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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182140
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B41J2/01 307
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095567
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠治
(72)【発明者】
【氏名】工藤 嵐
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆哉
(72)【発明者】
【氏名】荒木 良亮
(72)【発明者】
【氏名】羽根 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆之
(72)【発明者】
【氏名】木村 了
(72)【発明者】
【氏名】奥島 真吾
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA22
2C056FA13
2C056HA08
2C056HA10
2C056HA46
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】記録ヘッドを任意の角度で位置決め可能な汎用性の高いガイド機構を提供する。
【解決手段】インクを吐出する吐出口が開口する吐出口面を有する記録ヘッド22と、記録ヘッド22を支持し、記録ヘッド22を記録位置と非記録位置との間で移動させる支持移動部26と、記録位置にある記録ヘッド22を所定の角度に位置決めする位置決め部材811と、を備える記録装置において、支持移動部26は、記録ヘッド22が位置決め部材811に当接しない間は、吐出口面の角度の変化が規制されるように記録ヘッド22を支持する第1の態様と、記録ヘッド22が位置決め部811に当接すると、吐出口面の角度が可変となるように記録ヘッド22を支持する第2の態様とを取りうることを特徴とする。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する吐出口が開口する吐出口面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを支持し、前記記録ヘッドを記録位置と非記録位置との間で移動させる支持移動部と、
前記記録位置にある前記記録ヘッドを所定の角度に位置決めする位置決め部と、
を備える記録装置において、
前記支持移動部は、前記記録ヘッドが前記位置決め部に当接しない間は、前記吐出口面の角度の変化が規制されるように前記記録ヘッドを支持する第1の態様と、前記記録ヘッドが前記位置決め部に当接すると、前記吐出口面の角度が可変となるように前記記録ヘッドを支持する第2の態様とを取りうることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドは、被支持部を有し、
前記支持移動部は、前記被支持部と接触して前記記録ヘッドを支持するための支持面を有し、
前記第1の態様において前記支持面は前記被支持部に接触し、前記第2の態様において前記支持面は前記被支持部から離間することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記支持移動部は、前記吐出口面の角度を変化させる前記記録ヘッドの移動が規制されるように、前記支持面に接触した前記被支持部に対して当接可能な規制面を有し、
前記第1の態様において前記規制面が前記被支持部に当接可能で、前記第2の態様において前記規制面が前記被支持部に当接しないことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記被支持部は、前記記録ヘッドの移動方向と交差する方向における前記記録ヘッドの両端から前記交差する方向に突出する突起部であり、
前記支持移動部は、前記突起部に対して前記交差する方向に垂直な方向に対向する面を有する孔部を有し、
前記孔部の前記面は、前記支持面と前記規制面を含むことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記支持移動部は、前記被支持部が前記支持面に接触するように前記記録ヘッドを付勢する付勢部材をさらに有し、
前記位置決め部は、前記付勢部材の付勢力に抗する力が発生するように、前記記録ヘッドに当接することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項6】
前記支持面は、前記被支持部に対して、前記記録ヘッドの移動方向のうち前記記録ヘッドが前記非記録位置から前記記録位置へ向かう第1の方向と逆の第2の方向に対向し、
前記付勢部材は、前記記録ヘッドを前記第1の方向に付勢し、
前記位置決め部は、前記記録ヘッドに対して前記第2の方向に当接することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記支持移動部の移動方向は、直線方向であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドは、
第1の当接部と、
前記記録ヘッドの移動方向と交差する方向において、前記第1の当接部と異なる位置に設けられる第2の当接部と、
を有し、
前記位置決め部は、
前記記録ヘッドが前記記録位置にあるときに前記第1の当接部に当接する第1の位置決め部と、
前記記録ヘッドが前記記録位置にあるときに前記第2の当接部に当接する第2の位置決め部と、
を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面の角度が、前記記録ヘッドの移動方向における、前記第1の当接部と前記第1の位置決め部とが当接する第1の当接位置と、前記第2の当接部と前記第2の位置決め部とが当接する第2の当接位置と、の差によって決まることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面の角度が、前記記録ヘッドが前記記録位置へ移動する際における、前記第1の当接部と前記第1の位置決め部とが当接する第1のタイミングと、前記第2の当接部と前記第2の位置決め部とが当接する第2のタイミングと、の差によって決まることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項11】
前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部は、前記移動方向における位置が異なることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項12】
前記第2の位置決め部は、前記移動方向において、前記記録ヘッドに対して前記第1の位置決め部よりも離れていることを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
前記記録ヘッドは、被支持部を有し、
前記支持移動部は、前記被支持部と接触して前記記録ヘッドを支持するための支持面を有し、
前記支持移動部は、前記被支持部が前記支持面に接触するように前記記録ヘッドを付勢する付勢部材をさらに有し、
前記付勢部材は、
前記交差する方向において前記第2の当接部よりも前記第1の当接部に近い側で前記記録ヘッドに当接して前記記録ヘッドに第1の付勢力を付与する第1の付勢部材と、
前記交差する方向において前記第1の当接部よりも前記第2の当接部に近い側で前記記録ヘッドに当接して前記記録ヘッドに第2の付勢力を付与する第2の付勢部材と、
を含み、
前記第2の付勢力は、前記第1の付勢力より大きいことを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
【請求項14】
前記第1の当接部と前記第1の位置決め部は、いずれか一方が凸形状を有し、他方が凹形状を有し、
前記第2の当接部と前記第2の位置決め部は、いずれか一方が凸形状を有し、他方が凹形状を有することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項15】
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面と対向する位置に、記録材を搬送する搬送部をさらに備え、
前記第1の当接部と前記第2の当接部は、記録材の搬送方向において異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項14に記載の記録装置。
【請求項16】
前記吐出口面の角度は、前記搬送方向と直交する記録材の幅方向と平行な回転軸線周りに前記記録ヘッドが回転することで、変化することを特徴とする請求項15に記載の記録装置。
【請求項17】
前記凸形状は、半球形状であり、
前記凹形状は、前記搬送方向と直交する記録材の幅方向に延びる溝形状、又は円錐形状であることを特徴とする請求項16に記載の記録装置。
【請求項18】
前記第1の当接部は、前記幅方向における前記記録ヘッドの両側に対で設けられ、
前記第2の当接部は、前記幅方向における前記記録ヘッドの片側に設けられていることを特徴とする請求項17に記載の記録装置。
【請求項19】
前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部は、それぞれ前記半球形状であり、
前記第2の当接部は、前記溝形状であり、
対の前記第1の当接部のうち前記幅方向において前記第2の当接部と同じ側に設けられた前記第1の当接部は、前記溝形状であり、
対の前記第1の当接部のうち前記幅方向において前記第2の当接部とは反対
