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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182178
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L21/52 B
H01L23/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095644
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 稔幸
【テーマコード(参考)】
4M109
5F047
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA03
4M109DB09
4M109EA02
4M109EA07
5F047BA01
(57)【要約】
【課題】
焼結接合により半導体チップを基板に実装する半導体装置において、特定の治具を用いることなく、焼結接合材のはみ出しによる這い上がり部の脱落を防止可能な信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】
基板と、半導体チップと、前記基板と前記半導体チップとを接合する焼結金属層と、前記焼結金属層の側面に接触して形成された第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層に接触して前記第1の樹脂層を覆う第2の樹脂層と、前記第2の樹脂層に接触して前記基板と前記半導体チップとを封止するゲル状の封止材と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
半導体チップと、
前記基板と前記半導体チップとを接合する焼結金属層と、
前記焼結金属層の側面に接触して形成された第1の樹脂層と、
前記第1の樹脂層に接触して前記第1の樹脂層を覆う第2の樹脂層と、
前記第2の樹脂層に接触して前記基板と前記半導体チップとを封止するゲル状の封止材と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1の樹脂層は、ポリアミドイミド樹脂またはポリエーテルアミドイミド樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第2の樹脂層は、エポキシ樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記封止材は、シリコーンゲルであることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層は、前記半導体チップを平面視した際、前記焼結金属層の側面全体に形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層は、前記半導体チップを平面視した際、前記半導体チップの四隅を除く各辺の中央付近を覆うように形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記半導体チップを平面視した際、前記半導体チップの外周部を除く上面を覆うように形成された第3の樹脂層を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置であって、
前記半導体チップに接続された金属ワイヤを備え、
前記第3の樹脂層は、前記半導体チップと前記金属ワイヤとの接続部を覆うように形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記半導体チップを平面視した際、前記半導体チップの上面全体を覆うように形成された第3の樹脂層を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記焼結金属層は、前記基板と前記半導体チップとの間、および前記半導体チップの側面に形成されることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の構造に係り、特に、焼結接合により半導体チップを基板に実装する半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模での環境や資源の問題がクローズアップされており、資源の有効活用、省エネルギー化の推進、地球温暖化ガスの排出抑制のため、パワー半導体素子のスイッチングを利用したインバータ装置を代表とする高効率な電力変換装置が注目されている。こうした電力変換装置は、冷蔵庫やエアコンなどの家電製品をはじめ、産業機械、ハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle;HEV)、電気自動車(Electric Vehicle;EV)、鉄道、電力および社会インフラ関連機器等に幅広く応用展開されている。
【0003】
電力変換装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子を内蔵したパワー半導体装置(パワーモジュール)、バスバー、コンデンサ、インダクター、各種センサおよび制御回路等の数多くの部品から構成されている。設置面積の小スペース化や安全性のため、小型で信頼性の高い電力変換装置が求められている。これには、電力変換装置の主要構成部品であるパワー半導体装置の小型化および高信頼化が重要である。
【0004】
