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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182152
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】回路基板モジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20231219BHJP
   F16J 15/14 20060101ALI20231219BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H05K7/20 A
F16J15/14 C
H05K7/14 C
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095592
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】勝田 巧也
【テーマコード(参考)】
5E322
5E348
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AB01
5E322AB04
5E322AB06
5E322AB07
5E322DA04
5E322FA01
5E322FA04
5E348AA08
5E348AA32
5E348AA40
5F136BC04
5F136CB06
5F136DA28
5F136EA03
5F136EA40
5F136EA43
5F136GA01
(57)【要約】
【課題】構成の簡素化及び小型化を図り易い回路基板モジュールを提供する。
【解決手段】回路基板モジュール100は、回路基板1と、当該回路基板1を支持する支持部材2と、当該支持部材2に固定されて、冷媒路Cを支持部材2との間に形成するカバー部材3とを備え、回路基板1は、カバー部材3に対して第1方向第1側H1に配置され、支持部材2は、回路基板1を第1方向第2側H2から支持する第1支持部21と、カバー部材3を第1方向第2側H2から支持する第2支持部22と、を備え、第2支持部22は、第1支持部21に対して第1方向第2側H2であって第2方向Wの内側において、冷媒路Cを囲むように配置され、カバー部材3は、冷媒路Cを囲むように設けられた接着剤5により、支持部材2に接着され、回路基板1は、カバー部材3を第1方向第1側H1から支持した状態で、即時に結合力を発生させる結合部材10により支持部材2に固定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板を支持する支持部材と、前記支持部材に固定されて、冷媒が流れる冷媒路を前記支持部材との間に形成するカバー部材と、を備えた回路基板モジュールであって、
前記回路基板の厚み方向に沿う方向を第1方向とし、前記第1方向に直交する方向のうちの特定の方向を第2方向とし、前記第1方向の一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向の他方側を第1方向第2側として、
前記回路基板は、前記カバー部材に対して前記第1方向第1側に配置され、
前記支持部材は、前記回路基板を前記第1方向第2側から支持する第1支持部と、前記カバー部材を前記第1方向第2側から支持する第2支持部と、を備え、
前記第2支持部は、前記第1支持部に対して前記第1方向第2側であって前記第2方向の内側において、前記冷媒路を囲むように配置され、
前記カバー部材は、前記冷媒路を囲むように設けられた接着剤により、前記支持部材に接着され、
前記回路基板は、前記カバー部材を前記第1方向第1側から支持した状態で、即時に結合力を発生させる結合部材により前記支持部材に固定されている、回路基板モジュール。
【請求項2】
前記回路基板と前記カバー部材との前記第1方向の間に、弾性を有する伝熱部材が挟まれている、請求項1に記載の回路基板モジュール。
【請求項3】
前記カバー部材における前記第1方向第1側を向く面に、前記第1方向に直交する方向における前記伝熱部材の位置決めを行う位置決め部が設けられている、請求項2に記載の回路基板モジュール。
【請求項4】
前記伝熱部材は、当該伝熱部材の前記第2方向の配置領域が前記冷媒路の前記第2方向の配置領域の全体に重なった状態で、前記カバー部材及び前記回路基板の双方に接するように配置されている、請求項2に記載の回路基板モジュール。
【請求項5】
前記カバー部材と前記第2支持部との対向部分に、前記カバー部材と前記第2支持部とが互いに前記第1方向に嵌合する嵌合部が形成され、
前記嵌合部は、前記冷媒路を囲むように配置され、
前記接着剤が前記嵌合部に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の回路基板モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板と、当該回路基板を支持する支持部材と、当該支持部材に固定されて、冷媒が流れる冷媒路を支持部材との間に形成するカバー部材と、を備えた回路基板モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
