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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182288
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20231219BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20231219BHJP
   G16H 50/70 20180101ALI20231219BHJP
【FI】
G16H10/40
A61B10/00 H
G16H50/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095808
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】梅松 旭美
(72)【発明者】
【氏名】辻川 剛範
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】テストに関する判定を的確に実行可能な判定装置、判定方法及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】
判定装置1Xは、主に、属性データ取得手段15Xと、試行度合推定手段16Xと、慣れ判定手段17Xと、を有する。属性データ取得手段15Xは、被検者の属性を示す属性データを取得する(ステップS21)。次に、試行度合推定手段16Xは、属性データに基づき、被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定する(ステップS22)。そして、慣れ判定手段17Xは、必要試行度合に基づき、テストの慣れの有無を判定する(ステップS23)。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の属性を示す属性データを取得する属性データ取得手段と、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定する試行度合推定手段と、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する慣れ判定手段と、
を有する判定装置。
【請求項2】
前記試行度合推定手段は、前記属性データと、推論モデルと、に基づいて、前記必要試行度合を推定し、
前記推論モデルは、前記属性データに基づくデータと、前記必要試行度合との関係を学習したモデルである、請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記試行度合推定手段は、前記属性データと、推論モデルと、前記被検者が過去に受けた前記テストのテスト結果と、に基づいて、前記必要試行度合を推定し、
前記推論モデルは、前記属性データ及び前記テスト結果に基づくデータと、前記必要試行度合との関係を学習したモデルである、請求項1に記載の判定装置。
【請求項4】
前記テスト結果は、前記被検者が過去に受けた前記テストの時系列のテスト結果である、請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記試行度合推定手段は、前記属性の候補と、当該候補の各々に対応する前記必要試行度合とを対応付けたテーブルに基づき、前記属性データから前記必要試行度合を推定する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項6】
前記慣れの有無の判定結果に基づき、前記テストのテスト結果の出力を行う出力制御手段をさらに有する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項7】
前記出力制御手段は、前記テストに慣れていないことを示す前記判定結果である場合に、前記テストのテスト結果が無効であると判定する、請求項6に記載の判定装置。
【請求項8】
前記出力制御手段は、前記慣れの有無の判定結果に基づく前記テストの有効性の判定結果を、表示又は音声出力する、請求項6に記載の判定装置。
【請求項9】
コンピュータが、
被検者の属性を示す属性データを取得し、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定し、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する、
判定方法。
【請求項10】
被検者の属性を示す属性データを取得し、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定し、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認知機能テストなどのテストに関する判定処理を行う判定装置、判定方法及び記憶媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の認知機能を測定するためのテストに関する処理を行う装置又はシステムが知られている。例えば、特許文献1には、ユーザに対して、認知能力に関するテストを実行するテスト部と、テストの結果を判定する判定部とを有する情報管理システムが開示されている。また、特許文献2には、所定期間の感情レベルの推定結果の変化に基づいて、被検者の認知機能レベルを推定する認知機能推定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-135829号公報
【特許文献2】特開2021-058231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、認知機能テストなどのテストでは、被検者の慣れによってテスト結果にブレが生じる。従って、慣れていないときのテスト結果を用いた場合には、被検者に関する正確な現状把握ができない虞がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑み、テストに関する判定を的確に実行可能な判定装置、判定方法及び記憶媒体を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