パワー半導体装置に内蔵されるパワー半導体素子には、現在、主としてSiを材料とするIGBTやダイオード等が使用されている。パワー半導体装置は、上述した通り小型化および大容量化が進んでおり、これに伴い高温での安定動作が求められている。
【0005】
また、パワー半導体素子には「高耐圧」、「低オン抵抗」および「高速スイッチング」特性も求められており、絶縁破壊電界強度がSiの10倍、バンドギャップがSiの3倍の特性を有するSiCが次世代パワー半導体素子として適用され始め、普及が期待されている。この次世代パワー半導体素子ではSiデバイスよりもさらに高温での素子の使用が可能となるため、パワー半導体装置には高温動作での高い信頼性が必要である。
【0006】
このような技術課題に対し、種々の技術が研究開発されている。一例として、金属ナノ粒子を利用した接合技術がある。金属ナノ粒子は、粒子の体積エネルギーに比して表面エネルギーが大きいために化学的活性が高く、焼結温度が大幅に低下する一方で、焼結後には当該金属が本来有する高い耐熱性を示すことから、高温環境下の半導体装置の接合材として好適に利用できる。
【0007】
しかしながら、金属ナノ粒子を使用した半導体装置の製造方法においては、加圧接合時に余分な金属微粒子を含むペーストの一部が、半導体素子の外側にはみ出して、各部の配線部等に付着してショートする場合がある。
【0008】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1のような技術がある。特許文献1では、半導体素子が緩挿可能な開口部と、この開口部の開口縁に開口部の開口断面積より大きい開口断面積を有する接合材逃がし部とを有する接合治具を用いて、金属粒子を含有した接合材で半導体素子と基板とを加圧接合することで、半導体素子からはみ出ている接合材の厚さを、半導体素子と基板とに狭持された部分の接合材の厚さより小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011-216772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1の技術により、はみ出した接合材の収縮割れを抑制することはできるが、追加の治具や加圧する工程が必要となる。
【0011】
また、特に、電鉄、EV、産業用途向けに使用される高耐熱パワーモジュールに搭載される大面積の半導体素子に適用される大面積の接合層の場合、使用するペースト量が増えるため、半導体素子からはみ出したペーストが半導体素子側面に這い上がる場合が多くなる。このため、焼結後の這い上がり部の脱落を防止する技術が必要である。
【0012】
そこで、本発明の目的は、焼結接合により半導体チップを基板に実装する半導体装置において、特定の治具を用いることなく、焼結接合材のはみ出しによる這い上がり部の脱落を防止可能な信頼性の高い半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、基板と、半導体チップと、前記基板と前記半導体チップとを接合する焼結金属層と、前記焼結金属層の側面に接触して形成された第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層に接触して前記第1の樹脂層を覆う第2の樹脂層と、前記第2の樹脂層に接触して前記基板と前記半導体チップとを封止するゲル状の封止材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、焼結接合により半導体チップを基板に実装する半導体装置において、特定の治具を用いることなく、焼結接合材のはみ出しによる這い上がり部の脱落を防止可能な信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0015】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明の実施例1に係る半導体装置の断面構造を示す図である。
図1B図1AのA部拡大図である。
図1C図1BのB-B’方向矢視図(平面図)である。
図1D図1Cの変形例を示す図である。
図2A】本発明の実施例2に係る半導体装置の断面構造を示す図である。
図2B図2AのC部拡大図である。
図2C図2BのD-D’方向矢視図(平面図)である。
図3A】本発明の実施例3に係る半導体装置の断面構造を示す図である。
図3B図3AのE部拡大図である。
図3C図3BのF-F’方向矢視図(平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例0018】
図1Aから図1Dを参照して、本発明の実施例1に係る半導体装置について説明する。図1Aは、本実施例の半導体装置100Aの断面構造を示す図である。図1Bは、図1AのA部拡大図である。図1Cは、図1BのB-B’方向矢視図(平面図)である。図1Dは、図1Cの変形例を示す図である。
【0019】
本実施例の半導体装置100Aは、図1Aに示すように、主要な構成として、絶縁回路基板1と、IGBT等のパワー半導体チップ(以下、単に「半導体チップ」と称する。)2と、絶縁回路基板1および半導体チップ2を封止するゲル状の封止材であるシリコーンゲル8とを備えている。
【0020】
絶縁回路基板1および半導体チップ2は、樹脂ケース7内に収容されており、樹脂ケース7の内部にシリコーンゲル8が充填され、樹脂ケース蓋9で密閉されることで封止されている。
【0021】
なお、本実施例では、半導体チップ2として、SiまたはSiCを用いた半導体チップを想定しているが、これらに限定されない。
