IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-遠心圧縮機 図1
  • 特開-遠心圧縮機 図2
  • 特開-遠心圧縮機 図3
  • 特開-遠心圧縮機 図4
  • 特開-遠心圧縮機 図5
  • 特開-遠心圧縮機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182162
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20231219BHJP
   F04D 17/04 20060101ALI20231219BHJP
   F04D 29/05 20060101ALI20231219BHJP
   F04D 29/054 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F04D29/58 Q
F04D17/04 D
F04D29/05 A
F04D29/054
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095613
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
(72)【発明者】
【氏名】下瀬 智也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】平野 貴之
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC14
3H130BA33D
3H130BA33E
3H130BA33G
3H130BA74D
3H130DA02X
3H130DD01X
3H130EA07A
3H130EA07D
3H130EA07E
3H130EA07G
3H130EB01D
3H130EB01G
3H130EB02A
3H130EB02D
(57)【要約】
【課題】コイルを効率良く冷却すること。
【解決手段】突出部60に、吸入口から軸路65に吸入された空気を第2コイルエンド36bに向けて流す各径路69の一部が形成されている。このため、各径路69からモータ室18内に導入された空気が第2コイルエンド36bに向けて流れ易くなる。したがって、第2コイルエンド36bが、モータ室18内に導入された空気によって冷却され易くなる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室に空気を吸入する吸入口を有するハウジングと、を備え、
前記モータは、
前記ハウジングに固定されるステータコア、及び前記ステータコアに巻回されたコイルの一部であるとともに前記ステータコアの端面から突出するコイルエンドを有するステータと、
前記ステータの内側に配置されるとともに前記回転軸と一体的に回転するロータと、を備え、
前記吸入口に向かって開口し、前記回転軸の内部を前記回転軸の軸方向に延びる軸路と、
前記軸路と連通するとともに前記軸路から前記回転軸の径方向に向けて延び、前記モータ室内に連通する径路と、を備えている遠心圧縮機であって、
前記回転軸は、前記回転軸の外周面における前記コイルエンドに対向する部分から前記コイルエンドに向けて突出する突出部を有し、
前記突出部には、前記吸入口から前記軸路に吸入された空気を前記コイルエンドに向けて流す前記径路の一部が形成されていることを特徴とする遠心圧縮機。
【請求項2】
前記突出部は、前記コイルエンドと対向する対向面を有し、
前記径路は、前記突出部を貫通して前記対向面に開口していることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記回転軸を前記ハウジングに対して回転可能に支持するラジアル軸受を備え、
前記ハウジングは、前記ラジアル軸受を保持する筒状のラジアル軸受保持部を有し、
前記ラジアル軸受保持部の外周面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記コイルエンドの内側に位置しており、
前記対向面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記コイルエンドと前記ラジアル軸受保持部の外周面との間に位置していることを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記対向面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記ステータコアの端面に対して、前記回転軸の軸方向で重なっていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記突出部には、前記回転軸の回転バランスを調整する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記ロータは、
筒部材と、
前記筒部材の内側に固定される磁性体と、を有し、
前記回転軸は、
前記筒部材の軸方向で前記磁性体を挟んだ両側に設けられる第1軸部材及び第2軸部材を含み、
前記インペラは、前記第1軸部材に連結されており、
前記軸路は、前記第1軸部材及び前記磁性体を貫通して、前記第2軸部材の内部に至り、
前記突出部は、前記第2軸部材の外周面から前記コイルエンドに向けて突出していることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項7】
前記回転軸を前記ハウジングに対して回転可能に支持するラジアル軸受を備え、
前記ハウジングは、前記ラジアル軸受を保持する筒状のラジアル軸受保持部を有し、
前記ラジアル軸受保持部には、前記径路から前記モータ室内に導入された空気が流入する冷却通路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項8】
前記ラジアル軸受保持部には、前記冷却通路が前記ラジアル軸受保持部の周方向に間隔を置いて複数形成されていることを特徴とする請求項7に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機は、回転軸と、モータと、インペラと、ハウジングと、を備えている。モータは、回転軸を回転させる。インペラは、回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮する。ハウジングは、インペラ室、モータ室、及び吸入口を有している。インペラ室は、インペラを収容する。モータ室は、モータを収容する。吸入口は、インペラ室に空気を吸入する。
【0003】
モータは、ステータと、ロータと、を備えている。ステータは、ステータコアと、コイルと、を有している。ステータは、ハウジングの内周面に固定されている。コイルは、ステータコアに巻回されている。ステータコアの端面からは、コイルエンドの一部であるコイルエンドが突出している。したがって、ステータは、コイルエンドを有している。ロータは、ステータの内側に配置されている。ロータは、回転軸と一体的に回転する。
【0004】
