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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182223
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】フェライトコアクランプ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/26 20060101AFI20231219BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20231219BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20231219BHJP
   H01F 17/06 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01F27/26 130Q
F16B2/08 U
H05K9/00 L
H01F17/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095703
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本多 亨
(72)【発明者】
【氏名】大橋 健二
(72)【発明者】
【氏名】荻野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 亮
【テーマコード(参考)】
3J022
5E070
5E321
【Fターム(参考)】
3J022DA01
3J022DA12
3J022EA02
3J022ED03
3J022FA05
3J022FB08
3J022FB12
3J022GB42
3J022HB06
5E070AA01
5E070BA18
5E070BB01
5E070CA07
5E070DB06
5E321AA32
5E321BB51
5E321CC03
5E321CC25
5E321CC26
5E321GG05
5E321GG09
(57)【要約】
【課題】ベルトによって結束したフェライトコアが横ズレすることがないフェライトコアクランプを提供すること。
【解決手段】フェライトコアクランプ1は、柱状に形成されたフェライトコアの外面を押し当て可能な押当プレート21と、押当プレート21にフェライトコア40の外面41を押し当てた状態で押当プレート21とフェライトコア40を結束可能なベルト5と、押当プレート21またはベルト5にヒンジ27aを介して撓み可能に設けられた隙詰部材27を備えている。そして、押当プレート21にフェライトコア40の外面41を押し当てた状態で押当プレート21とフェライトコア40をベルト5によって結束すると、結束したベルト5から外面27cが押圧されて撓んだ隙詰部材27の内面27bがフェライトコア40の外面41を押し当てる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライトコアクランプであって、
柱状に形成されたフェライトコアの外面を押し当て可能な押当プレートと、
前記押当プレートに前記フェライトコアの前記外面を押し当てた状態で前記押当プレートと前記フェライトコアを結束可能なベルトと、
前記押当プレートまたは前記ベルトにヒンジを介して撓み可能に設けられた隙詰部材と、を備え、
前記押当プレートに前記フェライトコアの前記外面を押し当てた状態で前記押当プレートと前記フェライトコアを前記ベルトによって結束すると、結束した前記ベルトから外面が押圧されて撓んだ前記隙詰部材の内面が前記フェライトコアの前記外面を押し当てるフェライトコアクランプ。
【請求項2】
請求項1に記載のフェライトコアクランプであって、
前記フェライトコアは、角柱状に形成され、
前記隙詰部材の前記内面は、平面状であり、
前記隙詰部材の前記外面は、円弧状であるフェライトコアクランプ。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか1項に記載のフェライトコアクランプであって、
前記結束した状態における前記隙詰部材は、前記フェライトコアに形成されている一対のリブの間に入り込み、
前記一対のリブの内側の幅長は、前記隙詰部材の幅長より僅かに大きく設定されているフェライトコアクランプ。
【請求項4】
請求項3に記載のフェライトコアクランプであって、
前記ベルトは、前記押当プレートに対して別体で設けられており、
前記押当プレートは、前記押当プレートと前記フェライトコアを前記結束した状態の前記ベルトの横ズレを規制する前記一対のガイドを備えているフェライトコアクランプ。
