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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182307
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20231219BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F17/00 C
H01F27/29 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095838
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】志賀 悠人
(72)【発明者】
【氏名】小林 創
(72)【発明者】
【氏名】數田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】田久保 悠一
(72)【発明者】
【氏名】郭 旭冉
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB03
5E070CB13
5E070EA06
(57)【要約】
【課題】直流抵抗(Rdc)の低減及び浮遊容量の増加の抑制ができる積層コイル部品を提供する。
【解決手段】積層コイル部品1は、素体2と、コイル3と、一対の外部電極41,42と、を備えている。コイル3は、複数のコイル導体を有する。コイル3は、複数の接続部3a,3b,3c,3d,3eを有する。複数の接続部3a,3b,3c,3d,3eでは、複数のコイル導体のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に一対の側面が互いに対向している方向から見て当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている。複数の接続部3a,3b,3c,3d,3eは、第一接続部及び第二接続部を含む。第二接続部は、第一接続部よりも主面電極部41a,42aから離れている。第二接続部での隣るコイル導体同士が重なり合う面積は、第一接続部での隣るコイル導体同士が重なり合う面積よりも大きい。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面と、当該主面と隣り合うと共に互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、
前記一対の側面が互いに対向している方向に並ぶと共に互いに電気的に接続されている複数のコイル導体を有し、前記素体の内部に配置されているコイルと、
前記主面に沿って延在するように前記主面に配置されている主面電極部を有し、前記コイルに電気的に接続されている一対の外部電極と、を備え、
前記コイルは、前記複数のコイル導体のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に前記一対の側面が互いに向かい合う方向から見て当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている複数の接続部を有し、
前記複数の接続部は、第一接続部と、前記第一接続部よりも前記主面電極部から離れている第二接続部と、を含み、
前記第二接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積は、前記第一接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積よりも大きい、積層コイル部品。
【請求項2】
前記素体は、前記主面と対向する別の主面を有し、
前記主面は、第一領域と、前記第一領域より前記別の主面寄りに位置する第二領域とを有し、
前記主面電極部は、前記第二領域上に配置されている、請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項3】
前記素体は、前記一対の側面と前記主面とに互いに隣り合う一対の端面を有し、
前記一対の外部電極のそれぞれは、前記一対の端面のうち対応する端面に沿って延在するように前記対応する端面に配置されている端面電極部を有する、請求項2に記載の積層コイル部品。
【請求項4】
前記端面電極部と前記コイルとの間を延在し、かつ、前記端面電極部と前記コイルとを電気的に接続する導体を更に備える、
請求項3に記載の積層コイル部品。
【請求項5】
前記素体の表面は、前記主面を除いて、前記一対の外部電極から露出している、請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項6】
前記複数の接続部では、前記隣るコイル導体同士は連続している、請求項1~5の何れか一項に記載の積層コイル部品。
【請求項7】
前記複数の接続部は、
複数の前記第一接続部を含む第一グループと、
複数の前記第二接続部を含む第二グループと、を有し、
前記第二グループに含まれる複数の前記第二接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積の和は、前記第一グループに含まれる複数の前記第一接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積の和よりも大きい、請求項1~5の何れか一項に記載の積層コイル部品。
【請求項8】
前記複数の接続部は、
前記主面電極部及び前記端面電極部の少なくとも一方と隣り合うように位置する複数の前記第一接続部を含む第三グループと、
前記第一接続部を除く、複数の前記第二接続部を含む第四グループと、を有し、
前記第四グループに含まれる複数の前記第二接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積の和は、前記第三グループに含まれる複数の前記第一接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積の和よりも大きい、請求項3又は4に記載の積層コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
