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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182159
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】空調用吹出口装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20231219BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 C
F24F13/15 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095604
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】野澤 浩明
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA01
3L081AA02
3L081AA03
3L081AB02
3L081FA04
3L081FB03
3L081FC01
3L211BA05
3L211DA14
3L211DA95
(57)【要約】
【課題】枠状のハウジングを備えた空調用吹出口装置において、フィンの軸部周辺の隙間から漏れる空気を抑制できる技術を提供すること。
【解決手段】空調用吹出口装置10は、空気が流れる流路を有する枠状のハウジング20を備えている。ハウジング20は、流路が閉じた状態においてフィン30が重なり可能な重なり面51と、フィン30が閉じた状態から回転する際にフィン30と接触しないように重なり面51よりも凹んだ逃げ凹部52と、を有している。ハウジング20の逃げ凹部52と、フィン30とは、ハウジング20とフィン30との隙間から空気が吹き込み可能な吹込空間Sを画定している。フィン30、又は、ハウジング20のいずれか一方は、吹込空間Sを流れる空気を妨げる障壁部80を備えている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流れる流路を有する枠状のハウジングと、前記流路に配されていると共に前記流路を開閉可能なフィンと、
前記フィンは、板状部と、前記板状部から互いに反対方向へ突出している一対の軸部と、を備えた、空調用吹出口装置であって、
前記ハウジングは、各々の前記軸部を支持していると共に互いに一体化されている一対の支持部を有し、
各々の前記支持部は、前記軸部を回転可能に支持している支持孔を有する基部と、前記基部に対して、前記軸部の軸線方向を基準として前記ハウジングの中心に近づく方向に段差となる段差部と、前記基部と前記段差部とを接続している接続部と、を備えており、
前記接続部は、前記流路が閉じた状態において前記フィンの前記板状部が重なり可能な重なり面と、前記流路が閉じた状態から前記フィンが回転する際に前記フィンと接触しないように前記重なり面よりも凹んだ逃げ凹部と、を有しており、
前記流路が閉じた状態において、前記接続部の前記逃げ凹部と、前記板状部とは、前記板状部と前記基部との隙間から空気が吹き込み可能な吹込空間を画定しており、
前記フィン、又は、前記ハウジングのいずれか一方は、前記吹込空間を流れる空気を妨げる障壁部を備えている、空調用吹出口装置。
【請求項2】
前記軸部は、前記支持孔の縁に対して接触可能な環状の端面を有する大径部を有しており、
前記障壁部は、前記フィン及び前記大径部から逃げ凹部の壁面へ向かって膨らんでいる膨出部により構成されており、
前記膨出部は、前記逃げ凹部の前記壁面に対向している対向面を有している、請求項1に記載の空調用吹出口装置。
【請求項3】
前記フィンのなかの前記膨出部の反対側には、肉抜き凹部が形成されている、請求項2に記載の空調用吹出口装置。
【請求項4】
前記障壁部は、前記吹込空間を塞ぐように前記板状部に設けられたフィン側蓋部により構成されている、請求項1に記載の空調用吹出口装置。
【請求項5】
