(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182287
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/32 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B01D53/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095807
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】弁理士法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴政
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素回収に必要なエネルギを低減することができる二酸化炭素回収装置を提供する。
【解決手段】大気から二酸化炭素を分離して回収する二酸化炭素回収装置において、大気から電気化学反応によって二酸化炭素の吸着と脱離を行う作用極104、および作用極104との間で電子の授受を行う対極106を有する電気化学セル101を複数積層することにより構成された吸着部100と、吸着部100を収容する収容部110と、収容部110に設けられるとともに、収容部110内へ大気を導入させるガス導入口120と、ガス導入口120を覆う基板部131と、基板部を収容部110に対して支持する支持部132と、を有するとともに、ガス導入口120を開閉する開閉扉130と、を備え、ガス導入口120は、収容部110における電気化学セル101のセル積層方向に直交する全周方向から大気が導入されるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含有する被処理ガスから二酸化炭素を分離して回収する二酸化炭素回収装置であって、
前記被処理ガスから電気化学反応によって二酸化炭素の吸着と脱離を行う作用極(104)、および前記作用極との間で電子の授受を行う対極(106)を有する電気化学セル(101)を複数積層することにより構成された吸着部(100)と、
前記吸着部を収容する収容部(110)と、
前記収容部に設けられるとともに、前記収容部内へ前記被処理ガスを導入させるガス導入口(120)と、
前記ガス導入口を覆う基板部(131)と、前記基板部を前記収容部に対して支持する支持部(132)と、を有するとともに、前記ガス導入口を開閉する開閉扉(130)と、を備え、
前記ガス導入口は、前記収容部における前記電気化学セルのセル積層方向に直交する全周方向から前記被処理ガスが導入されるように構成されている二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
前記ガス導入口は、前記収容部における前記電気化学セルの積層方向に直交する全周方向のうち、前記支持部が接続された部位以外の全面に設けられている請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記収納部は、第1基部(111)と、前記第1基部と離間した第2基部(112)と、前記第1基部と前記第2基部とを連結する複数の連結部(113)と、を有し、
前記支持部は、前記連結部に設けられており、
前記収容部は、前記第1基部、前記第2基部および2つの前記連結部に囲まれる側面部(114)を複数有しており、
全ての前記側面部に、前記ガス導入口が設けられている請求項1または2に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
前記開閉扉の開放時において、前記基板部の板面が、前記吸着部の中心部を通るとともに、前記第1基部と前記第2基部の離間方向に対して直行する方向に配置される請求項3に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
前記吸着部、前記収容部および前記開閉扉を有する回収部(20)を複数備え、
複数の前記回収部は、前記電気化学セルのセル積層方向に配置されている請求項1または2に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
前記電気化学セルにおけるセル積層方向に直交する方向から見た形状は、多角形状または円形状である請求項1または2に記載の二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1では、電気化学反応によって大気等の二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を分離するガス分離システムが提案されている。特許文献1のガス分離システムでは、電気化学セルの作用極に二酸化炭素を吸着可能な二酸化炭素吸着材が設けられている。吸着材は電気活性種であり、作用極と対極の間の電位差を変化させることで、二酸化炭素吸着材による二酸化炭素の吸着と放出を切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、板状に形成された二酸化炭素吸着材の表面に二酸化炭素含有ガスを流し、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を吸着させている。二酸化炭素吸着材の表面における二酸化炭素含有ガスの拡散が不充分である場合、二酸化炭素吸着材への二酸化炭素の取込が抑制されてしまい、吸着性能が低下する。
