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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182301
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20231219BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B62D25/08 D
B62D25/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095829
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長崎 雄太
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BB16
3D203BB33
3D203CA23
3D203CA33
3D203CA45
(57)【要約】
【課題】 車両の前方角部における強度を簡素な構成で向上する。
【解決手段】 車両は、前輪を含む複数の車輪と、前輪の車両左右方向の内側において車両前後方向に延びるフロントサイドメンバと、前輪の車両上下方向の上方において車両前後方向に延びる第1区間と、前輪の車両前後方向の前方において車両上下方向の下方へ延びる第2区間とを有するアッパメンバと、前輪の車両前後方向の前方に位置しており、フロントサイドメンバの前端とアッパメンバの第2区間とを互いに連結する連結プレートとを備える。連結プレートは、単一の板材で構成されており、車両左右方向に延びる複数の突部及び溝部が、車両上下方向に沿って繰り返し形成された波状形状を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪を含む複数の車輪と、
前記前輪の車両左右方向の内側において車両前後方向に延びるフロントサイドメンバと、
前記前輪の車両上下方向の上方において前記車両前後方向に延びる第1区間と、前記前輪の前記車両前後方向の前方において前記車両上下方向に延びる第2区間とを有するアッパメンバと、
前記前輪の前記車両前後方向の前方に位置しており、前記フロントサイドメンバの前端と前記アッパメンバの前記第2区間とを互いに連結する連結プレートと、
を備え、
前記連結プレートは、単一の板材で構成されているとともに、前記車両左右方向に延びる複数の突部及び溝部を、前記車両上下方向に沿って繰り返し形成する波状形状を有する、
車両。
【請求項2】
前記連結プレートは、前記フロントサイドメンバの前記前端に接合された内側領域と、前記アッパメンバの前記第2区間に接合された外側領域と、前記内側領域と前記外側領域との間に位置する中間領域とを有し、
前記複数の突部及び溝部は、少なくとも、前記中間領域から前記外側領域に亘って形成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記フロントサイドメンバの前記前端に取り付けられたクラッシュボックスをさらに備え、
前記連結プレートの前記内側領域は、前記フロントサイドメンバの前記前端と前記クラッシュボックスとの間に挟持されている、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記連結プレートに取り付けられた補機をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
前記補機は、冷却液を循環させるポンプであり、
前記ポンプの少なくとも一部は、前記連結プレートに形成された前記溝部の内部に位置する、請求項4に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に車両が記載されている。この車両では、フロントサイドメンバとアッパメンバとの間が、複数の部材を用いて連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-040142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した車両のように、フロントサイドメンバとアッパメンバとの間を連結すると、車両の前面衝突に対して、車両の前方角部における強度を効果的に高めることができる。しかしながら、それらの二つのメンバが複数の部材で連結される構造では、車両の構成や製造工程が複雑化するという問題がある。
【0005】
上記を鑑み、本明細書は、車両の前方角部における強度を、簡素な構成で向上するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術は、車両に具現化される。第1の態様において、車両は、前輪を含む複数の車輪と、前記前輪の車両左右方向の内側において車両前後方向に延びるフロントサイドメンバと、前記前輪の車両上下方向の上方において前記車両前後方向に延びる第1区間と、前記前輪の前記車両前後方向の前方において前記車両上下方向に延びる第2区間とを有するアッパメンバと、前記前輪の前記車両前後方向の前方に位置しており、前記フロントサイドメンバの前端と前記アッパメンバの前記第2区間とを互いに連結する連結プレートとを備える。前記連結プレートは、単一の板材で構成されており、前記車両左右方向に延びる複数の突部及び溝部が、前記車両上下方向に沿って繰り返し形成された波状形状を有する。
