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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182274
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20231219BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20231219BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20231219BHJP
   H01C 7/10 20060101ALI20231219BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01G4/30 500
H01G4/224 100
H01G4/30 201H
H01G2/10 K
H01G2/10 C
H01C7/10
H01G4/224
H01G4/228 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095775
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 朗丈
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴晃
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信弥
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ▲徳▼久
(72)【発明者】
【氏名】金子 英樹
(72)【発明者】
【氏名】油川 健
(72)【発明者】
【氏名】玉木 賢也
(72)【発明者】
【氏名】吉井 彰敏
【テーマコード(参考)】
5E001
5E034
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AC09
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF04
5E001AG01
5E034DA03
5E034DB06
5E034DC02
5E034DC04
5E034EB01
5E034EB02
5E034EB04
5E082BB04
5E082BC35
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG08
(57)【要約】
【課題】耐圧性の向上した電子部品を提供すること。
【解決手段】電子部品10は、第1電極部33と第2電極部34を有するセラミック素子30と、第1電極部とハンダを介して接続する第1電極接続部44と、第1外部接続部42と、を有する第1金属端子40と、第2電極部とハンダを介して接続する第2電極接続部54と、第2外部接続部52と、を有する第2金属端子50と、を有する。第1電極接続部44は、第1電極部との対向面44aの少なくとも一部が起伏して、第1電極部へのハンダの付着領域61の範囲を制御する第1ハンダ止め440を有する。第2電極接続部54は、第2電極部との対向面54aの少なくとも一部が起伏して、第2電極部へのハンダの付着領域62の範囲を制御する第2ハンダ止め540を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極部と第2電極部を有するセラミック素子と、
前記第1電極部とハンダを介して接続する第1電極接続部と、第1外部接続部と、を有する第1金属端子と、
前記第2電極部とハンダを介して接続する第2電極接続部と、第2外部接続部と、を有する第2金属端子と、を有し、
前記第1電極接続部は、前記第1電極部との対向面の少なくとも一部が起伏して、前記第1電極部へのハンダの付着領域の範囲を制御する第1ハンダ止めを有し、
前記第2電極接続部は、前記第2電極部との対向面の少なくとも一部が起伏して、前記第2電極部へのハンダの付着領域の範囲を制御する第2ハンダ止めを有する電子部品。
【請求項2】
前記第1ハンダ止めと、前記第2ハンダ止めのうち少なくとも一方は、
前記対向面において電極近接部を含み、
ハンダを溜めるハンダ貯留部を有する請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記ハンダ貯留部は、前記セラミック素子から離れる方向に延びる凹部を有する請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記ハンダ貯留部は、前記セラミック素子から離れる方向に延びる凹部を有し、
前記凹部の端縁は前記電極近接部により閉じている請求項2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第1ハンダ止めと、前記第2ハンダ止めのうち少なくとも一方は、
前記対向面における電極近接部に隣接して形成され、
ハンダの広がりを制御するハンダ流れ出し防止部を有する請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記ハンダ流れ出し防止部は、前記セラミック素子から離れる方向に延びる凹部を有する請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記ハンダ流れ出し防止部は、前記セラミック素子から離れる方向に延びる凹部を有し、
前記凹部の端縁の一部は、前記電極近接部により閉じられていない開口部が形成されている請求項5に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第1電極接続部は、前記セラミック素子の第1主面に沿って延在する略長方形状であり、
前記第2電極接続部は、前記セラミック素子の第2主面に沿って延在する略長方形状であり、
前記第1電極接続部または前記第2電極接続部のうち前記ハンダ流れ出し防止部を有する少なくとも一方では、長手方向と交差する方向に延びるように、前記ハンダ流れ出し防止部が配置してある請求項5に記載の電子部品。
【請求項9】
前記付着領域と、前記第1電極部または前記第2電極部においてハンダが付着しない非付着領域は、前記ハンダ流れ出し防止部を境にして仕切られている請求項8に記載の電子部品。
【請求項10】
前記第1ハンダ止めと前記第2ハンダ止めの少なくとも一方は、前記セラミック素子に近づく方向に突出した凸部を有する請求項1に記載の電子部品。