判定装置の一の態様は、
被検者の属性を示す属性データを取得する属性データ取得手段と、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定する試行度合推定手段と、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する慣れ判定手段と、
を有する判定装置である。
【0007】
判定方法の一の態様は、
コンピュータが、
被検者の属性を示す属性データを取得し、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定し、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する、
判定方法である。なお、「コンピュータ」は、あらゆる電子機器(電子機器に含まれるプロセッサであってもよい)を含み、かつ、複数の電子機器により構成されてもよい。
【0008】
記憶媒体の一の態様は、
被検者の属性を示す属性データを取得し、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定し、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本開示による効果の一例では、テストに関する判定を的確に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るテスト判定システムの概略構成を示す。
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示す。
図3】情報処理装置の機能ブロックの一例である。
図4】試行度合推定部の詳細なブロック図の一例である。
図5】テスト結果画面の一例である。
図6】20代から50代の被検者と、60代から80代の被検者とが受けたあるテストの各平均正答率を示す実験結果である。
図7】試行度合推論モデルの学習に関する機能ブロックの一例である。
図8】学習部の詳細な機能ブロックの一例である。
図9】被検者に対するテストが行われる場合の情報処理装置の処理手順を示すフローチャートの一例である。
図10】第2実施形態におけるテスト判定システムの概略構成を示す。
図11】第3実施形態における判定装置のブロック図である。
図12】第3実施形態において判定装置が実行するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、判定装置、判定方法及び記憶媒体の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
(1)システム構成
図1は、第1実施形態に係るテスト判定システム100の概略構成を示す。テスト判定システム100は、被検者がテストを受けた場合に、被検者がテストに慣れていたか否かの判定を行い、テスト結果の有効性を示す情報を出力する。
【0013】
ここで、「テスト」は、被検者の所定の機能・能力・技能等を測定するために行われるものであり、被検者の慣れの有無によって結果に影響が生じ得るものを指す。例えば、上述のテストは、知能(言語理解、知覚統合、ワーキングメモリ、処理速度)、注意機能、前頭葉機能、言語、記憶、視空間認知、方向性注意の少なくともいずれかのカテゴリに関する認知機能のテストであってもよい。また、本実施形態では、テストは、正確なテスト結果が得られるまで必要に応じて複数回まとめて行われるものとする。また、以後において、「検査」とは、正確なテスト結果が得られるまでの1セット分のテストの試行を行うことを指すものとする。
【0014】
テスト判定システム100は、主に、情報処理装置1と、入力装置2と、出力装置3と、記憶装置4と、を備える。情報処理装置1は、通信網を介し、又は、無線若しくは有線による直接通信により、入力装置2、及び出力装置3とデータ通信を行う。
【0015】
情報処理装置1は、入力装置2から供給される入力信号「S1」、及び記憶装置4に記憶された情報に基づいて、被検者が受けたテストのテスト結果に関する情報であるテスト結果情報を生成する。そして、情報処理装置1は、テスト結果情報に関する出力信号「S2」を生成し、生成した出力信号S2を出力装置3に供給する。テスト結果情報の生成では、情報処理装置1は、テストを受ける被検者の属性によって、正確なテスト結果が得られるまでに要するテストの試行度合が異なることを勘案し、被検者がテストに慣れるまでに必要なテストの試行度合(「必要試行度合」とも呼ぶ。)を被検者の属性に基づき算出する。そして、情報処理装置1は、算出した必要試行度合に基づく被検者のテストの慣れの有無、及び、被検者のテストの慣れの有無に基づくテスト結果の有効性を夫々判定し、テスト結果及びテスト結果の有効性の判定結果を示すテスト結果情報を生成する。
【0016】
ここで、「試行度合」は、1回の検査における試行度合を指し、検査において被検者がテストを受けた回数(試行回数)であってもよく、検査において被検者がテストを受けた時間長であってもよい。なお、時間間隔の短い検査が行われた場合には、「試行度合」は、時間間隔が短い複数の検査における通算の試行度合を指すものとしてもよい。この例については「(6)変形例」のセクションにて説明する。
【0017】
また、情報処理装置1は、後述する必要試行度合の推論を行うモデル(「試行度合推論モデル」とも呼ぶ。)の学習に関する処理を実行してもよい。
【0018】
入力装置2は、被検者に関する情報の入力(外部入力)を受け付けるユーザインターフェースであり、生成した入力信号S1を、情報処理装置1へ供給する。本実施形態では、例えば、入力装置2は、被検者がテストを受ける場合に、被検者がテストの回答などを入力するために用いられる。入力装置2は、例えば、タッチパネル、ボタン、キーボード、マウス、音声入力装置などの種々のユーザ入力用インターフェースであってもよい。