側に設けられた前記第1の当接部は、前記円錐形状であることを特徴とする請求項18に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材にインクを吐出して記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録紙や樹脂シート等の記録材にインク等の記録用液体の液滴を吐出して文字や画像などを記録する記録装置が知られている。このような記録装置において、水平方向に対して傾斜した方向に搬送される記録材に対して記録を行うように構成される場合がある。このように傾斜した方向に搬送される記録材に対して高品位な文字や画像を高精度に記録するためには、インクの吐出方向が記録材の被記録面に対して垂直となるように、記録ヘッドの吐出口面の向きを高精度に位置決めする必要がある。特許文献1には、記録ヘッドの位置決めにおいて、記録ヘッドの直線移動と回転移動を同時に進行させる機構により、印刷位置において記録ヘッドを水平方向に対して所定の角度に位置決めする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-011522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたガイド機構は、記録ヘッドの直線移動の軌跡がガイド孔の延びる軌跡によって決まり、記録位置における記録ヘッドの位置決め角度に合せてガイド孔の延びる方向が決まる構成となっている。ここで、例えば、記録材の搬送経路が湾曲して延び、複数の記録ヘッドを搬送経路に沿って並べて配置する記録装置では、各記録ヘッドの位置決め角度を異ならせる必要がある。このような記録装置に対して特許文献1のガイド機構を用いる場合には、各記録ヘッドの位置決め角度に対応してガイド孔の形状を異ならせたガイド機構を記録ヘッドごとに個別に用意する必要が生じる。そのため、ガイド機構の複雑化や、装置サイズやコストの増大等の懸念がある。
【0005】
本発明の目的は、記録ヘッドを任意の角度で位置決め可能な汎用性の高いガイド機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の記録装置は、
インクを吐出する吐出口が開口する吐出口面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを支持し、前記記録ヘッドを記録位置と非記録位置との間で移動させる支持移動部と、
前記記録位置にある前記記録ヘッドを所定の角度に位置決めする位置決め部と、
を備える記録装置において、
前記支持移動部は、前記記録ヘッドが前記位置決め部に当接しない間は、前記吐出口面の角度の変化が規制されるように前記記録ヘッドを支持する第1の態様と、前記記録ヘッドが前記位置決め部に当接すると、前記吐出口面の角度が可変となるように前記記録ヘッドを支持する第2の態様とを取りうることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録ヘッドを任意の角度で位置決め可能な汎用性の高いガイド機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】記録装置の内部構成を示す概略図
図2】記録装置の制御構成図
図3】記録部のシート搬送部筐体を示す図
図4】シート搬送部筐体上面図、及びシート、記録ヘッド、ガイドローラの関係図
図5】記録ヘッド昇降機構の斜視図
図6】記録ヘッドの斜視図
図7】記録ヘッドの位置決め動作例の説明図
図8】記録ヘッドの退避位置を示す図
図9】記録ヘッドと付勢部材の構成を示す図
図10】記録ヘッドの移動を説明する図
図11】記録ヘッドの移動を説明する図
図12】記録ヘッドの移動を説明する図
図13】記録ヘッドの印刷位置を示す図
図14】記録ヘッドと付勢部材の構成を示す図
図15】記録ヘッドの退避動作を示す図
図16】記録ヘッドの傾き状態と電気コネクタ接続部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
はじめに、図1の装置上方を上方、図の右から左を長手方向、シート搬送方向に直交する紙面手前から奥をシート幅方向と定義し、紙面手前側を装置正面側、紙面奥側を装置背面側とする。本実施例の記録装置1は、ロール状に巻かれた連続シートを使用した高速ラインプリンタである。
【0011】
(記録装置)
図1は、本実施例に係る記録装置1の内部構成を示す概略断面図である。本実施例に係る記録装置1は、その内部に、各種ユニットを備える。すなわち、記録装置1は、巻出ロール部2、第一ダンサー部3、第一主搬送部4、蛇行補正部5、搬送検出部6、マークセンサ部7、記録部8を備える。さらに、記録装置1は、第一スキャナ部9、第一乾燥部10、第二乾燥部11、冷却部12、第二スキャナ部13、第二主搬送部14、第二ダンサー部15、巻取ロール部16、メンテナンス部17を備える。記録材としてのシートSは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿って搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0012】
巻出ロール部2は、ロール状に巻かれた連続シートを保持して供給するためのユニットである。巻出ロール部2は、巻出ロールを収納し、シートSを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは1つであることに限定はされず、2つ、あるいは3つ以上を収納し、択一的にシートSを引き出して供給する構成であってもよい。
【0013】
第一ダンサー部3は、巻出ロール部2と第一主搬送部4との間で一定のシート張力を付与するためのユニットである。第一ダンサー部3は、不図示の張力付与手段により、シート張力が付与される。第一主搬送部4は、シート搬送経路(シートS)に沿って以下順で配置された、蛇行補正部5、搬送検出部6、マークセンサ部7、記録部8、第一スキャナ
部9、第一乾燥部10、第二乾燥部11、冷却部12、第二スキャナ部13に、シートSを送り込み、かつ第二主搬送部14との間でシート張力を付与するためのユニットである。第一主搬送部4は、不図示のモータを駆動することにより回転し、シートSの張力搬送を行う。
【0014】
蛇行補正部5は、シートSの張力搬送時に、シート幅方向の蛇行矯正するためのユニットである。蛇行補正部5は、蛇行矯正ローラ5aと、シートSの蛇行を検知する不図示の蛇行検知センサを備えた構成となっている。蛇行矯正ローラ5aは、不図示のモータにより、シートSとの傾きを変更可能であり、蛇行検知センサの測定をもとに、シートSの蛇行矯正を行う。このとき、蛇行矯正ローラ5aにシートSが巻き付くことで、蛇行矯正の機能を高めることができる。
【0015】
搬送検出部6は、第一主搬送部4と第二主搬送部14の間で張力搬送をする際に、張力を検出するためのユニットである。また、搬送検出部6は、記録部8の画像形成タイミングを制御するため、シートSの速度を検出するためのユニットである。
【0016】
マークセンサ部7は、記録部8の画像形成タイミングを制御するため、予めシートSに印字されたマークを検出するためのユニットである。
【0017】
記録部8は、搬送されるシートSに対して、上方から記録ヘッド22により記録用液体としてのインクを吐出して画像等を形成することで、シートS上に記録処理を行なうシート処理部である。記録部8における搬送経路は、上方に凸となる円弧形状に配置されたガイドローラ23によって形成されており、シートSに一定の張力が付与されることにより、記録ヘッド22とのクリアランスが確保される。記録ヘッド22は、複数の記録ヘッド22が搬送方向に沿って並べられている。本例ではBk(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の4色のインクに加えて、反応液および3つの特色インクに対応した計8つのライン型記録ヘッドを有する。なお、色数および記録ヘッド22の数は8つに限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド22に供給される。
【0018】
第一スキャナ部9は、印刷中に記録部8でシートSに形成された画像を読み取り、画像のズレや濃度を検出して、印刷を補正させるためのユニットである。
【0019】
第一乾燥部10および第二乾燥部11は、記録部8でシートS上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSとインクとの定着性を高めるユニットである。第二乾燥部11は、第一乾燥部10のシート搬送方向下流に配置される。第一乾燥部10および第二乾燥部11は、記録されたシートSを加熱して、付与されたインクを乾燥させる。第一乾燥部10および第二乾燥部11の内部では、通過するシートSに対して少なくともインク付与面(被記録面)側に熱風を付与してシートSのインク付与面を乾燥させる。なお、乾燥方式としては、熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートS表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。
【0020】
巻付きガイドローラ31は、第一乾燥部10の熱風の記録部8への影響を遮断する必要があるため、記録部8の搬送下流のシートSのインク付与面とは反対側となる面を一定の巻き付け角で巻き付けるローラである。本例では、巻付きガイドローラ31は、第一スキャナ部9と第一乾燥部10の間に2つ配置され、シートSは、装置上下で略平行に折り返されている。第一乾燥部10は、記録部8の装置下方に配置され、第二乾燥部11は、前
述の搬送検出部6とマークセンサ部7の装置下方に配置される。
【0021】
冷却部12は、第一乾燥部10および第二乾燥部11で定着されたシートSを冷却し、軟化したインクを固化させるとともに、記録装置の下流工程におけるシートS温度変化量を抑制させる。冷却部12の内部では通過するシートSに対して少なくともインク付与面側にシートSよりも低い温度の風を付与してシートSのインク付与面を冷却させる。なお、冷却方式としては、風を付与する方式に限らず、放熱部材の接触による伝導伝熱方式や、それらを組み合わせて構成してもよい。
【0022】
第二スキャナ部13は、印刷前に記録部8でシートSに形成されたテスト画像を読み取り、画像のズレや濃度を検出して、本印刷の補正をさせるためのユニットである。
【0023】
第二主搬送部14は、第一主搬送部4とシートSに張力を付与しながらシート搬送し、シートSの張力調整をするユニットである。第二主搬送部14は、不図示のモータで駆動することにより回転するクラッチ(不図示)を有し、張力検出部(不図示)により検出された張力値に応じて、クラッチに駆動連結されたトルクを不図示の張力制御部よって制御することで、シートSの張力が調整される。尚、シートSの張力を調整する追加の構成として、張力検出部によって第二主搬送部14の速度を制御する構成が付加されても良い。この場合、張力制御方法として、クラッチから伝達されるトルク値を制御するトルク制御方法と、第二主搬送部14のローラ速度を制御する速度制御方法の2方式を有し、目的に応じて張力制御方法を切替え、または、双方同時に使用することができる。
