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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182214
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】道路の構造
(51)【国際特許分類】
   E01C 5/06 20060101AFI20231219BHJP
   E01C 11/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E01C5/06
E01C11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095688
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩明
(72)【発明者】
【氏名】松畑 大樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 康善
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA03
2D051AC04
2D051AF03
2D051AF17
2D051AG03
2D051AG11
2D051AH01
2D051FA03
(57)【要約】
【課題】舗装部材の位置決めと共に、雨水を路面に滞留させず、かつ路盤に流れ込まないようにする道路の構造を提供する。
【解決手段】道路2は、路盤6の上に複数の舗装ブロック4を敷設して形成される。舗装ブロック4は、角部を角位置決め部材10により、辺部を辺位置決め部材12により、それぞれ位置決めされる。また、角位置決め部材10及び辺位置決め部材12を備える位置決め部材8は、目地を排水溝16として利用できるように目地の底を塞ぐ。路面上に降る雨水は、排水溝16に流れ込み、そして路面の道路2の脇の側溝に流れ込む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路盤上に並べて敷設されることで道路の舗装表面を形成する複数の舗装部材と、
前記舗装部材間の目地を所定の間隔となるよう位置決めする位置決め部材と、
前記目地内の雨水を前記路盤に流出させることなく前記道路の脇の側溝に流出させる排水部材と、
を備えることを特徴とする道路の構造。
【請求項2】
前記排水部材は、前記目地を前記道路における雨水の排水溝として利用する場合、前記排水溝の底を形成することを特徴とする請求項1に記載の道路の構造。
【請求項3】
前記排水部材は、前記目地の下部を塞ぐ板部を有することを特徴とする請求項2に記載の道路の構造。
【請求項4】
前記位置決め部材は、
前記目地の下部を塞ぐ板部と、
前記板部に立設し、前記舗装部材の角部及び側面と当接することで前記舗装部材の水平方向の位置ずれを阻止する壁部と、
を備え、前記排水部材を兼用することを特徴とする請求項3に記載の道路の構造。
【請求項5】
前記排水部材は、前記舗装部材の側面に架設されることで前記排水溝の底を形成することを特徴とする請求項2に記載の道路の構造。
【請求項6】
前記排水部材は、弾性を有することを特徴とする請求項5に記載の道路の構造。
【請求項7】
前記排水溝には、前記側溝に向けて下り勾配が与えられることを特徴とする請求項5に記載の道路の構造。
【請求項8】
前記位置決め部材は、
底板部と、
前記底板部から立設する凸部と、
を備え、
前記舗装部材は、
底面に形成される凹部を備え、
前記凹部に前記凸部が嵌め合わされることによって位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の道路の構造。
【請求項9】
前記位置決め部材は、矩形形状の前記舗装部材の角部が集合する位置に配設され、
前記凸部は、前記底板部から前記舗装部材の角部の底面それぞれに形成されている前記凹部と対向する位置に配設されることを特徴とする請求項8に記載の道路の構造。
【請求項10】
前記位置決め部材の前記凸部及び前記舗装部材の前記凹部は、円筒形状で形成されることを特徴とする請求項9に記載の道路の構造。
【請求項11】
前記凸部は、前記底板部から垂直に立設する垂直板であり、
前記凹部は、溝であり、