【0005】
これに対し、二酸化炭素吸着材の表面における二酸化炭素含有ガスの拡散や流動を促進するために、二酸化炭素含有ガスを送風するファンを用いることが考えられる。しかしながら、ファンを駆動するためのエネルギが必要となり、エネルギ効率が悪化する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記点に鑑みて、二酸化炭素回収に必要なエネルギを低減することができる二酸化炭素回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置は、二酸化炭素を含有する被処理ガスから二酸化炭素を分離して回収する二酸化炭素回収装置において、
被処理ガスから電気化学反応によって二酸化炭素の吸着と脱離を行う作用極(104)、および作用極との間で電子の授受を行う対極(106)を有する電気化学セル(101)を複数積層することにより構成された吸着部(100)と、
吸着部を収容する収容部(110)と、
収容部に設けられるとともに、収容部内へ被処理ガスを導入させるガス導入口(120)と、
ガス導入口を覆う基板部(131)と、基板部を収容部に対して支持する支持部(132)と、を有するとともに、ガス導入口を開閉する開閉扉(130)と、を備え、
ガス導入口は、収容部における電気化学セルのセル積層方向に直交する全周方向から被処理ガスが導入されるように構成されている。
【0008】
これによれば、被処理ガスの導入方向によらずに、被処理ガスを吸着部(100)に導入することができる。このため、被処理ガスを吸着部(100)に導入するために必要なエネルギの低減を図ることができる。その結果、二酸化炭素回収に必要なエネルギの低減を図ることができる。
【0009】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す概念図である。
【
図2】第1実施形態における二酸化炭素回収装置を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態における複数の電気化学セルが積層された状態を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態における電気化学セルを示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態における開閉扉を示す説明図である。
【
図6】第1実施形態における開閉扉の開放状態を説明するための説明図である。
【
図7】第1実施形態における二酸化炭素回収装置の外観を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態における二酸化炭素回収装置の外観を示す平面図である。
【
図9】第2実施形態における二酸化炭素回収装置を示す斜視図である。
【
図10】第3実施形態における二酸化炭素回収装置を示す説明図である。
【
図11】比較例における二酸化炭素回収装置を示す説明図である。
【
図12】第4実施形態における二酸化炭素回収装置を示す説明図である。
【
図13】他の実施形態(5)における二酸化炭素回収装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態の二酸化炭素回収装置10は、二酸化炭素回収システム1に搭載されている。二酸化炭素回収システム1は、二酸化炭素回収装置10、ポンプ11、流路切替弁12、二酸化炭素利用装置13および制御装置14を備えている。
【0013】
二酸化炭素回収装置10は、供給ガスである被処理ガスから二酸化炭素を分離して回収する装置である。二酸化炭素回収装置10は、二酸化炭素を吸着および脱離する吸着部100を有している。
【0014】
被処理ガスは、二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスである。被処理ガスは、二酸化炭素以外のガスも含有している。被処理ガスは、大気、若しくは、大気よりも二酸化炭素含有濃度の高い高濃度ガスである。当該高濃度ガスは、例えば、内燃機関や工場から排出される。本実施形態の被処理ガスは、大気である。
【0015】
二酸化炭素回収装置10は、大気が供給され、大気から二酸化炭素が回収された後の排出ガス(以下、二酸化炭素除去ガスともいう)、あるいは大気から回収した二酸化炭素を排出する。二酸化炭素回収装置10の構成については、後で詳細に説明する。
【0016】
ポンプ11は、二酸化炭素または二酸化炭素除去ガスを二酸化炭素回収装置10から排出する。本実施形態では、二酸化炭素回収装置10のガス流れ方向の下流側にポンプ11が設けられている。
【0017】
流路切替弁12は、二酸化炭素回収装置10から排出される出ガスの流路(以下、出ガス流路12aという)を切り替える三方弁である。流路切替弁12は、二酸化炭素回収装置10から二酸化炭素除去ガスが排出される場合は、出ガス流路12aを大気側に切り替え、二酸化炭素回収装置10から二酸化炭素が排出される場合は、出ガス流路12aを二酸化炭素利用装置13側に切り替える。
【0018】
