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特開2023-182141巻取管処理装置、糸巻取機及び糸巻取システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182141
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】巻取管処理装置、糸巻取機及び糸巻取システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/06 20060101AFI20231219BHJP
   D01H 9/18 20060101ALI20231219BHJP
   D01H 9/10 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65H67/06 E
B65H67/06 C
D01H9/18 B
D01H9/18 Z
D01H9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095568
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】須佐見 浩之
【テーマコード(参考)】
3F112
4L056
【Fターム(参考)】
3F112AA08
3F112BA03
3F112CA03
3F112EB03
3F112GC02
3F112KA08
3F112TA00
4L056AA02
4L056AA19
4L056AA45
4L056BC01
4L056BE05
4L056BF21
4L056BF22
4L056BF29
4L056BF32
4L056BF42
4L056BF49
4L056BF59
4L056BF66
4L056DB04
4L056EC63
(57)【要約】
【課題】部品点数が多くなることを回避する。
【解決手段】巻取管処理装置65は、ボビンBが載置される搬送面67Zを有するコンベア装置67と、搬送面67Z上にボビンBを、長手方向が搬送面67Zと交差し且つ小径端側の一端部が搬送面67Zに当接するように導入するシュート部66と、搬送面67Z上に導入したボビンBの向きを変更する向き変更部70と、を備える。向き変更部70は、搬送面67Zを左右方向に移動させる駆動部69と、搬送面67Z上にボビンを導入した第1状態において、駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを左右方向に移動させる機台制御装置5Cと、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取管が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面上に前記巻取管を、前記巻取管の長手方向が前記載置面と交差し且つ前記巻取管の長手方向の一端部が前記載置面に当接するように導入する導入部と、
前記載置面上に導入した前記巻取管の向きを変更する向き変更部と、を備え、
前記向き変更部は、
前記載置面及び前記導入部の少なくとも何れかを前記載置面に沿う方向に移動させる駆動部と、
前記載置面上に前記巻取管を導入した第1状態において、前記駆動部の駆動を制御し、前記載置面及び前記導入部の少なくとも何れかを前記載置面に沿う方向に移動させる制御部と、を有する、巻取管処理装置。
【請求項2】
前記導入部は、
前記第1状態において、前記巻取管の長手方向の他端部に当接可能に設けられ、前記巻取管が前記載置面上にて横たわるまで倒されることがないように規制する規制部を有し、
前記制御部は、
前記第1状態において前記駆動部の駆動を制御し、前記載置面及び前記規制部の少なくとも何れかを前記載置面に沿う方向に移動させ、前記載置面に当接する前記一端部及び前記規制部に当接する前記他端部の少なくとも何れかを当該移動に伴って移動させることにより、前記規制部の規制が外れるように前記巻取管を傾け、前記巻取管を前記載置面上にて横たわるまで倒す、請求項1に記載の巻取管処理装置。
【請求項3】
前記載置部は、前記巻取管を搬送する搬送部を構成し、
前記制御部は、
前記第1状態において前記駆動部の駆動を制御し、前記載置面を第1搬送方向に移動させ、前記規制部の規制が外れるように前記巻取管を傾け、前記巻取管を前記載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、前記駆動部の駆動を制御し、前記載置面を前記第1搬送方向の逆方向である第2搬送方向に移動させ、当該巻取管を前記第2搬送方向へ搬送する、請求項2に記載の巻取管処理装置。
【請求項4】
前記載置面を前記第1搬送方向に移動させる場合の前記載置面の移動速度は、前記載置面を前記第2搬送方向に移動させる場合の前記載置面の移動速度よりも遅い、請求項3に記載の巻取管処理装置。
【請求項5】
前記巻取管を検出するセンサーを備え、
前記制御部は、前記センサーにより前記第2状態の前記巻取管を検出した場合に、前記載置面の移動方向を前記第1搬送方向から前記第2搬送方向へ変更する、請求項3又は4に記載の巻取管処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記導入部により前記載置面上に前記巻取管を導入してから所定時間が経過した場合に、前記載置面の移動方向を前記第1搬送方向から前記第2搬送方向へ変更する、請求項3又は4に記載の巻取管処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記導入部により前記載置面上に前記巻取管を導入してから前記載置面を前記第1搬送方向に移動させた移動距離が所定距離に達した場合に、前記載置面の移動方向を前記第1搬送方向から前記第2搬送方向へ変更する、請求項3又は4に記載の巻取管処理装置。
【請求項8】
前記駆動部は、ステッピングモータを含み、
前記制御部は、前記ステッピングモータに入力されるパルス信号のパルス数に基づいて、前記載置面の前記移動距離を算出する、請求項7に記載の巻取管処理装置。
【請求項9】
前記載置面上における前記第1搬送方向の一端側又はその周辺に設けられ、前記載置面上の前記巻取管の前記第1搬送方向への移動を遮る壁部を備える、請求項3又は4に記載の巻取管処理装置。
【請求項10】
前記搬送部により搬送した前記巻取管は、受取部により受け取られ、
前記導入部は、前記受取部へ前記巻取管が受け渡されて前記載置面上に他の前記巻取管が存在しない場合に、新たな前記巻取管を前記載置面上に導入する、請求項3又は4に記載の巻取管処理装置。
【請求項11】
前記搬送部は、前記載置面を構成する無端ベルトを有し、
前記駆動部は、前記無端ベルトを前記第1搬送方向又は前記第2搬送方向に送ることにより、前記載置面を移動させ、
前記制御部は、
前記第1状態から前記無端ベルトを逆転して前記載置面を前記第1搬送方向に移動させ、前記巻取管を前記載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、前記無端ベルトを正転して前記載置面を前記第2搬送方向に移動させ、当該巻取管を搬送させる第1制御と、
前記第1状態から前記無端ベルトを正転して前記載置面を前記第2搬送方向に移動させ、前記巻取管を前記載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、前記無端ベルトを逆転して前記載置面を前記第1搬送方向に移動させ、当該巻取管を搬送させる第2制御と、を実行可能である、請求項3又は4に記載の巻取管処理装置。
【請求項12】
前記載置面の摩擦係数は、前記規制部において前記巻取管の前記他端部に当接可能な面の摩擦係数よりも大きい、請求項2に記載の巻取管処理装置。
【請求項13】
前記巻取管としての紙管に糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取ユニットと、
前記紙管を格納するマガジンと、前記マガジンに格納された前記紙管を前記巻取ユニットに受け渡すボビン装着機構と、を有する作業台車と、
