(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182281
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】検査用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20231219BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20231219BHJP
H01R 12/91 20110101ALI20231219BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R24/38
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095799
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】若松 弘己
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FB15
5E021FC31
5E021HA05
5E223AA01
5E223AB26
5E223AB45
5E223AB65
5E223AC37
5E223BA23
5E223CA13
5E223CB24
5E223GA08
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、本発明の目的は、コネクタに適切に接続できる検査用コネクタを提供することである。
【解決手段】支持部材は、上方向を向く第1位置合わせ平面を有している。プローブは、
支持部材から下方向に突出している。フランジは、支持部材が上下方向及び直交方向に移動するように、支持部材を支持している。スライド部材は、フランジに対して上下方向に移動できるようにフランジに支持されており、下方向を向く第2位置合わせ平面を有している。支持部材のフランジに対する可動範囲の下端に支持部材が位置しているときに、第1位置合わせ平面は、第2位置合わせ平面と隙間を介して向かい合っている。第1位置合わせ平面が第2位置合わせ平面に接触したときに、プローブが上下方向に延びる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方向を向く第1位置合わせ平面を有している支持部材と、
前記支持部材により支持され、かつ、前記支持部材から下方向に突出しているプローブと、
前記支持部材が上下方向及び上下方向に直交する直交方向に移動するように、前記支持部材を支持しているフランジと、
前記支持部材及び前記フランジに連結され、かつ、前記支持部材を下方向に押す第1反発力発生部材と、
前記支持部材の上に位置し、かつ、前記フランジに対して上下方向に移動できるように前記フランジに支持されているスライド部材であって、下方向を向く第2位置合わせ平面を有しているスライド部材と、
前記スライド部材及び前記フランジに連結され、かつ、前記スライド部材を下方向に押す第2反発力発生部材と、
を備えており、
前記支持部材の前記フランジに対する可動範囲の下端に前記支持部材が位置しているときに、前記第1位置合わせ平面は、前記第2位置合わせ平面と隙間を介して向かい合っており、
前記第1位置合わせ平面が前記第2位置合わせ平面に接触したときに、前記プローブが上下方向に延びる、
検査用コネクタ。
【請求項2】
前記支持部材の前記フランジに対する可動範囲の下端に前記支持部材が位置しているときに、前記支持部材は、前記フランジに対して前記直交方向に移動しない、
請求項1に記載の検査用コネクタ。
【請求項3】
前記第1位置合わせ平面及び前記第2位置合わせ平面は、上下方向に直交している、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【請求項4】
前記第1反発力発生部材及び前記第2反発力発生部材は、弾性体である、
請求項1又は請求項2に記載の検査用コネクタ。
【請求項5】
前記第1反発力発生部材及び前記第2反発力発生部材は、スプリングである、
請求項4に記載の検査用コネクタ。
【請求項6】
前記スプリングは、圧縮力と縮み量との関係が非線形であるばね定数を有している、
請求項5に記載の検査用コネクタ。
【請求項7】
前記プローブの数は、複数である、
