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特開2023-182280仮設住宅用樹脂サッシ、仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ、及び仮設住宅用サッシ取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182280
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】仮設住宅用樹脂サッシ、仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ、及び仮設住宅用サッシ取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/36 20060101AFI20231219BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20231219BHJP
   E06B 1/26 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E06B1/36 A
E06B1/56 Z
E06B1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095798
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】今村 敏晴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳一
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011DA05
2E011DC01
2E011DD02
2E011JA02
2E011KB02
2E011KC04
2E011KC07
2E011KD15
(57)【要約】
【課題】結露が生じにくく、サッシの内側に配設される額縁の腐朽を抑制して繰り返し再利用できる仮設住宅用樹脂サッシ及び仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ、及び、それらを用いた仮設住宅用サッシ取付構造を提供する。
【解決手段】溝12が対向するように配置された隣り合う2本の支柱10の間に仮設住宅用樹脂サッシ20が落とし込まれて建て込まれている仮設住宅用サッシ取付構造1において、仮設住宅用樹脂サッシ20は、樹脂製のサッシ22と、サッシ22の屋内側となる側に設けられた額縁24とを備え、仮設住宅用樹脂サッシ20は、サッシ22の両側の側端部が両側の支柱10の溝12にそれぞれ差し込まれた状態で建て込まれている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のサッシと、前記サッシの屋内側となる側に設けられた額縁と、を備える仮設住宅用樹脂サッシ。
【請求項2】
前記額縁が樹脂製である、請求項1に記載の仮設住宅用樹脂サッシ。
【請求項3】
開口部を有するパネルと、前記パネルの開口部に嵌め込まれた樹脂製のサッシと、前記サッシの屋内側となる側に設けられた額縁と、を備える、仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ。
【請求項4】
前記額縁が樹脂製である、請求項3に記載の仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ。
【請求項5】
溝を有する複数本の支柱が、前記溝が対向するように配置されており、
請求項1又は2に記載の仮設住宅用樹脂サッシが、前記サッシの両側の側端部が前記支柱の溝にそれぞれ差し込まれた状態で、隣り合う2本の前記支柱の間に落とし込まれて建て込まれている、仮設住宅用サッシ取付構造。
【請求項6】
溝を有する複数本の支柱が、前記溝が対向するように配置されており、
請求項3又は4に記載の仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシが、その両側のパネル側端部が前記支柱の溝にそれぞれ差し込まれた状態で、隣り合う2本の前記支柱の間に落とし込まれて建て込まれている、仮設住宅用サッシ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設住宅用樹脂サッシ、仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ、及び仮設住宅用サッシ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
仮設住宅においては、C型又はH型溝鋼からなる支柱が、互いの溝が対向するように配置され、サッシ(窓枠)やパネルが、その両端部が両側の支柱の溝に差し込まれた状態で落とし込まれることにより、所定の位置に窓等の開口部が形成される(例えば特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1-92494号公報
【特許文献2】実公昭58-44236号公報