複数の前記紙管を保管するボビンストッカと、前記ボビンストッカから供給された前記紙管を処理する請求項1又は2に記載の巻取管処理装置と、前記巻取管処理装置により処理した前記紙管を前記作業台車に送出する送出機構と、を有するボビン供給装置と、を備える、糸巻取機。
【請求項14】
巻取管に糸を巻き取って給糸ボビンを形成する精紡機と、
前記給糸ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成する自動ワインダと、
前記精紡機に供給される前記巻取管を処理する請求項1又は2に記載の巻取管処理装置と、を備える、糸巻取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、巻取管処理装置、糸巻取機及び糸巻取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
巻取管処理装置に関する技術として、特許文献1には、一の方向から導入されたボビン(巻取管)の向きを転換して、当該ボビンを他の方向に受け渡すボビン方向転換機構が記載されている。特許文献1に記載されたボビン方向転換機構は、ボビンの軸方向における一端を支持する第1支持部と、第1支持部とは異なる方向からボビンを支持する第2支持部と、ボビン支持部を受取位置と排出位置とに移動させるエアシリンダと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-187632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、巻取管処理装置の部品点数が多く、コスト及び組立工数が増加してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、部品点数が多くなることを回避することが可能な巻取管処理装置、糸巻取機及び糸巻取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置は、巻取管が載置される載置面を有する載置部と、載置面上に巻取管を、巻取管の長手方向が載置面と交差し且つ巻取管の長手方向の一端部が載置面に当接するように導入する導入部と、載置面上に導入した巻取管の向きを変更する向き変更部と、を備え、向き変更部は、載置面及び導入部の少なくとも何れかを載置面に沿う方向に移動させる駆動部と、載置面上に巻取管を導入した第1状態において、駆動部の駆動を制御し、載置面及び導入部の少なくとも何れかを載置面に沿う方向に移動させる制御部と、を有する、巻取管処理装置。
【0007】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、導入部により巻取管を載置面上に導入した第1状態において、駆動部により載置面及び導入部の少なくとも何れかを載置面に沿う方向に移動させることで、当該巻取管を傾けて載置面上にて横たわるまで倒すことができる。その結果、多くの部品を用いずとも、巻取管の向きを載置面に交差する方向から載置面に沿う方向へ転換して、当該巻取管を後段へ受け渡すことが可能となる。よって、本発明の一側面に係る巻取管処理装置によれば、部品点数が多くなることを回避することが可能となる。
【0008】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、導入部は、第1状態において、巻取管の長手方向の他端部に当接可能に設けられ、巻取管が載置面上にて横たわるまで倒されることがないように規制する規制部を有し、制御部は、第1状態において駆動部の駆動を制御し、載置面及び規制部の少なくとも何れかを載置面に沿う方向に移動させ、載置面に当接する一端部及び規制部に当接する他端部の少なくとも何れかを当該移動に伴って移動させることにより、規制部の規制が外れるように巻取管を傾け、巻取管を載置面上にて横たわるまで倒してもよい。この場合、巻取管の向きの転換を具体的に実現できる。
【0009】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、載置部は、巻取管を搬送する搬送部を構成し、制御部は、第1状態において駆動部の駆動を制御し、載置面を第1搬送方向に移動させ、規制部の規制が外れるように巻取管を傾け、巻取管を載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、駆動部の駆動を制御し、載置面を第1搬送方向の逆方向である第2搬送方向に移動させ、当該巻取管を第2搬送方向へ搬送してもよい。この場合、載置部を搬送部としても機能させ、構成を簡素化することが可能となる。
【0010】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、載置面を第1搬送方向に移動させる場合の載置面の移動速度は、載置面を第2搬送方向に移動させる場合の載置面の移動速度よりも遅くてもよい。この場合、巻取管の向きを確実に転換させつつ、その後の巻取管の搬送を効率的に行なうことが可能となる。
【0011】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置は、第2状態の巻取管を検出するセンサーを備え、制御部は、センサーにより第2状態の巻取管を検出した場合に、載置面の移動方向を第1搬送方向から第2搬送方向へ変更してもよい。この場合、センサーの検出結果を利用するため、載置面の移動方向を適切なタイミングで変更することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、制御部は、導入部により載置面上に巻取管を導入してから所定時間が経過した場合に、載置面の移動方向を第1搬送方向から第2搬送方向へ変更してもよい。この場合、例えばセンサーを用いることなく載置面の移動方向を変更することができるため、構成を簡素化することが可能となる。
【0013】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、制御部は、導入部により載置面上に巻取管を導入してから載置面を第1搬送方向に移動させた移動距離が所定距離に達した場合に、載置面の移動方向を第1搬送方向から第2搬送方向へ変更してもよい。この場合、載置面上に巻取管を導入してからの移動距離を利用して、載置面の移動方向を変更することができる。
【0014】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、駆動部は、ステッピングモータを含み、制御部は、ステッピングモータに入力されるパルス信号のパルス数に基づいて、載置面の移動距離を算出してもよい。この場合、ステッピングモータのパルス数を利用するため、載置面の移動距離を簡単に算出することが可能となる。
【0015】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置は、載置面上における第1搬送方向の一端側又はその周辺に設けられ、載置面上の巻取管の第1搬送方向への移動を遮る壁部を備えてもよい。この場合、載置面から第1搬送方向に向かって巻取管が脱落することを確実に防止することが可能となる。
【0016】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、搬送部により搬送した巻取管は、受取部により受け取られ、導入部は、受取部へ巻取管が受け渡されて載置面上に他の巻取管が存在しない場合に、新たな巻取管を載置面上に導入してもよい。この場合、載置面上における巻取管同士の衝突を回避することができる。
【0017】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、搬送部は、載置面を構成する無端ベルトを有し、駆動部は、無端ベルトを第1搬送方向又は第2搬送方向に送ることにより、載置面を移動させ、制御部は、第1状態から無端ベルトを逆転して載置面を第1搬送方向に移動させ、巻取管を載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、無端ベルトを正転して載置面を第2搬送方向に移動させ、当該巻取管を搬送させる第1制御と、第1状態から無端ベルトを正転して載置面を第2搬送方向に移動させ、巻取管を載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、無端ベルトを逆転して載置面を第1搬送方向に移動させ、当該巻取管を搬送させる第2制御と、を実行可能であってもよい。この場合、巻取管を所望の向きにして振り分けることができる。