前記障壁部は、前記吹込空間を塞ぐように前記ハウジングに設けられたハウジング側蓋部により構成されている、請求項1に記載の空調用吹出口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹出口から吹き出す空気を回転するフィンにより遮断可能な空調用吹出口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用自動車等の車両には、車室へ向かって空気を吹き出し可能な吹き出し口である空調用吹出口装置が設けられている。空調用吹出口装置に関する先行技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された空調用吹出口装置は、空気が流れる流路を有する枠状のハウジングと、流路に配されていると共に流路を開閉可能なフィンと、フィンを外部から操作可能な操作ノブと、を備えている。フィンは、複数の板状部と、各々の板状部から互いに反対方向へ突出していると共にハウジングに支持されている軸部と、を有している。
【0004】
乗員が外部から操作ノブを操作すると、フィンはハウジングに支持された軸部を中心に回転(回動)し流路を開閉できる。流路を閉じると吹出口から車室への送風を遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015―152202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィンはハウジングの内部にて回転可能となるように設定されている。さらに、フィンは、枠状のハウジングに対してフィンの軸部を嵌め込んで取り付ける。そのため、フィンの軸部周辺には僅かな隙間が生じる。流路が閉じられた状態であっても、隙間から漏れた空気が車室へ吹き込んでしまう。
【0007】
特に、ハウジングが枠状の場合、即ち、フィンの各々の軸部を支持する支持部同士が、別体でなく一体化されている場合、ハウジングに対してフィンを嵌め込み可能とするために、フィンの軸部周辺の隙間が不可避的に大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、枠状のハウジングを備えた空調用吹出口装置において、フィンの軸部周辺の隙間から漏れる空気を抑制できる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1に、空気が流れる流路を有する枠状のハウジングと、前記流路に配されていると共に前記流路を開閉可能なフィンと、
前記フィンは、板状部と、前記板状部から互いに反対方向へ突出している一対の軸部と、を備えた、空調用吹出口装置であって、
前記ハウジングは、各々の前記軸部を支持していると共に互いに一体化されている一対の支持部を有し、
各々の前記支持部は、前記軸部を回転可能に支持している支持孔を有する基部と、前記基部に対して、前記軸部の軸線方向を基準として前記ハウジングの中心に近づく方向に段差となる段差部と、前記基部と前記段差部とを接続している接続部と、を備えており、
前記接続部は、前記流路が閉じた状態において前記フィンの前記板状部が重なり可能な重なり面と、前記流路が閉じた状態から前記フィンが回転する際に前記フィンと接触しないように前記重なり面よりも凹んだ逃げ凹部と、を有しており、
前記流路が閉じた状態において、前記接続部の前記逃げ凹部と、前記板状部とは、前記板状部と前記基部との隙間から空気が吹き込み可能な吹込空間を画定しており、
前記フィン、又は、前記ハウジングのいずれか一方は、前記吹込空間を流れる空気を妨げる障壁部を備えている、空調用吹出口装置が提供される。
【0010】
第2に、好ましくは、第1に記載の空調用吹出口装置であって、前記軸部は、前記支持孔の縁に対して接触可能な環状の端面を有する大径部を有しており、
前記障壁部は、前記フィン及び前記大径部から逃げ凹部の壁面へ向かって膨らんでいる膨出部により構成されており、
前記膨出部は、前記逃げ凹部の前記壁面に対向している対向面を有している。
【0011】
第3に、好ましくは、第2に記載の空調用吹出口装置であって、前記フィンのなかの前記膨出部の反対側には、肉抜き凹部が形成されている。
【0012】
第4に、好ましくは、第1に記載の空調用吹出口装置であって、前記障壁部は、前記吹込空間を塞ぐように前記板状部に設けられたフィン側蓋部により構成されている。
【0013】
第5に、好ましくは、第1に記載の空調用吹出口装置であって、前記障壁部は、前記吹込空間を塞ぐように前記ハウジングに設けられたハウジング側蓋部により構成されている。
【発明の効果】
【0014】
空調用吹出口装置は、空気が流れる流路を有する枠状のハウジングを備えている。ハウジングは、各々の軸部を支持していると共に互いに一体化されている一対の支持部を有している。各々の支持部は、軸部を回転可能に支持している支持孔を有する基部と、基部に対して段差となる段差部と、基部と段差部とを接続している接続部と、を備えている。
【0015】
接続部は、流路が閉じた状態においてフィンの板状部が重なり可能な重なり面と、フィンが閉じた状態から回転する際にフィンと接触しないように重なり面よりも凹んだ逃げ凹部と、を有している。
