(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182282
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20231219BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/18 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095801
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樹下 誠
(72)【発明者】
【氏名】植田 英範
(72)【発明者】
【氏名】筒井 華
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA03
2E239CA12
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA55
2E239CA67
(57)【要約】
【課題】防火性を損なうことなく断熱性の向上を図ること。
【解決手段】室外側形材11Aと室内側形材11Bとの間がブリッジ材11Cによって連結された縦枠11を備え、室内側形材11Bは、ブリッジ材11Cが収容される内方ポケット部36を有するとともに、内方ポケット部36から室内側に向けて延在される内方枠基部35を有し、内方枠基部35を介して内周側から外周側に内方ネジ部材39を設けることにより躯体3との間が連結される建具であって、室内側形材11Bにおいて内方ネジ部材39よりも室外側に位置する部分には、躯体3との間に相互間隔が減少する方向の移動を制限する補強部材20が介在されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外側形材と室内側形材との間が断熱材によって連結された建具用形材を備え、
前記室内側形材は、前記断熱材が収容される収容部を有するとともに、前記収容部から室内側に向けて延在される内方延在部を有し、前記内方延在部を介して内周側から外周側に固定部材を設けることにより躯体との間が連結される建具であって、
前記室内側形材において前記固定部材よりも室外側に位置する部分には、前記躯体との間に相互間隔が減少する方向の移動を制限する補強部材が介在されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記補強部材には、前記室外側形材に取り付けられる取付部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記補強部材には、貫通孔を有する連結板部が設けられ、前記固定部材は、前記貫通孔を貫通することを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記補強部材は、前記固定部材よりも室外側に位置する部分において前記室内側形材と前記躯体との間に介在する補助板部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記補助板部は、前記固定部材の周囲を覆うことを特徴とする請求項4に記載の建具。
【請求項6】
前記補助板部は、前記建具用形材の長手に対して直交する方向に延在され、
前記補助板部には、外周側において室内側に位置する隅部には面取り部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外側形材と室内側形材との間が断熱材によって連結された建具用形材を備える建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建具には、断熱性を考慮し、枠体を構成する枠材として室外側形材と室内側形材との間が断熱材によって連結されたものを適用するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の枠材を備える建具では、火災発生時等のように高温状態に晒された場合、断熱材が溶融、もしくは焼失するおそれがある。断熱材が溶融、もしくは焼失した建具にあっては、躯体に対して室内側形材の位置を維持することが困難となり、室内側形材と室外側形材との隙間が増大することで防火性に影響を及ぼす懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、防火性を損なうことなく断熱性の向上を図ることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、室外側形材と室内側形材との間が断熱材によって連結された建具用形材を備え、前記室内側形材は、前記断熱材が収容される収容部を有するとともに、前記収容部から室内側に向けて延在される内方延在部を有し、前記内方延在部を介して内周側から外周側に固定部材を設けることにより躯体との間が連結される建具であって、前記室内側形材において前記固定部材よりも室外側に位置する部分には、前記躯体との間に相互間隔が減少する方向の移動を制限する補強部材が介在されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、室内側形材において固定部材よりも室外側となる部分と躯体との間に補強部材を介在させるようにしているため、断熱材が溶融、もしくは焼失したとしても、補強部材と固定部材とによって躯体に対する室内側形材の位置を維持することが可能となる。この結果、室内側形材と室外側形材との隙間が増大するおそれがなくなり、防火性を損なうことなく断熱性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1である建具を室外側から見た姿図である。
