
また、以上に記載された実施の形態によれば、配管ラインが、樹脂チューブを含む。このような構成によれば、樹脂部材に製造過程で混入する不純物が流出するという樹脂部材特有の問題に対しても、適切に洗浄時間を設定することができる。
【0101】
また、以上に記載された実施の形態によれば、配管ラインが、洗浄時間を算出する対象である測定ライン28Aを一部に含む。そして、第1の含有量変化および第2の含有量変化を測定する工程が、測定ライン28Aの下流に位置する配管ライン内の洗浄液を排液した後で、測定ライン28A内の洗浄液を基板W上に吐出する工程と、洗浄液が吐出された基板Wを乾燥処理する工程と、乾燥処理された基板W上の不純物を検出する工程とを備える。このような構成によれば、配管ライン中の任意の箇所に限定して、適切な洗浄時間を算出することができる。また、基板Wの上面において乾燥処理をした上で不純物を検出することができるため、洗浄液が残存する状態よりも高い精度で不純物を検出することができる。
【0102】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
上記の実施の形態では、配管ラインの一部である測定ライン28Aが洗浄時間算出の対象とされたが、測定ライン28Aの場所は図3に示された場合に限られず、また、洗浄時間算出の対象が、ある処理液が流れる配管ライン全体であってもよい。なお、配管ライン全体の洗浄時間を算出する場合は、測定ライン28Aの下流側の洗浄液をあらかじめ排液する必要はない。
【0103】
また、上記の実施の形態では、測定ライン28A内に洗浄液が留まることによって浸漬が行われたが、測定ライン28A内側の樹脂部材が洗浄液に接触していればよく、たとえば、測定ライン28A内を洗浄液が通流することによって浸漬する場合であってもよい。
【0104】
また、上記の実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0105】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0106】
また、以上に記載された少なくとも1つの実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0107】
28 配管
28A 測定ライン
103 不純物
103A 不純物
103B 不純物
120 処理液
120A 洗浄液
600 処理ユニット
600A 処理ユニット
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10