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特開2023-1821791,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法
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  • 特開-1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182179
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/02 20060101AFI20231219BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C12P19/02
C12N1/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095646
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】390015004
【氏名又は名称】株式会社サナス
(74)【代理人】
【識別番号】100080609
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 正孝
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(72)【発明者】
【氏名】吉永 一浩
(72)【発明者】
【氏名】安部 淳一
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AF02
4B064CA06
4B064CE10
4B064DA01
4B065AA72X
4B065AC14
4B065BD36
4B065CA20
(57)【要約】
【課題】本発明は、1,5-アンヒドロ-D-フルクトースを出発物質とし1,5-アンヒドロ-D-マンニトールへの高い変換能を有する微生物を用いた1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法を提供する。
【解決手段】本発明は、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株を1,5-アンヒドロ-D-フルクトースと接触させて1,5-アンヒドロ-D-マンニトールを生成させ、次いで生成した1,5-アンヒドロ-D-マンニトールを採取することを特徴とする1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株を1,5-アンヒドロ-D-フルクトースと接触させて1,5-アンヒドロ-D-マンニトールを生成させ、次いで生成した1,5-アンヒドロ-D-マンニトールを採取することを特徴とする1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法。
【請求項2】
前記ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株がNBRC 0707またはNBRC 10213である請求項1に記載の1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの微生物による製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
1,5-アンヒドロ-D-マンニトール(以下1,5-AM)は、マンノースの1位の水酸基が還元された構造をもつポリオールである。1,5-AMは、動物細胞の培養基材として用いることで、抗体の産生が増強することが知られている。また、1,5-AMに脂肪酸を結合させることで脂質のゲル化剤となることも報告されている。このように1,5-AMは、産業的に価値の高い糖である。
【0003】
1,5-AMの製造法としては、化学的に水素付加する方法が報告されている(非特許文献1参照)。しかし、この方法では、1,5-AMの他に1,5-AMの2位のエピマーである、1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(以下1,5-AG)も生成されてしまうため、1,5-AMの収率が低いという問題があった。例えば、水素化ホウ素ナトリウムを用いた化学的な水素付加においては、副生物の1,5-AGの収率が60%と多量に生成する。また、パラジウム触媒存在下での水素付加においては1,5-AMが優勢となるものの、1,5-AMの収率は58%と低収率である。
【0004】
1,5-AMを食品素材として使用する場合、摂取しても安全である素材であることが求められる。しかしながら、上記のような化学合成法では、生成物中に化学物質の残留等のおそれがあるため、化学合成法ではなく、より自然な製造法、例えば微生物を用いた1,5-AMの製造法が望ましいといえる。
【0005】
微生物を用いた1,5-AMの製造法として、1,5-アンヒドロ-D-フルクトース(以下1,5-AF)に、パン酵母を接触させて1,5-AMを製造する方法が報告されている(非特許文献2参照)。しかし、この方法においても1,5-AGが副生物として生成されるという問題があり、1,5-AMの収率は約50%と低い。
【0006】
上記の通り従来の合成方法においては、副生物が多く生成して1,5-AFから1,5-AMへの変換率が低く十分でなかった。従って、副生物を生成せず、1,5-AFから1,5-AMのみを選択的に効率良く製造する方法が望まれている。
【0007】
微生物を用いて1,5-AFから1,5-AMのみを選択的に製造する方法の一つとして、シノリゾビウム・モレレンス種の菌株から、1,5-AFを1,5-AMに変換する還元酵素を分離し、当該還元酵素を用いて1,5-AMを製造する技術が提案されている(非特許文献3参照)。