このような回路基板モジュールの一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の回路基板モジュール(17)では、カバー部材(43)と支持部材(35)との間に冷媒路(41)が形成されるように、当該冷媒路を囲む位置において、複数の締結部材(44)によりカバー部材(43)が支持部材(35)に固定されている。そして、複数の締結部材(44)を囲む位置において、複数の締結部材(22)により回路基板(18)が支持部材(35)に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-140786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような回路基板モジュール(17)では、冷媒路(41)からの冷媒の漏出を抑制するため、カバー部材(43)と支持部材(35)との間をシールするように、カバー部材(43)が支持部材(35)に接着されることが多い。しかしながら、そのような用途で使用する接着剤は、硬化するまでに比較的長い時間を要することが一般的である。
【0006】
そのため、特許文献1の回路基板モジュール(17)では、その製造工程において、接着剤を塗布する作業を行った後、迅速に次の作業を行うために、上記の通り、複数の締結部材(44)によりカバー部材(43)を支持部材(35)に固定している。しかしながら、カバー部材(43)と支持部材(35)との固定に締結部材(44)を用いた場合、回路基板モジュール(17)の構成の複雑化、及び大型化を招き易かった。
【0007】
そこで、構成の簡素化及び小型化を図り易い回路基板モジュールの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、回路基板モジュールの特徴構成は、
回路基板と、前記回路基板を支持する支持部材と、前記支持部材に固定されて、冷媒が流れる冷媒路を前記支持部材との間に形成するカバー部材と、を備えた回路基板モジュールであって、
前記回路基板の厚み方向に沿う方向を第1方向とし、前記第1方向に直交する方向のうちの特定の方向を第2方向とし、前記第1方向の一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向の他方側を第1方向第2側として、
前記回路基板は、前記カバー部材に対して前記第1方向第1側に配置され、
前記支持部材は、前記回路基板を前記第1方向第2側から支持する第1支持部と、前記カバー部材を前記第1方向第2側から支持する第2支持部と、を備え、
前記第2支持部は、前記第1支持部に対して前記第1方向第2側であって前記第2方向の内側において、前記冷媒路を囲むように配置され、
前記カバー部材は、前記冷媒路を囲むように設けられた接着剤により、前記支持部材に接着され、
前記回路基板は、前記カバー部材を前記第1方向第1側から支持した状態で、即時に結合力を発生させる結合部材により前記支持部材に固定されている点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、支持部材に対して接着剤により固定されるカバー部材が、支持部材によって第1方向第2側から支持されると共に、回路基板によって第1方向第1側から支持されている。これにより、回路基板モジュールの製造工程において、接着剤が硬化する前であっても、ボルト等の締結部材を用いることなく、カバー部材と支持部材との位置関係を保持することができるため、接着剤を塗布する作業を行った後、迅速に次の作業を行うことができる。したがって、カバー部材と支持部材との位置関係を保持するための締結部材を備えた構成に比べて、製造効率を低下させることなく、回路基板モジュールの構成の簡素化及び小型化を図り易い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る回路基板モジュールの分解斜視図
図2】実施形態に係る回路基板モジュールの断面図
図3】実施形態に係る回路基板モジュールが備えるカバー部材及び伝熱部材の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、実施形態に係る回路基板モジュール100について、図面を参照して説明する。図1に示すように、回路基板モジュール100は、回路基板1と、支持部材2と、カバー部材3と、を備えている。
【0012】
回路基板1は、例えば、インバータ回路、DC-DCコンバータ回路、充電器等の各種回路、又はこれらの組み合わせが実装された基板である。
【0013】
支持部材2は、回路基板1を支持する部材である。本実施形態では、支持部材2は、回路基板1を収容するケースを構成する部材である。なお、支持部材2を構成する素材として、例えば、ADC12等のアルミニウム合金、又は鋳鉄等の鉄合金を用いることができる。
【0014】
