(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182136
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ユーザ情報更新支援システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231219BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095559
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン,フエン・ティタン
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信治
(72)【発明者】
【氏名】野尻 周平
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄一郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザの情報の正確かつ利便性の高い更新を支援する。
【解決手段】個人端末が、いずれかのサービスプロバイダを変更先サービスプロバイダとしてその変更先サービスプロバイダに登録されているユーザ情報が変更されると、ユーザのユーザ情報が登録されているサービスプロバイダの中から、変更先サービスプロバイダで変更されたユーザ情報に相当するユーザ情報が登録されているサービスプロバイダを関連サービスプロバイダとして抽出し、変更先サービスプロバイダの信頼度を管理装置に問合せし、管理装置が、サービスプロバイダ情報に基づいて、変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して個人端末に通知し、個人端末が、信頼度に基づいて変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダを決定し、変更を反映させるべき関連サービスプロバイダにユーザ情報の変更を依頼する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ情報の登録を要するサービスを提供するサービスプロバイダにおける個人情報の更新を支援するユーザ情報更新支援システムであって、
サービスプロバイダに関する情報を管理する管理装置と、
前記管理装置と通信可能でありユーザにより用いられる個人端末と、
を有し、
前記管理装置が、予め、サービスプロバイダの信頼度を特定することを可能にするサービスプロバイダ情報を記憶し、
前記個人端末が、
前記ユーザが前記サービスに登録したユーザ情報を前記サービスプロバイダ毎に記憶し、
いずれかのサービスプロバイダを変更先サービスプロバイダとして該変更先サービスプロバイダに登録されているユーザ情報が変更されると、前記ユーザのユーザ情報が登録されているサービスプロバイダの中から、前記変更先サービスプロバイダで変更された前記ユーザ情報に相当するユーザ情報が登録されているサービスプロバイダを関連サービスプロバイダとして抽出し、
前記変更先サービスプロバイダの信頼度を前記管理装置に問合せし、
前記管理装置が、前記サービスプロバイダ情報に基づいて、前記変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して前記個人端末に通知し、
前記個人端末が、
前記信頼度に基づいて前記変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダを決定し、
前記変更を反映させるべき関連サービスプロバイダにユーザ情報の変更を依頼する、
ユーザ情報更新支援システム。
【請求項2】
前記サービスプロバイダ情報は、サービスプロバイダが他のサービスプロバイダをどの程度信頼できるかを設定したサービスプロバイダ設定情報を含み、
前記管理装置が、前記サービスプロバイダ設定情報に基づいて、前記関連サービスプロバイダにとっての前記変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して前記個人端末に通知する、
請求項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【請求項3】
前記管理装置は、サービスプロバイダの提供するサービスの性質に基づいて、前記変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して前記個人端末に通知する、
請求項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【請求項4】
前記サービスプロバイダ情報は、サービスプロバイダが他のサービスプロバイダにおける変更を自身に反映させることを設定したサービスプロバイダ設定情報を含み、
前記管理装置が、前記サービスプロバイダ設定情報に基づいて、前記変更先サービスプロバイダにおける変更を前記関連サービスプロバイダに反映させるべきことを表す信頼度を特定して前記個人端末に通知する、
請求項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【請求項5】
前記個人端末は、
前記信頼度に基づいて前記変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダの候補を選定して前記ユーザに提示し、
前記ユーザの指示に基づいて、前記変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダを決定する、
請求項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【請求項6】
前記管理装置は、
前記変更先サービスプロバイダの信頼度を算出すると有効期限を定めて記録し、
前記有効期限内であれば、記録してある前記信頼度を前記個人端末に通知する、
請求項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【請求項7】
前記サービスプロバイダ情報は、前記変更を反映させる依頼の通知を受けるタイミングを指定したサービスプロバイダ設定情報を含み、