【0022】
絶縁回路基板1は、絶縁基板1Aを有しており、絶縁基板1Aの一方の面に回路電極1Bが、もう一方の面に裏面電極1Cが、それぞれろう材(図示せず)等を介して接合されている。
【0023】
裏面電極1Cは、はんだや焼結金属層等の接合材3によって放熱ベース6に接合されている。回路電極1Bには、焼結金属層10によって半導体チップ2が接合されている。
【0024】
放熱ベース6および絶縁回路基板1は、半導体チップ2で発生した熱を効率良く逃がす必要がある。このため、放熱ベース6には、アルミニウム(Al)やアルミニウムと炭化ケイ素の複合材料(Al-SiC)等が使用されている。また、絶縁回路基板1の絶縁基板1Aには、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)等が使用され、回路電極1Bには、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等が使用されている。
【0025】
回路電極1Bの半導体チップ2が搭載されていない部分には、主端子5が接合されており、半導体チップ2と主端子5とが、回路電極1Bもしくは回路電極1Bおよび金属ワイヤ4を介して電気的に接続される。
【0026】
主端子5は、半導体装置100Aの内外に電力を伝達するための板状の金属端子であり、回路電極1Bと接合されていない方の端部が樹脂ケース7の外側で図示しない外部機器と接続されており、半導体装置100Aの入出力端子となる。この他、図示しないが、半導体装置100Aは、制御端子および補助端子等も有する。
【0027】
上述した構成を有する半導体装置100Aは、以下の手順で作製される。
【0028】
半導体チップ2は、例えばIGBT等のスイッチング動作可能な素子やダイオードであり、焼結銅や焼結銀などの焼結金属層10を介して絶縁回路基板1の回路電極1Bに接合する。
【0029】
そして、半導体チップ2の回路電極1Bに接合されていないもう一方の面にある電極と、絶縁回路基板1の回路電極1Bのうち半導体チップ2が接合されていない回路電極1Bとの間を金属ワイヤ4で接続する。また、必要に応じて、複数の半導体チップ2のそれぞれの回路電極1Bに接合されていない面にある電極同士を金属ワイヤ4で接続する。
【0030】
次に、半導体チップ2が搭載された絶縁回路基板1を、放熱ベース6に、はんだや焼結金属等の接合材3を介して接合する。
【0031】
その後、放熱ベース6の外周部に、樹脂ケース7を接着剤等(図示せず)を介して取付け、主端子5を回路電極1Bの表面に接合する。
【0032】
最後に、樹脂ケース7の内部にシリコーンゲル8を注入して硬化させ、樹脂ケース7に樹脂ケース蓋9を被せて半導体装置100Aが完成する。
【0033】
ここで、本実施例の半導体装置100Aは、図1Bに示すように、焼結金属層10の側面に接触して形成された第1の樹脂層12と、第1の樹脂層12に接触して第1の樹脂層12を覆うように形成された第2の樹脂層13とを備えている。
【0034】
上述したように、半導体チップ2の面積増加に伴い、絶縁回路基板1の回路電極1Bと半導体チップ2とを接合する焼結金属層10を形成する工程で使用するペースト量が増えるため、半導体チップ2と回路電極1Bとの間からはみ出したペーストがチップ側面に這い上がり、焼結はみ出し部11が形成され易くなる。つまり、焼結金属層10は、絶縁回路基板1の回路電極1Bと半導体チップ2との間、および半導体チップ2の側面に形成される。この焼結はみ出し部11が脱落した場合、他の配線部等に付着してショートする可能性がある。
【0035】
そこで、本実施例の半導体装置100Aでは、焼結はみ出し部11を含む焼結金属層10の側面に、第1の樹脂層12を形成し、さらに第1の樹脂層12を覆うように第2の樹脂層13を形成することで、焼結はみ出し部11の脱落を防止している。
【0036】
第1の樹脂層12に用いる樹脂材料としては、ポリアミドイミド樹脂やポリエーテルアミドイミド樹脂等が挙げられる。
【0037】
また、第2の樹脂層13に用いる樹脂材料としては、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0038】
第1の樹脂層12および第2の樹脂層13の形成は、半導体チップ2を焼結金属層10により回路電極1Bに接合した後に行う。
【0039】
焼結はみ出し部11を含む焼結金属層10の側面に、ポリアミドイミド樹脂等からなる第1の樹脂層12を形成し、次いで、エポキシ樹脂等からなる第2の樹脂層13を形成する。
【0040】
その後、絶縁回路基板1を放熱ベース6に接合し、樹脂ケース7を接着後、シリコーンゲル8で封止し、樹脂ケース蓋9を樹脂ケース7に接着する。
【0041】
なお、図1Cに示すように、第1の樹脂層12および第2の樹脂層13は、半導体チップ2を平面視した際に、半導体チップ2すなわち焼結金属層10の側面全体に渡って形成するのが望ましい。半導体チップ2の側面全体を第1の樹脂層12および第2の樹脂層13で覆うことで、半導体チップ2の全周に渡って焼結はみ出し部11の脱落を確実に防止することができる。
【0042】
一方、半導体チップ2の面積と焼結金属層10を形成するためのペースト量との関係によっては、必ずしも焼結はみ出し部11が半導体チップ2の全周に渡って形成されるとは限らない。例えば、焼結金属層10を形成した後の3D計測結果から、半導体チップ2を平面視した際の半導体チップ2の四隅を除く各辺(4辺)の中央付近に焼結はみ出し部11が集中して形成される場合がある。
【0043】