【0018】
本発明の一側面に係る巻取管処理装置では、載置面の摩擦係数は、規制部において他端部に当接可能な面の摩擦係数よりも大きくてもよい。この場合、載置面及び規制部の少なくとも何れかを載置面に沿う方向に移動させて規制部の規制が外れるまで巻取管を傾けることが、確実に実現可能となる。
【0019】
本発明の一側面に係る糸巻取機は、巻取管としての紙管に糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取ユニットと、紙管を格納するマガジンと、マガジンに格納された紙管を巻取ユニットに受け渡すボビン装着機構と、を有する作業台車と、複数の紙管を保管するボビンストッカと、ボビンストッカから供給された紙管を処理する上記巻取管処理装置と、巻取管処理装置により処理した紙管を作業台車に送出する送出機構と、を有するボビン供給装置と、を備える。この糸巻取機においても、上記巻取管処理装置により、部品点数が多くなることを回避できる効果を奏する。
【0020】
本発明の一側面に係る糸巻取システムは、巻取管に糸を巻き取って給糸ボビンを形成する精紡機と、給糸ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成する自動ワインダと、精紡機に供給される巻取管を処理する上記巻取管処理装置と、を備える。この糸巻取システムにおいても、上記巻取管処理装置により、部品点数が多くなることを回避できる効果を奏する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一側面によれば、部品点数が多くなることを回避することが可能な巻取管処理装置、糸巻取機及び糸巻取システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、一実施形態に係る紡績機を示す正面図である。
図2図2は、図1の紡績機の紡績ユニット及び玉揚台車を示す側面図である。
図3図3は、図1の巻取管処理装置を示す正面図である。
図4図4は、図1の巻取管処理装置を示す正面図である。
図5図5は、図1の巻取管処理装置を示す正面図である。
図6図6は、図1の巻取管処理装置を示す正面図である。
図7図7(a)は、変形例に係る巻取管処理装置を示す正面図である。図7(b)は、変形例に係る巻取管処理装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する説明中「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0024】
図1に示されるように、紡績機(糸巻取機)1は、複数の紡績ユニット(巻取ユニット)2と、糸継台車3と、玉揚台車(作業台車)4と、第一エンドフレーム5Aと、第二エンドフレーム5Bと、ボビン供給装置60と、を備えている。複数の紡績ユニット2は、紡績機1の長手方向に一列に配列されている。各紡績ユニット2は、糸Yを生成し、当該糸Yをボビン(巻取管)Bに巻き取ってパッケージPを形成する。本実施形態では、紡績機1の前には、作業者が通行できる作業通路が設けられている。
【0025】
第一エンドフレーム5Aには、紡績ユニット2において発生した繊維屑及び糸屑等を回収する回収装置等が収容されている。第一エンドフレーム5Aは、複数の紡績ユニット2の配列方向(図の左右方向)の一方の端部に配置されている。第二エンドフレーム5Bには、紡績機1に供給される圧縮空気の空気圧を調整して紡績機1の各部に空気を供給する空気供給部が収容されている。第二エンドフレーム5Bには、紡績ユニット2の各部に動力を供給するための駆動モータ等が収容されていてもよい。第二エンドフレーム5Bは、複数の紡績ユニット2の配列方向の他方の端部に配置されている。第二エンドフレーム5Bには、機台制御装置(制御装置)5Cと、表示画面5Dと、入力キー5Eと、が設けられている。
【0026】
機台制御装置5Cは、紡績機1の各部を集中的に管理及び制御する。表示画面5Dは、紡績ユニット2の設定内容及び状態に関する情報等を表示することができる。オペレータが入力キー5Eを用いて適宜の操作を行うことにより、紡績ユニット2の設定作業を行うことができる。
【0027】
図2に示されるように、各紡績ユニット2は、糸Yの走行方向において上流側から順に、ドラフト装置6と、空気紡績装置7と、糸監視装置8と、テンションセンサー9と、ユニットコントローラ10と、糸貯留装置11と、ワキシング装置12と、巻取装置13と、を備えている。ユニットコントローラ10は、所定数(一又は複数)の紡績ユニット2ごとに設けられており、紡績ユニット2の動作を制御する。
【0028】
ドラフト装置6は、スライバSをドラフトする。空気紡績装置7は、ドラフト装置6においてスライバSをドラフトすることにより生成された繊維束Fに旋回空気流によって撚りを与えて糸Yを生成する。糸貯留装置11は、空気紡績装置7と巻取装置13との間において糸Yを貯留し、糸Yの弛みを取る。ワキシング装置12は、糸貯留装置11と巻取装置13との間において、糸Yにワックスを付与する。巻取装置13は、糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。
【0029】
糸監視装置8は、空気紡績装置7と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yの情報を監視して、監視した情報に基づいて糸欠陥の有無を検出する。糸監視装置8は、糸欠陥を検出した場合、糸欠陥検出信号をユニットコントローラ10に送信する。テンションセンサー9は、空気紡績装置7と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yのテンションを測定し、テンション測定信号をユニットコントローラ10に送信する。糸監視装置8及びテンションセンサー9の少なくとも何れかの検出結果に基づきユニットコントローラ10が異常有りと判断した場合、紡績ユニット2において、糸Yが切断される。
【0030】
巻取装置13は、糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置13は、クレードルアーム21と、巻取ドラム22と、トラバースガイド23と、を有している。クレードルアーム21は、ボビンBを回転可能に支持する。クレードルアーム21は、支軸24によって揺動可能に支持されており、ボビンBの表面又はパッケージPの表面を巻取ドラム22の表面に適切な圧力で接触させる。各紡績ユニット2のトラバースガイド23は、複数の紡績ユニット2により共有されるシャフトに設けられている。
【0031】
図1及び図2に示されるように、糸継台車3は、ある紡績ユニット2において糸Yが切断されたり、何らかの理由により糸Yが切れたりした場合、当該紡績ユニット2において糸継動作を行う。糸継台車3は、複数の紡績ユニット2の配列方向に沿って延在する走行路R1上を走行する。糸継台車3は、サクションパイプ31と、糸継装置32と、サクションマウス33と、を備える。
【0032】
サクションパイプ31は、回動可能に支持されており、空気紡績装置7からの糸Yを捕捉して糸継装置32に案内する。サクションマウス33は、回動可能に支持されており、巻取装置13からの糸Yを捕捉して糸継装置32に案内する。糸継装置32は、案内された糸Y同士の糸継ぎを行う。糸継装置32は、圧縮空気を用いるスプライサ、又は、糸Yを機械的に継ぐノッター等である。紡績ユニット2は、パッケージPからの糸Yを空気紡績装置7まで、又は空気紡績装置7よりも上流側に逆走させ、ドラフト装置6によるドラフト動作と空気紡績装置7による紡績動作を開始することにより、糸Yを継ぐピーサーであってもよい。
【0033】