二酸化炭素利用装置13は、二酸化炭素を利用する装置である。二酸化炭素利用装置13としては、例えば二酸化炭素を貯蔵する貯蔵タンクや二酸化炭素を燃料に変換する変換装置を用いることができる。変換装置は、二酸化炭素をメタン等の炭化水素燃料に変換する装置を用いることができる。炭化水素燃料は、常温常圧で気体の燃料であってもよく、常温常圧で液体の燃料であってもよい。
【0019】
制御装置14は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置14は、ROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、各種制御対象機器の作動を制御する。本実施形態の制御装置14は、二酸化炭素回収装置10の作動制御、ポンプ11の作動制御、流路切替弁12の流路切替制御等を行う。
【0020】
次に、本実施形態の二酸化炭素回収装置10を
図2~
図4を用いて説明する。
図2~
図4において、紙面上下方向がセル積層方向である。
図2に示すように、二酸化炭素回収装置10は、吸着部100、収容部110および開閉扉130を有する回収部20を備えている。
【0021】
吸着部100は、電気化学セル101を有している。電気化学セル101の詳細については後述する。電気化学セル101は、収容部110に収容されている。二酸化炭素回収装置10は、電気化学セル101の電気化学反応によって二酸化炭素の吸着および脱離を行い、供給ガスから二酸化炭素を分離して回収する。
【0022】
収納部は、第1基部111と、第1基部11と離間した第2基部112と、第1基部111と第2基部112とを連結する複数の連結部113と、を有している。本実施形態では、第1基部111および第2基部112は、それぞれ、電気化学セル101のセル積層方向に対して直交する方向に延びる矩形板状に形成されている。第2基部112は、第1基部111と平行に配置されている。
【0023】
連結部113は、第1基部111の矩形状の頂点と第2基部112の矩形状の頂点とを連結する。このため、本実施形態では、1つの吸着部100に4つの連結部113が設けられている。
【0024】
収容部110の内部には、複数の電気化学セル101が積層して配置されている。個々の電気化学セル101は板状に構成されており、板面がセル積層方向と交わるように配置されている。
【0025】
図3は、複数の電気化学セル101が積層された状態を示している。
図4は、1個の電気化学セル101を示している。
図4では、作用極集電層103などの電気化学セル101の構成要素を、それぞれ間隔を設けて図示しているが、実際はこれらの構成要素は接するように積層して配置されている。
【0026】
図3に示すように、電気化学セル101におけるセル積層方向に直交する方向から見た形状は、多角形状または円形状である。本実施形態では、電気化学セル101におけるセル積層方向に直交する方向から見た形状は、四角形状である。
【0027】
隣接する電気化学セル101の間には、所定の隙間が設けられている。隣接する電気化学セル101の間に設けられた隙間は、供給ガスである大気が流れるガス流路102を構成している。
【0028】
図3および
図4に示すように、電気化学セル101は、作用極集電層103、作用極104、対極集電層105、対極106およびセパレータ107を備えている。隣り合う電気化学セル101は、ガス流路102を挟んで一方の作用極集電層103と他方の対極集電層105が対向している。
【0029】
図4に示すように、作用極104と対極106との間には、電解物質である電解液108が設けられている。本実施形態では、作用極104、対極106およびセパレータ107は、電解液108で飽和されている。
【0030】
作用極集電層103、作用極104、対極集電層105、対極106、セパレータ107は、それぞれ板状に構成されている。電気化学セル101は、作用極集電層103、作用極104、対極集電層105、対極106、セパレータ107が積層された積層体として構成されている。個々の電気化学セル101の作用極集電層103等が積層されている方向と、複数の電気化学セル101が積層されているセル積層方向は、同一方向である。
【0031】
作用極集電層103は、二酸化炭素を含んだ供給ガスが通過可能な孔を有する多孔質の導電性材料である。作用極集電層103としては、ガス透過性と導電性を有していればよく、例えば金属材料や炭素質材料を用いることができる。本実施形態では、作用極集電層103として金属多孔質体を用いている。
【0032】
作用極104は、二酸化炭素吸着材、導電性物質、バインダを含んでいる。二酸化炭素吸着材、導電性物質およびバインダは、混合物の状態で用いられる。
【0033】
二酸化炭素吸着材は、電子を受け取ることで二酸化炭素を吸着し、電子を放出することで吸着していた二酸化炭素を脱離する。二酸化炭素吸着材としては、例えばポリアントラキノンを用いることができる。
【0034】
導電性物質は、二酸化炭素吸着材への導電路を形成する。導電性物質としては、例えばカーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラフェン等の炭素材料を用いることができる。
【0035】