素体と、コイルと、一対の外部電極とを備えている積層コイル部品が知られている(例えば特許文献1)。コイルは、複数のコイル導体を有する。外部電極は、主面電極部を有する。主面電極部は、主面に沿って延在するように主面に配置されている。複数のコイル導体は、一対の側面が互いに対向している方向に並ぶと共に互いに電気的に接続されている。コイルは、複数の接続部を有する。複数の接続部では、複数のコイル導体のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に一対の側面が互いに対向している方向から見て、当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-41864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積層コイル部品では、直流抵抗(Rdc)の低減及び浮遊容量の増加の抑制が求められている。特許文献1のような積層コイル部品では、直流抵抗は、互いに電気的に接続されている隣るコイル導体同士の接触面積に依存する。隣るコイル導体同士の接触面積が増加すると、直流抵抗は、低減される。しかしながら、隣るコイル導体同士の接触面積の増加に応じて、複数の接続部と主面電極部との間に発生する浮遊容量が増加するおそれがある。
【0005】
本発明の一つの態様は、直流抵抗の低減及び浮遊容量の増加の抑制ができる積層コイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る積層コイル部品は、素体と、コイルと、一対の外部電極と、を備えている。素体は、主面と、当該主面と隣り合うと共に互いに対向している一対の側面と、を有する。コイルは、複数のコイル導体を有する。複数のコイル導体は、一対の側面が互いに対向している方向に並ぶと共に互いに電気的に接続されている。コイルは、素体の内部に配置されている。外部電極は、主面電極部を有する。主面電極部は、主面に沿って延在するように主面に配置されている。外部電極は、コイルに電気的に接続されている。コイルは、複数の接続部を有する。複数の接続部では、複数のコイル導体のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に一対の側面が互いに対向している方向から見て当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている。複数の接続部は、第一接続部及び第二接続部を含む。第二接続部は、第一接続部よりも主面電極部から離れている。第二接続部での隣るコイル導体同士が重なり合う面積は、第一接続部での隣るコイル導体同士が重なり合う面積よりも大きい。
【0007】
第一接続部での隣るコイル導体同士が重なり合う面積は、第一面積と称することがあり、第二接続部での隣るコイル導体同士が重なり合う面積は、第二面積と称することがある。
上記一つの態様では、第二面積は、第一面積よりも大きい。上記一つの態様は、第二接続部での、隣るコイル導体同士の接触面積を増加し得る。したがって、上記一つの態様は、直流抵抗を低減し得る。
第二接続部は、第一接続部よりも主面電極部から離れている。したがって、第二面積の増加に応じて、第二接続部と主面電極部とが対向する面積が増加する場合でも、上記一つの態様は、浮遊容量の増加を抑制し得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様は、直流抵抗の低減及び浮遊容量の増加の抑制ができる積層コイル部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る積層コイル部品の斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る積層コイル部品の複数の接続部を示す透過図である。
図3図3は、本実施形態に係る積層コイル部品の構成を示す分解図である。
図4図4は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の複数の接続部を示す透過図である。
図5図5は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の構成を示す分解図である。
図6図6は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の複数の接続部を示す透過図である。
図7図7は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の構成を示す分解図である。
図8図8は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の複数の接続部を示す透過図である。
図9図9は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の構成を示す分解図である。
図10図10は、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0011】
図1図3を参照して、本実施形態に係る積層コイル部品1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る積層コイル部品1の斜視図である。図2は、積層コイル部品1の複数の接続部を示す透過図である。図3は、積層コイル部品1の構成を示す分解図である。積層コイル部品1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。
【0012】
図1図3に示されるように、積層コイル部品1は、直方体形状を呈している素体2と、素体2の内部に配置されているコイル3と、一対の外部電極41,42と、一対の接続導体51,52と、を備えている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
【0013】
素体2は、互いに対向している一対の主面2aと、互いに対向している一対の側面2bと、互いに対向している一対の端面2cと、を有している。主面2a、側面2b及び端面2cは、矩形状を呈している。主面2aと側面2bとは、互いに隣り合っている。端面2cは、主面2aと側面2bとに互いに隣り合っている。一対の主面2aは、一方の主面2aと、一方の主面と対向する別の主面2aとによって構成されている。一対の端面2cは、一方の端面2cと、一方の端面と対向する別の端面2cとによって構成されている。
一方の主面2aは、第一の主面2aと称することがあり、別の主面2aは、第二の主面2aと称することがある。
一方の端面2cは、第一の端面2cと称することがあり、別の端面2cは、第二の端面2cと称することがある。
【0014】
一対の主面2aが互いに対向している方向D1は、主面2aに直交している。方向D1は、一対の側面2bが互いに対向している方向D3と直交している。方向D3は、側面2bに直交している。一対の端面2cが互いに対向している方向D2は、端面2cと直交していると共に、主面2aと側面2bとに平行である。方向D2は、方向D1と方向D3とに直交している。
【0015】
素体2には、一対の窪み21が形成されている。各窪み21は、第一の主面2aでの方向D2の両端、かつ、各端面2cでの第一の主面2a側の端に位置するように形成されている。