請求項1又は請求項2に記載の検査用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号の測定に用いられる検査用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の検査用コネクタに関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の検査用プローブ装置が知られている。このような検査用プローブ装置は、コネクタの真上からコネクタに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/014435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の検査用プローブ装置は、コネクタの真上から前後方向又は左右方向に僅かにずれた位置からコネクタに接続される場合がある。このような場合、検査用プローブがコネクタに適切に接続されない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、コネクタに適切に接続できる検査用コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る検査用コネクタは、
上方向を向く第1位置合わせ平面を有している支持部材と、
前記支持部材により支持され、かつ、前記支持部材から下方向に突出しているプローブと、
前記支持部材が上下方向及び上下方向に直交する直交方向に移動するように、前記支持部材を支持しているフランジと、
前記支持部材及び前記フランジに連結され、かつ、前記支持部材を下方向に押す第1反発力発生部材と、
前記支持部材の上に位置し、かつ、前記フランジに対して上下方向に移動できるように前記フランジに支持されているスライド部材であって、下方向を向く第2位置合わせ平面を有しているスライド部材と、
前記スライド部材及び前記フランジに連結され、かつ、前記スライド部材を下方向に押す第2反発力発生部材と、
を備えており、
前記支持部材の前記フランジに対する可動範囲の下端に前記支持部材が位置しているときに、前記第1位置合わせ平面は、前記第2位置合わせ平面と隙間を介して向かい合っており、
前記第1位置合わせ平面が前記第2位置合わせ平面に接触したときに、前記プローブが上下方向に延びる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る検査用コネクタによれば、検査用コネクタがコネクタに適切に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、検査用コネクタ10の斜視図である。
【
図2】
図2は、検査用コネクタ10の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、検査用コネクタ10の断面図である。
【
図4】
図4は、検査用コネクタ10の断面図である。
【
図6】
図6は、検査用コネクタ10がコネクタ500に接続される過程を示す断面図である。
【
図7】
図7は、検査用コネクタ10がコネクタ500に接続される過程を示す断面図である。
【
図8】
図8は、検査用コネクタ10がコネクタ500に接続される過程を示す断面図である。
【
図9】
図9は、検査用コネクタ10がコネクタ500に接続される過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
[検査用コネクタの構造]
以下に、本発明の実施形態に係る検査用コネクタ10の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、検査用コネクタ10の斜視図である。
図2は、検査用コネクタ10の分解斜視図である。
図3及び
図4は、検査用コネクタ10の断面図である。
図5は、コネクタ500の断面図である。
【0010】
図1ないし
図5に示すように、プローブ134が延びる方向を上下方向と定義する。上下方向に直交する方向を左右方向及び前後方向と定義する。左右方向は、前後方向と直交している。なお、上下方向、左右方向及び前後方向は、説明の便宜上定義した方向である。従って、上下方向、左右方向及び前後方向は、検査用コネクタ10の使用時の上下方向、左右方向及び前後方向と一致していなくてもよい。また、上方向と下方向とが入れ替わってもよいし、左方向と右方向とが入れ替わってもよいし、前方向と後方向とが入れ替わってもよい。
【0011】
検査用コネクタ10は、スマートフォン等の電子機器内を伝送される高周波信号の測定に用いられる。検査用コネクタ10は、
図1ないし
図3に示すように、支持部材101、フランジ106、スプリング108、スライド部材110、スプリング112、プローブ134、絶縁性支持部材136(
図4参照)、バレル138(
図4参照)及び同軸ケーブル202を備えている。
【0012】
支持部材101は、
図1に示すように、プランジャ102及びハウジング104を含んでいる。プランジャ102には、グランド電位が接続される。プランジャ102は、
図2に示すように、プランジャ下部102a及びプランジャ上部102bを含んでいる。プランジャ下部102aは、直方体形状を有している。プランジャ下部102aには、
図4に示すように、上下方向に延びる貫通孔hが設けられている。貫通孔hは、プランジャ下部102aを上下方向に貫通している。
【0013】
プランジャ上部102bは、