図2に示すように、カバー部材3は、当該カバー部材3と支持部材2との間に、冷媒が流れる冷媒路Cを形成する部材である。カバー部材3は、支持部材2に固定されている。カバー部材3における冷媒路Cを形成する面に、冷媒との接触面積を大きく確保するために、複数のフィン、複数のピン等が設けられていると好適である。なお、カバー部材3を構成する素材として、支持部材2と同じものを用いることができる。また、冷媒としては、冷却水、冷却油、冷媒ガス等を用いることができる。
【0015】
以下の説明では、回路基板1の厚み方向に沿う方向を「第1方向H」とする。そして、第1方向Hの一方側を「第1方向第1側H1」とし、第1方向Hの他方側を「第1方向第2側H2」とする。また、第1方向Hに直交する方向のうちの特定の方向を「第2方向W」とする。また、第1方向H及び第2方向Wに直交する方向を「第3方向D」とする。
【0016】
図1及び図2に示すように、支持部材2は、回路基板1を第1方向第2側H2から支持する第1支持部21と、カバー部材3を第1方向第2側H2から支持する第2支持部22と、を備えている。
【0017】
本実施形態では、第1支持部21は、複数のボス部211を含む。複数のボス部211は、第1方向第1側H1から回路基板1が載置されるように形成されている。本実施形態では、複数のボス部211のそれぞれは、第1方向Hに沿う軸心を有する円柱状に形成されている。図2に示すように、本実施形態では、複数のボス部211は、支持部材2が備える底部23から第1方向第1側H1に延出するように形成されている。底部23は、第2方向W及び第3方向Dに沿って延在する板状に形成されている。
【0018】
図1に示すように、本実施形態では、第2支持部22は、一対の第1側壁部221と、一対の第2側壁部222と、を含む。一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222は、第1方向第1側H1からカバー部材3が載置されるように形成されている。
【0019】
一対の第1側壁部221は、互いに第3方向Dに離れて配置されている。一対の第1側壁部221のそれぞれは、第1方向H及び第2方向Wに沿って延在する板状に形成されている。本実施形態では、一対の第1側壁部221は、底部23から第1方向第1側H1に延出するように形成されている。
【0020】
一対の第2側壁部222は、互いに第2方向Wに離れて配置されている。一対の第2側壁部222のそれぞれは、第1方向H及び第3方向Dに沿って延在する板状に形成されている。本実施形態では、一対の第2側壁部222は、底部23から第1方向第1側H1に延出するように形成されている。
【0021】
本実施形態では、一対の第1側壁部221と一対の第2側壁部222とは、第1方向Hに沿う第1方向視で矩形状を成すように、互いに連結されている。こうして、本実施形態では、一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222にカバー部材3が載置された状態で、一対の第1側壁部221と、一対の第2側壁部222と、底部23と、カバー部材3とによって囲まれた空間が、冷媒路Cとして形成されている。なお、本実施形態では、カバー部材3は、第1方向Hに沿う第1方向視で、一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222の形状に沿う矩形状に形成されている。
【0022】
本実施形態では、冷媒路Cは、支持部材2が備える隔壁部24により第2方向Wに区画されている。そして、隔壁部24により区画された冷媒路Cの一方に、一方の第1側壁部221を第3方向Dに貫通するように形成された供給部25を通して冷媒が供給されると共に、隔壁部24により区画された冷媒路Cの他方から、一方の第1側壁部221を第3方向Dに貫通するように形成された排出部26を通して冷媒が排出される。隔壁部24は、第1方向H及び第3方向Dに沿って延在する板状に形成されている。本実施形態では、隔壁部24は、一方の第1側壁部221(供給部25及び排出部26が設けられてた第1側壁部221)から他方の第1側壁部221に向けて延出するように形成されている。また、本実施形態では、隔壁部24は、底部23から第1方向第1側H1に延出するように形成されている。そして、隔壁部24は、第1方向第1側H1からカバー部材3が載置されるように形成されている。
【0023】
本実施形態では、複数のボス部211は、一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222よりも第1方向第1側H1に突出している。つまり、複数のボス部211により回路基板1が支持される位置は、一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222によりカバー部材3が支持される位置よりも第1方向第1側H1である。なお、本実施形態では、複数のボス部211における第1方向第1側H1の端面は、同じ第1方向Hの位置となるように、第2方向W及び第3方向Dに沿って形成されている。そして、一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222における第1方向第1側H1の端面は、同じ第1方向Hの位置となるように、第2方向W及び第3方向Dに沿って形成されている。