バインダは、二酸化炭素吸着材や導電性物質を保持するために設けられている。バインダとしては、例えば導電性樹脂を用いることができる。導電性樹脂としては、導電性フィラーとしてAg等を含有するエポキシ樹脂やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂等を用いることができる。
【0036】
対極集電層105は導電性材料である。対極集電層105としては、例えば金属材料や炭素質材料を用いることができる。本実施形態では、対極集電層105として金属板を用いている。
【0037】
対極106は、電気活性補助材、導電性物質、バインダを含んでいる。対極106の導電性物質、バインダは、作用極104と同様の構成であるので説明を省略する。本実施形態では、対極106は、電子供与剤となる活物質を有する材質で構成されている。
【0038】
対極106の電気活性補助材は、作用極104の二酸化炭素吸着材との間で電子の授受を行う補助的な電気活性種である。電気活性補助材としては、例えば金属イオンの価数が変化することで、電子の授受を可能とする金属錯体を用いることができる。このような金属錯体としては、フェロセン、ニッケロセン、コバルトセン等のシクロペンタジエニル金属錯体、あるいはポルフィリン金属錯体等を挙げることができる。これらの金属錯体は、ポリマーでもモノマーでもよい。
【0039】
セパレータ107は、作用極104と対極106の間に配置されており、作用極104と対極106を分離している。セパレータ107は、作用極104と対極106の物理的な接触を防いで電気的短絡を抑制するとともに、イオンを透過させる絶縁性イオン透過膜である。セパレータ107としては、セルロース膜やポリマー、ポリマーとセラミックの複合材料等を用いることができる。
【0040】
電気化学セル101には、作用極集電層103と対極集電層105に接続された電源109が設けられている。電源109は、作用極104と対極106に所定の電圧を印加し、作用極104と対極106の電位差を変化させることができる。作用極104は負極であり、対極106は正極である。
【0041】
電気化学セル101は、作用極104と対極106の電位差を変化させることで、作用極104に二酸化炭素を吸着させる吸着工程と、作用極104から二酸化炭素を脱離させる脱離工程を切り替えて作動することができる。吸着工程は電気化学セル101を充電する充電工程であり、脱離工程は電気化学セル101を放電する放電工程である。
【0042】
吸着工程では、作用極104と対極106の間に第1電圧V1が印加され、対極106から作用極104に電子が供給される。第1電圧V1では、作用極電位<対極電位となっている。第1電圧V1は、例えば0.5~2.0Vの範囲内とすることができる。
【0043】
脱離工程では、作用極104と対極106の間に第2電圧V2が印加され、作用極104から対極106に電子が供給される。第2電圧V2は、第1電圧V1と異なる電圧である。第2電圧V2は、第1電圧V1より低い電圧であればよく、作用極電位と対極電位の大小関係は限定されない。つまり、脱離工程では、作用極電位<対極電位でもよく、作用極電位=対極電位でもよく、作用極電位>対極電位でもよい。
【0044】
次に、本実施形態の電解液108について説明する。本実施形態の二酸化炭素回収システム1では、電解液108は、供給ガス、作用極104および対極106の少なくとも1つに対して耐付加反応性および耐置換反応の少なくとも一方を有する物質を採用している。例えば、電解液108は、供給ガス、作用極104および対極106の少なくとも1つに対して付加反応および置換反応の少なくとも一方が生じない物質を用いることができる。
【0045】
具体的には、電解液108は、作用極104と対極106との間に電圧が印加された際に、供給ガス、作用極104および対極106の少なくとも1つに対して耐酸化還元反応性を有する物質を用いることができる。例えば、電解液108は、作用極104と対極106との間に電圧が印加された際に、供給ガス、作用極および対極の少なくとも1つに対して酸化還元反応を示さない物質を用いることができる。
【0046】
より詳細には、電解液108は、作用極104と対極106との間に第1電圧V1以上、第2電圧V2以下の範囲内の電圧が印加された際に、供給ガス、作用極104および対極106の少なくとも1つに対して耐酸化還元反応性を有する物質を用いることができる。例えば電解液108は、作用極104と対極106との間に第1電圧V1以上、第2電圧V2以下の範囲内の電圧が印加された際に、供給ガス、作用極104および対極106の少なくとも1つに対して酸化還元反応を示さない物質を用いることができる。
【0047】
また、電解液108は、作用極104と対極106との間に電圧が印加された際に、常温常圧下で耐分解反応性を有する物質を用いることができる。例えば、電解液108は、作用極104と対極106との間に電圧が印加された際に、常温常圧下で分解反応を示さない物質を用いることができる。
【0048】
より詳細には、電解液108は、作用極104と対極106との間に第1電圧V1以上、第2電圧V2以下の範囲内の電圧が印加された際に、耐分解反応性を有する物質を用いることができる。例えば、電解液108は、作用極104と対極106との間に第1電圧V1以上、第2電圧V2以下の範囲内の電圧が印加された際に、分解反応を示さない物質を用いることができる。
【0049】