【特許文献3】実公昭59-3099号公報
【特許文献4】実公昭60-6540号公報
【特許文献5】実公昭60-24861号公報
【特許文献6】実公昭60-24862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮設住宅におけるサッシとしては、安価なことから、一般にアルミサッシが用いられる。しかし、アルミサッシを用いると結露が生じやすい。そのため、サッシの内側に化粧材として配設される木製の額縁が腐朽し、仮設住宅の解体時に破壊されやすいため、部材の再利用が困難である。
【0005】
本発明は、結露が生じにくく、サッシの内側に配設される額縁の腐朽を抑制して繰り返し再利用できる仮設住宅用樹脂サッシ及び仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ、及び、それらを用いた仮設住宅用サッシ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成を含む。
[1]樹脂製のサッシと、前記サッシの屋内側となる側に設けられた額縁と、を備える仮設住宅用樹脂サッシ。
[2]前記額縁が樹脂製である、[1]に記載の仮設住宅用樹脂サッシ。
[3]開口部を有するパネルと、前記パネルの開口部に嵌め込まれた樹脂製のサッシと、前記サッシの屋内側となる側に設けられた額縁と、を備える、仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ。
[4]前記額縁が樹脂製である、[3]に記載の仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ。
[5]溝を有する複数本の支柱が、前記溝が対向するように配置されており、
[1]又は[2]に記載の仮設住宅用樹脂サッシが、前記サッシの両側の側端部が前記支柱の溝にそれぞれ差し込まれた状態で、隣り合う2本の前記支柱の間に落とし込まれて建て込まれている、仮設住宅用サッシ取付構造。
[6]溝を有する複数本の支柱が、前記溝が対向するように配置されており、
[3]又は[4]に記載の仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシが、その両側のパネル側端部が前記支柱の溝にそれぞれ差し込まれた状態で、隣り合う2本の前記支柱の間に落とし込まれて建て込まれている、仮設住宅用サッシ取付構造。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、結露が生じにくく、サッシの内側に配設される額縁の腐朽を抑制して繰り返し再利用できる仮設住宅用樹脂サッシ及び仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ、及び、それらを用いた仮設住宅用サッシ取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の一例の仮設住宅用サッシ取付構造の概略構成を示した正面図である。
図2図1の仮設住宅用サッシ取付構造のA-A断面図である。
図3図1の仮設住宅用サッシ取付構造のB-B断面図である。
図4図2の仮設住宅用サッシ取付構造のサッシの上部と、その上側のパネルとの隣接部分を拡大して示した断面図である。
図5図2の仮設住宅用サッシ取付構造のサッシの下部と、その下側のパネルとの隣接部分を拡大して示した断面図である。
図6】実施形態の他の例の仮設住宅用サッシ取付構造の概略構成を示した正面図である。
図7図6の仮設住宅用サッシ取付構造のC-C断面図である。
図8図6の仮設住宅用サッシ取付構造のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の仮設住宅用樹脂サッシ、仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ及び仮設住宅用サッシ取付構造について、一例を示し、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の一例の仮設住宅用サッシ取付構造1(以下、「取付構造1」とも記す。)の概略構成を示した正面図である。図2は、取付構造1のA-A断面図であり、図3は、取付構造1のB-B断面図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、取付構造1は、溝を有する複数本の支柱10と、隣り合う2本の支柱10の間に落とし込まれて建て込まれた仮設住宅用樹脂サッシ20と、を備えている。
【0012】
この例の支柱10は、H型溝鋼からなる支柱である。なお、支柱10は、H型溝鋼には限定されず、例えばC型溝鋼であってもよい。
支柱10の寸法は、特に限定されず、例えば公知の範囲内で適宜設定することができる。
2本の支柱10は、互いの溝12が対向するように配置されている。
【0013】
仮設住宅用樹脂サッシ20は、サッシ22と、サッシ22が仮設住宅に建て込まれたときに屋内側となる側に設けられた額縁24と、を備える。
本発明において、「サッシ」とは、いわゆる窓枠を意味し、例えば、ガラスが入った引き違い窓が外枠に嵌め込まれた窓枠や、嵌め殺しの窓枠を例示できる。