第一の主面2aは、領域2aa及び領域2abを有している。領域2abは、領域2aaよりも第二の主面2a寄りに位置する。領域2abは、一例として、第一の主面2aの方向D2での両端に位置する。領域2aaは、領域2abと共に一対の段差2acを構成する。積層コイル部品1が電子機器にはんだ実装されるとき、領域2aaは、積層コイル部品1がはんだ実装される電子機器に対向する。領域2abは、領域2aaよりも素体2の内部側に位置する。領域2ab及び段差2acは、素体2に一対の窪み21を構成する。
【0016】
端面2cは、領域2ca及び領域2cbを有している。第一の端面2c側に位置する領域2cbは、第一の端面2c側に位置する領域2caよりも第二の端面2c寄りに位置する。第二の端面2c側に位置する領域2cbは、第二の端面2c側に位置する領域2caよりも第一の端面2c寄りに位置する。領域2cbは、端面2cの方向D1での第一の主面2a側の端に位置している。領域2caは、領域2cbと共に段差2ccを構成する。領域2cbは、領域2caよりも素体2の内部側に位置している。領域2cb及び段差2ccは、素体2に対して窪みを構成する。領域2abと領域2cbとは、素体2の稜線部分で連続している。領域2ab、段差2ac、領域2cb及び段差2ccは、素体2に一対の窪み21を構成する。
【0017】
外部電極41,42は、方向D3から見て断面L字状を呈している。外部電極41,42は、主面電極部41a,42a及び端面電極部41b,42bを有している。主面電極部41a,42aと端面電極部41b,42bとは、素体2の稜線部分に沿うように連続している。一対の外部電極41,42は、一対の窪み21に対応する。外部電極41,42の表面には、めっき層が形成されている。めっき層は、たとえば、電気めっき又は無電解めっきにより形成される。めっき層は、たとえば、Ni、Sn、又はAuを含んでいる。端面電極部41b,42bの方向D1での長さは、主面電極部41a,42aの方向D2での長さよりも長い。
【0018】
主面電極部41a,42aは、主面2aに沿って延在するように主面2aに配置されている。図1に示されているように、本実施形態では、主面電極部41a,42aは、段差2ac及び領域2abに配置されている。主面電極部41a,42aの表面は、領域2aaの表面と面一である。
【0019】
端面電極部41b,42bは、一対の端面2cのうち対応する端面2cに沿って延在するように対応する端面2cに配置されている。図1に示されているように、本実施形態では、端面電極部41b,42bは、段差2cc及び領域2cbに配置されている。端面電極部41b,42bの表面は、領域2caの表面と面一である。
【0020】
コイル3は、素体2の内部に配置されている。コイル3は、複数のコイル導体31,32,33,34,35,36,37,38を有している。複数のコイル導体31~38は、方向D3に並んでいると共に互いに電気的に接続されている。各コイル導体31~38は、コイル3での環状の軌道の一部を構成している。各コイル導体31~38は、たとえば、ループの一部が途切れた形状を呈している。各コイル導体31~38は、一方の端部から他方の端部まで環状の軌道に沿ってそれぞれ延在している。コイル3は、方向D3で連結された8つのコイル導体31~38によって構成されている。各コイル導体31~38は、少なくとも2/5ターンしている。コイル3のターン数は3.5ターンである。
【0021】
図2に示されるように、コイル3は、複数の接続部3a,3b,3c,3d,3eを有している。各接続部3a~3eでは、複数のコイル導体32~37のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に方向D3から見て当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている。複数の接続部3a,3b,3c,3d,3eでは、複数のコイル導体32,33,34,35,36,37は連続している。
【0022】
複数のコイル導体32~37のそれぞれは、複数の接続部3a~3eのうち対応する接続部を構成する接続端を含む。本実施形態では、隣る接続端同士は、方向D3から見て、当該接続端の幅方向での全体で重なり合っている。隣る接続端同士は、方向D3から見て、当該接続端の幅方向での一部で重なり合っていてもよい。たとえば、隣る接続端同士は、方向D3から見て、当該接続端の幅方向での長さの半分以上で重なり合っていてもよい。
【0023】
方向D3から見て、コイル3は、五角形状を呈している。方向D3から見て、各接続部3a~3eは、当該五角形状の辺上に位置している。当該五角形状は、第二の主面2aと隣り合うと共に方向D2に沿って延在している長辺と、当該長辺の両端から主面電極部41a,42aに向かって延在している一対の第一短辺と、当該一対の第一短辺の各端から第一の主面2aに向かって突出するように延在していると共に互いに交わる一対の第二短辺とによって構成されている。当該長辺は、当該各第一短辺よりも長い。当該各第一短辺は、当該各第二短辺よりも長い。当該各第一短辺は、端面電極部41b,42bと隣り合っている。当該各第二短辺は、主面電極部41a,42aと隣り合っている。方向D3から見て、接続部3b,3dは当該長辺の一部と当該一対の第一短辺の一部とに沿って延在している。方向D3から見て、接続部3a,3eは、当該一対の第一短辺の一部に沿って延在している。方向D3から見て、接続部3cは、当該一対の第二短辺の一部に沿って延在している。
【0024】
接続部3b,3dは、接続部3a,3c,3eよりも主面電極部41a,42aから離れている。接続部3b,3dは、端面電極部41b,42bよりも第二の主面2a側に配置されていてもよい。接続部3a,3c,3eのうち少なくとも一つは、第一接続部を構成してもよい。接続部3b,3dのうち少なくとも一つは、第二接続部を構成してもよい。方向D3から見た各接続部3b,3dの面積は、方向D3から見た各接続部3a,3c,3eの面積よりも大きい。各接続部3b,3dでの隣るコイル導体33,34,35,36同士が重なり合う面積は、各接続部3a,3c,3eでの隣るコイル導体32,33,34,35,36,37同士が重なり合う面積よりも大きい。方向D3から見た各接続部3a,3eの面積は、方向D3から見た接続部3cの面積よりも小さい。各接続部3a,3eでの隣るコイル導体32,33,36,37同士が重なり合う面積は、接続部3cでの隣るコイル導体34,35同士が重なり合う面積よりも小さい。
【0025】