前記舗装部材は、前記溝に前記位置決め部材の前記垂直版が嵌め合わされることによって位置決めされることを特徴とする請求項8に記載の道路の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の構造、特に路盤の上に舗装部材を敷設して形成される道路の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロッキングブロック舗装では、車両等の輪荷重が作用した時に舗装部材間の目地に充填した砂により舗装部材相互のかみ合わせ効果が得られる。その一方、道路としての長年の使用により、敷き砂や目地内の砂が、輪荷重により移動したり雨水等によって目地から流出することによって、舗装部材の位置ずれが発生し、路面にガタツキが生じうる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1では、ペイバー間の目地部分に、十字交差部に接着剤と共に略逆T字形をした成型品を装着すると共に排水性が良好な成型部材を装着することで、ペイバーの位置ずれ防止と路面の排水性を担保する技術が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、目地部分に地面舗装用目地材を装着することで、表面材にガタツキが生じない地面舗装構造が提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、ブロック舗装用強化板で舗装用ブロックの角部を位置決めすると共に目地に入り込んだ雨水を路盤に流出する機構を設けることで、舗装用ブロックの位置決めと路面の排水性を担保する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-207483号公報
【特許文献2】特開平10-298910号公報
【特許文献3】特開2020-125654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2では、雨水を路面から排出することができず、路面に滞留させてしまう。一方、特許文献1,3では、雨水を路面から排水することは可能である。しかしながら、雨水は、最終的に路盤に排水される。雨水が路盤に流出されると、道路としての長年の利用により、路盤が雨水によって浸食されてしまう可能性がある。このため、位置決め部材を利用しても、路盤上に載置される位置決め部材自体が舗装部材と共にがたついてしまい、結果として路面にガタツキが発生してしまう可能性が生じてくる。このように、従来においては、雨水への対応が十分でない。
【0008】
本発明は、舗装部材の位置決めと共に、雨水を路面に滞留させず、かつ路盤に流れ込まないようにする道路の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る道路の構造は、路盤上に並べて敷設されることで道路の舗装表面を形成する複数の舗装部材と、前記舗装部材間の目地を所定の間隔となるよう位置決めする位置決め部材と、前記目地内の雨水を前記路盤に流出させることなく前記道路の脇の側溝に流出させる排水部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記排水部材は、前記目地を前記道路における雨水の排水溝として利用する場合、前記排水溝の底を形成することを特徴とする。
【0011】
また、前記排水部材は、前記目地の下部を塞ぐ板部を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記位置決め部材は、前記目地の下部を塞ぐ板部と、前記板部に立設し、前記舗装部材の角部及び側面と当接することで前記舗装部材の水平方向の位置ずれを阻止する壁部と、を備え、前記排水部材を兼用することを特徴とする。
【0013】
また、前記排水部材は、前記舗装部材の側面に架設されることで前記排水溝の底を形成することを特徴とする。
【0014】
また、前記排水部材は、弾性を有することを特徴とする。
【0015】
また、前記排水溝には、前記側溝に向けて下り勾配が与えられることを特徴とする。
【0016】
また、前記位置決め部材は、底板部と、前記底板部から立設する凸部と、を備え、前記舗装部材は、底面に形成される凹部を備え、前記凹部に前記凸部が嵌め合わされることによって位置決めされることを特徴とする。
【0017】
また、前記位置決め部材は、矩形形状の前記舗装部材の角部が集合する位置に配設され、前記凸部は、前記底板部から前記舗装部材の角部の底面それぞれに形成されている前記凹部と対向する位置に配設されることを特徴とする。
【0018】
また、前記位置決め部材の前記凸部及び前記舗装部材の前記凹部は、円筒形状で形成されることを特徴とする。
【0019】
また、前記凸部は、前記底板部から垂直に立設する垂直板であり、前記凹部は、溝であり、前記舗装部材は、前記溝に前記位置決め部材の前記垂直版が嵌め合わされることによって位置決めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、舗装部材の位置決めと共に、雨水を路面に滞留させず、かつ路盤に流れ込まないようにする道路の構造を提供することができる。このため、敷き砂や目地の砂の移動や流出を発生しがたく、舗装部材の位置づれやガタツキが起きない長期共用可能な道路の構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る道路の構造の実施の形態1が適用される道路の一部分を切り取って上方から見たときの平面図である。