前記管理装置は、前記変更先サービスプロバイダの信頼度とともに、前記関連サービスプロバイダの指定したタイミングに関する情報を、前記個人端末に通知し、
前記個人端末は、前記変更を反映させるべき関連サービスプロバイダにユーザ情報の変更の通知を、指定された前記タイミングに送信する、
請求項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【請求項8】
ユーザ情報の登録を要するサービスを提供するサービスプロバイダにおける個人情報の更新を支援するためのユーザ情報更新支援方法であって、
サービスプロバイダに関する情報を管理する管理装置が、予め、サービスプロバイダの信頼度を特定することを可能にするサービスプロバイダ情報を記憶し、
管理装置と通信可能でありユーザにより用いられる個人端末が、
前記ユーザが前記サービスに登録したユーザ情報を前記サービスプロバイダ毎に記憶し、
いずれかのサービスプロバイダを変更先サービスプロバイダとして該変更先サービスプロバイダに登録されているユーザ情報が変更されると、前記ユーザのユーザ情報が登録されているサービスプロバイダの中から、前記変更先サービスプロバイダで変更された前記ユーザ情報に相当するユーザ情報が登録されているサービスプロバイダを関連サービスプロバイダとして抽出し、
前記変更先サービスプロバイダの信頼度を前記管理装置に問合せし、
前記管理装置が、前記サービスプロバイダ情報に基づいて、前記変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して前記個人端末に通知し、
前記個人端末が、
前記信頼度に基づいて前記変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダを決定し、
前記変更を反映させるべき関連サービスプロバイダにユーザ情報の変更を依頼する、
ユーザ情報更新支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザ情報の更新を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
公共機関、金融機関、販売サイトなど様々なサービス提供者によってネットワーク上で提供されるサービスには、ユーザにそのサービスを利用するためにユーザの個人情報を登録することが要求されるものが多い。個人情報にはユーザの属性などの情報が含まれる。各サービスにはそれぞれに必要な情報があり、その一方で複数のサービスに共通に必要な情報もある。
【0003】
ユーザは、様々なサービス提供者のそれぞれに、重複する部分を含んだ個人情報を登録することになる。個人情報に含まれる何等かの情報に変更があった場合、ユーザはサービス提供者に登録した個人情報を更新することが求められる。例えば、ユーザのある1つの属性に変更があった場合に、ユーザは、その属性の情報を含む複数のサービス提供者に対して個人情報の更新を行う必要がある。
【0004】
特許文献1には、個人情報の更新を効率化する技術が開示されている。特許文献1の技術において、個人情報バンクは、ユーザ装置のユーザの個人情報を記憶する。個人情報バンクは、ユーザの要求に応じて、自装置で記憶するユーザの個人情報を更新する。個人情報バンクは、ユーザの個人情報を管理する1つ以上の主体のうち個人情報を更新するべき主体を指定する反映指示をユーザから受け付ける。個人情報バンクは、更新されたユーザの個人情報を上記反映指示で指定された主体の装置(企業装置)へ送信することにより、当該主体で管理されるユーザの個人情報を更新する。
【0005】
特許文献2には、個人情報を管理し、要求に応じて配信する技術が開示されている。特許文献2に開示された公共サービスとしての個人情報配信システムは、個人端末と、個人情報利用機関処理装置と、個人情報提供機関処理装置と、個人情報配信先管理機関処理装置とがネットワークを介して接続されている。個人端末は、個人情報提供機関処理装置へ個人情報配信を要求するための情報を入力する。個人情報提供機関処理装置は、個人情報と配信先情報を個人情報配信先管理機関処理装置へ送信する。個人情報配信先管理機関処理装置は、配信先情報をもとに個人情報を個人情報利用機関処理装置へ配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-061468号公報
【特許文献2】特開2008-140199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サービス提供者においては個人情報の正確さが求められる。しかしながら、特許文献1には、更新された個人情報が正確であるか否かを確認することが開示されていない。また、特許文献2には、受け取った個人情報が正当な機関から配信されたものであるか否かをサービス提供者が確認することについて開示されていない。
【0008】
本開示のひとつの目的は、ユーザの情報の正確かつ利便性の高い更新を支援する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に含まれるひとつの態様に従うユーザ情報更新支援システムは、ユーザ情報の登録を要するサービスを提供するサービスプロバイダにおける個人情報の更新を支援するユーザ情報更新支援システムであって、サービスプロバイダに関する情報を管理する管理装置と、前記管理装置と通信可能でありユーザにより用いられる個人端末と、を有している。前記管理装置が、予め、サービスプロバイダの信頼度を特定することを可能にするサービスプロバイダ情報を記憶し、前記個人端末が、前記ユーザが前記サービスに登録したユーザ情報を前記サービスプロバイダ毎に記憶し、いずれかのサービスプロバイダを変更先サービスプロバイダとして該変更先サービスプロバイダに登録されているユーザ情報が変更されると、前記ユーザのユーザ情報が登録されているサービスプロバイダの中から、前記変更先サービスプロバイダで変更された前記ユーザ情報に相当するユーザ情報が登録されているサービスプロバイダを関連サービスプロバイダとして抽出し、前記変更先サービスプロバイダの信頼度を前記管理装置に問合せし、前記管理装置が、前記サービスプロバイダ情報に基づいて、前記変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して前記個人端末に通知し、前記個人端末が、前記信頼度に基づいて前記変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダを決定し、前記変更を反映させるべき関連サービスプロバイダにユーザ情報の変更を依頼する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に含まれるひとつの態様によれば、ユーザの情報の正確かつ利便性の高い更新を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】個人情報更新支援システムのブロック図である。