接続部3a,3eは、主面電極部41a,42aと端面電極部41b,42bとに隣り合うように位置している。接続部3cは、領域2aaと隣り合うように位置している。接続部3a,3c,3eは、第三グループを構成してもよい。接続部3b,3dは、第四グループを構成してもよい。接続部3b,3dでの隣るコイル導体33,34,35,36同士が重なり合う面積の和は、接続部3a,3c,3eでの隣るコイル導体32,33,34,35,36,37同士が重なり合う面積の和よりも大きい。
【0026】
接続導体51は、コイル導体38と端面電極部41bとの間で延在し、かつ、コイル導体38と端面電極部41bとを互いに電気的に接続する。接続導体51は、コイル導体38及び外部電極41と一体に形成されている。接続導体52は、コイル導体31と端面電極部42bとの間で延在し、かつ、コイル導体31と端面電極部42bとを互いに電気的に接続する。接続導体52は、コイル導体31及び外部電極42と一体に形成されている。
【0027】
素体2は、積層された複数の絶縁体層20に構成されている。複数の絶縁体層20が積層されている方向は、方向D3と一致する。本実施形態では、複数の絶縁体層20の数は、「12」である。図3には、方向D3の両端に配置されている各2層の絶縁体層20を省略した、8つの絶縁体層20が示されている。実際の素体2では、各絶縁体層20は、各絶縁体層20の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各絶縁体層20は、たとえば、磁性材料により構成されている。磁性材料は、たとえば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料を含んでいる。各絶縁体層20を構成する磁性材料は、Fe合金を含んでいてもよい。各絶縁体層20は、非磁性材料から構成されていてもよい。非磁性材料は、たとえば、ガラスセラミック材料又は誘電体材料を含んでいる。本実施形態では、各絶縁体層20は、非磁性材料を含むグリーンシートの焼結体から構成されている。
【0028】
図3に示されるように、外部電極41,42は、積層された複数の電極層40に構成されている。外部電極41,42は、積層された複数の電極層40を有している。本実施形態では、複数の電極層40の数は、「8」である。外部電極41,42では、複数の電極層40が積層されている方向は、方向D3と一致する。実際の外部電極41,42では、各電極層40は、各電極層40の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各電極層40は、対応する絶縁体層20に形成されている欠損部に設けられている。各絶縁体層20に形成された欠損部によって、焼成後の素体2の一対の窪み21が得られる。各電極層40は、たとえば、導電性材料により構成されている。導電性材料は、たとえば、Ag又はPdを含んでいる。本実施形態では、各電極層40は、導電性材料粉末を含む導電性ペーストの焼結体から構成されている。導電性材料粉末は、たとえば、Ag粉末又はPd粉末である。
【0029】
接続導体51,52は、接続導体層51a,52aによって構成されている。接続導体層51a,52aは、対応する絶縁体層20に形成されている欠損部に設けられている。接続導体層51a,52aは、たとえば、各電極層40と同じ材料により構成されている。接続導体層51a,52aは、たとえば、導電性ペーストの焼結体により構成されている。
【0030】
コイル3は、図3に示されるように、複数のコイル導体層31a,32a,33a,34a,35a,36a,37a,38aが積層されて構成されている。複数のコイル導体層31a~38aが積層されている方向は、方向D3と一致する。実際のコイル3では、複数のコイル導体層31a~38aは、各コイル導体層31a~38aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。各コイル導体層31a~38aは、対応する絶縁体層20に形成されている欠損部に設けられている。各コイル導体層31a~38aは、たとえば、各電極層40と同じ材料により構成されている。各コイル導体層31a~38aは、たとえば、導電性ペーストの焼結体により構成されている。
【0031】
コイル導体31は、コイル導体層31aによって構成されている。コイル導体31は、コイル3の一方側の端を構成している。コイル導体31は、接続導体52によって端面電極部42bと互いに電気的に接続されている。コイル導体31は、接続導体52及び外部電極42と一体に形成されている。
【0032】
コイル導体32は、コイル導体層32aによって構成されている。コイル導体32と、コイル導体31とは、方向D3で隣るコイル導体31,32同士である。コイル導体32は、コイル導体31の接続導体52と接続されていない側の端部と、方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている。隣るコイル導体31,32において方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている部分は、焼成された複数のコイル導体層31a,32aによって形成されている。したがって、当該部分では、隣るコイル導体31,32同士は、互いに電気的かつ機械的に接続されている。当該部分は、複数のコイル導体層31a,32aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0033】
コイル導体33は、コイル導体層33aによって構成されている。コイル導体33と、コイル導体32とは、方向D3で互いに隣るコイル導体32,33同士である。コイル導体33の端部は、コイル導体32と、方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている。接続部3aは、コイル導体32,33の端部を含む。接続部3aは、隣るコイル導体32,33同士を互いに電気的に接続している。接続部3aでは、隣るコイル導体32,33同士は連続している。接続部3aは、焼成された複数のコイル導体層32a,33aによって形成されている。したがって、接続部3aでは、隣るコイル導体32,33同士は、互いに電気的かつ機械的に接続されている。接続部3aは、複数のコイル導体層32a,33aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0034】
コイル導体34は、コイル導体層34aによって構成されている。コイル導体34と、コイル導体33とは、方向D3で互いに隣るコイル導体33,34同士である。コイル導体34の端部は、コイル導体33のコイル導体32と接続されていない側の端部と、方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている。接続部3bは、コイル導体33,34の端部を含む。接続部3bは、隣るコイル導体33,34同士を互いに電気的に接続している。接続部3bでは、隣るコイル導体33,34同士は連続している。接続部3bは、焼成された複数のコイル導体層33a,34aによって形成されている。したがって、接続部3bでは、隣るコイル導体33,34同士は、互いに電気的かつ機械的に接続されている。接続部3bは、複数のコイル導体層33a,34aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0035】