【請求項11】
前記セラミック素子を収納凹部に収納するケースを有する請求項1に記載の電子部品。
【請求項12】
前記第1外部接続部および前記第2外部接続部は、前記収納凹部の開口縁部に配置してある請求項11に記載の電子部品。
【請求項13】
前記第1外部接続部および前記第2外部接続部は、前記セラミック素子の第1主面および第2主面に対して略水平に配置してある請求項12に記載の電子部品。
【請求項14】
前記第1外部接続部および前記第2外部接続部は、前記セラミック素子の第1主面および第2主面に対して略垂直に配置してある請求項12に記載の電子部品。
【請求項15】
前記収納凹部には、モールド樹脂が充填してある請求項11に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンデンサ等として用いられる電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に開示されているような単板状の誘電体ディスクに対して、金属端子を接続して構成されるコンデンサ等の電子部品が提案されている。
【0003】
しかしながら、従来の電子部品では、特に高電圧を印加することで、誘電体ディスクと金属端子との接続不良が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-196348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記の実情を鑑みてなされ、その目的は、耐圧性の向上した電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る電子部品は、
第1電極部と第2電極部を有するセラミック素子と、
前記第1電極部とハンダを介して接続する第1電極接続部と、第1外部接続部と、を有する第1金属端子と、
前記第2電極部とハンダを介して接続する第2電極接続部と、第2外部接続部と、を有する第2金属端子と、を有し、
前記第1電極接続部は、前記第1電極部との対向面の少なくとも一部が起伏して、前記第1電極部へのハンダの付着領域の範囲を制御する第1ハンダ止めを有し、
前記第2電極接続部は、前記第2電極部との対向面の少なくとも一部が起伏して、前記第2電極部へのハンダの付着領域の範囲を制御する第2ハンダ止めを有する。
【0007】
本発明者らは、金属端子の電極接続部とセラミック素子の電極部とを接続するハンダの量が多くなることによって、耐圧性が低下することを見出した。電極接続部が有するハンダ止めによって、電極接続部と電極部とを接続するハンダの付着領域を所定範囲に制御することで、電子部品の耐圧性を向上させることが可能になる。
【0008】
前記第1ハンダ止めと、前記第2ハンダ止めのうち少なくとも一方は、前記対向面において電極近接部を含み、ハンダを溜めるハンダ貯留部を有していてもよい。また、前記ハンダ貯留部は、前記セラミック素子から離れる方向に延びる凹部を有していてもよい。さらに、前記凹部の端縁は前記電極近接部により閉じている。端縁が閉じた凹部で、ハンダを貯留することで、ハンダの付着領域が制御でき、電子部品の耐圧性を向上させることが可能になる。
【0009】
前記第1ハンダ止めと、前記第2ハンダ止めのうち少なくとも一方は、前記対向面における電極近接部に隣接して形成され、ハンダの広がりを制御するハンダ流れ出し防止部を有していてもよい。また、前記ハンダ流れ出し防止部は、前記セラミック素子から離れる方向に延びる凹部を有していてもよい。さらに前記凹部の端縁の一部は、前記電極近接部により閉じられていない開口部が形成されていてもよい。端縁が開いている凹部では、その部分にハンダが留まることで、ハンダが流れ出すことを効果的に防止でき、ハンダの付着領域が制御され得る。
【0010】
前記第1電極接続部は、前記セラミック素子の第1主面に沿って延在する略長方形状であり、前記第2電極接続部は、前記セラミック素子の第2主面に沿って延在する略長方形状であり、前記第1電極接続部または前記第2電極接続部のうち前記ハンダ流れ出し防止部を有する少なくとも一方では、長手方向と交差する方向に延びるように、前記ハンダ流れ出し防止部が配置してあってもよい。また、前記付着領域と、前記第1電極部または前記第2電極部においてハンダが付着しない非付着領域は、前記ハンダ流れ出し防止部を境にして仕切られていてもよい。
【0011】
このように構成することで、ハンダの付着領域が、電極接続部の長手方向の一方側に制御でき、電子部品の耐圧性を向上させることが可能になる。
【0012】
前記第1ハンダ止めと前記第2ハンダ止めの少なくとも一方は、前記セラミック素子に近づく方向に突出した凸部を有していてもよい。電極接続部に凸部を形成することでも、ハンダの流れ出しを防止することが可能である。
【0013】
前記セラミック素子を収納凹部に収納するケースを有していてもよい。ケース内の収納凹部にセラミック素子を収容するため、樹脂成形のためのキャビティ内にセラミック素子などを配置して外装材によるモールドを行う工程が必要なく、生産性が良好である。
【0014】
前記第1外部接続部および前記第2外部接続部は、前記収納凹部の開口縁部に配置してあってもよい。このように構成することで、電子部品を基板などに実装する場合には、開口縁部を実装面として基板に形成された外部回路と容易に接続することが可能になる。
【0015】
なお、前記第1外部接続部および前記第2外部接続部は、前記セラミック素子の第1主面および第2主面に対して略水平に配置してあってもよい。また、前記第1外部接続部および前記第2外部接続部は、前記セラミック素子の第1主面および第2主面に対して略垂直に配置してあってもよい。
【0016】
前記収納凹部には、モールド樹脂が充填してあってもよい。このように構成することで、モールド樹脂がセラミック素子全体を覆うことができ、電子部品の強度および絶縁性などを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は第1の実施形態に係る電子部品の構成を示す概略斜視図である。
図2図2図1に係る電子部品の他の角度から見た概略斜視図である。
図3図3図1に係る電子部品のケース部分の構成を示す概略斜視図である。
図4図4図1に係る電子部品のセラミック素子部分の構成を示す概略斜視図である。
図5図5図1に係る電子部品の金属端子の構成を示す概略斜視図である。
