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特開2023-182167非接触型生体認証装置、非接触型生体認証システム、及び非接触型生体認証方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182167
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】非接触型生体認証装置、非接触型生体認証システム、及び非接触型生体認証方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/145 20220101AFI20231219BHJP
【FI】
G06V40/145
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095630
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野々村 洋
(72)【発明者】
【氏名】長坂 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】三浦 直人
(72)【発明者】
【氏名】松田 友輔
(72)【発明者】
【氏名】中崎 渓一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恭一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】精度良く非接触認証を行う非接触型生体認証装置を提供する。
【解決手段】非接触型生体認証装置101は、指が挿入される挿入室119と、指116の腹側を撮影する撮影装置102と、挿入室119における、撮影装置102よりも奥側に設置され、挿入室119に挿入された指116により進行が遮られる光を撮影装置102の方向に照射する第1光源109と、第1光源109からの光が指116に遮られた場合に、指116の血管に吸収される光を撮影装置102を含む範囲に照射する第2光源110と、挿入室119に設けられると共に第2光源110からの光を反射させる反射面とを備え、反射面の位置及び方向は、第1光源109からの光が指116に遮られた場合に、第2光源110からの光のうち指116の高さに応じた割合の光を反射するように調節され、撮影装置102は、反射面で反射された光及び挿入された指116の腹側を含む画像を撮影する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方に開口部を備え、前記開口部から認証者の指が奥側に挿入される空間を有する挿入室と、
前記挿入室に挿入した指の腹側を撮影する位置に設置された撮影装置と、
前記挿入室における、前記撮影装置よりも奥側の位置に設置され、前記挿入室に挿入された指により進行が遮られる光を前記撮影装置の方向に照射する第1光源と、
前記指が挿入される高さよりも高い位置に設けられ、前記第1光源からの光が前記指に遮られた場合に、前記指の血管に吸収される光を前記撮影装置を含む所定範囲に照射する第2光源と、
前記挿入室に設けられると共に前記第2光源からの光を受光して反射させる反射面とを備え、
前記反射面の位置及び方向は、前記第1光源からの光が前記指に遮られた場合に、前記第2光源からの光のうち前記挿入された指の高さに応じた割合の光を反射するように調節され、
前記撮影装置は、前記反射面で反射された光及び前記挿入された指の腹側を含む画像を撮影する、
非接触型生体認証装置。
【請求項2】
請求項1の非接触型生体認証装置であって、
複数の第2光源と、各前記第2光源の光量を調節する制御部とを備え、
各前記第2光源は、当該第2光源からの光が前記挿入される指の背側の挿入方向中央部を照射する方向に整列して配置されている、
非接触型生体認証装置。
【請求項3】
請求項1の非接触型生体認証装置であって、
前記第1光源は、前記第2光源よりも前記挿入室の奥側であって、かつ前記第1光源からの直接光が前記挿入室の奥側の内面で所定量以上反射しない位置に設けられ、指向性を有する光を照射する、
非接触型生体認証装置。
【請求項4】
請求項1の非接触型生体認証装置であって、
前記挿入室における内側面に、前記第2光源からの光を受光して反射させる面を有する反射面を備え、
前記反射面の前記内側面上の高さは、前記挿入室に挿入された前記指が前記第2光源の光により遮られた場合に、前記第2光源からの光のうち前記挿入された指の高さに応じた割合の光を前記面が受光する高さに調節されている、
非接触型生体認証装置。
【請求項5】
請求項1の非接触型生体認証装置であって、
前記挿入室における、相対する内側面の一方の下部に第3光源を備えると共に、他方の内側面の下部に前記第3光源からの光を受光し反射させる反射面を備え、
前記第3光源及び前記反射面の前記内側面での高さは、前記第3光源からの光が、所定高さ以下で前記挿入室に挿入された前記指により遮られた場合に、前記第3光源からの光のうち前記挿入された指の高さに応じた割合の光が前記反射面に到達しない高さに調節される、
非接触型生体認証装置。
【請求項6】
側方に開口部を備え、前記開口部から認証者の指が奥側に挿入される空間を有する挿入室と、
前記挿入室に挿入された指の腹側を撮影する位置に設置された撮影装置と、
前記挿入室における、前記撮影装置よりも奥側の位置に設置され、前記挿入室に挿入された指により進行が遮られる光を前記撮影装置の方向に照射する第1光源と、
前記指が挿入される高さよりも高い位置に設けられ、前記第1光源からの光が前記指に遮られた場合に、前記指の血管に吸収される光を前記撮影装置を含む所定範囲に照射する第2光源と、
前記挿入室に設けられると共に前記第2光源からの光を受光して反射させる反射面とを備え、
前記反射面の位置及び方向は、前記第1光源からの光が前記指に遮られた場合に、前記第2光源からの光のうち前記挿入された指の高さに応じた割合の光を反射するように調節され、
前記撮影装置は、前記反射面で反射された光及び前記挿入された指の腹側を含む画像を撮影する非接触型生体認証装置、及び、前記非接触型生体認証装置と通信可能に接続された情報処理装置を含んで構成され、
前記情報処理装置は、
前記挿入室に挿入された前記指の指先により前記第1光源からの光が遮られたと判定した場合に、前記第2光源に光の照射を指示し、
前記撮影装置が撮影した画像に含まれる前記第2光源の光の領域に基づき、前記挿入された指の静脈のパターンを特定し、特定した前記指の静脈のパターンと、予め登録された静脈のパターンとを比較することにより、前記認証者の指に関する認証を行う、
非接触型生体認証システム。
【請求項7】
請求項6に記載の非接触型生体認証システムであって、
前記情報処理装置は、
前記撮影装置が撮影した画像に基づき前記第1光源からの光の部分を検出した場合に、当該部分の周囲の輝度を算出し、算出した輝度が所定の閾値以上である否かを判定し、算出した輝度が所定の閾値以上であると判定した場合にのみ、前記挿入室に挿入された前記指の指先により前記第1光源からの光が遮られたと判定して前記第2光源に光の照射を指示する、
非接触型生体認証システム。
【請求項8】
請求項6に記載の非接触型生体認証システムであって、
前記情報処理装置は、
前記撮影装置により撮影された所定の被写体の画像上の大きさと、前記撮影装置と異なる焦点距離を有する他の撮影装置により撮影された前記被写体の画像上の大きさとの関係を特定し、
前記第2光源に光の照射を指示した後、前記撮影装置が撮影した画像の大きさを、前記特定した関係に基づき補正する、
非接触型生体認証システム。
【請求項9】
請求項6に記載の非接触型生体認証システムであって、
前記情報処理装置は、
前記第2光源に光の照射を指示した後、前記撮影装置が撮影した画像から、前記指の先端部の前記画像上の位置及び前記指の前記画像上の幅を算出し、算出した前記指の先端部及び前記指の幅に基づき、前記撮影した画像から前記指の認証に必要な領域を抽出し、抽出した領域の画像に基づき、前記指の静脈のパターンを特定する、
非接触型生体認証システム。
【請求項10】
請求項1の非接触型生体認証装置であって、
前記指が挿入される高さよりも上方に設けられ、前記挿入室の前記開口部から前記挿入
室の奥側に向かう前記挿入室の中央部を照射範囲とする、可視光の光源を備える、
非接触型生体認証装置。
【請求項11】
請求項1の非接触型生体認証装置であって、
前記挿入室の天井部における前記開口部の端部には、前記認証者の視線の側に向かって延伸する延伸部が形成されている、
非接触型生体認証装置。
【請求項12】
請求項6の非接触型生体認証システムであって、
前記挿入室の天井部における前記開口部の端部には、前記認証者の視線の側に向かって延伸する延伸部が形成され、
前記情報処理装置は、
指の指先側の輪郭の形状から、前記指の付け根側の輪郭の形状を推定する数値モデルを記憶し、
前記第2光源に光の照射を指示した後、前記撮影装置が撮影した画像に含まれる指先側の指の輪郭と、前記数値モデルとに基づき、前記撮影した画像における指の付け根側の輪郭を推定することにより、前記指の静脈のパターンを特定する、
非接触型生体認証システム。
【請求項13】
請求項1の非接触型生体認証装置であって、
前記挿入室の前記指の挿入方向の空間は、その上部の空間が下部の空間よりも広く形成され、前記挿入室の上部の開口部の幅は、前記開口部に進入する指に隣接する指が当接する幅に設定されている、非接触型生体認証装置。
【請求項14】
側方に開口部を備え、前記開口部から認証者の指が奥側に挿入される空間を有する挿入室を設け、
前記挿入室に挿入された指の腹側を撮影する位置に撮影装置を設置し、
前記挿入室における、前記撮影装置よりも奥側の位置に、前記挿入室に挿入された指により進行が遮られる光を前記撮影装置の方向に照射する第1光源を設置し、
前記指が挿入される高さよりも高い位置に、前記第1光源からの光が前記指に遮られた場合に、前記指の血管に吸収される光を前記撮影装置を含む所定範囲に照射する第2光源を設置し、
前記挿入室に、前記第2光源からの光を受光して反射させる反射面を設置し、
前記反射面の位置及び方向を、前記第1光源からの光が前記指に遮られた場合に、前記第2光源からの光のうち前記挿入された指の高さに応じた割合の光を反射するように調節し、
前記撮影装置は、前記反射面で反射された光及び前記挿入された指の腹側を含む画像を撮影する、