【
図4】
図1に示した建具の要部を示す拡大横断面図である。
【
図5】
図1に示した建具に適用する補強部材を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図6】本発明の変形例1である建具の要部横断面図である。
【
図7】
図6に示した建具に適用する補強部材を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は補強部材の変形例2を示す正面図である。
【
図8】本発明の変形例3である建具の要部横断面図である。
【
図9】
図8に示した建具に適用する補強部材を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図10】本発明の実施の形態2である建具の要部横断面図である。
【
図11】
図10に示した建具に適用する補強部材を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図12】本発明の実施の形態3である建具の要部横断面図である。
【
図13】本発明の実施の形態4である建具の要部横断面図である。
【
図14】本発明の実施の形態5である建具の要部横断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態6である建具の要部横断面図である。
【
図16】
図15に示した建具に適用する補強部材を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図17】本発明の実施の形態7である建具の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
(実施の形態1)
図1~
図3は、本発明の実施の形態1である建具を示すものである。ここで例示する建具は、片開き戸と称されるもので、扉体1及び枠体10を備えている。扉体1は、長方形状を成すパネルによって構成したものである。枠体10は、左右の縦枠(建具用形材)11の端部間に上枠12及び下枠13を設けることによって構成したものである。この枠体10には、一方の縦枠11と扉体1の一方の側縁部との間に介在させたヒンジ2により、扉体1が開閉可能に支持してある。
【0011】
枠体10を構成する下枠13は、アルミニウム合金等の金属によって一体に成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成したものである。これに対して左右の縦枠11及び上枠12は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材からなる室外側形材11A,12A及び室内側形材11B,12Bを有し、かつこれら室外側形材11A,12A及び室内側形材11B,12Bの間が断熱性を有した樹脂製のブリッジ材(断熱材)11C,12Cによって連結してある。さらに左右の縦枠11については、室外側形材11Aと室内側形材11Bとの間の長手に沿った複数箇所に補強部材20が設けてある。以下、縦枠11及びこれに設けた補強部材20の構成について詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。なお、実施の形態1で適用する左右の縦枠11は互いに対称形状となるように構成してある。従って、以下においては一方の縦枠11についてのみ説明を行い、他方の縦枠11については同一の符号を付すこととする。
【0012】
図4に示すように、縦枠11の室外側形材11Aは、外方枠基部31、カバー板部32、外方ポケット部33を一体に成形したものである。外方枠基部31は、見込み方向に沿った寸法が見付け方向に沿った寸法よりも大きな中空の角筒状を成すものである。カバー板部32は、外方枠基部31の外周側、かつ室外側となる隅部から外周に向けて見付け方向に延在した後、室内側に向けて屈曲し、さらに外周側に向けて屈曲したものである。このカバー板部32の延在縁部は、柱等の躯体3の室外に臨む表面に延在縁部を当接させることにより、躯体3に対する縦枠11の見込み方向に沿った位置を規定するものである。図示の例では、カバー板部32を介して躯体3に外方ネジ部材34を螺合するようにしている。外方ポケット部33は、ブリッジ材11Cが収容される溝状の凹部であり、外方枠基部31の室内に臨む見付け面において内周側となる部分に室外側形材11Aの長手に沿って形成してある。
【0013】
縦枠11の室内側形材11Bは、内方枠基部(内方延在部)35、内方ポケット部(収容部)36、戸当り部37、支持板部38を一体に成形したものである。内方枠基部35は、見込み方向に沿って延在する平板状を成すものである。この内方枠基部35には、複数のネジ挿通孔35aが長手に沿って並設してある。内方ポケット部36は、室外側形材11Aに設けた外方ポケット部33との間にブリッジ材11Cが収容される溝状の凹部であり、内方枠基部35の室外側に位置する縁部において室内側形材11Bの長手に沿って形成してある。図からも明らかなように、ブリッジ材11Cは、室内側形材11Bと室外側形材11Aとの間に隙間が設けられる状態で内方ポケット部36及び外方ポケット部33に収容してある。ブリッジ材11Cを介して互いに連結された室内側形材11B及び室外側形材11Aは、内方枠基部35の内周側に位置する見込み面と、外方枠基部31の内周側に位置する見込み面とがほぼ同一の平面上に位置している。戸当り部37は、内方枠基部35の室外側に位置する縁部から内周側に向けて突出した断面が長方形状の中空部であり、室外に臨む見付け面が溝状に開口している。この戸当り部37の室外に臨む見付け面には、溝状に開口する部分を介してタイト材37aが装着してある。支持板部38は、内方枠基部35の室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在したものである。内方枠基部35からの支持板部38の突出寸法は、室外側形材11Aにおける外方枠基部31の見付け方向に沿った寸法とほぼ等しい。
