(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182234
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】経路案内方法、経路案内装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20231219BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/26 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095719
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】田幡 光
(72)【発明者】
【氏名】石川 真澄
(72)【発明者】
【氏名】村田 一仁
(72)【発明者】
【氏名】金井 真希
(72)【発明者】
【氏名】中山 将年
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB03
2F129CC26
2F129CC28
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD32
2F129DD40
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE62
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2F129EE67
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE90
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF52
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF73
2F129FF75
2F129GG17
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザに対してより適切な経路を案内することができるようにする。
【解決手段】本発明の経路案内装置100は、所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得する取得部121と、所定の経路上に位置する領域の状況情報に基づいて経路のスコアを算出する算出部122と、スコアに基づいて経路を決定して出力する決定部123と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得し、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出し、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する、
経路案内方法。
【請求項2】
請求項1に記載の経路案内方法であって、
所定の経路上に位置する領域に存在する複数種類の動作物体のそれぞれの状況を前記状況情報として取得し、
複数種類の動作物体のそれぞれの状況に基づいて前記スコアを算出する、
経路案内方法。
【請求項3】
請求項1に記載の経路案内方法であって、
領域に存在する移動体の状況を前記状況情報として取得する、
経路案内方法。
【請求項4】
請求項1に記載の経路案内方法であって、
領域に存在する動作物体の数を前記状況情報として取得する、
経路案内方法。
【請求項5】
請求項1に記載の経路案内方法であって、
領域に存在する動作物体によって生じる音情報を前記状況情報として取得する、
経路案内方法。
【請求項6】
請求項1に記載の経路案内方法であって、
出発地と目的地とを同一とする複数の経路についてそれぞれ前記スコアを算出し、
複数の経路それぞれの前記スコアに基づいて1つの経路を決定して出力する、
経路案内方法。
【請求項7】
請求項1に記載の経路案内方法であって、
前記状況情報を取得する度に、当該状況情報を取得した領域が位置する経路の前記スコアを算出し、
前記スコアを算出する度に、当該スコアに基づいて経路を決定して出力する、
経路案内方法。
【請求項8】
請求項1に記載の経路案内方法であって、
経路上のユーザの位置を取得し、
前記ユーザの位置に基づいて、当該ユーザのさらなる移動先となりうる新たな経路上の領域の前記状況情報に基づいて、新たな経路のスコアを算出し、
前記スコアに基づいて新たな経路を決定して出力する、
経路案内方法。
【請求項9】
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得する取得部と、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出する算出部と、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する決定部と、
を備えた経路案内装置。
【請求項10】