図2図1に示す道路の一部分の側面図である
図3】実施の形態1における位置決め部材を示す斜視図である。
図4】実施の形態1において、雨が降っているときの道路の状態を示す概念図である。
図5】本発明に係る道路の構造の実施の形態2が適用される道路の一部分を切り取って上方から見たときの平面図である。
図6図5に示す道路の一部分の側断面図である。
図7】実施の形態2における位置決め部材を示す斜視図である。
図8】実施の形態2におけるレインモールを示す斜視図である。
図9】実施の形態2における位置決め部材及びレインモールの舗装ブロックへの装着部分を示す側断面図である。
図10】本発明に係る道路の構造の実施の形態3が適用される道路の一部分を切り取って上方から見たときの平面図である。
図11図10に示す道路の一部分の側断面図である。
図12】実施の形態3における位置決め部材を示す斜視図である。
図13】実施の形態3における舗装ブロックの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0023】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る道路の構造の一実施の形態が適用される道路の一部分を切り取って上方から見たときの平面図である。図2は、図1に示す道路の一部分の側面図である。図3は、本実施の形態における位置決め部材を示す斜視図である。以下、これらの図を用いて、本実施の形態における道路の構造について説明する。
【0024】
本実施の形態における道路2は、舗装ブロック4を、適切な強度に造成された路盤6の上に並べて形成される。舗装ブロック4は、路盤6の上に並べて敷設されることで道路の舗装表面を形成する舗装部材である。「舗装部材」としては、その他にもパネル、プレート、ペイバー、タイル等種々の呼び方や材質等があるが、本実施の形態における「舗装部材」は、これら全てを包含する。また、プレキャストコンクリート版も舗装道路を形成することから、本実施の形態における「舗装部材」に含まれる。舗装ブロック4の形状は、特に限定する必要はない。本実施の形態では、舗装ブロック4の形状として、一般的な矩形形状、特に正方形を例にして説明する。舗装ブロック4を正方形で形成する場合、舗装ブロック4の大きさは、1辺20~150cmほどであるが、30~100cmとするのが望ましい。舗装ブロック4の厚さは、適用する道路の交通によって設計されるが、おおよそ6~30cm程度とする。
【0025】
道路2は、舗装ブロック4を縦横に並べて敷設されて形成される。舗装ブロック4の並べる数は、道路2の広さや用途等によって決めればよい。本実施の形態では、道路2として車道を想定して説明するが、歩道や駐車場等人や車両等が通行しうる道路にも適用可能である。
【0026】
図1には、路盤6の上に舗装ブロック4を縦横に3個ずつ並べて敷設されている部分と、敷設されている舗装ブロック4と係合する位置決め部材8とが示されている。路盤6には、本実施の形態において特徴的な位置決め部材8が載置され、詳細は後述するように、舗装ブロック4は、位置決め部材8によって位置決めされて路盤6の上に敷設される。
【0027】
位置決め部材8は、舗装ブロック4間の目地を所定の間隔となるよう位置決めする。更に、本実施の形態における位置決め部材8は、目地内の雨水を路盤6に流出させることなく道路2の脇の側溝14に流出させる排水部材を兼用する。位置決め部材8の形状は、舗装部材の形状に応じて決められる。
【0028】
本実施の形態における位置決め部材8は、図3に示すように、2つの部材10,12により構成される。部材(以下、「角位置決め部材」と称する)10は、平板状で略八角形の基盤10aと、壁部となる垂直板10bと、で形成される。角位置決め部材10は、4個の舗装ブロック4の角が集合する路盤6の場所に位置付けされる。基盤10aは、垂直板10bが立設される基盤であり、また載置される4個の舗装ブロック4の角部が載置される。また、基盤10aは、舗装ブロック4の角部付近の底面と接して目地を塞ぐ板部である。
【0029】
垂直板10bは、基盤10aの上に平面板を垂直に立設されて形成される。1つの角位置決め部材10は、4個の舗装ブロック4の角部と係合するので、それぞれに対応させて4組の垂直板10bを有している。1組の垂直板10b-1,10b-2は、正方形の舗装ブロック4の角の角度(90度)に合わせて直交する角度で、対向する辺が隙間なく当接した状態で立設される。また、隣接する組の垂直板10b-1と垂直板10b-2は、平行に立設され、後述する排水溝16の一部を形成する。
【0030】