【
図2】個人情報更新支援システムの全体処理の概略シーケンス図である。
【
図3】変更情報解析部の処理を示すフローチャートである。
【
図4】変更情報解析処理の一例について説明するための図である。
【
図5】SP情報提供部の処理を示すフローチャートである。
【
図6】SP信頼度計算部の処理を示すフローチャートである。
【
図8】個人端末内のデータベースの構成例を示す図である。
【
図9】SP情報管理装置のデータベースの構成例を示す図である。
【
図10】SP情報設定ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【
図11】個人情報設定ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【
図12】検知された個人情報の変更内容の一例を示す図である。
【
図13】関連SPへの変更通知の一例を示す図である。
【
図14】SP情報変更部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態による個人情報更新支援システムのブロック図である。
【0014】
本実施形態の個人情報更新支援システム10は、ユーザ60が各種のサービス提供者(以下「SP」ともいう)40に対して登録したユーザ情報を更新する作業を支援する。ユーザ情報の一例が個人情報である。個人情報更新支援システム10は個人端末20とSP情報管理装置30とを含んだ構成である。
【0015】
個人端末20は、個々のユーザ60が利用するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。個人端末20は、個人情報設定ユーザインタフェース(以下「UI」ともいう)UI21、変更検知部22、変更情報解析部23、SP情報変更部24、変更情報解析結果配信部25、個人情報データベース(以下「DB」ともいう)26、および変更履歴DB27を有している。上述したように個人端末20は一例としてコンピュータであり、ハードウェアとしては、一例として、プロセッサ、メモリ、記憶装置、入出力装置等を備えている。個人情報DB26および変更履歴DB27は記憶装置に格納される。プロセッサがメモリを利用してソフトウェアプログラムを実行することにより、個人情報設定UI21、変更検知部22、変更情報解析部23、SP情報変更部24、および変更情報解析結果配信部25が実現される。個人情報データベース26および変更履歴DB27の構成、個人情報設定UI21、変更検知部22、変更情報解析部23、SP情報変更部24、および変更情報解析結果配信部25の動作等については後述する。
【0016】
SP情報管理装置30は、個人端末20とネットワーク50経由で接続可能なサーバ等である。SP情報管理装置30は、SP情報設定UI31、SP情報提供部32、SP信頼度計算部33、変更情報解析結果受信部34、SP情報DB35、および変更情報解析結果DB36を有している。上述したように、SP情報管理装置30は一例としてコンピュータであり、ハードウェアとしては、一例として、プロセッサ、メモリ、記憶装置、入出力装置等を備えている。SP情報DB35および変更情報解析結果DB36は記憶装置に格納される。プロセッサがメモリを利用してソフトウェアプログラムを実行することにより、SP情報設定UI31、SP情報提供部32、SP信頼度計算部33、および変更情報解析結果受信部34が実現される。SP情報DB35および変更情報解析結果DB36の構成、SP情報設定UI31、SP情報提供部32、SP信頼度計算部33、および変更情報解析結果受信部34の動作等については後述する。
【0017】
図2は、個人情報更新支援システムの全体処理の概略シーケンス図である。
【0018】
(1)個人端末20において変更検知部22が各SP40から定期的に各ユーザ60の個人情報を取得し、(2)SP40から取得した個人情報と自装置内の個人情報DB26に保存されている個人情報を比較することにより、変更の有無を確認する。
【0019】
(3)変更検知部22にて個人情報の変更が検知されると、変更情報解析部23は、検知された個人情報の変更を分析し、変更先SP、変更項目、変更前値、および変更後値を記録する。変更先SPは、個人情報の変更が検知されたSPである。変更項目は、変更された個人情報の項目である。変更前値および変更後値は、その項目の変更前および変更後の値である。
【0020】
そして、(4)変更情報解析部23は、当該ユーザ60が個人情報を登録しているSPの中から、変更先SPの変更項目に相当する項目を個人情報に含むSPを関連SPとして抽出する。
【0021】
更に、(5)変更情報解析部23は、SP情報管理装置30のSP情報提供部32に対して、変更先SPの信頼性解析を依頼する。変更先SPの信頼性解析は、変更先SPの信頼度を算出する処理である。信頼度は、変更先SPに登録された個人情報がどれだけ信用できるかという度合いを示す指標である。信頼度は、変更先SPおよび変更項目に対して定まる。この信頼度は変更先SPでの個人情報の変更を他のSPの個人情報に反映させるか否かの判断材料として用いられる。
【0022】
(6)SP情報管理装置30では、SP情報提供部32からの依頼を受けたSP信頼度計算部33が変更先SPの信頼度を計算する。SP情報提供部32は、SP信頼度計算部33で算出された変更先SPの信頼度を個人端末20の変更情報解析部23に通知する。
【0023】
(7)変更情報解析部23は、変更先SPの信頼度を取得すると、その信頼度の値を基に、変更先SPで変更された個人情報を反映させる関連SPを決定する。
【0024】