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得し、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出し、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内方法、経路案内装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの情報処理端末にて、ユーザに対して出発地から目的地までの経路を案内することが行われている。このような経路案内システムにおいて、さらに特許文献1では、危険領域を避ける経路を案内する、ことが記載されている。特許文献1では、危険領域は、予め測定された人物の生体情報に基づいて設定された領域であったり、過去に事件事故が発生したことによって設定された領域である、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、危険領域が個人の生体情報や過去に発生した事件事故に応じて設定されているだけであり、その他の状況が考慮されておらず、危険領域の設定が適切ではない場合が生じる。その結果、より適切な経路を案内することが困難である。
【0005】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、ユーザに対してより適切な経路を案内することが困難である、ことを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態である経路案内方法は、
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得し、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出し、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する、
という構成をとる。
【0007】
また、本発明の一形態である経路案内装置は、
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得する取得部と、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出する算出部と、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する決定部と、
を備えた、
という構成をとる。
【0008】
また、本発明の一形態であるプログラムは、
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得し、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出し、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する、
処理をコンピュータに実行させる、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上のように構成されることにより、ユーザに対してより適切な経路を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態1における経路案内システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に開示した経路案内装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に開示した経路案内装置による処理の様子を示す図である。
【
図4】
図1に開示した経路案内装置による処理の様子を示す図である。
【
図5】
図1に開示した経路案内装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に開示した経路案内装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態2における経路案内装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】本開示の実施形態2における経路案内装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本開示の第1の実施形態を、
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1乃至
図2は、経路案内システムの構成を説明するための図であり、
図3乃至
図6は、経路案内システムの処理動作を説明するための図である。
【0012】
[構成]
本実施形態における経路案内システムは、出発地点から目的地点まで移動するユーザUに対して経路を案内するためのものである。
図1に示すように、経路案内システムは、ネットワークNを介して接続された、経路案内装置10と、ユーザUが所持するユーザ端末20と、状況取得装置30と、を備えて構成されている。
【0013】
なお、本実施形態では、ユーザUは、徒歩で出発地から目的地まで移動することとし、よりスムーズに移動でき、危険度が低く安心して移動できるような経路を案内する場合を説明する。但し、本開示では、ユーザUは、徒歩で移動することに限定されず、自転車、自動車、バス、タクシーなど、いかなる方法で移動してもよい。以下、各構成について説明する。
【0014】
状況取得装置30は、演算装置と記憶装置とを備えた1台又は複数台の情報処理装置にて構成される。状況取得装置30は、所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得して、経路案内装置10に提供する機能を有する。具体的に、状況取得装置30は、後述するように案内する候補となる経路R上の所定の領域rにおける、人物や車両といった移動体の状況、例えば、領域r内を通行している人物、自転車、自動車の数を、状況情報として取得する。一例として、状況取得装置30は、領域rを撮影する防犯カメラからの撮影画像を既知の群衆行動解析や人流解析といった手法で解析処理することで、上述した移動体の数を計測して取得する。このとき、状況取得装置30は、領域rごと、時間帯ごとに、移動体の数を計測して取得してもよい。なお、状況取得装置30は、防犯カメラからの撮影画像に限らず、いかなる画像から移動体の数を計測してもよく、いかなる計測器による計測結果から移動体の数を計測してもよい。