【0016】
流路が閉じた状態において、接続部の逃げ凹部と、板状部とは、板状部と基部との隙間から空気が吹き込み可能な吹込空間を画定している。フィン、又は、ハウジングのいずれか一方は、吹込空間を流れる空気を妨げる障壁部を備えている。
【0017】
上記の構成により、フィンとハウジングの隙間から吹込空間へ流れ込んだ空気は、障壁部によりその流れが妨げられる。軸部周辺の空気の漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1による空調用吹出口装置の斜視図である。
図2図1に示された空調用吹出口装置の分解斜視図である。
図3】ハウジングとフィンを上流側から見た図である。
図4】フィンが取り付けられたハウジングを上流側から見た図である。
図5図4の5-5線断面図である。
図6図5の6-6線断面図である。
図7】フィンの軸部及びハウジングの基部の支持孔周辺の構成を説明する図である。
図8図4の8-8線断面図である。
図9図9A図4の線9Aに囲われた部位を拡大した図である。図9Bは吹込空間を説明する図である。図9C図9Bの9C-9C線断面図である。
図10図10Aは実施例2による空調用吹出口装置を説明する図である。図10Bは実施例2による空調用吹出口装置の作用を説明する図である。
図11図11Aは実施例2による空調用吹出口装置を説明する図である。図11Bは実施例2による空調用吹出口装置の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて説明する。なお、図中Frは前、Rrは後、Lは左、Rは右、Upは上、Dnは下を示している。さらに、ハウジング内の空気の流れ方向を基準として、上流側を後方とし、下流側を前方とする。
【0020】
<実施例1>
図1(実施例1による空調用吹出口装置の斜視図)には、乗用自動車において乗員の前方に配置される空調用吹出口装置10が示されている。空調用吹出口装置10は、樹脂成形品であり、後述する操作ノブ14を左右にスライドさせることにより、吹出口から車室に吹き出される空気を遮断することができる。
【0021】
図2(空調用吹出口装置の分解斜視図)を参照する。空調用吹出口装置10は、空気が流れる流路21を有する枠状のハウジング20と、流路21に配されて流路21を開閉可能なフィンユニット19と、ハウジング20の吹出口24に取り付け可能な吹出口側部材11と、吹出口側部材11に取り付け可能であり外部から乗員がフィンユニット19を操作可能な操作ノブ14と、を備えている。
【0022】
吹出口側部材11は、枠状の本体部12と、本体部12の内部を長手方向に区画するように設けられた板状の長尺部13と、を備えている。
【0023】
操作ノブ14は、長尺部13を挟み込んでいる一対のノブ半体15,15と、一対のノブ半体15,15に支持されていると共に操作ノブ14とフィンユニット19とを連結する連結部材16と、を備えている。
【0024】
フィンユニット19は、板状の第1フィン31~第5フィン35と、第1フィン31~第5フィン35とを互いに接続して各々のフィンの向きを同期するリンク36と、を備えている。なお、フィンの数は適宜変更することができる。
【0025】
[フィン30]
図3(上流側から見たハウジングとフィンの斜視図)を参照する。第1フィン31~第5フィン35の基本的な構成は同一である。以下、第1フィン31~第5フィン35を"フィン30"として説明する。フィン30は、板状部60と、板状部60から互いに反対方向へ突出している一対の軸部70,70と、と、が一体となり構成されている。
【0026】
[ハウジング20]
ハウジング20は、互いに平行に延びており各々のフィン30を支持可能な一対の支持部40,40と、支持部40,40と直交する方向に延びており支持部40,40の両端同士を接続している側壁部49,49と、が一体となり構成されている。
【0027】
[操作ノブ14によるフィン30のスイング]
図4(フィンが取り付けられたハウジングを上流側から見た図)及び図5図4の5-5線断面図)を参照する。操作ノブ14を左右に移動させると、操作ノブ14に固定された連結部材16も左右に移動する。連結部材16の溝17は、第3フィン33の丸棒状の部位33aを挟んでいる。丸棒状の部位33aが溝17に沿って移動すると、第3フィン33は軸部70を中心に回転する。リンク36を介して第3フィン33と接続している第1フィン31、第2フィン32、第4フィン34及び第5フィン35は、各々の軸部70を中心にスイングする。