図6図6図1に係る電子部品の一部分を組み立てた状態を示す概略斜視図である。
図7図7図6に示す電子部品の一部分の平面図である。
図8図8図1に示すVIII-VIII線での断面図である。
図9図9は第2の実施形態に係る電子部品の金属端子の構成を示す概略斜視図である。
図10図10は第2の実施形態に係る電子部品の一部分を組み立てた状態を示す平面図である。
図11A図11Aは第2の実施形態に係る電子部品の断面図である。
図11B図11Bは第2の実施形態に係る電子部品の変形例を示す断面図である。
図12図12は第3の実施形態に係る電子部品の構成を示す概略斜視図である。
図13図13図12に係る電子部品の他の角度から見た概略斜視図である。
図14図14図12に係る電子部品のケース部分の構成を示す概略斜視図である。
図15図15図12に係る電子部品の金属端子の構成を示す概略斜視図である。略斜視図である。
図16図16は第3の実施形態に係る電子部品の一部分を組み立てた状態を示す平面図である。
図17図17図12に示すXVII-XVII線での断面図である。
図18図18は第4の実施形態に係る電子部品の金属端子の構成を示す概略斜視図である。
図19図19は第4の実施形態に係る電子部品の一部分を組み立てた状態を示す平面図である。
図20図20は第4の実施形態に係る電子部品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示を、図面に示す実施形態に基づき説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行う者の、図示する内容は、本願の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、以下、実施形態により具体的に説明するがこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0019】
第1実施形態
図1は、本実施形態の電子部品10の概略斜視図である。図1に示すように、電子部品10は、セラミック素子30と、セラミック素子30を収納するケース20とを有する。図2に示すように、ケース20は、収納凹部21を有し、セラミック素子30は、収納凹部21に収納してある。
【0020】
図4に示すように、セラミック素子30は、互いに対向する第1主面31aと第2主面31bとを有し、略円盤状の外形状を有する。ただし、セラミック素子30は、楕円盤状、矩形平板状など、円盤状以外の形状であってもかまわない。なお、第1主面31aおよび第2主面31bは、セラミック素子30において最も面積の広い1対の面である。また、図8に示すように、セラミック素子30の説明では、2つの主面のうち一方を第1主面31aとして他方を第2主面31bとするが、第1主面31aと第2主面31bとは、図面に示される状態に対して互いに入れ代わっていてもよい。
【0021】
電子部品10の断面図である図8に示すように、セラミック素子30は、第1主面31aに形成される第1電極部33と、第2主面31bに形成される第2電極部34と、第1電極部33と第2電極部34との間に挟まれる誘電体部35とを有する。誘電体部35の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。なお、セラミックス素子30は、第1電極部33と第2電極部34との間に誘電体部35を挟むコンデンサ等のみには限定されない。たとえば、セラミック素子は、第1電極部と第2電極部との間に半導体セラミックスを挟むバリスタやサーミスタであってもよい。
【0022】
第1電極部33および第2電極部34の材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。第1電極部33および第2電極部23の厚みは、特に限定されないが、通常10~50μm程度である。なお、第1および第2電極部33、34の表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていてもよい。
【0023】
図1および図2に示すように、電子部品10は、ケース20がその外形を構成しており、電子部品10の外形は、略六角柱状である。ケース20はいずれの外側面24、25、26a、26b、28a、28bも、セラミック素子30の第1主面31aおよび第2主面31bに非平行である。ただし、電子部品10としてはこれに限定されず、六角柱状以外の多角柱状の形状であってもよく、直方体などの平板形状であってもよい。
【0024】
図3に示すように、ケース20は、収納凹部21の開口21aを囲む開口縁部22に垂直である6つの外側面を有する。ケース20の6つの外側面は、第1外側面24と、第2外側面25と、第3外側面26bと、第4外側面28aと、第5外側面26aと、第6外側面28bとで構成される。
【0025】
図8に示すように、第1外側面24と第2外側面25は、互いに対向する一対の外側面である。図8に示すように、第5外側面26aは、90度より大きい挟角を形成して第1外側面24に接続しており、第3外側面26bは、90度より大きい挟角を形成して第2外側面25に接続している。第5外側面26aと第3外側面226bは、略同一の面積を有しており、電子部品10の中央部分で、90度より大きい挟角を形成して互いに接続している。
【0026】
図8に示すように、第4外側面28aと第6外側面28bは、それぞれ第5外側面26aと第3外側面26bに対して対称である。すなわち、第4外側面28aは、90度より大きい挟角を形成して第1外側面24に接続しており、第6外側面28bは、90度より大きい挟角を形成して第2外側面25に接続している。第4外側面28aと第6外側面28bは、略同一の面積を有しており、電子部品10の中央部分で、90度より大きい挟角を形成して互いに接続している。
【0027】
図8に示すように、第1および第2外側面24、25は第1主面31aおよび第2主面31bに対して略垂直であるのに対して、第4~第6外側面は、第1主面31aおよび第2主面31bに対して斜めに配置されている。
【0028】
図2および図3に示すように、ケース20は、収納凹部21と、収納凹部21の開口21aを取り囲む開口縁部22とを有する。電子部品10において、ケース20に形成される収納凹部21の開口21aが形成されている側が、電子部品10を実装する際に、実装対象となる基板などに対向する実装面側となる。
【0029】