また、電解液108は、電気化学セル101の構成材料に対して安定性を有する物質を用いることができる。すなわち、電解液108は、電気化学セル101の構成材料に対して耐反応性を有する物質を用いることができる。
【0050】
また、電解液108は、電気化学反応により揮発性の生成物が生じ難い物質を用いることができる。例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド[Emin][N(CN)2]を電解液として用いた場合と比較して、電気化学反応により揮発性の生成物が生じ難い物質を、電解液108として用いることができる。また、電解液108として、電気化学反応により揮発性の生成物が生じない物質を用いることができる。
【0051】
また、電解液108は、イオン液体を用いることができる。イオン液体は、常温常圧下で不揮発性を有する液体の塩である。
【0052】
図2に戻り、二酸化炭素回収装置10の収容部110は、ガス導入口120および開閉扉130を有している。ガス導入口120は、収容部110内へ大気を導入させる開口部である。ガス導入口120は、収容部110における第1基部111と第2基部112との間に位置している。
【0053】
開閉扉130は、ガス導入口120を開閉するドア部材である。開閉扉130は、基板部131および支持部132を有している。基板部131は、ガス導入口120を覆う板状部材である。基板部131の板面は、ガス導入口120を閉塞可能な形状・大きさに形成されている。支持部132は、基板部131を収容部110に対して回転可能に支持する。支持部132は、収容部111における各連結部113に設けられている。
【0054】
図5に示すように、開閉扉130の基板部131は、結合部133を介して電動アクチュエータ134に接続されている。開閉扉130は、電動アクチュエータ134によって駆動される。電動アクチュエータ134は、制御装置14から出力される制御信号によって、その作動が制御される。電動アクチュエータ134としては、例えばモータを用いることができる。電動アクチュエータ134は、ブラケット135により収容部110に接続されている。
【0055】
開閉扉130は、支持部132によって収容部110に対して回転可能に支持されている。本実施形態では、支持部132としてヒンジを用いている。
【0056】
収容部110の天面には、開閉扉130と収容部110とを接続するダンパ部材136が設けられている。ダンパ部材136は、突風等の外的要因により開閉扉130が急激に開閉することを抑制する急開閉抑制部である。
【0057】
基板部131の裏面、すなわち吸着部110と対向する面における外縁部には、シール部137が設けられている。これにより、開閉扉130の閉塞時に基板部131と収容部110との隙間から大気が収容部110内に流入することを抑制できる。シール部137としては、例えばOリングを用いることができる。
【0058】
図2に戻り、ガス導入口120は、収容部110における電気化学セル101のセル積層方向に直交する全周方向から大気が導入されるように構成されている。すなわち、ガス導入口120は、収容部110における支持部132が接続された部位を除く全周に設けられている。つまり、ガス導入口120は、収容部110における支持部132に対応する部位を除く全周に設けられている。換言すると、ガス導入口120は、収容部110におけるセル積層方向に直交する全周方向のうち、支持部132に対応する部位以外の全面に設けられている。
【0059】
なお、収容部110における支持部132に対応する部位には、ガス導入口120から流入する大気の流れに影響がない範囲で、他の部材が接続されていてもよい。この場合であっても、ガス導入口120は、収容部110におけるセル積層方向に直交する全周方向のうち、支持部132に対応する部位以外の全面に設けられていると言える。
【0060】
本実施形態では、吸着部110(すなわち、複数の電気化学セル101の積層体)の外形は、概略直方体形状に形成されている。収容部110は、吸着部110と対応する直方体形状に形成されている。そして、収容部110における当該直方体形状の六面のうち、天面および底面を除く四面が、それぞれ全面にわたって開口しており、ガス導入口120を形成している。すなわち、収容部110における当該直方体形状の六面のうち、セル積層方向に平行な四面が、ガス導入口120を形成している。このとき、支持部132が設けられた部位には、ガス導入口120は設けられていない。
【0061】
ここで、収容部120は、第1基部112、第2基部112および2つの連結部113に囲まれる側面部114を複数有している。収容部120における全ての側面部114に、ガス導入口120が設けられている。
【0062】
本実施形態では、収容部120は、4つの側面部114を有している。具体的には、収容部110における直方体形状の六面のうち、天面および底面を除く四面が、側面部114を構成している。本実施形態のガス導入口120は、側面部114のほぼ全面にわたって設けられている。すなわち、ガス導入口120の開口面積は、側面部114の面積よりわずかに小さい。
【0063】
なお、本実施形態では、収容部110における天面および底面の少なくとも一方には、出ガス流路12aの入口側が接続されている。
【0064】
図6は、本実施形態の回収部20をセル積層方向から見た説明図であり、開閉扉130の開放時の状態を示している。