玉揚台車4は、ある紡績ユニット2においてパッケージPが満巻になった場合、パッケージPを排出する排出動作と、新しいボビンBを当該紡績ユニット2のクレードルアーム21に装着して糸Yの巻取りの準備を行うボビンセット動作と、を行う。玉揚台車4は、一の紡績ユニット2においてパッケージPが満巻きになると、機台制御装置5Cからの制御信号により、一の紡績ユニット2まで走行して停止し、排出動作及びボビンセット動作の両方の動作(玉揚作業)を行う。オペレータがパッケージPの排出を行ってもよい。この場合、玉揚台車4は、パッケージPの排出動作を行うための装置を備えていなくてもよい。
【0034】
玉揚台車4は、筐体40と、マガジン41と、ボビン装着機構42と、クレードル操作アーム43と、サクションパイプ44と、制御部46と、を備えている。マガジン41、ボビン装着機構42、クレードル操作アーム43、サクションパイプ44及び制御部46は、筐体40に収容されている。マガジン41は、ボビン供給装置60から供給されたボビンBを格納する。ボビン装着機構42は、マガジン41に格納されたボビンBをクレードルアーム21に供給する。ボビン装着機構42は、マガジン41からボビンBを受け取り、ボビンBをクレードルアーム21に受け渡す。
【0035】
サクションパイプ44は、空気紡績装置7から送出される糸Yを吸引部にて吸引することにより捕捉して、補捉した糸Yを巻取装置13まで案内する。クレードル操作アーム43は、満巻になったパッケージPを巻取装置13から取り外すためにクレードルアーム21を開く操作、又は新たなボビンBをクレードルアーム21に装着するためにクレードルアーム21を閉じる操作を行う。クレードル操作アーム43によりクレードルアーム21が開かれると、パッケージPがクレードルアーム21から取り外されて、搬送装置80に排出される。搬送装置80は、図示しない駆動ローラによって無端ベルトが駆動されるコンベアベルトである。制御部46は、玉揚台車4の各種の動作を制御する。
【0036】
図1に示されるように、ボビン供給装置60は、複数の紡績ユニット2の配列方向の一方の端部(第一エンドフレーム5Aが配置されている端部)に配置されている。ボビン供給装置60は、複数のボビンストッカ61と、取出機構63と、巻取管処理装置65と、送出機構(受取部)75と、を備えている。本実施形態では、ボビンBは、筒体として構成されている。ボビンBは、紙管である。ボビンBを正面視した場合、ボビンBは、軸方向において一端から他端に向けて広がる末広がり状に形成されている。以下、一端を小径端、他端を大径端ともいう。
【0037】
ボビンストッカ61は、複数のボビンBを保管する機構である。ボビンストッカ61は、ボビンBを保持可能な棒状の部材であるペグ62Aを複数有している。ボビンストッカ61は、ペグ62Aの長手方向と略直行する垂直平面内を循環駆動される無端チェーン62Bを有している。複数のペグ62Aは、無端チェーン62Bに固定されている。したがって、無端チェーン62Bを一方向に連続的又は間欠的に循環駆動させることにより、ペグ62Aに取り付けられたボビンBを、無端チェーン62Bの長手方向に沿って搬送させることができる。無端チェーン62Bは、駆動部によって駆動される。
【0038】
上述した構成のボビンストッカ61は、複数設けられている。本実施形態では、二個(二系統)のボビンストッカ(第一ボビンストッカ61A及び第二ボビンストッカ61B)が設けられており、左右方向に配列されている。第一ボビンストッカ61A及び第二ボビンストッカ61Bは、一つの筐体60Aに格納されている。なお、紡績機1は、ボビンストッカ61を1つだけ備える構成であってもよい。
【0039】
取出機構63は、ペグ62AからボビンBを取り出す機構である。取出機構63は、無端チェーン62Bの循環駆動によるペグ62Aの移動経路に設けられている。取出機構63は、取出部材63Aと、検知センサー63Cと、を有する。取出部材63Aは、ボビンBを前方向に押し出すことによってボビンBをペグ62Aから取り外す部材である。取出部材63Aは、エアシリンダ等の駆動部により前後方向に移動するように駆動される。検知センサー63Cは、ボビンBの有無を検知する。検知センサー63Cは、無端チェーン62Bの循環方向において、取出機構63の上流側のボビンBの有無を検知可能に設けられている。
【0040】
巻取管処理装置65は、取出機構63によって取り出された(つまり、ボビンストッカ61から供給された)ボビンBを処理する装置である。巻取管処理装置65は、ボビンBの向きを変更する方向転換機構を構成する。巻取管処理装置65は、ボビンBの大径端が上方に且つ小径端が下方に向いた状態にて、取出機構63からボビンBを受け止める。巻取管処理装置65は、受け止めたボビンBの長手方向がコンベア装置67の搬送方向(以下、単に「搬送方向」ともいう)に沿うように、ボビンBの向きを変更する。巻取管処理装置65は、当該ボビンBをコンベア装置67により送出機構75へ搬送する。
【0041】
送出機構75は、コンベア装置67により搬送されたボビンBを受け取り、受け取ったボビンBを玉揚台車4に供給する機構である。送出機構75は、コンベア装置67における搬送方向の一端側に連なるように配置されている。送出機構75は、玉揚台車4がボビン供給装置60の供給位置SPに到達すると、ボビンBを玉揚台車4に対して供給する。
【0042】
次に、巻取管処理装置65について、詳細に説明する。
【0043】
図1及び図3に示されるように、巻取管処理装置65は、コンベア装置67と、シュート部66と、を備える。コンベア装置67は、送出機構75へボビンBを搬送する搬送部である。コンベア装置67は、例えばベルト式コンベアであり、一対のローラ67A,67Aと、一対のローラ67A,67Aに掛け渡された無端ベルト67Bと、一対のローラ67A,67Aの一方を駆動する駆動部69と、を含む。コンベア装置67は、水平面に沿う搬送面67Zを有する。無端ベルト67Bは、ゴム材により形成されている。搬送面67Zは、無端ベルト67Bの上面により構成される。つまり、無端ベルト67Bは、搬送面67Zを構成する。搬送面67Zは、ボビンBが載置される載置面に対応し、コンベア装置67は載置部に対応する。
【0044】
駆動部69は、ステッピングモータを含む。駆動部69は、機台制御装置5Cにより制御される。駆動部69は、搬送面67Zを左右方向(搬送面67Zに沿う方向、搬送面67Zの長手方向)に移動させる。駆動部69は、ローラ67Aを逆方向に駆動することにより、無端ベルト67Bを逆転するように駆動し、搬送面67Zを第1搬送方向(図示右方向,送出機構75から離れる方向)へ移動させる。駆動部69は、ローラ67Aを順方向に駆動することにより、無端ベルト67Bを正転するように駆動し、搬送面67Zを第2搬送方向(図示左方向,送出機構75へ近づく方向)へ移動させる。なお、駆動部69は、例えばインダクションモータ又はサーボモータを含んでいてもよい。搬送面67Zに沿う方向は、左右方向に限定されず、左右方向に対して傾斜していてもよい。搬送面67Zに沿う方向は、シュート部66により導入したボビンBの長手方向と交差する方向、水平方向、水平方向に沿う方向、搬送面(載置面)67Z上の方向、又は、搬送面(載置面)67Zに倣う方向等を意味していてもよい。
【0045】
シュート部66は、ボビンBの長手方向が搬送面67Zと交差し、且つ、小径端側の一端部が搬送面67Zに当接(直接的に接触)するように、搬送面67Z上にボビンBを導入する導入部である。シュート部66は、一対の規制板(規制部)66A,66Bを有する。シュート部66は、取出機構63によって取り出されたボビンBについて、その大径端を上方にして一対の規制板66A,66Bの間から落下させ、ボビンBの大径端が上方に向いた状態で小径端側の一端部が搬送面67Zに当接するように搬送面67Z上に投入する。シュート部66により搬送面67Z上にボビンBを導入したときの状態である第1状態(以下、単に「第1状態」ともいう)は、ボビンBが搬送面67Z上において小径端を下方にして立つ状態である。第1状態は、ボビンBの長手方向が搬送面67Zと交差する状態である。第1状態は、ボビンBが搬送面67Z上に横たわっていない状態である。第1状態は、ボビンBの大径端が搬送面67Zから離れている状態である。ボビンBの一端部は、特に限定されないが、ここでは、小径側の面(端面)である。