【0024】
第二ダンサー部15は、第二主搬送部14と巻取ロール部16の間で一定のシート張力を付与するためのユニットである。第二ダンサー部15は、不図示の張力付与手段により、シート張力を付与することができる。
【0025】
巻取ロール部16は、記録処理されたシートSを巻き芯に巻き取るためのユニットである。回収可能なロールは1つであることに限定はされず、2つ、あるいは3つ以上の巻き芯を有し、択一的に切り替えてシートSを回収する構成であってもよい。なお、記録後の加工処理内容によっては、巻き芯に巻き取る構成ではなく、カッターを用いて連続シートを裁断し、裁断したシートSを積載する構成としてもよい。
【0026】
メンテナンス部17は、記録ヘッド22の吐出性能を回復する機構を備えたユニットである。そのような機構としては、例えば、記録ヘッド22のインク吐出面を保護するキャップ機構、インク吐出面をワイピングするワイパ機構、インク吐出面から記録ヘッド22内のインクを負圧吸引する吸引機構を挙げることが出来る。また、メンテナンス部には不図示の駆動機構とレールを備えており、レールに沿って水平方向に往復移動可能となっており、記録ヘッドのメンテナンスの際に記録ヘッド直下に移動し、メンテナンス動作しない時は記録ヘッド直下から搬送方向上流側に退避した位置に移動する。
【0027】
制御部21は、記録装置全体の各部の制御を司るユニットである。制御部21は、CPU、記憶装置、各種制御部を備えたコントローラ、外部インターフェース、およびユーザが入出力を行なう操作部24を有する。記録装置1の動作は、コントローラまたはコントローラに外部インターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等のホスト装置25からの指令に基づいて制御される。
【0028】
図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。制御部21の制御構成は、主に、記録装置1を統括するプリントエンジンユニット400と、記録装置1全体を統括するコントローラユニット300と、によって構成される。プリントコントローラ402は、コントローラユニット300のメインコントローラ301の指示に従ってプリン
トエンジンユニット400の各種機構を制御する。以下に制御構成の詳細について説明する。
【0029】
コントローラユニット300において、CPUにより構成されるメインコントローラ301は、ROM306に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM305をワークエリアとしながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F302を介してホスト装置25から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ301の指示に従って、画像処理部307が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ301は、プリントエンジンI/F304を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット400へ送信する。
【0030】
なお、記録装置1は、無線通信や有線通信を介してホスト装置25から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。
【0031】
操作部24は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作部24を介して印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。
【0032】
プリントエンジンユニット400において、CPUにより構成されるプリントコントローラ402は、ROM403に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM404をワークエリアとしながら、記録装置1が備える各種機構を制御する。コントローラI/F401を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ402は、これを一旦RAM404に保存する。記録ヘッド22が記録動作に利用できるように、プリントコントローラ402は、画像処理コントローラ405に、保存した画像データを記録データへ変換させる。記録データが生成されると、プリントコントローラ402は、ヘッドI/F406を介して記録ヘッド22に対して記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ402は、搬送制御部407を介して、図1に示す各種ユニットを駆動して、シートSを搬送する。すなわち、プリントコントローラ402は、巻出ロール部2、第一ダンサー部3、第一主搬送部4、蛇行補正部5、搬送検出部6、マークセンサ部7、記録部8、第一スキャナ部9、第一乾燥部10、第二乾燥部11、冷却部12、第二スキャナ部13、第二主搬送部14、第二ダンサー部15、巻取ロール部16を駆動する。プリントコントローラ402の指示に従って、シートSの搬送動作に連動して記録ヘッド22による記録動作が実行され、印刷処理が行われる。
【0033】
記録ヘッド移動手段制御部408は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド22の位置を変更する。インク供給制御部409は、記録ヘッド22へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット(不図示)を制御する。メンテナンス制御部410は、記録ヘッド22に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンス部17の動作を制御する。
【0034】
(シート搬送部筐体)
図3は、記録部8のシート搬送部筐体81の斜視図である。図4(a)は、シート搬送部筐体81を装置上面から見た図、図4(b)は、シートS、記録ヘッド22、ガイドローラ23の関係を示した図を示す。図3に示すように、シート搬送部筐体81には、印刷
位置(記録位置)において記録ヘッド22の位置決めを行うための第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cが、それぞれ複数備えられている。一つの記録ヘッド22に対し、シート搬送方向と直交するシート幅方向におけるシートSを挟んだ手前側(装置正面側)に第一位置決め部材811aが備えられ、奥側(装置背面側)に第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cが備えられている。
【0035】
第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cは、それぞれ、互いに同径の球体状部材である。第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cは、それぞれ、シート搬送部筐体81が備える位置決め支持部810に設けられた凹部812に嵌め込まれて取り付けられている。第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cは、それぞれ、略下方(下半球)部分が凹部812に埋まり、凹部812から露出する略上方(上半球)部分が、上方に突出する略半球形状の凸形状の位置決め部を形成する。位置決め支持部810は、シート搬送経路に対してシート幅方向の手前側に配置される手前側位置決め支持部810Rと、奥側に配置される奥側位置決め支持部810Lと、を含む。第一位置決め部材811aは、手前側位置決め支持部810Rに設けられた第一凹部812aに取り付けられている。第二位置決め部材811bは、奥側位置決め支持部810Lに設けられた第二凹部812bに取り付けられ、第三位置決め部材811cは、奥側位置決め支持部810Lに設けられた第三凹部812cに取り付けられている。第二凹部812bは、第三凹部812cに対してシート搬送方向下流側に設けられている。
【0036】
図4(a)に示すように、第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811bは、第一位置決め部材811aの中心と第二位置決め部材811bの中心とを通る直線A-Aと、ガイドローラ23の回転軸線とが平行になるように配置される。また、図4(a)、図4(b)に示すように、第三位置決め部材811cは、シート搬送方向において、第一位置決め部材811a及び第二位置決め部材811bに対して下流側に配置されている。図4(a)に示すように、第三位置決め部材811cは、その中心と第一位置決め部材811aの中心を通る直線B-Bが、第一位置決め部材811aの中心と第二位置決め部材811bの中心を通る直線A-Aに対して所定の角度を有するように配置される。また、図4(b)に示すように、第三位置決め部材811cは、その中心と第一位置決め部材811a又は第二位置決め部材811bの中心を通る直線C-Cが、水平方向に対して所定の角度を有するように配置される。
【0037】
すなわち、第三位置決め部材811cは、記録ヘッド22の退避位置と印刷位置との間の昇降移動方向において、第一位置決め部材811a及び第二位置決め部材811bよりも低い位置(記録ヘッド22から離れた位置)に配置される。この第三位置決め部材811cの第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811bに対する配置は、複数のガイドローラ23によって支持されるシートSに対して、印刷位置にある記録ヘッド22のノズルプレート(不図示)が平行に位置決めできるよう設定される。すなわち、第三位置決め部材811cの設置位置は、印刷位置にある記録ヘッド22が、所定の記録位置において所定の角度に傾いた姿勢で位置決めされるように設定される。ここで、所定の角度とは、ノズルプレートのノズル(吐出口)がシートSの被記録面に対して垂直(ノズルが開口するノズル面(吐出口面)が被記録面に対して平行)に対向する角度である。第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cは、上述したようにそれぞれ同径の球体であり、それぞれの中心は、それぞれの球体の中心である。