ところで、このような遠心圧縮機においては、コイルに熱が生じるため、コイルを冷却することが望まれている。そこで、例えば特許文献1のように、遠心圧縮機は、軸路と、径路と、を備えている場合がある。軸路は、回転軸の内部を回転軸の軸方向に延びている。軸路は、吸入口に向かって開口している。径路は、軸路と連通している。径路は、軸路から回転軸の径方向に向けて延びている。径路は、モータ室内に連通している。吸入口からの空気の一部は、軸路に導入されて軸路及び径路を流れる。径路を流れる空気は、回転軸の回転に伴う遠心力によって加速されるとともに径路からモータ室内に導入される。このように、空気をモータ室内に導入することにより、コイルが、モータ室内に導入された空気によって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6968253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような遠心圧縮機においては、モータ室内に導入された空気によって、コイルを効率良く冷却することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸を回転させるモータと、前記回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラと、前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室に空気を吸入する吸入口を有するハウジングと、を備え、前記モータは、前記ハウジングに固定されるステータコア、及び前記ステータコアに巻回されたコイルの一部であるとともに前記ステータコアの端面から突出するコイルエンドを有するステータと、前記ステータの内側に配置されるとともに前記回転軸と一体的に回転するロータと、を備え、前記吸入口に向かって開口し、前記回転軸の内部を前記回転軸の軸方向に延びる軸路と、前記軸路と連通するとともに前記軸路から前記回転軸の径方向に向けて延び、前記モータ室内に連通する径路と、を備えている遠心圧縮機であって、前記回転軸は、前記回転軸の外周面における前記コイルエンドに対向する部分から前記コイルエンドに向けて突出する突出部を有し、前記突出部には、前記吸入口から前記軸路に吸入された空気を前記コイルエンドに向けて流す前記径路の一部が形成されている。
【0008】
これによれば、突出部に、吸入口から軸路に吸入された空気をコイルエンドに向けて流す径路の一部が形成されているため、径路からモータ室内に導入された空気がコイルエンドに向けて流れ易くなる。したがって、コイルエンドが、モータ室内に導入された空気によって冷却され易くなる。その結果、コイルを効率良く冷却することができる。
【0009】
上記遠心圧縮機において、前記突出部は、前記コイルエンドと対向する対向面を有し、前記径路は、前記突出部を貫通して前記対向面に開口しているとよい。
これによれば、径路が、突出部を貫通して突出部におけるコイルエンドと対向する対向面に開口しているため、径路からモータ室内に導入された空気がコイルエンドに向けて流れ易くなる。したがって、コイルエンドが、モータ室内に導入された空気によって冷却され易くなる。その結果、コイルを効率良く冷却することができる。
【0010】
上記遠心圧縮機において、前記回転軸を前記ハウジングに対して回転可能に支持するラジアル軸受を備え、前記ハウジングは、前記ラジアル軸受を保持する筒状のラジアル軸受保持部を有し、前記ラジアル軸受保持部の外周面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記コイルエンドの内側に位置しており、前記対向面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記コイルエンドと前記ラジアル軸受保持部の外周面との間に位置しているとよい。
【0011】
これによれば、例えば、突出部の対向面が、回転軸の軸方向から見たときに、ラジアル軸受保持部に対して、回転軸の軸方向で重なっている場合に比べると、突出部の対向面をコイルエンドに極力近付けることができる。よって、径路からモータ室内に導入された空気がコイルエンドに向けてさらに流れ易くなるため、コイルエンドが、モータ室内に導入される空気によってさらに冷却され易くなる。その結果、コイルをさらに効率良く冷却することができる。
【0012】
上記遠心圧縮機において、前記対向面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記ステータコアの端面に対して、前記回転軸の軸方向で重なっているとよい。
これによれば、例えば、突出部の対向面が、回転軸の軸方向から見たときに、ステータコアの内周面よりも径方向内側に位置している場合に比べると、突出部の対向面をコイルエンドに極力近付けることができる。よって、径路からモータ室内に導入された空気がコイルエンドに向けてさらに流れ易くなるため、コイルエンドが、モータ室内に導入される空気によってさらに冷却され易くなる。その結果、コイルをさらに効率良く冷却することができる。
【0013】
上記遠心圧縮機において、前記突出部には、前記回転軸の回転バランスを調整する凹部が形成されているとよい。回転軸の外周面から突出される突出部は、回転軸の回転バランスを調整するために凹部を形成する部位として好適である。
【0014】
上記遠心圧縮機において、前記ロータは、筒部材と、前記筒部材の内側に固定される磁性体と、を有し、前記回転軸は、前記筒部材の軸方向で前記磁性体を挟んだ両側に設けられる第1軸部材及び第2軸部材を含み、前記インペラは、前記第1軸部材に連結されており、前記軸路は、前記第1軸部材及び前記磁性体を貫通して、前記第2軸部材の内部に至り、前記突出部は、前記第2軸部材の外周面から前記コイルエンドに向けて突出しているとよい。
【0015】
これによれば、軸路を流れる空気によって、磁性体を冷却することができる。したがって、コイルに加えて、磁性体も空気によって効率良く冷却することができるため、モータの耐久性の向上を図ることができる。
【0016】
上記遠心圧縮機において、前記回転軸を前記ハウジングに対して回転可能に支持するラジアル軸受を備え、前記ハウジングは、前記ラジアル軸受を保持する筒状のラジアル軸受保持部を有し、前記ラジアル軸受保持部には、前記径路から前記モータ室内に導入された空気が流入する冷却通路が形成されているとよい。
【0017】
これによれば、冷却通路を流れる空気とラジアル軸受とのラジアル軸受保持部を介した熱交換が行われることにより、ラジアル軸受を空気によって冷却することができる。また、空気が冷却通路を流れる分だけ、空気がラジアル軸受保持部の内側を通過し難くなるため、ラジアル軸受保持部の内側に空気と共に異物が侵入してしまうことが抑制される。したがって、ラジアル軸受が異物によって摩耗してしまうといった問題が回避され易くなるため、ラジアル軸受の耐久性を向上させることができる。
【0018】
上記遠心圧縮機において、前記ラジアル軸受保持部には、前記冷却通路が前記ラジアル軸受保持部の周方向に間隔を置いて複数形成されているとよい。
これによれば、例えば、冷却通路がラジアル軸受保持部に1つだけ形成されている場合に比べると、ラジアル軸受全体をラジアル軸受保持部の周方向で均等に冷却し易くすることができる。したがって、ラジアル軸受を効率良く冷却することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、コイルを効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態における遠心圧縮機の断面図である。