図2は、電子部品10を実装面側から見た底面図である。ケース20は、収納凹部21の内部にセラミック素子30等を収容する。収納凹部21の開口21aは、ケース20の外形状より小さい形状を有している。また、図1に示すように、収納凹部21の開口21aとは反対方向である電子部品10の上方には、ケース20の上面23が形成されている。
【0030】
図8に示すように、収納凹部21は、ケース20の外形に沿うように6つの内側面を有する。第1内側面241は第1外側面24と平行であり、第2内側面251は第2外側面25と平行であり、第3内側面26b1は第3外側面26bと平行であり、第4内側面28a1は第4外側面28aと平行であり、第5内側面26a1は第5外側面26a1と平行であり、第6内側面28b1は第6外側面28bと平行である。
【0031】
図8に示すように、収納凹部21には、セラミック素子30の第1主面31a1に向けて垂直に突出する支持部291と、第2主面31bに向けて垂直に突出する支持部292とが形成してある。支持部291は、第3内側面26b1と第5内側面26a1との間に配置してあり、支持部292は、第4内側面28a1と第6内側面28b1との間に配置してある。図3に示すように、支持部291,292は、ケース20の開口縁部22から底面21bまで延在している。なお、支持部291,292が構成されていなくてもよいが、支持部291,292によって収納凹部21に収納されたセラミック素子を安定させることができる。
【0032】
図2および図3に示すように、開口縁部22は、開口21aを取り囲む平面で構成される。開口縁部22は、セラミック素子30の第1主面31aおよび第2主面31bに対して略垂直である。本実施形態では、開口縁部22は、支持部291,292の端部と面一に構成してある。なお、開口縁部22の形状は、開口21aの形状や、ケース20の外周形状等に応じて、開口縁部22とは異なる形状であってもよい。
【0033】
図2に示すように、セラミック素子30は、第1主面31aおよび第2主面31bが、開口21aとは垂直な方向を向くように、収納凹部21内に配置される。したがって、図3に示すように、ケース20の開口縁部22から底面21bまでの距離である深さW2は、図4に示すセラミック素子30の直径W1より大きい。これにより、電子部品10は、収納凹部21の開口21aからセラミック素子30の一部が露出することなく、セラミック素子30の全体を収納凹部21に収容することができる。また、本実施形態では、図8に示すように、電子部品10では、収納凹部21には、モールド樹脂70が充填してあり、モールド樹脂70でセラミック素子30全体を覆うことができる。
【0034】
図5は、本実施形態における第1金属端子40と第2金属端子50とを示す概略斜視図である。図1に示すように、電子部品10は一対の金属端子40、50を有する。第1金属端子40と第2金属端子50とは、電子部品10において互いに間隔を空けて配置されており、電気的に絶縁されている。第1金属端子40および第2金属端子50は、たとえば導電性の金属板材を機械加工して形成されるが、金属端子40、50の形成方法は、特に限定されない。
【0035】
図6および図7に示すように、第1金属端子40は、セラミック素子30の第1電極部33とハンダを介して接続する第1電極接続部44と、図1および図2に示す開口縁部22に配置されるが第1外部接続部42と、第1外部接続部42と第1電極接続部44とをつなぐ第1端子腕部46と、第1外部接続部42の先端42aから上方へ延びる第1折り返し部47とを有する。図2に示すように、第1電極接続部44と第1端子腕部46とは、セラミック素子30と同様に、ケース20の収納凹部21に収容される。
【0036】
図7に示すように、第1電極接続部44は、セラミック素子30の第1主面31aに沿って略平行に延在する略長方形状である。図8に示すように、第1電極接続部44の対向面44aは、第1主面31aに形成される第1電極部33に対して、ハンダ60を介して接続される。これに対して、第1外部接続部42は、開口縁部22の一方側(ケース20の第1外側面24側)に配置される。
【0037】
図1に示すように、第1金属端子40の第1端子腕部46は、ケース20の収納凹部内の第1電極接続部44と、ケース20の収納凹部の外の第1外部接続部42とを接続する。また、図1に示すように、第1外部接続部42は、セラミック素子30の第1主面31aおよび第2主面31bに略垂直である。
【0038】
図1に示すように、第1外部接続部42の先端42aは、第1外部接続部42において第1端子腕部46に接続する側とは反対側の端部であり、第1折り返し部47に接続する。
【0039】
図1に示すように、第1金属端子40の第1折り返し部47は、第1外部接続部42の先端42aから、ケース20の第1外側面24に沿って上方に延びている。第1金属端子40が、第1折り返し部47を有することにより、実装時にハンダフィレットが形成されやすくなり、このような第1折り返し部47を有する電子部品10は、良好な実装性を奏する。また、図1に示すように、第1端子腕部46、第1外部接続部42および第1折り返し部47を有することにより、第1金属端子40の先端がJ字状になる。そのため、電子部品10では、第1端子腕部46と第1折り返し部47の間にケース20の一部が挟まれることにより、第1金属端子40を、ケース20に対して、より強く係合させることが可能である。
【0040】
図8に示すように、第1電極接続部44は、第1ハンダ止め440を有する。第1ハンダ止め440は、第1電極接続部44において、第1電極部33との対向面44aの一部が起伏することで形成してある。第1ハンダ止め440において、第1電極部33へのハンダ60の付着領域61の範囲が制御される。
【0041】
図5に示すように、本実施形態では、第1ハンダ止め440は、対向面44aにおいて電極近接部44a1を含む。図8に示すように、第1ハンダ止め440は、ハンダ60を溜めるハンダ貯留部441を有する。電極近接部44a1は、対向面44aにおいて、第1電極部33の第1主面31aに最も近接している部分である。本実施形態では、電極近接部44a1は、凹部442の端縁442aを含み、ハンダ貯留部441に溜められたハンダ60によって金属端子40とセラミック素子30とを貼り合わせる糊代に相当する。なお、電極近接部44a1は、第1電極部33に接触していてもよい。ハンダ貯留部441は、電極近接部44a1において、対向面44aが起伏して、セラミック素子30から離れる方向に延びる凹部442を有する。すなわち、凹部442は、セラミック素子30に対して窪んでいる。