【0028】
[流路21]
図5を参照する。空気の流れる方向を基準として(図5の矢印(1)参照)、流路21が閉じた状態において、各々のフィン30(31~35)の軸部70よりも上流側を上流側流路22とし、各々のフィン30(31~35)の軸部70よりも下流側を下流側流路23とする。
【0029】
[板状部60]
図3及び図5を参照する。板状部60は、軸部70,70同士の間の中心部61と、中心部61よりも軸部70の径方向外側に位置して上流側流路22にてスイングする上流側フィン62と、中心部61よりも軸部70の径方向外側に位置して下流側流路23にてスイングする下流側フィン65と、が一体となり構成されている。
【0030】
[基部、段差部、接続部]
図3及び図6図5の6-6線断面図)を参照する。各々の支持部40は、軸部70を支持可能な支持孔42を有する基部41と、基部41に対して段差となる段差部47と、基部41と段差部47とを接続している接続部50と、が一体となり構成されている。軸部70の軸線AXが延びる方向(上下方向)を基準とすると、段差部47は基部41よりもハウジング20の中心CLに近い。基部41は、フィンユニット19をハウジング20に嵌め込んで取り付ける際に軸部70を支持孔42へガイドするガイド溝45を有している。
【0031】
[重なり面51]
図7(フィンの軸部及びハウジングの基部の支持孔周辺の構成を説明する図)を参照する。支持部40のなかの接続部50は、流路21が閉じた状態(図5参照)において上流側フィン62の前面63が重なる重なり面51と、重なり面51よりも凹んだ逃げ凹部52と、を有している。
【0032】
[逃げ凹部52]
逃げ凹部52は、上流側(後方)へ向かって開いており、フィン30が回転する際にフィン30の中心部61や軸部70と接触しないように設定されている。逃げ凹部52の壁面53は、軸線AXを中心とした円弧状の面である。
【0033】
[軸部70、大径部73]
図7及び図8図4の8-8線断面図)を参照する。軸部70は、支持孔42の内周面43に外周面72が回転可能に支持されている小径部71と、小径部71よりも径が大きく小径部71よりもハウジング20の中心CL側に位置している大径部73と、が一体となり構成されている。大径部73の環状の外端面74は、支持孔42の縁44に接触可能である。大径部73はフィン30の位置(軸線AX方向)を規制している。
【0034】
[吹込空間S]
図9B(吹込空間を説明する図)及び図9C図9Bの9C-9C線断面図)を参照する。逃げ凹部52の壁面53は、フィン30の大径部73の外周面75の外周側に位置する外周部54と、外周部54よりも中央CL側に位置し大径部73の外周面75に接触しない非接触部55と、を有している。流路21が閉じた状態では、フィン30の中央部61の前面66と、逃げ凹部52の非接触部55と、大径部73の内端面(中央CLを向いている面)は、半円柱状の吹込空間Sを画定する。なお、この吹込空間Sの説明の都合上、図9B及び図9Cには、後述する”障壁部80”は描かれていない。
【0035】
図9A図4の線9Aに囲われた部位を拡大した図)を参照する。ハウジング20内で、フィン30は回転可能に設けられている。そのため、第5フィン35の上流側フィン62の端面64(図7も参照)と、基部41の内面46(中央CL側を向いている面)との間には僅かに隙間が生じる。矢印(2)に示されるように、この隙間に対して空気が入り込むことが可能となる。
【0036】
図9B及び図9Cを参照する。大径部73と上流側フィン62の端面64との境界、かつ、逃げ凹部52と重なり面51との境界が重なる箇所にも隙間が生じる。端面64と内面46との間を流れてきた空気は、この隙間を入口Eとして、吹込空間Sに対して空気が吹き込む。
【0037】
[障壁部80(膨出部81)]
図7及び図8を参照する。フィン30は、吹込空間S(図9B参照)から下流側流路23へ向けて流れる空気を妨げる障壁部80を備えている。障壁部80は、フィン30の中央部61及び大径部73から逃げ凹部52の壁面53へ向かって膨らんでいる膨出部81により構成されている。換言すると、膨出部81は、吹込空間Sを埋めていることにより、空気の流路を狭めている。
【0038】
膨出部81は、逃げ凹部52の壁面53に対向している対向面82を有している。換言すると、膨出部81の対向面82は、大径部73の外周面75の縁75aからハウジング20の中心CL側へ延出した面ともいえる。対向面82は、軸線AXを中心とする円弧状の面であり、逃げ凹部52の壁面53に沿った面でもある。膨出部81の対向面82と逃げ凹部52の壁面53との間には、フィン30の回転の妨げとならないような僅かな隙間Dを設けることが好ましい。膨出部81の上面83は、段差部47の内面48(中央CL側を向いている面)と略同一平面上に位置している。