図6の点ハッチング部分は、開閉扉130の可動域を示している。
【0065】
図6に示すように、開閉扉130の開放時において、基板部131の板面が、吸着部100の中心部を通るとともに、第1基部111と第2基部112の離間方向に対して直行する方向に配置される。開閉扉130の開放時において、基板部131の板面は、吸着部100の中心部から延びる放射線上に配置されている。本実施形態では、開閉扉130の開放時における開放角度は、ガス導入口120に対して135°に設定されている。
【0066】
図7および
図8に示すように、回収部20の外側には、筒状のフィルタ140が設けられている。筒状のフィルタ140の内部に、回収部20が配置されている。フィルタ140は、開閉扉130の開放時における基板部131に接触しない位置に配置されている。本実施形態では、フィルタ140は楕円筒状に形成されている。なお、フィルタ140は、開閉扉130に接触しない形状であればよく、円筒状等の他の形状であってもよい。
【0067】
回収部20の上部には、回収部20に雨がかかるのを抑制する雨除けであるカバー部150が設けられている。カバー部150は、板状に形成されている。本実施形態では、カバー部150は、楕円板状に形成されている。また、カバー部150の外縁部は、フィルタ140よりも外側に配置されている。なお、カバー部150は、回収部20に雨がかかるのを抑制できる形状であればよく、円板状等の他の形状であってもよい。
【0068】
次に、本実施形態の二酸化炭素回収システム1の作動について説明する。二酸化炭素回収システム1は、吸着工程、掃気工程、および脱離工程を実行可能に構成されている。二酸化炭素回収システム1は、吸着工程、掃気工程、脱離工程、吸着工程、掃気工程、脱離工程、…の順に切り替えて作動する。二酸化炭素回収システム1の作動は、制御装置14によって制御される。
【0069】
吸着工程は、吸着部100が供給ガスに含まれる二酸化炭素を吸着する吸着工程である。吸着工程では、回収部20における複数の開閉扉130を全て開放する。これにより、吸着部100に大気が導入される。
【0070】
吸着工程では、作用極104と対極106の間に印加される電圧を第1電圧V1とする。これにより、対極106の電気活性補助材による電子供与と、作用極104の二酸化炭素吸着材の電子求引を同時に実現できる。
【0071】
対極106の電気活性補助材は電子を放出して酸化状態となり、対極106から作用極104に電子が供給される。作用極104の二酸化炭素吸着材は、電子を受け取って還元状態となる。
【0072】
還元状態となった二酸化炭素吸着材は二酸化炭素の結合力が高くなり、供給ガスに含まれる二酸化炭素を結合して吸着する。これにより、二酸化炭素回収装置10は、供給ガスから二酸化炭素を回収することができる。
【0073】
掃気工程では、回収部20における複数の開閉扉130を全て閉めるとともに、ポンプ11を作動させる。掃気工程では、出ガス流路12aが大気側となるように流路切替弁12を切り替える。これにより、収容部110内に存在するガスが出ガス流路12aを介して大気に排出される。このとき、吸着部100内の二酸化炭素は、作用極104の二酸化炭素吸着材に吸着されたままの状態である。
【0074】
脱離工程では、複数の開閉扉130を全て閉じたままの状態で、出ガス流路12aが二酸化炭素利用装置13側となるように流路切替弁12を切り替える。脱離工程では、作用極104と対極106の間に印加される電圧を第2電圧V2とする。これにより、作用極104の二酸化炭素吸着材による電子供与と、対極106の電気活性補助材の電子求引を同時に実現できる。
【0075】
作用極104の二酸化炭素吸着材は、電子を放出して酸化状態となる。二酸化炭素吸着材は、二酸化炭素の結合力が低下し、二酸化炭素を脱離して放出する。対極106の電気活性補助材は、電子を受け取って還元状態となる。
【0076】
二酸化炭素吸着材から放出された二酸化炭素は、吸着部100から排出され、二酸化炭素利用装置13に供給される。
【0077】
本実施形態の二酸化炭素回収システム1では、開閉扉130の開放時の電動アクチュエータ134の作動トルク(例えば、モータトルク)、電流値またはフィードバック制御量を検出している。制御装置14は、当該検出結果に基づいて開閉扉130が凍結する予兆を検出し、開閉扉130の閉塞時間(すなわち、掃気工程および脱離工程の時間)を短くしている。これにより、冬季等の外気温が低温になる際に、開閉扉130が閉塞した状態で固着することを抑制できる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態の二酸化炭素回収装置10では、収容部110内に大気を導入するガス導入口120を、収容部110における支持部132が接続された部位を除く全周に設けている。これによれば、大気の風向きによらず全方位から吸着部100に大気を導入することができる。このため、自然風等によって、吸着部100に大気が導入されやすくなる。これにより、吸着部100に大気を導入するためのファンを設置しなくてもよくなる。若しくは、ファンを設置したとしても、そのファンの駆動力を強めなくてもよくなる。その結果、二酸化炭素回収に必要なエネルギの低減を図ることができる。
【0079】
また、本実施形態では、開閉扉130の開放時において、基板部131の板面を、吸着部100の中心部から延びる放射線上に配置している。これによれば、開閉扉130により導入空気の流れが阻害されることを抑制できる。