【0019】
なお、入力装置2は、被検者が受けるテストのテスト結果の生成に必要な生体信号(バイタル情報を含む)等を測定するセンサを含んでもよい。この場合、入力装置2は、被検者が装着するウェアラブル端末であってもよく、被検者を撮影するカメラ又は被検者の発話の音声信号を生成するマイク等であってもよく、被検者が操作するパーソナルコンピュータやスマートフォンなどの端末であってもよい。
【0020】
出力装置3は、情報処理装置1から供給される出力信号S2に基づき、ユーザに対してテスト結果情報などを表示又は音出力する。ここで、「ユーザ」は、被検者本人であってもよく、被検者の活動を管理又は監督する者(医師、介護者、監督者等)であってもよい。出力装置3は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、スピーカ等である。
【0021】
記憶装置4は、情報処理装置1が実行する処理に必要な各種情報を記憶するメモリである。記憶装置4は、情報処理装置1に接続又は内蔵されたハードディスクなどの外部記憶装置であってもよく、フラッシュメモリなどの記憶媒体であってもよい。また、記憶装置4は、情報処理装置1とデータ通信を行うサーバ装置であってもよい。また、記憶装置4は、複数の装置から構成されてもよい。
【0022】
記憶装置4は、機能的には、推定用事前情報記憶部41を有している。推定用事前情報記憶部41は、テストの実行前に予め用意される情報であって、被検者の必要試行度合を推定に用いられる情報である推定用事前情報を記憶する。
【0023】
ここで、推定用事前情報の第1の例は、被検者の属性を示す属性データに基づくデータと必要試行度合との関係を学習したモデル(「試行度合推論モデル」とも呼ぶ。)のパラメータである。試行度合推論モデルは、言い換えると、被検者の属性を示す属性データ又はその特徴を表す特徴データ(特徴ベクトル)が入力された場合に、被検者の属性に応じた適切な必要試行度合を示す推論結果を出力するように学習されたモデルである。試行度合推論モデルは、例えば、ニューラルネットワークやサポートベクターマシーンなどの任意の機械学習に基づくモデル(統計モデルを含む、以下同じ。)である。例えば、上述の試行度合推論モデルが畳み込みニューラルネットワークなどのニューラルネットワークに基づくモデルである場合、推定用事前情報記憶部41は、層構造、各層のニューロン構造、各層におけるフィルタ数及びフィルタサイズ、並びに各フィルタの各要素の重みなどの各種パラメータの情報を推定用事前情報として記憶する。
【0024】
後述するように、試行度合推論モデルは、被検者の属性データと被検者が過去に受けたテスト結果とに基づくデータに基づき、必要試行度合を推論するモデルであってもよい。なお、テスト判定システム100Aにおいて複数種類のテスト(即ち、プロトコルが異なる複数のテスト)が実施される可能性がある場合には、テストの種類ごとに学習された試行度合推論モデルのパラメータが推定用事前情報記憶部41に記憶されている。
【0025】
推定用事前情報の第2の例は、被検者の属性の候補と、当該候補の各々に対応する適切な必要試行度合とを対応付けたテーブル(「試行度合決定テーブル」とも呼ぶ。)である。この試行度合決定テーブルは、過去にテストを受けた者のテスト結果等に基づき予め生成される。
【0026】
なお、複数種類のテストが行われる可能性がある場合には、テストの種類ごとの試行度合決定テーブルが推定用事前情報記憶部41に記憶されている。この場合、類似する複数種類のテストが存在する場合には、類似する複数種類のテストにおいて共通の試行度合決定テーブルが使用されてもよい。例えば、試行度合決定テーブルが生成できる程度に過去のテスト結果が充分に存在しないテストが存在する場合には、当該テストにおいては、当該テストに類似するテストのテスト結果に基づき生成された試行度合決定テーブルを用いることとしてもよい。この類似の有無は、例えば、対象とするテストのカテゴリが共通するテストであるか否かによって判定されてもよい。また、類似の有無は、上述のカテゴリに加えて、上述のテストの難易度の共通性に基づいて判定されてもよい。
【0027】
また、情報処理装置1が試行度合推論モデルの学習を行う場合には、試行度合推論モデルの学習に必要な訓練データがさらに記憶装置4に記憶されている。この訓練データについては後述する。
【0028】
なお、図1に示すテスト判定システム100の構成は一例であり、当該構成に種々の変更が行われてもよい。例えば、入力装置2及び出力装置3は、一体となって構成されてもよい。この場合、入力装置2及び出力装置3は、情報処理装置1と一体又は別体となるタブレット型端末として構成されてもよい。また、情報処理装置1は、複数の装置から構成されてもよい。この場合、情報処理装置1を構成する複数の装置は、予め割り当てられた処理を実行するために必要な情報の授受を、これらの複数の装置間において行う。この場合、情報処理装置1はシステムとして機能する。
【0029】
(2)ハードウェア構成
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成を示す。情報処理装置1は、ハードウェアとして、プロセッサ11と、メモリ12と、インターフェース13とを含む。プロセッサ11、メモリ12及びインターフェース13は、データバス10を介して接続されている。
【0030】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを実行することにより、情報処理装置1の全体の制御を行うコントローラ(演算装置)として機能する。プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)などのプロセッサである。プロセッサ11は、複数のプロセッサから構成されてもよい。プロセッサ11は、コンピュータの一例である。