【0015】
また、状況取得装置30は、状況情報として、領域rに存在する物体によって生じる音情報つまり騒音を計測して取得する。一例として、状況取得装置30は、領域rに設置された騒音計にて計測することで、人物間の揉め事による騒音や、自動車の走行による騒音の値を計測して取得する。なお、状況取得装置30は、領域rに存在する動作物体のいかなる状況、例えば、大気の汚染度合いや天候といった状況も、状況情報として取得してもよい。
【0016】
また、状況取得装置30は、状況情報を事前に取得して蓄積したデータベース装置であってもよい。例えば、状況取得装置30は、領域rに存在する動作物体の状況として、夜間に点灯するよう動作する街灯の数や、領域rの画像を撮影するよう動作する防犯カメラの数の情報を、状況情報として取得して記憶していてもよい。また、状況取得装置30は、領域rにおいて発生した事象の数、例えば、交通事故や、喧嘩・暴行など犯罪の発生件数を、状況情報として取得して記憶してもよい。さらに、状況取得装置30は、領域r内において経路Rとして使用されうる道路の道幅など、ユーザUが移動する際に影響のある状況を表す情報を、状況情報として取得していてもよい。
【0017】
ユーザ端末20は、演算装置と記憶装置とを備えた1台又は複数台の情報処理装置にて構成される。特に、本実施形態では、ユーザ端末20は、ユーザUが所持するスマートフォンなどの携帯型情報処理端末である。ここで、ユーザUは、旅行や出張などで不慣れな土地を移動する人物であり、後述するように経路案内装置10にて提供される経路案内サービスに事前に登録することとする。このため、ユーザ端末20は、ユーザUの操作によりネットワークNを介して経路案内装置10にアクセスし、経路案内サービスを利用するための情報を送信して登録する機能を有する。但し、ユーザUは、不慣れな土地を移動する場合に限らず、いかなる場所において経路案内サービスを利用してもよい。
【0018】
具体的に、ユーザ端末20は、ユーザUの操作により経路案内装置10にアクセスし、出発地と目的地の情報を送信して、出発地から目的地までの経路案内を要求する。例えば、ユーザUは、ユーザ端末20から、出発地及び目的地それぞれを特定する情報、一例として、施設名称、住所などを経路案内装置10に送信して経路案内を要求する。また、ユーザ端末20は、経路案内要求に応じて経路案内装置10から送信された経路を受信して、表示画面に表示する。
【0019】
また、ユーザ端末20は、ユーザ端末20自体の位置情報を経路案内装置10に通知する機能を有する。例えば、ユーザ端末20は、GPS(Global Positioning System)装置を搭載しており、自己の位置情報を一定の時間間隔で取得して経路案内装置10に通知する。なお、ユーザ端末20は、現在のユーザ端末20の位置情報を、上述した出発地の情報として経路案内装置10に送信してもよい。
【0020】
経路案内装置10は、演算装置と記憶装置とを備えた1台又は複数台の情報処理装置にて構成される。経路案内装置10は、ユーザUに対して経路案内を行うサービスを提供する事業者によって管理されている情報処理装置である。そして、経路案内装置10は、
図2に示すように、取得部11、算出部12、決定部13、通知部14、を備える。取得部11、算出部12、決定部13、通知部14の各機能は、演算装置が記憶装置に格納された各機能を実現するためのプログラムを実行することにより実現することができる。また、経路案内装置10は、ユーザ情報記憶部16、状況情報記憶部17、を備える。ユーザ情報記憶部16、状況情報記憶部17は、記憶装置により構成される。以下、各構成について詳述する。
【0021】
取得部11は、所定の領域rの状況情報を取得する。例えば、取得部11は、上述した状況取得装置30から一定の時間間隔で、領域rにおける状況情報を取得する。状況情報は、上述したように、例えば、各領域r内を通行している人物・自転車・自動車の数、各領域r内の騒音、街灯・防犯カメラの数、各領域rで発生した事故・事件・犯罪の数、各領域r内の道路の道幅、など、各領域r内の複数種類の物体の状況を表すものである。但し、取得部11は、上述した状況情報を状況取得装置30から取得することに限定されず、経路案内装置10自体が他の情報処理装置や計測器から取得してもよく、オペレータによって入力されることで取得してもよい。
【0022】
また、取得部11は、上述したようにユーザ端末20から通知される位置情報を受信し、かかる位置情報に基づいてユーザUの位置を取得する。例えば、取得部11は、一定の時間間隔でユーザ端末20から通知される位置情報を受信し、かかる位置情報と予め登録された地図情報とを用いて、ユーザUが位置する経路R上の具体的な地点、一例として、住所、緯度経度、地名、交差点名、施設名、建物名、などを取得する。但し、取得部11は、他の装置からユーザ端末20の位置情報を取得して、ユーザUの位置を検出してもよい。
【0023】