(8)変更情報解析部23は、変更先SP、変更項目、変更前値、変更後値、変更を反映させる関連SPなどの情報を含む変更情報解析結果をユーザ60に提示して最終的な決定の判断を促す。
【0025】
(9)ユーザ60により最終的な決定がされると、変更情報解析部23は、その決定に従って、変更先SPでの変更を反映させるべき関連SPに展開するようにSP情報変更部24に指示する。この指示には最終決定された変更情報解析結果が含まれる。
【0026】
(10)SP情報変更部24は、変更を反映させるべき関連SPに対して個人情報の変更を依頼するとともに、(11)変更情報解析結果配信部25経由で、SP情報管理装置30の変更情報解析結果受信部34に、変更が行われた旨と変更情報解析結果を送信する。なお、SP情報管理装置30では個人情報の値自体を保持しないので、個人端末20の変更情報解析結果配信部25からSP情報管理装置30の変更情報解析結果受信部34に対して送信される変更情報解析結果には個人情報の値自体は含まれない。
【0027】
(12)変更情報解析結果を受信した変更情報解析結果受信部34は、それを変更情報解析結果DB36に登録する。
【0028】
以下、各部の詳細な処理について説明する。
【0029】
図3は、変更情報解析部の処理を示すフローチャートである。
【0030】
変更情報解析部23は、ステップS101にて、個人情報DB26から変更先SPの変更項目に関連する項目を有するSPすなわち関連SPを抽出する。次に、ステップS102にて、変更情報解析部23は、SP情報管理装置30のSP情報提供部32から変更先SPの信頼性解析結果(信頼度)を取得する。信頼性解析結果には変更先SPの信頼度が含まれている。更に、ステップS103にて、変更情報解析部23は、変更履歴DBから変更先SPの兄弟変更を抽出する。ここでいう兄弟変更というのは、変更先SP以外のSPに対して、変更先SPへ変更が行われる直前(所定時間内)に行われた、変更先SPの変更と同じ内容の変更のことである。変更項目と変更前値が同じであれば同じ内容の変更であるとする。
【0031】
更に、ステップS104にて、変更情報解析部23は変更情報解析処理を実行する。変更情報解析処理は、変更先SPの正当性に関する判定と、その変更先SPの変更を関連SPへ反映するか否かの判定とを行う処理である。変更情報解析処理の判定は、ステップS102で取得した変更先SPの信頼度と、ステップS103で抽出した兄弟変更およびその変更の判定結果と、変更先SPでの変更後値と兄弟変更の変更後値との比較結果と、に基づいて行われる。変更情報解析処理の具体例は後述する。
【0032】
ステップS105にて、変更情報解析部23は、変更情報解析処理の結果(以下「変更情報解析結果」ともいう)を出力し、ユーザに提示する。
【0033】
図4は、変更情報解析処理の一例について説明するための図である。
【0034】
図4には、変更情報解析処理の判定ロジックを示す表が示されている。判定ロジックは、判定のための検討要素と、判定の結果との対応づけにより規定されている。検討要素には、変更先SPが所定の信頼度閾値以上であるか否か、兄弟変更の判定結果、兄弟変更の変更後値が変更先SPの変更後値と等しいか否か、という3つの項目がある。上述したように、判定の対象には、変更先SPの正当性の判定と、その変更先SPの変更を関連SPへ反映するか否かの判定とがある。変更先SPの正当性の判定には、確認済Validと、確認済Invalidと、ユーザ決定要とがある。
【0035】
確認済Validは、個人情報更新支援システム10によって変更先SPが正当であるという判定がされたことを意味する。確認済Invalidは、個人情報更新支援システム10によって変更先SPが正当ではないと判定がされたことを意味する。ユーザ決定要は、個人情報更新支援システム10では正当であるともないとも判定できずユーザによる人的確認を要するということを意味する。
【0036】
例えば、ハッチングされた
図4の1行目には、変更先SPの信頼度が信頼度閾値以上であり(True)、その変更先SPの変更に兄弟変更がなければ、変更先SPは確認済Validと判定され、その変更先SPの変更を関連SPへ反映させると判定されることが示されている。
【0037】
また、ハッチングされた
図4の4行目には、変更先SPの信頼度が信頼度閾値以上でなく(False)、その変更先SPの兄弟変更の判定が確認済Invalidであり、兄弟変更の変更後値が変更先SPの変更後値と等しければ、変更先SPは確認済InvValidと判定され、その変更先SPの変更を関連SPへ反映しないと判定されることが示されている。
図4の「対応不要(兄弟変更で対応)」は、既に先に検知された兄弟変更を関連SPへ反映するあるいは反映しないという対応が済んでいるので、今回の変更先SPの変更を関連SPへ反映するか否かという対応が不要であるという意味である。
【0038】
また、ハッチングされた
図4の7行目には、変更先SPの信頼度が信頼度閾値以上であり(True)、その変更先SPの変更に兄弟変更の判定が確認済Validであり、兄弟変更の変更後値が変更先SPの変更後値と等しくなれば、変更先SPの正当性の判定と、その変更先SPの変更を関連SPへの反映するか否かの判定のいずれも、ユーザによる人的判断が必要と判定されている。これは検討要素に矛盾があるためシステムによる判定ができないため、人的判断に判定を委ねることを意味する。
【0039】
図5は、SP情報提供部の処理を示すフローチャートである。
【0040】
ステップS201にて、SP情報提供部32は、個人端末20の変更情報解析部23から信頼性解析に指定された処理対象のSP(以下「対象SP」ともいう)の信頼度が有効期限内か否か判定する。上述したように、個人端末20の変更情報解析部23は変更先SPの信頼性解析を依頼するので、変更先SPが対象SPとなる。SPの信頼度には所定の有効期限があり、有効期限内であれば再度計算することなく同じ値を利用できる。例えば信頼度の有効期限は、その信頼度が計算された時刻から1日と設定してもよい。
【0041】
信頼度の有効期限を過ぎていたら、ステップS202にて、SP情報提供部32は、SP信頼度計算部33に対象SPの信頼度の計算を依頼する。その後、ステップS203にて、SP情報提供部32は、SP信頼度計算部33から、対象SPの信頼度の値と、その信頼度が計算された時刻と、その信頼度の有効期限とを取得する。ステップS201にて信頼度の有効期限を過ぎていなければ、ステップS203では、その有効期限内の信頼度の値と、その信頼度が計算された時刻と、その信頼度の有効期限とを取得する。