【0042】
図8に示す凹部442の端縁442aは、電極近接部44a1により、図5に示すように閉じている。電極近接部44a1において、ハンダ60が付着しており、第1金属端子40と第1電極部33とが電気的に接続している。端縁442aが閉じた凹部442では、内部に、ハンダ60を貯留することで、ハンダの付着領域61が制御できる。
【0043】
図5に示すように、第2金属端子50は、第1金属端子40と同様の形状および大きさを有する。図6に示すように、第2金属端子50は、セラミック素子30の第2電極部34とハンダを介して接続する第2電極接続部54と、図1および図2開口縁部22に配置されるが第2外部接続部52と、第2外部接続部52と第2電極接続部54とをつなぐ第2端子腕部56と、第2外部接続部52の先端52aから上方へ延びる第2折り返し部57とを有する。図2に示すように、第2電極接続部44と第2端子腕部56とは、セラミック素子30と同様に、ケース20の収納凹部21に収容される。
【0044】
図7に示すように、第2電極接続部54は、セラミック素子30の第2主面に沿って略平行に延在する略長方形状である。図8に示すように、第2電極接続部54の対向面54aは、第2主面31bに形成される第2電極部34に対して、ハンダを介して接続される。これに対して、第2外部接続部52は、開口縁部22の一方側(ケース20の第2外側面25側)に配置される。
【0045】
図1に示すように、第2金属端子50の第2端子腕部56は、ケース20の収納凹部内の第2電極接続部54と、ケース20の収納凹部の外の第2外部接続部52とを接続する。また、図1に示すように、第2外部接続部52は、セラミック素子30の第1主面31aおよび第2主面31bに略垂直である。
【0046】
図2に示すように、第2外部接続部52の先端52aは、第2外部接続部52において第2端子腕部56に接続する側とは反対側の端部であり、第2折り返し部57に接続する。
【0047】
図1に示すように、第2金属端子50の第2折り返し部57は、第2外部接続部52の先端52aから、ケース20の第2外側面54に沿って上方に延びている。第2金属端子50が、第2折り返し部57を有することにより、実装時にハンダフィレットが形成されやすくなり、このような第2折り返し部57を有する電子部品10は、良好な実装性を奏する。また、図1に示すように、第2端子腕部56、第2外部接続部42および第2折り返し部57を有することにより、第2金属端子50の先端がJ字状になる。そのため、電子部品10では、第2端子腕部56と第2折り返し部57の間にケース20の一部が挟まれることにより、第2金属端子50を、ケース20に対して、より強く係合させることが可能である。
【0048】
図8に示すように、第2電極接続部54は、第2ハンダ止め540を有する。第2ハンダ止め540は、第2電極接続部54において、第2電極部34との対向面54aの一部が起伏することで形成してある。第2ハンダ止め540において、第2電極部34へのハンダ60の付着領域62の範囲が制御される。
【0049】
図5に示すように、本実施形態では、第2ハンダ止め540は、対向面54aにおいて電極近接部54a1を含む。図8に示すように、第2ハンダ止め540は、ハンダ60を溜めるハンダ貯留部541を有する。電極近接部54a1は、対向面54aにおいて、第2電極部34の第2主面31bに最も近接している部分である。本実施形態では、電極近接部54a1は、凹部542の端縁542aを含み、ハンダ貯留部541に溜められたハンダ60によって金属端子50とセラミック素子30とを貼り合わせる糊代に相当する。なお、電極近接部54a1は、第2電極部34に接触していてもよい。ハンダ貯留部541は、電極近接部54a1において、対向面54aが起伏して、セラミック素子30から離れる方向に延びる凹部542を有する。すなわち、凹部542は、セラミック素子30に対して窪んでいる。
【0050】
図8に示す凹部542の端縁542aは、電極近接部54a1により、図5に示すように閉じている。電極近接部54a1において、ハンダ60が付着しており、第2金属端子50と第2電極部34とが電気的に接続している。端縁542aが閉じた凹部542では、内部に、ハンダ60を貯留することで、ハンダの付着領域62が制御できる。
【0051】
通常、電子部品の中のセラミック素子は、特に交流の高電圧を印加することで、圧電作用などによってセラミック素子が膨張と収縮を繰り返すが、金属端子は体積変化が少なくなっている。また、セラミック素子と金属端子とを接続しているハンダが、セラミック素子の膨張および収縮を拘束している。本発明者らは、セラミック素子の膨張および収縮が拘束されことにより、ハンダに力がかかり亀裂などが生じることを見出した。
【0052】
図8に示すように、本実施形態では、ハンダ貯留部441,541の凹部442,542の端縁442a,542aが閉じており、その内部にハンダ60が貯留される。このように、ハンダの付着領域61,62の面積が小さく制御されることで、セラミック素子30が、第1電極接続部44および第2電極接続部54に過度に拘束されることがなくなる。したがって、本実施形態の電子部品10では、耐圧性が向上し、たとえば8kV~20kVといった中高電圧においても、セラミック素子30に亀裂などを生じさせることなく良好に使用することが可能になる。なお、本明細書では、ハンダとは、鉛とスズを主成分とした合金のみならず、導電性接着剤を含み、部材同士の通電と固定を可能にする材料を表す概念としての用語である。
【0053】
また、ハンダ貯留部441,541に、ハンダ60が溜まることで、ハンダの塗布量によるバラツキやハンダの付着領域61,62の面積のバラツキ、セラミック素子30と第1電極接続部44および第2電極接続部54との間の密着度合いのバラツキを少なくすることも可能である。ハンダの付着領域61,62の面積は、第1電極部40および第2電極部50と、第1電極接続部44および第2電極接続部54との電気接続を確保できる程度であれば特に限定されないが、ハンダの付着領域61,62は、たとえば、対向面44a,54aの面積の4分の1以下にすることができる。なお、図5に示すように、本実施形態では、凹部442,542は、端縁442a,542aが閉じて円形になっているが、この形状に限定されず、楕円形や、多角形などであってもよい。
【0054】