【0031】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。また、メモリ12には、情報処理装置1が実行する処理を実行するためのプログラムが記憶される。なお、メモリ12が記憶する情報の一部は、情報処理装置1と通信可能な1又は複数の外部記憶装置により記憶されてもよく、情報処理装置1に対して着脱自在な記憶媒体により記憶されてもよい。
【0032】
インターフェース13は、情報処理装置1と他の装置とを電気的に接続するためのインターフェースである。これらのインターフェースは、他の装置とデータの送受信を無線により行うためのネットワークアダプタなどのワイアレスインタフェースであってもよく、他の装置とケーブル等により接続するためのハードウェアインターフェースであってもよい。
【0033】
なお、情報処理装置1のハードウェア構成は、図2に示す構成に限定されない。例えば、情報処理装置1は、入力装置2又は出力装置3の少なくとも一方を含んでもよい。また、情報処理装置1は、スピーカなどの音出力装置と接続又は内蔵してもよい。
【0034】
(3)機能ブロック
図3は、情報処理装置1の機能ブロックの一例である。情報処理装置1のプロセッサ11は、機能的には、属性データ取得部15と、試行度合推定部16と、慣れ判定部17と、テスト処理部18と、出力制御部19と、を有する。なお、図3では、データの授受が行われるブロック同士を実線により結んでいるが、データの授受が行われるブロックの組合せはこれに限定されない。後述する他の機能ブロックの図においても同様である。
【0035】
属性データ取得部15は、被検者の属性データをインターフェース13を介して取得する。この場合、例えば、属性データ取得部15は、入力装置2から供給される入力信号S1に基づき、被検者の属性データを取得する。なお、属性データ取得部15は、記憶装置4に記憶された被検者の属性データを読み出すことで、被検者の属性データを取得してもよい。この場合、例えば、記憶装置4には、被検者の識別情報と紐付けられた属性データが予め記憶されている。
【0036】
ここで、属性データは、被検者の属性を示す情報であり、先天的属性(即ち生体依存の属性)を示す情報であってもよく、後天的属性(即ち環境依存の属性)を示す情報であってもよい。この場合の属性の例は、年齢、診断結果(既往歴を含む)、健康診断結果(例えば、視力、聴力、生活習慣病等)、性別、人種、遺伝情報、学歴、知能指数(IQ値)や適性検査値などの能力値、職業、Big5アンケート回答等に基づき測定される性格、生活スタイル・生活習慣(例えば、喫煙の有無、飲酒の有無及び程度、運動習慣、食生活、社会活動、コミュニケーション)などを含む。その他、被検者の属性は、先天的属性又は後天的属性に該当する任意の属性であってもよい。
【0037】
試行度合推定部16は、属性データ取得部15が取得した属性データと、推定用事前情報記憶部41に記憶された推定用事前情報と、に基づき、必要試行度合を推定する。この場合、第1の例では、推定用事前情報が試行度合推論モデルの学習済みパラメータである場合、試行度合推定部16は、当該パラメータを参照して構成した試行度合推論モデルに、属性データ又は属性データの特徴を表す特徴データを入力し、当該入力に応じて試行度合推論モデルが出力する必要試行度合を取得する。第2の例では、推定用事前情報が試行度合決定テーブルである場合、試行度合推定部16は、属性データ取得部15が取得した属性データが示す属性と試行度合決定テーブルにおいて紐付けられた必要試行度合を、推定した必要試行度合として取得する。
【0038】
図4は、上述の第1の例における試行度合推定部16の詳細なブロック図の一例である。試行度合推定部16は、例えば、特徴データ生成部61と、モデル適用部62とを有する。
【0039】
特徴データ生成部61は、属性データ取得部15が取得した属性データの特徴を表す特徴データを生成する。特徴データは、モデル適用部62が使用する試行度合推論モデルの入力形式である所定のテンソル形式のデータである。なお、特徴データ生成部61が実行する特徴量抽出処理は、任意の特徴量抽出技術に基づく処理であってもよい。モデル適用部62は、推定用事前情報記憶部41を参照して構成した試行度合推論モデルに、特徴データ生成部61から供給される特徴データを入力し、当該入力に応じて試行度合推論モデルが出力する必要試行度合を取得する。そして、モデル適用部62は、取得した必要試行度合を慣れ判定部17に供給する。
【0040】
再び図3を参照して情報処理装置1の機能ブロックについて説明する。
【0041】
慣れ判定部17は、試行度合推定部16が推定した必要試行度合と、後述するテスト処理部18から供給される、被検者が受けたテストの履歴情報とに基づき、被検者のテストの慣れの有無を判定する。ここで、履歴情報には、現時点での被検者によるテストの試行度合の実績を表す値(「実績試行度合」とも呼ぶ。)が含まれている。実績試行度合は、例えば、現在の検査において被検者が既に受けたテストの回数又は時間長である。慣れ判定部17は、例えば、実績試行度合が必要試行度合以上である場合に、被検者はテストに慣れていると判定し、実績試行度合が必要試行度合未満の度合である場合に、被検者はテストに慣れていないと判定する。そして、慣れ判定部17は、被検者のテストの慣れの有無の判定結果(「慣れ判定結果」とも呼ぶ。)を、出力制御部19に供給する。
【0042】
テスト処理部18は、テストの判定に必要なデータ(「テスト判定用データ」とも呼ぶ。)が供給された場合に、当該テスト判定用データに基づきテスト結果を生成し、生成したテスト結果を出力制御部19に供給する。テスト判定用データは、例えば、テスト実行時に被検者が操作する(又は被検者をセンシングする)入力装置2から供給される入力信号S1である。また、テスト処理部18は、被検者が受けたテストの実績試行度合を少なくとも含む履歴情報を生成し、生成した履歴情報を慣れ判定部17に供給する。また、テスト処理部18は、生成したテスト結果及び履歴情報等を、被検者、テスト、検査の各識別情報及び日時情報等と関連付けて記憶装置4に記憶してもよい。