非接触型生体認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型生体認証装置、非接触型生体認証システム、及び非接触型生体認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報を用いて人を識別する生体認証装置の一つに、人の血管を利用した装置がある。この装置は、血管のパターンが人ごとに異なることを利用しており、例えば、所定の光源から近赤外線光を指に照射することで血管のパターンを浮かび上がらせ、この血管のパターンと、予め登録しておいた本人の血管のパターンの情報とを比較することで本人認証を行う。例えば、特許文献1には、装置にかざした指の上方から近赤外線を照射し、指の血管のパターンを撮影して本人認証を行う個人認証装置の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4207717号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている装置は、指を装置に直接接触させることで本人認証を行うものであるが、近年、衛生面及び感染症予防の観点から、装置に触れることなく非接触で本人認証を行いたいというニーズが高まってきている。
【0005】
しかしながら、指を装置に触れないようにして認証を行う場合は、指の位置の固定が難しくなる。指の位置が認証ごとに異なる結果、認証の精度が低下するおそれが生じる。また、これに伴い、従来の接触型の認証装置との互換性も確保しにくくなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、精度良く認証を行うことが可能な非接触型生体認証装置、非接触型生体認証システム、及び非接触型生体認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つは、側方に開口部を備え、前記開口部から認証者の指が奥側に挿入される空間を有する挿入室と、前記挿入室に挿入した指の腹側を撮影する位置に設置された撮影装置と、前記挿入室における、前記撮影装置よりも奥側の位置に設置され、前記挿入室に挿入された指により進行が遮られる光を前記撮影装置の方向に照射する第1光源と、前記指が挿入される高さよりも高い位置に設けられ、前記第1光源からの光が前記指に遮られた場合に、前記指の血管に吸収される光を前記撮影装置を含む所定範囲に照射する第2光源と、前記挿入室に設けられると共に前記第2光源からの光を受光して反射させる反射面とを備え、前記反射面の位置及び方向は、前記第1光源からの光が前記指に遮られた場合に、前記第2光源からの光のうち前記挿入された指の高さに応じた割合の光を反射するように調節され、前記撮影装置は、前記反射面で反射された光及び前記挿入された指の腹側を含む画像を撮影する、非接触型生体認証装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、精度良く非接触認証を行うことができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る非接触型生体認証システムの概略構成を説明する図である。
図2】実施例1に係る非接触型生体認証装置を側方から見た断面図である。
図3】情報処理装置の構成の一例を説明する図である。
図4】本人認証処理の一例を説明するフロー図である。
図5】指高さ検出処理の原理を説明する図である。
図6】補正処理の一例を説明する図である。
図7】指検出処理に係る原理を説明する図である。
図8】従来装置の撮影装置による撮影対象の撮影範囲及び本実施例に係る撮影装置による撮影対象の撮影範囲の一例を示す図である。
図9】本発明者らの実験結果である、従来装置の撮影装置により撮影した被写体たる円筒の大きさと、焦点距離の長い撮影装置により撮影した円筒の大きさとの関係を示したグラフである。
図10】正規化処理の一例を示す図である。
図11】領域抽出処理の一例を説明する図である。
図12】非接触型生体認証装置を側方から見た断面図である。
図13】情報処理装置が背景の構造物を指の部分と誤認識する例を示す図である。
図14】指輪郭補正処理の一例を説明するフロー図である。
図15】指輪郭補正処理による指の付け根側の輪郭の推定の一例を説明する図である。
図16】実施例2に係る非接触型生体認証装置を挿入室の開口部の側から見た図及び、非接触型生体認証装置により撮影される撮影画像の一例を示す図である。
図17】実施例3に係る非接触型生体認証装置を挿入室の開口部から見た図及び、非接触型生体認証装置により撮影される撮影画像の一例を示す図である。
図18】実施例4に係る追加的な第2光源の構成を説明するための図である。
図19】指を挿入した場合の、実施例5に係る非接触型生体認証装置を指先方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、図面を用いて具体例を示しながら説明する。
【0011】
<実施例1>
図1は、実施例1に係る非接触型生体認証システム1の概略構成を説明する図である。非接触型生体認証システム1は、非接触型生体認証装置101及び情報処理装置10を含んで構成されている。非接触型生体認証システム1は、認証を行う者(認証者)の指に近赤外線を照射してその静脈の血管の画像を撮影し、認証者を識別する情報処理システムである。
【0012】
非接触型生体認証装置101は、認証者の指116がその腹側を下方にして挿入されると共に指116に近赤外光を発する複数の光源(不図示)を備える挿入室119と、撮影装置102とを備える。
【0013】
撮影装置102は、非接触型生体認証装置101から発せられた近赤外光が指116の静脈血管に吸収されやすいことを利用して、挿入された指116の静脈血管の画像(以下、認証画像という)を撮影する。
【0014】
情報処理装置10は、撮影装置102が撮影した認証画像における、指116の静脈の血管パターンを認識し、認識した血管パターンと、予め登録してある認証者の血管パターンの画像(以下、照合用画像という)とを照合することで、認証を行う。情報処理装置1
0は、非接触型生体認証装置101と通信線5等により通信可能に接続されている。
【0015】
<非接触型生体認証装置>
図2は、実施例1に係る非接触型生体認証装置101を側方から見た断面図である。
【0016】
非接触型生体認証装置101は、例えば、所定の設置面121に固定される。非接触型生体認証装置101は、側方に開口部117を備えることにより認証者の認証対象の指116(ここでは、一本の指)を略水平方向に挿入する挿入空間を形成している挿入室119を備える。認証者の指116は、開口部117からその腹側を下方にして挿入される。
【0017】
挿入室119は、奥側(指116の指先が挿入されていく側)の壁をなす奥壁部107と、左右側(指116の挿入方向と略垂直の方向側)の壁をなす2つの側壁部113と、天井をなす板状の天井部108と、手前側の前記の開口部117とを備える。奥壁部107及び各側壁部113は、設置面121に対して略垂直に立設されている。
【0018】
挿入室119の下部には、挿入室119に挿入された指の腹の静脈の血管画像を撮影するための撮影装置102が設けられている。撮影装置102のレンズの撮影方向は上方に設定され、挿入された指116の腹を撮影する。
【0019】
なお、撮影装置102の上方、かつ挿入される指116の下方には、光学フィルタ501が設けられる。撮影装置102は、光学フィルタ501を介して撮影した指116の画像を撮影する。
【0020】
挿入室119の天井部108には、第1光源109及び複数の第2光源110、111、112が設けられる。第1光源109及び第2光源110,111,112は少なくとも、指116が挿入される高さよりも高い位置に設けられる。
【0021】
第1光源109は、指116が挿入室119内に挿入されたことを検出するための、指向性(光軸)を有する近赤外光を発する。第1光源109は、撮影装置102よりも、挿入室119の奥側となる位置に設置される。
【0022】
第1光源109の近赤外光の照射方向は、撮影装置102に向かって開口部117の側に斜め下方に調節されている。すなわち、第1光源109の近赤外光の照射方向は、指116が挿入室119に挿入されていない場合に、第1光源109からの直接光が撮影装置102に届く方向に調節されている。
【0023】
次に、第2光源110,111,112は、指116が挿入室119に挿入された場合に、指116の静脈の画像を撮影するべく、近赤外線を所定範囲に(所定の照射角度で)で照射する。
【0024】
第2光源110,111,112の近赤外光の照射範囲は、挿入室119の下側の空間を広く照射するように調節されている。具体的には、その直接光が、挿入された指116の背側を全体的に照らし、かつ、後述する反射板106に照射可能なように調節されている。
【0025】
挿入室119の下部には、指116の腹側の付け根側を載値させる指付け根側指置台103と、指116の腹側の指先側を載値させる指先側指置台104とが設けられる。指付け根側指置台103及び指先側指置台104は、従来の接触型の認証を行うために用いることができる。
【0026】
次に、挿入室119の奥壁部107の内面の下側には、近赤外光を受光し反射させる反射面を有する反射板106が設けられる。この反射板106の高さは、挿入された指116の高さに応じて第2光源110、111、112からの光が遮られるような範囲の高さに設けられる。
【0027】
具体的には、反射板106の反射面は、挿入室119に挿入した指116の指先により第1光源109からの光が遮られた場合に、第2光源110、111、112からの光のうち挿入した指116の高さに応じた割合の光が当該反射板106の反射面に到達して反射し、その反射光が撮影装置102により撮影される位置及び方向に調節されている。詳細は後述する。なお、反射板106は、指置台(指付け根側指置台103、指先側指置台104)に外光が直接当たるのを防ぐためにも設けられる。
【0028】
ここで、指116が挿入室119に挿入された場合の、非接触型生体認証システム1の動作について簡単に説明する。
【0029】
指116が挿入室119に挿入されると、情報処理装置10は、第1光源109により指116の指先が挿入室119の所定位置(この水平方向の位置は、後述するように、指116の高さによって異なる)に達したことを検知する。そして、第2光源110は、近赤外光114を照射する。