コイル導体35は、コイル導体層35aによって構成されている。コイル導体35と、コイル導体34とは、方向D3で互いに隣るコイル導体34,35同士である。コイル導体35の端部は、コイル導体34のコイル導体33と接続されていない側の端部と、方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている。接続部3cは、コイル導体34,35の端部を含む。接続部3cは、隣るコイル導体34,35同士を互いに電気的に接続している。接続部3cでは、隣るコイル導体34,35同士は連続している。接続部3cは、焼成された複数のコイル導体層34a,35aによって形成されている。したがって、接続部3cでは、隣るコイル導体34,35同士は、互いに電気的かつ機械的に接続されている。接続部3cは、複数のコイル導体層34a,35aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0036】
コイル導体36は、コイル導体層36aによって構成されている。コイル導体36と、コイル導体35とは、方向D3で互いに隣るコイル導体35,36同士である。コイル導体36の端部は、コイル導体35のコイル導体34と接続されていない側の端部と、方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている。接続部3dは、コイル導体35,36の端部を含む。接続部3dは、隣るコイル導体35,36同士を互いに電気的に接続している。接続部3dでは、隣るコイル導体35,36同士は連続している。接続部3dは、焼成された複数のコイル導体層35a,36aによって形成されている。したがって、接続部3dでは、隣るコイル導体35,36同士は、互いに電気的かつ機械的に接続されている。接続部3dは、複数のコイル導体層35a,36aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0037】
コイル導体37は、コイル導体層37aによって構成されている。コイル導体37と、コイル導体36とは、方向D3で互いに隣るコイル導体36,37同士である。コイル導体37の端部は、コイル導体36のコイル導体35と接続されていない側の端部と、方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている。接続部3eは、コイル導体36,37の端部を含む。接続部3eは、隣るコイル導体36,37同士を互いに電気的に接続している。接続部3eでは、隣るコイル導体36,37同士は連続している。接続部3eは、焼成された複数のコイル導体層36a,37aによって形成されている。したがって、接続部3eでは、隣るコイル導体36,37同士は、互いに電気的かつ機械的に接続されている。接続部3eは、複数のコイル導体層36a,37aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0038】
コイル導体38は、コイル導体層38aによって構成されている。コイル導体38は、コイル3のコイル導体31とは反対側の端を構成している。コイル導体38は、接続導体51によって端面電極部41bと互いに電気的に接続されている。コイル導体38は、接続導体51及び外部電極41と一体に形成されている。コイル導体38と、コイル導体37とは、方向D3で隣るコイル導体37,38同士である。コイル導体37は、コイル導体38の接続導体51と接続されていない側の端部と、方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている。隣るコイル導体37,38において方向D3で互いに重なっていると共に互いに接続されている部分は、焼成された複数のコイル導体層37a,38aによって形成されている。したがって、当該部分では、隣るコイル導体37,38同士は、互いに電気的かつ機械的に接続されている。当該部分は、複数のコイル導体層37a,38aの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0039】
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品1Aの構成を説明する。図4は、積層コイル部品1Aの複数の接続部を示す透過図である。図5は、積層コイル部品1Aの構成を示す分解図である。本変形例に係る積層コイル部品1Aは、概ね、上述した積層コイル部品1と類似又は同じであるが、本変形例は、コイル3Aの構成に関して、積層コイル部品1と相違する。以下、積層コイル部品1と本変形例との相違点を主として説明する。
【0040】
積層コイル部品1Aは、コイル3Aを備えている。コイル3Aは、複数のコイル導体61,62,63,64,65,66,67,68を有している。各コイル導体61,62,63,64,65,66,67,68は、各コイル導体層61a,62a,63a,64a,65a,66a,67a,68aによって構成されている。各コイル導体61~68は、少なくとも2/5ターンしている。コイル3Aのターン数は3.5ターンである。
【0041】
図4に示されるように、コイル3Aは、複数の接続部6a,6b,6c,6d,6eを有している。各接続部6a~6eでは、複数のコイル導体62~67のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に方向D3から見て当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている。複数の接続部6a,6b,6c,6d,6eでは、複数のコイル導体62,63,64,65,66,67は連続している。
【0042】
方向D3から見て、コイル3Aは、円形状を呈している。方向D3から見て、各接続部6a~6eは、当該円形状の円周上に位置している。方向D3から見て、接続部6b,6dは、当該円形状の中心よりも第二の主面2a側に位置している。接続部6a,6c,6eは、当該円形状の中心よりも第一の主面2a側に位置している。
【0043】