【0042】
続いて、ステップS204にて、SP情報提供部32は、ステップS203で取得した信頼度、計算時刻、および有効期限の情報を個人端末20の変更情報解析部23に通知する。
【0043】
図6は、SP信頼度計算部の処理を示すフローチャートである。
図7は、信頼度の計算式を表す図である。
図7に示すように、信頼度Tは、SP間信頼度T1、蓄積信頼度T2、およびユーザ需要度T3という3つの要素から算出される。
【0044】
本処理はSP情報提供部32からの対象SPの信頼度の計算の依頼を受けて開始される。
【0045】
まず、ステップS301にて、SP信頼度計算部33は、SP間信頼度T1を計算する。SP間信頼度は、他のSPからの信頼の度合いを示す指標である。SP同士が他のSPについてどの程度信頼できるかを優先度として予め設定している。SP間信頼度は、他の各SPから設定された信頼優先度を総合して算出される。したがって、他の多くのSPによって信頼できるとして設定されたSPのSP間信頼度は高い値となる。以下に一例を示す。
【0046】
(例)
「役所」に登録されている「住所」の信頼の度合い(信頼優先度)が、「役所」から見て「4」、「警察署」から見て「3」であったとする。
「警察署」に登録されている「住所」の信頼の度合い(信頼優先度)が、「役所」から見て「4」、「銀行」から見て「2」であったとする。
「銀行」に登録されている「住所」の信頼の度合い(信頼優先度)が、「役所」から見て「4」、「警察署」からみて「3」であったとする。
その場合のSP間信頼度T1は例えば以下の通りとなる。
「役所」に登録されている「住所」のSP間信頼度T1(役所、住所)={(4+4+4)/3}/4=1.0
「警察署」に登録されている「住所」のSP間信頼度T1(警察署、住所)={(3+3+0)/3}/4=0.5
「銀行」に登録されている「住所」のSP間信頼度T1(銀行、住所)={(0+2+0)/3}/4=0.17
【0047】
次に、ステップS302にて、SP信頼度計算部33は、蓄積信頼度T2を計算する。蓄積信頼度は、SPで実際に正しい変更が行われた度合いを示す指標である。蓄積信頼度は、変更情報解析結果DB36に蓄積された変更情報解析結果の履歴から算出される。SPで行われた正しい変更の数が多ければ多いほどそのSPの蓄積信頼度は高い値となる。以下に一例を示す。
【0048】
(例)
計算方法:「確認済Valid」変更には+1点、「確認済Invalid」変更には-1点を与え、合計値を変更の回数で除算することにより正規化する。
「役所」は「確認済Valid」の変更が8回、「確認済Invalid」の変更0回であったとする。
「警察署」は「確認済Valid」の変更が2回、「確認済Invalid」の変更が0回であったとする。
「銀行」は「確認済Valid」の変更が3回、「確認済Invalid」の変更が1回であったとする。
その場合の蓄積信頼度T2は例えば以下の通りとなる。
「役所」に登録されている「住所」の蓄積信頼度T2(役所、住所)=(8-0)/(8+0)=1.0
「警察」に登録されている「住所」の蓄積信頼度T2(警察、住所)=(2-0)/(2+0)=1.0
「銀行」に登録されている「住所」の蓄積信頼度T2(銀行、住所)=(3-1)/(3+1)=0.5
【0049】
次に、ステップS303にて、SP信頼度計算部33は、ユーザ重要度T3を計算する。ユーザ重要度は、個人情報を登録している本人であるユーザにとってどれだけ重要であるかを示す指標である。ユーザ重要度T3は、変更情報解析結果DB36に蓄積された各SPにおける変更が実施された順番の履歴から算出される。変更が早期に行われるSPの方がユーザ重要度T3は高い値となる。例えば、ユーザは引っ越しをするとき、引っ越し先ですぐにガスと電気を使えるようにするために、早い段階でガス会社と電力会社に対する住所の変更を実施するといったことが想定される。以下に一例を示す。
【0050】
(例)
計算方法:ユーザが1番最初に変更したSPには+1点、2番目に変更したSPには+1/2点、3番目に変更したSPには+1/3点、4番目に変更したSPには+1/4点を与え、合計値を求める。
「住所」について、ユーザが、「役所」に登録されている情報を1番最初に変更した回数が4回、2番目に変更した回数が3回、ユーザの自主的な変更ではなく個人情報更新支援システム10からの通知により変更された回数が1回であったとする。
「住所」について、ユーザが、「警察署」に登録されている情報を1番最初に変更した回数が2回、2番目に変更した回数が4回、ユーザの自主的な変更ではなく個人情報更新支援システム10からの通知により変更された回数が2回であったとする。
「住所」について、ユーザが、「銀行」に登録されている情報を1番最初に変更した回数が2回、ユーザの自主的な変更ではなく個人情報更新支援システム10からの通知により変更された回数が6回であったとする。
その場合のユーザ重要度T3は例えば以下の通りとなる。
「役所」に登録されている「住所」のユーザ重要度T3(役所、住所)=(1*4+1/2*3)/(4+3+1)=0.69
「警察署」に登録されている「住所」のユーザ重要度T3(警察署、住所)=(1*2+1/2*4)/(2+4+2)=0.5
「銀行」に登録されている「住所」のユーザ需要度T3(銀行、住所)=(1*2)/(2+6)=0.25
【0051】
次に、ステップS305にて、SP信頼度計算部33は、信頼度Tを計算する。信頼度Tは、SP間信頼度T1、蓄積信頼度T2、およびユーザ重要度T3から算出される総合的な信頼度である。信頼度Tは
図7に示した式によって計算される。式は加重平均の算出式であり、weight1はSP間信頼度T1の重み、weight2は蓄積信頼度T2の重み、weight3はユーザ重要度T3の重みである。weight1、weight2、およびweight3の値は特に限定されず、また変更履歴を基に調整してもよい。以下に一例を示す。
【0052】
(例)
計算方法は
図7に示した通りであり、重みはweight1=weight2=weight3であるとする。
上述で例示した数値を用いると以下の通りとなる。