図2】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図3】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図4】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図5】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図6】遠心圧縮機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、遠心圧縮機を具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。本実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。遠心圧縮機は、空気を圧縮する。
<遠心圧縮機10の基本構成>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、金属材料製である。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11は、筒状である。ハウジング11は、モータハウジング12、コンプレッサハウジング13、タービンハウジング14、第1プレート15、第2プレート16、及びシールプレート17を有している。
【0022】
モータハウジング12は、筒状である。モータハウジング12は、板状の端壁12aと、周壁12bと、を有している。周壁12bは、端壁12aの外周部から筒状に延びている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口側の端部に連結されている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。そして、モータハウジング12の端壁12a及び周壁12bと第1プレート15とによって、モータ室18が区画されている。したがって、ハウジング11は、モータ室18を有している。
【0023】
図2に示すように、第1プレート15は、第1凹部15c及び第2凹部15dを有している。第1凹部15c及び第2凹部15dは、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面15aに形成されている。第1凹部15c及び第2凹部15dは、円孔状である。第1凹部15cの内径は、第2凹部15dの内径よりも大きい。第2凹部15dは、第1凹部15cの底面15fに形成されている。第1凹部15cの軸線と第2凹部15dの軸線とは一致している。
【0024】
シールプレート17は、第1凹部15cに嵌め込まれている。シールプレート17は、例えば、図示しないボルトによって第1プレート15に取り付けられている。シールプレート17は、第2凹部15dの開口を閉塞している。そして、シールプレート17と第2凹部15dとによって、スラスト軸受収容室19が区画されている。したがって、ハウジング11は、スラスト軸受収容室19を有している。また、シールプレート17は、シャフト挿通孔17hを有している。シャフト挿通孔17hは、シールプレート17の中央部に形成されている。シャフト挿通孔17hは、スラスト軸受収容室19に開口している。
【0025】
第1プレート15は、第1ラジアル軸受保持部21を有している。したがって、ハウジング11は、第1ラジアル軸受保持部21を有している。第1ラジアル軸受保持部21は、円筒状である。第1ラジアル軸受保持部21は、第1プレート15におけるモータハウジング12側の端面15bの中央部からモータ室18内に突出している。第1ラジアル軸受保持部21は、モータ室18に連通している。第1ラジアル軸受保持部21は、第1プレート15を貫通して第2凹部15dの底面15hに開口している。したがって、第1ラジアル軸受保持部21は、スラスト軸受収容室19に連通している。第1ラジアル軸受保持部21の軸線は、第1凹部15cの軸線及び第2凹部15dの軸線と一致している。
【0026】
コンプレッサハウジング13は、筒状である。コンプレッサハウジング13は、円孔状の吸入口22を有している。したがって、ハウジング11は、吸入口22を有している。コンプレッサハウジング13は、吸入口22の軸線が、シールプレート17のシャフト挿通孔17hの軸線と一致した状態で、第1プレート15の端面15aに連結されている。吸入口22は、コンプレッサハウジング13における第1プレート15とは反対側の端面に開口している。
【0027】
遠心圧縮機10は、インペラ室23、吐出室24、及びコンプレッサディフューザ流路25を備えている。インペラ室23、吐出室24、及びコンプレッサディフューザ流路25は、コンプレッサハウジング13とシールプレート17との間に形成されている。したがって、ハウジング11は、インペラ室23を有している。シールプレート17は、インペラ室23とスラスト軸受収容室19とを隔てている。インペラ室23は、吸入口22に連通している。インペラ室23は、吸入口22から離れるにつれて徐々に拡径していく略円錐台孔形状になっている。吐出室24は、インペラ室23の周囲で吸入口22の軸線周りに延びている。コンプレッサディフューザ流路25は、インペラ室23と吐出室24とを連通している。インペラ室23は、シールプレート17のシャフト挿通孔17hに連通している。
【0028】
図3に示すように、モータハウジング12は、第2ラジアル軸受保持部26を有している。したがって、ハウジング11は、第2ラジアル軸受保持部26を有している。第2ラジアル軸受保持部26は、円筒状である。第2ラジアル軸受保持部26は、モータハウジング12の端壁12aの内面の中央部からモータ室18内に突出している。第2ラジアル軸受保持部26は、モータ室18に連通している。第2ラジアル軸受保持部26の内側は、モータハウジング12の端壁12aを貫通して端壁12aの外面に開口している。第1ラジアル軸受保持部21の軸線と第2ラジアル軸受保持部26の軸線とは一致している。
【0029】
第2プレート16は、モータハウジング12の端壁12aの外面に連結されている。第2プレート16は、シャフト挿通孔16hを有している。シャフト挿通孔16hは、第2プレート16の中央部に形成されている。
【0030】
タービンハウジング14は、筒状である。タービンハウジング14は、円孔状の吐出口27を有している。タービンハウジング14は、吐出口27の軸線が、第2プレート16のシャフト挿通孔16hの軸線と一致した状態で、第2プレート16におけるモータハウジング12とは反対側の端面16aに連結されている。吐出口27は、タービンハウジング14における第2プレート16とは反対側の端面に開口している。
【0031】
遠心圧縮機10は、タービン室28、タービンスクロール流路29、及び連通通路30を備えている。タービン室28、タービンスクロール流路29、及び連通通路30は、タービンハウジング14と第2プレート16の端面16aとの間に形成されている。タービン室28は、吐出口27に連通している。タービンスクロール流路29は、タービン室28の周囲で吐出口27の軸線周りに延びている。連通通路30は、タービン室28とタービンスクロール流路29とを連通している。タービン室28は、第2プレート16のシャフト挿通孔16hに連通している。