【0030】
第2光源110,111,112からの近赤外光114のうち指116の背側に到達した直接光の大部分は、挿入されている指116により遮られ、指116の腹側より下方の空間に指の影115が形成される。しかしながら、指116の背側の表面に到達した近赤外光114の一部(具体的には、静脈血管が存在する部分に到達した近赤外光114)は、指116により遮られる。これは、血液に含まれるヘモグロビンが他の生体部位より近赤外光114を強く吸収するためである。そして、血管以外の生体部位を通過した近赤外光114が撮影装置102に到達し、その結果、血管パターンが黒様の線として撮影装置102により撮影される。
【0031】
一方、非接触型生体認証装置101の反射板106の反射面には、指の影115による暗部105が、反射面の下方側に形成される。暗部105の領域は、指116の高さが大きくなるほどその上端が上側に進行する。本実施形態の非接触型生体認証システム1は、撮影装置102により撮影された画像(すなわち認証画像)に、この暗部105に対応する部分が撮影されることを利用して、指116の高さを検出する。これにより、認証者が挿入した指116の高さにかかわらず、認証画像をより認証に適した画像に修正し、この修正した画像に基づいて正確な認証を行うことができる。詳細は後述する。
【0032】
次に、情報処理装置10について説明する。
図3は、情報処理装置10の構成の一例を説明する図である。
情報処理装置10は、CPU (Central Processing Unit)、DSP (Digital Signal Processor)、GPU (Graphics Processing Unit)、FPGA (Field-Programmable Gate Array)等の処
理装置506と、ROM (Read Only Memory)、RAM (Random Access Memory)等のメモリ507と、HDD (Hard Disk Drive)、SSD (Solid State Drive)等の外部記憶装置505と、マウスやキーボード等の入力装置509と、液晶ディスプレイまたは有機EL (Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置508と、プリンタ等の印字装置510と、各光源
のオンオフ及び輝度の調節を行う近赤外線光源制御部503と、近赤外線画像入力部502と、通信モジュール等で構成される通信インタフェース504とを備える。なお、撮影装置102及び光学フィルタ501は、情報処理装置10の内部に設けてもよいし、前記のように非接触型生体認証装置101の部品として構成されてもよい。また、非接触型生体認証装置101と情報処理装置10とは一体の装置として構成されてもよい。
【0033】
情報処理装置10の近赤外線画像入力部502は、撮影装置102が撮影した画像の電気信号を画像データ(デジタルデータ)に変換し、変換した画像データを通信インタフェース504を介してメモリ507に記録する。
【0034】
処理装置506は、メモリ507に格納されている所定の解析プログラムを実行させ、この解析プログラムは、メモリ507に記録された画像を解析し、第1光源109からの光が認証者の指116により遮られたことを検知する。すると、処理装置506は、メモリ507に格納された所定の制御プログラムを実行させる。この制御プログラムは、通信インタフェース504を介して近赤外線光源制御部503に、第2光源110、111、112から近赤外線を照射するよう指示する。
【0035】
その後、処理装置506は、第2光源110、111、112が近赤外線を照射した状態で撮影された認証者の指116の画像のデータ(すなわち、認証画像)を生成し、これをメモリ507に記録する。処理装置506は、この認証画像と、予め外部記憶装置505に記録されている本人の照合用画像との照合を行うことで、本人認証を行う。処理装置506は、本人認証の結果の情報を、印字装置510に、又は、入力装置509からの指示に基づき表示装置508に、出力する。
【0036】
次に、非接触型生体認証システム1で行われる処理について説明する。
【0037】
<本人認証処理>
図4は、情報処理装置10等が行う本人認証に関する処理(以下、本人認証処理という)の一例を説明するフロー図である。
【0038】
認証者が非接触型生体認証装置101に指116を挿入すると(s601)、第1光源109からの光は指116により遮られ、その画像が撮影装置102から情報処理装置10に送信される。情報処理装置10はその画像により、非接触型生体認証装置101に認証者の指116が挿入されたことを検知する。
【0039】
すると、情報処理装置10は、非接触型生体認証装置101に、第2光源110、111、112による近赤外線の照射を指示する(s602)。
【0040】
情報処理装置10は、撮影装置102が撮影した、第2光源110、111、112により認証者の指116の静脈が現れた画像(認証画像)を取得すると(s603)、その認証画像が、挿入室119に挿入されている指116の画像であるか否かを検出する指検出処理s604を実行する。指検出処理s604の詳細は後述する。
【0041】
認証画像が挿入室119に挿入されている指116の画像でない場合は(s605:NO)、情報処理装置10は、s602の処理を繰り返す。認証画像が挿入室119に挿入されている指116の画像である場合は(s605:YES)、情報処理装置10は、s606の処理を実行する。
【0042】
s606において情報処理装置10は、認証画像のうち認証に必要な部分のみを取り出すと共に認証画像における指の輪郭の検出を行う領域抽出処理s606を実行する。領域抽出処理s606の詳細は後述する。
【0043】
そして、情報処理装置10は、認証画像に写っている反射板106の光っている部分(暗部105でない部分)の広さから指の高さを算出する指高さ検出処理s607を実行する。
【0044】
(指先の高さの検出)
ここで、図5は、指高さ検出処理s607の原理を説明する図である。
【0045】
まず、図5(a)は、指116を非接触型生体認証装置101の挿入室119の低い位置に挿入したケース(第1ケース)を示している。この場合、同図に示すように、第1光源109が撮影装置102に照射する近赤外光の光軸中心線201の上に指116の指先がある。そのため、第1光源109からの近赤外光の直接光は、撮影装置102の撮影画像には写り込まない。一方、第2光源110からの近赤外光114の直接光は、指116が挿入室119の低い位置にある。そのため、近赤外光114は指116の背側に達して遮られることで形成される、指の腹側より下の空間である指の影115は小さい。その結果、反射板106には、指の影115による暗部は存在しない。
【0046】
図5(b)は、第1ケースにおいて撮影装置102により撮影される画像の一例を示す図である。この撮影画像200には、指の領域203が写っている。ここで、指116は、前記のように第2光源110からの近赤外光の照射を挿入室119の低い位置で遮っているため、挿入室119における指の影115は小さい。そのため、撮影画像200には、全面的に明るく光っている反射板106の反射面に対応する明るい領域202が写りこんでいる。
【0047】
次に、図5(c)は、指116を非接触型生体認証装置101の挿入室119の中間程度の高さ(設置面121と天井部108の中間の高さ)に挿入したケース(第2ケース)を示している。この場合、同図に示すように、第1光源109が撮影装置102に照射する近赤外光の光軸中心線201の上に指116の指先があるため、第1光源109からの近赤外光は、撮影装置102の撮影画像には写り込まない。一方、指116が挿入室119の中間の高さにあると共に、本実施形態では、第1光源109は撮影装置102よりも挿入室119の奥側に位置している。そのため、第2光源110からの近赤外光114の直接光の一部は指116の背側に達し遮られることとなり、その結果、指116の下方に指の影115が形成される。したがって、反射板106の反射面の下側の一部にも、指の影115による暗部105が形成される。一方、反射板106の反射面の残りの面には、反射板106からの近赤外光が直接照射され、その面が近赤外光を受光して近赤外光は反射される。
【0048】
図5(d)は、第2ケースにおいて撮影装置102により撮影される画像の一例を示す図である。この撮影画像200には、指の領域206が写っている。この指の領域206の形は図5(b)の指の領域203と同様であるが、その大きさは、指116の高さが撮影装置102からより高くなっているため、指116の撮影装置102からの高さに応じて小さくなっている。そして、認証者の指116は、前記のように第2光源110からの近赤外光の照射を挿入室119の中間程度の高さで遮っている。そのため、反射板106の反射面の下側の一部の面には、指の影115による暗部105が形成されるが、残りの上側の反射面には、反射板106で反射した近赤外光が直接照射される。そのため、撮影画像200には、反射板106の暗部105に対応する暗い領域205と、反射板106で反射した近赤外光が直接照射される明るい領域204とが写りこまれている。
【0049】
次に、図5(e)は、指116を非接触型生体認証装置101の挿入室119の高い位置(天井部108に近い位置)に挿入したケース(第3ケース)を示している。この場合、同図に示すように、第1光源109が撮影装置102に照射する近赤外光の光軸中心線201の上に指116の指先があるため、第1光源109からの近赤外光は、撮影装置102の撮影画像には写り込まない。一方、指116が挿入室119の高い位置(第2光源110の近傍)にある。そのため、第2光源110からの近赤外光114の直接光の大部
分は指116の背側に達して遮られることにより、指の影115が形成される。その結果、反射板106の反射面の全てに、指の影115による暗部105が形成される。
【0050】
図5(f)は、第3ケースにおいて撮影装置102により撮影された画像の一例を示す図である。この撮影画像200には、指の領域208が写っている。この指の領域208の形は図5(d)の指の領域203と同様であるが、その大きさは、指116の高さが撮影装置102からより高くなっているため、指116の撮影装置102からの高さに応じて小さくなっている。また、認証者の指116は、前記のように第2光源110からの近赤外光の照射を挿入室119の高い位置で遮っている。そのため、反射板106の全ての面に、指の影115による暗部105が形成される。そのため、撮影画像200には、反射板106の暗部105に対応する暗い領域207のみが写りこまれている。