算出部12は、ユーザ端末20からの経路案内要求に応じて経路Rを検索し、かかる経路Rのスコアを算出する。具体的に、算出部12は、ユーザ端末20から、経路案内要求として出発地と目的地の情報を受信すると、予め登録された地図情報を参照して出発地から目的地までの経路Rを検索し、1つ又は複数の候補となる経路Rを生成する。そして、算出部12は、生成した候補となる経路R上に位置する領域rの状況情報に基づいて、候補となる経路Rのスコアを算出する。このとき、1つの経路R上には複数の領域rが位置することとなり、また、1つの領域rにも複数の状況情報が対応して取得される。このため、1つの経路Rにおいて、領域r毎、状況情報毎に、それぞれスコアを算出して、これらを総合したスコアを算出することで、1つの経路Rのスコアとする。
【0024】
例えば、スコアは、予め状況情報の内容によって算出方法が規定されており、かかる算出方法に基づいて算出される。一例として、状況情報が領域r内における人物・自転車・自動車の数である場合には、数が多いほどスコアが低く算出されるよう設定される。また、状況情報が領域r内の騒音である場合には、騒音の値が大きいほどスコアが小さく算出される。また、状況情報が領域r内の街灯・監視カメラの数である場合には、数が少ないほどスコアが小さく算出される。また、状況情報が領域r内の事故・事件・犯罪の発生件数である場合には、件数が多いほどスコアが小さく算出される。また、状況情報が領域r内の道幅である場合には、幅の値が小さいほどスコアが小さく算出される。そして、各状況情報には予め設定された重みが付与されており、各状況情報の重みを考慮して、経路における総合したスコアを算出してもよい。例えば、人物の数に対応するスコアよりも自動車の数に対応するスコアの重みを大きくしたり、自動車の数に対応するスコアよりも騒音に対応するスコアの重みを大きくするなどすることができる。このとき、状況情報に付与される重みは、ユーザUの属性として予め設定されていたり、経路案内要求時にユーザUにてユーザ端末2を介して設定されてもよい。例えば、ユーザUは、自身が希望する経路の状況に対応する状況情報を指定し、その重みが大きくなるよう設定する。一例として、ユーザUは、街灯が多い経路を希望する場合には、街灯の数の重みを大きくするよう設定し、人混みを避けたいことを希望する場合には、人物の数の重みを大きくするよう設定する。
【0025】
なお、算出部12は、経路R上における領域rの状況情報を取得する度に、かかる経路Rのスコアを算出してもよい。つまり、経路R上における領域rの状況は時々刻々と変化しているため、一定の時間間隔で状況情報を取得する度に、経路Rのスコアを算出して更新してもよい。
【0026】
また、算出部12は、ユーザUの位置を応じて、候補となる経路Rを新たに検索して生成し、新たな経路Rのスコアを算出してもよい。つまり、経路R上におけるユーザUの位置が移動した場合に、かかる移動後の位置を新たな出発地として目的地までの1つ又は複数の経路Rを新たに検索して生成してもよい。そして、新たな経路Rについて、上述同様に経路R上の領域rの状況情報に基づいてスコアを算出してもよい。
【0027】
ここで、算出部12による経路Rの生成とスコアを算出の一例を、
図3を参照して説明する。まず、ユーザUが出発地A、目的地Eとして経路案内を要求したとする。すると、算出部12は、候補となる経路を検索し、第1候補経路R「出発地A→地点B1→地点C1→地点D1→目的地E」と、第2候補経路R「出発地A→地点B2→地点C2→地点D2→目的地E」の2つの候補となる経路を生成する。そして、算出部12は、各候補となる経路Rごとに、取得している各領域rの状況情報に基づいてスコアを算出する。すると、
図3の例では、第1候補経路Rのスコアが80点、第2候補経路Rのスコアが60点と算出される。
【0028】
また、算出部12による経路Rの生成とスコアを算出の他の例を、
図4を参照して説明する。
図4の例では、算出部12は、ユーザUの移動に伴い、新たに候補となる経路Rを生成することとする。まず、符号T1に示すように、上述同様に、第1候補経路R「出発地A→地点B1→地点C1→地点D1→目的地E」と、第2候補経路R「出発地A→地点B2→地点C2→地点D2→目的地E」との2つの候補となる経路が生成されていることとする。この場合、後述するが、※印を付したスコアが高い方の第1候補経路R「出発地A→地点B1→地点C1→地点D1→目的地E」が、決定経路RとしてユーザUに提示されており、かかる決定経路Rに従ってユーザUは移動していることとする。その後、符号T2に示すように、決定経路R上の地点B1にユーザUが位置していることを検出すると、算出部12は、地点B1を新たな出発点として、新たな候補となる経路を検索し、第3候補経路R「出発地B1→地点C1→地点D1→目的地E」と、第4候補経路R「出発地B1→地点C2→地点D2→目的地E」との2つの候補となる経路を生成する。そして、算出部12は、新たな候補となる経路Rごとに、取得している各領域rの状況情報に基づいてスコアを算出する。すると、
図4の例では、第3候補経路Rのスコアが50点、第4候補経路Rのスコアが60点と算出される。
【0029】
続いて、後述するが、※印を付したスコアが高い方の第4候補経路R「出発地B1→地点C2→地点D2→目的地E」が決定経路RとしてユーザUに提示されており、かかる決定経路Rに従ってユーザUは移動していることとする。その後、符号T3に示すように、決定経路R上の地点C2にユーザUが位置していることを検出すると、算出部12は、地点C2を新たな出発点として、新たな候補となる経路を検索し、第5候補経路R「出発地C2→地点D1→目的地E」と、第6候補経路R「出発地C2→地点D2→目的地E」との2つの候補となる経路を生成する。そして、算出部12は、新たな候補となる経路Rごとに、取得している各領域rの状況情報に基づいてスコアを算出する。すると、