【0032】
図1に示すように、遠心圧縮機10は、モータ31を備えている。モータ31は、モータ室18に収容されている。したがって、モータ室18は、モータ31を収容する。そして、モータ31は、ハウジング11内に収容されている。
【0033】
モータ31は、ステータ32と、ロータ33と、を備えている。ステータ32は、筒状のステータコア34と、コイル35と、を有している。コイル35は、ステータコア34に巻回されている。ステータコア34は、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されている。したがって、ステータ32は、ハウジング11に固定されている。ステータコア34の両端面には、コイル35の一部であるコイルエンド36がそれぞれ突出している。したがって、ステータ32は、コイル35の一部であるとともにステータコア34の端面から突出するコイルエンド36を有している。なお、以下の説明では、ステータコア34における第1プレート15側に位置するコイルエンド36を、「第1コイルエンド36a」と記載する。また、ステータコア34におけるモータハウジング12の端壁12a側に位置するコイルエンド36を、「第2コイルエンド36b」と記載する。
【0034】
ロータ33は、ステータ32の内側に配置されている。ロータ33は、筒部材41と、磁性体である永久磁石42と、を有している。筒部材41は、例えば、チタン合金製である。筒部材41は、筒部材41の軸線が直線状に延びる筒状である。
【0035】
永久磁石42は、円筒状である。永久磁石42は、筒部材41の内側に配置されている。永久磁石42の軸線は、筒部材41の軸線と一致している。永久磁石42は、筒部材41の内周面に圧入されている。したがって、永久磁石42は、筒部材41の内側に固定されている。永久磁石42は、永久磁石42の径方向に着磁されている。具体的には、永久磁石42は、永久磁石42の径方向で着磁されることにより永久磁石42の径方向の両側の部位にN極とS極とを有する円筒状である。
【0036】
永久磁石42における軸線が延びる方向の長さは、筒部材41における軸線が延びる方向の長さよりも短い。永久磁石42の両端面は、筒部材41の内側に位置している。よって、筒部材41の軸方向に位置する両端部それぞれは、永久磁石42の両端面それぞれに対して軸方向へ突出している。そして、筒部材41の両端部は、ステータコア34の両端面それぞれに対して軸方向へ突出している。
【0037】
遠心圧縮機10は、回転軸40を備えている。回転軸40は、第1軸部材44及び第2軸部材45を含む。第1軸部材44及び第2軸部材45は、筒部材41の軸方向で永久磁石42を挟んだ両側に設けられている。第1軸部材44及び第2軸部材45は、例えば、鉄製である。
【0038】
第1軸部材44は、円筒状である。第1軸部材44の第1端部は、筒部材41の第1端部の内側に挿入されている。第1軸部材44の第1端部は、筒部材41の第1端部の内周面に圧入されている。したがって、第1軸部材44は、筒部材41に固定されている。第1軸部材44の軸線は、筒部材41の軸線と一致している。第1軸部材44の第2端部は、モータ室18から第1ラジアル軸受保持部21の内側、スラスト軸受収容室19、及びシャフト挿通孔17hを通過して、インペラ室23内に突出している。
【0039】
第2軸部材45は、円筒状である。第2軸部材45の第1端部は、筒部材41の第2端部の内側に挿入されている。第2軸部材45の第1端部は、筒部材41の第2端部の内周面に圧入されている。したがって、第2軸部材45は、筒部材41に固定されている。第2軸部材45の軸線は、筒部材41の軸線と一致している。第2軸部材45の第2端部は、モータ室18から第2ラジアル軸受保持部26の内側、及びシャフト挿通孔16hを通過して、タービン室28内に突出している。
【0040】
第1軸部材44の軸線と第2軸部材45の軸線とは一致している。第1軸部材44の軸方向及び第2軸部材45の軸方向は、回転軸40の軸方向である。第1軸部材44の径方向及び第2軸部材45の径方向は、回転軸40の径方向である。第1軸部材44及び第2軸部材45は、筒部材41と一体的に回転する。したがって、ロータ33は、回転軸40と一体的に回転する。
【0041】
遠心圧縮機10は、第1シール部材46を備えている。第1シール部材46は、シールプレート17のシャフト挿通孔17hと第1軸部材44との間に設けられている。第1シール部材46は、インペラ室23からモータ室18に向かう空気の洩れを抑制する。遠心圧縮機10は、第2シール部材47を備えている。第2シール部材47は、第2プレート16のシャフト挿通孔16hと第2軸部材45との間に設けられている。第2シール部材47は、タービン室28からモータ室18に向かう空気の洩れを抑制する。第1シール部材46及び第2シール部材47は、例えば、シールリングである。
【0042】
遠心圧縮機10は、支持部48を備えている。支持部48は、第1軸部材44の外周面から環状に突出している。支持部48は、円板状である。支持部48は、第1軸部材44の外周面から径方向外側へ環状に突出した状態で、第1軸部材44の外周面に固定されている。したがって、支持部48は、第1軸部材44とは別体である。支持部48は、スラスト軸受収容室19内に配置されている。支持部48は、第1軸部材44と一体的に回転する。
【0043】
遠心圧縮機10は、インペラ49を備えている。インペラ49は、第1軸部材44の第2端部に取り付けられている。したがって、インペラ49は、第1軸部材44に連結されている。インペラ49は、第1軸部材44と一体的に回転する。したがって、インペラ49は、回転軸40と一体的に回転する。インペラ49は、第1軸部材44における支持部48よりも第1軸部材44の第2端部寄りに配置されている。インペラ49は、背面から先端面に向かうに従って徐々に縮径した筒状である。インペラ49は、インペラ室23に収容されている。したがって、インペラ室23は、インペラ49を収容する。インペラ49の外縁は、インペラ室23の内周面に沿って延びている。インペラ49は、回転軸40と一体的に回転することで空気を圧縮する。
【0044】
遠心圧縮機10は、タービンホイール50を備えている。タービンホイール50は、第2軸部材45の第2端部に取り付けられている。タービンホイール50は、タービン室28に収容されている。タービンホイール50は、第2軸部材45と一体的に回転する。
【0045】
図4に示すように、遠心圧縮機10は、第1ラジアル軸受51と、第2ラジアル軸受52と、を備えている。第1ラジアル軸受51は、円筒状である。第1ラジアル軸受51は、第1ラジアル軸受保持部21に保持されている。したがって、第1ラジアル軸受保持部21は、第1ラジアル軸受51を保持するラジアル軸受保持部である。第2ラジアル軸受52は、円筒状である。第2ラジアル軸受52は、第2ラジアル軸受保持部26に保持されている。したがって、第2ラジアル軸受保持部26は、第2ラジアル軸受52を保持するラジアル軸受保持部である。
【0046】