図2に示すように、プランジャ下部102aの上に位置し、かつ、プランジャ下部102aに連結されている。プランジャ上部102bは、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。このようなプランジャ102は、導電性の高い金属により作製されている。プランジャ102は、例えば、SUSにより作製されている。
【0014】
図4に示すバレル138には、グランド電位が接続される。バレル138は、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。バレル138は、貫通孔h内において上下方向に延びている。そして、バレル138は、貫通孔hの内周面に接触することにより、プランジャ102に支持されている。従って、バレル138は、プランジャ102に電気的に接続されている。
【0015】
図4に示すプローブ134には、高周波信号が伝送される。プローブ134は、比較的に高い周波数を有する高周波信号が印加される端子である。比較的に高い周波数を有する高周波信号は、例えば、0.3GHz~0.3THzの周波数を有するミリ波信号やマイクロ波信号である。
【0016】
プローブ134は、上下方向に延びる棒形状を有している。プローブ134は、バレル138内において上下方向に延びている。そのため、プローブ134は、貫通孔h内において上下方向に延びている。プローブ134の下端は、プランジャ下部102aの下面より下に位置している。これにより、プローブ134は、支持部材101から下方向に突出している。また、プローブ134は、貫通孔hの内周面及びバレル138の内周面に接触していない。従って、プローブ134は、プランジャ102に電気的に接続されていない。
【0017】
プローブ134は、
図4に示すように、筒部1202、下ピン1204、スプリング1208及びソケット1210を含んでいる。筒部1202は、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。筒部1202の上端は開口していない。筒部1202の下端は開口している。筒部1202の下端部の直径は、筒部1202の残余の部分の直径より小さい。すなわち、筒部1202は、筒部1202の下端部が少し絞られた形状を有している。
【0018】
下ピン1204は、上下方向に延びる棒状部材である。下ピン1204の上部は、筒部1202の内部に位置している。下ピン1204の下部は、筒部1202から下方向に突出している。更に、下ピン1204は、プランジャ102の下面から下方向に突出している。ただし、下ピン1204の上部の直径は、下ピン1204の下部の直径より大きい。これにより、下ピン1204は、筒部1202の下端の開口を下方向に通過することができない。
【0019】
スプリング1208は、筒部1202内に設けられている弾性体である。スプリング1208の下端は、下ピン1204の上端に接触している。スプリング1208の上端は、筒部1202の内周面の上端に接触している。これにより、スプリング1208は、下ピン1204を下方向に押している。以上の構造を有するプローブ134は、スプリング1208が上下方向に伸縮することにより、上下方向に伸縮することができる。以上のようなプローブ134は、例えば、黄銅により作製されている。
【0020】
ソケット1210は、筒部1202の上端から上方向に延びている。ソケット1210は、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。ソケット1210の下端は開口していない。ソケット1210の上端は開口している。
【0021】
絶縁性支持部材136は、バレル138内に設けられている。絶縁性支持部材136は、プローブ134とバレル138とが絶縁されるようにプローブ134を支持している。絶縁性支持部材136は、上下方向に見て、プローブ134の周囲を囲む環形状を有している。より詳細には、絶縁性支持部材136は、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。絶縁性支持部材136の中心軸線は、プローブ134の中心軸線と一致する。絶縁性支持部材136は、バレル138の下端部に位置している。そして、プローブ134は、絶縁性支持部材136内において上下方向に延びている。これにより、絶縁性支持部材136は、バレル138に支持されると共にプローブ134を支持している。すなわち、プローブ134は、絶縁性支持部材136及びバレル138を介して支持部材101により支持されている。このような絶縁性支持部材136は、絶縁性を有する樹脂により作製されている。絶縁性支持部材136は、例えば、エポキシ樹脂により作製されている。これにより、プローブ134は、プランジャ102及びバレル138と絶縁されている。
【0022】
同軸ケーブル202は、