この製造法においては反応系に1,5-AFから1,5-AMに還元する際に補酵素(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸;NADPH)が必要であり、反応系内にグルコース-6-リン酸とグルコース-6-リン酸脱水素酵素が添加される。ここで、反応においては1モルの1,5-AFの還元に1モルのNADPHが必要であり、1モルのNADPHの発生に、1モルのグルコース-6-リン酸が必要となる。従って、1,5-AFの還元には、1,5-AFと等モルのグルコース6リン酸が必要となる。しかしながら、グルコース-6-リン酸は非常に高価であることから、この反応による製造法では1,5-AMの製造コストが非常に高くなるという問題があるため、より安価な1,5-AMの製造法が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Carbohydrate Research 337(2002),873-890
【非特許文献2】The Japanese Society of Applied Glycoscience,59,145-151(2012)
【非特許文献3】APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOROGY,Feb.2006,p.1248-1257
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような従来の問題点を解決して、1,5-AFを出発物質とし1,5-AMへの高い変換能を有する微生物を用いた1,5-AMの製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株を1,5-アンヒドロ-D-フルクトースと接触させて1,5-アンヒドロ-D-マンニトールを生成させ、次いで生成した1,5-アンヒドロ-D-マンニトールを採取することを特徴とする1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法が提供される。
本発明の1,5-アンヒドロ-D-マンニトールの製造法においては、前記ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株がNBRC 0707またはNBRC 10213であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株を用いることにより、1,5-AFを1,5-AMのみに選択的に変換し副生物を生成しないため、生産性が向上する。
ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株は、従来から食品分野で幅広く使用されてきた菌株であり、例えばワインの製造に用いられる酵母の一種である。従って当該菌株を用いた製造法は、化学的に水素付加する方法等に比べ、安全性が高い。
さらに、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株を用いた1,5-AMの製造は、グルコース-6-リン酸等の高価な添加剤を用いる必要がないため、製造コストが低く安価な1,5-AMの製造法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例5における発酵時間と1,5-AM変換率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1,5-AFを1,5-AMに変換する高い能力を持つウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株としては、具体的にはNBRC 0707またはNBRC 10213などが挙げられる。これら菌株は、ブダペスト条約による国際寄託がなされており、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部(Incorporated Administrative Agency Department of Biotechnology National Institute of Technology and Evaluation)千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 から入手可能である。但し、本発明に用いられるウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株は、1,5-AFを1,5-AMに変換する能力を有するウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株であれば全てが使用可能であり、上記菌株に限定されるものではない。
本発明のウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株は、前記の菌株より派生する変異株、例えば紫外線照射、N-メチル-N-ニトロソグアニジン(NTG)処理、エチルメタンスルホネート(EMS)処理、亜硝酸処理、アクリジン処理等による変異株、あるいは細胞融合もしくは遺伝子組み換え法などの遺伝学的手法により誘導される遺伝子組み換え株などいずれの株であっても良い。
【0014】
1,5-AFを原料として1,5-AMを製造するには1,5-AFにウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株に1,5-AFを接触させればよく、具体的には、微生物用の培地中に1,5-AFとウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株を共存させる方法が好適に採用される。