第1ラジアル軸受51は、第1軸部材44をハウジング11に対してラジアル方向で回転可能に支持する。第2ラジアル軸受52は、第2軸部材45をハウジング11に対してラジアル方向で回転可能に支持する。第1ラジアル軸受51及び第2ラジアル軸受52は、ロータ33を回転軸40の軸方向で挟んだ両側の位置で回転軸40をハウジング11に対してラジアル方向で回転可能に支持するラジアル軸受である。なお、「ラジアル方向」とは、回転軸40の軸方向に対して直交する方向である。したがって、「ラジアル方向」とは、回転軸40の径方向である。
【0047】
図2に示すように、遠心圧縮機10は、スラスト軸受53を備えている。スラスト軸受53は、スラスト軸受収容室19に収容されている。したがって、スラスト軸受収容室19は、スラスト軸受53を収容する。スラスト軸受53は、第1スラスト軸受部53aと、第2スラスト軸受部53bと、を含む。第1スラスト軸受部53a及び第2スラスト軸受部53bは、支持部48を挟み込むように配置されている。第1スラスト軸受部53aは、支持部48に対してインペラ49寄りに位置する。第2スラスト軸受部53bは、支持部48に対して第1ラジアル軸受51寄りに位置する。
【0048】
そして、第1スラスト軸受部53a及び第2スラスト軸受部53bは、支持部48をスラスト方向で回転可能に支持する。したがって、スラスト軸受53は、インペラ49と第1ラジアル軸受51との間で支持部48を介して回転軸40をスラスト方向で回転可能に支持する。なお、「スラスト方向」とは、回転軸40の軸方向に対して平行な方向である。このように、回転軸40は、ハウジング11に回転可能に支持されている。
【0049】
<燃料電池システム55>
図1に示すように、上記構成の遠心圧縮機10は、燃料電池車に搭載された燃料電池システム55の一部を構成している。燃料電池システム55は、遠心圧縮機10の他に、燃料電池スタック56と、供給流路57と、排出流路58と、を備えている。燃料電池スタック56は、図示しない複数の電池セルから構成されている。供給流路57は、吐出室24と燃料電池スタック56とを接続する。排出流路58は、燃料電池スタック56とタービンスクロール流路29とを接続する。
【0050】
ロータ33が回転すると、第1軸部材44及び第2軸部材45がロータ33と一体的に回転する。したがって、モータ31は、回転軸40を回転させる。そして、第1軸部材44及び第2軸部材45の回転に伴って、インペラ49及びタービンホイール50が回転する。インペラ49が回転すると、吸入口22からインペラ室23に空気が吸入される。したがって、吸入口22は、インペラ室23に空気を吸入する。なお、吸入口22を流れる空気は、図示しないエアクリーナによって清浄化されている。
【0051】
吸入口22から吸入された空気は、インペラ室23内でインペラ49によって圧縮されるとともにコンプレッサディフューザ流路25を通過して吐出室24から圧縮された空気として供給流路57へ吐出される。そして、吐出室24から供給流路57へ吐出された空気は、供給流路57を介して燃料電池スタック56に供給される。燃料電池スタック56に供給された空気は、燃料電池スタック56を発電するために使用される。その後、燃料電池スタック56を通過する空気は、燃料電池スタック56の排気として排出流路58へ排出される。
【0052】
燃料電池スタック56の排気は、排出流路58を介してタービンスクロール流路29に吸入される。タービンスクロール流路29に吸入される燃料電池スタック56の排気は、連通通路30を通じてタービン室28に導入される。タービンホイール50は、タービン室28に導入された燃料電池スタック56の排気により回転する。ロータ33は、モータ31の駆動による回転に加え、燃料電池スタック56の排気により回転するタービンホイール50の回転によっても回転する。そして、燃料電池スタック56の排気によるタービンホイール50の回転によりロータ33の回転が補助される。タービン室28を通過した排気は、吐出口27から外部へ吐出される。
【0053】
<第2ラジアル軸受保持部26>
図5に示すように、第2ラジアル軸受保持部26は、第2コイルエンド36bの内側に入り込んでいる。したがって、第2ラジアル軸受保持部26の外周面は、回転軸40の軸方向から見たときに、コイルエンド36の内側に位置している。第2ラジアル軸受保持部26の外周面は、第2コイルエンド36bから離間している。第2ラジアル軸受保持部26の先端面は、回転軸40の軸方向でステータコア34の端面に重なっている。第2ラジアル軸受保持部26の先端面は、ステータコア34の端面から離間している。
【0054】
<突出部60>
回転軸40は、突出部60を有している。突出部60は、第2軸部材45の外周面における第2コイルエンド36bに対向する部分から第2コイルエンド36bに向けて突出している。よって、突出部60は、第2軸部材45の外周面からコイルエンド36に向けて突出している。このように、突出部60は、回転軸40の外周面におけるコイルエンド36に対向する部分からコイルエンド36に向けて突出している。突出部60は、円環状である。突出部60は、第2軸部材45の外周面から回転軸40の径方向に延びている。
【0055】
突出部60は、第2コイルエンド36bの内側に位置している。突出部60は、第2軸部材45の外周面から第2ラジアル軸受保持部26の先端面とステータコア34の端面との間に向けて突出している。突出部60の一部は、回転軸40の軸方向で第2ラジアル軸受保持部26の先端面に対向している。突出部60の外周面は、回転軸40の径方向で第2コイルエンド36bと対向する対向面60aである。したがって、突出部60は、コイルエンド36と対向する対向面60aを有している。突出部60の対向面60aは、回転軸40の軸方向から見たときに、第2コイルエンド36bと第2ラジアル軸受保持部26の外周面との間に位置している。突出部60の対向面60aは、第2コイルエンド36bから離間している。突出部60は、第2ラジアル軸受保持部26の先端面から離間している。突出部60の外周部は、回転軸40の軸方向でステータコア34の端面に対向している。突出部60の対向面60aは、回転軸40の軸方向から見たときに、ステータコア34の端面に対して、回転軸40の軸方向で重なっている。突出部60は、ステータコア34の端面から離間している。
【0056】
突出部60には、凹部61が形成されている。凹部61は、突出部60におけるステータコア34側に位置する端面に形成されている。凹部61は、突出部60におけるステータコア34側に位置する端面において、ステータコア34の端面と回転軸40の軸方向で対向する部位に形成されている。凹部61は、回転軸40の回転バランスを調整する。
【0057】
<軸路65>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、軸路65を備えている。軸路65は、第1軸路66、第2軸路67、及び第3軸路68を有している。第1軸路66は、第1軸部材44の内部を第1軸部材44の軸方向に貫通している。第1軸路66は、円孔状である。第1軸路66の第1端は、第1軸部材44の第2端部に開口して吸入口22に連通している。したがって、軸路65は、吸入口22に向かって開口している。
【0058】
第2軸路67は、永久磁石42の内部を永久磁石42の軸方向に貫通している。したがって、軸路65は、永久磁石42の内部を貫通している。第2軸路67は、円孔状である。第2軸路67の第1端は、第1軸路66の第2端に連通している。第2軸路67の軸線は、第1軸路66の軸線と一致している。