このような条件の半導体装置100Aでは、図1Dに示すように、第1の樹脂層12および第2の樹脂層13を、半導体チップ2の四隅を除く各辺(4辺)の中央付近を覆うように形成すれば良い。
【0044】
以上説明したように、本実施例の半導体装置100Aは、焼結はみ出し部11を含む焼結金属層10の側面に、第1の樹脂層12と第2の樹脂層13を備えている。
【0045】
これにより、半導体チップ2の側面に這い上がった焼結材が、例えばワイヤボンディングや絶縁回路基板への接合などの焼結後の工程において脱落し、意図しない箇所に付着することで短絡不良となるリスクを抑えることができる。
【実施例0046】
図2Aから図2Cを参照して、本発明の実施例2に係る半導体装置について説明する。図2Aは、本実施例の半導体装置100Bの断面構造を示す図である。図2Bは、図2AのC部拡大図である。図2Cは、図2BのD-D’方向矢視図(平面図)である。
【0047】
本実施例の半導体装置100Bは、焼結はみ出し部11を含む焼結金属層10の側面に、第1の樹脂層12および第2の樹脂層13を形成するのに加えて、半導体チップ2の外周部を除く上面に、第3の樹脂層14を形成している点において、実施例1(図1A及び図1B)と異なっている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0048】
なお、第1の樹脂層12と第3の樹脂層14は、後述するように、同一の工程で同時に形成される。したがって、第1の樹脂層12と第3の樹脂層14は、例えばポリアミドイミド樹脂やポリエーテルアミドイミド樹脂等の同じ樹脂材料からなる。
【0049】
図2B及び図2Cから分かるように、第3の樹脂層14は、半導体チップ2を平面視した際、半導体チップ2の外周部を除く上面を覆うように形成されている。
【0050】
この第3の樹脂層14は、半導体チップ2と金属ワイヤ4との接続部を覆うように形成され、半導体チップ2と金属ワイヤ4との接続部を補強する。
【0051】
本実施例の半導体装置100Bの作製工程では、複数の半導体チップ2間や半導体チップ2と半導体チップ2が接合されていない回路電極1Bとの間を金属ワイヤ4で接続した後、半導体チップ2の外周部を除く上面と、焼結はみ出し部11を含む焼結金属層10の側面に、ポリアミドイミド樹脂やポリエーテルアミドイミド樹脂をそれぞれ塗布し、第1の樹脂層12と第3の樹脂層14とを同時に形成する。
【0052】
次いで、エポキシ樹脂等からなる第2の樹脂層13を形成する。
【0053】
その後、絶縁回路基板1を放熱ベース6に接合し、樹脂ケース7を接着後、シリコーンゲル8で封止し、樹脂ケース蓋9を樹脂ケース7に接着する。
【0054】
本実施例では、第1の樹脂層12と第3の樹脂層14とを同時に形成することで、工程を複雑化することなく半導体装置100Bを作製できる。
【実施例0055】
図3Aから図3Cを参照して、本発明の実施例3に係る半導体装置について説明する。図3Aは、本実施例の半導体装置100Cの断面構造を示す図である。図3Bは、図3AのE部拡大図である。図3Cは、図3BのF-F’方向矢視図(平面図)である。
【0056】
本実施例の半導体装置100Cは、焼結はみ出し部11を含む焼結金属層10の側面に、第1の樹脂層12および第2の樹脂層13を形成するのに加えて、半導体チップ2の上面全体に、第3の樹脂層14を形成している点において、実施例1(図1A及び図1B)と異なっている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0057】
なお、第1の樹脂層12と第3の樹脂層14は、後述するように、同一の工程で同時に形成される。したがって、第1の樹脂層12と第3の樹脂層14は、例えばポリアミドイミド樹脂やポリエーテルアミドイミド樹脂等の同じ樹脂材料からなる。
【0058】
この第3の樹脂層14は、半導体チップ2と金属ワイヤ4との接続部を覆うように形成され、半導体チップ2と金属ワイヤ4との接続部を補強する。
【0059】
本実施例の半導体装置100Cの作製工程では、複数の半導体チップ2間や半導体チップ2と半導体チップ2が接合されていない回路電極1Bとの間を金属ワイヤ4で接続した後、半導体チップ2の上面全体と、焼結はみ出し部11を含む焼結金属層10の側面に、ポリアミドイミド樹脂やポリエーテルアミドイミド樹脂を塗布し、第1の樹脂層12と第3の樹脂層14とを同時に一体で形成する。
【0060】
次いで、エポキシ樹脂等からなる第2の樹脂層13を形成する。
【0061】
その後、絶縁回路基板1を放熱ベース6に接合し、樹脂ケース7を接着後、シリコーンゲル8で封止し、樹脂ケース蓋9を樹脂ケース7に接着する。
【0062】
本実施例では、第1の樹脂層12と第3の樹脂層14とを同時に一体で形成することで、工程を複雑化することなく、焼結はみ出し部11を確実に被覆可能な半導体装置100Cを作製できる。
【0063】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…絶縁回路基板、1A…絶縁基板、1B…回路電極、1C…裏面電極、2…パワー半導体チップ(半導体チップ)、3…接合材、4…金属ワイヤ、5…主端子、6…放熱ベース、7…樹脂ケース、8…シリコーンゲル、9…樹脂ケース蓋、10…焼結金属層、11…焼結はみ出し部、12…第1の樹脂層、13…第2の樹脂層、14…第3の樹脂層、100A,100B,100C…半導体装置。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C