【0024】
また、本実施形態では、複数のボス部211は、一対の第2側壁部222を第2方向Wに挟むように配置されている。図1に示す例では、一方の第2側壁部222に対して冷媒路Cの側とは第2方向Wの反対側と、他方の第2側壁部222に対して冷媒路Cの側とは第2方向Wの反対側とのそれぞれに、2つのボス部211が互いに第3方向Dに離間するように配置されている。
【0025】
このように、第2支持部22は、第1支持部21に対して第1方向第2側H2であって第2方向Wの内側において、冷媒路Cを囲むように配置されている。
【0026】
図2に示すように、カバー部材3は、冷媒路Cを囲むように設けられた接着剤5により、支持部材2に接着されている。接着剤5としては、カバー部材3と支持部材2との間をシールし、冷媒路Cからの冷媒の漏出を抑制可能な接着剤が用いられる。例えば、接着剤5として、シリル基含有特殊ポリマーを主成分とする接着剤を用いることができる。なお、揮発性ガスの発生を回避するため、接着剤5として、低分子環状シロキサンを含まない接着剤を用いると好適である。なお、本実施形態では、接着剤5として、瞬間接着剤よりも硬化時間の長い接着剤が用いられている。
【0027】
本実施形態では、カバー部材3と第2支持部22との対向部分に、カバー部材3と第2支持部22とが互いに第1方向Hに嵌合する嵌合部20が形成されている。嵌合部20は、冷媒路Cを囲むように配置されている。本実施形態では、嵌合部20は、一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222に形成された溝部22aと、カバー部材3に形成された突起部3aとを含む。
【0028】
溝部22aは、冷媒路Cを囲むように形成されている。溝部22aは、一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222におけるカバー部材3に対向する部分に形成されている。本実施形態では、溝部22aは、一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222おける第1方向第1側H1の端面が第1方向第2側H2に窪むように形成されている。そして、溝部22aは、冷媒路Cの周囲の全周に亘って連続的に形成されている。つまり、本実施形態では、溝部22aは、第1方向Hに沿う第1方向視で、矩形の環状に形成されている。本実施形態では、溝部22aは、一定の第1方向Hの寸法で形成されている。
【0029】
突起部3aは、カバー部材3における溝部22aに対向する部分から第1方向第2側H2に突出するように形成されている。そして、突起部3aは、第1方向第1側H1から溝部22aに嵌合するように形成されている。本実施形態では、突起部3aは、溝部22aに嵌合された状態で、冷媒路Cの周囲の全周に亘って連続的に形成されている。つまり、本実施形態では、突起部3aは、第1方向Hに沿う第1方向視で、矩形の環状に形成されている。本実施形態では、突起部3aは、一定の第1方向Hの寸法で形成されている。
【0030】
本実施形態では、溝部22aに接着剤5が充填された状態で、突起部3aが溝部22aに嵌合している。つまり、本実施形態では、接着剤5が嵌合部20に配置されている。
【0031】
このように、本実施形態では、カバー部材3と第2支持部22との対向部分に、カバー部材3と第2支持部22とが互いに第1方向Hに嵌合する嵌合部20が形成され、
嵌合部20は、冷媒路Cを囲むように配置され、
接着剤5が嵌合部20に配置されている。
【0032】
この構成によれば、支持部材2に対してカバー部材3を容易に位置決めすることができると共に、接着剤5によるカバー部材3と支持部材2との間のシール性を向上させることができる。
【0033】
図2に示すように、回路基板1は、カバー部材3に対して第1方向第1側H1に配置されている。回路基板1は、カバー部材3を第1方向第1側H1から支持している。本実施形態では、回路基板1とカバー部材3との第1方向Hの間に、弾性を有する伝熱部材4が挟まれている。つまり、本実施形態では、回路基板1は、伝熱部材4を介して、カバー部材3を第1方向第1側H1から支持している。なお、伝熱部材4を構成する素材は、ヤング率、熱伝導率等を考慮して選択することが好ましい。伝熱部材4を構成する素材として、例えば、シリコーン系ゴムを用いることができる。
【0034】
この構成によれば、伝熱部材4及びカバー部材3を介して、冷媒路Cと回路基板1との熱交換を適切に行うことができる。
また、本構成によれば、伝熱部材4が弾性変形することで、当該伝熱部材4を介して回路基板1がカバー部材3を第1方向第1側H1から押圧しつつ、回路基板1が第1方向第2側H2から支持部材2の第1支持部21に支持された状態とすることができる。したがって、各部の誤差に関わらず、回路基板1及びカバー部材3の双方が適切に支持された構成を実現できる。