【0014】
補強部材20は、鋼材等の金属によって一体に成形したもので、内方枠基部35に設けたネジ挿通孔35aに対した複数位置に配設してある。
図5に示すように、本実施の形態1の補強部材20は、連結板部21、取付部22、2つの見込み板部(補助板部)23を有して構成してある。連結板部21は、長方形の平板状を成すものである。
図4、
図5に示すように、連結板部21の見込み方向に沿った寸法は、縦枠11において外方枠基部31の室内に臨む見付け面から支持板部38までの寸法よりも僅かに短く設定してある。連結板部21には、ネジ貫通孔(貫通孔)21aが設けてある。ネジ貫通孔21aは、内方枠基部35のネジ挿通孔35aに挿通される内方ネジ部材(固定部材)39を貫通させることのできる内径を有したもので、連結板部21の縁部を外方枠基部31の室内に臨む見付け面に当接させた場合に、内方枠基部35のネジ挿通孔35aに対向する位置に形成してある。取付部22は、連結板部21の室外側に位置する縁部から外周側に向けて屈曲したものである。取付部22の見付け方向に沿った寸法は、外方ポケット部33の外周側となる部分の表面から外方枠基部31の外周側となる見込み面までの寸法よりも短い。2つの見込み板部23は、連結板部21の室外側に位置する部分の両側から外周側に向けて互いにほぼ平行となるように延在した平板状を成すものである。見込み板部23の見付け方向に沿った寸法は、外方ポケット部33の外周側となる部分の表面から外方枠基部31の外周側となる見込み面までの寸法とほぼ同じである。見込み板部23の見込み方向に沿った寸法は、外方枠基部31の室内に臨む見付け面から内方ポケット部36の室内に臨む部分までの寸法とほぼ等しい。見込み板部23には、外周側において室内側に位置する隅部に傾斜状の面取り部23aが施してある。この補強部材20は、連結板部21が外方ポケット部33及び内方ポケット部36の外周側となる部分の表面に近接し、かつネジ貫通孔21aが内方枠基部35のネジ挿通孔35aに対向した状態で取付部22を外方枠基部31の室内に臨む見付け面に当接させ、この状態から取付部22を介して外方枠基部31にネジSを螺合することによって室外側形材11Aに取り付けてある。
【0015】
上述の縦枠11を躯体3に取り付けるには、例えば上枠12及び下枠13とともに四周組し、枠体10を構成した状態で室外側から躯体3の開口部に配置する。躯体3の内周面と枠体10の外周面との間には、互いの間に生じた隙間を埋めるため、適宜の板厚を有したスペーサ4を室内側から挿入する。このとき、上述したように、見込み板部23の室内側となる隅部に傾斜状の面取り部23aが施してあるため、室内に向けて躯体3との隙間が拡大された状態となっている。従って、室内側から挿入したスペーサ4が面取り部23aによって躯体3と見込み板部23との間に案内されることになり、上述の作業を容易に行うことが可能となる。その後、カバー板部32を介して躯体3に外方ネジ部材34を螺合し、かつ内方枠基部35のネジ挿通孔35a及び補強部材20のネジ貫通孔21aを介して躯体3に内方ネジ部材39を螺合させれば、躯体3に枠体10を取り付けることができる。
【0016】
上記のようにして躯体3に取り付けた枠体10においては、縦枠11の室外側形材11Aが外方枠基部31の見込み面及びスペーサ4を介して躯体3の内周側となる表面に支持された状態となる。縦枠11の室内側形材11Bについては、内方ネジ部材39よりも室内側に位置する部分が支持板部38及びスペーサ4を介して躯体3の内周側となる表面に支持されるとともに、内方ネジ部材39よりも室外側に位置する部分が内方ポケット部36を介して補強部材20の連結板部21に近接して対向した状態となる。
【0017】
この枠体10を備える建具によれば、縦枠11を構成する室外側形材11Aと室内側形材11Bとの間がブリッジ材11Cによって熱的に遮断されるため、室外側形材11Aと室内側形材11Bとの間の熱伝達が抑制され、断熱性の点で有利となる。
【0018】
一方、火災発生時等のように建具が高温状態となり、ブリッジ材11Cが溶融、もしくは焼失した場合、ブリッジ材11Cによる室外側形材11Aと室内側形材11Bとの連結状態が解除されるおそれがある。しかしながら、上述の縦枠11によれば、内方ネジ部材39及び補強部材20によって室外側形材11Aと室内側形材11Bとが連結された状態を維持することになる。すなわち、室外側形材11Aに対しては、取付部22が外方ネジ部材34によって外方枠基部31に取り付けてあるとともに、室内側形材11Bに対しては、内方ネジ部材39がネジ貫通孔21aを貫通することで室外側形材11Aに対する見込み方向の移動が制限されることになる。従って、室外側形材11Aと室内側形材11Bとが互いに離反する方向に移動する事態を招来するおそれがない。
【0019】
しかも、室外側形材11Aについては、外方枠基部31の外周側となる見込み面全面がスペーサ4を介して躯体3に当接しているため、躯体3に対する位置が維持された状態となる。
【0020】
一方、室内側形材11Bについては、内方ネジ部材39よりも室外側となる位置において支持板部38のみがスペーサ4を介して躯体3に当接した状態である。しかしながら、内方ポケット部36が補強部材20の連結板部21に対向して配置されているため、さらには、連結板部21とスペーサ4との間に見込み板部23が介在するため、内方ポケット部36が躯体3に近接する方向に移動するおそれがない。つまり、ブリッジ材11Cが溶融、もしくは焼失した場合にも、支持板部38、内方ネジ部材39及び補強部材20によって躯体3に対する室内側形材11Bの位置が維持される。これらの結果、室内側形材11Bと室外側形材11Aとの隙間が増大するおそれがなくなり、防火性を向上させることが可能となる。