【0043】
出力制御部19は、被検者が受けたテストのテスト結果に関する情報を出力する。例えば、出力制御部19は、テスト処理部18から供給されるテスト結果を、出力装置3の表示部に表示する、又は、出力装置3の音出力部により音声出力する。この場合、出力制御部19は、慣れ判定部17から供給される慣れ判定結果に基づき、出力したテスト結果の有効性を判定し、有効性の判定結果を示す情報を、出力装置3により表示又は音声出力する。有効性の判定では、例えば、出力制御部19は、慣れ判定結果が慣れていることを示す場合にテスト結果が有効であると判定し、慣れ判定結果が慣れていないことを示す場合にテスト結果が有効ではないと判定する。
【0044】
なお、出力制御部19は、試行度合推定部16が推定した必要試行度合や属性データ取得部15が取得した属性情報を、慣れ判定結果に用いた情報として、テスト結果等と共に出力してもよい。
【0045】
図5は、出力制御部19が出力装置3に表示させるテスト結果画面の一例である。出力制御部19は、出力信号S2を生成し、出力信号S2を出力装置3に供給することで、図5に示すテスト結果画面を出力装置3に表示させる。
【0046】
ここでは、出力制御部19は、テスト処理部18から供給されるテスト結果に基づくテストスコア(ここでは「85」)と共に、慣れ判定部17から供給される慣れ判定結果に基づき、テスト結果が有効でない(無効である)旨を、テスト結果画面に表示している。また、出力制御部19は、慣れ判定結果に基づき、「正確なテスト結果が得られるまでの試行回数が足りません。引き続きテストを試行してください。」とのアドバイス文を表示すると共に、慣れ判定結果の生成に用いられた実績試行度合に関する情報(ここでは「これまでのテスト試行回数:3回」)と必要試行度合に関する情報(ここでは、「必要な試行回数:5回(あと2回必要です)」)とを、テスト結果画面に表示している。なお、図5の例に代えて、出力制御部19は、慣れ判定結果に基づきテスト結果が有効でないと判定した場合に、テスト結果(図5ではテストスコア)を非表示とし、テスト結果が有効であると判定した場合に、テスト結果を表示してもよい。
【0047】
このように、出力制御部19は、慣れ判定結果に基づき、ユーザである被検者又は被検者の管理者に対し、テスト結果の有効性を明確に通知することができる。
【0048】
なお、出力制御部19は、慣れ判定結果に基づきテスト結果に関する情報を出力装置3により表示又は音声出力する代わりに、慣れ判定結果に基づきテスト結果に関する情報を記憶装置4に記憶してもよい。この場合、例えば、出力制御部19は、テスト結果が有効であると判定したテスト結果のみを記憶装置4に記憶させてもよい。例えば、入力データの一部としてテスト結果を用いる内面状態の推論モデルの訓練データの収集を行う場合には、被検者が慣れていない(即ち有効でない)と判定されたテスト結果を訓練データとして記憶装置4に記憶せずに破棄する。これにより、正確に測定されたテスト結果のみを選定して訓練データを生成することができるため、内面状態の推論モデルを高精度に学習することが可能となる。この場合の効果の具体例について補足説明する。第1の例として、記憶テストを行い、慣れたと判定された(即ち有効とみなされる)テスト結果のみから、その人の総合的な認知機能(記憶だけでなく、言語能力やIQなどを含むさらに広い認知機能を指す)を学習・推定する場合に、本実施形態の慣れ判定結果を用いて慣れているデータのみ使うことで入力データのノイズ(慣れていないデータ)が少なくなるため、より正確な推定が可能になる。第2の例として、計算能力テストを行い、その結果からその人の注意機能をルールベース又は学習により推定するときに、本実施形態の慣れ判定結果により慣れていると判定された計算能力テスト結果のみを使うことで、より正確にその人の注意機能の推測が可能になる。なお、一方に、計算能力と注意機能には関係があるといわれているため、ルールベースによっても注意機能の推測が可能である。このように、ある能力から別の類似する能力を推測・類推する場合にも、本実施形態の慣れ判定結果を活用することが可能である。
【0049】
ここで、属性と必要試行度合との関係について図6を参照して補足説明する。
【0050】
図6は、20代から50代の被検者と、60代から80代の被検者とが受けたあるテストの各平均正答率を示す実験結果である。ここでは、あるテストを1回から10回受けた場合の各年齢層の平均正答率を示している。被検者が受けたテストは、全て同種のテストであって、内容自体は各回で異なっている。
【0051】
図6に示すように、慣れの影響等により、各年齢層において、各回で正答率が変化している。ここで、20代から50代の被検者の正答率は、1回目から2回目への正答率の変化が比較的大きく、その後の変化率は微小となっている。一方、60代から80代の被検者の正答率は、9回目まで上昇傾向となっている。このように、被検者の属性の一例である年齢によって、テストの慣れに要する試行回数が異なることが把握される。以上を勘案し、本実施形態に係る情報処理装置1は、被検者の属性情報に基づき、必要試行度合を推定する。これにより、被検者の属性に応じた適切な慣れ判定結果を得ることができる。
【0052】