角位置決め部材10が舗装ブロック4の角部に対応するのに対し、部材(以下、「辺位置決め部材」と称する)12は、舗装ブロック4の辺部(角部を除く側面)に対応する。辺位置決め部材12は、平板状で長方形の基盤12aと、壁部となる垂直板12bとで形成される。辺位置決め部材12は、道路2への設置時には隣接する角位置決め部材10の間に配設される。基盤12aは、垂直板12bが立設される基盤であり、また載置される2個の舗装ブロック4の辺部の底面と接して目地の下部を塞ぐ板部である。垂直板12bは、基盤12aの上に平面板状の1組の垂直板12b-1,12b-2を垂直に立設されて形成される。1組の垂直板12b-1,12b-2は、平行に立設され、その間隔は、前述した角位置決め部材10における隣接する組の垂直板10b-1と垂直板10b-2の間隔と同じである。1組の垂直板12b-1,12b-2は、後述する排水溝16の一部を形成する。つまり、角位置決め部材10と辺位置決め部材12を接合することで、舗装ブロック4間の目地を排水溝16として利用することができる。
【0031】
本実施の形態では、位置決め部材8の垂直板10b,12bの舗装ブロック4と対向する側面を舗装ブロック4の側面に当接させることで、隣接する舗装ブロック4同士を所定の間隔で安定的に位置決めすると共に、水平方向の位置ずれを阻止する。隣接する組の垂直板10b-1と垂直板10b-2及び1組の垂直板12b-1と垂直板12b-2の間隔は、舗装ブロック4の目地の幅となる。この幅は、舗装ブロック4の大きさ等にもよるが、0.5~2.0cm程度とする。
【0032】
次に、本実施の形態における道路の形成方法について説明する。
【0033】
従前と同様に、路盤6は、適切な強度に造成される。路盤6表面のうねりが大きい場合には、適切な厚さの敷き砂を設けてもよい。敷き砂を設けることで、路盤6のうねりを吸収することができ、これにより、舗装ブロック4間の不陸を小さくできる。続いて、図1に示すように、位置決め部材8は、4つの位置決め部材8の垂直板10b,12bで正方形状の空間を形成するように路盤6の上に載置される。この際、角位置決め部材10と辺位置決め部材12の対向する面、具体的には隣り合う垂直板10bと垂直板12bの対向する各側面及び基盤10aと基盤12aの対向する各側面を接着剤等で接合する。これにより、角位置決め部材10と辺位置決め部材12との間から雨水が漏れないようにする。
【0034】
続いて、位置決め部材8によって形成される正方形状の空間の中に舗装ブロック4をそれぞれ載置する。このように、道路2は、舗装ブロック4が敷設されることによって形成される。
【0035】
なお、上記説明では、位置決め部材8を路盤6の上に先に載置し、その後、舗装ブロック4を位置決め部材8で形成される正方形状の空間内に載置するようにした。ただ、必ずしもこの手順とする必要はない。例えば、道路2の脇の側溝14から他方の脇の側溝14に向けて位置決め部材8と舗装ブロック4を交互に設置しては位置を微調整する。具体的には、垂直板10b,12bと舗装ブロック4との間に隙間ができないように、換言すると垂直板10b,12bと舗装ブロック4が確実に当接するように調整しながら道路2を形成するようにしてもよい。
【0036】
図4は、雨が降っているときの道路2の状態を示す概念図である。道路2の脇には、側溝14が設けられている。図4に示すように、雨(点線で表す)が降ると、路面上の雨水は、滞留することなく、矢印で示すように路面より低い位置にある目地の方に流れる。
【0037】
ところで、本実施の形態においては、前述したように、隣接する舗装ブロック4の間にできる目地を、道路2における雨水の排水溝16として利用する。排水溝16の側面は、舗装ブロック4の側面及び位置決め部材8の垂直板10b,12bで形成される。また、排水溝16の底面は、基盤10a,12aにより形成される。
【0038】
前述したように、路面上の雨水は、路面上に滞留することなく排水溝16に流出される。そして、排水溝16の雨水は、排水溝16に滞留することなく、また路盤6に流出されることなく排水溝16より低い位置にある側溝14に流出される。
【0039】
本実施の形態における道路の構造によれば、道路2に降った雨を路面上に滞留させることなく排水溝16に流出できる。また、排水溝16を流れる雨水は、位置決め部材8により路盤に流出されることはない。よって、道路2が長年利用されたとしても、路盤6が雨水によって浸食されることはない。また、路盤6は、雨水により浸食されることがないため、路盤6上に設置される位置決め部材8が路盤6の上でがたつくこともない。よって、舗装ブロック4を長期にわたりがたつかせることなく位置決めすることができる。
【0040】
ところで、上記説明では、角位置決め部材10と辺位置決め部材12を接着剤で接合すると説明した。ただ、接合方法は、これに限らない。例えば、後述する実施の形態2の位置決め部材22のように、接合部分に凹凸を設けて嵌め合わせる構造としてもよい。接着剤は、劣化等により剥がれる可能性があるが、嵌め合わせる構造とすれば、剥がれるおそれがない。
【0041】
実施の形態2.