【0021】
なお、上述した実施の形態1では、見込み板部23が縦枠11の長手に直交する方向に延在する補強部材20を例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば
図6、
図7(a)、
図7(b)に示す変形例1では、見込み板部(補助板部)43が縦枠11の長手に沿って延在するように補強部材40を構成している。より具体的に説明すると、変形例1の補強部材40は、連結板部41において室外側に位置する部分が幅広となるように構成してある。すなわち、連結板部41には、室外側に位置する部分の両側に縦枠11の長手に沿って延在した延長部41bが設けてある。2つの見込み板部43は、連結板部41の延長部41bにおいて室内側に位置する縁部から外周側に向けて延在している。延長部41bの内周側に位置する縁部は、内方ポケット部36の外周側となる部分に位置している。見込み板部43の見付け方向に沿った寸法は、外方ポケット部33の外周側となる部分の表面から外方枠基部31の外周側となる見込み面までの寸法とほぼ同じである。連結板部41にはネジ貫通孔(貫通孔)41aが設けてある。補強部材40の取付部42は、実施の形態1と同様である。この変形例1においても、実施の形態1と同様の作用効果を奏することが可能である。なお、変形例1において実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0022】
なお、変形例1において見込み板部43は必ずしも2つ設ける必要はなく、
図7(c)に示す変形例2の補強部材40′のように、連結板部41の片側にのみ見込み板部43を設けるようにしても良い。
【0023】
また、補強部材としては、必ずしも見込み板部23,43を有している必要はなく、例えば
図8、
図9に示す変形例3のように、見込み板部23を省略して補強部材50を構成することも可能である。すなわち、単に連結板部51の縁部に取付部52を設けることによって補強部材50を構成しても良い。連結板部51には、ネジ貫通孔(貫通孔)51aが設けてある。この変形例3によれば、実施の形態1と同様の作用効果を奏するばかりでなく、補強部材50の構造が単純化することになるため、製造コストの点で有利となる。なお、変形例3において実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0024】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2である建具の要部を示すものである。ここで例示する建具は、補強部材の形状のみが実施の形態1と異なったものである。より詳細に説明すると、この建具では、
図11に示すように、補強部材60として、連結板部61、取付部62、2つの見込み板部(補助板部)63を有して構成したものを適用している。但し、実施の形態2の建具で適用する補強部材60は、見込み板部63の見込み方向に沿った寸法が連結板部61とほぼ同じとなるように構成してある。連結板部61及び取付部62については実施の形態1と同じである。連結板部61にネジ貫通孔(貫通孔)61aが設けてある点、見込み板部63に面取り部63aが設けてある点も実施の形態1と同様である。実施の形態2において実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0025】
この実施の形態2の建具によれば、実施の形態1と同様の作用効果を奏するばかりでなく、見込み板部63によって内方ネジ部材39の周囲が覆われた状態となる。このため、高温に晒された場合にも、内方ネジ部材39と躯体3との連結部分を熱から保護することができ、躯体3から縦枠11が脱落する事態が防止される等、防火性の点で有利となる利点がある。
【0026】
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3である建具の要部を示すものである。ここで例示する建具は、補強部材20の取付状態のみが実施の形態1と異なったものである。より詳細に説明すると、この建具では、補強部材20として、連結板部21、取付部22、2つの見込み板部23を有した実施の形態1と同様のものを適用している。但し、実施の形態3の建具では、見込み板部23が内方ポケット部36及び外方ポケット部33に対向し、連結板部21が躯体3に対向する状態で補強部材20が室外側形材11Aに取り付けてある。実施の形態3において実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0027】
この実施の形態3の建具によれば、実施の形態1と同様の作用効果を奏するばかりでなく、外方ポケット部33及び内方ポケット部36に対して見込み板部23の端面のみが対向する構成であるため、実施の形態1に比べて断熱性を向上させることが可能となる。すなわち、実施の形態1の取付状態においては、連結板部21の表面という面積の大きな金属が外方ポケット部33及び内方ポケット部36の間に架け渡すように配置されることになる。これに対して実施の形態3の取付状態においては、見込み板部23の端面というごく限られた面積の金属のみが外方ポケット部33及び内方ポケット部36の間に架け渡すように配置される。これにより、室外側形材11Aと室内側形材11Bとの間の熱伝達が実施の形態1に比べて低減されることになり、断熱性の点で有利となる。