【0051】
以上のように、指116が挿入された場合に撮影装置102が撮影する撮影画像における、反射板106での暗部105の広さ(明るい部分広さ)は、そのときの指116の挿入高さと一定の相関関係にある(例えば、比例関係にある)。
【0052】
そこで、情報処理装置10は予め、指高さ検出処理s607の実行前に、撮影画像上の暗部105の大きさと、指116の挿入高さとの相関関係式を実験により算出しておく。例えば、情報処理装置10は、反射板の暗部105(又は反射板の明るい部分)の認証画像上の画素数と、指116の挿入高さとの相関関係式を作成する。
【0053】
その後、情報処理装置10は、指高さ検出処理s607において、撮影装置102が撮影した暗部105の撮影画像上の大きさを算出し、算出した大きさから、その認証者の指116の高さを算出する。例えば、情報処理装置10は、認証画像上の、反射板106の暗部105(又は反射板106の明るい部分)の画素数を算出する。情報処理装置10は、算出した暗部105(又は反射板106の明るい部分)の画素数を、前記の相関関係式に代入することで、認証者の指116の現在の挿入高さを算出することができる。
【0054】
なお、第2光源110、111、112は、指116を挿入室119の中央に挿入させるように、挿入室119の開口部117から奥壁部107に向かって、一列に整列して配置し、指116の中央部を均一に照射することができるようにすることが好ましい。
【0055】
また、複数の第2光源110、111、112のうち指先側の第2光源110は、指116の挿入を確実に検知できるように、指先を含む範囲を十分な輝度で照射できる位置に配置する必要がある。さらに、指先側の第2光源110は、奥壁部107に近づけ過ぎると、指先側の第2光源110からの照射光が奥壁部107の反射板106に直接到達して反射し、この反射光が輝点として撮影装置102による撮影画像に写り込むことにより、鮮明な血管画像を撮影する妨げとなる場合がある。そのため、指先側の第2光源110は、輝点が生じない位置まで、奥壁部107から離して配置するのが好ましい。
【0056】
また、認証者の指116は、その位置により赤外線の透過しやすさに差があるため、各第2光源110、111、112は、近赤外線光源制御部503の制御により独立して輝度を制御可能とし、指116の平均輝度を所定の目標輝度に合わせるよう明るさを調節できるように構成することが好ましい。さらに、第2光源110、111、112に光が大きく広がる光源を使用すると、奥壁部107に第2光源110、111、112からの直接の照射光が反射し、その反射光が輝点として撮影装置102による撮影画像に写り込むことがある。したがって、第2光源110、111、112は、光が広がらない指向性の強い光源を使用することが望ましい。
【0057】
また、指先の位置を検出するための第1光源109の位置は、撮影装置102に向けて
照射される光が下方斜めになることが望ましいため、第1光源109は、第2光源110、111、112の整列方向の延長線上に、第2光源110、111、112と共に一列に配置し、かつ第2光源110、111、112からなるべく離すことが望ましい。ただし、第1光源109を第2光源110、111、112から離し過ぎると、第1光源109は奥壁部107に近づくことになる。すると、第1光源109からの直接光が奥壁部107の内面で反射して、その反射光が輝点として撮影装置102による撮影画像に写り込むことで、鮮明な血管の画像を撮影する妨げとなる可能性がある。そこで、第1光源109は、奥壁部107からも一定距離離間させることで、輝点の生じない位置(所定光量以上の光が奥壁部107の内面で反射しない位置)に第1光源109を配置することが望ましい。
【0058】
また、認証者の指先の位置を検出するための第1光源109を必要以上に明るくすると、撮影画像において、光源が見えているのか、指が輝度飽和を起こして明るく見えているのかの判別が難しくなる。そのため、第1光源109は、その光源が撮影画像上で撮影装置102の最大輝度で写る最小の光量で、一定光量で照射することが望ましい。
【0059】
また、認証者の指先の位置を検出するための第1光源109は、光が大きく広がる光源を使用すると、照射光が奥壁部107に直接到達して反射し、その反射光が輝点として撮影装置102による撮影画像に写り込むことで鮮明な指血管画像を撮影する妨げとなる場合がある。そこで、第1光源109としては、光が広がらない指向性の強い光源を使用するのが望ましい。
【0060】
続いて、図4に示すように、情報処理装置10は、認証画像における指の形状の歪みを補正する補正処理s608を実行する。
【0061】
図6は、補正処理s608の一例を説明する図である。
まず、図6(a)に示すように、指116を設置面121と平行に正しく挿入した場合は、(b)に示すように、認証画像701は、静脈を正面方向から撮影した歪みのない画像となる。
【0062】
しかし、図6(c)に示すように、指116を指先を下に向けて挿入した場合(指116が指先方向に向かうほど設置面121側に傾斜している場合)、(d)に示すように、認証画像702は、その指先側7021の指の幅が広く、付け根側7022の指の幅が狭くなった歪んだ画像となる。
【0063】
また、図6(e)に示すように、指116を指先を上に向けて挿入した場合(指116が指先方向に向かうほど天井部108側に傾斜している場合)、(f)に示すように、認証画像703は、その指先側7031の指の幅が狭く、付け根側7032の指の幅が広くなった歪んだ画像となる。
【0064】
このように、指116の挿入方向が設置面121と平行でなく認証画像702が歪んでいる場合、情報処理装置10は、歪みのある認証画像702、703の輪郭形状を認識(例えば、台形状に認識)した上で、その図形を、s607で算出した指116の高さに基づき、予め登録しておいた歪みのない認証画像701と同様の輪郭形状になるようにする台形補正を実行する。
【0065】
次に、図4に示すように、情報処理装置10は、指116の幅の正規化を行う正規化処理s609を実行する。具体的には、情報処理装置10は、s608で認識された指116の輪郭形状の情報に基づき、認証画像を、その画像中の指116の平均の幅が所定の基準幅になるように拡大又縮小する。正規化処理s609の詳細は後述する。
【0066】
そして、情報処理装置10は、正規化処理s609で正規化した認証画像の平均輝度を算出する(s610)。
【0067】
情報処理装置10は、認証画像の平均輝度が所定の下限値以上かつ所定の上限値以下であるか否かを判定する(s611)。平均輝度が所定の下限値以上かつ所定の上限値以下である場合は(s611:YES)、情報処理装置10は、s613の処理を実行する。
【0068】
一方、平均輝度が所定の下限値未満又は所定の上限値を超える場合は(s611:NO)、情報処理装置10は、認証画像の平均輝度を調節する(s612)。具体的には、情報処理装置10は、平均輝度が所定の下限値未満である場合には第2光源110、111、112の光量値を所定値増加させ、その後はs602の処理を実行する。これに対して、平均輝度が所定の上限値を超える場合には、情報処理装置10は、第2光源110、111、112の光量値を所定値減少させ、その後はs602の処理を実行する。
【0069】
一方、s613において情報処理装置10は、s610までの各処理により修正した認証画像に基づき、指116の血管(静脈)のパターン画像の生成を行う。
【0070】
情報処理装置10は、生成した血管のパターン画像と、外部記憶装置505に登録されている照合用画像との照合を行い、照合の不一致度を照合スコアとして算出する(s614)。
【0071】
例えば、情報処理装置10は、照合用画像と、s613で生成した血管のパターン画像とのテンプレートマッチングを行う。情報処理装置10は、s613で生成した血管のパターン画像の画素を少しずつすらした各画像と、照合用画像との比較を行い、画素が一致する数が最も多い場合における、一致しない画素の数を、不一致度(照合スコア)として算出する。
【0072】
情報処理装置10は、s614で算出した照合スコアが所定の閾値以下であるか否かを判定する(s615)。照合スコアが所定の閾値以下である場合は(s615:YES)、情報処理装置10はs616の処理を実行し、照合スコアが所定の閾値を超える場合は(s615:NO)、情報処理装置10はs618の処理を実行する。
【0073】
s618において情報処理装置10は、認証に失敗した旨のエラー情報を表示し、本人認証処理は終了する。
【0074】
一方、s616において情報処理装置10は、認証に成功した旨の情報を表示し、後続する所定の処理を実行するべく、本人認証処理は終了する。
【0075】
<指検出処理>
情報処理装置10は、指検出処理s604において、認証画像における所定の位置(例えば、確実に指116により遮られ輝度が高くなる中央部分)の輝度が所定の閾値を超えるか否かを判定することにより指の挿入を検出してもよいが、以下に説明するような検出処理を行ってもよい。
【0076】
図7は、指検出処理s604に係る原理を説明する図である。
まず、図7(a)は、指116を挿入していない状態で撮影された撮影画像(認証画像)の例である。この撮影画像800には、第1光源109からの光が撮影されている明るい領域802と、第2光源110、111、112からの光が撮影されている領域803、804、805とが存在する。なお、この場合、3つの第2光源110、111、11
2のうち第2光源111のみが点灯しているため、1つの領域804のみが明るい領域となっており、他の領域803、805がやや暗い領域となっている。すなわち、明るい領域802、及び上記対応する領域804の輝度は最大となっている。また、明るい領域802の周囲領域801は暗い領域となっている。
【0077】
図7(b)は、第2光源110、111、112が目標輝度で近赤外線を照射し、指116を挿入した状態で撮影された撮影画像の例である。この撮影画像800には、各光源の光に基づく明るい領域は存在しない。すなわち、撮影画像800には、第1光源109に対応する領域802(指先に対応する領域)及びその周囲領域801も含め、最大輝度になっている部分はない。