「役所」に登録されている「住所」の信頼度T(役所、住所)=(1+1+0.69)/3=0.9
「警察署」に登録されている「住所」の信頼度T(警察、住所)=(0.5+1.0+0.5)/3=0.67
「銀行」に登録されている「住所」の信頼度T(銀行、住所)=(0.17+0.5+0.25)/3=0.3
【0053】
図8は、個人端末内のデータベースの構成例を示す図である。
【0054】
上述したように個人端末20には個人情報DB26と変更履歴DB27とが格納されている。
【0055】
個人情報としてSPに登録される情報には複数の項目があり、それら複数の項目の中には、一塊のセットの情報として一緒に利用される項目がある。本実施形態では、個人情報における一塊の項目をグループ(以下「個人情報項目グループ」ともいう)として設定している。
【0056】
個人情報項目グループ毎の当該グループに関する情報であるグループ情報に対して、当該グループに属する項目の項目情報が紐付けられている。グループ情報には当該グループのグループIDとグループ名が含まれている。項目情報には、当該項目の項目種別IDと項目値が含まれている。また、個人情報DB26には、当該ユーザが個人情報を登録したSPに関するSP情報が含まれている。SP情報には、当該SPのSP名と、当該SPのサイトのURLと、当該SPに登録される情報のグループIDの集合と、当該SPのサイトにアクセスするためのアクセスIDおよびアクセスクレデンシャルとが含まれていてよい。当該SPのサイトは、ユーザ60が個人端末20によってアクセスし、当該SPによるサービスを利用したり、そのための個人情報の登録をしたりするサイトである。個人情報DB26は、あるSPのある項目の個人情報が変更されたときに、そのSPの関連SPがどのSPであるかを知得できるようになっている。
【0057】
変更履歴DB27には、実施された個人情報の変更毎の変更された項目に関する情報である項目情報変更情報が蓄積されている。項目情報変更情報には、当該変更を識別する変更ID、変更された項目が属するグループのグループID、変更された項目の種別を示す変更種別ID、変更前値、変更後値、変更が実施された時刻、変更先SPのSP名、変更を実施した主体を示す変更人、信頼度、信頼度の計算時刻、信頼度の有効期限、信頼度閾値、解析結果、解析結果が得られた時刻が含まれていてよい。変更人には、ユーザ本人、SP、個人情報更新支援システムが含まれていてよい。
【0058】
図9は、SP情報管理装置のデータベースの構成例を示す図である。
【0059】
上述したようにSP情報管理装置30にはSP情報DB35と変更情報解析結果DB36とが格納されている。
【0060】
SP情報DB35には、SP毎の基本情報(SP基本情報)が含まれている。SP基本情報は、当該SPのSP名と、当該SPのサイトのURLと、当該SPのSP設定情報とが含まれていてよい。SP設定情報は、SP自身あるいは他のSPから設定された当該SPについての情報である。上述した設定優先度はこのSP設定情報に含まれる。
【0061】
また、SPに登録される情報には複数の項目の情報が含まれる。その複数の項目の中にはグループ(以下「SP情報項目グループ」ともいう)としてのまとまりがある。SP情報DB35には、そのSP情報項目グループ毎の情報であるSP項目グループ情報が格納されている。SP項目グループ情報には、当該SP情報項目グループのグループIDとグループ名が含まれている。
【0062】
さらに、SP情報DB35には、SP毎の当該SPの項目毎の当該SPの当該項目に関する情報であるSP項目情報が格納されている。SP項目情報には、当該項目の項目IDと、当該項目の項目種別IDと、当該SPの当該項目の信頼度と、その信頼度を計算した時刻と、その信頼度の有効期限とが含まれている。
【0063】
変更情報解析結果DB36には、変更情報解析部23が変更情報解析処理を行う度に変更情報解析トランザクションが格納される。変更情報解析トランザクションには、当該変更情報解析のトランザクションを示すトランザクションIDと、当該変更情報解析の解析結果と、その解析結果が得られた時刻と、当該変更情報解析に用いられた信頼度閾値と、当該変更情報解析の対象となった変更先SPの関連SPの情報とが含まれる。また、当該変更情報解析の対象となった変更先SPの変更に兄弟変更がある場合には、変更情報解析トランザクションに紐づけて兄弟変更の情報が記録される。変更先SPの変更を含む複数の兄弟変更のうち最初に行われた変更をルート変更とし、ルート変更および他の兄弟変更について、変更毎の情報(以下「変更情報」ともいう)が記録される。変更情報には、当該変更を示す変更IDと、当該変更で変更された項目のグループのグループ名と、当該変更で変更された項目の項目種別IDと、当該変更が行われた時刻と、当該変更の変更先SPのSP名と、当該変更を行った主体と、当該変更の変更先SPの信頼度と、その信頼度を計算した時刻と、その信頼度の有効期限とが含まれている。変更を行う主体については、ユーザ本人が自主的に変更を行う場合、SPが変更を行う場合、個人情報更新支援システム10の提案によって行う場合がある。当該変更の変更先SPの信頼度は当該変更情報解析にて用いられた信頼度であり、当該変更情報解析の際に計算されたものである場合と、過去に計算され有効期限内であったため当該変更情報解析の際に利用されたものである場合とがある。
【0064】
図10は、SP情報設定ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【0065】
SP情報設定ユーザインタフェースは、SPの管理者が自SPおよび他SPに関する情報を登録するためのユーザインタフェースである。SPの管理者は、各個人情報の項目について、他のSP(ユーあ個人情報設定ユーザインタフェースザインタフェース上では「機関」ともいう)の信頼優先度を設定することができる。図示した例のように、「住所」については、「公的機関」であれば、その機関(SP)の信頼優先度は「4」であり、「認可機関」であれば、その機関の信頼優先度は「3」であるというように設定することができる。なお、本実施形態では、信頼優先度を他のSPが設定するという仕組みを採用しているが、これに限定されることはない。他の例として、SPの提供するサービスの性質に基づいて信頼優先度を決めることにしてもよい。より具体的な例としては、ユーザの登録に際して運転免許証の提示を求めるSPにとって、運転免許証を発行する警察署の信頼優先度は高い値となるように決めてもよい。