接続部6b,6dは、接続部6a,6c,6eよりも主面電極部41a,42aから離れている。接続部6b,6dは、端面電極部41b,42bよりも第二の主面2a側に配置されていてもよい。接続部6a,6c,6eのうち少なくとも一つは、第一接続部を構成してもよい。接続部6b,6dのうち少なくとも一つは、第二接続部を構成してもよい。方向D3から見た各接続部6b,6dの面積は、方向D3から見た各接続部6a,6c,6eの面積よりも大きい。各接続部6b,6dでの隣るコイル導体63,64,65,66同士が重なり合う面積は、各接続部6a,6c,6eでの隣るコイル導体62,63,64,65,66,67同士が重なり合う面積よりも大きい。方向D3から見た各接続部6a,6eの面積は、方向D3から見た接続部6cの面積よりも小さい。各接続部6a,6eでの隣るコイル導体62,63,66,67同士が重なり合う面積は、接続部6cでの隣るコイル導体64,65同士が重なり合う面積よりも小さい。
【0044】
接続部6a,6eは、主面電極部41a,42aと端面電極部41b,42bとに隣り合うように位置している。接続部6cは、領域2aaと隣り合うように位置している。接続部6a,6c,6eは、第三グループを構成してもよい。接続部6b,6dは、第四グループを構成してもよい。接続部6b,6dでの隣るコイル導体63,64,65,66同士が重なり合う面積の和は、接続部6a,6c,6eでの隣るコイル導体62,63,64,65,66,67同士が重なり合う面積の和よりも大きい。
【0045】
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品1Bの構成を説明する。図6は、積層コイル部品1Bの複数の接続部を示す透過図である。図7は、積層コイル部品1Bの構成を示す分解図である。積層コイル部品1Bでは、複数の絶縁体層20の数は、「13」である。図7には、方向D3の両端に配置されている各2層の絶縁体層20を省略した、9つの絶縁体層20が示されている。本変形例に係る積層コイル部品1Bは、概ね、上述した積層コイル部品1と類似又は同じであるが、本変形例は、コイル3Bの構成に関して、積層コイル部品1と相違する。以下、積層コイル部品1と本変形例との相違点を主として説明する。
【0046】
積層コイル部品1Bは、コイル3Bを備えている。コイル3Bは、複数のコイル導体71,72,73,74,75,76,77,78,79を有している。各コイル導体71,72,73,74,75,76,77,78,79は、各コイル導体層71a,72a,73a,74a,75a,76a,77a,78a,79aによって構成されている。コイル3Bのターン数は3.5ターンである。
【0047】
図6に示されるように、コイル3Bは、複数の接続部7a,7b,7c,7d,7e,7f,7g,7hを有している。各接続部7a~7hでは、複数のコイル導体71~79のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に方向D3から見て当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている。複数の接続部7a,7b,7c,7d,7e,7f,7g,7hでは、複数のコイル導体71,72,73,74,75,76,77,78,79は連続している。
【0048】
方向D3から見て、コイル3Bは、五角形状を呈している。当該五角形状は、コイル3と同様に、長辺と、一対の第一短辺と、一対の第二短辺とによって構成されている。方向D3から見て、各接続部7a~7hは、当該五角形状の辺上に位置している。方向D3から見て、接続部7a,7fは重なっている。方向D3から見て、接続部7e,7hは重なっている。方向D3から見て、接続部7a,7f及び接続部7e,7hは、当該長辺の一部と当該一対の第一短辺の一部とに沿って延在している。方向D3から見て、接続部7cは、当該長辺の一部に沿って延在している。接続部7cは、接続部7a,7f及び接続部7e,7hの間に位置している。方向D3から見て、接続部7b,7gは重なっている。方向D3から見て、接続部7d及び接続部7b,7gは、当該一対の第一短辺の一部と当該一対の第二短辺の一部とに沿って延在している。
【0049】
接続部7a,7f、接続部7e,7h及び接続部7cは、接続部7d及び接続部7b,7gよりも主面電極部41a,42aから離れている。接続部7a,7f、接続部7e,7h及び接続部7cは、端面電極部41b,42bよりも第二の主面2a側に配置されていてもよい。接続部7a,7f、接続部7e,7h及び接続部7cのうち少なくとも一つは、第一接続部を構成してもよい。接続部7a,7fは、複数の第一接続部を含む第一グループを構成してもよい。接続部7e,7hは、複数の第一接続部を含む第一グループを構成してもよい。接続部7d及び接続部7b,7gのうち少なくとも一つは、第二接続部を構成してもよい。接続部7b,7gは、複数の第二接続部を含む第二グループを構成してもよい。
【0050】
方向D3から見た各接続部7a,7f,7e,7hの面積は、方向D3から見た各接続部7b,7g,7dの面積よりも大きい。各接続部7a,7f,7e,7hでの隣るコイル導体71,72,73,74,75,76同士が重なり合う面積は、各接続部7b,7g,7dでの隣るコイル導体72,73,74,75,77,78同士が重なり合う面積よりも大きい。接続部7a,7fでの隣るコイル導体71,72,76,77同士が重なり合う面積の和、又は、接続部7e,7hでの隣るコイル導体75,76,78,79同士が重なり合う面積の和は、接続部7b,7gでの隣るコイル導体72,73,77,78同士が重なり合う面積の和よりも大きい。
【0051】
接続部7b,7gは、主面電極部41aと端面電極部41bとに隣り合うように位置している。接続部7dは、主面電極部42aと端面電極部42bとに隣り合うように位置している。接続部7b,7g及び接続部7dは、第三グループを構成してもよい。接続部7a,7f、接続部7e,7h及び接続部7cは、第四グループを構成してもよい。接続部7a,7f、接続部7e,7h及び接続部7cでの隣るコイル導体71,72,73,74,75,76,77,78,79同士の面積の和は、接続部7b,7g及び接続部7dでの隣るコイル導体72,73,74,75,77,78同士の面積の和よりも大きい。
【0052】
次に、図8及び図9を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品1Cの構成を説明する。図8は、積層コイル部品1Cの複数の接続部を示す透過図である。図9は、積層コイル部品1Cの構成を示す分解図である。本変形例に係る積層コイル部品1Cは、概ね、上述した積層コイル部品1と類似又は同じであるが、本変形例は、コイル3C及び一対の外部電極41C,42Cの構成に関して、積層コイル部品1と相違する。以下、積層コイル部品1と本変形例との相違点を主として説明する。
【0053】