図4に示すように、中心導体204、外部導体206、第1絶縁体208及び第2絶縁体210を備えている。中心導体204は、同軸ケーブル202の芯線である。従って、中心導体204は、同軸ケーブル202の中心に位置している。中心導体204には、高周波信号が伝送される。中心導体204は、低い抵抗値を有する導体により作製されている。中心導体204は、例えば、銅により作製されている。
【0023】
外部導体206は、上下方向に見たときに中心導体204の周囲を囲んでいる。従って、外部導体206は、同軸ケーブル202が延びる方向に直交する断面において、円環形状を有している。外部導体206には、グランド電位が接続される。このような外部導体206は、例えば、細い導線が編まれることにより作製されている。外部導体206は、低い抵抗値を有する導体により作製されている。外部導体206は、例えば、銅により作製されている。
【0024】
第1絶縁体208は、中心導体204と外部導体206とを絶縁している。第1絶縁体208は、中心導体204と外部導体206との間に位置している。第1絶縁体208は、上下方向に見たときに中心導体204の周囲を囲んでいる。第1絶縁体208の周囲は、外部導体206により囲まれている。第1絶縁体208は、同軸ケーブル202が延びる方向に直交する断面において、円環形状を有している。第1絶縁体208は、絶縁性を有する樹脂により作製されている。第1絶縁体208は、例えば、ポリエチレンにより作製されている。また、同軸ケーブル202がしなやかに変形できるように、第1絶縁体208には複数の孔が設けられている。
【0025】
第2絶縁体210は、上下方向に見て外部導体206の周囲を囲んでいる。従って、第2絶縁体210は、同軸ケーブル202が延びる方向に直交する断面において、円環形状を有している。第2絶縁体210は、絶縁性を有する樹脂により作製されている。第2絶縁体210は、例えば、ポリエチレンにより作製されている。ただし、第2絶縁体210には、複数の孔が設けられていない、又は、第1絶縁体208より少ない孔が設けられている。そのため、第2絶縁体210は、第1絶縁体208より変形しにくい。従って、第2絶縁体210のヤング率は、第1絶縁体208のヤング率より大きい。
【0026】
中心導体204は、同軸ケーブル202の下端部において中心導体204が露出している中心導体露出部P1を含んでいる。具体的には、同軸ケーブル202の下端部では、外部導体206、第1絶縁体208及び第2絶縁体210が除去されることにより、中心導体204が同軸ケーブル202から露出している。
【0027】
外部導体206は、同軸ケーブル202の中心導体露出部P1より上において外部導体206が露出している外部導体露出部P2を含んでいる。具体的には、中心導体204が露出している部分より上において第2絶縁体210が除去されることにより、外部導体206が同軸ケーブル202から露出している。
【0028】
中心導体露出部P1は、ソケット1210に挿入されている。中心導体露出部P1は、図示しない半田等によりソケット1210に固定されている。これにより、中心導体204は、プローブ134と電気的に接続されている。
【0029】
外部導体露出部P2は、バレル138に挿入されている。外部導体露出部P2は、図示しない半田等によりバレル138に固定されている。これにより、外部導体206は、バレル138及びプランジャ102と電気的に接続されている。
【0030】
ハウジング104は、
図2に示すように、ハウジング本体104a及びストッパ104bを含んでいる。ハウジング本体104aは、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。
【0031】
ストッパ104bは、ハウジング本体104aの上端に設けられている。ストッパ104bは、上方向を向く第1位置合わせ平面S1を有する板形状を有している。これにより、支持部材101は、上方向を向く第1位置合わせ平面S1を有している。第1位置合わせ平面S1は、上下方向に直交している。ストッパ104bは、ハウジング本体104aから前後方向及び左右方向に突出している。よって、上下方向に見て、ハウジング本体104aの外縁は、ストッパ104bの外縁内に収まっている。
【0032】
以上のようなハウジング104の下端部は、プランジャ上部102bに挿入されている。そして、ハウジング104は、プランジャ上部102bに固定されている。このようなハウジング104は、導電性の高い金属により作製されている。ハウジング104は、例えば、SUSにより作製されている。
【0033】
フランジ106は、
図3に示すように、ベース板106a及びガイド部材106bを含んでいる。ベース板106aは、上下方向に貫通する貫通孔Hが設けられた板状部材である。ベース板106aは、下方向に見たときに、長方形状を有する。ベース板106aは、上下方向において、ハウジング104の上端部近傍に配置される。貫通孔Hは、ベース板106aを上下方向に貫通している。貫通孔Hの直径は、ハウジング本体104aの直径より大きい。ハウジング本体104aは、貫通孔H内を上下方向に通過している。これにより、ベース板106aは、支持部材101が上下方向及び上下方向に直交する直交方向に移動するように、支持部材101を支持している。ただし、支持部材101のベース板106aに対する上下方向の可動範囲は、支持部材101のベース板106aに対する直交方向の可動範囲より広い。