【0014】
サッシ22の形態としては、公知の形態を採用できる。
図1に示す例のサッシ22は、矩形状の外枠26と、外枠26に嵌め込まれた、2枚の引き違い窓28,28と、を備える窓枠である。各々の引き違い窓28は、矩形状の内枠28aと、内枠28a内に嵌め込まれたガラス窓28bと、を備えている。
【0015】
図3に示すように、サッシ22の外枠26の下部には、2本の凸条のレール部25が並行して設けられている。サッシ22の外枠26の上部にも、下部と同様に2本のレール部25が並行して設けられる。2つの引き違い窓28にはレール部25上を移動できる戸車28cが設けられており、2つの引き違い窓28の上端部と下端部がそれぞれレール部25に嵌め込まれることにより、レール部25に沿って移動可能になっている。
【0016】
サッシ22は、樹脂製である。
サッシ22が樹脂製であることにより、アルミニウムサッシを用いる場合に比べて結露が生じにくくなる。これにより、サッシ22の内側に配設される額縁24が腐朽しにくくなり、解体時に額縁24が破壊されて再利用できなくなることを抑制することができる。
【0017】
なお、「サッシが樹脂製である」とは、サッシにおけるガラス窓以外の部材が樹脂で構成されていることを意味する。
この例のサッシ22においては、外枠26と内枠28aを構成する材料が樹脂である。
【0018】
サッシ22を構成する樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ASA樹脂、アクリル樹脂を例示できる。なかでも、耐熱性、難燃性、耐衝撃性が良好であることから、ポリ塩化ビニルが好ましい。サッシ22を構成する樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
サッシ22を構成する樹脂には、補強のために木片、木粉等を配合してもよい。
【0019】
サッシ22における外枠26及び引き違い窓28の各種寸法は、特に限定されず、支柱10の間隔等に応じて適宜設定することができる。
【0020】
図2に示すように、サッシ22の外枠26の両方の外側面の屋外側寄りの部分にはそれぞれ、長さ方向に垂直な断面形状がU字状の長尺の差し込み部材30が、ビス32によって縦方向に延在するように止め付けられている。そして、サッシ22の両側の側端部の差し込み部材30が、両側の支柱10の溝12にそれぞれ差し込まれた状態で2本の支柱10の間に落とし込まれることにより、仮設住宅用樹脂サッシ20が建て込まれている。
【0021】
差し込み部材30は、断面形状がU字状の部材には限定されず、例えば断面形状が矩形の管状部材等であってもよい。
差し込み部材30を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、鋼材やアルミニウムなどの金属材料や、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ASA樹脂、アクリル樹脂などの樹脂材料を例示できる。差し込み部材30を構成する樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
また、サッシ22の外枠26の外側面と差し込み部材30との隙間は、防水対策として、コーキング材で埋められていることが好ましい。
コーキング材としては、特に限定されず、例えば公知のコーキング材を使用することができる。
【0023】
図3及び図4に示すように、サッシ22の外枠26の上部には、上面から立ち上がる長尺の板状のフランジ部27が横方向に沿って延在するように設けられている。また、外枠26の上部の上面におけるフランジ部27よりも屋外側に、断面L字状の長尺のアングル34が、ビス36によって横方向に延在するように止め付けられている。そして、サッシ22の上側には、支柱10間に仮設住宅用樹脂サッシ20とは別に落とし込まれたパネル60が、アングル34の上面及び側面に当接した状態で配置される。
また、図4に示すように、サッシ22の上部においては、防水対策として、フランジ部27のアングル34側の面にブチルテープ38が貼り付けられ、フランジ部27とアングル34との隙間がブチルテープ38によって埋められている。
【0024】
図3及び図5に示すように、サッシ22の外枠26の下部においても、下面から立ち上がる長尺の板状のフランジ部27が横方向に沿って延在するように設けられている。また、外枠26の下部の下面におけるフランジ部27よりも屋外側に、断面U字状の長尺のアングル40が、ビス42によって横方向に延在するように止め付けられている。そして、仮設住宅用樹脂サッシ20を支柱10間に落とし込んだ状態では、仮設住宅用樹脂サッシ20よりも前に落とし込まれていたパネル60の上部がアングル40の内側に嵌まり込む。
また、図5に示すように、サッシ22の下部においては、防水対策として、フランジ部27のアングル40側の面にブチルテープ38が貼り付けられ、フランジ部27とアングル40との隙間がブチルテープ38によって埋められている。
【0025】