【0039】
[実施例1の効果]
上記の通り、膨出部81の対向面82と、逃げ凹部52の壁面53との間に隙間Dが設定されている。空気が、入口Eから吹込空間S(図9B及び図9C参照)に吹き込んだ場合であっても、矢印(3)に示されるように、吹き込んだ空気は、膨出部81の対向面82と逃げ凹部52の壁面53との隙間Dを流れるようになる。膨出部81(障壁部80)がない場合と比較すると空気の流速も遅くなり、軸部70周辺の空気の漏れを抑制できる。
【0040】
[肉抜き凹部84]
図7及び図8を参照する。フィン30の中央部61は、フィン30の中央部61の後面67から膨出部81へ向かって凹んでいる肉抜き凹部84を有している。即ち、肉抜き凹部は、膨出部81の反対側に形成されている。膨出部81は上流側流路22へ向けて開いた箱状となっている。フィン30(31~35)を成形する工程の時間を短縮することができ、さらに変形を抑えられる。
【0041】
<実施例2>
図10A(実施例2による空調用吹出口装置を説明する図)を参照する。実施例2による空調用吹出口装置10Aは、フィン30Aを備えている。実施例1の空調用吹出口装置10と共通する構成については、実施例1と同一の符号を付すると共に説明は省略する。
【0042】
[フィン側蓋部86]
図10A及び図10B(実施例2による空調用吹出口装置の作用を説明する図)を参照する。障壁部80Aは、吹込空間Sを塞ぐようにフィン30Aの中央部61に設けられたフィン側蓋部86により構成されている。フィン側蓋部86は半円板状を呈しており、その厚み及び径は、大径部73と略同一である。フィン側蓋部86の上面87(中央CL側を向いている面)は、段差部47の内面48と略同一平面上に位置している(いわゆる面一)。フィン側蓋部86の外周面86aと、逃げ凹部52の壁面53との間には、フィン30の回転の妨げとならないような僅かな隙間Dを設けることが好ましい。
【0043】
矢印(3)に示されるように、入口Eから吹込空間Sに流れこんだ空気の流れは、フィン側蓋部86により遮られる。軸部70周辺の空気の漏れを抑制できる。
【0044】
<実施例3>
図11A(実施例3による空調用吹出口装置を説明する図)を参照する。実施例3による空調用吹出口装置10Bは、フィン30Bと、ハウジング20Bと、を備えている。実施例1の空調用吹出口装置と共通する構成については、実施例1と同一の符号を付すると共に説明は省略する。
【0045】
[ハウジング側蓋部88]
図11A及び図11B(実施例3による空調用吹出口装置の作用を説明する図)を参照する。障壁部80Bは、吹込空間Sを塞ぐようにハウジング20Bに設けられたハウジング側蓋部88により構成されている。ハウジング側蓋部88は逃げ凹部52の壁面53と一体化されており、ハウジング側蓋部88の上面89(中央CL側を向いている面)は、段差部47の内面48と略同一平面上に位置している(いわゆる面一)。ハウジング側蓋部88の後面89a(上流側を向いている面)は、重なり面51と略同一平面上に位置している(いわゆる面一)。
【0046】
フィン30Bは、ハウジング側蓋部88との接触を避けるための逃げ溝68が形成されている。逃げ溝68は、フィン30Bの中央部61の端面から径方向内側へ延びている。
【0047】
矢印(4)に示されるように、入口Eから吹込空間Sに流れこんだ空気の流れは、ハウジング側蓋部88により遮られる。軸部70周辺の空気の漏れを抑制できる。
【0048】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の空調用吹出口装置は、乗用車に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0050】
10…空調用吹出口装置
20…ハウジング
21…流路
30…フィン
40…支持部
41…基部
42…支持孔
44…支持孔の縁
47…段差部
50…接続部
51…重なり面
52…逃げ凹部
53…逃げ凹部の壁面
60…板状部
70…軸部
73…大径部
74…環状の端面
80…障壁部
81…膨出部(障壁部80)
82…膨出部の対向面
84…肉抜き凹部
86…フィン側蓋部(障壁部80A)
88…ハウジング側蓋部(障壁部80B)
S…吹込空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11