図5は、本発明に係る道路の構造の実施の形態2が適用される道路の一部分を切り取って上方から見たときの平面図である。図6は、図5に示す道路の一部分の側断面図である。図7は、本実施の形態における位置決め部材を示す斜視図である。図8は、本実施の形態におけるレインモールを示す斜視図である。図9は、本実施の形態における位置決め部材22及びレインモール24の舗装ブロック4への装着部分を示す側断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施の形態における道路の構造について説明する。なお、実施の形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付ける。
【0042】
本実施の形態における道路2は、実施の形態1と同様に、舗装部材としての舗装ブロック4を路盤6の上に並べて形成される。実施の形態1と異なるのは、位置決め部材と排水部材とが別個に用意される。具体的には、実施の形態1においては、位置決め部材8が排水部材を兼用していたが、本実施の形態では、位置決め部材22とは別個に排水部材としてレインモール24が用いられる。
【0043】
図5には、路盤6の上に舗装ブロック4を縦横に3個ずつ並べて敷設されている部分と、敷設されている舗装ブロック4と係合する位置決め部材22及びレインモール24とが示されている。路盤6の上には、位置決め部材22が載置され、詳細は後述するように、舗装ブロック4は、位置決め部材22によって位置決めされて路盤6の上に敷設される。
【0044】
本実施の形態における位置決め部材22は、図7に示すように、平板状で略八角形の基盤22aと、複数の円筒形状の凸部22bと、で形成される。位置決め部材22は、矩形形状の舗装ブロック4の角部が集合する路盤6の場所に位置付けされる。基盤22aは、凸部22bを立設させるための基盤である。また、基盤22aは、載置される4個の舗装ブロック4の角部付近の底面と接して目地を塞ぐ底板部である。1つの位置決め部材22は、4個の舗装ブロック4の角部と係合するので、凸部22bは、各舗装ブロック4の角部と対向する位置に4個形成される。舗装ブロック4の底面角部の凸部22bと対向する位置には、凹部4aが設けられる。凸部22bは、舗装ブロック4と対向する位置の凹部4aに嵌め合わされることで、舗装ブロック4を位置決め部材22から位置ずれしないように固定する。これにより、位置決め部材22は、4個の舗装ブロック4の角同士を所定の間隔で安定的に隔てる。1つの舗装ブロック4は、4か所の角部において、周囲の8個の舗装ブロック4と連結される。したがって、1つの舗装ブロック4上で車両が制動をかけた際に、周囲の8個の舗装ブロック4まで道路面上のせん断方向の制動力が伝達されるので、車両が制動力を伝えた舗装ブロック4の横ずれの抑止効果が大きい。また、位置決め部材22の凸部22b及び舗装ブロック4の凹部4aは、円筒形状としたことで、凸部22bには、制動力が均等にかかりやすい。
【0045】
本実施の形態におけるレインモール24は、排水部材として設けられている。レインモール24の断面は、下側に突き出る略U字形状をしている。レインモール24の両先端部には、外側に向けて突き出た凸部24cが設けられる。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、隣接する舗装ブロック4の間にできる目地を、道路2における雨水の排水溝16として利用する。排水溝16の側面は、舗装ブロック4の側面で形成される。そして、排水溝16の底面は、レインモール24により形成される。レインモール24は、弾性を有する素材、例えばゴム、樹脂およびそれらの発砲材料などにより形成される。
【0046】
本実施の形態におけるレインモール24は、2つの部材24a,24bにより構成される。部材(以下、「角部レインモール」と称する)24aは、四角形の舗装ブロック4の角部が集合する場所に位置付けられる。そのため、角部レインモール24aは、略十字形状をしており、舗装ブロック4への装着時には、舗装ブロック4の角部に対応する位置の目地の中に装着される。
【0047】