なお、図4及び図5に示すように、仮設住宅用樹脂サッシ20の上側と下側にそれぞれ別部材として建て込まれているパネル60は、上面に凸条62が設けられ、下面に凹条が形成されている。仮設住宅における仮設住宅用樹脂サッシ20が建て込まれていない場所では、下側のパネル60の凸条62が上側のパネル60の凹条64に嵌まり込んだ状態となる。
【0026】
図4に示すように、仮設住宅用樹脂サッシ20において、外枠26の上部にアングル34を止め付けるビス36の位置は、上側に落とし込まれたパネル60の凹条64内に収まる位置となるように調節される。また、図5に示すように、外枠26の下部にアングル40を止め付けるビス42の位置は、下側に落とし込まれたパネル60の凸条62の屋外側もしくは屋内側にくるように調節される。
【0027】
額縁24は、化粧材としてサッシ22の屋内側となる側に設けられる。額縁24は施工現場で支柱10間に落とし込まれたサッシ22に取り付けてもよく、工場でサッシ22に額縁24を取り付けたものを製造し、施工現場では額縁24が一体化された状態のサッシ22を支柱10間に落とし込んで建て込むようにしてもよい。
【0028】
この例の額縁24は、上縁24a、下縁24b、及びそれらの両側に設けられた側縁24c,24cを備えており、屋内側から見た形状が矩形状の枠体である。
額縁24は、サッシ22の外枠26の屋内側部分の周囲に、一部がサッシ22よりも屋内側に突き出るように設置されている。
図2及び図3に示す例では、サッシ22の外枠26の屋内側の端部の周囲に、ビス46によって額縁24が止め付けられている。
【0029】
この例の額縁24は、上縁24a、下縁24b、及び2つの側縁24c,24cが、いずれも板状枠材44によって構成されている。
板状枠材44は、第1板部44aと、第2板部44bと、複数の第3板部44cと、を備える。第1板部44a及び第2板部44bは、いずれも長方形状であり、互いの平面が離間した状態で対向配置されている。複数の第3板部44cは、第1板部44aと第2板部44bとの間に、第1板部44a及び第2板部44bの長さ方向に間隔をあけて設けられ、第1板部44aと第2板部44bとの両方に接続されている。
【0030】
このように、板状枠材44は、互いに離間した状態で配置された第1板部44a及び第2板部44bの間において、複数の第3板部44cのそれぞれの間に空間を有する中空状の板部材になっている。そのため、板状枠材44は軽量で取り扱い性に優れ、切断加工も容易である。
第1板部44a、第2板部44b及び第3板部44cの厚みや長さ、隣り合う第3板部44cの間隔等の各種寸法は、特に限定されず、強度等を考慮して適宜設定することができる。
なお、額縁24を構成する枠材は、この例のような中空状の板状枠材44には限定されず、中実の板状枠材であってもよい。
【0031】
額縁24は、腐朽しにくく、仮設住宅の解体後に再利用しやすいことから、樹脂製であることが好ましい。
額縁24を構成する樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ASA樹脂、アクリル樹脂を例示できる。なかでも、耐候性に優れることから、ASA樹脂が好ましい。額縁24を構成する樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
なお、額縁24を構成する樹脂には、補強のために木片、木粉等が配合されてもよく、樹脂100重量部に対して木粉が10重量部以上、70重量部以下配合されていることが好ましい。
また、額縁24は、樹脂製には限定されず、例えば木製であってもよい。
【0033】
仮設住宅用樹脂サッシ20の製造方法は、特に限定されない。
例えば、押出成形等により、樹脂製のサッシ22を製造することができる。
また、例えば、押出成形等で板状枠材44を成形し、ビス止め等によってサッシ22に取り付けることにより、額縁24を形成することができる。
額縁24のサッシ22への取り付けは、仮設住宅の施工現場で実施してもよく、工場において実施してもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の仮設住宅用樹脂サッシ20では、樹脂製のサッシ22の屋内側に額縁24が設けられている。これにより、アルミサッシを用いる場合に比べて結露が生じにくく、額縁24の腐朽が抑制される。そのため、仮設住宅の解体時に額縁24が破壊されにくく、仮設住宅用樹脂サッシ20を容易に再利用することができる。
【0035】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態の一例の仮設住宅用サッシ取付構造2(以下、「取付構造2」とも記す。)の概略構成を示した正面図である。図7は、取付構造2のC-C断面図であり、図8は、取付構造2のD-D断面図である。
図6~8における図1~3と同じ部分には、同符号を付して説明を省略する。
【0036】
図6及び図7に示すように、取付構造2は、溝を有する複数本の支柱10Aと、隣り合う2本の支柱10Aの間に落とし込まれて建て込まれた仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ50(以下、「パネル一体型樹脂サッシ50」とも記す。)と、を備えている。
【0037】