【0038】
図5に示すように、記録ヘッド22は、支持移動部としてのヘッドホルダ26に保持され、ヘッドホルダ26の移動により、上下に昇降移動するように構成されている。記録ヘッド22には、被支持部としての第一ピン27a(図6等参照)、第二ピン27b、第三
ピン27cが設けられている。第一ピン27aは、記録ヘッド22の昇降方向とシート搬送方向のそれぞれと交差する記録ヘッド22の長手方向(幅方向)における記録ヘッド22の両端のうち一方の端部(装置正面側)から幅方向に突出する突起部である。第二ピン27b、第三ピン27cは、それぞれ、記録ヘッド22の長手方向における他方の端部(装置背面側)から長手方向に突出する突起部である。記録ヘッド22は、これら第一ピン27a、第二ピン27b、第三ピン27cが、ヘッドホルダ26に設けられた第一孔261、第二孔262、第三孔263よってそれぞれ下方から支えるような形で、ヘッドホルダ26に対して軸支されている。
【0039】
更に、記録ヘッド22は、ヘッドホルダ26に設けられた第一付勢部材51a、第二付勢部材51b、第三付勢部材51cによって下方に付勢された状態で、ヘッドホルダ26に支持されている。第一付勢部材51a、第二付勢部材51b、第三付勢部材51cの構成については後述する。ヘッドホルダ26は、内部に備える不図示の駆動機構により、記録ヘッド昇降用フレーム28内に備えられた昇降用のレール29に沿って上下に昇降動作を行う。
【0040】
(記録ヘッド構成)
図6は、記録ヘッド22の斜視図である。図6に示すように、記録ヘッド22には、インクを吐出するノズル(吐出口)を複数備えたノズルプレート223が記録ヘッド長手方向(シート幅方向)に複数整列配置されている。また、記録ヘッド22の長手方向(シート搬送方向と直交する方向)の両端には、被位置決め部221L、221Rが備えられている。具体的には、ヘッド長手方向手前側(装置正面側)の被位置決め部221Lには、円錐形状の斜面を備えた凹形状部からなる第一当接部221aが備えられている。また、ヘッド長手方向奥側(装置背面側)の被位置決め部221Rには、略V字形状の二つの平面を備えたヘッド長手方向に延びる溝形状部からなる第二当接部221bと、平面部からなる第三当接部221cとがシート搬送方向に並ぶように備えられている。
【0041】
記録ヘッド22の長手方向において、第一当接部221aの中心と第二当接部221bの中心とを通る直線が、記録ヘッド22の複数のノズルプレート223の配列に対して平行となるように精度良く配置されている。ここで、第一当接部221aと第二当接部221bのそれぞれの中心とは、それぞれに内接する仮想の同直径の球体のそれぞれの中心である。第三当接部221cは、第二当接部221bに対してシート搬送方向(記録ヘッド22の長手方向と直交する方向)の離れた位置に配置されている。
【0042】
(記録ヘッドの動作)
図7を参照して、本実施例に係る記録装置における、記録ヘッド22の位置決め動作について説明する。図7は、記録ヘッド22の位置決めを伴う動作例を示す模式的説明図である。
【0043】
図7(a)は、記録ヘッド22が、非記録位置として、シート搬送部筐体81に対して上方に退避した退避位置にあり、メンテナンス部17が、記録ヘッド22からシート搬送方向に略水平に退避した非メンテナンス位置にある状態を示す模式図である。
【0044】
図7(b)は、記録ヘッド22が、記録位置として、シートSに画像を記録する印刷位置にある状態を示す模式図である。記録ヘッド22が退避位置から印刷位置に移動する場合、記録ヘッド22は、前述の記録ヘッド昇降機構により、上方の退避位置から下方に向けて略垂直に移動する。記録ヘッド22の移動は、被位置決め部221がシート搬送部筐体81に備えられた位置決め部材811と当接し、かつ記録ヘッド22の向きが所定の角度に傾いた姿勢となって位置決めされる印刷位置まで下降することで完了する。
【0045】
図7(c)は、記録ヘッド22が退避位置にあり、メンテナンス部17がメンテナンス位置に移動した状態を示す模式図である。印刷動作後に記録ヘッド22のキャッピングを行う場合や、記録ヘッド22のノズルが詰まってインクの吐出不良が生じた場合などには、メンテナンス部17による記録ヘッド22へのメンテナンス動作を実施する。メンテナンス動作を実施する場合には、先ず、図7(a)に示す、記録ヘッド22およびメンテナンス部17が各々退避した位置に移動する。その後、メンテナンス部17がシート搬送方向に略水平に移動し、記録ヘッド22の下方のメンテナンス位置へと移動する。
【0046】
図7(d)は、メンテナンス部17により、記録ヘッド22のメンテナンス動作を実施するメンテナンス位置に移動した状態を示す模式図である。図7(c)の状態から記録ヘッド22が下方に向けて略垂直に移動し、被位置決め部221がメンテナンス部17に備えられた記録ヘッド位置決め部171と当接し位置決めされるメンテナンス位置まで下降する。この状態において、記録ヘッド22に対するメンテナンス部17による各種メンテナンス動作が実行される。
【0047】
(記録ヘッドの支持構成と位置決め)
図8(a)~図16を参照して、本実施例における記録ヘッド22の支持構成と動作例について詳細に説明する。
【0048】
図8(a)~図8(c)は、記録ヘッド22が上方に退避した退避位置の状態を説明する図である。図8(a)は、記録ヘッド22及び位置決め支持部810を装置背面側から見た図である。図8(b)は、記録ヘッド22及び位置決め支持部810を装置正面側から見た図である。図8(c)は、記録ヘッド22及び位置決め支持部810をシート搬送方向下流側から見た斜視図である。また、図9(a)~図9(c)は、記録ヘッド22が上方に退避した退避位置での、付勢部材51a、51b、51cと記録ヘッド22の関係を説明する図である。図9(a)は、記録ヘッド22及び位置決め支持部810を装置背面側から見た図である。図9(b)は、記録ヘッド22及び位置決め支持部810を装置正面側から見た図である。図9(c)は、第一付勢部材51a、第二付勢部材51b、第三付勢部材51cの構成を説明する模式的断面図である。
【0049】
ヘッドホルダ26には、第一孔261、第二孔262、第三孔263が設けられている。第一孔261は、第一ピン27aに対して、第二孔262は、第二ピン27bに対して、第三孔263は、第三ピン27cに対して、それぞれ、記録ヘッド22の長手方向に垂直な方向に対向する面を有する孔部である。第一孔261、第二孔262、第三孔263は、それぞれ、上方側がピンに対して広く開放された幅を有し、下方にピンが嵌る溝状に幅の狭い幅で構成された部分を有する構成となっている。
【0050】
第一孔261には、第一ピン27aを支持するための第一支持部である第一溝部261aと、第一ピン27aを第一溝部261aに誘導するための第一傾斜部261bと、第一ピン27aの第一孔261に対する可動範囲を広げる第一開放部261dと、がある。第一溝部261aは、溝底面である支持面261a1と、支持面261a1に載置された第一ピン27aを両側から挟み込むように第一ピン27aに対向する一対の溝側面である規制面261a2と、を含む。
【0051】
第二孔262には、第二ピン27bを支持するための第二支持部である第二溝部262aと、第二ピン27bを第二溝部262aに誘導するための第二傾斜部262bと、第二ピン27bの第二孔262に対する可動範囲を広げる第二開放部262dと、がある。第二溝部262aは、溝底面である支持面262a1と、支持面262a1に載置された第二ピン27bを両側から挟み込むように第二ピン27bに対向する一対の溝側面である規制面262a2と、を含む。
【0052】
第三孔263には、第三ピン27cを支持するための第三支持部である第三溝部263aと、第三ピン27cを第三溝部263aに誘導するための第三傾斜部263bと、第三ピン27cの第三孔263に対する可動範囲を広げる第三開放部263dと、がある。第三溝部263aは、溝底面である支持面263a1と、支持面263a1に載置された第三ピン27cを両側から挟み込むように第三ピン27cに対向する一対の溝側面である規制面263a2と、を含む。
【0053】
また、記録ヘッド22をヘッドホルダ26に組み付けるための構成として、第一孔261が閉じた孔であるのに対し、第二孔262と第三孔263が開放部262d、263dにおいて側方に開いた孔となっている。すなわち、第二孔262には、第二ピン27bを第二孔262に対して、記録ヘッド22の長手方向と直交する方向から導入可能にすべく、第二孔262を同方向に開放する第二切り欠き部262cが設けられている。同様に、第三孔263には、第三ピン27cを第三孔263に対して、記録ヘッド22の長手方向と略直交する方向から導入可能にすべく、第三孔263を同方向に開放する第三切り欠き部263cが設けられている。
【0054】
さらに、第三孔263には、記録ヘッド22の交換の際に、記録ヘッド22と記録装置1とを電気接続する作業を容易にするために、記録ヘッド22を傾いた姿勢で保持するために使用する第四の溝部263eが設けられている。
【0055】
図16に記録ヘッド22を傾けて保持した際の斜視図を示す。図16に示すように、ヘッドホルダ26に支持された記録ヘッド22の第三ピン27cを第四の溝部263eにセットすることで、記録ヘッド22を傾けて保持することができる。記録ヘッド22の上方面には電気コネクタ接続部22a、22b、22cが設けられ、ヘッドホルダ26には電気コネクタ接続部22a、22b、22cと対向する位置に電気コネクタ26a、26b、26cが配置されている。図16に示すように、記録ヘッド22を傾けて保持できることで、作業者が、記録ヘッド22の上方面に設けられた電気コネクタ接続部22a、22b、22cを容易に確認することができる。また、電気コネクタ接続部22a、22b、22cが作業者側に傾いて露出する状態で保持されているため、記録装置1側に設けられた電気コネクタ26a、26b、26cを容易に記録ヘッド22の電気コネクタ接続部22a、22b、22cに接続する作業が可能である。記録ヘッド22と記録装置1との電気的な接続部を、記録ヘッド22の上方面に設けることで記録ヘッド22の長手方向幅を小さくすることができ、記録装置1全体の長手方向幅を小さくすることができる。
【0056】
また、ヘッドホルダ26には、記録ヘッド22に当接して所定の付勢力を付与するための、第一付勢部材51aと、第二付勢部材51bと、第三付勢部材51cと、が設けられる。
【0057】