図5等に示す第1金属端子40および第2金属端子50の材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、たとえば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。また、第1金属端子40および第2金属端子50の表面には、Ni、Sn、Cu等の金属被膜が形成されていてもよい。
【0055】
図2に示すように、本実施形態では、第1外部接続部42および第2外部接続部52は、収納凹部21の開口縁部22に配置してあるが、これに限定されない。このように構成する場合には、電子部品10を基板などに実装するときに、開口縁部22を実装面として基板に形成された外部回路と容易に接続することが可能になる。
【0056】
図1に示すように、本実施形態では、電子部品10は、ケース20を有するが、これに限定されない。セラミック素子30を収納凹部21に収納するケース20を有する場合には、ケース20内の収納凹部21にセラミック素子30を収容することで、樹脂成形のためのキャビティ内にセラミック素子30などを配置して外装材によるモールドを行う工程が必要なく、生産性が良好である。
【0057】
図8に示すように、本実施形態では、収納凹部21には、モールド樹脂70が充填してある。このように構成する場合には、モールド樹脂70がセラミック素子30全体を覆うことができ、電子部品10の強度および絶縁性などを向上させることができる。ただし、収納凹部21内には、樹脂が充填されていなくてもよく、収納凹部21の内側面とセラミック素子30および金属端子40、50との間には、空隙が形成されていてもよい。
【0058】
ケース20は、たとえば、樹脂による射出成形などにより製造することができる。ただし、ケース20の材質は、樹脂のみには限定されない。
【0059】
図1に示す電子部品10は、例えば以下のような工程により製造することができる。まず、セラミック素子30と、第1金属端子40および第2金属端子50を準備し、第1金属端子40と第2金属端子50のハンダ貯留部442,542に溶融したハンダを溜め、セラミック素子30の第1電極部40および第2電極部50に、第1金属端子40および第2金属端子50を接続する。なお、第1電極部40および第2電極部50の所定の位置に溶融したハンダを配置した状態で、第1電極接続部44および第2電極接続部54のハンダ貯留部442,542に溶融したハンダが配置されるように接続してもよい。
【0060】
次に、第1金属端子40、第2金属端子50およびセラミック素子30が一体となった図6に示すような中間製造品を、ケース20の収納凹部21に配置する。この後、必要に応じて、図2に示す収納凹部21にモールド樹脂を注入し、図1に示す電子部品10を得る。このように、図2に示す電子部品10は、ケース20内の収納凹部21にセラミック素子30を収容するため、樹脂成形のためのキャビティ内にセラミック素子30などを配置して外装材によるモールドを行う工程が必要なく、生産性が良好である。
【0061】
電子部品10は、ケース20内にセラミック素子30等を収容できるので、ケース20内に収まる範囲であれば、セラミック素子30のサイズ変更にも柔軟に対応できる。また、第1外部接続部42および第2外部接続部52が、セラミック素子30の第1主面31aおよび第2主面31bに垂直であるため、電子部品10は、実装面積を狭くすることができ、面実装に適する。
【0062】
第2実施形態
本実施形態に係る電子部品は、第1ハンダ止め440および第2ハンダ止め540が第1実施形態と異なるが、基本的な構成は第1実施形態と共通している。本実施形態では、第1実施形態と共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下、本実施形態において説明しない部分は、第1実施形態の説明と同様である。
【0063】
図9は、本実施形態に係る電子部品10の第1金属端子40および第2金属端子50の概略斜視図であり、図10は、本実施形態に係る電子部品10のセラミック素子30と、第1金属端子40および第2金属端子50を組み立てた平面図であり、図11Aは、本実施形態に係る電子部品10の断面図である。
【0064】
図11Aに示すように、本実施形態では、第1ハンダ止め440は、第1電極接続部44の対向面44aにおける電極近接部44a1に隣接して形成してある。本実施形態では、電極近接部44a1は、ハンダ60が接触している部分に相当する。図9に示すように、本実施形態では、ハンダ流れ出し防止部443は、第1電極接続部44の長手方向と交差する方向に延びるように配置してある。
【0065】
図11Aに示すように、本実施形態では、第1ハンダ止め440は、ハンダ60の広がりを制御するハンダ流れ出し防止部443を有する。ハンダ流れ出し防止部443は、セラミック素子30の第1主面31aから離れる方向に延びる凹部444を有する。すなわち、凹部442は、セラミック素子30に対して窪んでいる。図9に示すように、凹部444の端縁444aは、電極近接部44a1により閉じられていない開口部444a1が形成されている。凹部444の端縁444bは、電極近接部44a1により閉じられていない開口部444b1が形成されている。
【0066】
図11Aに示すように、本実施形態では、第2ハンダ止め540は、第2電極接続部54の対向面54aにおける電極近接部54a1に隣接して形成してある。本実施形態では、電極近接部54a1は、ハンダ60が接触している部分に相当する。図9に示すように、本実施形態では、ハンダ流れ出し防止部543は、第2電極接続部54の長手方向と交差する方向に延びるように配置してある。
【0067】
図11Aに示すように、本実施形態では、第2ハンダ止め540は、ハンダ60の広がりを制御するハンダ流れ出し防止部543を有する。ハンダ流れ出し防止部543は、セラミック素子30の第2主面31bから離れる方向に延びる凹部544を有する。すなわち、凹部542は、セラミック素子30に対して窪んでいる。図9に示すように、凹部544の端縁544aは、電極近接部54a1により閉じられていない開口部544a1が形成されている。凹部544の端縁544bは、電極近接部54a1により閉じられていない開口部544b1が形成されている。
【0068】
図11Aに示すように、本実施形態では、ハンダ60は、ハンダ流れ出し防止部443,543から端部48,58の間の対向面44a,54aに付着している。また、ハンダ60は、第1電極部33および第2電極部34とも付着して、付着領域61,62を形成している。付着領域61,62と、第1電極部33または第2電極部33においてハンダ60が付着しない非付着領域63,64は、ハンダ流れ出し防止部443,543を境にして仕切られている。