この例の支柱10Aは、C型溝鋼からなる支柱である。なお、支柱10Aは、C型溝鋼には限定されず、例えばH型溝鋼であってもよい。
支柱10Aの寸法は、特に限定されず、例えば公知の範囲内で適宜設定することができる。
2本の支柱10Aは、互いの溝12が対向するように配置されている。
【0038】
この例のパネル一体型樹脂サッシ50は、開口部54を有するパネル52と、パネル52の開口部54に嵌め込まれた樹脂製のサッシ22と、サッシ22における仮設住宅に建て込まれたときに屋内側となる側に設けられた額縁24と、を備える。
【0039】
図7及び図8に示すように、本実施形態では、パネル52に形成された、サッシ22の形状に相補的な形状の開口部54にサッシ22が嵌め込まれている。
パネル一体型樹脂サッシ50では、サッシ22の外枠26の上面に設けられたフランジ部27と、外枠26の下面に設けられたフランジ部27が、ビス56によってパネル52に止め付けられている。また、この例では、サッシ22の外枠26の両側の側面にもフランジ部27が設けられており、それら側面側のフランジ部27もビス56によってパネル52に止め付けられている。
【0040】
図7に示すように、パネル一体型樹脂サッシ50は、パネル52の両側の側端部が、両側の支柱10Aの溝12にそれぞれ差し込まれた状態で2本の支柱10Aの間に落とし込まれることによって建て込まれている。
【0041】
パネル52としては、特に限定されず、開口部54が形成されている以外は公知のパネルと同様の構成を採用することができる。
パネル52としては、例えば、石膏ボードと断熱材とが積層されたパネル、合板と断熱材が積層されたパネルを例示できる。パネル52の表面には、必要に応じてライナー紙等が貼り付けられていてもよい。
【0042】
また、パネル52とサッシ22の外枠26との接触部分の屋外側には、防水対策としてパネル52の開口部54の全周にわたってコーキング材58が付与されている。
コーキング材58としては、特に限定されず、例えば公知のコーキング材を使用することができる。
【0043】
図8に示すように、この例では、パネル52の上端面に凸条51が横方向に沿って設けられ、パネル52の下端面に凹条53が横方向に沿って形成されている。そして、パネル一体型樹脂サッシ50の下部においては、その下側に建て込まれたパネル60の凸条62がパネル52の下側の凹条53に嵌まり込んだ状態になっている。また、パネル一体型樹脂サッシ50の上部においては、その上側に建て込まれたパネル60の凹条64にパネル52の上側の凸条51が嵌まり込んだ状態になっている。
【0044】
また、図7及び図8に示すように、この例では、額縁24を構成する板状枠材44の中空部に木芯45が挿入され、その部分にビス47が打ち込まれることによって板状枠材44同士が固定されている。このように、板状枠材44の中空部に木芯45を挿入してビス止めすると、ビス止めによる固定強度がより高くなる。
【0045】
パネル一体型樹脂サッシ50の製造方法は、特に限定されない。
例えば、公知の方法でパネルに開口部を形成し、その開口部にサッシ22を嵌め込み、ビス止め等によって固定する。また、例えば、押出成形等で成形した板状枠材44をビス止め等によってサッシ22に取り付けることにより、額縁24を形成する。
サッシ22のパネル52への取り付け、及び額縁24のサッシ22への取り付けは、仮設住宅の施工現場で実施してもよく、工場において実施してもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のパネル一体型樹脂サッシ50では、樹脂製のサッシ22の屋内側に額縁24が設けられている。これにより、アルミサッシを用いる場合に比べて結露が生じにくく、額縁24の腐朽が抑制される。そのため、仮設住宅の解体時に額縁24が破壊されにくく、仮設住宅用樹脂サッシ20を容易に再利用することができる。
【0047】
また、パネル一体型樹脂サッシ50では樹脂製のサッシ22がパネル52の開口部54に嵌め込まれた一体型であるため、支柱間に落とし込んで建て込む作業が通常のパネルと同様に行えるため、施工性に優れる。また、支柱間の距離に依存することなくサッシ22の寸法を設定することができるため、サッシ22の設計自由度が高い。さらに、サッシ22の周囲がパネル52で囲われているために防水性に優れており、第1実施形態に比べて雨水に対する耐性がより高い構造である。
【0048】
なお、本発明の仮設住宅用樹脂サッシ、仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ、及び仮設住宅用サッシ取付構造は、前記した態様には限定されず、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,2…仮設住宅用サッシ取付構造、10,10A…支柱、12…溝、20…仮設住宅用樹脂サッシ、22…サッシ、24…額縁、26…外枠、27…フランジ部、28…引き違い窓、28a…内枠、28b…ガラス窓、30…差し込み部材、44…板状枠材、50…仮設住宅用パネル一体型樹脂サッシ、51…凸条、52…パネル、53…凹条、54…開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8