第一付勢部材51aは、記録ヘッド22の昇降方向(進退方向)と交差する方向あるいはシート搬送方向における、第三当接部221cよりも第一当接部221a又は第二当接部221bに近い側において、記録ヘッド22に付勢力を付与するように配置される。好ましくは、第一付勢部材51aは、第一当接部221aの上方、すなわち、記録ヘッド22の昇降方向に見たときに、第一当接部221aと少なくとも部分的に重なる位置に配置される。第二付勢部材51bは、記録ヘッド22の昇降方向(進退方向)と交差する方向あるいはシート搬送方向における、第三当接部221cよりも第一当接部221a又は第二当接部221bに近い側において、記録ヘッド22に付勢力を付与するように配置される。好ましくは、第二付勢部材51bは、第二当接部221bの上方、すなわち、記録ヘッド22の昇降方向に見たときに、第二当接部221bと少なくとも部分的に重なる位置に配置される。第三付勢部材51cは、記録ヘッド22の昇降方向(進退方向)と交差す
る方向あるいはシート搬送方向における、第一当接部221a又は第二当接部221bよりも第三当接部221cに近い側において、記録ヘッド22に付勢力を付与するように配置される。好ましくは、第三付勢部材51cは、第三当接部221cの上方、すなわち、記録ヘッド22の昇降方向に見たときに、第三当接部221cと少なくとも部分的に重なる位置に配置される。
【0058】
図9(a)~図9(c)に示すように、付勢部材51a、51b、51cは、それぞれベース部511a、511b、511cと、摺動部512a、512b、512cと、圧縮ばね514a、514b、514cと、で構成される。摺動部512a、512b、513cは、ベース部511a、511b、511cに対して、記録ヘッド22を付勢する方向に進退移動可能な構成となっている。
【0059】
図9(c)に示すように、ベース部511(511a、511b、511c)は、概略筒状の部材であり、その内部に摺動部512(摺動部512a、512b、512c)が部分的に挿通される。摺動部512は、ベース部511から露出する側の先端部が、記録ヘッド22に設けられたプレート52と当接し、ベース部511の挿通穴内部に挿通された側の後端部が、圧縮ばね514(514a、514b、514c)の付勢力を受けるように構成される。圧縮ばね514は、ベース部511の挿通穴内部の摺動部512よりも奥側に組付けられており、摺動部512を記録ヘッド22の昇降方向に沿って挿通穴の奥側から出口側に向けて移動させるように、摺動部512の後端を押圧する。摺動部512においてベース部511の挿通穴内部に挿通される部分には、挿通方向に対して交差する方向に突出する被係合部が設けられ、ベース部511の挿通穴の開口部には、摺動部512の抜け止めのための内向きフランジ部が設けられている。これら被係合部とフランジ部とが互いに当接、係合することにより、記録ヘッド22を付勢する方向における摺動部512のベース部511に対する可動範囲が画定される。
【0060】
摺動部512の上記先端部は、プレート52と当接する部分が凸状の部分球面を有する凸状部で構成される。摺動部512の先端部が当接するプレート52は、記録ヘッド22の姿勢変化に伴い摺動部512の進退方向に対して角度が変化する。上述の凸形状構成により、プレート52の角度が変化した際に、摺動部512は、ベース部511に対して進退移動しつつプレート52に対して摺動して接触位置を変化させることで、記録ヘッド22を付勢する状態を維持することができる。なお、摺動部512の先端部の形状は、上記のような凸状部分球面形状に限定されるものでなく、付勢状態を維持しながら摺動可能な構成であれば、他の形状構成を適宜採用してよい。
【0061】
図8(a)~図8(c)に示す通り、退避位置において、記録ヘッド22は、第一ピン27a、第二ピン27b、第三ピン27cがヘッドホルダ26の第一溝部261a、第二溝部262a、第三溝部263aにそれぞれ支持される。さらに、記録ヘッド22は、プレート52で受ける第一付勢部材51a、第二付勢部材51b、第三付勢部材51cの付勢力により、ヘッドホルダ26に対して付勢された状態で支持されている。ピン27a~ピン27cは、付勢部材51a、51b、51cの付勢力により、溝部261a~263aの溝底面である支持面261a1~263a1に押し付けられた状態となっている。また、支持面261a1~263a1に押し付けられたピン27a~ピン27cに対して、一対の規制面261a2~263a2が記録ヘッド22の進退方向と交差する方向に当接可能に対向し、該交差方向のピン27a~ピン27cの移動を規制する。さらに、第二ピン27bと第二溝部262aによる係合部と、第三ピン27cと第三溝部263aとによる係合部と、が、記録ヘッド22の進退方向にずれて配置されている。これにより、記録ヘッド22は、吐出面の向きを変える角度変化、すなわち、ヘッドホルダ26に対する相対回転が規制された状態で、ヘッドホルダ26に支持された状態となっている。この記録ヘッド22のヘッドホルダ26による支持態様が、本発明の第1の態様に相当する。
【0062】
本実施例では、第三付勢部材51cの付勢力は、第一付勢部材51aおよび第二付勢部材51bの付勢力より大きく設定される。これは、本実施例において、図8図15に示す記録ヘッド22は、記録位置における傾き姿勢が、記録ヘッド22のうちシート搬送方向の下流側が上流側に対して下方に位置するような姿勢となるためである。この傾き姿勢は、記録ヘッド22のうちシート搬送方向において第一当接部221a及び第二当接部221bが配置された側を、第三当接部221cが配置された側よりも下方に位置させるものである。よって、第三当接部221cが配置された記録ヘッド22のシート搬送方向上流側を付勢する第三付勢部材51cの付勢力を、第一、第二当接部221a、221bが配置された下流側を付勢する第一、第二付勢部材51a、51bの付勢力よりも大きくする。こうすることで、第一、第二当接部221a、221bが当接する第一、第二位置決め部材811a、811bと、第三当接部221cが当接する第三位置決め部材811cとの間の高低差とともに、上述した傾き姿勢を安定して形成することができる。
【0063】
ここで、記録ヘッド22において相対的に下方に位置させる側を付勢する第三付勢部材51cが、本発明の第2の付勢部材に相当し、その付勢力が第2の付勢力に相当する。また、記録ヘッド22において相対的に上方に位置させる側を付勢する第一付勢部材51aおよび第二付勢部材51bが、本発明の第1の付勢部材に相当し、その付勢力が第1の付勢力に相当する。したがって、図8図15に示した記録ヘッド22とは傾き姿勢が異なる場合には、付勢力の大小の設定も異なるものとなり、本発明の第1の付勢部材、第2の付勢部材との対応関係も異なるものになる場合がある。例えば、シート搬送方向の上流側を下流側に対して下方に位置させるような姿勢をとる場合においては、第一付勢部材51aおよび第二付勢部材51bが、本発明の第2の付勢部材に相当し、第三付勢部材51cが、本発明の第1の付勢部材に相当することになる。また、記録ヘッド22の進退方向(昇降方向)に対して記録ヘッド22を傾けずに記録位置で位置決めするような場合には、付勢力に差をつけない設定としてもよい。なお、付勢力の設定は、第一、第二位置決め部材811a、811bと第三位置決め部材811cとの間の高低差の設定との組み合わせによっても変わってくるものであり、種々の設定が可能である。すなわち、所望の傾きを安定して形成することができる範囲において適宜任意に設定し得るものである。
【0064】
また、本発明は、上述したような付勢力を付与する構成に限定されるものではなく、記録ヘッド22の重量が十分重い場合、第一付勢部材51a、第二付勢部材51b、第三付勢部材51cの付勢力は無くても良い。また、本実施例では、第一ピン27aの直径が5.90~6.00mm、第一溝部261aの幅が6.00~6.10mmとしたが、これに限定されるものではなく、ピンの直径と溝の幅の寸法差が1mm程度までであれば問題ない。第二ピン27bと第二溝部262a、第三ピン27cと第三溝部263aにおいても同様である。記録ヘッド22に設けられた第一ピン27a、第二ピン27b、第三ピン27cをヘッドホルダ26に設けられた第一溝部261a、第二溝部262a、第三溝部263aが支持することで、三つのピンのうちの二つが基準となり、残りの一つが回転止めとなる。これにより、退避位置における記録ヘッド22が安定した姿勢でヘッドホルダ26に支持される。また、本実施例では、第一ピン27aと第二ピン27bが略同じ高さに設けられているが、異なる高さに設けられていても構わない。
【0065】
図10(a)~図10(c)は、記録ヘッド22を支持するヘッドホルダ26が退避位置から印刷位置に向けて下降し、記録ヘッド22の当接部の一部が一部の位置決め部材に当接した際の様子を示す図である。具体的には、記録ヘッド22の第一当接部221aと第一位置決め部材811aとが当接し、第二当接部221bと第二位置決め部材811bとが当接している。記録ヘッド22の進退方向において、第三位置決め部材811cは、第一位置決め部材811a及び第二位置決め部材811bよりも低い位置に配置されているため、第三当接部221cと第三位置決め部材811cは当接していない。図10(a
)は、装置背面側から見た図、図10(b)は、装置正面側から見た図、図10(c)は、シート搬送方向下流側から見た斜視図である。
【0066】
このとき、記録ヘッド22の第一ピン27a、第二ピン27b、第三ピン27cは、ヘッドホルダ26の第一溝部261a、第二溝部262a、第三溝部263aにそれぞれ支持された状態を維持している。すなわち、記録ヘッド22は、吐出面の向きを変える角度変化が規制された第1の支持態様でヘッドホルダ26に支持されている。
【0067】
図11(a)~図11(c)は、ヘッドホルダ26が図10(a)~図10(c)の状態からさらに印刷位置に向けて下降した状態を示す図である。図11(a)は、装置背面側から見た図、図11(b)は、装置正面側から見た図、図11(c)は、シート搬送方向下流側から見た斜視図である。図11(a)~図11(c)は、記録ヘッド22が、位置決め部材と当接していた一部の当接部において付勢部材51a~51cの付勢力に抗する力が発生することで、ヘッドホルダ26に対して下降方向と逆方向に相対移動した様子を示している。付勢部材51a~51cの付勢力は、記録ヘッド22がヘッドホルダ26に対して退避位置から印刷位置へ向かう第1の方向に作用している。記録ヘッド22は、第一当接部221aにおいて第一位置決め部材811aから上記付勢力に抗する方向に作用する力を受け、同様に、第三当接部221cにおいて第三位置決め部材811cから上記付勢力に抗する方向に作用する力を受ける。この反力の作用により、ピン27a~27cがそれぞれ溝部261a~263aの溝側面(規制面)によってガイドされ、記録ヘッド22がヘッドホルダ26に対して第1の方向と逆の第2の方向に相対移動する。その結果、図11(a)~図11(c)に示すように、記録ヘッド22の第一ピン27a、第二ピン27b、第三ピン27cが、ヘッドホルダ26の第一溝部261a、第二溝部262a、第三溝部263aからそれぞれ離間する。