【0034】
また、ベース板106aの貫通孔Hの直径は、ストッパ104bの前後方向の長さ及びストッパ104bの左右方向の長さより小さい。そのため、ストッパ104bは、貫通孔Hを下方向に向かって通過できない。そして、ベース板106aの第1位置合わせ平面S1には、凹部Gが設けられている。凹部Gは、上下方向に見て、貫通孔Hを囲んでいる。上下方向に見て、凹部Gの形状は、ストッパ104bの形状と一致する。これにより、支持部材101のベース板106a(フランジ)に対する可動範囲の下端に支持部材101が位置しているときに、ストッパ104bは、凹部G内に位置する。このとき、支持部材101は、ベース板106a(フランジ)に対して直交方向に移動しない。このようなベース板106aは、導電性の高い金属により作製されている。ベース板106aは、例えば、SUSにより作製されている。
【0035】
スプリング108(第1反発力発生部材)は、プランジャ102(支持部材)及びベース板106a(フランジ)に連結されている弾性体である。具体的には、スプリング108の上端は、ベース板106aの下面に接触している。スプリング108の下端は、プランジャ上部102bの上面に接触している。また、ハウジング本体104aは、スプリング108内を上下方向に延びている。そして、スプリング108(第1反発力発生部材)は、プランジャ102(支持部材)を下方向に押している。より詳細には、プランジャ102とハウジング104とは一体化されている。そのため、プランジャ102が上方向に押されると、スプリング108が縮んで、プランジャ102及びハウジング104がベース板106aに対して上方向に変位する。このとき、プランジャ102及びハウジング104は、スプリング108により下方向に押される。
【0036】
ガイド部材106bは、
図2に示すように、ベース板106aの上に位置している。ガイド部材106bは、ベース板106aに固定されている。ガイド部材106bは、上下方向に延びる中心軸線を有する筒形状を有している。
図3に示すように、ガイド部材106bの中心軸線は、貫通孔Hの中心軸線と一致している。また、ガイド部材106bの下面は、開口している。ガイド部材106bの上面は、開口していない。
【0037】
スライド部材110は、
図3に示すように、ハウジング104(支持部材)の上に位置し、かつ、ベース板106a(フランジ)に対して上下方向に移動できるようにガイド部材106b(フランジ)に支持されている。より詳細には、スライド部材110は、スライド部材本体110a及びスライド部材支持部110b,110cを含んでいる。スライド部材本体110aは、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。スライド部材本体110aは、ガイド部材106b内に位置している。スライド部材本体110aは、ガイド部材106bの内周面に沿って上下方向に移動することができる。
【0038】
スライド部材支持部110bは、
図3に示すように、スライド部材本体110aの下端から左方向に延びている。ただし、スライド部材支持部110bの左端部は、下方向に折れ曲がっている。スライド部材支持部110cは、スライド部材本体110aの下端から右方向に延びている。ただし、スライド部材支持部110cの右端部は、下方向に折れ曲がっている。これにより、スライド部材支持部110b,110c(スライド部材)は、下方向を向く第2位置合わせ平面S2を有している。第2位置合わせ平面S2は、上下方向に直交している。第2位置合わせ平面S2は、スライド部材支持部110b,110cの下端より上に位置している。スライド部材支持部110b,110cの下端は、ベース板106aに接触するので、第2位置合わせ平面S2は、ベース板106aに接触しない。そのため、
図3に示すように、ハウジング104(支持部材)のベース板106a(フランジ)に対する可動範囲の下端にハウジング104(支持部材)が位置しているときに、第1位置合わせ平面S1は、第2位置合わせ平面S2と隙間Spを介して向かい合っている。すなわち、第1位置合わせ平面S1は、第2位置合わせ平面S2と接触していない。
【0039】
スプリング112(第2反発力発生部材)は、スライド部材110及びガイド部材106b(フランジ)に連結されている弾性体である。具体的には、スプリング112は、ガイド部材106b内に位置している。スプリング112の上端は、ガイド部材106bの内周面の上端に接触している。スプリング112の下端は、スライド部材110の上面に接触している。これにより、スプリング112(第2反発力発生部材)は、スライド部材110を下方向に押す。
【0040】