【0066】
本実施形態では、変更先SPにおける個人情報の変更が関連SPに通知される。SPの管理者は、SP情報設定ユーザインタフェースから、個人情報が変更された旨の通知をどのように受信するかを設定できる。図示した例のように、予め定められたシステム標準を満たす変更を通知の対象とし、変更が行われたら即時に通知を送信してもらうという設定をすることができる。また、特定の機関(SP)における変更は、無条件で通知を受けるように設定することもできる。あるSP(SP1)が他のSP(SP2)を特定機関に設定すると、SP2で変更が起きたとき、SP情報管理装置30におけるSP情報提供部32は、解析を要することなく、SP2での変更をSP1に反映させるべきことを示す信頼度を個人端末20に通知し、個人端末20は、その変更の通知をSP1に送る。
【0067】
図11は、個人情報設定ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【0068】
個人情報設定ユーザインタフェースは、ユーザ60が各種情報を設定するユーザインタフェースである。
図11には、個人情報を連携させる機関に関する設定を行うユーザインタフェースが示されている。
図11の上段に示した例のように、「公的機関」に登録されている情報を「役所」および「警察署」に提供することを許可するという設定が可能である。
【0069】
次に、変更検知部22による個人情報の変更の検知の方法について説明する。
【0070】
変更検知部22による個人情報の変更の検知にはいくつかの方法がある。
【0071】
変更検知部22が主体的に変更を検知する方法がある。変更検知部22は、定期的に、各SPに登録されている各ユーザ60の個人情報に変更がないか確認する。その際、例えば、変更検知部22は、各ユーザ60の個人情報DB26に登録されているSP毎の個人情報を取得する。次に、変更検知部22は、各ユーザ60が登録されている各SPにアクセスし、当該SPに登録され当該SPが管理している各ユーザ60の個人情報を取得する。そして、変更検知部22は、個人端末20から取得した個人情報と、SPから取得した個人情報とを比較し、不一致する項目があればその項目の情報が変更されたことを検知する。変更検知部22は、変更を検知すると、必要な詳細情報をSPから取得する。
【0072】
また、個人情報が変更されたSPが個人情報更新支援システム10に、変更があった旨を通知する方法がある。変更検知部22は、SPからの通知によって個人情報の変更を検知することができる。SPからの通知は、ネットワーク50経由で通知メッセージを送信することによってもよいし、郵便等の他の手段によってもよい。
【0073】
また、個人情報を変更したユーザ60の個人端末20から個人情報更新支援システム10に、変更があった旨を通知する方法がある。変更検知部22は、個人端末20からの通知によって個人情報の変更を検知することができる。
【0074】
図12は、検知された個人情報の変更内容の一例を示す図である。
【0075】
個人情報の変更内容には、個人情報が変更された変更先SPのSP名およびサイトのURLと、ユーザ(エンドユーザ)が登録した個人情報の変更先SPでの認証情報と、変更された項目の情報とが含まれている。ユーザが登録した個人情報の変更先SPでの認証情報の例として
図12には「住民基本台帳」が示されている。また、変更された項目の情報には、項目およびその変更前後の値等の情報が含まれている。変更された個人情報の項目の例として、
図12には「住所」が示されている。
【0076】
次に、SP情報変更部24による関連SPへの変更の通知について説明する。SP情報変更部24は、関連SPにおける変更通知の設定に基づいて、通知対象とする変更と、通知のタイミングとを決定する。変更通知の設定は、
図10に例示したユーザインタフェースから予め行われた設定である。
【0077】
図13は、関連SPへの変更通知の一例を示す図である。
【0078】
変更通知には、個人情報の変更内容が格納されている。個人情報の変更内容としては、個人情報が変更された変更先SPのSP名およびサイトのURLと、ユーザ(エンドユーザ)が登録した個人情報の関連SPでの認証情報と、変更された項目の情報とが含まれている。変更された項目の情報には、項目およびその変更前後の値等の情報が含まれている。ユーザが登録した個人情報の関連SPでの認証情報の例として
図13には「口座番号」が示されている。また、変更された項目の情報には、項目およびその変更前後の値等の情報が含まれている。変更された個人情報の項目の例として、
図13には「住所」が示されている。
【0079】
図14は、SP情報変更部の処理を示すフローチャートである。
【0080】
ステップS401にて、SP情報変更部24は、変更情報解析部23からの指示から変更情報解析結果を抽出し、ステップS402にて、変更先SPの解析結果において関連SPへの反映の可否が「可」であるか否か判定する。関連SPへの反映の可否が「可」であれば、ステップS403にて、SP情報変更部24は、変更を反映させるべき関連SPの変更通知設定により通知対象となる変更を通知する準備を行う。通知の準備は例えば
図13に示したような変更通知を作成することである。ステップS404にて、SP情報変更部24は、変更を反映させるべき関連SPの変更通知設定による通知タイミングに変更通知を送信する。
【0081】
ステップS402の判定で関連SPへの反映の可否が「不」であれば、SP情報変更部24は、ステップS405にて変更先SPへの変更通知を準備し、ステップS406にてその変更通知を変更先SPへ送信する。この変更通知は特に限定されない。例えば、変更が関連SPへ反映されない旨の通知であってもよい。
【0082】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0083】
また、上述した実施形態には以下に示す事項が含まれている。ただし、上述した実施形態に含まれている事項が以下に示すものだけに限定されることはない。
【0084】
(事項1)