なお、図3において説明した、属性データ取得部15、試行度合推定部16、慣れ判定部17、テスト処理部18及び出力制御部19の各構成要素は、例えば、プロセッサ11がプログラムを実行することによって実現できる。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記憶媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。なお、これらの各構成要素の少なくとも一部は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組合せ等により実現してもよい。また、これらの各構成要素の少なくとも一部は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイクロコントローラ等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。また、各構成要素の少なくとも一部は、ASSP(Application Specific Standard Produce)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又は量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)により構成されてもよい。このように、各構成要素は、種々のハードウェアにより実現されてもよい。以上のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。さらに、これらの各構成要素は、例えば、クラウドコンピューティング技術などを用いて、複数のコンピュータの協働によって実現されてもよい。
【0053】
(4)モデル学習
次に、試行度合推論モデルの学習方法について説明する。以後では、一例として、情報処理装置1が試行度合推論モデルの学習を行う場合について説明するが、情報処理装置1以外の装置が試行度合推論モデルの学習を行ってもよい。以後では、訓練データの生成において被検者となった者を、「サンプル提供者」とも呼ぶ。サンプル提供者は、複数人存在してもよく、かつ、推論段階における被検者を含んでもよく、含まなくともよい。
【0054】
図7は、試行度合推論モデルの学習に関する情報処理装置1のプロセッサ11の機能ブロックの一例である。試行度合推論モデルの学習に関し、プロセッサ11は、機能的には、学習部21を有する。また、記憶装置4等には、訓練データ31が記憶されている。
【0055】
訓練データ31は、試行度合推論モデルの学習に用いる訓練データであり、入力データ311と、正解データ312とを含む。入力データ311は、テストを受けたサンプル提供者の属性情報に相当し、正解データ312は、入力データ311の各々に対して試行度合推論モデルが出力すべき正解の必要試行度合を示す。例えば、正解データ312は、図6に示すような実験結果等に基づき特定された、入力データ311の各々に対するサンプル提供者の必要試行度合を示す。
【0056】
なお、学習する試行度合推論モデルが対象とするテストの正解データ312を、テストの難易度に基づき、他のテストの正解データ(又はそれに相当する実験結果)から生成してもよい。例えば、学習する試行度合推論モデルが対象とするテストと同一又は類似する難易度となる他のテストの正解データに基づき、学習する試行度合推論モデルが対象とするテストの正解データ312を生成してもよい。
【0057】
学習部21は、入力データ311と正解データ312とに基づき、試行度合推論モデルを学習し、学習により得られた試行度合推論モデルのパラメータを推定用事前情報記憶部41に記憶する。図8は、学習部21の詳細な機能ブロックの一例である。学習部21は、機能的には、入力データ取得部211と、特徴データ生成部212と、推定モデル学習部213と、を有する。
【0058】
入力データ取得部211は、試行度合推論モデルを適用する任意の1個分の入力データ311を訓練データ31から抽出する。特徴データ生成部212は、入力データ取得部211が取得した1個分の入力データ311から、試行度合推論モデルの入力形式に整合する特徴データを生成する。特徴データ生成部212が実行する特徴量抽出処理は、特徴データ生成部61が実行する特徴量抽出処理と同一のアルゴリズムである。
【0059】
推定モデル学習部213は、推定用事前情報記憶部41に記憶されたパラメータに基づく試行度合推論モデルに特徴データを入力した場合に試行度合推論モデルが出力する必要試行度合と、使用した入力データ311に対応する正解データ312が示す正解との誤差(損失)が最小となるように、試行度合推論モデルのパラメータを更新する。損失を最小化するように上述のパラメータを決定するアルゴリズムは、勾配降下法や誤差逆伝播法などの機械学習において用いられる任意の学習アルゴリズムであってもよい。なお、試行度合推論モデルの学習前の推定用事前情報記憶部41には、試行度合推論モデルの初期パラメータが記憶されてもよい。そして、学習部21は、この処理を全ての入力データ311に対し、又は、所定の学習終了条件が満たされるまで実行する。
【0060】
(5)処理フロー
図9は、被検者に対するテストが行われる場合の情報処理装置1の処理手順を示すフローチャートの一例である。情報処理装置1は、例えば、被検者に対するテストが行われる場合に図9に示すフローチャートの処理を実行する。
【0061】
まず、情報処理装置1は、テスト判定用データ及び被検者の属性データを取得する(ステップS11)。この場合、情報処理装置1は、例えば、インターフェース13を介して入力装置2から入力信号S1を受信することで、テスト判定用データ及び被検者の属性データを取得する。また、情報処理装置1は、ステップS14までの任意のタイミングにおいて、テスト判定用データに基づき、テスト結果を生成する。
【0062】
そして、情報処理装置1は、ステップS11で取得された属性データに基づき、必要試行度合を推定する(ステップS12)。この場合、情報処理装置1は、推定用事前情報記憶部41に記憶された学習済みのパラメータを参照して構成した試行度合推論モデルに基づき必要試行度合を取得してもよく、試行度合決定テーブルに基づき必要試行度合を取得してもよい。
【0063】
次に、情報処理装置1は、ステップS12において推定された必要試行度合に基づく被検者のテストの慣れの有無の判定を行う(ステップS13)。この場合、情報処理装置1は、現在の検査における試行回数又は試行時間の実績値である実績試行度合と、必要思考度合との比較結果に基づき、慣れ判定結果を生成する。