【0068】
図10(a)~図10(c)に示した状態から印刷位置に向けてさらに下降して図11(a)~図11(c)に示した状態へ移動する際においては、記録ヘッド22は略水平の状態を維持している。これは、記録ヘッド22の第一ピン27a、第二ピン27b、第三ピン27cは、ヘッドホルダ26の第一溝部261a、第二溝部262a、第三溝部263aに対してシート搬送方向に位置決めまたは回転止めとなっているためである。図10(a)~図10(c)に示す状態から11(a)~図11(c)に示す状態になると、ピン27a~27cは溝部261a~263aから外れ、孔261~263において可動範囲が拡大された開放部261d~263dに移動する。この状態において、ピン27a~27cは、孔261~263に対して広範囲に相対移動可能であり、記録ヘッド22は、ヘッドホルダ26に対して吐出口面の角度を可変な相対移動が可能な状態でヘッドホルダ26に支持される。この支持態様が本発明の第2の態様に相当する。
【0069】
図12(a)~図12(c)は、ヘッドホルダ26が図11(a)~図11(c)の状態からさらに印刷位置に向けて下降した際の図である。図12(a)は、装置背面側から見た図、図12(b)は、装置正面側から見た図、図12(c)は、シート搬送方向下流側から見た斜視図である。
【0070】
図11(a)~図11(c)に示すように、記録ヘッド22のピン27a、27b、27cは、ヘッドホルダ26の溝部261a、262a、263aからそれぞれ離間しており、孔261、孔262、孔263に対する可動範囲が広がった状態にある。そのため、記録ヘッド22がさらにヘッドホルダ26を印刷位置に向けて下降する際に位置決め部材から当接部に作用する力や付勢部材からプレート52に作用する付勢力などがバランスすることにより、記録ヘッド22は吐出口面の角度を変える姿勢変化が可能となる。具体的には、記録ヘッド22は、第一位置決め部材811aの中心と第二位置決め部材811bの中心とを通る直線を回転軸線として、ヘッドホルダ26に対して回転可能となっている
。ここで、第三付勢部材51cの付勢力は第一付勢部材51aおよび第二付勢部材51bの付勢力より大きく設定されている。そのため、ピン27a、27b、27cが溝部261a、262a、263aからそれぞれさらに離間しながら、第三当接部221cが第三位置決め部材811cと当接する方向に、記録ヘッド22を回転させる力が働く。
【0071】
図13(a)~図13(c)は、記録ヘッド22と、シート搬送部筐体81の位置決め支持部810と、の位置決めが完了した状態(印刷位置)を示す図である。図13(a)は、装置背面側から見た図、図13(b)は、装置正面側から見た図、図13(c)は、シート搬送方向下流側から見た斜視図である。
【0072】
図12(a)~図12(c)に示した状態から、さらにヘッドホルダ26が下降することで、記録ヘッド22は、上記回転軸線周りに回転し続け、第三当接部221cが第三位置決め部材811cと当接する。ここで、摺動部512a、512b、512cは、ベース部511a、511b、511cからの突出量を変化させながら、プレート52に対して接触位置を変化させるように摺動可能に構成されている。したがって、付勢部材51a、51b、51cは、それぞれ、記録ヘッド22の角度変化に伴うプレート52の移動に追従しながら、記録ヘッド22を位置決め部材811に対して付勢することができる。
【0073】
図14(a)、図14(b)は、図13(a)~図13(c)に示す状態における、記録ヘッド22と付勢部材51a、51b、51cの様子を示す図であり、図14(a)は、装置背面側から見た図、図14(b)は、装置正面側から見た図である。このとき、記録ヘッド22は、ヘッドホルダ26に設けられた付勢部材51の付勢力によって被位置決め部221が位置決め部材811に押し付けられた状態で、ヘッドホルダ26に対して傾いた姿勢でバランスする。すなわち、このときの姿勢で記録ヘッド22は、ヘッドホルダ26に対して位置決めされる。また、第一ピン27a、第二ピン27b、第三ピン27cが、第一溝部261a、第二溝部262a、第三溝部263aから解放された状態となる。このように、記録ヘッド22は、最終的に、所定の高低差をつけた位置決め部材811a、811b、811cに完全に追従した状態となるため、印刷位置において所定の角度で傾いた姿勢で高精度に位置決めすることができる。
【0074】
なお、印刷位置における記録ヘッド22の位置決め角度によっては、付勢部材51a、51b、51cによる付勢力は、必ずしも必須ではなく、記録ヘッド22の自重のみによって付勢され位置決めされる構成であっても良い。
【0075】
図15(a)~図15(c)は、印刷位置からヘッドホルダ26が上昇し、記録ヘッド22を上方へ退避させ始めたときの説明図である。図15(a)は装置背面側から見た図、図15(b)は装置正面側から見た図、図15(c)はシート搬送方向下流側から見た斜視図である。図13(a)~図13(c)に示した通り、印刷位置では記録ヘッド22は所定の角度で傾いた姿勢で位置決めされている。そのため、第一ピン27aと第一溝部261a、第二ピン27bと第二溝部262a、第三ピン27cと第三溝部263aがそれぞれシート搬送方向にずれている。したがって、ヘッドホルダ26の上昇によって記録ヘッド22が持ち上げられると、第一ピン27aと第一傾斜部261b、第二ピン27bと第二傾斜部262b、第三ピン27cと第三傾斜部263bのいずれかもしくは全てが接触し、図15(a)~図15(c)のような状態となる。このような状態から更にヘッドホルダ26が上昇すると、第一ピン27aは、付勢部材51a、51b、51cの付勢力、又は記録ヘッド22の自重のいずれか、もしくはその両方によって、第一傾斜部261bに誘導され、第一溝部261aに入り込む。第二ピン27b、第三ピン27cについても同様である。すなわち、ヘッドホルダ26による記録ヘッド22の支持態様が、吐出口面の角度を変化させる記録ヘッド22の回転が許容される第2の態様から、記録ヘッド22の上記回転が規制される第1の態様に変化することになる。このため、記録ヘッド2
2は、ヘッドホルダ26に対して回転が規制された安定した姿勢で、印刷位置から退避位置へ移動することができる。
【0076】
本実施例によれば、記録ヘッド22を任意の角度で位置決め可能な汎用性の高いガイド機構を実現することができる。すなわち、記録ヘッド22を支持するヘッドホルダ26の移動は、その移動方向が直線方向のみの単純な移動構成である。そして、記録ヘッド22が位置決め部材811と当接することで、ヘッドホルダ26による記録ヘッド22の支持態様が、記録ヘッド22の回転を規制する第1の態様から、回転を許容する第2の態様へ変化する。この構成を、記録ヘッド22のピン27と、ヘッドホルダ26の孔261~263の係合構成を工夫することで実現している。すなわち、孔261~263が、ヘッドホルダ26の移動方向と交差する横方向のピン27の移動を規制する溝部261a~263aと、ピン27の横方向の移動を所定の範囲で許容する開放部261d~263dと、を有する構成としている。そして、位置決め部材811との当接により記録ヘッド22がヘッドホルダ26に対して相対移動することで、孔261~263に対するピン27の係合位置が変化するように構成することで、上記の支持態様の変化を可能にしている。
【0077】
本実施例によれば、記録位置で位置決めされる際の記録ヘッドの傾きの大きさを、複数の当接部と、対応する複数の位置決め部と、がそれぞれ当接するタイミングに差を設けることで適宜に設定することができる。具体的には、第1の当接部(当接部221a、221b)と第1の位置決め部(位置決め部材811a、811b)の第1の当接タイミングと、第2の当接部(当接部221c)と第2の位置決め部(位置決め部材811c)の第2の当接タイミングとの差である。このタイミングの差を、記録ヘッドの所望の位置決め角度に対応して適宜設定することで、記録ヘッドを所望の角度で傾斜させることができる。
【0078】
本実施例では、記録ヘッドの昇降方向における、第1の当接部と第1の位置決め部が当接する第1の当接位置と、第2の当接部と第2の位置決め部が当接する第2の当接位置と、に差をつけることで、上記の当接タイミング差を生み出す構成としている。より具体的には、本実施例では、第1の位置決め部と第2の位置決め部との間に、記録ヘッドの昇降方向における高低差をつけることで、当接位置に差が生じるようにした。
【0079】
ここで、当接タイミングに差をつける構成としては、本実施例で示した構成に限定されるものではない。例えば、第1の位置決め部と第2の位置決め部との間に高低差はつけずに、第1当接部と第2当接部との間に上記昇降方向における高低差をつけることで、当接タイミングに差が生じるように構成してもよい。あるいは、第1の位置決め部と第2の位置決め部との間に高低差はつけつつ、第1当接部と第2当接部との間にも高低差をつけるように構成してもよい。
【0080】
また、本実施例では、位置決め部材811として同径の球体を用い、これを位置決め支持部810の凹部812に嵌め込むことで、位置決め部を形成する構成とした。かかる構成によれば、複数の凹部812の高さに差をつけることで、上述した当接タイミングに差をつける構成を簡易に実現することができる。すなわち、位置決め支持部810の凹部812の形態を、個々の記録ヘッド22の仕様に応じて異ならせるだけでよく、他の部材構成は共通化することができるため、汎用性の高いガイド機構を実現することができる。
【0081】
ただし、位置決め部の構成としては、本実施例の構成に限定されるものではない。例えば、複数の凹部812の間に高さの差はつけず、位置決め部材の形状やサイズを異ならせることで、当接タイミングに差をつける構成としてもよい。また、位置決め部材の形状も、球体に限定されるものではなく、例えば、少なくとも当接部に当接する領域において部分的な球面を有する形態としてもよい。また、位置決め部材811と位置決め支持部81