【0035】
図2に示すように、回路基板1は、カバー部材3を第1方向第1側H1から支持した状態で、即時に結合力を発生させる結合部材10により支持部材2に固定されている。ここで、「即時に」とは、例えば、結合力が発生するまでの時間が、少なくとも接着剤5の硬化時間よりも短いことを意味する。本実施形態では、結合部材10を用いた回路基板1の支持部材2への組み付け完了に伴い(言い換えれば、組み付け完了と同時又はその直後に)、結合部材10による結合力が発生する。
【0036】
本実施形態では、結合部材10は、複数のボルト11を含む。複数のボルト11のそれぞれは、回路基板1を第1方向Hに貫通するように形成された貫通孔1aを通して、第1方向第1側H1からボス部211に螺合可能に構成されている。複数のボルト11のそれぞれは、貫通孔1aに挿通された状態でボス部211に螺合されることで即時に結合力を発生させ、回路基板1を支持部材2に固定する。
【0037】
以上のように、回路基板モジュール100は、
回路基板1と、当該回路基板1を支持する支持部材2と、当該支持部材2に固定されて、冷媒が流れる冷媒路Cを支持部材2との間に形成するカバー部材3と、を備えた回路基板モジュール100であって、
回路基板1の厚み方向に沿う方向を第1方向Hとし、当該第1方向Hに直交する方向のうちの特定の方向を第2方向Wとし、第1方向Hの一方側を第1方向第1側H1とし、第1方向Hの他方側を第1方向第2側H2として、
回路基板1は、カバー部材3に対して第1方向第1側H1に配置され、
支持部材2は、回路基板1を第1方向第2側H2から支持する第1支持部21と、カバー部材3を第1方向第2側H2から支持する第2支持部22と、を備え、
第2支持部22は、第1支持部21に対して第1方向第2側H2であって第2方向Wの内側において、冷媒路Cを囲むように配置され、
カバー部材3は、冷媒路Cを囲むように設けられた接着剤5により、支持部材2に接着され、
回路基板1は、カバー部材3を第1方向第1側H1から支持した状態で、即時に結合力を発生させる結合部材10により支持部材2に固定されている。
【0038】
この構成によれば、支持部材2に対して接着剤5により固定されるカバー部材3が、支持部材2によって第1方向第2側H2から支持されると共に、回路基板1によって第1方向第1側H1から支持されている。これにより、回路基板モジュール100の製造工程において、接着剤5が硬化する前であっても、ボルト等の締結部材を用いることなく、カバー部材3と支持部材2との位置関係を保持することができるため、接着剤5を塗布する作業を行った後、迅速に次の作業を行うことができる。したがって、カバー部材3と支持部材2との位置関係を保持するための締結部材を備えた構成に比べて、製造効率を低下させることなく、回路基板モジュール100の構成の簡素化及び小型化を図り易い。
【0039】
図1及び図3に示すように、本実施形態では、カバー部材3における第1方向第1側H1を向く面に、第1方向Hに直交する方向における伝熱部材4の位置決めを行う位置決め部31が設けられている。図1に示すように、本実施形態では、伝熱部材4は、第1方向Hに沿う第1方向視で、第2方向W及び第3方向Dに沿う矩形状に形成されている。そして、位置決め部31は、伝熱部材4を第2方向Wの両側及び第3方向Dの両側から挟むように、第2方向W及び第3方向Dを向く規制面31aを含む。図示の例では、規制面31aは、カバー部材3における第1方向第1側H1を向く面から第1方向第2側H2に向けて形成されている。
【0040】
この構成によれば、カバー部材3に対して伝熱部材4を容易に位置決めすることができる。したがって、回路基板モジュール100の製造工程において、伝熱部材4の組付け作業を容易に行うことができる。
【0041】
図2に示すように、本実施形態では、伝熱部材4は、当該伝熱部材4の第2方向Wの配置領域が冷媒路Cの第2方向Wの配置領域の全体に重なった状態で、カバー部材3及び回路基板1の双方に接するように配置されている。図1に示す例では、伝熱部材4の第3方向Dの配置領域は、冷媒路Cの第3方向Dの配置領域の一部に重なっている。つまり、本例では、伝熱部材4は、第1方向Hに沿う第1方向視で、冷媒路Cの一部に重複するように配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が存在することを指す。
【0042】
この構成によれば、第1方向Hに沿う第1方向視で、伝熱部材4が冷媒路Cに重複する領域を広く確保することができる。したがって、伝熱部材4及びカバー部材3を介した冷媒路Cと回路基板1との熱交換を効率的に行い易い。