【0080】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0081】
図9に示すように、本実施形態の二酸化炭素回収装置10は、回収部20を複数(本例では2つ)備えている。2つの回収部20は、電気化学セル101のセル積層方向に配置されている。
【0082】
ここで、比較例として、複数の回収部20を水平方向に配置した構成が考えられる。この比較例では、1つの回収部20から排出された二酸化炭素除去ガスが、隣接する他の回収部20に供給される可能性がある。この場合、二酸化炭素の回収効率が低下するおそれがある。
【0083】
これに対し、本実施形態では、複数の回収部20を電気化学セル101のセル積層方向に配置している。これによれば、全ての回収部20の電気化学セル101に新鮮な大気を導入することができる。その結果、二酸化炭素の回収効率を向上することが可能となる。
【0084】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図面に基づいて説明する。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0085】
図10に示すように、本実施形態の二酸化炭素回収装置10は、複数の開閉扉130のうち、一部の開閉扉130のみを開放可能に構成されている。具体的には、本実施形態の二酸化炭素回収装置10では、4つの開閉扉130のうち、対向する2つの開閉扉130を開放するとともに、残りの2つの開閉扉130を閉塞している。
【0086】
開放されている2つの開閉扉130のうち、一方の開閉扉130は、大気を収容部110内部に導入させる導入部を構成する。他方の開閉扉130は。収容部110内部から二酸化炭素除去ガス等を排出させる排出部を構成する。
【0087】
本実施形態では、二酸化炭素回収装置10を、恒常的に同方向から風が吹く環境に設置している。そして、大気の風向きに合わせて開放する開閉扉130が設定される。具体的には、導入部から排出部へのガスの流れ方向(
図10の黒矢印)が、大気の風向き(
図10の白抜き矢印)と同等となるように、2つの開閉扉130を開放する。残りの2つの開閉扉130は、閉塞されたままである。
【0088】
ここで、比較例として、二酸化炭素回収装置10において、全ての開閉扉130を開閉した構成(以下、この構成を比較例という)を
図11に示す。比較例では、
図11の矢印に示すように、正面(
図11の紙面下側)の開閉扉130から収容部110に導入された大気の一部が、側方(
図11の紙面左右側)の2つの開閉扉130から逃げる可能性がある。これにより、電気化学セル101を通過する大気の流量が低下する可能性がある。
【0089】
これに対し、本実施形態では、複数の開閉扉130のうち、一部の開閉扉130のみを開放している。これにより、大気の風向きと電気化学セル101に供給される大気の流れ方向とを同等とすることができる。そして、残りの開閉扉130を閉塞させることにより、収容部110から導入大気が横抜けすることを抑制できるので、電気化学セル101を通過する大気の流量を増加させることが可能となる。このことは、本実施形態のように、恒常的に同方向から風が吹く環境に二酸化炭素回収システム1を設置する場合に、特に有効である。
【0090】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図面に基づいて説明する。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0091】
図12に示すように、本実施形態の二酸化炭素回収装置10では、電気化学セル101が円柱状に形成されている。これに対応して、収容部110の外形が円柱状に形成されている。開閉扉130の基板部131は、円弧状に形成されている。二酸化炭素回収装置10をセル積層方向から見たとき、基板部131の曲率は、収容部110の外形の曲率と同等である。
【0092】
収容部110の外側には、セル積層方向に延びる柱状の外柱部160が設けられている。外柱部160には、図示しないヒンジを介して基板部131が固定されている。これにより、基板部131は、外柱部160との接続部を軸として開閉可能に構成されている。
【0093】
収容部110の内側における外柱部160と対応する部位には、セル積層方向に延びる柱状の内柱部170が設けられている。開閉扉130の閉塞時に、内柱部170に開閉扉130を当接させることにより、開閉扉130と収容部110の隙間をシールしている。
【0094】
外柱部160および内柱部170は、それぞれ、開閉扉130と同数設けられている。本実施形態では、外柱部160および内柱部170は、それぞれ、四角柱状に形成されている。
【0095】
その他の二酸化炭素回収装置10の構成は、第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態の二酸化炭素回収装置10においても、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。すなわち、本実施形態の二酸化炭素回収装置10によれば、二酸化炭素回収に必要なエネルギを低減することができる。