【0078】
図7(c)は、第2光源110、111、112が目標輝度で近赤外線を照射し、指116を挿入した状態で撮影された撮影画像の他の例である。この撮影画像800では、第2光源110、111、112に基づく明るい領域は存在しない。しかし、第1光源109に対応する領域802が、指先が光を透過しやすいことに基づく輝度飽和を起こしているため、指116を挿入しているにも関わらず明るくなっている。
【0079】
すなわち、この明るい領域802が存在するのは、第1光源109の光が到達している(すなわち指116がかざされていない)ためなのか、指116がかざされているが輝度飽和しているためなのか、の判別ができない。しかしながら、明るい領域802が存在するのが輝度飽和によるものであれば、第1光源109に対応する領域802の周囲領域801も、同様に軌道飽和のため明るい領域となっているはずである。
【0080】
そこで、情報処理装置10は、指検出処理s604において、第1光源109に対応する領域802の輝度だけでなく、その周囲領域801の輝度についても、所定の閾値以上になっているか(ここでは、最大輝度になっているか)を判定することで、指116が挿入されているか否かを判定する。
【0081】
例えば、図7(c)の場合、情報処理装置10は、第1光源109に対応する領域802及びその周囲領域801も最大輝度になっていることを検出し、指が挿入されていると判定する。一方、図7(a)の場合、情報処理装置10は、第1光源109に対応する領域802は最大輝度となっているが、その周囲領域801は最大輝度になっていないため、指が挿入されていないと判定する。
【0082】
なお、図7において、第1光源109に対応する領域802の周囲領域801は、指先側の周囲の領域を含まない。これは、そのような領域は、第1光源109からの光が強くなった場合、奥壁部107からの反射光により最大輝度になりやすいためである。しかしながら、このような指先側の領域を周囲領域801と含めることを除外する趣旨ではなく、情報処理装置10は、領域802の周囲全体の輝度を検出してもよい。
【0083】
以上のように、情報処理装置10は、撮影画像から、第1光源109からの光の照射領域の輝度を検出するだけでなく、その周囲の輝度及び第2光源110、111、112の輝度を検出することで、指116が挿入されているのか否かを識別する。
【0084】
<正規化処理>
非接触型生体認証装置101の撮影装置102のレンズは、当該非接触型生体認証装置101と同様の構成及び構造を有する従来の接触型の認証装置(以下、従来装置という)における撮影装置のレンズよりも焦点距離が長いものを採用することが好ましい。これは、本実施形態の非接触型生体認証装置101のような非接触型の認証装置の場合、認証者が挿入する指116の高さが一定しないためである。すなわち、焦点距離を長くすれば、
撮影対象の範囲が広くなると共に、撮影対象の距離の変化(指116の高さ)による撮影画像の変化が小さくすることができるからである。
【0085】
しかし、このようにすると、撮影画像における指の輪郭は、従来装置で取得していた認証者の照合用画像における指の輪郭と異なり、従来装置で取得した照合用画像が流用できなくなる等の不都合が生じる。
以下、この点を具体的に説明する。
【0086】
図8は、従来装置の撮影装置による撮影対象の撮影範囲及び本実施例に係る撮影装置102による撮影対象の撮影範囲の一例を示す図である。
【0087】
まず、従来装置の撮影装置902は、撮像対象である円筒物体909の表面(指を想定)から、従来装置の撮影装置902のレンズ焦点距離離した位置に配置される。従来装置の撮影装置902の、円筒物体909の表面に対する撮影範囲904は、従来装置の撮影装置902のレンズ位置から円筒物体909の表面に対して引いた、所定角度をなす2つの接線907、908における、円筒物体909上の2つの接点907a、908aを両端となる。
【0088】
一方、本実施例に係る撮影装置102のレンズは、従来装置の撮影装置902のレンズよりも長い焦点距離(所定撮影距離d)を有するため、撮影装置102と円筒物体909の表面との距離も、従来装置の撮影装置902の場合よりも長くなる。すると、本実施例に係る撮影装置102の、円筒物体909の表面に対する撮影範囲903も、従来装置の撮影装置902による撮影範囲904より広くなる。すなわち、本実施例に係る撮影装置102の撮影範囲903は、撮影装置102のレンズ位置から円筒物体909の表面に対して引いた、両者のなす角度がより大きい2つの接線905、906における、円筒物体909上の、より離間した2つの接点905a、906aを両端となる。
【0089】
以上により、従来装置の撮影装置を用いて収集した照合用画像を用いて、本実施形態の非接触型生体認証装置101による認証を行うと、認証画像の認証が正常に動作しない。例えば、s608において血管パターン画像を指116の幅に関して正規化した場合に、その正規化した画像のサイズが、照合用画像のサイズと揃わなくなる。
【0090】
ここで、本発明者らは、従来装置の撮影装置による撮影対象の幅と、本実施形態の撮影装置102による撮影対象の幅とは、一定の線形関係にあることを発見した。
【0091】
図9は、本発明者らの実験結果である、従来装置の撮影装置により撮影した被写体たる円筒(図8で示したもの)の大きさ(ここでは、幅)と、焦点距離の長い撮影装置102(本実施形態の撮影装置102)により撮影した円筒の大きさ(ここでは、幅)との関係を示したグラフである。同図に示すように、両者の幅の間の関係は、円筒の太さにも各撮影装置と円筒との距離にも関係なく、線形式1001で表される線形関係にある。
【0092】
そこで、情報処理装置10は、正規化処理s609において、以下に説明するように、線形式1001を用いることで、レンズの焦点距離に関する補正を行う。
【0093】
図10は、正規化処理s609の一例を示す図である。まず、情報処理装置10は、認証画像における指の領域1101から抽出した指の左右両側の輪郭線1102、1105に基づき、指の平均幅を算出する。
【0094】
例えば、情報処理装置10は、認証画像の横方向(非接触型生体認証装置101の指の挿入方向)中央の画像中心線1106上の連続する各点について、その点を起点して縦方
向に向かって各点の輝度の変化を探索し、隣り合う点(画素)の輝度が明るい点から暗い点に最も大きく変化する変化点を特定する。情報処理装置10は、特定した各変化点同士を、横方向に連結することで輪郭を特定する。そして、情報処理装置10は、算出した指の平均幅及び上記の線形式1001により、従来の撮影装置で撮影した画像における指の(平均)幅を算出する。そして、情報処理装置10は、算出した指の幅に合致するように指の幅を狭める補正を行うことで、補正後の指輪郭1103、1104を算出する。
【0095】
次に、領域抽出処理について説明する。
<領域抽出処理>
従来装置は、認証画像としては、指先の領域及び付け根を除いた指の中央部分の画像(血管パターン画像に対応する部分の画像)があれば足りる。しかし、本実施形態の非接触型生体認証装置101は、非接触型の認証を行うため、従来装置の場合よりもより広い領域の指の画像を取得する必要がある。したがって、非接触型生体認証装置101が取得する認証画像は、従来装置が取得した画像、例えば、従来装置が過去に取得した認証者の照合用画像と互換性が無くなることになる。
【0096】
しかし、互換性を維持し、従来装置が取得した認証者の照合用画像を流用する場合には、情報処理装置10は、認証画像から、照合用画像に対応する必要な部分の領域を抽出することが好ましい。そこで、本実施形態の情報処理装置10は、以下の領域抽出処理を実行する。
【0097】
図11は、領域抽出処理s606の一例を説明する図である。
まず、情報処理装置10は、認証画像1200における輝度の変化が大きい画素部分を特定することで、指の左右両側の輪郭線1206、1207を認識する。そして、情報処理装置10は、認識した左右両側の輪郭線1206、1207から等距離にある中央線1208を算出する。
【0098】
情報処理装置10は、この中央線1208を起点として、指の付け根側から指先側の方向に向かって、中央線1208上の連続する各画素点について、隣り合う画素点の輝度が明るい点から暗い点に最も大きく変化する点(変化点)を特定することにより、指の先端点1202を特定する。
【0099】
さらに、情報処理装置10は、認証画像1200の指の輪郭線1206、1207から平均の指幅1209を求める。
【0100】
そして、情報処理装置10は、平均の指幅1209に所定の定数Aを乗じることで、認証画像として抽出すべき矩形状の領域1203の、指の先端点1202からの距離1204を算出する。
【0101】
また、情報処理装置10は、平均の指幅1209に所定の定数Bを乗じることで、抽出すべき矩形状の領域1203の、長手方向の長さ1205を算出する。なお、情報処理装置10は、抽出すべき矩形状の領域1203の短手方向の長さを、予め設定されている画像の縦横比に基づいて算出してもよいし、最大の指幅より処理割合長い指幅を、領域1203の短手方向の長さとして算出してもよい。
【0102】
なお、抽出すべき矩形状の領域1203の位置及び大きさを、指の先端点1202及び平均の指幅1209に基づき算出できるのは、人の指幅、指の長さ、及び指の長さ方向の各関節の位置の間には人によらず一定程度の関係性が認められていることが知られているためである。したがって、定数A、Bは、多数人の指の形状の情報を集計することで、経験的に求めることができる。
【0103】
以上のように、情報処理装置10は、従来装置の照合用画像と互換性を有する認証画像を適切に抽出することができる。
【0104】
<天井部の形状>
本実施例の非接触型生体認証装置101は、認証者が指の位置を確認しやすくするために、天井部108の形状を変形させている。
【0105】
図12は、非接触型生体認証装置101を側方から見た断面図である。例えば、従来装置では、非接触型生体認証装置101の天井部108に相当する部分は、平板状となっている。
【0106】