【0028】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4である建具の要部を示すものである。ここで例示する建具は、補強部材70の形状のみが実施の形態1と異なったものである。より詳細に説明すると、この建具では、補強部材70として、内方取付板部71、見付け板部72を有して構成したものを適用している。内方取付板部71は、室内側形材11Bの内方枠基部35に沿って見込み方向に延在する平板状を成すものである。見付け板部72は、内方取付板部71の室外側に位置する縁部から外周に向けて見付け方向に延在するものである。見付け板部72の見付け方向に沿った寸法は、支持板部38とほぼ同じである。この補強部材20は、内方取付板部71が内方枠基部35の外周側となる見込み面に当接し、かつ見付け板部72が内方ポケット部36の室内側となる部分に近接した状態で、内方枠基部35を介してネジSを螺合することによって室内側形材11Bに取り付けてある。実施の形態4において実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0029】
この枠体10を備える建具によれば、火災発生時等のように建具が高温状態となり、ブリッジ材11Cが溶融、もしくは焼失したとしても、室外側形材11Aについては、外方枠基部31の外周側となる見込み面全面がスペーサ4を介して躯体3に当接しているため、躯体3に対する位置が維持された状態となる。
【0030】
一方、室内側形材11Bについては、内方ネジ部材39よりも室外側となる位置において支持板部38のみがスペーサ4を介して躯体3に当接したものである。しかしながら、見付け板部72を有した補強部材70を設けることにより内方ネジ部材39よりも室内側となる部分においても、スペーサ4を介して躯体3に当接した状態となり、内方ポケット部36が躯体3に近接する方向に移動するおそれがない。つまり、ブリッジ材11Cが溶融、もしくは焼失した場合にも、支持板部38、内方ネジ部材39及び補強部材70の見付け板部72によって躯体3に対する室内側形材11Bの位置が維持される。これらの結果、室内側形材11Bと室外側形材11Aとの隙間が増大するおそれがなくなり、防火性を向上させることが可能となる。しかも、実施の形態4においては、補強部材70の形状が単純で小型化されるため、製造コストを抑えることができる等の利点がある。
【0031】
(実施の形態5)
図14は、本発明の実施の形態5である建具の要部を示すものである。ここで例示する建具は、補強部材60の適用対象となる縦枠11の室内側形材11B′のみが実施の形態1と異なっている。より具体的に説明すると、実施の形態5の建具に適用する縦枠11の室内側形材11B′は、内方枠基部(内方延在部)35′、内方ポケット部36、戸当り部37、補助支持板部38′を一体に成形したものである。内方枠基部35′は、見込み方向に沿って延在する平板状を成すものである。この内方枠基部35′には、複数のネジ挿通孔35a及び複数のビス挿通孔35bが設けてある。ネジ挿通孔35aは、躯体3との間を連結するための内方ネジ部材39が挿通されるもので、長手に沿って並設してある。ビス挿通孔35bは、額縁5との間を連結するためのビス6が挿通されるもので、ネジ挿通孔35aよりも室内側となる部分に長手に沿って並設してある。内方ポケット部36は、室外側形材11Aに設けた外方ポケット部33との間にブリッジ材11Cが収容される溝状の凹部であり、内方枠基部35′の室外側に位置する縁部において室内側形材11B′の長手に沿って形成してある。図からも明らかなように、ブリッジ材11Cは、室内側形材11B′と室外側形材11Aとの間に隙間が設けられる状態で内方ポケット部36及び外方ポケット部33に収容してある。ブリッジ材11Cを介して互いに連結された室内側形材11B′及び室外側形材11Aは、内方枠基部35′の内周側に位置する見込み面と、外方枠基部31の内周側に位置する見込み面とがほぼ同一の平面上に位置している。戸当り部37は、内方枠基部35′の室外側に位置する縁部から内周側に向けて突出した断面が長方形状の中空部であり、室外に臨む見付け面に溝状に開口している。この戸当り部37の室外に臨む見付け面には、溝状に開口する部分を介してタイト材37aが装着してある。補助支持板部38′は、内方枠基部35′においてネジ挿通孔35aとビス挿通孔35bとの間に位置する部分から外周側に向けて見付け方向に延在したものである。内方枠基部35′からの補助支持板部38′の見付け方向の突出寸法は、内方ポケット部36とほぼ同じである。室外側形材11Aについては、実施の形態1と同様の構成であり、同一の符号が付してある。
【0032】
この縦枠11に適用する補強部材60は、実施の形態2で適用したものと同様の構成を有したものである。但し、実施の形態5の補強部材60では、連結板部61及び2つの見込み板部63の見込み方向に沿った寸法が外方枠基部31の室内に臨む見付け面から補助支持板部38′の室内に臨む見付け面までの寸法とほぼ同じとなるように構成してある。この補強部材60は、連結板部61が外方ポケット部33及び内方ポケット部36の外周側となる部分の表面に近接し、かつネジ貫通孔61aが内方枠基部35′のネジ挿通孔35aに対向した状態で取付部62を外方枠基部31の室内に臨む見付け面に当接させ、この状態から取付部62を介して外方枠基部31にネジSを螺合することによって室外側形材11Aに取り付けてある。縦枠11に取り付けた補強部材60の連結板部61には、内方枠基部35′から突出した補助支持板部38′の延在縁部が近接して対向した状態となる。
【0033】