ユーザ情報の登録を要するサービスを提供するサービスプロバイダにおける個人情報の更新を支援するユーザ情報更新支援システムであって、
サービスプロバイダに関する情報を管理する管理装置と、
前記管理装置と通信可能でありユーザにより用いられる個人端末と、
を有し、
前記管理装置が、予め、サービスプロバイダの信頼度を特定することを可能にするサービスプロバイダ情報を記憶し、
前記個人端末が、
前記ユーザが前記サービスに登録したユーザ情報を前記サービスプロバイダ毎に記憶し、
いずれかのサービスプロバイダを変更先サービスプロバイダとして該変更先サービスプロバイダに登録されているユーザ情報が変更されると、前記ユーザのユーザ情報が登録されているサービスプロバイダの中から、前記変更先サービスプロバイダで変更された前記ユーザ情報に相当するユーザ情報が登録されているサービスプロバイダを関連サービスプロバイダとして抽出し、
前記変更先サービスプロバイダの信頼度を前記管理装置に問合せし、
前記管理装置が、前記サービスプロバイダ情報に基づいて、前記変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して前記個人端末に通知し、
前記個人端末が、
前記信頼度に基づいて前記変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダを決定し、
前記変更を反映させるべき関連サービスプロバイダにユーザ情報の変更を依頼する、
ユーザ情報更新支援システム。
【0085】
これによれば、信頼度に基づいてユーザ情報の更新を反映させるサービスプロバイダを決定するので、ユーザ情報の正確かつ利便性の高い更新を支援することができる。
【0086】
(事項2)
前記サービスプロバイダ情報は、サービスプロバイダが他のサービスプロバイダをどの程度信頼できるかを設定したサービスプロバイダ設定情報を含み、
前記管理装置が、前記サービスプロバイダ設定情報に基づいて、前記関連サービスプロバイダにとっての前記変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して前記個人端末に通知する、
事項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【0087】
これによれば、サービスプロバイダが設定した情報を基に信頼度を算出し、その信頼度に基づいて、ユーザ情報の変更を反映させる関連サービスプロバイダを決定するので、サービスプロバイダ自身の信頼度を反映した反映先の決定が可能となる。
【0088】
(事項3)
前記管理装置は、サービスプロバイダの提供するサービスの性質に基づいて、前記変更先サービスプロバイダの信頼度を特定して前記個人端末に通知する、
事項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【0089】
これによれば、サービスプロバイダのサービスの性質を基に信頼度を算出し、その信頼度に基づいて、ユーザ情報の変更を反映させる関連サービスプロバイダを決定するので、サービスプロバイダの性質に応じた信頼度を反映した反映先の決定が可能となる。
【0090】
(事項4)
前記サービスプロバイダ情報は、サービスプロバイダが他のサービスプロバイダにおける変更を自身に反映させることを設定したサービスプロバイダ設定情報を含み、
前記管理装置が、前記サービスプロバイダ設定情報に基づいて、前記変更先サービスプロバイダにおける変更を前記関連サービスプロバイダに反映させるべきことを表す信頼度を特定して前記個人端末に通知する、
事項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【0091】
これによれば、予め指定されたサービスプロバイダでのユーザ情報の変更を関連サービスプロバイダに反映させるので、サービスプロバイダ自身の意図を反映した反映先の決定が可能となり、かつ管理装置における処理負荷が軽減される。
【0092】
(事項5)
前記個人端末は、
前記信頼度に基づいて前記変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダの候補を選定して前記ユーザに提示し、
前記ユーザの指示に基づいて、前記変更先サービスプロバイダにおける変更を反映させるべき関連サービスプロバイダを決定する、
事項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【0093】
これによれば、ユーザ情報の変更のサービスプロバイダ間の反映にユーザの意思を反映させることができる。
【0094】
(事項6)
前記管理装置は、
前記変更先サービスプロバイダの信頼度を算出すると有効期限を定めて記録し、
前記有効期限内であれば、記録してある前記信頼度を前記個人端末に通知する、
事項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【0095】
これによれば、ユーザ情報の正確かつ利便性の高い更新を可能にしつつ管理装置の処理負荷を軽減することができる。
【0096】
(事項7)
前記サービスプロバイダ情報は、前記変更を反映させる依頼の通知を受けるタイミングを指定したサービスプロバイダ設定情報を含み、
前記管理装置は、前記変更先サービスプロバイダの信頼度とともに、前記関連サービスプロバイダの指定したタイミングに関する情報を、前記個人端末に通知し、
前記個人端末は、前記変更を反映させるべき関連サービスプロバイダにユーザ情報の変更の通知を、指定された前記タイミングに送信する、
事項1に記載のユーザ情報更新支援システム。
【0097】
これによれば、サービスプロバイダは、自身のシステムの構成あるいはサービスの性質等に合わせて好適なタイミングでユーザ情報の変更の通知を受けることができる。
【符号の説明】
【0098】
10…個人情報更新支援システム、20…個人端末、21…個人情報設定UI、22…変更検知部、23…変更情報解析部、24…SP情報変更部、25…変更情報解析結果配信部、26…個人情報データベース、27…変更履歴DB、30…SP情報管理装置、31…SP情報設定UI、32…SP情報提供部、33…SP信頼度計算部、34…変更情報解析結果受信部、35…SP情報DB、36…変更情報解析結果DB、40…SP、50…ネットワーク、60…ユーザ