【0046】
一対の規制板66A,66Bは、その間において、ボビンBが搬送面67Z上にて横たわるまで倒されることがないように規制する。一対の規制板66A,66Bは、第1状態においてボビンBの大径端側の他端部の少なくとも一部に当接可能に設けられている。一対の規制板66A,66Bは、互いに対向し、且つ搬送面67Zの搬送方向を厚さ方向とする板部材ある。一対の規制板66A,66Bは、例えば金属から形成されている。一対の規制板66A,66Bにおける対向する各主面(ボビンBに当接可能な面)の摩擦係数は、搬送面67Zの摩擦係数よりも大きい。一対の規制板66A,66Bは、搬送面67Z上に導入したボビンBの長手方向が傾いた場合でも、対向する主面にボビンBの大径端側の他端部の少なくとも一部を当接させることにより、ボビンBが横置きになるまで倒されることを阻止する。第1状態では、ボビンBの大径端側の他端部の少なくとも一部が規制板66A,66Bの少なくとも何れかと当接していてもよいし、当接していなくてもよい。ボビンBの他端部は、特に限定されないが、ここでは、大径側の端に近い領域のボビン周面である。
【0047】
巻取管処理装置65では、一対の規制板66A,66Bと交差する方向に延びる、前ガイド板(不図示)及び後ガイド板(不図示)が設けられている。前ガイド板及び後ガイド板は、搬送面67Zの幅方向を厚さ方向とする板部材であり、搬送面67Zの幅方向の一方側及び他方側に設けられている。これにより、第1状態における搬送面67Zの幅方向の一方側及び他方側へのボビンBの倒れ及びズレが規制される。前ガイド板及び後ガイド板の高さ(搬送面67Zに直交する方向の高さ)は特に限定されない。前ガイド板及び後ガイド板は、ボビンBを規制できる高さを有していればよい。
【0048】
一対の規制板66A,66Bは、搬送面67Zの上方に搬送面67Zから第1距離a離れて配置されている。一対の規制板66A,66Bは、第2距離rb離れて平行になるように並設されている。例えば第1距離aは、ボビンBの長手方向の距離A0よりも小さい。例えば第2距離rbは、ボビンBの大径端の直径RB0よりも大きい。ボビンBの距離A0が第1距離aよりも長いため、第1状態のボビンBが意図せずに倒れそうになったとしても、ボビンBは規制板66a又は規制板66bにより移動が規制され、図3の状態から少し傾いた程度で停止する。ボビンBの大径端の直径RB0は第2距離rbよりも小さいため(シュート部66とボビンBとの間に隙間があるため)、取出機構63から取り出されてシュート部66を通過するボビンBは、シュート部66を通過する間、その大径端側の端部が一対の規制板66A,66Bを擦り続けることがない。
【0049】
このようなシュート部66は、搬送面67Z上から送出機構75へボビンBが受け渡されて搬送面67Z上に他のボビンBが存在しない場合に、新たなボビンBを搬送面67Z上に導入する。ただし、ボビンB同士の衝突が回避できるような状況であれば、搬送面67Z上にボビンBが存在していても、新たなボビンBを搬送面67Z上へと導入してもよい。
【0050】
巻取管処理装置65は、上述した駆動部69及び機台制御装置5Cを、向き変更部70として備える。向き変更部70は、シュート部66により搬送面67Z上に導入したボビンBの向きを変更する。機台制御装置5Cは、第1状態において駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを左方向又は右方向に移動させる。具体的には、図3図4及び図5に示されるように、機台制御装置5Cは、第1状態において駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを第1搬送方向に移動させる。これにより、搬送面67Zに当接するボビンBの小径端を当該移動に伴って(連れ立って)移動させることにより、規制板66A,66Bの規制が外れるようにボビンBを傾け、ボビンBを搬送面67Z上にて横たわるまで倒した第2状態とする。図6に示されるように、機台制御装置5Cは、第2状態とした後に駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを第1搬送方向の逆方向である第2搬送方向に移動させ、当該ボビンBを第2搬送方向へ搬送させる。
【0051】
機台制御装置5Cは、搬送面67Zを第1搬送方向に移動させる場合、搬送面67Zを第2搬送方向に移動させる場合に比べて、搬送面67Zが遅く移動するように駆動部69を駆動させる。すなわち、搬送面67Zを第1搬送方向に移動させる場合の搬送面67Zの移動速度は、搬送面67Zを第2搬送方向に移動させる場合の搬送面67Zの移動速度よりも遅い。
【0052】
巻取管処理装置65は、センサーS1及び壁部68を備える。センサーS1は、ボビンBを検出する(ボビンBが完全に倒れてセンサーS1で検出されない状況を示す)検出器である。機台制御装置5Cは、センサーS1により第2状態のボビンBを検出した場合に、第1搬送方向に移動する搬送面67Zの移動方向を第1搬送方向から第2搬送方向へ変更する。センサーS1としては、例えば光電センサーを用いることができる。センサーS1は、ボビンBが倒れたことが確認できる位置に設けられている。センサーS1は、シュート部66よりも下方、且つ、搬送面67ZよりもボビンBの大径端の直径RB0以上の距離だけ上方の位置において、水平方向に沿って光を投光する。センサーS1により投光した光は、第1状態ではボビンBにより遮られる(センサーON)。一方、センサーS1により投光した光は、第2状態ではボビンBにより遮られずに受光される(センサーOFF)。よって、センサーS1は、センサーONからセンサーOFFへの変化を検出することで第2状態のボビンBを検出する。
【0053】
壁部68は、搬送面67Z上における第1搬送方向の一端側の周辺に設けられている。ここでの壁部68は、搬送面67Zの第1搬送方向の一端に近接する位置に、立設されている。壁部68は、第1搬送方向を厚さ方向とする板状を呈しており、第1搬送方向に垂直な壁面を有する。壁部68は、搬送面67Z上のボビンBの第1搬送方向への移動を遮る。なお、壁部68は省略してもよい。
【0054】
以上のように構成された巻取管処理装置65では、まず、図3に示されるように、シュート部66により搬送面67Z上にボビンBが導入され、第1状態とされる。ここでの第1状態では、ボビンBが搬送面67Z上に自立している。図4に示されるように、第1状態において、機台制御装置5Cにより駆動部69の駆動を制御し、無端ベルト67Bを逆転し、搬送面67Zを第1搬送方向に第1速度で移動させ、搬送面67Zに当接するボビンBの小径端を当該移動に伴って移動させる。これにより、大径端が第2搬送方向(第1搬送方向の反対側)に移動するようにボビンBが傾き、大径端側の他端部が規制板66Aに当接する。
【0055】
引き続き、機台制御装置5Cにより駆動部69の駆動を制御し、無端ベルト67Bを逆転し、搬送面67Zを第1搬送方向に第1速度で移動させ、搬送面67Zに当接するボビンBの小径端を当該移動に伴って移動させる。これにより、ボビンBの大径端側の端部が規制板66Aにおいて下方に摺動しながらボビンBが傾き、規制板66A,66Bの規制が外れ(規制板66Aに対するボビンBの大径端側の他端部の当接が外れ)、図5に示されるように、ボビンBが搬送面67Z上にて横たわるまで倒れた第2状態となる。センサーS1のセンサーONからセンサーOFFへの変化により、第2状態のボビンBが検出される。
【0056】