上述の縦枠11を躯体3に取り付けるには、例えば上枠12及び下枠13とともに四周組し、枠体10を構成した状態で室外側から躯体3の開口部に配置する。躯体3の内周面と枠体10の外周面との間には、互いの間に生じた隙間を埋めるため、適宜の板厚を有したスペーサ4を室内側から挿入する。このとき、上述したように、見込み板部63の室内側となる隅部に傾斜状の面取り部63aが施してあるため、室内に向けて躯体3との隙間が拡大された状態となっている。従って、室内側から挿入したスペーサ4が面取り部63aによって躯体3と見込み板部63との間に案内されることになり、上述の作業を容易に行うことが可能となる。その後、カバー板部32を介して躯体3に外方ネジ部材34を螺合し、かつ内方枠基部35′のネジ挿通孔35a及び補強部材60のネジ貫通孔61aを介して躯体3に内方ネジ部材39を螺合させれば、躯体3に枠体10を取り付けることができる。その後、躯体3と内方枠基部35′との間に額縁5を配置し、ビス挿通孔35bを介して額縁5にビス6を螺合することにより、枠体10の室内側となる部分に額縁5が取り付けられる。
【0034】
上記のようにして躯体3に取り付けた枠体10においては、縦枠11の室外側形材11Aが外方枠基部31の見込み面及びスペーサ4を介して躯体3の内周側となる表面に支持された状態となる。縦枠11の室内側形材11B′については、内方ネジ部材39よりも室内側に位置する部分が補助支持板部38′、補強部材60及びスペーサ4を介して躯体3の内周側となる表面に支持された状態となる。
【0035】
この枠体10を備える建具によれば、縦枠11を構成する室外側形材11Aと室内側形材11B′との間がブリッジ材11Cによって熱的に遮断されるため、室外側形材11Aと室内側形材11B′との間の熱伝達が抑制され、断熱性の点で有利となる。
【0036】
一方、火災発生時等のように建具が高温状態となり、ブリッジ材11Cが溶融、もしくは焼失した場合、ブリッジ材11Cによる室外側形材11Aと室内側形材11B′との連結状態が解除されるおそれがある。しかしながら、上述の縦枠11によれば、内方ネジ部材39及び補強部材60によって室外側形材11Aと室内側形材11B′とが連結された状態を維持することになる。すなわち、室外側形材11Aに対しては、取付部62が外方ネジ部材34によって外方枠基部31に取り付けてあるとともに、室内側形材11B′に対しては、内方ネジ部材39がネジ貫通孔61aを貫通することで室外側形材11Aに対する見込み方向の移動が制限されることになる。従って、室外側形材11Aと室内側形材11B′とが互いに離反する方向に移動する事態を招来するおそれがない。
【0037】
しかも、室外側形材11Aについては、外方枠基部31の外周側となる見込み面全面がスペーサ4を介して躯体3に当接しているため、躯体3に対する位置が維持された状態となる。
【0038】
一方、室内側形材11B′については、内方ネジ部材39よりも室外側となる部分及び室内側となる部分に対して補強部材60の連結板部61が対向して配置されているため、さらには、連結板部61とスペーサ4との間に見込み板部63が介在するため、内方ポケット部36が躯体3に近接する方向に移動するおそれがない。つまり、ブリッジ材11Cが溶融、もしくは焼失した場合にも、補助支持板部38′、内方ネジ部材39及び補強部材60によって躯体3に対する室内側形材11B′の位置が維持される。これらの結果、室内側形材11B′と室外側形材11Aとの隙間が増大するおそれがなくなり、防火性を向上させることが可能となる。さらに、見込み板部63によって内方ネジ部材39の周囲が覆われた状態となる。このため、高温に晒された場合にも、内方ネジ部材39と躯体3との連結部分を熱から保護することができ、縦枠11の脱落が防止される等、防火性の点で一層有利となる利点がある。
【0039】
(実施の形態6)
図15は、本発明の実施の形態6である建具の要部を示すものである。ここで例示する建具は、補強部材80及びその適用対象となる縦枠11の室内側形材11B″が実施の形態1と異なっている。より具体的に説明すると、実施の形態6の建具に適用する縦枠11の室内側形材11B″は、内方枠基部35、内方ポケット部36、戸当り部37を一体に成形したものである。つまり、実施の形態5の室内側形材11B′に対して補助支持板部38′を省略したものである。実施の形態6の縦枠11において実施の形態5と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0040】
この縦枠11に適用する補強部材80は、
図16に示すように、実施の形態5で適用した補強部材60の連結板部61に枠支持部84を追加したものである。すなわち、実施の形態6の補強部材80では、連結板部81の室内側に位置する縁部を内周側に屈曲することによって枠支持部84が設けてある。枠支持部84の見込み方向に沿った寸法は、内方ポケット部36とほぼ同じである。実施の形態6の補強部材80においても、実施の形態5の補強部材60と同様、取付部82及び見込み板部(補助板部)83が設けてある。見込み板部83には、面取り部83aが設けてある。この補強部材80は、連結板部81が外方ポケット部33及び内方ポケット部36の外周側となる部分の表面に近接し、かつ連結板部81のネジ貫通孔(貫通孔)81aが内方枠基部35のネジ挿通孔35aに対向した状態で取付部82を外方枠基部31の室内に臨む見付け面に当接させ、この状態から取付部82を介して外方枠基部31にネジSを螺合することによって室外側形材11Aに取り付けてある。縦枠11に取り付けた補強部材80の枠支持部84は、内方枠基部35においてネジ挿通孔35aとビス挿通孔35bとの間に位置する部分に近接して対向した状態となる。
【0041】