【請求項5】
請求項3に記載のフェライトコアクランプであって、
前記ベルトの基端に設けられたバックルを備え、
前記バックルは、前記押当プレートを境に前記隙詰部材の反対側に位置するように前記押当プレートに対して一体で設けられているフェライトコアクランプ。
【請求項6】
請求項3に記載のフェライトコアクランプであって、
前記ベルトの先端から挿し込み可能な挿通孔を有するバックルを備え、
前記ベルトと、前記バックルは、前記押当プレートを境に対向するように前記押当プレートにそれぞれ設けられ、
前記隙詰部材は、前記ベルトに設けられているフェライトコアクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライトコアクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤーハーネスには、ノイズ対策として柱状に形成されたフェライトコアが装着されている(特許文献1参照)。このフェライトコア340を支持する部材として、フェライトコアクランプ301が知られている(図12参照)。このフェライトコアクランプ301は、フェライトコア340の外面341を押し当て可能な押当プレート321を備える。この押当プレート321にフェライトコア340の外面341を押し当てた状態で押当プレート321とフェライトコア340をベルト部材304のベルト305によって結束する。これにより、フェライトコアクランプ301にフェライトコア340を簡便に装着できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3-59693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したように結束しても、ベルト305は所定の剛性を有するため、ベルト305がフェライトコア340の外面341に追従しないことがあった(図13参照)。すなわち、結束したベルト305からフェライトコア340の外面341に作用する押し当て力が不十分なことがあった。そのため、フェライトコア340がフェライトコアクランプ301に対して横ズレする(長手方向にズレ動く)ことがあった。そこで、ベルトによって結束したフェライトコア340が横ズレすることがないフェライトコアクランプ301が従来必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、フェライトコアクランプは、柱状に形成されたフェライトコアの外面を押し当て可能な押当プレートを備えている。また、フェライトコアクランプは、押当プレートにフェライトコアの外面を押し当てた状態で押当プレートとフェライトコアを結束可能なベルトを備えている。また、フェライトコアクランプは、押当プレートまたはベルトにヒンジを介して撓み可能に設けられた隙詰部材を備えている。そして、押当プレートにフェライトコアの外面を押し当てた状態で押当プレートとフェライトコアをベルトによって結束すると、結束したベルトから外面が押圧されて撓んだ隙詰部材の内面がフェライトコアの外面を押し当てる。
【0006】
そのため、結束したベルトから隙詰部材を介してフェライトコアの外面に押し当て力が作用する。したがって、隙詰部材とフェライトコアの横ズレの移動(長手方向へのズレ動き)を規制する。結果として、フェライトコアがフェライトコアクランプに対して横ズレすることがない。
【0007】
本開示の他の特徴によると、フェライトコアは、角柱状に形成されている。隙詰部材の内面は、平面状である。隙詰部材の外面は、円弧状である。そのため、フェライトコアの外面に対する隙詰部材の内面の押し当ては面接触となる。また、隙詰部材の外面は円弧状に形成されているため、この円弧状の外面に沿った状態でベルトが引き締められる。したがって、ベルトから隙詰部材の外面への押圧も面接触となる。ゆえに、ベルトによる結束力を隙詰部材を介してフェライトコアの外面の広範囲に及ぼすことができる。結果として、フェライトコアの横ズレを確実に防ぐことができる。
【0008】
本開示の他の特徴によると、結束した状態における隙詰部材は、フェライトコアに形成されている一対のリブの間に入り込む。一対のリブの内側の幅長は、隙詰部材の幅長より僅かに大きく設定されている。そのため、仮に、フェライトコアクランプに対してフェライトコアが横ズレしても、直ぐに、フェライトコアクランプの隙詰部材の外縁とフェライトコアの一対のリブの内縁が干渉する。したがって、フェライトコアの横ズレをより確実に防ぐことができる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、ベルトは、押当プレートに対して別体で設けられている。押当プレートは、押当プレートとフェライトコアを結束した状態のベルトの横ズレを規制する一対のガイドを備えている。そのため、別体でベルトを設けても、押当プレートに対するベルトの横ズレを防止できる。