【0007】
上記した車両では、フロントサイドメンバとアッパメンバを互いに連結する連結プレートが、単一の板材で構成されている。連結プレートは、車両左右方向に延びる複数の突部及び溝部が、車両上下方向に沿って繰り返し形成された波状形状を有する。このような構成によると、車両の前方角部における強度を、簡素な構成で向上することができる。
【0008】
第2の態様では、前記第1の態様において、前記連結プレートは、前記フロントサイドメンバの前端に接合された内側領域と、前記アッパメンバの前記第2区間に接合された外側領域と、前記内側領域と前記外側領域との間に位置する中間領域とを有してもよい。この場合、前記複数の突部及び溝部は、少なくとも、前記中間領域から前記外側領域に亘って形成されていてもよい。このような構成によると、フロントサイドメンバとアッパメンバとの間を、高い剛性で連結することができる。
【0009】
第3の態様では、前記第2の態様において、前記車両は、前記フロントサイドメンバの前記前端に取り付けられたクラッシュボックスをさらに備えてもよい。この場合、前記連結プレートの前記内側領域は、前記フロントサイドメンバの前記前端と前記クラッシュボックスとの間に挟持されていてもよい。このような構成によると、連結プレートがフロントサイドメンバにおいて強固に支持される。
【0010】
第4の態様では、前記第1の態様から前記第3の態様のいずれか一つにおいて、前記車両は、前記連結プレートに取り付けられた補機をさらに備えてもよい。このような構成によると、連結プレートを、補機を取り付けるためのブラケットとしても利用することで、車両の部品点数を削減することができる。
【0011】
第5の態様では、前記第4の態様において、前記補機が、冷却液を循環させるポンプであってもよい。この場合、前記ポンプの少なくとも一部は、前記連結プレートに形成された前記溝部の内部に位置してもよい。このような構成によると、車両内の限られたスペースを有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例の車両10を模式的に示す側面図。
図2】車体12の前部12fの要部を示す平面図。
図3】車体12の前部12fの右側部分の要部を示す側面図。
図4図3の側面図において、アッパメンバ22の一部を図示省略した図。
図5】車体12の前部12fの右側部分の要部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、実施例の車両10について説明する。なお、本願に添付された図面において、方向FRは車両前後方向における前方を示し、方向RRは車両前後方向における後方を示す。方向LHは車両左右方向における左方を示し、方向RHは車両左右方向における右方を示す。方向UPは車両上下方向における上方を示し、方向DWは車両上下方向における下方を示す。車両前後方向と車両左右方向は、路面2に対して平行な方向であって、互いに直交している。車両上下方向は、路面2に対して垂直な方向であって、車両前後方向及び車両左右方向に直交している。
【0014】
図1に示すように、車両10は、路面を走行する車両であって、車体12と、車体12を支持する複数の車輪14f、14rを備える。複数の車輪14f、14rは、一対の前輪14fと一対の後輪14rとを含む。一対の前輪14fは、車体12の前部12fに位置しており、一対の後輪14rは、車体12の後部12rに位置している。車体12は、前部12fと後部12rとの間に、キャビン12cを有する。特に限定されないが、車体12は、主に金属材料で構成されている。
【0015】
特に限定されないが、本実施例の車両10は、バッテリ式電動車であって、バッテリパック16と走行用モータ18とを備える。バッテリパック16は、走行用モータ18に電力を供給する電源であって、キャビン12cの下方に配置されている。走行用モータ18は、車体12の前部12fに配置されており、一対の前輪14fを駆動するように構成されている。図示省略するが、車両10は、バッテリパック16と走行用モータ18との間に、DC-DCコンバータ及び/又はインバータを含む電力変換装置をさらに備えてもよい。なお、本明細書で説明される車両10の構成は、バッテリ式電動車に限られず、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車、又はエンジン車といった、各種の車両に採用することができる。
【0016】
図2に示すように、車両10の車体12は、一対のフロントサイドメンバ20と、一対のアッパメンバ22と、一対の連結プレート24とを備える。一対のフロントサイドメンバ20、一対のアッパメンバ22、及び一対の連結プレート24は、車体12の前部12fに位置しており、車両左右方向において対称に設けられている。以下では、車体12の前部12fの右側部分を代表して説明し、左側部分の説明については省略する。
【0017】