【0059】
第3軸路68は、第2軸部材45の内部を第2軸部材45の軸方向に延びている。第3軸路68は、円孔状である。第3軸路68の第1端は、第2軸路67の第2端に連通している。第3軸路68の軸線は、第2軸路67の軸線と一致している。第3軸路68の第2端は、第2軸部材45の内部に位置している。第3軸路68の第2端は、第2軸部材45の内部で閉塞している。
【0060】
このように、軸路65は、第1軸部材44及び永久磁石42を貫通して、第2軸部材45の内部に至る。軸路65は、第1軸部材44の内部、永久磁石42の内部、及び第2軸部材45の内部を回転軸40の軸方向に延びている。したがって、軸路65は、回転軸40の内部を回転軸40の軸方向に延びている。そして、軸路65は、第1軸部材44のインペラ49側の一端に開口して吸入口22に連通している。
【0061】
<径路69>
ロータ33は、複数の径路69を備えている。複数の径路69は、第3軸路68の第2端に連通している。したがって、各径路69は、軸路65と連通している。図5に示すように、各径路69は、第3軸路68から突出部60の対向面60aに向けて延びている。各径路69は、回転軸40の軸線に対して斜めに延びている。各径路69は、第3軸路68から離間するにつれて永久磁石42から徐々に離間しながら突出部60の対向面60aに向けて延びている。各径路69は、突出部60を貫通して突出部60の対向面60aに開口している。したがって、各径路69は、突出部60を貫通して突出部60における第2コイルエンド36bと対向する部分に開口している。突出部60には、各径路69の一部が形成されている。複数の径路69は、第3軸路68から放射状に延びている。各径路69の第1端は、第3軸路68に連通している。各径路69の第2端は、突出部60の対向面60aに開口して、モータ室18内に連通している。したがって、各径路69は、軸路65から回転軸40の径方向に向けて延び、モータ室18内に連通する。各径路69は、吸入口22から軸路65に吸入された空気を第2コイルエンド36bに向けて流す。
【0062】
図1に示すように、第1軸路66の第1端には、吸入口22からの空気が導入される。そして、吸入口22から第1軸路66に導入された空気は、第1軸路66、第2軸路67、第3軸路68、及び各径路69を介してモータ室18に導入される。
【0063】
<排出口80>
図2に示すように、ハウジング11は、排出口80を有している。排出口80は、第1プレート15に形成されている。排出口80は、モータ室18よりもインペラ室23寄りに配置されている。排出口80は、第1プレート15の内部を回転軸40の径方向に延びている。排出口80の第1端は、第1プレート15の外周面に開口している。排出口80の第2端は、スラスト軸受収容室19に連通している。排出口80は、吸入口22から軸路65及び各径路69を介してモータ室18内に導入された空気をハウジング11外に排出する。
【0064】
<冷却通路81>
図5及び図6に示すように、第2ラジアル軸受保持部26には、冷却通路81が形成されている。図6に示すように、冷却通路81は、第2ラジアル軸受保持部26の周方向に間隔を置いて複数形成されている。したがって、第2ラジアル軸受保持部26には、冷却通路81が第2ラジアル軸受保持部26の周方向に間隔を置いて複数形成されている。各冷却通路81は、例えば、円孔状である。
【0065】
図3に示すように、各冷却通路81は、第2ラジアル軸受保持部26を回転軸40の軸方向に貫通して第2プレート16の内部まで延びている。各冷却通路81の第1端は、第2ラジアル軸受保持部26の先端面に開口している。各冷却通路81の第2端は、第2プレート16の内部に位置している。各冷却通路81には、各径路69からモータ室18内に導入された空気が流入する。
【0066】
<排出通路82>
図1に示すように、ハウジング11は、排出通路82を有している。排出通路82は、第2プレート16及びモータハウジング12を貫通している。排出通路82は、シャフト挿通孔16hと排出口80とを接続している。排出通路82の第1端は、シャフト挿通孔16h内に連通している。排出通路82の第2端は、排出口80に連通している。
【0067】
<環状通路83>
ハウジング11は、環状通路83を有している。環状通路83は、第2プレート16の内部に形成されている。環状通路83は、シャフト挿通孔16hを取り囲んだ状態で、シャフト挿通孔16hの周りで回転軸40の周方向に延びている。環状通路83は、排出通路82を横切っている。環状通路83は、排出通路82に連通している。環状通路83には、各冷却通路81の第2端が接続されている。したがって、各冷却通路81の第2端は、環状通路83に連通している。
【0068】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
吸入口22からの空気の一部は、軸路65に導入されて軸路65及び各径路69を流れる。各径路69を流れる空気は、回転軸40の回転に伴う遠心力によって加速されるとともに各径路69からモータ室18内に導入される。永久磁石42は、軸路65を流れる空気によって冷却される。よって、圧縮された空気よりも低温である空気によって永久磁石42が冷却される。
【0069】
突出部60に、吸入口22から軸路65に吸入された空気を第2コイルエンド36bに向けて流す各径路69の一部が形成されているため、各径路69からモータ室18内に導入された空気が第2コイルエンド36bに向けて流れ易くなっている。したがって、第2コイルエンド36bが、モータ室18内に導入された空気によって冷却され易くなっている。その結果、コイル35が効率良く冷却される。
【0070】
また、各径路69からモータ室18内に導入された空気の一部は、ステータ32とロータ33との間の空間71を通過して第1ラジアル軸受保持部21の内側を流れる。第1ラジアル軸受51は、第1ラジアル軸受保持部21内を流れる空気によって冷却される。第1ラジアル軸受保持部21内を通過した空気は、スラスト軸受収容室19内に流れる。スラスト軸受53は、スラスト軸受収容室19内を通過する空気によって冷却される。そして、スラスト軸受収容室19内の空気は、排出口80からハウジング11外へ排出される。
【0071】
一方で、各径路69からモータ室18内に導入された空気の一部は、各冷却通路81に流入する。そして、各冷却通路81を流れる空気と第2ラジアル軸受52との第2ラジアル軸受保持部26を介した熱交換が行われることにより、第2ラジアル軸受52が空気によって冷却される。各冷却通路81を通過した空気は、環状通路83及び排出通路82を介して排出口80からハウジング11外へ排出される。なお、各径路69からモータ室18内に導入された空気の一部は、第2ラジアル軸受保持部26の内側を流れる。第2ラジアル軸受52は、第2ラジアル軸受保持部26の内側を通過する空気によっても冷却される。第2ラジアル軸受保持部26の内側を通過した空気は、シャフト挿通孔16h及び排出通路82を介して排出口80からハウジング11外へ排出される。