【0096】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0097】
(1)例えば、上述した実施形態では、開閉扉130が閉塞した状態で凍結固着することを抑制するために、開閉扉130の開放時の電動アクチュエータ134の作動トルク等を検出し、当該検出結果に基づいて開閉扉130の閉塞時間を短くした例について説明した。しかしながら、開閉扉130の凍結抑制手法はこの態様に限定されない。
【0098】
例えば、二酸化炭素回収システム1の非稼働時には、開閉扉130を全閉にしないように構成してもよい。すなわち、開閉扉130をわずかに開放した状態で二酸化炭素回収システム1を休止してもよい。また、収容部110に熱源を設けて、開閉扉130の凍結固着時に熱源を昇温させて凍結部を溶かしてもよい。このとき、熱源としては、電気ヒータや高温の熱媒体を用いてもよい。
【0099】
(2)上述した第3実施形態では、二酸化炭素回収装置10を恒常的に同方向から風が吹く環境に設置した例について説明したが、この態様に限定されない。例えば、二酸化炭素回収装置10を、風向きが変化する環境に設置してもよい。この場合、大気の風向きを検出する風向センサを設けるとともに、制御装置14が、当該風向センサにより検出された風向きに合わせて開放する開閉扉130を決定してもよい。
【0100】
(3)上述した実施形態では、電解物質として、液体状の電解液108を用いた例について説明したが、この態様に限定されない。例えば、電解物質として、イオン液体をゲル化したイオン液体ゲルを用いてもよいし、固体状の固体電解質を用いてもよい。
【0101】
(4)上述した実施形態では、開閉扉130を、板状の基板部131と、基板部131を収容部110に対して回転可能に支持する支持部132と、を有して構成した例について説明したが、開閉扉130はこの態様に限定されない。
【0102】
例えば、開閉扉130を蛇腹構造にて構成してもよい。この場合、蛇腹状の開閉扉130が伸びた状態でガス導入口120を閉塞するとともに、縮んだ状態でガス導入口120を開口してもよい。また、開閉扉130を、複数の板状部材をその板面同士が平行となるように積層配置するとともに、板面の角度を変化させて大気の流通量を変化させるルーバ構造としてもよい。
【0103】
(5)上述した実施形態では、収容部110において、ガス導入口120を、側面部114のほぼ全面にわたって設けた例について説明したが、この態様に限定されない。例えば、
図13に示すように、側面部114を板状に形成するとともに、ガス導入口120を側面部114の板面に開口させてもよい。この場合、側面部114の板面により連結部113が形成されている。そして、ガス導入口120は、収容部110におけるセル積層方向に直交する全周方向のうち、側面部114の板面を除く部位に設けられている。
【0104】
(その他)
本明細書に開示された二酸化炭素回収装置の特徴を以下の通り示す。
(項目1)
二酸化炭素を含有する被処理ガスから二酸化炭素を分離して回収する二酸化炭素回収装置であって、
前記被処理ガスから電気化学反応によって二酸化炭素の吸着と脱離を行う作用極(104)、および前記作用極との間で電子の授受を行う対極(106)を有する電気化学セル(101)を複数積層することにより構成された吸着部(100)と、
前記吸着部を収容する収容部(110)と、
前記収容部に設けられるとともに、前記収容部内へ前記被処理ガスを導入させるガス導入口(120)と、
前記ガス導入口を覆う基板部(131)と、前記基板部を前記収容部に対して支持する支持部(132)と、を有するとともに、前記ガス導入口を開閉する開閉扉(130)と、を備え、
前記ガス導入口は、前記収容部における前記電気化学セルのセル積層方向に直交する全周方向から前記被処理ガスが導入されるように構成されている二酸化炭素回収装置。
(項目2)
前記ガス導入口は、前記収容部における前記電気化学セルの積層方向に直交する全周方向のうち、前記支持部が接続された部位以外の全面に設けられている項目1に記載の二酸化炭素回収装置。
(項目3)
前記収納部は、第1基部(111)と、前記第1基部と離間した第2基部(112)と、前記第1基部と前記第2基部とを連結する複数の連結部(113)と、を有し、
前記支持部は、前記連結部に設けられており、
前記収容部は、前記第1基部、前記第2基部および2つの前記連結部に囲まれる側面部(114)を複数有しており、
全ての前記側面部に、前記ガス導入口が設けられている項目1または2に記載の二酸化炭素回収装置。
(項目4)
前記開閉扉の開放時において、前記基板部の板面が、前記吸着部の中心部を通るとともに、前記第1基部と前記第2基部の離間方向に対して直行する方向に配置される項目3に記載の二酸化炭素回収装置。
(項目5)
前記吸着部、前記収容部および前記開閉扉を有する回収部(20)を複数備え、
複数の前記回収部は、前記電気化学セルのセル積層方向に配置されている項目1ないし4のいずれか1つに記載の二酸化炭素回収装置。
(項目6)
前記電気化学セルにおけるセル積層方向に直交する方向から見た形状は、多角形状または円形状である項目1ないし5のいずれか1つに記載の二酸化炭素回収装置。
【符号の説明】
【0105】
100 吸着部
101 電気化学セル
110 収容部
120 ガス導入口
130 開閉扉
131 基板部
132 支持部