【0064】
次に、情報処理装置1は、慣れ判定結果に基づくテスト結果等の出力を行う(ステップS14)。この場合、例えば、情報処理装置1は、テスト結果及び慣れ判定結果に基づくテスト結果の有効性等に関する表示又は音声出力を出力装置3が行うように、出力装置3に出力信号S2を供給する。これにより、情報処理装置1は、被検者又はその管理者等に対して、被検者のテスト結果と共に、慣れ判定結果に基づくテスト結果の有効性等を好適に提示することができる。
【0065】
(6)変形例
上述した実施形態に好適な変形例について説明する。変形例は任意に組み合わせて上述の実施形態に適用してもよい。
【0066】
(変形例1)
情報処理装置1は、属性データに加えて、被検者の過去のテスト結果に基づき、必要試行度合を推定してもよい。
【0067】
この場合、例えば、被検者が定期的に検査を行うこと等により、被検者が受けた過去の検査において得られたテスト結果が記憶装置4等に記憶されている。そして、試行度合推定部16は、属性データに、現在の検査の直前に被検者が受けた検査(直前検査)で得られた過去のテスト結果を加えたデータ又はその特徴データを、試行度合推論モデルに入力し、当該試行度合推論モデルが出力する必要試行度合を取得する。この場合、試行度合推論モデルは、被検者の過去のテスト結果及び属性データに基づくデータと、必要試行度合との関係を学習したモデルである。言い換えると、試行度合推論モデルは、被検者の属性データ及び過去のテスト結果又はそれらの特徴データが入力された場合に、当該被検者の必要試行度合を出力するように学習されたモデルである。従って、試行度合推論モデルの学習に用いる訓練データ31の入力データには、被検者の属性データに加えて、被検者の過去のテスト結果が含まれている。
【0068】
ここで、上述の「過去のテスト結果」は、直前検査での1回分のテスト結果(例えば直前検査における最初のテストのテスト結果)であってもよく、直前検査の時系列でのテスト結果(例えば直前検査における全て又は所定回数分のテスト結果)であってもよい。
【0069】
なお、試行度合推定部16は、被検者の過去の検査のテスト結果が記憶装置4等に記憶されていない場合には、例えば、推定用事前情報記憶部41に記憶された試行度合決定テーブルを使用して属性データから必要試行度合を決定してもよい。
【0070】
また、試行度合推定部16は、「過去のテスト結果」として、直前検査でのテスト結果に代えて、現在の検査において実施済みのテストのテスト結果を用いてもよい。この場合、例えば、試行度合推定部16は、現検査の2回目以降のテストにおける必要試行度合の推定処理では、現検査の1回目のテスト結果を「過去のテスト結果」として用い、現検査の1回目のテストでの必要試行度合の推定処理では、試行度合決定テーブルを使用して必要試行度合を決定する。
【0071】
このように、試行度合推定部16は、被検者の過去のテスト結果を勘案して必要試行度合を決定することで、被検者の必要試行度合を的確に定めることができる。
【0072】
(変形例2)
過去所定期間内に被検者が同種のテストに関する検査を行っていた場合には、情報処理装置1は、当該検査において行われたテストの試行度合を加算した実績試行度合を算出してもよい。
【0073】
例えば、上述の所定期間が1か月であり、試行度合が試行回数である場合、情報処理装置1は、記憶装置4に記憶された被検者のテストの履歴情報に基づき、過去1か月以内に被検者が同種のテストを行った検査を受けていたか否か判定する。そして、情報処理装置1は、同種のテストをN回(Nは整数)行った検査を3週間前に受けていたと判定した場合、今回の検査の1回目のテストでは、実績試行度合を、前回の検査のテスト試行回数を含めた「N+1」と定める。このようにすることで、情報処理装置1は、過去の検査に基づくテスト慣れを的確に考慮した慣れ判定結果を生成することができる。なお、情報処理装置1は、過去の検査における試行度合については、0~1の重みを設け、過去の検査を実施後の経過期間が長いほど、過去の検査での試行度合に乗じる重みを低く設定してもよい。
【0074】
本変形例によれば、比較的直近に行われた被検者のテスト試行実績に基づくテスト慣れを的確に考慮した慣れ判定結果を生成することができる。
【0075】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態におけるテスト判定システム100Aの概略構成を示す。第2実施形態に係るテスト判定システム100Aは、サーバクライアントモデルのシステムであり、サーバ装置として機能する情報処理装置1Aが第1実施形態における情報処理装置1の処理を行う。以後では、第1実施形態と同一構成要素については、適宜同一符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
テスト判定システム100Aは、主に、サーバとして機能する情報処理装置1Aと、第1実施形態と同様のデータを記憶する記憶装置4と、クライアントとして機能する端末装置8とを有する。情報処理装置1Aと端末装置8とは、ネットワーク7を介してデータ通信を行う。
【0077】
端末装置8は、入力機能、表示機能、及び通信機能を有する端末であり、図1に示される入力装置2及び出力装置3として機能する。端末装置8は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)などであってもよい。端末装置8は、図示しないセンサが出力する生体信号又はユーザ入力に基づく入力信号などを、情報処理装置1Aに送信する。
【0078】
情報処理装置1Aは、例えば情報処理装置1と同一のハードウェア構成及び機能構成を有する。そして、情報処理装置1Aは、図1に示す情報処理装置1が入力装置2から取得する情報などを、ネットワーク7を介して端末装置8から受信し、受信した情報に基づいてテスト結果の生成及び慣れ判定結果の生成等を行う。また、情報処理装置1Aは、生成したテスト結果及び慣れ判定結果に関する情報を示す出力信号を、ネットワーク7を介して端末装置8へ送信する。即ち、この場合、端末装置8は、第1実施形態における出力装置3として機能する。これにより、情報処理装置1Aは、テスト結果に関する情報を端末装置8のユーザに好適に提示する。