図4の例では、第4候補経路Rのスコアが50点、第6候補経路Rのスコアが60点と算出される。
【0030】
決定部13は、上述したように算出部12にて算出された複数の候補となる経路Rそれぞれのスコアに基づいて、1つの経路を決定経路Rとして決定する。このとき、決定部13は、スコアが最も高い候補となる経路Rを決定経路Rとする。そして、通知部14は、決定された決定経路Rを、ユーザ端末20に対して送信して、地図上に表示するなどしてユーザUに提示する。例えば、
図4の例では、符号T1の状況では、第1候補経路R「出発地A→地点B1→地点C1→地点D1→目的地E」を決定経路Rとして決定し、符号T2の状況では、第4候補経路R「出発地B1→地点C1→地点D1→目的地E」を決定経路Rとして決定し、符号T3の状況では、第6候補経路R「出発C2→地点D1→目的地E」を決定経路Rとして決定して、ユーザ端末20に通知する。
【0031】
なお、決定部13は、複数の候補となる経路をスコアと共にユーザ端末20に通知し、ユーザUにて選択された経路を決定経路Rとして決定してもよい。このとき、決定部13は、例えば、候補となる経路を、スコアを算出する際に用いた状況情報(例えば、人間や車両の数、騒音の大きさ、街灯の数、道幅、その領域の画像など)と共にユーザ端末2に提示してもよく、地図上に表示した候補となる経路自体をユーザ端末2に提示してもよい。これにより、ユーザUは候補となる経路の状況を認識でき、自身にとって適切な経路を選択することも可能となる。
【0032】
[動作]
次に、上述した経路案内装置10の動作を説明する。ここでは、一例として、経路を決定してユーザUに提示する基本的な動作と、ユーザUの位置に応じて経路を再生成して新たに決定した経路を提示する動作と、を説明する。まず、基本的な動作を、
図3と
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
経路案内装置10は、ユーザ端末20から、経路案内要求として出発地と目的地の情報を受信すると、予め登録された地図情報を参照して、出発地から目的地までの経路Rを検索して、1つ又は複数の候補となる経路Rを生成する(ステップS1)。
図3の例では、ユーザUが出発地A、目的地Eとして経路案内を要求した場合に、経路案内装置10は、第1候補経路R「出発地A→地点B1→地点C1→地点D1→目的地E」と、第2候補経路R「出発地A→地点B2→地点C2→地点D2→目的地E」の2つの候補となる経路を生成する。
【0034】
そして、経路案内装置10は、候補となる経路Rごとに、各領域rの状況情報を取得し(ステップS2)、各領域rの状況情報に基づいてスコアを算出する(ステップS3)。
図3の例では、第1候補経路Rのスコアが80点、第2候補経路Rのスコアが60点と算出される。その後、経路案内装置10は、複数の候補となる経路Rそれぞれのスコアに基づいて、1つの経路を決定経路Rとして決定する(ステップS4)。
図3の例では、経路案内装置10は、スコアが最も高い候補となる第1候補経路Rを決定経路Rとする。そして、経路案内装置10は、決定された決定経路Rをユーザ端末20に対して送信して、地図上に表示するなどしてユーザUに提示する(ステップS5)。
【0035】
続いて、上述した経路案内装置10による、ユーザUの位置に応じて経路を再生成して、新たに決定した経路を提示する動作を、
図4と
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
まず、上述したように、
図4の符号T1に示すように、経路R「出発地A→地点B1→地点C1→地点D1→目的地E」が決定経路RとしてユーザUに提示されていることとする。その後、経路案内装置10は、ユーザUの移動に伴い、新たに候補となる経路Rを生成することとなる。具体的に、経路案内装置10は、ユーザUの位置を取得し(ステップS11)、
図4の符号T2に示すように、決定経路R上の地点B1にユーザUが位置していることを検出すると、地点B1を新たな出発点として、新たな候補となる経路を検索して生成する(ステップS12)。この場合、経路案内装置10は、第3候補経路R「出発地B1→地点C1→地点D1→目的地E」と、第4候補経路R「出発地B1→地点C2→地点D2→目的地E」の2つの候補となる経路を生成する。そして、経路案内装置10は、新たな候補となる経路Rごとに、取得している各領域rの状況情報に基づいてスコアを算出する(ステップS13)。
図4の例では、第3候補経路Rのスコアが50点、第4候補経路Rのスコアが60点と算出され、経路案内装置10は、スコアが高い方の第4候補経路R「出発地B1→地点C2→地点D2→目的地E」を決定経路Rとして決定し(ステップS14)、かかる決定経路RをユーザUに提示する(ステップS15)。
【0037】
その後も、経路案内装置10は、上述した処理を繰り返す。経路案内装置10は、
図4の符号T2に示すように、決定経路R上の地点C2にユーザUが位置していることを検出すると(ステップS11)、地点C2を新たな出発点として新たな候補となる経路を検索し、第5候補経路R「出発地C2→地点D1→目的地E」と、第6候補経路R「出発地C2→地点D2→目的地E」の2つの候補となる経路を生成する(ステップS12)。そして、経路案内装置10は、新たな候補となる経路Rごとに、取得している各領域rの状況情報に基づいてスコアを算出する(ステップS13)。