以上のような検査用コネクタ10は、
図5に示すコネクタ500を備える電子機器の検査に用いられる。コネクタ500は、外部導体502及び中心導体504を備えている。外部導体502は、グランド電位に接続される。中心導体504には、高周波信号が入出力される。
【0041】
以下に、検査用コネクタ10の動作について図面を参照しながら説明する。
図6ないし
図9は、検査用コネクタ10がコネクタ500に接続される過程を示す断面図である。
【0042】
検査用コネクタ10は、コネクタ500の上にセットされる。そして、検査用コネクタ10は、下降する。これにより、
図6に示すように、プランジャ102は、コネクタ500に接触する。ただし、検査用コネクタ10は、コネクタ500に対して僅かに左にずれている。
【0043】
検査用コネクタ10が更に下降すると、
図7に示すように、検査用コネクタ10がコネクタ500から力を受けて、ハウジング104が上下方向に対して傾く。本実施形態では、ハウジング104は、上下方向に対して左方向に倒れるように傾く。図示を省略するが、プローブ134も、上下方向に対して左方向に倒れるように傾く。このとき、第1位置合わせ平面S1も、左右方向に対して傾く。具体的には、第1位置合わせ平面S1の右端は、第1位置合わせ平面S1の左端より上に位置する。これにより、第1位置合わせ平面S1の右端は、第2位置合わせ平面S2に接触する。
【0044】
検査用コネクタ10が更に下降すると、
図8に示すように、ストッパ104bは、凹部G外にでる。これにより、ハウジング104は、ベース板106aに対して直交方向に移動することができる。本実施形態では、ハウジング104は、ベース板106aに対して僅かに左に移動する。これにより、第1位置合わせ平面S1は、第2位置合わせ平面S2に接触する。このとき、プローブ134は、上下方向に延びている。すなわち、プローブ134は、上下方向に対して傾いていない。そして、検査用コネクタ10は、コネクタ500に適切に接続される。
【0045】
検査用コネクタ10が更に下降すると、
図9に示すように、第1位置合わせ平面S1は、第2位置合わせ平面S2を上方向に押す。これにより、スライド部材110は、ハウジング104により上方向に押される。そして、スプリング112が縮んで、スライド部材110がベース板106aに対して上方向に移動する。このとき、スプリング108及びスプリング112がプローブ134及びプランジャ102を下方向に押す。そのため、プローブ134は、中心導体504に強く押し付けられると共に、プランジャ102は、外部導体502に強く押し付けられる。
【0046】
[効果]
検査用コネクタ10によれば、検査用コネクタ10がコネクタ500に対して前後方向又は左右方向にずれていても、検査用コネクタ10がコネクタ500に適切に接続される。より詳細には、ベース板106aは、ハウジング104が上下方向及び直交方向に移動するように、ハウジング104を支持している。これにより、
図6に示すように、検査用コネクタ10がコネクタ500に対して僅かに左にずれている場合に、ハウジング104は、上下方向に対して左方向に倒れるように傾くことができる。更に、
図8に示すように、検査用コネクタ10が更に下降すると、第1位置合わせ平面S1が、第2位置合わせ平面S2に接触して、プローブ134が上下方向に延びる。これにより、プローブ134及びプランジャ102は、ベース板106aに対して左方向に僅かに移動し、コネクタ500の真上に位置するようになる。そして、検査用コネクタ10は、コネクタ500に適切に接続される。
【0047】
検査用コネクタ10によれば、以下の理由によっても、検査用コネクタ10がコネクタ500に適切に接続される。より詳細には、
図7に示すように、ハウジング104が傾くときには、スプリング108のみが縮む。従って、ハウジング104が容易に傾くことができる。言い換えると、プローブ134及びプランジャ102の左右方向の位置は、比較的に小さな力により補正される。そして、検査用コネクタ10がコネクタ500に接続されるときには、
図9に示すように、スプリング108及びスプリング112が縮む。これにより、プローブ134及びプランジャ102は、スプリング108及びスプリング112により大きな力により下方向に押される。そのため、プローブ134及びプランジャ102がコネクタ500に押し込まれ、検査用コネクタ10がコネクタ500に適切に接続される。
【0048】
また、
図7に示すように、プランジャ102がコネクタ500に接触するときには、スプリング108が縮み、スプリング112が縮まない。これにより、プランジャ102が大きな力でコネクタ500に接触することが抑制される。その結果、プランジャ102及びコネクタ500が破損することが抑制される。
【0049】
また、第1位置合わせ平面S1及び第2位置合わせ平面S2は、上下方向に直交している。これにより、プローブ134及びプランジャ102は、ベース板106aに対して前後方向及び左右方向のいずれの方向にも容易に移動することができる。