角部レインモール24aが舗装ブロック4の角部に対応するのに対し、部材(以下、「辺部レインモール」と称する)24bは、舗装ブロック4の辺部(角部を除く側面)に対応する。辺部レインモール24bは、舗装ブロック4への装着時には角部レインモール24aの間に配設され、四角形の舗装ブロック4の辺に対応する位置の目地の中に装着される。
【0048】
また、角部レインモール24aと辺部レインモール24bは、接合されて使用されるが、その接合部分から雨水が漏れて路盤6に流出しない構造とする必要がある。本実施の形態では、図8に示すように断面が略U字形状である本体部分の、他方のレインモール24と対向する部分の一方(図8では辺部レインモール24b)の外側と他方(図8では角部レインモール24a)の内側を削り取ることで、相互に嵌まる形状に形成している。
【0049】
次に、本実施の形態における道路の形成方法について説明する。
【0050】
従前と同様に、路盤6は、適切な強度に造成される。続いて、図9に示すように、位置決め部材22の凸部22bを、舗装ブロック4の凹部4aに嵌め込む。このようにして、4つの舗装ブロック4が1つの位置決め部材22により所定の目地間隔にて位置決めされる。
【0051】
続いて、角部レインモール24aと辺部レインモール24bが接合され形成されたレインモール24が舗装ブロック4に装着されることになるが、レインモール24の幅は、図9において破線で示すレインモール24のように目地の幅より若干大きい。このため、レインモール24は、人手等により矢印A方向に幅を縮めた状態で目地の中に挿入され、矢印B方向に押し込まれる。そして、レインモール24の凸部24cが舗装ブロック4の側面に設けられている溝4bに位置まで押し込まれると、レインモール24の両端にある凸部24cは、レインモール24が持つ弾性力により、それぞれに対向する溝4bに嵌まり込む。このようにして、レインモール24は、舗装ブロック4の側面に架設された状態で取り付けられ固定される。なお、舗装ブロック4の溝4bとレインモール24の凸部24c、更に角部レインモール24aと辺部レインモール24bとの接合部分をシーラント剤にて接合すると、雨水の路盤6への浸入をより確実に阻止することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、舗装ブロック4に溝4bを設けてレインモール24の凸部24cを嵌め合わせる構造とした。ただ、このような凹凸を設ける構造に限定する必要はない。例えば、レインモール24の幅を目地の幅よりだいぶ大きくして、弾性力をより発揮させることで、レインモール24を目地に挿入するだけの構造としてもよい。この場合でもシーラント材を用いて接合してもよい。
【0053】
また、目地の中でのレインモール24の取付位置、つまり取り付ける高さは種々選択できる。図9に例示するように舗装ブロック4の底面近くにすると、排水溝16の容積を大きくできるので、より多くの雨水を流すことができる。一方、レインモール24の目地の中での取付位置を舗装ブロック4の上面に近づけると、レインモール24を目地の下方に押し込む量が少なくてよいので、レインモール24を底面近くに取り付ける場合に比して楽である。
【0054】
本実施の形態における道路の構造では、弾性を有するレインモール24を利用している。このため、ブレーキ等によって路面に横方向の力が作用したとしても、レインモール24の弾性により破損しにくい。
【0055】
ところで、本実施の形態においては、舗装ブロック4の目地を排水溝16として利用することで、路面の雨水を側溝14まで流すことのできる構造とした。このため、道路2には、排水のための勾配を設ける必要はない。つまり、排水勾配のない道路2を提供できるので、横断勾配により車両が歩道に寄りにくい道路を提供できる。また、歩道寄り(つまり、側溝14側)の車道に水たまりができにくい。すなわち、交通安全の向上に寄与する道路2を提供することが可能となる。
【0056】
また、排水溝16に、側溝14に向けて下り勾配を与えるように設置すると、速やかな雨水の排水が可能となる。ただ、設けなくとも雨水は重力に従って下層、すなわち側溝14に流れていくので、必ずしも設ける必要はない。排水溝16に下り勾配を与えない場合、排水溝16の底部に若干の雨水の滞留が発生しうるかもしれない。ただ、排水溝16の上部は開放されているので、天候が晴天となれば、蒸発して乾燥する。
【0057】
実施の形態3.