積層コイル部品1Cは、コイル3Cを備えている。コイル3Cは、複数のコイル導体81,82,83,84,85,86,87,88を有している。各コイル導体81,82,83,84,85,86,87,88は、各コイル導体層81a,82a,83a,84a,85a,86a,87a,88aによって構成されている。各コイル導体81~88は、少なくとも2/5ターンしている。コイル3Cのターン数は3.5ターンである。
【0054】
図8に示されるように、コイル3Cは、複数の接続部8a,8b,8c,8d,8e,8f,8gを有している。各接続部8a~8gでは、複数のコイル導体81~88のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に方向D3から見て当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている。複数の接続部8a,8b,8c,8d,8e,8f,8gでは、複数のコイル導体81,82,83,84,85,86,87,88は連続している。
【0055】
方向D3から見て、コイル3Cは、矩形状を呈している。当該矩形状は、方向D2に沿って延在していると共に第二の主面2aと隣り合う第一長辺と、方向D2に沿って延在していると共に第一の主面2aと隣り合う第二長辺と、方向D1に沿って延在していると共に当該第一長辺と当該第二長辺とを接続している一対の短辺とによって構成されている。方向D3から見て、各接続部8a~8gは、当該矩形状の辺上に位置している。方向D3から見て、接続部8a,8fは重なっている。方向D3から見て、接続部8b,8gは重なっている。方向D3から見て、接続部8c,8eは、当該矩形状の中心よりも第二の主面2a側に位置している。方向D3から見て、接続部8c,8eは、第一長辺の一部と一対の短辺の一部とに沿って延在している。方向D3から見て、接続部8a,8f及び接続部8b,8gは、第二長辺の一部と一対の短辺の一部とに沿って延在している。方向D3から見て、接続部8dは、第二長辺の一部に沿って延在している。方向D3から見て、接続部8a,8fは、主面電極部41aと隣っている。方向D3から見て、接続部8b,8gは、主面電極部42aと隣っている。
【0056】
積層コイル部品1Cでは、素体2の表面は、第一の主面2aを除いて、一対の外部電極41C,42Cから露出している。一対の外部電極41C,42Cは、第一の主面2aのみに配置されている。積層コイル部品1Cでは、素体2には、一対の窪み22が形成されている。一対の窪み22は、領域2ab及び段差2acのみによって構成されている。一対の窪み22は、第一の主面2aにのみ露出する。
【0057】
一対の外部電極41C,42Cは、端面電極部を有さない。図8に示されているように、本変形例では、主面電極部41a,42aは、一対の段差2ac及び領域2abに配置されている。主面電極部41a,42aの表面は、領域2aaの表面と面一である。
【0058】
積層コイル部品1Cでは、接続導体51は、コイル導体88と主面電極部41aとの間で延在し、かつ、コイル導体88と主面電極部41aとを互いに電気的に接続している。接続導体51は、コイル導体88及び外部電極41と一体に形成されている。接続導体52は、コイル導体81と主面電極部42aとの間で延在し、かつ、コイル導体81と主面電極部42aとを互いに電気的に接続している。接続導体52は、コイル導体81及び外部電極42と一体に形成されている。
【0059】
接続部8c,8eは、接続部8a,8f、接続部8b,8g及び接続部8dよりも主面電極部41a,42aから離れている。接続部8a,8f、接続部8b,8g及び接続部8dのうち少なくとも一つは、第一接続部を構成してもよい。接続部8c,8eのうち少なくとも一つは、第二接続部を構成してもよい。方向D3から見た各接続部8c,8eの面積は、方向D3から見た各接続部8a,8f、接続部8b,8g及び接続部8dの面積よりも大きい。各接続部8c,8eでの隣るコイル導体83,84,85,86同士が重なり合う面積は、各接続部8a,8f、接続部8b,8g及び接続部8dでの隣るコイル導体82,83,84,85,86,87同士が重なり合う面積よりも大きい。方向D3から見た各接続部8a,8eの面積は、方向D3から見た接続部8cの面積よりも小さい。各接続部8a,8eでの隣るコイル導体82,83,86,87同士が重なり合う面積は、接続部8cでの隣るコイル導体84,85同士が重なり合う面積よりも小さい。
【0060】
次に、図10を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コイル部品1Dの構成を説明する。図10は、本変形例に係る積層コイル部品1Dの斜視図である。本変形例は、一対の外部電極41D,42Dの構成に関して、積層コイル部品1と相違する。以下、積層コイル部品1と本変形例との相違点を主として説明する。
【0061】
積層コイル部品1Dでは、素体2には窪みは形成されなくてもよい。各外部電極41D,42Dは、電極41c,42cを含む。方向D1から見て、電極41c,42cは、矩形状を呈している。電極41c,42cは、第一の主面2aの方向D2での両端に配置されている。電極41c,42cは、方向D1で領域2aaの表面よりも外側に位置する面41ca,42caを含む。
【0062】
積層コイル部品1,1A,1B,1C,1Dでは、第二面積は、第一面積よりも大きい。積層コイル部品1~1Dは、第二接続部での、隣るコイル導体同士の接触面積を増加させる。したがって、積層コイル部品1~1Dは、直流抵抗を低減する。
第二接続部は、第一接続部よりも主面電極部から離れている。したがって、第二面積の増加に応じて、第二接続部と主面電極部とが対向する面積が増加する場合でも、積層コイル部品1~1Dは、浮遊容量の増加を抑制し得る。
【0063】
素体2は、主面2aと対向する別の主面2aを有してもよい。主面2aは、領域2aaと、領域2aaより別の主面2a寄りに位置する領域2abとを有してもよい。主面電極部41a,42aは、領域2ab上に配置されていてもよい。
主面電極部41a,42aが領域2ab上に配置されている積層コイル部品1,1A,1B,1Cは、主面電極部41a,42aと素体2との接触面積を増加できるので、主面電極部41a,42aと素体2との密着強度を向上できる。
【0064】
素体2は、一対の側面2bと主面2aとに互いに隣り合う一対の端面2cを有してもよい。一対の外部電極41,42のそれぞれは、一対の端面2cのうち対応する端面2cに沿って延在するように前記対応する端面2cに配置されている端面電極部41b,42bを有してもよい。
一対の外部電極41,42のそれぞれが端面電極部41b,42bを有している積層コイル部品1,1A,1Bを実装する場合には、主面電極部41a,42aと端面電極部41b,42bとがはんだに接する。したがって、積層コイル部品1,1A,1Bは、実装の強度を向上し得る。