図4の例では、第4候補経路Rのスコアが50点、第6候補経路Rのスコアが60点と算出され、経路案内装置10は、スコアが高い方の第6候補経路R「出発地C2→地点D2→目的地E」を決定経路Rとして決定し(ステップS14)、かかる決定経路RをユーザUに提示する(ステップS15)。
【0038】
以上のように、本実施形態では、経路R上に位置する領域rの様々な動作物体の状況を考慮してスコアを算出しているため、ユーザUにより適切な経路を案内することができる。例えば、領域r内の人物や車両などの数が少ないことでスムーズに移動でき、かつ、安全である経路、騒音が小さいことから人物間の喧嘩などの揉め事が発生していない経路、街灯や監視カメラの数が多く防犯性が高い経路など、複数の状況を考慮したより適切な経路を案内することができる。
【0039】
<実施形態2>
次に、本開示の第2の実施形態を、
図7乃至
図8を参照して説明する。
図7乃至
図8は、実施形態2における経路案内装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、上述した実施形態で説明した経路案内装置の構成の概略を示している。
【0040】
まず、
図7を参照して、本実施形態における経路案内装置100のハードウェア構成を説明する。経路案内装置100は、一般的な情報処理装置にて構成されており、一例として、以下のようなハードウェア構成を装備している。
・CPU(Central Processing Unit)101(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)102(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)103(記憶装置)
・RAM103にロードされるプログラム群104
・プログラム群104を格納する記憶装置105
・情報処理装置外部の記憶媒体110の読み書きを行うドライブ装置106
・情報処理装置外部の通信ネットワーク111と接続する通信インタフェース107
・データの入出力を行う入出力インタフェース108
・各構成要素を接続するバス109
【0041】
そして、経路案内装置100は、プログラム群104をCPU101が取得して当該CPU101が実行することで、
図8に示す取得部121と算出部122と決定部123とを構築して装備することができる。なお、プログラム群104は、例えば、予め記憶装置105やROM102に格納されており、必要に応じてCPU101がRAM103にロードして実行する。また、プログラム群104は、通信ネットワーク111を介してCPU101に供給されてもよいし、予め記憶媒体110に格納されており、ドライブ装置106が該プログラムを読み出してCPU101に供給してもよい。但し、上述した取得部121と算出部122と決定部123とは、かかる手段を実現させるための専用の電子回路で構築されるものであってもよい。
【0042】
なお、
図7は、経路案内装置100である情報処理装置のハードウェア構成の一例を示しており、情報処理装置のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、情報処理装置は、ドライブ装置106を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。また、情報処理装置は、上述したCPUの代わりに、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(TensorProcessingUnit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0043】
上記取得部121は、所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得する。動作物体は、例えば、人物、自転車、自動車など領域内を移動する移動物体や、街灯や監視カメラなど領域内に設置されていて所定の動作で作動する物体である。また、状況情報は、領域内の動作物体の数や、動作物体により生じる音情報である。
【0044】
上記算出部122は、所定の経路上に位置する領域の状況情報に基づいて、経路のスコアを算出する。このとき、算出部122は、例えば、状況情報の内容に応じて、経路をスムーズに移動できたり、安全に移動できるような場合を、スコアが高くなるよう算出する。そして、算出部122は、経路上に複数の領域が位置している場合には、これら複数の領域の状況情報を統合して1つのスコアを算出し、また、複数種類の状況情報に重みを付けて統合して1つのスコアを算出する。
【0045】
上記決定部123は、算出したスコアに基づいて経路を決定して出力する。例えば、スコアが最も高い1つの経路を決定してユーザに提示する。
【0046】
本開示は、以上のように構成されることにより、経路上に位置する領域の様々な動作物体の状況を考慮してスコアを算出して、かかるスコアに応じて経路を決定しているため、ユーザにより適切な経路を案内することができる。例えば、経路をスムーズかつ安全に移動できるような、ユーザにとってより適切な経路を案内することができ、かかる経路案内サービスの質の向上を図ることができる。
【0047】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0048】