図10は、本発明に係る道路の構造の実施の形態3が適用される道路の一部分を切り取って上方から見たときの平面図である。図11は、図10に示す道路の一部分の側断面図である。図12は、本実施の形態における位置決め部材26を示す斜視図である。図13は、本実施の形態における舗装ブロック4の底面図である。以下、これらの図を用いて、本実施の形態における道路の構造について説明する。なお、実施の形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付ける。
【0058】
本実施の形態における道路2は、実施の形態1と同様に、舗装部材としての舗装ブロック4を路盤6の上に並べて形成される。本実施の形態における位置決め部材26は、実施の形態1と、位置決め部材が排水部材を兼用する点で共通するが、1種類、同一形状の位置決め部材のみで実現する点が異なる。
【0059】
本実施の形態における位置決め部材26は、図12に示すように底面部としての基盤26aと、基盤26aの両側辺部で立設する凸部としての垂直板26bと、で構成され、その断面は、図11に示すようにコの字形状をしている。基盤26aの両端には、突出させることで角部26a-1が形成される。位置決め部材26は、図10に示すように舗装ブロック4の各辺に沿って格子状に並べて配設される。各位置決め部材26の各角部26a-1は、舗装ブロック4の角部分で他の3つの位置決め部材26の角部26a-1と当接し、かつ当接する部分に隙間ができないように、それぞれ90度で形成される。
【0060】
本実施の形態における舗装ブロック4の底面には、図13に示すように4つの位置決め部材26の垂直板26bが挿着されるように溝4cが形成される。溝4cは、細長い形状の凹部であり、本実施の形態の場合、舗装ブロック4の側面に沿って1周している。本実施の形態では、実施の形態2と同様に、舗装ブロック4の底面に形成する凹部に、位置決め部材26に形成する凸部を嵌め合わせることによって、舗装ブロック4を所定の間隔で位置決めする。なお、図10では、図面の簡略化のために、舗装ブロック4の下方に位置する位置決め部材26のみを図示し、溝4cは図示していない。
【0061】
本実施の形態における道路の形成方法は、基本的には実施の形態1と同様でよい。すなわち、位置決め部材26は、適切な強度に造成された路盤6の上に格子状に配置する。この際、角部26a-1の側面同士を接着剤等で接合することで、他の位置決め部材26との当接面から雨水が漏れないようにする。なお、他の位置決め部材26と当接する角部26-1の側面は、平面で形成されることを想定しているが、例えば角部26-1の側面に凹凸を設けてそれぞれが嵌合する形状とすることにより、接着剤等を用いずに接合できる構造としてもよい。
【0062】
続いて、位置決め部材26を格子状に配置することで垂直板26bによって形成される正方形状の凸部が正方形状の溝26cの中に収まるように舗装ブロック4を載置する。
【0063】
以上のようにして、舗装ブロック4は、位置決め部材26によって位置決めされる。そして、本実施の形態においても上記各実施の形態と同様に、隣接する舗装ブロック4の間にできる目地を、道路2における雨水の排水溝16として利用できる。基盤26aは、排水溝16の底を形成する。
【0064】
また、本実施の形態における舗装ブロック4は、実施の形態2と同様に4か所の角部において、周囲の8個の舗装ブロック4と連結される。従って、車両からの制動力は、前後に分散し、車両が制動力を伝えた舗装ブロック4の横ずれの抑止効果が大きい。ただ、本実施の形態における位置決め部材26は、実施の形態2と比較して舗装ブロック4と係合する面積が大きいので、特にコンクリート製の舗装版に発生する応力が低減する。従って、位置決め部材26と舗装ブロック4との係合部分が破損しにくい。
【符号の説明】
【0065】
2 道路、4 舗装ブロック、4a 凹部、4b,4c 溝、6 路盤、8,22 辺位置決め部材、10,12,26 角位置決め部材、10a,12a,22a,26a 基盤、10b,10b-1,10b-2,12b,12b-1,12b-2,26b 垂直板、14 側溝、16 排水溝、22b,24c 凸部、24 レインモール、24a 角部レインモール、24b 辺部レインモール、26a-1 角部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13