【0079】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態における判定装置1Xのブロック図である。判定装置1Xは、主に、属性データ取得手段15Xと、試行度合推定手段16Xと、慣れ判定手段17Xと、を有する。なお、判定装置1Xは、複数の装置により構成されてもよい。判定装置1Xは、例えば、第1実施形態(変形例を含む、以下同じ)における情報処理装置1又は第2実施形態における情報処理装置1Aとすることができる。
【0080】
属性データ取得手段15Xは、被検者の属性を示す属性データを取得する。属性データ取得手段15Xは、例えば、第1実施形態又は第2実施形態における属性データ取得部15とすることができる。
【0081】
試行度合推定手段16Xは、属性データに基づき、被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定する。試行度合推定手段16Xは、例えば、第1実施形態又は第2実施形態における試行度合推定部16とすることができる。
【0082】
慣れ判定手段17Xは、必要試行度合に基づき、テストの慣れの有無を判定する。慣れ判定手段17Xは、例えば、第1実施形態又は第2実施形態における慣れ判定部17とすることができる。
【0083】
図12は、第3実施形態において判定装置1Xが実行するフローチャートの一例である。属性データ取得手段15Xは、被検者の属性を示す属性データを取得する(ステップS21)。次に、試行度合推定手段16Xは、属性データに基づき、被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定する(ステップS22)。そして、慣れ判定手段17Xは、必要試行度合に基づき、テストの慣れの有無を判定する(ステップS23)。
【0084】
第3実施形態によれば、判定装置1Xは、被検者の属性に応じて被検者がテストになれたか否かを的確に判定することが可能となる。
【0085】
なお、上述した各実施形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータであるプロセッサ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0086】
その他、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが以下には限られない。
【0087】
[付記1]
被検者の属性を示す属性データを取得する属性データ取得手段と、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定する試行度合推定手段と、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する慣れ判定手段と、
を有する判定装置。
[付記2]
前記試行度合推定手段は、前記属性データと、推論モデルと、に基づいて、前記必要試行度合を推定し、
前記推論モデルは、前記属性データに基づくデータと、前記必要試行度合との関係を学習したモデルである、付記1に記載の判定装置。
[付記3]
前記試行度合推定手段は、前記属性データと、推論モデルと、前記被検者が過去に受けた前記テストのテスト結果と、に基づいて、前記必要試行度合を推定し、
前記推論モデルは、前記属性データ及び前記テスト結果に基づくデータと、前記必要試行度合との関係を学習したモデルである、付記1に記載の判定装置。
[付記4]
前記テスト結果は、前記被検者が過去に受けた前記テストの時系列のテスト結果である、付記3に記載の判定装置。
[付記5]
前記試行度合推定手段は、前記属性の候補と、当該候補の各々に対応する前記必要試行度合とを対応付けたテーブルに基づき、前記属性データから前記必要試行度合を推定する、付記1に記載の判定装置。
[付記6]
前記慣れの有無の判定結果に基づき、前記テストのテスト結果の出力を行う出力制御手段をさらに有する、付記1に記載の判定装置。
[付記7]
前記出力制御手段は、前記テストに慣れていないことを示す前記判定結果である場合に、前記テストのテスト結果が無効であると判定する、付記6に記載の判定装置。
[付記8]
前記出力制御手段は、前記慣れの有無の判定結果に基づく前記テストの有効性の判定結果を、表示又は音声出力する、付記6に記載の判定装置。
[付記9]
コンピュータが、
被検者の属性を示す属性データを取得し、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定し、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する、
判定方法。
[付記10]
被検者の属性を示す属性データを取得し、
前記属性データに基づき、前記被検者が受けるテストの慣れに要する試行度合である必要試行度合を推定し、
前記必要試行度合に基づき、前記テストの慣れの有無を判定する処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体。
【0088】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0089】
例えば、認知機能の把握及び維持に向けたマネジメント(セルフマネジメントを含む)に関するサービスに利用される。
【符号の説明】
【0090】
1、1A 情報処理装置
1X 判定装置
2 入力装置
3 出力装置
4 記憶装置
8 端末装置
100、100A テスト判定システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12