【0072】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)突出部60に、吸入口22から軸路65に吸入された空気を第2コイルエンド36bに向けて流す各径路69の一部が形成されている。このため、各径路69からモータ室18内に導入された空気が第2コイルエンド36bに向けて流れ易くなる。したがって、第2コイルエンド36bが、モータ室18内に導入された空気によって冷却され易くなる。その結果、コイル35を効率良く冷却することができる。
【0073】
(2)各径路69は、突出部60を貫通して突出部60の対向面60aに開口している。これによれば、各径路69が、突出部60を貫通して突出部60における第2コイルエンド36bと対向する対向面60aに開口しているため、各径路69からモータ室18内に導入された空気が第2コイルエンド36bに向けて流れ易くなる。したがって、第2コイルエンド36bが、モータ室18内に導入された空気によって冷却され易くなる。その結果、コイル35を効率良く冷却することができる。
【0074】
(3)突出部60の対向面60aは、回転軸40の軸方向から見たときに、第2コイルエンド36bと第2ラジアル軸受保持部26の外周面との間に位置している。これによれば、例えば、突出部60の対向面60aが、回転軸40の軸方向から見たときに、第2ラジアル軸受保持部26に対して、回転軸40の軸方向で重なっている場合に比べると、対向面60aを第2コイルエンド36bに極力近付けることができる。よって、各径路69からモータ室18内に導入された空気が第2コイルエンド36bに向けてさらに流れ易くなるため、第2コイルエンド36bが、モータ室18内に導入される空気によってさらに冷却され易くなる。その結果、コイル35をさらに効率良く冷却することができる。
【0075】
(4)突出部60の対向面60aは、回転軸40の軸方向から見たときに、ステータコア34の端面に対して、回転軸40の軸方向で重なっている。これによれば、例えば、突出部60の対向面60aが、回転軸40の軸方向から見たときに、ステータコア34の内周面よりも径方向内側に位置している場合に比べると、突出部60の対向面60aを第2コイルエンド36bに極力近付けることができる。よって、各径路69からモータ室18内に導入された空気が第2コイルエンド36bに向けてさらに流れ易くなるため、第2コイルエンド36bが、モータ室18内に導入される空気によってさらに冷却され易くなる。その結果、コイル35をさらに効率良く冷却することができる。
【0076】
(5)突出部60には、回転軸40の回転バランスを調整する凹部61が形成されている。回転軸40の外周面から突出される突出部60は、回転軸40の回転バランスを調整するために凹部61を形成する部位として好適である。
【0077】
(6)軸路65は、第1軸部材44及び永久磁石42を貫通して、第2軸部材45の内部に至る。突出部60は、第2軸部材45の外周面から第2コイルエンド36bに向けて突出している。これによれば、軸路65を流れる空気によって、永久磁石42を冷却することができる。したがって、コイル35に加えて、永久磁石42も空気によって効率良く冷却することができるため、モータ31の耐久性の向上を図ることができる。
【0078】
(7)第2ラジアル軸受保持部26には、各径路69からモータ室18内に導入された空気が流入する冷却通路81が形成されている。これによれば、冷却通路81を流れる空気と第2ラジアル軸受52との第2ラジアル軸受保持部26を介した熱交換が行われることにより、第2ラジアル軸受52を空気によって冷却することができる。また、空気が冷却通路81を流れる分だけ、空気が第2ラジアル軸受保持部26の内側を通過し難くなるため、第2ラジアル軸受保持部26の内側に空気と共に異物が侵入してしまうことが抑制される。したがって、第2ラジアル軸受52が異物によって摩耗してしまうといった問題が回避され易くなるため、第2ラジアル軸受52の耐久性を向上させることができる。
【0079】
(8)第2ラジアル軸受保持部26には、冷却通路81が第2ラジアル軸受保持部26の周方向に間隔を置いて複数形成されている。これによれば、例えば、冷却通路81が第2ラジアル軸受保持部26に1つだけ形成されている場合に比べると、第2ラジアル軸受52全体を第2ラジアル軸受保持部26の周方向で均等に冷却し易くすることができる。したがって、第2ラジアル軸受52を効率良く冷却することができる。
【0080】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0081】
○ 実施形態において、突出部60が、第1軸部材44の外周面における第1コイルエンド36aに対向する部分から第1コイルエンド36aに向けて突出していてもよい。この場合、突出部60には、吸入口22から軸路65に吸入された空気を第1コイルエンド36aに向けて流す各径路69の一部が形成されている。これによれば、各径路69からモータ室18内に導入された空気が第1コイルエンド36aに向けて流れ易くなる。したがって、第1コイルエンド36aが、モータ室18内に導入された空気によって冷却され易くなる。その結果、コイル35が効率良く冷却される。なお、この場合、軸路65が、第1軸部材44及び永久磁石42を貫通して、第2軸部材45の内部に至るまで回転軸40の軸方向に延びていなくてもよい。
【0082】
○ 実施形態において、各径路69は、回転軸40の軸線に対して斜めに延びていなくてもよい。各径路69は、回転軸40の軸方向に対して直交する方向に延びていてもよい。要は、各径路69は、軸路65から回転軸40の径方向に向けて延び、モータ室18内に連通していればよい。
【0083】
○ 実施形態において、突出部60の対向面60aは、回転軸40の軸方向から見たときに、第2コイルエンド36bと第2ラジアル軸受保持部26の外周面との間に位置していなくてもよい。例えば、突出部60の対向面60aは、回転軸40の軸方向から見たときに、第2ラジアル軸受保持部26の先端面に対して、回転軸40の軸方向で重なっていてもよい。
【0084】
○ 実施形態において、第2ラジアル軸受保持部26が、第2コイルエンド36bの内側に入り込んでいなくてもよい。この場合であっても、第2ラジアル軸受保持部26の外周面が、回転軸40の軸方向から見たときに、第2コイルエンド36bの内側に位置していてもよい。そして、突出部60の対向面60aが、回転軸40の軸方向から見たときに、第2コイルエンド36bと第2ラジアル軸受保持部26の外周面との間に位置していてもよい。
【0085】
○ 実施形態において、突出部60の対向面60aは、回転軸40の軸方向から見たときに、ステータコア34の端面に対して、回転軸40の軸方向で重なっていなくてもよい。要は、突出部60の対向面60aが、回転軸40の軸方向から見たときに、ステータコア34の内周面よりも径方向内側に位置していてもよい。
【0086】
○ 実施形態において、突出部60には、回転軸40の回転バランスを調整する凹部61が形成されていなくてもよい。
○ 実施形態において、第2ラジアル軸受保持部26には、冷却通路81が、例えば、1つだけ形成されていてもよい。
【0087】
○ 実施形態において、各冷却通路81の形状は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、第2ラジアル軸受保持部26に冷却通路81が形成されていなくてもよい。
【0088】