【0065】
端面電極部41b,42bとコイル3,3A,3Bとの間で延在し、かつ、端面電極部41b,42bとコイル3,3A,3Bとを互いに電気的に接続している接続導体51,52を更に備えてもよい。
接続導体51,52を備える積層コイル部品1,1A,1Bでは、接続導体51,52がコイル3,3A,3Bと端面電極部41b,42bとの間で延在している。したがって、積層コイル部品1,1A,1Bは、接続導体51,52がコイル3,3A,3Bと主面電極部41a,42aとの間で延在している構成よりも、浮遊容量の増加をより一層抑制する。
【0066】
素体2の表面は、主面2aを除いて、一対の外部電極41C,42C,41D,42Dから露出していてもよい。
素体2の表面が主面2aを除いて一対の外部電極41C,42C,41D,42Dから露出している積層コイル部品1C,1Dでは、一対の外部電極41C,42C,41D,42Dは主面2aにのみ配置されている。積層コイル部品1C,1Dがはんだ実装される場合、積層コイル部品1C,1Dは、はんだフィレットを端面2cの側に形成しがたい。したがって、積層コイル部品1C,1Dは、実装強度を確保しつつ、実装面積の増加を抑制し得る。
【0067】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0068】
複数の接続部では、隣るコイル導体同士は連続していなくてもよい。たとえば、隣るコイル導体同士は、スルーホール導体によって電気的に接続されていてもよい。
素体に形成される窪みは、一つ以上の領域から構成されていればよい。第二領域は、素体の角部及び稜線部が面取りされている部分、及び、素体の角部及び稜線部が丸められている部分であってもよい。
本発明に係る積層コイル部品は、積層コイル部品1,1A,1B,1C,1Dのうちの2つ以上を組み合わせたものであってもよい。たとえば、コイル3,3A,3B,3Cのうち何れか一つと、一対の外部電極41,41C,41D,42,42D,42Dのうち何れか一つとを組み合わせてもよい。
【0069】
上述した実施形態及び変形例の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
主面と、当該主面と隣り合うと共に互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、
前記一対の側面が互いに対向している方向に並ぶと共に互いに電気的に接続されている複数のコイル導体を有し、前記素体の内部に配置されているコイルと、
前記主面に沿って延在するように前記主面に配置されている主面電極部を有し、前記コイルに電気的に接続されている一対の外部電極と、を備え、
前記コイルは、前記複数のコイル導体のうち隣るコイル導体同士が互いに電気的に接続されていると共に前記一対の側面が互いに対向している方向から見て当該隣るコイル導体同士が互いに重なり合っている複数の接続部を有し、
前記複数の接続部は、第一接続部と、前記第一接続部よりも前記主面電極部から離れている第二接続部と、を含み、
前記第二接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積は、前記第一接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積よりも大きい、積層コイル部品。
(付記2)
前記素体は、前記主面と対向する別の主面を有し、
前記主面は、第一領域と、前記第一領域より前記別の主面寄りに位置する第二領域とを有し、
前記主面電極部は、前記第二領域上に配置されている、付記1に記載の積層コイル部品。
(付記3)
前記素体は、前記一対の側面と前記主面とに互いに隣り合う一対の端面を有し、
前記一対の外部電極のそれぞれは、前記一対の端面のうち対応する端面に沿って延在するように前記対応する端面に配置されている端面電極部を有する、付記1又は2に記載の積層コイル部品。
(付記4)
前記端面電極部と前記コイルとの間を延在し、かつ、前記一対の端面電極部と前記コイルとを電気的に接続する導体を更に備える、付記3に記載の積層コイル部品。
(付記5)
前記素体の表面は、前記主面を除いて、前記一対の外部電極から露出している、付記1又は2に記載の積層コイル部品。
(付記6)
前記複数の接続部では、前記隣るコイル導体同士は連続している、付記1~5の何れか一項に記載の積層コイル部品。
(付記7)
前記複数の接続部は、
複数の前記第一接続部を含む第一グループと、
複数の前記第二接続部を含む第二グループと、を有し、
前記第二グループに含まれる複数の前記第二接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積の和は、前記第一グループに含まれる複数の前記第一接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積の和よりも大きい、付記1~6の何れか一項に記載の積層コイル部品。
(付記8)
前記複数の接続部は、
前記主面電極部及び前記端面電極部の少なくとも一方と隣り合うように位置する複数の前記第一接続部を含む第三グループと、
前記第一接続部を除く、複数の前記第二接続部を含む第四グループと、を有し、
前記第四グループに含まれる複数の前記第二接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積の和は、前記第三グループに含まれる複数の前記第一接続部での前記隣るコイル導体同士が重なり合う面積の和よりも大きい、付記3又は付記4に記載の積層コイル部品。
【符号の説明】
【0070】
1,1A,1B,1C,1D…積層コイル部品、2…素体、2a…主面、2aa,2ab,2ca,2cb…領域、2ac,2cc…段差、2b…側面、2c…端面、3,3A,3B,3C…コイル、3a,3b,3c,3d,3e,6a,6b,6c,6d,6e,7a,7b,7c,7d,7e,7f,7g,7h,8a,8b,8c,8d,8e,8f,8g…接続部、41,41C,41D,42,42C,42D…外部電極、41a,42a…主面電極部、51,52…接続導体、41b,42b…端面電極部、31,32,33,34,35,36,37,38,61,62,63,64,65,66,67,68,71,72,73,74,75,76,77,78,79,81,82,83,84,85,86,87,88…コイル導体、D1,D2,D3…方向。
図1
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図3
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図10