上記のようにして躯体3に取り付けた枠体10においては、縦枠11の室外側形材11Aが外方枠基部31の見込み面及びスペーサ4を介して躯体3の内周側となる表面に支持された状態となる。縦枠11の室内側形材11B″については、内方ネジ部材39よりも室内側に位置する部分が補強部材80及びスペーサ4を介して躯体3の内周側となる表面に支持された状態となる。従って、この実施の形態6の建具によれば、室内側形材11B″の補助支持板部38′を省略しても実施の形態5と同様の作用効果を奏することができるようになる。
【0042】
(実施の形態7)
上述した実施の形態1~実施の形態6では、いずれも枠体10の縦枠11についてのみ例示しているが、本発明はこれに限定されず、上枠12や下枠13に適用することも可能である。例えば、
図17に示す実施の形態7は、下枠(建具用形材)13に適用した例を示すものである。すなわち、下枠13は、室外側形材17Aと室内側形材17Bとの間が断熱性を有した樹脂製のブリッジ材(断熱材)17Cによって連結されたもので、室外側形材17A及び室内側形材17Bの間に補強部材90を備えている。
【0043】
下枠13の室外側形材17Aは、外方枠基部101、水切り部102、見付け板部103、外方ポケット部104を一体に成形したものである。外方枠基部101は、断面がほぼ長方形の中空状を成すものである。水切り部102は、外方枠基部101の外周側、かつ室外側となる部分から室外に向けて延在した中空状を成すものである。見付け板部103は、外方枠基部101の外周側、かつ室内側となる部分から外周に向けて見付け方向に延在したものである。この見付け板部103の延在縁部は、躯体3の室外に臨む表面に当接させることにより、躯体3に対する下枠13の見込み方向に沿った位置を規定するものである。図示の例では、見付け板部103を介して躯体3に外方ネジ部材105を螺合するようにしている。外方ポケット部104は、ブリッジ材17Cが収容される溝状の凹部であり、外方枠基部101の室内に臨む見付け面において内周側となる部分に室外側形材17Aの長手に沿って形成してある。
【0044】
下枠13の室内側形材17Bは、内方枠基部(内方延在部)106、内方ポケット部(収容部)107、外方戸当り構成部108、内方戸当り構成部109、支持板部110を一体に成形したものである。内方枠基部106は、断面が長方形の中空状を成すものである。内方枠基部106の見込み方向に沿った寸法は、外方ポケット部104とほぼ同じである。内方ポケット部107は、室外側形材17Aに設けた外方ポケット部104との間にブリッジ材17Cが収容される溝状の凹部であり、内方枠基部106の室外に臨む部分において室内側形材17Bの長手に沿って形成してある。ブリッジ材17Cは、室内側形材17Bと室外側形材17Aとの間に隙間が設けられる状態で内方ポケット部107及び外方ポケット部104に収容してある。ブリッジ材17Cを介して互いに連結された室内側形材17B及び室外側形材17Aは、内方枠基部106の内周側に位置する見込み面と、外方枠基部101の内周側に位置する見込み面とがほぼ同一の平面上に位置している。外方戸当り構成部108及び内方戸当り構成部109は、互いの間に別体の戸当りキャップ部材120を装着することによって中空状の戸当り部111を内方枠基部106の内周側となる部分に構成するためものである。支持板部110は、内方枠基部106の室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在したものである。
【0045】
補強部材90は、鋼材等の金属によって一体に成形したもので、連結板部91、取付部92、2つの見込み板部(補助板部)93を有して構成してある。連結板部91は、長方形の平板状を成すものである。連結板部91の見込み方向に沿った寸法は、下枠13において外方枠基部101の室内に臨む見付け面から支持板部110までの寸法よりも僅かに短く設定してある。連結板部91には、内方枠基部106のネジ挿通孔106aに対向する部分にネジ貫通孔(貫通孔)91aが設けてある。取付部92は、連結板部91の室外側に位置する縁部から外周側に向けて屈曲したものである。取付部92の見付け方向に沿った寸法は、外方ポケット部104の外周側となる部分の表面から外方枠基部101の外周側となる見込み面までの寸法よりも短い。2つの見込み板部93は、連結板部91の室外側に位置する部分の両側から外周側に向けて互いにほぼ平行となるように延在した平板状を成すものである。見込み板部93の見付け方向に沿った寸法は、内方枠基部106からの支持板部110の突出寸法とほぼ同じである。見込み板部93の見込み方向に沿った寸法は、外方枠基部101の室内に臨む見付け面からネジ挿通孔106aまでの距離よりも短い。この補強部材90は、連結板部91が外方ポケット部104及び内方ポケット部107の外周側となる部分の表面に近接し、かつ連結板部81のネジ貫通孔91aが内方枠基部106のネジ挿通孔106aに対向した状態で取付部92を外方枠基部101の室内に臨む見付け面に当接させ、この状態から取付部92を介して外方枠基部101にネジSを螺合することによって室外側形材17Aに取り付けてある。
【0046】
上述の下枠13を躯体3に取り付けるには、まず室外側から躯体3の開口部に配置する。この状態から見付け板部103を介して躯体3に外方ネジ部材105を螺合し、かつ内方枠基部106のネジ挿通孔106a及び補強部材90のネジ貫通孔91aを介して躯体3に内方ネジ部材(固定部材)112を螺合させれば、躯体3に枠体10を取り付けることができる。
【0047】