図2図5に示すように、フロントサイドメンバ20は、前輪14fの車両左右方向の内側(即ち、左方)において、車両前後方向に延びている。フロントサイドメンバ20は、車体12の主たる骨格部材であって、角パイプ材、チャネル材又はハット材のような、所定の断面形状を有する長手材で構成されている。フロントサイドメンバ20の前端20aには、クラッシュボックス30と、フロントバンパリインフォースメント32が取り付けられている。クラッシュボックス30は、フロントサイドメンバ20の前端20aとフロントバンパリインフォースメント32との間に位置している。クラッシュボックス30は、車両10に前面衝突が生じたときに、圧縮変形することによって衝突エネルギーを吸収する。
【0018】
アッパメンバ22は、前輪14fの上方から前方に亘って設けられており、第1区間22aと第2区間22bとを有する。第1区間22aは、前輪14fの上方において、車両前後方向に延びている。第2区間22bは、前輪14fの前方において、車両上下方向に延びている。アッパメンバ22は、車体12の主たる骨格部材であって、角パイプ材、チャネル材又はハット材のような、所定の断面形状を有する長手材で構成されている。図示省略するが、アッパメンバ22とフロントサイドメンバ20との間には、前輪14fやそのサスペンションを収容するタイヤハウスを画定するパネル材が設けられている。
【0019】
連結プレート24は、前輪14fの前方に位置しており、フロントサイドメンバ20の前端20aと、アッパメンバ22の第2区間22bとを互いに連結している。このように、これら二つのメンバ20、22が、前輪14fの前方において互いに連結されていると、車両10の前面衝突に対して、車体12の前方角部における強度を効果的に高めることができる。なお、本実施例における連結プレート24は、アッパメンバ22の第2区間22bに対して前方に位置している。但し、他の実施形態として、連結プレート24は、アッパメンバ22の第2区間22bに対して後方に位置してもよい。
【0020】
連結プレート24は、単一の板材で構成されている。なお、当該板材を構成する材料は、特に限定されないが、金属材料であってよい。連結プレート24は、波状形状を有する。即ち、連結プレート24には、車両左右方向に延びる複数の突部26及び溝部28が、車両上下方向に沿って繰り返し形成されている。このような構成によると、連結プレート24の剛性が高まることによって、フロントサイドメンバ20とアッパメンバ22との間を、高い剛性で連結することができる。
【0021】
連結プレート24は、前面視したときに(図5参照)、内側領域24aと、外側領域24bと、中間領域24cとに区分することができる。内側領域24aは、フロントサイドメンバ20の前端20aに接合された領域である。外側領域24bは、アッパメンバ22の第2区間22bに接合された領域である。そして、中間領域24cは、内側領域24aと外側領域24bとの間に位置する領域である。特に限定されないが、本実施例における連結プレート24では、複数の突部26及び溝部28が、中間領域24cから外側領域24bに亘って形成されている。このように、複数の突部26及び溝部28が、中間領域24cだけでなく、外側領域24b及び/又は内側領域24aまで形成されていると、フロントサイドメンバ20とアッパメンバ22との間を、より高い剛性で連結することができる。
【0022】
前述したように、フロントサイドメンバ20の前端20aには、クラッシュボックス30が取り付けられている(図2図4参照)。この点に関して、連結プレート24(特に、その内側領域24a)は、クラッシュボックス30とともに、フロントサイドメンバ20の前端20aへ共締めされている。これにより、連結プレート24の内側領域24aは、フロントサイドメンバ20の前端20aとクラッシュボックス30とによって挟持されている。このような構成によると、連結プレート24が、フロントサイドメンバ20において強固に支持されることで、フロントサイドメンバ20とアッパメンバ22との間が、より高い剛性で連結される。
【0023】
図4に示すように、連結プレート24には、ポンプ40が取り付けられている。ポンプ40は、車両10の補機の一つであって、冷却液を循環させる装置である。ポンプ40は、ウォータポンプとも称される。連結プレート24を、ポンプ40取り付けるためのブラケットとしても利用することで、車両の部品点数を削減することができる。加えて、ポンプ40の一部40aは、連結プレート24に向けて膨出しており、連結プレート24に形成された溝部28の内部に位置している。このような構成によると、車両10内の限られたスペースを、有効に活用することができる。なお、連結プレート24は、ポンプ40に代えて、又は加えて、他の種類の補機が取り付けられてもよい。
【0024】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載された組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0025】
10:車両
12:車体
14f:前輪
20:フロントサイドメンバ
22:アッパメンバ
22a:アッパメンバの第1区間
22b:アッパメンバの第2区間
24:連結プレート
24a:連結プレートの内側領域
24b:連結プレートの外側領域
24c:連結プレートの中間領域
26:連結プレートの突部
28:連結プレートの溝部
30:クラッシュボックス
32:フロントバンパリインフォースメント
40:ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5