【0069】
本実施形態では、第1金属端子40の第1電極接続部44での対向面44aにおいて、溶融したハンダを、端部48とハンダ流れ出し防止部443の間に配置して、第1電極接続部44をセラミック素子30の第1主面31aに押さえつけることで、溶融したハンダが広がって、第1金属端子40とセラミック素子30とをハンダの付着領域61で電気的に接続することができる。
【0070】
第1電極部33と対向部44aとの間で広がった溶融したハンダには、ハンダ流れ出し防止部443の凹部444において、押さえつける力が働かないため、第1端子腕部46の方向に広がることが制御される。このように、ハンダの付着領域61が、第1電極接続部44の端部48側に制御できる。
【0071】
第1金属端子40と同様に、第2金属端子50の第2電極接続部54での対向面54aにおいて、溶融したハンダを、端部58とハンダ流れ出し防止部543の間に配置して、第2電極接続部54をセラミック素子30の第2主面31bに押さえつけることで、溶融したハンダが広がって、第2金属端子50とセラミック素子30とをハンダの付着領域62で電気的に接続することができる。
【0072】
第2電極部34と対向部54aとの間で広がった溶融したハンダには、ハンダ流れ出し防止部543の凹部544において、押さえつける力が働かないため、第2端子腕部56の方向に広がることが制御される。このように、ハンダの付着領域62が、第2電極接続部54の端部58側に制御できる。
【0073】
このように、本実施形態では、ハンダの付着領域61,62の面積が小さく制御される。そのため、セラミック素子30が、第1電極接続部44および第2電極接続部54に過度に拘束されることがなくなる。したがって、本実施形態の電子部品10では、耐圧性を向上させることが可能になる。
【0074】
本実施形態では、第1ハンダ止め440および第2ハンダ止め540は、セラミック素子30から離れる方向に延びる凹部444,544を有するが、これに限定されない。たとえば、図11Bに示すように、第1ハンダ止め440および第2ハンダ止め540は、セラミック素子30に近づく方向に突出した凸部45,55を有してもよい。
【0075】
このように構成することで、第1電極接続部44および第2電極接続部54に形成された凸部45,55の先端部分と凸部45,55端部48,58側の面によって、ハンダ60が広がることを制御できる。この場合、凸部45,55の先端部分が電極近接部44a1,54a1となり、ハンダ60と接続する。そして、ハンダの付着領域61,62が、第1電極部33と対向部44aとの間において、凸部45,55よりも端部48,58側に配置され、第1端子腕部46および第2端子腕部56の方向にハンダが広がることが制御される。
【0076】
第3実施形態
本実施形態に係る電子部品は、ケース20、第1金属端子40および第2金属端子50が第1実施形態と異なるが、基本的な構成は第1実施形態と共通している。本実施形態では、第1実施形態と共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下、本実施形態において説明しない部分は、第1実施形態の説明と同様である。
【0077】
図12および図13に示すように、本実施形態の電子部品10の外形は、略直方体の平板形状である。セラミック素子30は、第1主面31aおよび第2主面31bが上面23に略平行に配置してある。図13に示すように、本実施形態のケース20は、収納凹部21の開口21aを囲む開口縁部22に垂直である4つの外側面を有する。ケース20の4つの外側面は、第1外側面24と、第2外側面25と、第3外側面260と、第4外側面280とで構成される。
【0078】
図14に示すように、第1外側面24と第2外側面25は、互いに対向する一対の外側面である。また、第3外側面260と第4外側面280は、互いに対向する一対の外側面である。第1外側面24および第2外側面25は、第3外側面260および第4外側面280に垂直に接続している。
【0079】
図12に示すように、第1外側面24、第2外側面25、第3外側面260および第4外側面280は、第1主面31aおよび第2主面31bに対して略垂直に配置されている。
【0080】
図14に示すように、収納凹部21は、ケース20の外形に沿うように4つの内側面を有する。第1内側面241は第1外側面24と平行であり、第2内側面251は第2外側面25と平行であり、第3内側面261は第3外側面260と平行であり、第4内側面281は第4外側面280と平行である。
【0081】
図14に示すように、収納凹部21の底面21bには、ハンダ止め配置孔290が形成してある。図17に示すように、ハンダ止め配置孔290の底部290aは、底面21bよりも深くなっており、第1ハンダ止め440がハンダ止め配置孔290に配置されることで、第1ハンダ止め440がケース20に接触しないようになっている。
【0082】
図13に示すように、セラミック素子30は、第2主面31bが、開口21aと同じ方向を向くように、セラミック素子30の一部が露出することなく、収納凹部21内に配置される。
【0083】
図15は、本実施形態における第1金属端子40と第2金属端子50とを示す概略斜視図であり、図16は、本実施形態に係る電子部品10のセラミック素子30と、第1金属端子40および第2金属端子50を組み立てた平面図であり、図17は、本実施形態に係る電子部品10の断面図である。
【0084】
図17に示すように、第1金属端子40において、第1電極接続部44の対向面44aは、第1主面31aに形成される第1電極部33に対して、ハンダを介して接続される。これに対して、第1外部接続部42は、開口縁部22の第1外側面24側に配置される。また、第1外部接続部42は、セラミック素子30の第1主面31aおよび第2主面31bと略平行である。
【0085】
図17に示すように、本実施形態では、第1金属端子40の第1端子腕部460は、その一端が第1電極接続部44と接続しており、他端がセラミック素子30の第2主面31b側に延びている。第1端子腕部460の他端は第1外部接続部42と接続している。
【0086】
図15に示すように、第1外部接続部42の先端42aは、第1外部接続部42において第1端子腕部46に接続する側とは反対側の端部であり、第1折り返し部47に接続する。