この下枠13を備える建具によれば、火災発生時等のように建具が高温状態となり、ブリッジ材17Cが溶融、もしくは焼失した場合、ブリッジ材17Cによる室外側形材17Aと室内側形材17Bとの連結状態が解除されるおそれがある。しかしながら、上述の下枠13によれば、内方ネジ部材112及び補強部材90によって室外側形材17Aと室内側形材17Bとが連結された状態を維持することになる。すなわち、室外側形材17Aに対しては、取付部92が外方ネジ部材105によって外方枠基部101に取り付けてあるとともに、室内側形材17Bに対しては、内方ネジ部材112がネジ貫通孔91aを貫通することで室外側形材17Aに対する見込み方向の移動が制限されることになる。従って、室外側形材17Aと室内側形材17Bとが互いに離反する方向に移動する事態を招来するおそれがない。
【0048】
しかも、室外側形材17Aについては、外方枠基部101の外周側となる見込み面全面がスペーサ4を介して躯体3に当接しているため、躯体3に対する位置が維持された状態となる。
【0049】
一方、室内側形材17Bについては、内方ネジ部材112よりも室外側となる部分に対して補強部材90の連結板部91が対向して配置されているため、さらには連結板部91と躯体3との間に見込み板部93が介在するため、内方ポケット部107が躯体3に近接する方向に移動するおそれがない。つまり、ブリッジ材17Cが溶融、もしくは焼失した場合にも、支持板部110、内方ネジ部材112及び補強部材90によって躯体3に対する室内側形材17Bの位置が維持される。これらの結果、室内側形材17Bと室外側形材17Aとの隙間が増大するおそれがなくなり、防火性を向上させることが可能となる。
【0050】
なお、上述した実施の形態1~実施の形態7は、いずれも扉体と枠体とを備えた建具を例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えばガラス等の面材の四周に框を備えた障子が枠体に対して開閉可能に配設された建具や、枠体にガラス等の面材を支持させたFIX窓と称される建具にも適用することが可能である。また枠体としては、必ずしも下枠を備えたものである必要はない。また、上述した実施の形態1、実施の形態2、実施の形態5、実施の形態6ではいずれも面取り部として傾斜状のものを例示しているが、湾曲凸状となるように面取り部を構成しても良い。
【0051】
以上のように、本発明に係る建具は、室外側形材と室内側形材との間が断熱材によって連結された建具用形材を備え、前記室内側形材は、前記断熱材が収容される収容部を有するとともに、前記収容部から室内側に向けて延在される内方延在部を有し、前記内方延在部を介して内周側から外周側に固定部材を設けることにより躯体との間が連結される建具であって、前記室内側形材において前記固定部材よりも室外側に位置する部分には、前記躯体との間に相互間隔が減少する方向の移動を制限する補強部材が介在されていることを特徴としている。
この発明によれば、室内側形材において固定部材よりも室外側となる部分と躯体との間に補強部材を介在させるようにしているため、断熱材が溶融、もしくは焼失したとしても、補強部材と固定部材とによって躯体に対する室内側形材の位置を維持することが可能となる。この結果、室内側形材と室外側形材との隙間が増大するおそれがなくなり、防火性を損なうことなく断熱性を向上させることが可能となる。
【0052】
また本発明は、上述した建具において、前記補強部材には、前記室外側形材に取り付けられる取付部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、室内側形材が補強部材を介して室外側形材に支持され、躯体に対する室内側形材の位置を維持することが可能となる。
【0053】
また本発明は、上述した建具において、前記補強部材には、貫通孔を有する連結板部が設けられ、前記固定部材は、前記貫通孔を貫通することを特徴としている。
この発明によれば、補強部材を介して室外側形材と室内側形材とが連結されるため、互いの隙間が増大する事態をより確実に防止することができる。
【0054】
また本発明は、上述した建具において、前記補強部材は、前記固定部材よりも室外側に位置する部分において前記室内側形材と前記躯体との間に介在する補助板部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、補助板部を介して室内側形材が幅広く支持されることになり、室外側形材と室内側形材との隙間が増大する事態をより確実に防止することができる。
【0055】
また本発明は、上述した建具において、前記補助板部は、前記固定部材の周囲を覆うことを特徴としている。
この発明によれば、固定部材が補助板部によって覆われるため、固定部材と躯体との連結部分が熱による損傷を受けるおそれがなくなり、躯体に対する室内側形材の位置をより確実に維持することができる。
【0056】
また本発明は、上述した建具において、前記補助板部は、前記建具用形材の長手に対して直交する方向に延在され、前記補助板部には、外周側において室内側に位置する隅部には面取り部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、躯体と補助板部との間にスペーサ部材等の部材を挿入する作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
3 躯体、11 縦枠、13 下枠、11A,17A 室外側形材、11B,11B′,11B″,17B 室内側形材、11C,17C ブリッジ材、20,40,40′,50,60,70,80,90 補強部材、21,41,51,61,81,91 連結板部、21a,41a,51a,61a,81a,91a ネジ貫通孔、22,42,52,62,82,92 取付部、23,43,63,83,93 見込み板部、23a,63a,83a 面取り部、35,35′,106 内方枠基部、36,107 内方ポケット部、39,112 内方ネジ部材