以上、上記実施形態等を参照して本開示を説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、上述した取得部121と算出部122と決定部123との機能のうちの少なくとも一以上の機能は、ネットワーク上のいかなる場所に設置され接続された情報処理装置で実行されてもよく、つまり、いわゆるクラウドコンピューティングで実行されてもよい。
【0049】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における経路案内方法、経路案内装置、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得し、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出し、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する、
経路案内方法。
(付記2)
付記1に記載の経路案内方法であって、
所定の経路上に位置する領域に存在する複数種類の動作物体のそれぞれの状況を前記状況情報として取得し、
複数種類の動作物体のそれぞれの状況に基づいて前記スコアを算出する、
経路案内方法。
(付記3)
付記1に記載の経路案内方法であって、
領域に存在する移動体の状況を前記状況情報として取得する、
経路案内方法。
(付記4)
付記1に記載の経路案内方法であって、
領域に存在する動作物体の数を前記状況情報として取得する、
経路案内方法。
(付記5)
付記1に記載の経路案内方法であって、
領域に存在する動作物体によって生じる音情報を前記状況情報として取得する、
経路案内方法。
(付記6)
付記1に記載の経路案内方法であって、
出発地と目的地とを同一とする複数の経路についてそれぞれ前記スコアを算出し、
複数の経路それぞれの前記スコアに基づいて1つの経路を決定して出力する、
経路案内方法。
(付記7)
付記1に記載の経路案内方法であって、
前記状況情報を取得する度に、当該状況情報を取得した領域が位置する経路の前記スコアを算出し、
前記スコアを算出する度に、当該スコアに基づいて経路を決定して出力する、
経路案内方法。
(付記8)
付記1に記載の経路案内方法であって、
経路上のユーザの位置を取得し、
前記ユーザの位置に基づいて、当該ユーザのさらなる移動先となりうる新たな経路上の領域の前記状況情報に基づいて、新たな経路のスコアを算出し、
前記スコアに基づいて新たな経路を決定して出力する、
経路案内方法。
(付記9)
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得する取得部と、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出する算出部と、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する決定部と、
を備えた経路案内装置。
(付記9.1)
付記9に記載の経路案内装置であって、
前記取得部は、所定の経路上に位置する領域に存在する複数種類の動作物体のそれぞれの状況を前記状況情報として取得し、
前記算出部は、複数種類の動作物体のそれぞれの状況に基づいて前記スコアを算出する、
経路案内装置。
(付記9.2)
付記9に記載の経路案内装置であって、
前記取得部は、領域に存在する移動体の状況を前記状況情報として取得する、
経路案内装置。
(付記9.3)
付記9に記載の経路案内装置であって、
前記取得部は、領域に存在する動作物体の数を前記状況情報として取得する、
経路案内装置。
(付記9.4)
付記9に記載の経路案内装置であって、
前記取得部は、領域に存在する動作物体によって生じる音情報を前記状況情報として取得する、
経路案内装置。
(付記9.5)
付記9に記載の経路案内装置であって、
前記算出部は、出発地と目的地とを同一とする複数の経路についてそれぞれ前記スコアを算出し、
前記決定部は、複数の経路それぞれの前記スコアに基づいて1つの経路を決定して出力する、
経路案内装置。
(付記9.6)
付記9に記載の経路案内装置であって、
前記算出部は、前記状況情報を取得する度に、当該状況情報を取得した領域が位置する経路の前記スコアを算出し、
前記決定部は、前記スコアを算出する度に、当該スコアに基づいて経路を決定して出力する、
経路案内装置。
(付記9.7)
付記9に記載の経路案内装置であって、
前記取得部は、経路上のユーザの位置を取得し、
前記算出部は、前記ユーザの位置に基づいて、当該ユーザのさらなる移動先となりうる新たな経路上の領域の前記状況情報に基づいて、新たな経路のスコアを算出し、
前記決定部は、前記スコアに基づいて新たな経路を決定して出力する、
経路案内装置。
(付記10)
所定の領域の動作物体の状況を表す状況情報を取得し、
所定の経路上に位置する領域の前記状況情報に基づいて、経路のスコアを算出し、
前記スコアに基づいて経路を決定して出力する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0050】
10 経路案内装置
11 取得部
12 算出部
13 決定部
14 通知部
16 ユーザ情報記憶部
17 状況情報記憶部
20 ユーザ端末
30 状況取得装置
100 経路案内装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 プログラム群
105 記憶装置
106 ドライブ装置
107 通信インタフェース
108 入出力インタフェース
109 バス
110 記憶媒体
111 通信ネットワーク
121 取得部
122 算出部
123 決定部