微生物培養のための1,5-AFを含む培養液は、炭水化物、窒素源、無機イオン、更に必要に応じて有機栄養源を含む培地を用いることができる。炭水化物としては、例えばグルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、グリセロール、マンノースなどが挙げられる。グルコースが特に好ましい。有機栄養源としては、例えばビタミン、アミノ酸等を含有する酵母エキス、麦芽エキス、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、カゼイン分解物などが適宜使用される。無機イオンとしては、例えばマグネシウムイオン、リン酸イオン、カルシウムイオンなどが適宜使用される。その培地に、別にフィルター滅菌した1,5-AF水溶液を添加して1,5-AM採取用の培地とすることができる。
【0015】
反応温度は10℃から40℃が良く、好ましくは20℃~35℃、より好ましくは25℃から35℃が良い。pHは7.0以下、好ましくは6.5以下、より好ましくは5.0以下が良い。これらの反応条件下においては、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株の1,5-AFから1,5-AMへの変換能力が適切に作用する。また、微生物の活性化のために反応中にグルコースなどの炭素源を供給しても良い。
【0016】
生成された物質が1,5-AMであることは、HPLCにより1,5-AM標準試料とのピークを比較することで確認できる。培養液中の1,5-AM生成量も、同様にHPLCで速やかに測定することができ、1,5-AM生成量が最高に達した時点で培養を終了する。なお、1,5-AM生成量は、HPLC測定により検出された1,5-AMのピーク面積によりあらかじめ作成した標準試料の検量線から求めることができる。
HPLC測定の詳細条件を以下に示す。
分離カラム:MITSUBISHI MCIGELCK08Sの2連結(三菱化学(株)製)、
移動相:水、流速:1.0mL/分、
カラム温度:60℃、
検出器:示差屈折率検出器、
サンプル供与量:20μL
【0017】
このようにして培養液中に生成した1,5-AMを通常実施される周知の手段で培養物より精製して採取する。具体的には、遠心分離、珪藻土ろ過で菌体および固形物を除去した後、活性炭で脱色、イオン交換樹脂で脱塩し、濃縮後、結晶化させる。結晶化の方法としては、例えば、1,5-AMの水溶液から結晶1,5-AMを析出させる方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【実施例0018】
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以後の説明中に用いる%は、特に断りがない限り容量(w/v)%である。
<1,5-AM変換率>
1,5-AMへ変換された割合(1,5-AM変換率)は、培地中に添加した1,5-AFが1,5-AMに変換された割合を示し、HPLCで検出される1,5-AMと1,5-AGのピーク面積を用いて下記の式に従って求めた。
1,5-AM変換率(%)=S/(S+S)×100
:1,5-AMのピーク面積の実測値(%)
:1,5-AGのピーク面積の実測値(%)
なお、1,5-AMのピーク面積の実測値が5%以下または95%以上については、少ない成分のピーク面積が正確に検出できないため、それぞれ0%または100%と表記した。
また、実施例で用いたNBRC 0707およびNBRC 10213の菌株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部(Incorporated Administrative Agency Department of Biotechnology National Institute of Technology and Evaluation)千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 から入手したものである。
【0019】
<実施例1>(カビおよび酵母の1,5-AM変換率の比較)
1,5-AFは微生物の増殖を抑制する作用を有するが、その作用は細菌に対しては強いものの、カビや酵母には殆ど作用しない。従って、1,5-AFから1,5-AMを微生物により製造するには、1,5-AFの増殖抑制の影響が少ない酵母やカビが良いと考えられるため、表1に示すカビおよび酵母を準備し、1,5-AM変換率を調べた。
グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%および麦芽エキス0.3%、からなるYM液体培地(pH6.2)5mLを15mL容の遠心チューブに分注し、この遠心チューブ中に寒天培地(グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%、寒天粉末1.5%、pH6.2)で培養した表1に示す菌株をそれぞれ1白金耳接種し、30℃、130rpmで一晩振盪培養した。この培養液を遠心分離(3000g、15分)して菌体を回収した。回収した菌体に、孔径0.45μmフィルターで除菌処理した0.1%/22mMリン酸緩衝液(pH6.86)の1,5-AF溶液を2mL添加し、30℃、130rpmで一晩菌体と1,5-AFを接触させた。
この液をHPLC分析し、1,5-AMおよび1,5-AGのピーク面積を測定して1,5-AM変換率を求めた。その結果を表1に示す。カビに比べて、酵母の方が1,5-AM変換率が高い傾向にあった。
【0020】
【表1】
【0021】
<実施例2>(各酵母の1,5-AM変換率の比較)
実施例1より、酵母の方が1,5-AM変換率が高いことが分かったため、表2に示す酵母を準備し、その中で1,5-AM変換率の高い酵母を調べた。
グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%および麦芽エキス0.3%、からなるYM液体培地(pH6.2)5mLを15mL容の遠心チューブに分注し、この遠心チューブ中に寒天培地(グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%、寒天粉末1.5%、pH6.2)で培養した表2に示す菌株をそれぞれ1白金耳接種し、30℃、130rpmで一晩振盪培養した。この培養液を遠心分離(3000g、15分)して菌体を回収した。回収した菌体に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を1mL添加して混合し、遠心分離(3000g、15分)後に上澄みを廃棄し菌体を回収した。これに孔径0.45μmフィルターで除菌処理した0.1%の1,5-AF/22mMリン酸緩衝液(pH6.86)を1mL添加して、25℃、130rpmで一晩菌体と1,5-AFを接触させた。
この液をHPLC分析し、生成した1,5-AGと1,5-AMのピーク面積を測定し、1,5-AM変換率を求めた。その結果、評価した殆どの微生物が1,5-AGと1,5-AMの両方を生成したが、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株だけが1,5-AMのみを選択的に生成し、1,5-AM変換率は100%であった。
【0022】
【表2】
【0023】
<実施例3>(各ウィッカーハモマイセス属の1,5-AM変換率の比較)
実施例2から、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株を用いると1,5-AM変換率が高いことが分かったため、表3に示すウィッカーハモマイセス属の菌株を準備し、その中で1,5-AM変換率の高い菌株を調べた。
用いる菌体を、表3に示すウィッカーハモマイセス属の菌体にした以外は実施例2と同様にして1,5-AM変換率を求めた。その結果、ウィッカーハモマイセス属の中でもウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株のみが1,5-AM変換率が100%であった。
【0024】
【表3】
【0025】
<実施例4>(ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株の1,5-AM資化性)
合成培地(YEM培地:Yeast Nitrogen Base)5mLを15mL容の遠心チューブに分注し、この遠心チューブ中に寒天培地(グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%、寒天粉末1.5%、pH6.2)で培養したウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株(NBRC0707)を1白金耳接種し、30℃、130rpmで一晩振盪培養した。これを種培養液とした。別に合成培地(YEM培地)5mLを試験管に分注し、孔径0.45μmフィルターで除菌処理した表4に示す糖類をそれぞれの試験管に1%になるように添加し、種培養液を20μL添加して、25℃、130rpmで一晩振盪培養した。
この培養液を適量サンプリングし、濁度計(バイオクロム社製、ジーンクオント100)を用いて660nmの波長における培養液の濁度を測定した。この結果を、添加した糖類ごとに表4に示す。
添加した糖類がグルコースの場合は、660nmの波長の透過率が減少し濁度が増加したことから、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株(NBRC0707)が増殖していることが分かった。これに対して、添加した糖類が1,5-AMの場合は、濁度の増加は認められず、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株(NBRC0707)が増殖しないことが分かった。
上記より、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株(NBRC0707)は1,5-AMを資化することができず、生成した1,5-AMは培地に蓄積されていくことが分かった。よって、ウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株(NBRC0707)は、1,5-AMの生成に適した菌であることが分かった。
【0026】
【表4】
【0027】
<実施例5>(発酵時間と1,5-AM変換率の関係)
YM液体培地を15mL容の遠心チューブに5mL調製し、この遠心チューブ中に寒天培地(グルコース12.0%、ペプトン0.51.0%、酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%、寒天粉末1.5%、pH6.2)で培養したウィッカーハモマイセス・アノマルス種の菌株(NBRC0707)を1白金耳接種し、30℃、130rpmで一晩振盪培養した。これを種培養液とした。別途、ペプトンを1.0g、酵母エキスを0.6g、麦芽エキスを0.6g、および1,5-AF12gを100mLの精製水に溶解した。該水溶液をポアサイズ0.2μMのメンブレンフィルターでろ過し、次いでろ過後の水溶液に種培養液を5mL加え、25℃、130rpmで振盪培養した。培養中に、5%グルコース水溶液を当該培地に連続して添加した。また、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキスも当該培地に適時添加した。
この培養中の培地から、200μLを随時サンプリングした。サンプリングした培地を精製水で10倍希釈し、HPLC分析により1,5-AMと1,5-AGのピーク面積を測定して、1,5-AM変換率を求めた。発酵時間と1,5-AM変換率(%)の関係を図1に示す。この結果、発酵時間が264時間での1,5-AM変換率は76.2%に達した。
図1