【0010】
本開示の他の特徴によると、ベルトの基端に設けられたバックルを備えている。バックルは、押当プレートを境に隙詰部材の反対側に位置するように押当プレートに対して一体で設けられている。そのため、押当プレートに対するベルトの横ズレを防止する部材を必要とすることなく、このベルトの横ズレを防止できる。
【0011】
本開示の他の特徴によると、ベルトの先端から挿し込み可能な挿通孔を有するバックルを備えている。ベルトと、バックルは、押当プレートを境に対向するように押当プレートにそれぞれ設けられる。隙詰部材は、ベルトに設けられている。そのため、押当プレートに対するベルトの横ズレを防止する部材を必要とすることなく、このベルトの横ズレを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るフェライトコアクランプとベルト部材の全体斜視図である。
図2図1を反対側から見た全体斜視図である。
図3図1のフェライトコアクランプの正面図である。
図4図1のフェライトコアクランプの平面図である。
図5図1のフェライトコアクランプの側面図である。
図6図1において、フェライトコアクランプにフェライトコアを結束した状態の全体斜視図である。
図7図6を反対側から見た全体斜視図である。
図8図6の正面図である。
図9図6の側面図である。
図10】第2実施形態に係るフェライトコアクランプの全体斜視図である。
図11】第3実施形態に係るフェライトコアクランプの全体斜視図である。
図12】従来技術において、フェライトコアクランプにフェライトコアを結束した状態の全体斜視図である。
図13図12の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態を図1~9を用いて説明する。第1実施形態は、フェライトコアクランプ1に対して別体でベルト部材4を設けた形態である。フェライトコアクランプ1およびベルト部材4は、それぞれが所定の剛性を有する合成樹脂材による一体成形品である。そして、ベルト部材4によって結束することでフェライトコアクランプ1にフェライトコア40を支持する。以下に、これらフェライトコアクランプ1とフェライトコア40を個別に説明する。
【0014】
はじめに、フェライトコアクランプ1を説明する。図1~2に示すように、フェライトコアクランプ1は、基体2と、基体2と別体で構成されたベルト部材4を備える。基体2は、平面視において、略L字の平板状に形成された基体本体20と、基体本体20の一端部20cから突出するように平板状に形成された押当プレート21と、アンカー体3を備える(図4参照)。
【0015】
押当プレート21の一方面21aは、フェライトコア40の外面41を押し当て可能な平らな押し当て面である(図3参照)。この押当プレート21の一方面21aは、基体本体20の一方面20aに面一となっている。押当プレート21の一方面21aの一端部21cは、一対の差込部26を備える(図2、5参照)。この一対の差込部26の幅長は、後述するフェライトコア40の一対のリブ42の幅長より僅かに小さく設定されている。
【0016】
そのため、この一対の差込部26が一対のリブ42の間に入り込むと、フェライトコアクランプ1に対するフェライトコア40の長手方向の横ズレを抑制できる。押当プレート21の他方面21bは、押当プレート21を結束するベルト部材4のベルト5の横ズレを規制する一対のガイド22を備える(図1参照)。一対のガイド22の幅長は、ベルト5の幅長より僅かに大きく設定されている。
【0017】
一対のガイド22の長手方向と、フェライトコアクランプ1に結束されるフェライトコア40の長手方向は直交する(図6参照)。一対のガイド22の先端における長手方向の略中央部は、互いを橋渡すカバー23によって覆われている(図2参照)。これら一対のガイド22とカバー23により、ベルト部材4のベルト5を通す挿込口24が形成される。この挿込口24は、ベルト5を挿し込むことが可能であるが、バックル6を挿し込むことができないサイズとなっている。
【0018】
押当プレート21の他方面21bの一端部21cは、ベルト部材4のバックル6を載せる凹状のバックル載部25を備える。これにより、押当プレート21の他方面21bに載せたバックル6がズレ動くことを防止できる。バックル載部25は、厚み方向を貫通する切欠25aを備える。これにより、バックル載部25に載せたバックル6の挿通孔6aにフェライトコア40の外面41を結束するベルト5を挿し込むことができる。