○ 実施形態において、第1ラジアル軸受保持部21に冷却通路81が複数形成されていてもよい。
○ 実施形態において、突出部60は、円環状でなくてもよく、例えば、第2軸部材45の外周面から第2軸部材45の周方向に間隔を置いて突出する柱状の突起であってもよい。また、突出部60として、第2軸部材45の外周面から柱状に突起が1つだけ突出していてもよい。要は、突出部60は、回転軸40の外周面におけるコイルエンド36に対向する部分からコイルエンド36に向けて突出していればよい。
【0089】
○ 実施形態において、各径路69は、例えば、突出部60における厚み方向に位置する端面に開口していてもよい。要は、突出部60に、吸入口22から軸路65に吸入された空気をコイルエンド36に向けて流す径路69の一部が形成されていればよく、径路69における突出部60に対する開口位置は特に限定されるものではない。
【0090】
○ 実施形態において、径路69の数は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、永久磁石42が、例えば、筒部材41の内周面に圧入されておらず、例えば、接着剤によって筒部材41の内周面に接着されていてもよい。要は、永久磁石42は、筒部材41の内側に固定されていればよい。
【0091】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、タービンホイール50を備えていない構成であってもよい。
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、タービンホイール50に代えて、インペラを備えている構成であってもよい。つまり、遠心圧縮機10は、第1軸部材44及び第2軸部材45それぞれにインペラが取り付けられており、一方のインペラによって圧縮された空気が、他方のインペラによって再び圧縮されるような構成であってもよい。
【0092】
○ 実施形態において、磁性体としては、永久磁石42に限らず、例えば、積層コア、アモルファスコア、又は、圧粉コア等であってもよい。
○ 実施形態において、筒部材41が、例えば、炭素繊維強化プラスチックから構成されていてもよい。要は、筒部材41の材質は、特に限定されるものではない。
【0093】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、遠心圧縮機10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
[付記]
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
【0094】
<付記1>
回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、及び前記インペラ室に空気を吸入する吸入口を有するハウジングと、を備え、
前記モータは、
前記ハウジングに固定されるステータコア、及び前記ステータコアに巻回されたコイルの一部であるとともに前記ステータコアの端面から突出するコイルエンドを有するステータと、
前記ステータの内側に配置されるとともに前記回転軸と一体的に回転するロータと、を備え、
前記吸入口に向かって開口し、前記回転軸の内部を前記回転軸の軸方向に延びる軸路と、
前記軸路と連通するとともに前記軸路から前記回転軸の径方向に向けて延び、前記モータ室内に連通する径路と、を備えている遠心圧縮機であって、
前記回転軸は、前記回転軸の外周面における前記コイルエンドに対向する部分から前記コイルエンドに向けて突出する突出部を有し、
前記突出部には、前記吸入口から前記軸路に吸入された空気を前記コイルエンドに向けて流す前記径路の一部が形成されていることを特徴とする遠心圧縮機。
【0095】
<付記2>
前記突出部は、前記コイルエンドと対向する対向面を有し、
前記径路は、前記突出部を貫通して前記対向面に開口していることを特徴とする<付記1>に記載の遠心圧縮機。
【0096】
<付記3>
前記回転軸を前記ハウジングに対して回転可能に支持するラジアル軸受を備え、
前記ハウジングは、前記ラジアル軸受を保持する筒状のラジアル軸受保持部を有し、
前記ラジアル軸受保持部の外周面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記コイルエンドの内側に位置しており、
前記対向面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記コイルエンドと前記ラジアル軸受保持部の外周面との間に位置していることを特徴とする<付記2>に記載の遠心圧縮機。
【0097】
<付記4>
前記対向面は、前記回転軸の軸方向から見たときに、前記ステータコアの端面に対して、前記回転軸の軸方向で重なっていることを特徴とする<付記2>又は<付記3>に記載の遠心圧縮機。
【0098】
<付記5>
前記突出部には、前記回転軸の回転バランスを調整する凹部が形成されていることを特徴とする<付記1>~<付記4>のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【0099】
<付記6>
前記ロータは、
筒部材と、
前記筒部材の内側に固定される磁性体と、を有し、
前記回転軸は、
前記筒部材の軸方向で前記磁性体を挟んだ両側に設けられる第1軸部材及び第2軸部材を含み、
前記インペラは、前記第1軸部材に連結されており、
前記軸路は、前記第1軸部材及び前記磁性体を貫通して、前記第2軸部材の内部に至り、
前記突出部は、前記第2軸部材の外周面から前記コイルエンドに向けて突出していることを特徴とする<付記1>~<付記5>のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【0100】
<付記7>
前記回転軸を前記ハウジングに対して回転可能に支持するラジアル軸受を備え、
前記ハウジングは、前記ラジアル軸受を保持する筒状のラジアル軸受保持部を有し、
前記ラジアル軸受保持部には、前記径路から前記モータ室内に導入された空気が流入する冷却通路が形成されていることを特徴とする<付記1>~<付記6>のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【0101】
<付記8>
前記ラジアル軸受保持部には、前記冷却通路が前記ラジアル軸受保持部の周方向に間隔を置いて複数形成されていることを特徴とする<付記7>に記載の遠心圧縮機。
【符号の説明】
【0102】
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、18…モータ室、21…ラジアル軸受保持部である第1ラジアル軸受保持部、22…吸入口、23…インペラ室、26…ラジアル軸受保持部である第2ラジアル軸受保持部、31…モータ、32…ステータ、33…ロータ、34…ステータコア、35…コイル、36…コイルエンド、40…回転軸、41…筒部材、42…磁性体である永久磁石、44…第1軸部材、45…第2軸部材、49…インペラ、51…ラジアル軸受である第1ラジアル軸受、52…ラジアル軸受である第2ラジアル軸受、60…突出部、60a…対向面、61…凹部、65…軸路、69…径路、81…冷却通路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6