センサーS1による当該検出をトリガーとして、図6に示されるように、機台制御装置5Cにより駆動部69の駆動を制御し、無端ベルト67Bを正転し、搬送面67Zを第1搬送方向の逆方向である第2搬送方向に第1速度よりも速い第2速度で移動させ、当該ボビンBを第2搬送方向へ搬送させる。その結果、大径端を下流側とし且つ小径端を上流側とした向きのボビンBが、送出機構75へ搬送される。ボビンBが搬送面67Zから送出機構75へ移動すると、機台制御装置5Cは無端ベルト67Bの正転を停止させる。その後、送出機構75へボビンBが受け渡されて搬送面67Z上にボビンBが存在しない場合に、シュート部66により新たなボビンBが搬送面67Z上に導入され、上述した一連の動作が繰り返される。シュート部66により新たなボビンBが導入されるタイミングにおいて、駆動部69の駆動は停止していてもよいし、例えばセンサーS2を用いる場合等は、駆動部69の駆動が開始されていてもよい。
【0057】
なお、機台制御装置5Cでは、送出機構75へボビンBを搬送する際に、無端ベルト67Bを逆転して搬送面67Zを第1搬送方向に移動させたが、これに限定されず、搬送面67Zを第1搬送方向に移動させなくてもよい。例えば、大径端を上流側とし且つ小径端を下流側とした向きのボビンBを送出機構75へ搬送する場合には、機台制御装置5Cは、第1状態において駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを第2搬送方向に移動させ、搬送面67Zに当接するボビンBの小径端を当該移動に伴って移動させてもよい。これにより、規制板66A,66Bの規制が外れるようにボビンBが傾き、ボビンBがを搬送面67Z上にて横たわるまで倒れる。そして、機台制御装置5Cは、引き続き駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを第2搬送方向に移動させ、当該ボビンBを第2搬送方向へ搬送させてもよい。このとき、機台制御装置5Cは、搬送面67Zの移動速度が、ボビンBが倒れるまでの移動速度よりも速くなるように制御してもよい。
【0058】
以上、巻取管処理装置65では、シュート部66により搬送面67Z上にボビンBを導入した第1状態において、駆動部69により搬送面67Zを搬送方向に移動させることで、搬送面67Z上に立置きされたボビンBを傾け、ボビンBを搬送面67Z上にて横たわるまで倒すことができる。その結果、多くの部品を用いずとも、導入されたボビンBの向きを上下方向から左右方向へ転換して、当該ボビンBを送出機構75へ受け渡すことが可能となる。
【0059】
したがって、巻取管処理装置65によれば、部品点数が多くなることを回避することが可能となる。コスト及び組立工数の増加を回避することが可能となる。専用の反転機構(例えばエアシリンダ及びアシストブラスト等)が不要となり、その調整も不要となる。ボビンBの向きを安定して転換することが可能となる。ミスアラームの低減が可能となる。巻取管処理装置65においてボビンBの向きを変えるために要する時間も短縮できる。言い換えると、巻取管処理装置65によるボビンBの処理速度が速くなる。
【0060】
巻取管処理装置65では、シュート部66は一対の規制板66A,66Bを有する。機台制御装置5Cは、第1状態において駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを左方向又は右方向に移動させ、搬送面67Zに当接する小径端側の一端部を当該移動に伴って左方向又は右方向に移動させることにより、規制板66A,66Bの規制が外れるようにボビンBを傾け、ボビンBを搬送面67Z上にて横たわるまで倒す。この場合、ボビンBの向きの転換を具体的に実現できる。
【0061】
巻取管処理装置65では、機台制御装置5Cは、第1状態において駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを第1搬送方向(図4において右側)に移動させ、規制板66A,66Bの規制が外れるようにボビンBを傾け、ボビンBを搬送面67Z上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zを第1搬送方向の逆方向である第2搬送方向(図6において左側)に移動させ、当該ボビンBを第2搬送方向へ搬送してもよい。この場合、コンベア装置67を載置部及び搬送部として機能させることができ、無端ベルト67Bが方向転換機能と移載機能との2つを兼ね備える。これにより、構成を簡素化することが可能となる。
【0062】
巻取管処理装置65では、搬送面67Zを第1搬送方向に移動させる場合の搬送面67Zの移動速度は、搬送面67Zを第2搬送方向に移動させる場合の搬送面67Zの移動速度よりも遅い。この場合、ボビンBの向きを確実に転換させつつ、その後のボビンBの搬送を効率的に行なうことが可能となる。
【0063】
巻取管処理装置65は、ボビンBを検出するセンサーS1を備える。機台制御装置5Cは、センサーS1により第2状態のボビンBを検出した場合(センサーS1がボビンBを検出している状況からボビンBを検出していない状況に切り替わったと判断した後)に、搬送面67Zの移動方向を第1搬送方向から第2搬送方向へ変更する。この場合、センサーS1の検出結果を利用するため、搬送面67Zの移動方向を適切なタイミングで変更することができる。
【0064】
巻取管処理装置65は、壁部68を備えている。これにより、搬送面67Zから第1搬送方向に向かってボビンBが脱落することを確実に防止することが可能となる。なお、壁部68が設けられる位置は特に限定されず、搬送面67Z上における第1搬送方向の一端側又はその周辺に設けられていればよい。
【0065】
巻取管処理装置65では、コンベア装置67により搬送したボビンBは、送出機構75により受け取られる。シュート部66は、送出機構75へボビンBが受け渡されて搬送面67Z上に他のボビンBが存在しない場合に、新たなボビンBを搬送面67Z上に導入する。この場合、搬送面67Z上におけるボビンB同士の衝突を回避することができる。なお、場合によっては、搬送面67Z上に他のボビンBが存在している状態で新たなボビンBをシュート部66により導入してもよい。
【0066】
巻取管処理装置65では、搬送面67Zの摩擦係数は、規制板66A,66Bの主面の摩擦係数よりも大きくてもよい。この場合、搬送面67Zに当接するボビンBの小径端を搬送面67Zの移動に伴って移動させること、及び、搬送面67Zを搬送方向に移動させて規制板66A,66Bの規制が外れるまでボビンBを傾けることが、確実に実現可能となる。
【0067】
紡績機1は、紡績ユニット2と、マガジン41及びボビン装着機構42を有する玉揚台車4と、ボビンストッカ61、巻取管処理装置65及び送出機構75を有するボビン供給装置60と、を備える。紡績機1においても、巻取管処理装置65により、部品点数が多くなることを回避できる効果等を奏する。
【0068】
なお、巻取管処理装置65においては、次の効果も奏される。すなわち、設置空間の制約が少なく、巻取管処理装置65のサイズをコンパクト化でき、紡績機1全体として大型化しない。ボビンBがプラスチック製ではなく摩擦力の高い紙製の場合でも、コンパクトな空間において当該ボビンBを確実に反転させることができる。ボビンBを傾斜面(スロープ)により滑らせて方向転換させる場合に比べて、ボビンBの方向転換に伴いボビンBが移動する長さを長く確保する必要がなく、巻取管処理装置65のサイズの大型化を回避することが可能となる。コンベア装置67の駆動部69の駆動を制御し、搬送面67Zの搬送方向を適宜に制御することにより、送出機構75が受け取るボビンBの向きを、大径端側が上流側となる向き及び大径端側が下流側となる向きの何れにも制御することができる。
【0069】
以上、本発明の一態様は、上記実施形態に限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0070】
上記実施形態では、図7(a)及び図7(b)に示されるように、センサーS1(図3参照)に代えてセンサーS2を備えていてもよい。センサーS2は、ボビンBを検出する検出器である。機台制御装置5Cは、センサーS2により第2状態のボビンBを検出した場合に、第1搬送方向に移動する搬送面67Zの移動方向を第1搬送方向から第2搬送方向へ変更する。センサーS2としては、例えば光電センサーを用いることができる。センサーS2は、ボビンBが正常に倒れたことが確認できる位置に設けられている。センサーS2は、搬送面67Z上の第1搬送方向の端部で、且つ、搬送面67ZよりもボビンBの小径端の直径以下の距離だけ上方の位置において、水平方向に沿って光を投光する。図7(a)に示されるように、センサーS2により投光した光は、第1状態では受光される(センサーOFF)。一方、図7(b)に示されるように、センサーS2により投光した光は、第2状態ではボビンBに遮られるため、受光されない(センサーON)。よって、センサーS2は、センサーOFFからセンサーONへの変化を検出することにより、第2状態のボビンBを検出する。