0とが一体成形されるような構成であってもよい。
【0082】
また、位置決め当接構成について、本実施例では、当接部を凹形状、位置決め部を凸形状とし、それらの凹凸嵌合によって位置決めする構成としたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、当接部を凸形状とし、位置決め部を凹形状としてもよいし、複数の当接部の一部は凹形状とし他は凸形状とし、これに対応して、位置決め部の一部は凸形状とし他は凹形状とした組み合わせとしてもよい。
【0083】
また、当接部の凹形状の具体的形状、すなわち、円錐と溝の配置の組み合わせを、本実施例と異なる配置としてもよい。本実施例では、シート幅方向(記録ヘッド長手方向)において第2の当接部としての当接部221cと同じ側に設けられた第1の当接部としての当接部221bを溝状部とし、反対側に設けられた第1の当接部としての当接部221aを凹状円錐形状部とした。これに対し、例えば、当接部221aを凹状円錐形状部から溝状部に変更し、当接部221bを溝状部から凹状円錐形状部に変更してもよい。
【0084】
なお、本実施例では、円錐形状とした当接部221aが設けられた側が記録ヘッド22の記録動作時における基準点側となり、この円錐形状部が設けられた側と、シート幅方向におけるシートの搬送基準側と、が同じ側となるように構成している。すなわち、記録ヘッド22の動作基準点側となる位置決め構成を、円錐形状の凹部である当接部221aと、部分球面形状の凸部である位置決め部材811aとの係合構成とし、シート搬送方向及びシート幅方向において互いに位置規制する構成としている。一方、記録ヘッド22の動作基準側とは反対側の位置決め構成は、シート幅方向に開放された溝形状の当接部221b、221cとすることで、寸法誤差等の影響を吸収する(寸法誤差を逃がす)構成としている。このように、記録ヘッド22の基準点とシート搬送基準とを同じ側に合せることが、記録画像の画質の観点から望ましく、シートに形成される画像位置のばらつきを低減することができる。また、記録ヘッド22の基準点となる円錐形状部を、装置熱源からなるべく離しておくことで、熱変形の影響が出にくい構成となる。本実施例では、円錐形状部を設ける位置を、電気基板などの熱源が多い装置背面側ではなく、装置正面側に設ける構成としている。
【0085】
また、第2の当接部としての当接部221cを、本実施例では、記録ヘッド22の長手方向(幅方向)において当接部221bと同じ側(装置背面側)に配置したが、反対側の当接部221aと同じ側(装置正面側)に配置してもよい。
【0086】
また、本実施例では、第1の当接部を記録ヘッドの長手方向(シート幅方向)の両側に対で設け(当接部221a、221b)、第2の当接部を長手方向の片側のみに設ける構成とした(当接部221c)。すなわち、本実施例では、位置決め当接が3点で行われる構成としたが、例えば、長手両側に2点ずつの4点当接構成としてもよい。ただし、3点当接構成によれば、部材寸法誤差等による位置ずれを逃がして位置決め支持することが可能となり、製品個体差による影響等を低減して精度の高い位置決めが可能となる。
【0087】
すなわち、位置決め当接構成の具体的な構成は、記録ヘッド22の回転の基準軸が、ノズルプレート223(吐出口面)と平行とすることができる限りにおいて、任意に採用してよい。
【0088】
本発明の実施の形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
インクを吐出する吐出口が開口する吐出口面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを支持し、前記記録ヘッドを記録位置と非記録位置との間で移動させる支持移動部と、
前記記録位置にある前記記録ヘッドを所定の角度に位置決めする位置決め部と、
を備える記録装置において、
前記支持移動部は、前記記録ヘッドが前記位置決め部に当接しない間は、前記吐出口面の角度の変化が規制されるように前記記録ヘッドを支持する第1の態様と、前記記録ヘッドが前記位置決め部に当接すると、前記吐出口面の角度が可変となるように前記記録ヘッドを支持する第2の態様とを取りうることを特徴とする記録装置。
(構成2)
前記記録ヘッドは、被支持部を有し、
前記支持移動部は、前記被支持部と接触して前記記録ヘッドを支持するための支持面を有し、
前記第1の態様において前記支持面は前記被支持部に接触し、前記第2の態様において前記支持面は前記被支持部から離間することを特徴とする構成1に記載の記録装置。
(構成3)
前記支持移動部は、前記吐出口面の角度を変化させる前記記録ヘッドの移動が規制されるように、前記支持面に接触した前記被支持部に対して当接可能な規制面を有し、
前記第1の態様において前記規制面が前記被支持部に当接可能で、前記第2の態様において前記規制面が前記被支持部に当接しないことを特徴とする構成2に記載の記録装置。(構成4)
前記被支持部は、前記記録ヘッドの移動方向と交差する方向における前記記録ヘッドの両端から前記交差する方向に突出する突起部であり、
前記支持移動部は、前記突起部に対して前記交差する方向に垂直な方向に対向する面を有する孔部を有し、
前記孔部の前記面は、前記支持面と前記規制面を含むことを特徴とする構成3に記載の記録装置。
(構成5)
前記支持移動部は、前記被支持部が前記支持面に接触するように前記記録ヘッドを付勢する付勢部材をさらに有し、
前記位置決め部は、前記付勢部材の付勢力に抗する力が発生するように、前記記録ヘッドに当接することを特徴とする構成3又は4に記載の記録装置。
(構成6)
前記支持面は、前記被支持部に対して、前記記録ヘッドの移動方向のうち前記記録ヘッドが前記非記録位置から前記記録位置へ向かう第1の方向と逆の第2の方向に対向し、
前記付勢部材は、前記記録ヘッドを前記第1の方向に付勢し、
前記位置決め部は、前記記録ヘッドに対して前記第2の方向に当接することを特徴とする構成5に記載の記録装置。
(構成7)
前記支持移動部の移動方向は、直線方向であることを特徴とする構成1~6のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成8)
前記記録ヘッドは、
第1の当接部と、
前記記録ヘッドの移動方向と交差する方向において、前記第1の当接部と異なる位置に設けられる第2の当接部と、
を有し、
前記位置決め部は、
前記記録ヘッドが前記記録位置にあるときに前記第1の当接部に当接する第1の位置決め部と、
前記記録ヘッドが前記記録位置にあるときに前記第2の当接部に当接する第2の位置決め部と、
を含むことを特徴とする構成1~7のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成9)
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面の角度が、前記記録ヘッドの移動方向における、前記第1の当接部と前記第1の位置決め部とが当接する第1の当接位置と、前記第2の当接部と前記第2の位置決め部とが当接する第2の当接位置と、の差によって決まることを特徴とする構成8に記載の記録装置。
(構成10)
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面の角度が、前記記録ヘッドが前記記録位置へ移動する際における、前記第1の当接部と前記第1の位置決め部とが当接する第1のタイミングと、前記第2の当接部と前記第2の位置決め部とが当接する第2のタイミングと、の差によって決まることを特徴とする構成8に記載の記録装置。
(構成11)
前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部は、前記移動方向における位置が異なることを特徴とする構成8~10のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成12)
前記第2の位置決め部は、前記移動方向において、前記記録ヘッドに対して前記第1の位置決め部よりも離れていることを特徴とする構成11に記載の記録装置。
(構成13)
前記記録ヘッドは、被支持部を有し、
前記支持移動部は、前記被支持部と接触して前記記録ヘッドを支持するための支持面を有し、
前記支持移動部は、前記被支持部が前記支持面に接触するように前記記録ヘッドを付勢する付勢部材をさらに有し、
前記付勢部材は、
前記交差する方向において前記第2の当接部よりも前記第1の当接部に近い側で前記記録ヘッドに当接して前記記録ヘッドに第1の付勢力を付与する第1の付勢部材と、
前記交差する方向において前記第1の当接部よりも前記第2の当接部に近い側で前記記録ヘッドに当接して前記記録ヘッドに第2の付勢力を付与する第2の付勢部材と、
を含み、
前記第2の付勢力は、前記第1の付勢力より大きいことを特徴とする構成12に記載の記録装置。
(構成14)
前記第1の当接部と前記第1の位置決め部は、いずれか一方が凸形状を有し、他方が凹形状を有し、
前記第2の当接部と前記第2の位置決め部は、いずれか一方が凸形状を有し、他方が凹形状を有することを特徴とする構成8~13のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成15)
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面と対向する位置に、記録材を搬送する搬送部をさらに備え、
前記第1の当接部と前記第2の当接部は、記録材の搬送方向において異なる位置に設けられていることを特徴とする構成14に記載の記録装置。
(構成16)
前記吐出口面の角度は、前記搬送方向と直交する記録材の幅方向と平行な回転軸線周りに前記記録ヘッドが回転することで、変化することを特徴とする構成15に記載の記録装置。
(構成17)
前記凸形状は、半球形状であり、
前記凹形状は、前記搬送方向と直交する記録材の幅方向に延びる溝形状、又は円錐形状であることを特徴とする構成16に記載の記録装置。
(構成18)
前記第1の当接部は、前記幅方向における前記記録ヘッドの両側に対で設けられ、
前記第2の当接部は、前記幅方向における前記記録ヘッドの片側に設けられていることを特徴とする構成17に記載の記録装置。
(構成19)
前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部は、それぞれ前記半球形状であり、