【0043】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、結合部材10が、回路基板1に設けられた複数の貫通孔1aに挿通されて、支持部材2の第1支持部21に設けられた複数のボス部211に螺合する複数のボルト11を含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、結合部材10が、回路基板1に設けられた係止爪と、第1支持部21に設けられ、前記の係止爪が係止される被係止部とを含む構成であっても良い。或いは、結合部材10が、回路基板1と第1支持部21とを即時に接着する瞬間接着剤であっても良い。また、結合部材10が、回路基板1を、支持部材2の第1支持部21に固定するものではなく、回路基板1を、支持部材2における第1支持部21とは別の部分に固定するものであっても良い。
【0044】
(2)上記の実施形態では、支持部材2における一対の第1側壁部221、一対の第2側壁部222、及び底部23と、カバー部材3とによって囲まれた空間が、冷媒路Cとして形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、カバー部材3が一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222と同様の側壁部を備えた構成としても良い。この場合、支持部材2が一対の第1側壁部221及び一対の第2側壁部222を備えていても良いし、備えていなくても良い。
【0045】
(3)上記の実施形態では、支持部材2が、回路基板1を収容するケースを構成する部材である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、支持部材2が回路基板1を支持するブラケットであっても良い。
【0046】
(4)上記の実施形態では、一方の第2側壁部222に対して冷媒路Cの側とは第2方向Wの反対側と、他方の第2側壁部222に対して冷媒路Cの側とは第2方向Wの反対側とのそれぞれに、2つのボス部211が互いに第3方向Dに離間するように配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、一方の第2側壁部222に対して冷媒路Cの側とは第2方向Wの反対側と、他方の第2側壁部222に対して冷媒路Cの側とは第2方向Wの反対側とのそれぞれに、1つのボス部211が配置された構成としても良い。また、第1支持部21が、ボス部211を備えず、冷媒路Cの周囲の全周に亘って連続的に形成された側壁部を備えた構成であっても良い。
【0047】
(5)上記の実施形態では、カバー部材3と第2支持部22との対向部分に嵌合部20が形成され、接着剤5が嵌合部20に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、嵌合部20を備えていない構成としても良い。この場合、例えば、支持部材2がカバー部材3の側面に対向する部分を備え、当該部分とカバー部材3の側面とが接着剤5により接着された構成としても良い。
【0048】
(6)上記の実施形態では、嵌合部20が、支持部材2に形成された溝部22aと、カバー部材3に形成された突起部3aとを含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、支持部材2に突起部3aと同様の突起部が形成され、カバー部材3に溝部22aと同様の溝部が形成された構成としても良い。
【0049】
(7)上記の実施形態では、回路基板1とカバー部材3との第1方向Hの間に伝熱部材4が配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、回路基板1とカバー部材3との第1方向Hの間に伝熱部材4が配置されず、回路基板1がカバー部材3を第1方向第1側H1から直接支持する構成としても良い。
【0050】
(8)上記の実施形態では、位置決め部31がカバー部材3における第1方向第1側H1を向く面から第1方向第2側H2に向けて形成された規制面31aを含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、規制面31aがカバー部材3における第1方向第1側H1を向く面から第1方向第1側H1に向けて形成されていても良い。また、カバー部材3に位置決め部31が設けられていなくても良い。
【0051】
(9)上記の実施形態では、伝熱部材4が、第1方向Hに沿う第1方向視で、冷媒路Cの一部に重複するように配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、伝熱部材4が、第1方向Hに沿う第1方向視で、冷媒路Cの全体に重複するように配置された構成としても良い。
【0052】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示に係る技術は、回路基板と、当該回路基板を支持する支持部材と、当該支持部材に固定されて、冷媒が流れる冷媒路を支持部材との間に形成するカバー部材と、を備えた回路基板モジュールに利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
100:回路基板モジュール、1:回路基板、2:支持部材、21:第1支持部、22:第2支持部、3:カバー部材、5:接着剤、10:結合部材、C:冷媒路、H:第1方向、H1:第1方向第1側、H2:第1方向第2側、W:第2方向
図1
図2
図3