【0071】
上記実施形態及び上記変形例では、巻取管はボビンBであるが、これに限定されない。巻取管は、精紡ボビン、粗糸用の空ボビン、糸又は粗糸等の繊維材料が巻き取られる前の管、及び、繊維材料が巻き取られた管(綾巻きパッケージ、粗糸パッケージ等の長尺部材等)の少なくとも何れかであってもよい。
【0072】
上記実施形態及び上記変形例では、機台制御装置5Cは、シュート部66により搬送面67Z上にボビンBを導入してから所定時間が経過した場合に、第1搬送方向に移動する搬送面67Zの移動方向を第1搬送方向から第2搬送方向へ変更してもよい。所定時間の経過は、例えば機台制御装置5Cが有するタイマーにより把握することができる。これにより、例えばセンサーを用いることなく搬送面67Zの移動方向を変更することができるため、構成を簡素化することが可能となる。
【0073】
上記実施形態及び上記変形例では、機台制御装置5Cは、シュート部66により搬送面67Z上にボビンBを導入してから搬送面67Zを第1搬送方向に移動させた移動距離が所定距離に達した場合に、第1搬送方向に移動する搬送面67Zの移動方向を第1搬送方向から第2搬送方向へ変更してもよい。これにより、搬送面67Z上にボビンBを導入してからの移動距離を利用して、搬送面67Zの移動方向を変更することができる。このとき、機台制御装置5Cは、駆動部69に含まれるステッピングモータに入力されるパルス信号のパルス数に基づいて、搬送面67Zの移動距離を算出してもよい。これにより、ステッピングモータのパルス数を利用するため、搬送面67Zの移動距離を簡単に算出することが可能となる。
【0074】
上記実施形態及び上記変形例では、機台制御装置5Cは、次の第1制御及び第2制御を実行可能であってもよい。第1制御では、第1状態において駆動部69の駆動を制御し、無端ベルト67Bを逆転し、搬送面67Zを第1搬送方向に移動させ、搬送面67Zに当接するボビンBの小径端を当該移動に伴って移動させることにより、規制板66A,66Bの規制が外れるようにボビンBを傾け、ボビンBを搬送面67Z上にて横たわるまで倒した第2状態とする。そして、第1制御では、第2状態とした後、駆動部69の駆動を制御し、無端ベルト67Bを正転し、搬送面67Zを第1搬送方向の逆方向である第2搬送方向に移動させ、当該ボビンBを第2搬送方向へ搬送させる。第2制御では、第1状態において駆動部69の駆動を制御し、無端ベルト67Bを正転し、搬送面67Zを第2搬送方向に移動させ、搬送面67Zに当接するボビンBの小径端を当該移動に伴って移動させることにより、規制板66A,66Bの規制が外れるようにボビンBを傾け、ボビンBを搬送面67Z上にて横たわるまで倒した第2状態とする。そして、第2制御では、第2状態とした後、駆動部69の駆動を制御し、無端ベルト67Bを逆転し、搬送面67Zを第1搬送方向に移動させ、当該ボビンBを第1搬送方向へ搬送させる。第2制御においてボビンBを第2状態とした後、駆動部69は、それまでの移動速度にて、又はそれまでの移動速度よりも速い移動速度にて、搬送面67Zが移動するように駆動部69の駆動を制御してもよい。機台制御装置5Cは、ボビンBの向きが変更された後、ボビンBの搬送を開始する前に、搬送面67Zの移動を一旦停止させてもよい。これにより、ボビンBを所望の向きにして振り分けることができる。
【0075】
上記実施形態及び上記変形例では、本発明を紡績機1に適用した態様を説明したが、これに限定されない。本発明の他の態様は、精紡ボビン(巻取管)に糸を巻き取って給糸ボビンを形成する精紡機と、給糸ボビンからの糸をボビンBに巻き取ってパッケージを形成する自動ワインダと、精紡機に供給される精紡ボビンを処理する、巻取管処理装置65と同様な巻取管処理装置と、を備える、糸巻取システムであってもよい。このような糸巻取システムにおいても、巻取管処理装置により、部品点数が多くなることを回避できる効果を奏する。また、この場合、例えば複数の精紡ボビンを左右方向に整列させる際、当該整列の順に左向き(大径端側が左側に位置する向き)及び右向き(大径端側が右側に位置する向き)の精紡ボビンが交互に混在するように、複数の精紡ボビンを振り分けてもよい。
【0076】
上記実施形態及び上記変形例では、シュート部66は、規制部として一対の規制板66A,66Bを有しているが、規制板66A,66Bの何れか一方のみを有していてもよいし、規制板66A,66Bに代えて円筒状の部材を有していてもよい。上記実施形態及び変形例は、コンベア装置67に代えて、ボビンBの搬送機能を有しない載置部を備えていてもよい。
【0077】
上記実施形態及び上記変形例では、規制部の下端縁の全てが搬送面67Zから第1距離a離れている必要がなく、規制部の下端縁の一部が搬送面67Zから第1距離a離れていればよい。例えば搬送方向から見て、規制部の下端縁の形状は、搬送面67Zに平行な直線状であってもよいし、搬送面67Zに対して傾斜した形状であってもよいし、波形等の他の形状であってもよい。規制板66A,66Bの一方における下端縁の搬送面67Zから距離が、規制板66A,66Bの他方における下端縁の搬送面67Zからの距離よりも長くてもよい。上記実施形態では、規制板66Aの下端縁の搬送面67Zから距離が、規制板66Bの下端縁の搬送面67Zからの距離よりも長くてもよい。
【0078】
上記実施形態及び上記変形例では、機台制御装置5Cにより駆動部69の駆動を制御し、第1状態において搬送面67Zを移動させたが、これに限定されない。例えば、規制板66A,66Bを図3の左右方向に移動させるエアシリンダ等の駆動部を別途に備え、第1状態において、搬送面67Zの移動に代えてもしくは加えて、機台制御装置5Cにより当該駆動部の駆動を制御し、規制板66A,66Bを左方向又は右方向に移動させてもよい。ただし、搬送面67Zを移動させる構成であれば、駆動部としてコンベア装置67の既存の駆動部69を利用でき、別途の駆動部が不要となる。
【0079】
上記実施形態及び変形例では、一台のコンベア装置67を配置した例を挙げて説明したが、複数台のコンベア装置67を各搬送面67Zが連なるように配置してもよい。この場合、シュート部66によりボビンBが導入される一のコンベア装置67では、搬送面67Zを低速で移動させてボビンBの向きの転換を正確に行うと共に、他のコンベア装置67では、搬送面67Zを高速で移動させてもよい。
【0080】
上記実施形態及び変形例では、ボビン供給装置60は、マガジン41まで専用のボビン搬送経路を有する構成であってもよい。この場合、ボビン搬送経路の上流側に巻取管処理装置65が搭載される。上記実施形態及び変形例では、玉揚台車4はマガジン41を備えている。しかし、紡績機1の長手方向に沿ってボビンコンベアを配置し、玉揚台車4が適宜の位置でボビンコンベアからボビンBを受け取るように構成されていてもよい。この場合、巻取管処理装置65は、当該ボビンコンベアの上流側に配置される。
【0081】
上記実施形態及び変形例では、糸巻取機が紡績機1であり、巻取ユニットが紡績ユニット2である形態を一例に説明した。しかし、糸巻取機は、自動ワインダ又はオープンエンド紡績機であってもよい。
【0082】
上記実施形態及び変形例では、複数の紡績ユニット2の配列方向の一端部(第一エンドフレーム5Aが配置されている端部)にボビン供給装置60が配置されている形態を一例に説明した。しかし、ボビン供給装置60は、複数の紡績ユニット2の配列方向の他端部(第二エンドフレーム5Bが配置されている端部)に配置されていてもよい。ボビン供給装置60は、複数設けられていてもよい。
【0083】