しかしながら、非接触型生体認証装置101の天井部108はおおむね平板状であるが、開口部117側の端部に上方に延伸している延伸部1401を有する。この延伸方向は、認証者の視線の側を向いている。この延伸方向は、指116を挿入しようとする認証者からの視線1402が、天井部1305の延伸部1401の下面(天井部108の下面)に沿いつつ、挿入されるべき指116の指先の背側の表面1161に至るような方向になっていることが好ましい。
【0107】
これにより、認証者は、視線及び姿勢を不自然に変えることなく、挿入される指116の位置を確認しながら、指116を挿入室119に挿入することができる。これにより、認証者から見えにくい挿入室119に指を挿入することに対する、認証者の心理的な抵抗感を低減することができる。
【0108】
一方で、延伸部1401は上方に延伸しているため、外部の光(部屋の天井の蛍光灯等)が挿入室119に入り込んで認証画像の背景として映り込んでしまう可能性がある。
【0109】
すなわち、図13に示すように、認証画像1500における指の付け根側の領域1503に、背景の構造物1502が写りこむ。この場合、情報処理装置10は、背景の構造物1502を指の部分と誤認識することがある。例えば、情報処理装置10は、本来の指の部分及び背景の構造物1502の境界線の双方に基づいて、指の付け根側に関して誤った指の輪郭線1504を認識する。このような指の輪郭の誤認識は、例えば天井の蛍光灯が認証画像に写り込むことで生じる。
【0110】
そこで、本実施例の情報処理装置10は、輪郭抽出処理s606において以下の処理を行い、指の輪郭を補正してもよい。
【0111】
図14は、輪郭抽出処理s606の処理において行われる、認証画像における指の輪郭を補正する指輪郭補正処理の一例を説明するフロー図である。
【0112】
まず、情報処理装置10は、認証画像を取得する(s1602。前記のs603~s605と同様。)。
【0113】
情報処理装置10は、認証画像における輝度の変化が大きい画素部分を特定することで、指先の側について、指の輪郭線を認識する(s1603)。
【0114】
そして、情報処理装置10は、s1603で取得した認証画像に基づき、付け根側の指の輪郭を推定する(s1604)。
【0115】
具体的には、情報処理装置10は、予め、指先側の指の輪郭の画像から付け根側の指の
輪郭部分を推定するための学習済みモデルを作成する。例えば、情報処理装置10は、多数人の指の画像を収集し、指先側の輪郭の画像と付け根側の輪郭の画像とに分割する。そして、情報処理装置10は、指先側の輪郭画像を入力データとし、指の付け根側の輪郭の部分を正解データとする教師データに基づく機械学習を実行することで、指先側の指の輪郭から付け根側の指の輪郭を推定する学習済みモデルを作成する。
【0116】
なお、認証画像における指先側及び付け根側の領域の区別は、例えば、認証画像における各領域を予め登録してもよいし、指の輪郭線の分布から推定してもよい。
【0117】
そして、情報処理装置10は、作成した学習済みモデルに、s1603で取得した指先側の輪郭のデータを入力することにより、認証画像の付け根側の指の輪郭を推定する。
【0118】
図15は、指輪郭補正処理による指の付け根側の輪郭の推定の一例を説明する図である。情報処理装置10は、指先側の指の輪郭線1507、1508を入力データとして学習済みモデルに入力することにより、指の付け根側の輪郭線1505、1506を推定することで、背景の構造物1502に関係なく、付け根側の指の輪郭線を正しく認識する。
【0119】
<実施例2>
実施例1では、挿入室119において、奥壁部107に反射板106を設けることで、指116の高さを検出するものとしたが、実施例2では、同様の反射板を側壁部113(挿入室119の内側面)に設けることで、指116の高さを検出する。
【0120】
図16は、実施例2に係る非接触型生体認証装置131を挿入室119の開口部117の側から見た図及び、非接触型生体認証装置131により撮影される撮影画像の一例を示す図である。本実施例の非接触型生体認証装置131は、側壁部113の底部から中央高さ付近にかけて反射板301を備えることで、指116の部位の高さを検出する。非接触型生体認証装置131のその他の構成は、実施例1の非接触型生体認証装置101と同様である。
【0121】
反射板301の反射面の側壁部113(内側面)上の高さ及び方向は、実施例1と同様の原理で、挿入室119に挿入した指116の指先が第2光源110の光により遮られた場合に、第2光源110からの光のうち挿入した指の高さに応じた割合の光が反射板301に到達して反射するように調節されている。具体的には、以下の通りである。
【0122】
まず、図16(a)は、指116を非接触型生体認証装置131の挿入室119の低い位置に挿入し、指116の指先側を従来装置と同様に指先側指置台104に載置したケース(第4ケース)を示している。同図に示すように、指116は挿入室119の低い位置にあるため、第2光源110からの近赤外光114の直接光は、指116に遮られることなく反射板301の反射面全体に照射される。
【0123】
図16(b)は、第4ケースにおいて撮影装置102により撮影された画像の一例を示す図である。同図に示すように、この撮影画像300には、指の領域304が写っている。ここで、前記のように、第2光源110からの近赤外光114の直接光は、反射板301の反射面全体に照射される。したがって、撮影画像300には、全面的に明るく光っている反射板301の反射面に対応する明るい領域303が写り込んでいる。
【0124】
次に、図16(c)は、指116を非接触型生体認証装置131の挿入室119の中間の高さに挿入したケース(第5ケース)を示している。同図に示すように、指116が挿入室119の中間の高さにある。そのため、第2光源110からの近赤外光114の直接光は、近赤外光114の一部は指116の背側に達し遮られることとなり、指116の下
方に、指の腹側の下の空間である指の影115が形成される。その結果、反射板301の反射面の下側の一部の面にも、指の影115による暗部302が形成される。一方、反射板301の反射面の残りの面には、近赤外光114からの光が直接照射され、その面で受光された近赤外光は反射される。
【0125】
図16(d)は、第5ケースにおいて撮影装置102により撮影された画像の一例を示す図である。この撮影画像300には、指の領域307が写っている。この指の領域307の形は図16(b)の指の領域304と同様であるが、その大きさは、指116の高さが撮影装置102からより高くなっているため、指116の撮影装置102からの高さに応じて、小さくなる。そして、認証者の指116は、前記のように第2光源110からの近赤外光の照射を挿入室119の中間程度の高さで遮っている。そのため、反射板301の反射面の下側の一部の面には、指の影115による暗部302が形成されるが、残りの上側の面には、反射板301で反射した近赤外光が直接照射される。そのため、撮影画像200には、反射板301の暗部302に対応する暗い領域305と、反射板301で反射した近赤外光が直接照射される明るい領域306とが写りこまれている。
【0126】
次に、図16(e)は、指116を非接触型生体認証装置131の挿入室119の高い位置(天井部108に近い位置)に挿入したケース(第6ケース)を示している。この場合、同図に示すように、指116が挿入室119の高い位置(第2光源110の近傍)にある。そのため、第2光源110からの近赤外光114の直接光の大部分は指116の背側に達し遮られて指の影115が形成される。その結果、反射板301の反射面の全てに、指の影115による暗部302が形成される。
【0127】
図16(f)は、第6ケースにおいて撮影装置102により撮影された画像の一例を示す図である。この撮影画像300には、指の領域309が写っている。この指の領域309の形は図16(d)の指の領域307と同様であるが、その大きさは、指116の高さが撮影装置102からより高くなっているため、指116の撮影装置102からの高さに応じて小さくなっている。また、認証者の指116は、前記のように第2光源110からの近赤外光の照射を挿入室119の高い位置で遮っている。そのため、反射板301の反射面の全てに、指の影115による暗部302が形成される。そのため、撮影画像200には、反射板301の暗部302に対応する暗い領域308のみが写りこまれている。
【0128】
以上から、指116が挿入された場合に撮影装置102が撮影した撮影画像における、反射板301での暗部302の面の広さ(又は明るい領域の広さ)は、そのときの指116の挿入高さと一定の相関関係にある(例えば、比例関係にある)。
【0129】
したがって、実施例1と同様に、情報処理装置10は、ある認証者が指116を挿入した場合に、撮影装置102が撮影した暗部302の撮影画像上の大きさを算出し、算出した大きさから、その認証者の指116の高さを算出することができる。
【0130】
なお、反射板301の反射面は、指116を挿入室119の中間程度の高さに挿入した場合に、第2光源110からの近赤外光114が指116に遮られて形成される暗部302と、それ以外の明るい部分とが形成されるような高さに設置することが好ましい。
【0131】
また、挿入された指116と側壁部113との距離が異なると、暗部302の大きさも異なるため、指116の高さの検出に誤差が生じる可能性がある。そこで、反射板301を左右両側の側壁部113に設置し、これらの側壁部113のそれぞれから得られる認証者の指116の高さの平均値を採用してもよい。これにより、指116の高さの算出誤差を低減することができる。
【0132】
<実施例3>
実施例1では、情報処理装置10は指の背側の高さを検出するが、実施例3では、情報処理装置10は側壁部に新たな光源を設けることで、指の腹側の高さを検出する。この理由は、指の太さは人によって異なるため、指の背側の高さを求めると、指の腹側にある静脈の高さは、各人の指の太さのバラつきによる誤差を含むことになる。そこで、実施例3の非接触型生体認証装置101は、指の腹側の高さを求めることで、撮影装置から指の静脈までの正確な距離を算出し、静脈認証を精度良く行うことができるようになる。
【0133】
図17は、実施例3に係る非接触型生体認証装置401を挿入室449の開口部から見た図及び、非接触型生体認証装置401により撮影される撮影画像の一例を示す図である。本実施例の非接触型生体認証装置401は、実施例1と同様に、指先の指置台403と、左右の側壁部406と、天井部407と、指411の画像を撮影するための近赤外線を斜め上方から照射する第1光源408と、不図示の第2光源と、撮影装置402とを備える。