【0050】
(その他の実施形態)
本発明に係る検査用コネクタは、前記実施形態に係る検査用コネクタ10に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0051】
なお、検査用コネクタ10において、プローブの数は1本に限らない。プローブの数は、複数であってもよい。
【0052】
なお、検査用コネクタ10において、プローブ134は、上下方向に伸縮可能な構造を有していなくてもよい。
【0053】
なお、スプリング108,112の代わりの反発力発生部材として、ゴムや磁石が設けられてもよい。
【0054】
なお、第1位置合わせ平面S1及び第2位置合わせ平面S2は、上下方向に直交していなくてもよい。第1位置合わせ平面S1及び第2位置合わせ平面S2は、
図3に示す状態において、平行であればよい。
【0055】
なお、ガイド部材106b及びスライド部材110の構造は、例示した構造に限らない。例えば、スライド部材110は、上下方向に見て、環形状を有していてもよい。この場合、ガイド部材106bは、上下方向に延びる棒状部材である。ガイド部材106bは、スライド部材110を上下方向に貫通している。そして、スライド部材110は、ガイド部材106bに対して上下方向に移動できる。
【0056】
なお、スプリング108,112のばね定数は、一定でなくてもよい。すなわち、スプリング108,112は、圧縮力と縮み量との関係が非線形なばね定数を有していてもよい。この場合、圧縮力が相対的に大きな領域のばね定数は、圧縮力が相対的に小さな領域のばね定数より大きい。
【0057】
本発明は、以下の構造を備える。
【0058】
(1)
上方向を向く第1位置合わせ平面を有している支持部材と、
前記支持部材により支持され、かつ、前記支持部材から下方向に突出しているプローブと、
前記支持部材が上下方向及び上下方向に直交する直交方向に移動するように、前記支持部材を支持しているフランジと、
前記支持部材及び前記フランジに連結され、かつ、前記支持部材を下方向に押す第1反発力発生部材と、
前記支持部材の上に位置し、かつ、前記フランジに対して上下方向に移動できるように前記フランジに支持されているスライド部材であって、下方向を向く第2位置合わせ平面を有しているスライド部材と、
前記スライド部材及び前記フランジに連結され、かつ、前記スライド部材を下方向に押す第2反発力発生部材と、
を備えており、
前記支持部材の前記フランジに対する可動範囲の下端に前記支持部材が位置しているときに、前記第1位置合わせ平面は、前記第2位置合わせ平面と隙間を介して向かい合っており、
前記第1位置合わせ平面が前記第2位置合わせ平面に接触したときに、前記プローブが上下方向に延びる、
検査用コネクタ。
【0059】
(2)
前記支持部材の前記フランジに対する可動範囲の下端に前記支持部材が位置しているときに、前記支持部材は、前記フランジに対して前記直交方向に移動しない、
(1)に記載の検査用コネクタ。
【0060】
(3)
前記第1位置合わせ平面及び前記第2位置合わせ平面は、上下方向に直交している、
(1)又は(2)のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【0061】
(4)
前記第1反発力発生部材及び前記第2反発力発生部材は、弾性体である、
(1)ないし(3)のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【0062】
(5)
前記第1反発力発生部材及び前記第2反発力発生部材は、スプリングである、
(4)に記載の検査用コネクタ。
【0063】
(6)
前記スプリングは、圧縮力と縮み量との関係が非線形であるばね定数を有している、
(5)に記載の検査用コネクタ。
【0064】
(7)
前記プローブの数は、複数である、
(1)ないし(6)のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【符号の説明】
【0065】
10:検査用コネクタ
101:支持部材
102:プランジャ
102a:プランジャ下部
102b:プランジャ上部
104:ハウジング
104a:ハウジング本体
104b:ストッパ
106:フランジ
106a:ベース板
106b:ガイド部材
108,112:スプリング
110:スライド部材
110a:スライド部材本体
110b,110c:スライド部材支持部
134:プローブ
136:絶縁性支持部材
138:バレル
202:同軸ケーブル
204:中心導体
206:外部導体
208:第1絶縁体
210:第2絶縁体
500:コネクタ
502:外部導体
504:中心導体
1202:筒部
1204:下ピン
1208:スプリング
1210:ソケット
G:凹部
H:貫通孔
P1:中心導体露出部
P2:外部導体露出部
S1:第1位置合わせ平面
S2:第2位置合わせ平面
Sp:隙間
h:貫通孔