上記実施形態及び変形例では、紡績機1において、高さ方向の上側から供給された糸Yが下側で巻き取られるように各装置が配置されていた。しかし、紡績機1では、下側から供給された糸が上側で巻き取られるように各装置が配置されていてもよい。上記実施形態及び変形例では、第二エンドフレーム5Bに、表示画面5Dと入力キー5Eとが設けられている形態を一例に説明した。しかし、第二エンドフレーム5Bには、表示画面5D及び入力キー5Eに代えて、タッチパネルディスプレイが設けられていてもよい。
【0084】
図1では、紡績機1は、コーン形状のパッケージPを巻き取るように図示されているが、チーズ形状のパッケージPを巻き取ることも可能である。この場合、ボビン供給装置60は、チーズ形状のボビンBを玉揚台車4に対して供給する。紡績ユニット2では、糸貯留装置11が空気紡績装置7から糸Yを引き出す機能を有していたが、デリベリローラとニップローラとにより空気紡績装置7から糸Yが引き出されてもよい。デリベリローラとニップローラとにより空気紡績装置7から糸Yを引き出す場合、糸貯留装置11の代わりに、吸引空気流により糸Yの弛みを吸収するスラックチューブ及び/又は機械的なコンペンセータ等を設けてもよい。紡績機1は、糸継台車3を備えずに、各紡績ユニット2が糸継ぎを行うための装置を備えていてもよい。
【0085】
上記において、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
【0086】
なお、以下、本発明の一態様の構成要件を記載する。
<発明1>
巻取管が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面上に前記巻取管を、前記巻取管の長手方向が前記載置面と交差し且つ前記巻取管の長手方向の一端部が前記載置面に当接するように導入する導入部と、
前記載置面上に導入した前記巻取管の向きを変更する向き変更部と、を備え、
前記向き変更部は、
前記載置面及び前記導入部の少なくとも何れかを前記載置面に沿う方向に移動させる駆動部と、
前記載置面上に前記巻取管を導入した第1状態において、前記駆動部の駆動を制御し、前記載置面及び前記導入部の少なくとも何れかを前記載置面に沿う方向に移動させる制御部と、を有する、巻取管処理装置。
<発明2>
前記導入部は、
前記第1状態において、前記巻取管の長手方向の他端部に当接可能に設けられ、前記巻取管が前記載置面上にて横たわるまで倒されることがないように規制する規制部を有し、
前記制御部は、
前記第1状態において前記駆動部の駆動を制御し、前記載置面及び前記規制部の少なくとも何れかを前記載置面に沿う方向に移動させ、前記載置面に当接する前記一端部及び前記規制部に当接する前記他端部の少なくとも何れかを当該移動に伴って移動させることにより、前記規制部の規制が外れるように前記巻取管を傾け、前記巻取管を前記載置面上にて横たわるまで倒す、発明1に記載の巻取管処理装置。
<発明3>
前記載置部は、前記巻取管を搬送する搬送部を構成し、
前記制御部は、
前記第1状態において前記駆動部の駆動を制御し、前記載置面を第1搬送方向に移動させ、前記規制部の規制が外れるように前記巻取管を傾け、前記巻取管を前記載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、前記駆動部の駆動を制御し、前記載置面を前記第1搬送方向の逆方向である第2搬送方向に移動させ、当該巻取管を前記第2搬送方向へ搬送する、発明2に記載の巻取管処理装置。
<発明4>
前記載置面を前記第1搬送方向に移動させる場合の前記載置面の移動速度は、前記載置面を前記第2搬送方向に移動させる場合の前記載置面の移動速度よりも遅い、発明3に記載の巻取管処理装置。
<発明5>
前記巻取管を検出するセンサーを備え、
前記制御部は、前記センサーにより前記第2状態の前記巻取管を検出した場合に、前記載置面の移動方向を前記第1搬送方向から前記第2搬送方向へ変更する、発明3又は4に記載の巻取管処理装置。
<発明6>
前記制御部は、前記導入部により前記載置面上に前記巻取管を導入してから所定時間が経過した場合に、前記載置面の移動方向を前記第1搬送方向から前記第2搬送方向へ変更する、発明3~5の何れか一項に記載の巻取管処理装置。
<発明7>
前記制御部は、前記導入部により前記載置面上に前記巻取管を導入してから前記載置面を前記第1搬送方向に移動させた移動距離が所定距離に達した場合に、前記載置面の移動方向を前記第1搬送方向から前記第2搬送方向へ変更する、発明3~6の何れか一項に記載の巻取管処理装置。
<発明8>
前記駆動部は、ステッピングモータを含み、
前記制御部は、前記ステッピングモータに入力されるパルス信号のパルス数に基づいて、前記載置面の前記移動距離を算出する、発明7に記載の巻取管処理装置。
<発明9>
前記載置面上における前記第1搬送方向の一端側又はその周辺に設けられ、前記載置面上の前記巻取管の前記第1搬送方向への移動を遮る壁部を備える、発明3~8の何れか一項に記載の巻取管処理装置。

<発明10>
前記搬送部により搬送した前記巻取管は、受取部により受け取られ、
前記導入部は、前記受取部へ前記巻取管が受け渡されて前記載置面上に他の前記巻取管が存在しない場合に、新たな前記巻取管を前記載置面上に導入する、発明3~9の何れか一項に記載の巻取管処理装置。

<発明11>
前記搬送部は、前記載置面を構成する無端ベルトを有し、
前記駆動部は、前記無端ベルトを前記第1搬送方向又は前記第2搬送方向に送ることにより、前記載置面を移動させ、
前記制御部は、
前記第1状態から前記無端ベルトを逆転して前記載置面を前記第1搬送方向に移動させ、前記巻取管を前記載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、前記無端ベルトを正転して前記載置面を前記第2搬送方向に移動させ、当該巻取管を搬送させる第1制御と、
前記第1状態から前記無端ベルトを正転して前記載置面を前記第2搬送方向に移動させ、前記巻取管を前記載置面上にて横たわるまで倒した第2状態とした後、前記無端ベルトを逆転して前記載置面を前記第1搬送方向に移動させ、当該巻取管を搬送させる第2制御と、を実行可能である、発明3~10の何れか一項に記載の巻取管処理装置。
<発明12>
前記載置面の摩擦係数は、前記規制部において前記巻取管の前記他端部に当接可能な面の摩擦係数よりも大きい、発明2~11の何れか一項に記載の巻取管処理装置。
<発明13>
前記巻取管としての紙管に糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取ユニットと、
前記紙管を格納するマガジンと、前記マガジンに格納された前記紙管を前記巻取ユニットに受け渡すボビン装着機構と、を有する作業台車と、
複数の前記紙管を保管するボビンストッカと、前記ボビンストッカから供給された前記紙管を処理する発明1~12の何れか一項に記載の巻取管処理装置と、前記巻取管処理装置により処理した前記紙管を前記作業台車に送出する送出機構と、を有するボビン供給装置と、を備える、糸巻取機。
<発明14>
巻取管に糸を巻き取って給糸ボビンを形成する精紡機と、
前記給糸ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成する自動ワインダと、
前記精紡機に供給される前記巻取管を処理する発明1~12の何れか一項に記載の巻取管処理装置と、を備える、糸巻取システム。
【符号の説明】
【0087】
1…紡績機(糸巻取機)、2…紡績ユニット(巻取ユニット)、4…玉揚台車(作業台車)、5C…機台制御装置(制御部)、41…マガジン、42…ボビン装着機構、60…ボビン供給装置、61…ボビンストッカ、65…巻取管処理装置、66…シュート部(導入部)、66A,66B…規制板(規制部)、67…コンベア装置(載置部,搬送部)、67B…無端ベルト、67Z…搬送面(載置面)、68…壁部、69…駆動部、70…向き変更部、75…送出機構(受取部)、B…ボビン(巻取管,紙管)、P…パッケージ、S1,S2…センサー、Y…糸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7