【0134】
さらに、側壁部406の一方には、その内面の下部に固定され、挿入室449内に側方に近赤外光を照射する第3光源404が設けられる。また、側壁部406の他方には、第3光源404からの近赤外光405の光を受光してこれを反射させる反射面を備える反射板410が設けられる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0135】
第3光源404の高さは、指441を挿入室449の上部に挿入した場合に、第3光源404からの近赤外光405の直接光が指441の腹側に当たらない程度に低く設定する。
【0136】
より具体的には、第3光源404の高さ及び反射板410の反射面の高さ(の範囲)は、第3光源404の直接光が、挿入室449に所定高さ以下で挿入した指の指先により遮られた場合に、第3光源404からの光のうち挿入した指の高さに応じた割合の光が反射板410の反射面に到達しない高さに調節される。
【0137】
まず、図17(a)は、指441を非接触型生体認証装置401の挿入室449の高い位置(天井部407に近い位置)に挿入したケース(第7ケース)を示している。第3光源404からの近赤外光405は、指411が高い位置にあるため、指411に遮られることなく反射板410の反射面全体に当たっている。
【0138】
図17(b)は、第7ケースにおいて撮影装置402により撮影される画像の一例を示す図である。この撮影画像400には、指の領域415が写っている。また、認証者の指411は、前記のように第3光源404からの近赤外光を遮らないため、撮影画像400には、全面的に明るく光る反射板410の反射面に対応する明るい領域414が写りこんでいる。
【0139】
次に、図17(c)は、指411を非接触型生体認証装置401の挿入室449の中間の高さ(指411の腹側が所定高さ以下に達した場合)に挿入したケース(第8ケース)を示している。第3光源404からの近赤外光405は、指411が挿入室449の中間の高さにある。そのため、近赤外光405の一部は、指411の高さに応じて、指411の腹側で遮られることとなり、指411より反射板410側に、指の影412の空間が形成される。その結果、反射板410の反射面の上側の一部の面には、指の影412による暗部413が形成される。一方、反射板410の反射面の残りの面には、反射板410からの光が直接照射され、その面が光を受光してその光は反射する。
【0140】
図17(d)は、第8ケースにおいて撮影装置402により撮影された画像の一例を示
す図である。この撮影画像400には、指の領域418が写っている。また、認証者の指441は、前記のように第3光源404からの近赤外光の照射を挿入室449の中間程度の高さで遮っている。そのため、反射板410の反射面の下側の一部の面には、指の影412による暗部413が形成されるが、残りの上側の面には、反射板410で反射した近赤外光が直接照射される。そのため、撮影画像400には、反射板410の暗部413に対応する暗い領域417と、反射板410で反射した近赤外光が直接照射される明るい領域416とが写りこまれている。
【0141】
次に、図17(e)は、指411を非接触型生体認証装置401の挿入室449の低い位置に挿入したケース(第9ケース)を示している。第3光源404からの近赤外光405は、指441が挿入室449の低い位置にあるため、第3光源404からの近赤外光405は全て指441に遮られて指の影412の空間が形成され、近赤外光405は反射板410に到達しない。その結果、反射板410の反射面の全てに、指の影412による暗部413が形成される。
【0142】
図17(f)は、第3ケースにおいて撮影装置402により撮影される画像の一例を示す図である。この撮影画像400には、指の領域420が写っている。また、認証者の指116は、前記のように第3光源404からの近赤外光の照射を遮っているため、反射板410の反射面の全てに、指の影412による暗部413が形成される。そのため、撮影画像200には、反射板410の暗部413に対応する暗い領域419のみが写りこまれている。
【0143】
以上のように、指411が挿入された場合に撮影装置402が撮影した撮影画像における、反射板410での暗部413の広さ(又は明るい領域の広さ)は、そのときの指411の挿入高さと一定の相関関係にある(例えば、比例関係にある)。特に、反射板410での暗部413は、指411の下面すなわち腹側の高さが所定高さ以下になった場合に出現する。
【0144】
したがって、実施例1と同様に、情報処理装置は、ある認証者が指411を挿入した場合に、撮影装置402が撮影した暗部413の撮影画像上の大きさを算出し、算出した大きさから、その認証者の指411の腹側の高さ、すなわち静脈の高さをより正確に算出することができる。
【0145】
なお、認証者の指411と側壁部406との距離が異なると暗部413の大きさも異なるため、指411の高さの検出に誤差が生じる可能性がある。そこで、反射板410を左右両側の相対する側壁部406のそれぞれに設置し、これらの側壁部406のそれぞれから得られる認証者の指411の腹側の高さの平均値を採用することで、指411の腹側の高さの算出誤差をより低減することができる。
【0146】
<実施例4>
本実施例では、非接触型生体認証装置101が、指116の挿入を誘導するための第4光源を備える。
【0147】
図18は、実施例4に係る第4光源1310の構成を説明するための図である。具体的には、図18(a)は、非接触型生体認証装置1301を開口部117側の上方から見た図である。図18(b)は、非接触型生体認証装置1301に指1302を挿入した様子を側方からみた断面図である。
【0148】
図18に示すように、非接触型生体認証装置1301の挿入室1308は、実施例1と同様に、天井部1305と、2つの側壁部1306、1307とを備える。
【0149】
そして、天井部1305の内面の中央部には、指1302の挿入方向を認証者に提示するための、第4光源1310が取り付けられている。
【0150】
具体的には、第4光源1310の照射範囲は、挿入室1319の開口部から挿入室1319の奥側(奥壁部1311の側)に向かう挿入室1319の挿入方向中央部を照射範囲とする。すなわち、第4光源1310の照射光1309の照射方向は、指1302の挿入方向に沿って、指1302の背側の中央部に当たるように調節されている。
【0151】
なお、照射光1309は可視光であり、例えば、認証者が認知しやすい赤色又は青色の可視光である。
【0152】
これにより、認証者は、第4光源1310からの照射光1309に沿って、指1302の背を上にして挿入すると、その指1302は自然と、挿入室1319の適切な位置(正しい認証画像が得られる位置)に挿入されることになる。
【0153】
このように、本実施例の非接触型生体認証装置1301は、指1302を挿入すべき位置及び方向を示す可視光線を照射することで、認証者に、認証に適した位置に指を挿入するよう促すことができる。
【0154】
<実施例5>
実施例1の非接触型生体認証装置101における側壁部113は、設置面12に対して垂直に設けられるものとしたが、側壁部113の設置方向を以下のように変更してもよい。
【0155】
図19は、指を挿入した場合の、実施例5に係る非接触型生体認証装置1711を指先方向から見た断面図である。具体的には、図19(a)は、3本の指1701、1702、1703のうち中央の一本の指1702を挿入室1719の上方から挿入した場合の断面図であり、図19(b)は、3本の指1712、1713、1714のうち中央の一本の指1713を挿入室1719の下方から挿入した場合の断面図である。
【0156】
同図に示すように、この非接触型生体認証装置1711は、実施例1と同様に、撮影装置1709、指先側指置台1710、側壁部1704、1705、天井部1706、及び第2光源1707等を備える。
【0157】
ここで、側壁部1704、1705は互いに相対して設けられているが、それらの立設方向は実施例1と異なる。
【0158】
すなわち、挿入室1719における指1702の挿入方向の空間は、その上部の空間が下部の空間よりも広く形成されている。同図の例では、側壁部1704、1705は、設置面1722に対して鉛直の方向ではなく、楔状に広がっている。換言すれば、側壁部1704、1705及び奥壁部により形成される空間が、挿入室1719の上部に行くほど広くなるように、側壁部1704、1705が外側に向かって傾斜している。
【0159】
そして、挿入室119の上部の開口部の幅は、開口部に向かって進入させる指1702に隣接する指1701、1703が当接する幅に設定されている。
【0160】
例えば、側壁部1704、1705間の下部での間隔は、挿入する指の幅よりもやや広くなっている。また、側壁部1704、1705間の上部での間隔は、挿入する指1702に隣接する指が側壁部1704、1705に当接し易いように調節されている。
【0161】
これにより、認証者は、指1702を高い位置で挿入しようとすると、その指1702に隣接する指1701、1703を意識的に広げなければ当該指1701、1703が挿入室1719の側壁部1704、1705に当たってしまうため、指1702をより低い位置で挿入するようになる。
【0162】
図19(a)に示すように、認証者が差し出した3本の指1701、1702、1703のうち一本の指1702を側壁部1704、1705の上部に接触しないように挿入室1719に挿入するためには、3本の指1701、1702、1703を意識して広げる必要がある。これに対して、図19(b)に示すように、認証者が差し出した3本の指1701、1702、1703のうち一本の指1702を側壁部1704、1705の下方に接触しないように挿入室1719に挿入する場合は、3本の指1701、1702、1703を大きく広げる必要性は小さい。
【0163】
これより、認証者に対して、その指を、挿入室1719の高い位置に挿入させないように、誘導することができる。そしてこれにより、非接触型生体認証装置1711は、より大きく指が撮影された認証画像を取得することができ、高精度な認証を行うことができる。
【0164】
なお、側壁部1704、1705の傾斜の度合いは、認証者の指を挿入室119のどの程度の高さに誘導するかによって適宜変更が可能である。また、側壁部1704、1705は、挿入する指の形状に沿って湾曲させてもよい。