【0019】
押当プレート21の他端部21dは、ヒンジ27aを介して撓み可能な隙詰部材27を備える。隙詰部材27の内面27bは、平面状に形成されている(図5参照)。隙詰部材27の外面27cは、円弧状に形成されている。隙詰部材27の幅長は、フェライトコア40の一対のリブ42の幅長より僅かに小さく設定されている。そのため、この隙詰部材27が一対のリブ42の間に入り込むと、フェライトコアクランプ1に対するフェライトコア40の長手方向の横ズレを抑制できる。
【0020】
一方、アンカー体3は、公知のものであって、支柱30と、支柱30から張り出し弾性変形可能な一対の係止脚31と、支柱30の基端に設けられ弾性変形可能なスタビライザ32を備える(図1~2参照)。このアンカー体3は、基体2の基体本体20の他方面20bの他端部20dにおいて、他方面20bから突出するように設けられる。
【0021】
このアンカー体3の支柱30をパネル部材の取付孔(いずれも図示しない)に挿し込んでいく。すると、撓んだスタビライザ32と撓んだ一対の係止脚31の間にパネル部材が挟み込まれる。同時に、撓んだ一対の係止脚31の係合爪(図示しない)が取付孔の孔縁に係合する。これにより、パネル部材の取付孔にアンカー体3を装着できる。すなわち、パネル部材にフェライトコアクランプ1を装着できる。
【0022】
次に、ベルト部材4を説明する。図1~2に示すように、ベルト部材4は、公知のものであって、長手方向に沿ってラチェット状に形成された複数のラック歯5aを有し所定の剛性を備えたベルト5と、ベルト5の基端に設けられたバックル6を備える。バックル6は、ベルト5の長手方向に対して略直交する方向に沿ってベルト5を挿し込み可能な挿通孔6aを備える。バックル6の挿通孔6aの内部は、挿し込んだベルト5のラック歯5aに噛み合うロック爪(図示しない)を備える。
【0023】
そのため、バックル6の挿通孔6aにベルト5を挿し込んで引き締めると、ラック歯5aとロック爪との噛み合いにより、バックル6に対してベルト5がロックされる。なお、ベルト5の引き締めによりバックル6の挿通孔6aから引き出されたベルト5の余剰部分は、適宜にカットされる。フェライトコアクランプ1は、このように構成されている。
【0024】
続いて、フェライトコア40を説明する。図5~6に示すように、フェライトコア40は、内部にワイヤーハーネス50を挟み込み可能な半割構造であって、例えば、8角柱状に構成されている。このフェライトコア40により、内部に挟み込んだワイヤーハーネス50のノイズを吸収できる。フェライトコア40の外面41は、押当プレート21の一方面21aおよび隙詰部材27の内面27bに面接触可能に平面状に形成されている。
【0025】
この外面41のうち、第2外面41b、第4外面41d、第6外面41f、第8外面41hは、一対のリブ42を備える。この一対のリブ42の内側の幅長は、フェライトコアクランプ1の隙詰部材27幅長より僅かに大きく設定されている。なお、この外面41のうち、残りの第1外面41a、第3外面41c、第5外面41e、第7外面41gは、一対のリブ42を備えていない。
【0026】
続いて、上述したフェライトコアクランプ1の動作を説明する。この説明にあたって、予め、フェライトコア40の内部にワイヤーハーネス50を挟み込んでおく。まず、フェライトコア40の外面41(一対のリブ42を備えていない外面41であり、例えば、第1外面41a)をフェライトコアクランプ1の押当プレート21の一方面21aに押し当てる作業を行う。
【0027】
このとき、フェライトコア40の長手方向がフェライトコアクランプ1の一対のガイド22の長手方向に略直交するようにフェライトコア40の外面41を押し当てる。その際、フェライトコアクランプ1の一対の差込部26がフェライトコア40の外面41(第8外面41h)の一対のリブ42の間に入り込むようにフェライトコア40の外面41を押し当てる。
【0028】
このようにフェライトコア40の外面41を押し当てると、この押し当てられた外面41は押当プレート21の一方面21aだけでなく基体本体20の一方面20aにも及ぶ(図8参照)。そのため、この外面41の押し当ての領域(面積)を広げることができる。したがって、フェライトコア40の外面41を安定して押し当てることができる。次に、この押し当て状態のまま、ベルト部材4のベルト5の先端をフェライトコアクランプ1のバックル載部25側から挿込口24に挿し込む作業を行う。
【0029】