【0087】
図17に示すように、第2金属端子50において、第2電極接続部54の対向面54aは、第2主面31bに形成される第2電極部34に対して、ハンダを介して接続される。これに対して、第2外部接続部52は、開口縁部22の第1外側面25側に配置される。また、第2外部接続部52は、セラミック素子30の第1主面31aおよび第2主面31bと略平行である。
【0088】
図17に示すように、本実施形態では、第2金属端子50の第2端子腕部560は、その一端が第2電極接続部54と接続しており、他端がセラミック素子30の第2主面31b側に延びている。第2端子腕部560の他端は第2外部接続部52と接続している。
【0089】
図15に示すように、第2外部接続部52の先端52aは、第2外部接続部52において第2端子腕部56に接続する側とは反対側の端部であり、第2折り返し部57に接続する。
【0090】
図13に示すように、本実施形態の電子部品10では、第1外部接続部42および第2外部接続部52が、ケース20の開口縁部22に配置してあり、収納凹部21の開口21a側が実装対象となる基板などに対抗する実装面側となる。また、本実施形態では、セラミック素子30の第2主面31bが、収納凹部21の開口21aと同じ方向を向いており、電子部品10が低背化されている。また、電子部品10の実装面側の面積が広く、実装した場合により安定する。
【0091】
本実施形態では、第1ハンダ止め440および第2ハンダ止め540は、第1実施形態に係る第1ハンダ止め440および第2ハンダ止め540の構成と共通しており、同様の作用効果を奏する。
【0092】
すなわち、図17に示すように、第1ハンダ止め440は、ハンダ60を溜めることができるハンダ貯留部443を有する。ハンダ貯留部441は、電極近接部44a1において、対向面44aが起伏して、セラミック素子30から離れる方向に延びる凹部442を有する。
【0093】
また、第2ハンダ止め540は、ハンダ60を溜めることができるハンダ貯留部543を有する。ハンダ貯留部541は、電極近接部54a1において、対向面54aが起伏して、セラミック素子30から離れる方向に延びる凹部542を有する。
【0094】
このような構成により、本実施形態では、ハンダの付着領域61,62の面積が小さく制御され、耐圧性を向上させることが可能になる。
【0095】
第4実施形態
本実施形態に係る電子部品は、第1ハンダ止め440および第2ハンダ止め540が第3実施形態と異なるが、基本的な構成は第3実施形態と共通している。本実施形態では、第3実施形態と共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下、本実施形態において説明しない部分は、第3実施形態の説明と同様である。
【0096】
図18は、本実施形態に係る第1金属端子40および第2金属端子50の概略斜視図であり、図19は、本実施形態に係る電子部品10のセラミック素子30と、第1金属端子40および第2金属端子50を組み立てた平面図であり、図20は、本実施形態に係る電子部品10の断面図である。
【0097】
本実施形態では、第1ハンダ止め440および第2ハンダ止め540は、第2実施形態に係る第1ハンダ止め440および第2ハンダ止め540の構成と共通しており、同様の作用効果を奏する。
【0098】
すなわち、図20に示すように、第1ハンダ止め440は、ハンダ60の広がりを制御するハンダ流れ出し防止部443を有する。ハンダ流れ出し防止部443は、セラミック素子30の第1主面31aから離れる方向に延びる凹部444を有する。ハンダ流れ出し防止部443は、第1電極接続部44の長手方向と交差する方向に延びるように配置してある。
【0099】
また、第2ハンダ止め540は、ハンダ60の広がりを制御するハンダ流れ出し防止部543を有する。ハンダ流れ出し防止部543は、セラミック素子30の第1主面31aから離れる方向に延びる凹部544を有する。ハンダ流れ出し防止部543は、第2電極接続部54の長手方向と交差する方向に延びるように配置してある。このような構成により、本実施形態では、ハンダの付着領域61,62の面積が小さく制御され、耐圧性を向上させることが可能になる。
【0100】
なお、上述した実施形態は、特許請求の範囲の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。
【0101】
たとえば、ハンダ止めを構成するハンダ貯留部やハンダ流れ出し防止部は、ハンダの付着領域が過度に広がることを防止することが可能なように、電極接続部の対向面が起伏して形成してあればよく、1つの電極接続部において複数設ける構成などであってもよい。
【符号の説明】
【0102】
10…電子部品
20…ケース
21…収納凹部
21a…開口
21b…底面
22…開口縁部
23…上面
24…第1外側面
25…第2外側面
26a…第5外側面
26b,260…第3外側面
28a,280…第4外側面
28b…第6外側面
241…第1内側面
251…第2内側面
26a1…第5内側面
26b1,261…第3内側面
28a1,281…第4内側面
28b1…第6内側面
291,292…支持部
290…ハンダ止め配置孔
290a…底部
30…セラミック素子
31a…第1主面
33…第1電極部
31b…第2主面
34…第2電極部
35…誘電体部
40…第1金属端子
42…第1外部接続部
42a…先端
44…第1電極接続部
44a…対向面
44a1…電極近接部
440…第1ハンダ止め
441…ハンダ貯留部
442…凹部
442a…端縁
443…ハンダ流れ出し防止部
444…凹部
444a,444b…端縁
444a1,445b1…開口部
45…凸部
48…端部
47…第1折り返し部
46,460…第1端子腕部
50…第2金属端子
52…第2外部接続部
52a…先端
54…第2電極接続部
54a…対向面
54a1…電極近接部
540…第2ハンダ止め
541…ハンダ貯留部
542…凹部
542a…端縁
543…ハンダ流れ出し防止部
544…凹部
544a,544b…端縁
544a1,545b1…開口部
55…凸部
58…端部
57…第2折り返し部
56,560…第2端子腕部
60…ハンダ
61,62…付着領域
63,64…非付着領域
70…モールド樹脂
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