前記第2の当接部は、前記溝形状であり、
対の前記第1の当接部のうち前記幅方向において前記第2の当接部と同じ側に設けられた前記第1の当接部は、前記溝形状であり、
対の前記第1の当接部のうち前記幅方向において前記第2の当接部とは反対
側に設けられた前記第1の当接部は、前記円錐形状であることを特徴とする構成18に記載の記録装置。
【符号の説明】
【0089】
22…記録ヘッド、221…被位置決め部、221a…第一当接部、221b…第二当接部、221c…第三当接部、26…ヘッドホルダ、261…第一孔、261a…第一溝部、261b…第一傾斜部、262…第二孔、262a…第二溝部、262b…第二傾斜部、263…第三孔、263a…第三溝部、263b…第三傾斜部、27a…第一ピン、27b…第二ピン、27c…第三ピン、51a…第一付勢部材、51b…第二付勢部材、51c…第三付勢部材、81…シート搬送部筐体、811…位置決め部材、S…シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口が開口する吐出口面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを支持し、記録を行う記録位置と記録を行わない非記録位置との間で前記記録ヘッドを移動させる支持部と、を備え、
前記支持部、前記吐出口面の角度の変化を規制する第1の状態と、前記吐出口面の角度の変化を規制しない第2の状態と、を取りうることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録位置にある前記記録ヘッドを所定の角度に位置決めする位置決め部を備え、
前記支持部が前記第1の状態のとき、前記記録ヘッドと前記位置決め部は当接せず、前記支持部が前記第2の状態のとき、前記記録ヘッドと前記位置決め部は当接することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドは、被支持部を有し、
前記支持部は、前記被支持部と接触して前記記録ヘッドを支持するための支持面を有し、
前記第1の状態において前記支持面は前記被支持部に接触し、前記第2の状態において前記支持面は前記被支持部から離間することを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記吐出口面の角度を変化させる前記記録ヘッドの移動が規制されるように、前記支持面に接触した前記被支持部に対して当接可能な規制面を有し、
前記第1の状態において前記規制面が前記被支持部に当接可能で、前記第2の状態において前記規制面が前記被支持部に当接しないことを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記被支持部は、前記記録ヘッドの移動方向と交差する方向における前記記録ヘッドの両端から前記交差する方向に突出する突起部であり、
前記支持部は、前記突起部に対して前記交差する方向に垂直な方向に対向する面を有する孔部を有し、
前記孔部の前記面は、前記支持面と前記規制面を含むことを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記被支持部が前記支持面に接触するように前記記録ヘッドを付勢する付勢部材をさらに有し、
前記位置決め部は、前記付勢部材の付勢力に抗する力が発生するように、前記記録ヘッドに当接することを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記支持面は、前記被支持部に対して、前記記録ヘッドの移動方向のうち前記記録ヘッドが前記非記録位置から前記記録位置へ向かう第1の方向と逆の第2の方向に対向し、
前記付勢部材は、前記記録ヘッドを前記第1の方向に付勢し、
前記位置決め部は、前記記録ヘッドに対して前記第2の方向に当接することを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記支持部の移動方向は、直線方向であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録ヘッドは、
第1の当接部と、
前記記録ヘッドの移動方向と交差する方向において、前記第1の当接部と異なる位置に設けられる第2の当接部と、
を有し、
前記位置決め部は、
前記記録ヘッドが前記記録位置にあるときに前記第1の当接部に当接する第1の位置決め部と、
前記記録ヘッドが前記記録位置にあるときに前記第2の当接部に当接する第2の位置決め部と、
を含むことを特徴とする請求項~7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面の角度が、前記記録ヘッドの移動方向における、前記第1の当接部と前記第1の位置決め部とが当接する第1の当接位置と、前記第2の当接部と前記第2の位置決め部とが当接する第2の当接位置と、の差によって決まることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面の角度が、前記記録ヘッドが前記記録位置へ移動する際における、前記第1の当接部と前記第1の位置決め部とが当接する第1のタイミングと、前記第2の当接部と前記第2の位置決め部とが当接する第2のタイミングと、の差によって決まることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部は、前記移動方向における位置が異なることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記第2の位置決め部は、前記移動方向において、前記記録ヘッドに対して前記第1の位置決め部よりも離れていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項14】
前記記録ヘッドは、被支持部を有し、
前記支持部は、前記被支持部と接触して前記記録ヘッドを支持するための支持面を有し、
前記支持部は、前記被支持部が前記支持面に接触するように前記記録ヘッドを付勢する付勢部材をさらに有し、
前記付勢部材は、
前記交差する方向において前記第2の当接部よりも前記第1の当接部に近い側で前記記録ヘッドに当接して前記記録ヘッドに第1の付勢力を付与する第1の付勢部材と、
前記交差する方向において前記第1の当接部よりも前記第2の当接部に近い側で前記記録ヘッドに当接して前記記録ヘッドに第2の付勢力を付与する第2の付勢部材と、
を含み、
前記第2の付勢力は、前記第1の付勢力より大きいことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項15】
前記第1の当接部と前記第1の位置決め部は、いずれか一方が凸形状を有し、他方が凹形状を有し、
前記第2の当接部と前記第2の位置決め部は、いずれか一方が凸形状を有し、他方が凹形状を有することを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項16】
前記記録位置にある前記記録ヘッドの前記吐出口面と対向する位置に、記録材を搬送する搬送部をさらに備え、
前記第1の当接部と前記第2の当接部は、記録材の搬送方向において異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項17】
前記吐出口面の角度は、前記搬送方向と直交する記録材の幅方向と平行な回転軸線周りに前記記録ヘッドが回転することで、変化することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項18】
前記凸形状は、半球形状であり、
前記凹形状は、前記搬送方向と直交する記録材の幅方向に延びる溝形状、又は円錐形状であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項19】
前記第1の当接部は、前記幅方向における前記記録ヘッドの両側に対で設けられ、
前記第2の当接部は、前記幅方向における前記記録ヘッドの片側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項20】
前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部は、それぞれ前記半球形状であり、
前記第2の当接部は、前記溝形状であり、
対の前記第1の当接部のうち前記幅方向において前記第2の当接部と同じ側に設けられた前記第1の当接部は、前記溝形状であり、
対の前記第1の当接部のうち前記幅方向において前記第2の当接部とは反対
側に設けられた前記第1の当接部は、前記円錐形状であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の記録装置は、
液体を吐出する吐出口が開口する吐出口面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを支持し、記録を行う記録位置と記録を行わない非記録位置との間で前記記録ヘッドを移動させる支持部と、を備え、
前記支持部、前記吐出口面の角度の変化を規制する第1の状態と、前記吐出口面の角度の変化を規制しない第2の状態と、を取りうることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cは、それぞれ、互いに同径の球体状部材である。第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cは、それぞれ、シート搬送部筐体81が備える位置決め支持部810に設けられた凹部812に嵌め込まれて取り付けられている。第一位置決め部材811a、第二位置決め部材811b、第三位置決め部材811cは、それぞれ、略下方(下半球)部分が凹部812に埋まり、凹部812から露出する略上方(上半球)部分が、上方に突出する略半球形状の凸形状の位置決め部を形成する。位置決め支持部810は、シート搬送経路に対してシート幅方向の手前側に配置される手前側位置決め支持部810と、奥側に配置される奥側位置決め支持部810と、を含む。第一位置決め部材811aは、手前側位置決め支持部810に設けられた第一凹部812aに取り付けられている。第二位置決め部材811bは、奥側位置決め支持部810に設けられた第二凹部812bに取り付けられ、第三位置決め部材811cは、奥側位置決め支持部810に設けられた第三凹部812cに取り付けられている。第二凹部812bは、第三凹部812cに対してシート搬送方向上流側に設けられている。