次に、この挿し込み状態のまま、ベルト部材4のベルト5をフェライトコア40の外面41に巻き付ける作業を行う。次に、この巻き付け状態のまま、ベルト部材4のベルト5の先端から切欠25aを介してバックル6の挿通孔6aに挿し込む作業を行う。次に、この挿し込み状態のまま、ベルト部材4のベルト5を引き締める作業を行う。
【0030】
すると、既に説明したように、ベルト5のラック歯5aとバックル6のロック爪との噛み合いにより、バックル6に対してベルト5がロックされる。すなわち、フェライトコアクランプ1の押当プレート21とフェライトコア40がベルト部材4によって結束される。このとき、ベルト5が引き締められた状態であるため、この引き締められたベルト5から隙詰部材27の外面27cが押圧される(図9参照)。
【0031】
そのため、ヒンジ27aを介して隙詰部材27が撓み、撓んだ隙詰部材27の内面27bがフェライトコア40の外面41(例えば、第2外面41b)を押し当てる。この撓んだ隙詰部材27は、第2外面41bの一対のリブ42の間に入り込む。ラック歯5aと噛み合ったロック爪を有するバックル6は、フェライトコアクランプ1のバックル載部25に載った状態となる。
【0032】
なお、隙詰部材27の外面27cは円弧状に形成されているため、この円弧状の外面27cにベルト5が沿った状態(ベルト5と隙詰部材27が面接触した状態)でベルト5が引き締められる。また、隙詰部材27の内面27bは平面状に形成されているため、この隙詰部材27による押し当ては面接触となる。最後に、バックル6の挿通孔6aから引き出されたベルト5の余剰部分をカットする作業を行う。これら一連の作業によって、フェライトコアクランプ1にフェライトコア40をベルト部材4によって結束できる(図6~7参照)。
【0033】
第1実施形態に係るフェライトコアクランプ1は、上述したように構成されている。この構成によれば、フェライトコアクランプ1は、基体2の基体本体20と、基体本体20の一端部20cから突出する押当プレート21を備える。押当プレート21は、フェライトコア40の外面41を押し当て可能な平らな一方面21aを備える。押当プレート21の他端部21dは、ヒンジ27aを介して撓み可能な隙詰部材27を備える。また、フェライトコアクランプ1は、基体2と別体を成すベルト部材4を備える。フェライトコアクランプ1の押当プレート21にフェライトコア40の外面41を押し当てた状態で押当プレート21とフェライトコア40をベルト部材4によって結束する。すると、結束したベルト部材4から外面27cが押圧されてヒンジ27aを介して撓んだ隙詰部材27の内面27bがフェライトコア40の外面41を押し当てる。そのため、結束したベルト5から隙詰部材27を介してフェライトコア40の外面41に押し当て力が作用する。したがって、隙詰部材27とフェライトコア40の横ズレの移動(長手方向へのズレ動き)を規制する。結果として、フェライトコア40がフェライトコアクランプ1に対して横ズレすることがない。
【0034】
また、この構成によれば、フェライトコア40は、8角柱状に構成されている。隙詰部材27の内面27bは、平面状に形成されている。隙詰部材27の外面27cは、円弧状に形成されている。そのため、フェライトコア40の外面41に対する隙詰部材27の内面27bの押し当ては面接触となる。また、隙詰部材27の外面27cは円弧状に形成されているため、この円弧状の外面27cに沿った状態でベルト5が引き締められる。したがって、ベルト5から隙詰部材27の外面27cへの押圧も面接触となる。ゆえに、ベルト5による結束力を隙詰部材27を介してフェライトコア40の外面41の広範囲に及ぼすことができる。結果として、フェライトコア40の横ズレを確実に防ぐことができる。
【0035】
また、この構成によれば、ベルト部材4によって結束した状態における隙詰部材27は、フェライトコア40に形成されている一対のリブ42の間に入り込む。一対のリブ42の内側の幅長は、隙詰部材27の幅長より僅かに大きく設定されている。そのため、仮に、フェライトコアクランプ1に対してフェライトコア40が横ズレしても、直ぐに、フェライトコアクランプ1の隙詰部材27の外縁とフェライトコア40の一対のリブ42の内縁が干渉する。したがって、フェライトコア40の横ズレをより確実に防ぐことができる。
【0036】