【0165】
以上説明したように、本実施形態の非接触型生体認証装置は、挿入室、挿入室に挿入された指の腹側を撮影する撮影装置、撮影装置より挿入室の奥側の指検知用の第1光源、近赤外光を照射する第2光源、及び第2光源からの光を反射する反射面(反射板)を備え、その反射面の位置及び方向が、第1光源が指の挿入を検知した場合、第2光源からの光のうち挿入された指の高さに応じた割合の光を受光するように調節されており、撮影装置が、その反射板で反射された光及び指を含む画像を撮影する。
【0166】
すなわち、本実施形態の非接触型生体認証装置は、挿入した指の高さに応じて、反射板から反射して撮影装置に至る第2光源の光の量が異なることになる。これにより、撮影装置が撮影した画像には挿入した指の高さの情報が含まれることなる。
【0167】
本実施形態のような非接触型の認証装置では、認証対象の生体の位置(本実施形態では指の高さ)が認証者の認証操作ごとに異なることが多いため、これが認証の精度を低下させる原因となっている。そこで、本実施形態の非接触型生体認証装置によれば、撮影画像に含まれる指の高さの情報により所定の画像修正(画像の歪みの補正等)を行うことで、認証の精度を向上させることができる。
【0168】
このように、本実施形態の非接触型生体認証装置によれば、精度良く非接触認証を行うことができる。そして、この場合、追加のセンサなどを導入する必要も無い。
【0169】
また、本実施形態の非接触型生体認証装置は、複数の第2光源と、各第2光源の光量を調節する近赤外線光源制御部とを備え、各第2光源は、第2光源からの光が指の背側の挿入方向中央部を照射する方向に整列して配置されている。
【0170】
これにより、認証画像における指116の平均輝度を所定の目標輝度に調節し易くなり、認証に適した安定した品質の認証画像を撮影することができる。
【0171】
また、本実施形態の非接触型生体認証装置における第1光源は、指向性を有する光を照射すると共に、第2光源よりも挿入室の奥側であって、かつ、第1光源からの直接光が挿入室の奥壁部で所定量以上反射しない位置に設けられ、指向性を有する光を照射する。
【0172】
これにより、第1光源からの直接光が撮影装置102の画像に写り込み、又は第2光源からの光と干渉して、第1光源が行う指の挿入の検出に障害が生じることを防ぐことができる。
【0173】
また、本実施形態の非接触型生体認証装置は、側壁部に、第2光源からの光を反射する反射面を備え、反射面の側壁部面上の高さは、挿入室に挿入した指が第2光源の光により遮られた場合に、第2光源からの光のうち挿入した指の高さに応じた割合の光を受光する高さに調節されている。
【0174】
これにより、挿入した指の高さに応じて、反射面から反射して撮影装置に至る第2光源の光の量が異なることになる。これにより、撮影装置が撮影した画像には挿入した指の高さの情報が含まれることなる。この画像を利用して、精度良く非接触認証を行うことができる。
【0175】
また、本実施形態の非接触型生体認証装置は、内側壁の内面の一方の下部に第3光源を備えると共に、他方の内側壁の下部に第3光源からの光を反射する反射面を備え、第3光源及び反射面の内面での高さは、第3光源からの光が、所定高さ以下で挿入室に挿入した指により遮られた場合に、第3光源からの光のうち挿入した指の高さに応じた割合の光が反射面に到達しない高さに調節される。
【0176】
これにより、下方に挿入した指の高さに応じて、反射面で反射して撮影装置に至る第3光源の光の量が異なることになる。その結果、撮影装置が撮影した画像には、挿入した指の高さの情報、特に指の下方の高さ(腹側の高さ)の情報が含まれることなる。この画像を利用して、精度良く非接触認証を行うことができる。
【0177】
また、本実施形態の非接触型生体認証システム1の情報処理装置10は、挿入室に挿入した指の指先により第1光源からの光が遮られたと判定した場合に、第2光源に光の照射を指示し、撮影装置が撮影した画像に含まれる第2光源の光の領域に基づき、挿入した指の静脈のパターンを特定し、特定した指の静脈のパターンと、照合用画像とを比較することにより、認証対象の指に関する認証を行う。
【0178】
このように、第1光源により指先が挿入室に挿入されたことを検知し、これにより照射を開始した第2光源により、認証画像を得る。これにより、認証対象の指に関する認証を確実に行うことができる。
【0179】
また、本実施形態の非接触型生体認証システム1の情報処理装置10は、認証画像における第1光源からの光の部分の周囲の輝度を算出し、算出した輝度が所定の閾値以上である場合にのみ、挿入室に挿入した指の指先により前記第1光源からの光が遮られたと判定して第2光源に光の照射を指示する。
【0180】
指の指先は厚みが薄いため、第1光源は指の指先部分では多くの光を透過して輝度飽和を起こすことがある。この場合、撮影装置が撮影した画像が、挿入した指の指先分の輝度飽和により明るくなっているのか、もしくは未だ指が挿入されておらず第1光源の光によって明るくなっているのかを判別できないことがある。そこで、第1光源からの光の部分の周囲の輝度が高い場合は指の指先が挿入されたと判定することで、指の挿入を正確に判定することができる。
【0181】
また、本実施形態の非接触型生体認証システム1の情報処理装置10は、撮影装置により撮影された円筒物体の画像上の幅と、撮影装置と異なる焦点距離を有する従来装置により撮影された円筒物体の画像上の幅との関係を特定し、認証画像を、その特定した関係に基づき、撮影画像の大きさを補正する。
【0182】
非接触型の認証装置における撮影装置が撮影する画像は、非接触認証の特性上、画像ごとに異なる生体の写り方がされる可能性が高いことから、従来装置よりも焦点距離の長い撮影装置を使用する(例えば、被写体の写り方の差が小さくなるような被写界深度の深いレンズを使用する)ことになる。したがって、本実施形態の非接触型生体認証装置と従来装置との互換性に問題が生じる。しかし、上記の構成によれば、焦点距離が異なる従来装置で得られた照合用画像を流用することができ、従来装置との互換性を確保することができる。
【0183】
また、本実施形態の非接触型生体認証システム1の情報処理装置10は、認証画像から、指の先端部の位置及び指の幅を算出し、算出した指の先端部及び指の幅に基づき、認証画像から指の認証に必要な領域(例えば、従来装置で得られる認証画像と同サイズの画像)を抽出し、抽出した領域の画像に基づき、指の静脈のパターンを特定する。
【0184】
非接触型の認証装置は、撮影される指の画像が操作ごとに異なりやすいため、従来装置の場合より、広い範囲の指の画像を撮影することとなる。この場合、従来装置で得られた画像との互換性を確保するためには、画像の一部の領域を抽出する必要がある。ここで、上記の構成によれば、従来装置の画像、例えば、従来装置で得られた照合用画像と互換性を有する画像を流用し、従来装置との互換性を確保することができる。特に、人の指幅及び指の長さの間には一定の関係性があることから、上記の構成によれば、これを利用して適切な画像領域を抽出することができる。
【0185】
また、本実施形態の非接触型生体認証装置は、指が挿入される高さよりも上方に設けられ、挿入室の開口部から挿入室の奥側に向かう挿入室の中央部を照射範囲とする、可視光の光源を備える。
【0186】
これにより、認証者に、一定の方向に沿って指を挿入室に挿入させることを促し、撮影装置は、認証精度の高い認証画像を撮影することができる。
【0187】
また、本実施形態の非接触型生体認証装置の挿入室の天井部における開口部の端部には、認証者の視線の側に向かって延伸する延伸部が形成されている。
【0188】
指を挿入させる挿入室の内部は認証者からは見えにくく、認証者は指を挿入させることに関して心理的に抵抗感がある。そこで、上記のように天井部の開口部側に延伸部を設け、認証者から挿入室の内部空間及びこれに挿入した指を見易くすることで、認証者が非接触型生体認証装置を利用しやすくすることができる。
【0189】
さらにこの場合、本実施形態の非接触型生体認証システム1の情報処理装置10は、撮影装置が撮影した画像に含まれる指先側の指の輪郭の情報を、指の指先側の輪郭の形状から指の付け根側の輪郭の形状を推定する数値モデルに入力することにより、指の付け根側の輪郭を推定する。
【0190】
上記のように延伸部を設けた場合、認証画像における指の付け根部分は、外部の光が進入することで輝度が明るくなり、輪郭が不鮮明な画像となるおそれがある。そこで、指の指先の輪郭から指の付け根の輪郭を推定する数値モデルを用いて、撮影画像を指の付け根
の輪郭を推定し、認証に適した認証画像を得ることができる。
【0191】
また、本実施形態の非接触型生体認証装置の挿入室の指の挿入方向の空間は、その上部の空間が下部の空間よりも広く形成され、挿入室の上部の開口部の幅は、開口部に進入する指に隣接する指が当接する幅に設定されている。
【0192】
本実施形態の非接触型生体認証装置では、より低い位置で指を挿入した方が指と撮影装置の間の距離が近くなるため、撮影装置はより鮮明な画像を撮影しやすく、認証精度を向上させることができる。そこで、上記のように構成することで、認証者は、指を、挿入室の上方よりも下方に挿入した方が負担が少なくなる。すなわち、認証者は、自身の指を挿入室の上方に挿入しようとすると、隣接する指が側面の壁に触れるため、指を挿入する位置を低くしようとする。これにより、より認証に適した認証画像を得ることができる。
【0193】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0194】
例えば、本明細書で説明した各実施例の構成は、これらを組み合わせてよい。
【0195】
また、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい。また、本実施形態の各装置が備える各機能部の一部は他の装置に設けてもよいし、別装置が備える機能部を同一の装置に設けてもよい。
【符号の説明】
【0196】
1 非接触型生体認証システム
101 非接触型生体認証装置
102 撮影装置
106 反射板
109 第1光源
110 第2光源
111 第2光源
112 第2光源
119 挿入室
116 指
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