また、この構成によれば、ベルト部材4は、押当プレート21(フェライトコアクランプ1)に対して別体で設けられる。押当プレート21の他方面21bは、押当プレート21を結束するベルト部材4のベルト5の横ズレを規制する一対のガイド22を備える。そのため、別体でベルト部材4を設けても、押当プレート21に対するベルト部材4の横ズレを防止できる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態を図10を用いて説明する。第2実施形態は、フェライトコアクランプ101に対して一体でベルト部材4を設けた点が第1実施形態と相違する。なお、以下の説明にあたって、第1実施形態で説明した部材と同一の機能を果たす部材は、図面において同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する。このことは、後述する第3実施形態においても同様である。
【0038】
図10に示すように、第2実施形態のフェライトコアクランプ101では、基体2は、基体本体20と押当プレート21が兼ねたものとなっている。すなわち、基体本体20の一端部20cが押当プレート21となっている。押当プレート21の一端部21c(隙詰部材27の反対側)は、ベルト部材4のバックル6を備えている。すなわち、バックル6は、押当プレート21を境に隙詰部材27の反対側に位置するように押当プレート21に対して一体で設けられている。ベルト5は、隙詰部材27の反対側に向けて突出するようにバックル6に設けられている。
【0039】
このフェライトコアクランプ101でも、フェライトコアクランプ1と同様に、フェライトコア40をベルト部材4によって結束できる。そのため、このフェライトコアクランプ101でも、フェライトコアクランプ1と同様の作用効果を得ることができる。また、バックル6が押当プレート21に対して一体で設けられているため、押当プレート21に対するベルト部材4の横ズレを防止する部材(例えば、一対のガイド22)を必要とすることなく、このベルト部材4の横ズレを防止できる。
【0040】
(第3実施形態)
第3実施形態を図11を用いて説明する。第3実施形態は、ベルト5がバックル6から離れて設けた点が第2実施形態と相違する。
【0041】
図11に示すように、第3実施形態のフェライトコアクランプ201では、基体2は、基体本体20と押当プレート21が兼ねたものとなっている。すなわち、基体本体20の一端部20cが押当プレート21となっている。押当プレート21の一端部21c(隙詰部材27の反対側)は、ベルト部材4のバックル6を備えている。押当プレート21の他端部21dは、ベルト部材4のベルト5を備えている。ベルト5は、バックル6の反対側に向けて突出するように設けられている。すなわち、ベルト5と、バックル6は、押当プレート21を境に対向するように押当プレート27にそれぞれ設けられている。ベルト5の基端は、ヒンジ27aを介して撓み可能な隙詰部材27を備える。
【0042】
このフェライトコアクランプ201でも、フェライトコアクランプ1と同様に、フェライトコア40をベルト部材4によって結束できる。そのため、このフェライトコアクランプ201でも、フェライトコアクランプ1と同様の作用効果を得ることができる。また、バックル6が押当プレート21に対して一体で設けられているため、押当プレート21に対するベルト部材4の横ズレを防止する部材(例えば、一対のガイド22)を必要とすることなく、このベルト部材4の横ズレを防止できる。
【0043】
実施形態を上記構造を参照して説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって実施形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば実施形態は、特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。
【0044】
例えば、フェライトコア40は、8角柱状に構成されている。これに代えて、フェライトコア40は、五角柱状、六角柱状等、多角柱状であれば何角柱状でも構わない。また、もちろん、フェライトコア40は、円柱状でも構わない。また、ベルト部材4に代えて、各種のバンド、結束部材でも構わない。
【0045】
また、基体2は、アンカー体3を備え、このアンカー体3をパネル部材の取付孔に装着する形態を説明した。これに代えて、基体2またはパネル部材は、ブラケット等を備え、このブラケット等をパネル部材または基体2に装着する形態でも構わない。
【符号の説明】
【0046】
1 フェライトコアクランプ(第1実施形態)
5 ベルト
21 押当プレート
27 隙詰部材
27a ヒンジ
27b 内面
27c 外面
40 フェライトコア
41 外面
101 フェライトコアクランプ(第2実施形態)
201 フェライトコアクランプ(第3実施形態)
図1
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