(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182320
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/10 20120101AFI20231219BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231219BHJP
【FI】
B60W50/10
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095853
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 祐之
(72)【発明者】
【氏名】小野 佐弥香
(72)【発明者】
【氏名】吉川 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】皆見 貴幸
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA29
3D241CD07
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DD11Z
(57)【要約】
【課題】適切なタイミングで車両の運転モードを切り替えることを可能とする車両用制御装置を提供する。
【解決手段】車両用制御装置は、車両の運転モードが自動運転モードであるときに、ユーザ操作による運転モードの第1切り替え入力またはユーザ音声による運転モードの第2切り替え入力を受け付ける受付部と、受付部が第1切り替え入力を受け付けたときに、車両の状況にかかわらず、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える切り替え部と、受付部が第2切り替え入力を受け付けたときに、車両の状況がモード維持条件を満たす場合には、運転モードを自動運転モードに維持し、車両の状況がモード維持条件を満たさない場合には、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えるモード制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転モードが自動運転モードであるときに、ユーザ操作による運転モードの第1切り替え入力またはユーザ音声による運転モードの第2切り替え入力を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記第1切り替え入力を受け付けたときに、前記車両の状況にかかわらず、前記運転モードを前記自動運転モードから手動運転モードに切り替える切り替え部と、
前記受付部が前記第2切り替え入力を受け付けたときに、前記車両の状況がモード維持条件を満たす場合には、前記運転モードを前記自動運転モードに維持し、前記車両の状況が前記モード維持条件を満たさない場合には、前記運転モードを前記自動運転モードから前記手動運転モードに切り替えるモード制御部と、を備える、
車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を自動運転する自動運転モードと、運転者が車両を手動運転する手動運転モードとを切り替える技術が知られている。たとえば特許文献1には、自動運転モードの解除指示が入力されたときに、アクセルおよびブレーキの手動操作量と自動運転に対応する操作量との差分が所定範囲にある場合に、運転モードを手動運転モードに切り替える技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者が車両の運転モードを切り替えようとしたタイミングと、車両のシステムが運転モードを切り替えるタイミングとの間にはタイムラグが生じる。このため、このタイムラグが生じる間に車両の状況に変化があると、車両の運転モードを切り替えない方が良い場合もある。特許文献1に記載の技術では、車両の状況によらず運転モードが切り替わるため、適切でないタイミングで運転モードが切り替わる可能性があった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、適切なタイミングで車両の運転モードを切り替えることを可能とする車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用制御装置は、車両の運転モードが自動運転モードであるときに、ユーザ操作による運転モードの第1切り替え入力またはユーザ音声による運転モードの第2切り替え入力を受け付ける受付部と、受付部が第1切り替え入力を受け付けたときに、車両の状況にかかわらず、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える切り替え部と、受付部が第2切り替え入力を受け付けたときに、車両の状況がモード維持条件を満たす場合には、運転モードを自動運転モードに維持し、車両の状況がモード維持条件を満たさない場合には、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えるモード制御部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、適切なタイミングで車両の運転モードを切り替えることを可能とする車両用制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両の機能ブロック図である。
【
図2】同実施形態に係る車両用制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両1の機能ブロック図である。本実施形態に係る車両1は、車両用制御装置10、カメラ12、ミリ波レーダ14、車速センサ16および制御対象装置20を有する。
【0012】
カメラ12は、車両1の周囲の画像を取得し、取得した画像を車両用制御装置10に伝達する。カメラ12は、たとえば、他の車両、歩行者、車道、車線、トンネルおよび天候(たとえば、雨など)に関わる画像などを取得してよい。
【0013】
ミリ波レーダ14は、たとえば30GHz~300GHzの周波数帯にあるレーダを用いて、車両1の周囲の物体の位置および速度を検知し、検知結果を車両用制御装置10に伝達する。ミリ波レーダ14は、たとえば、車両1と他の車両との間の距離を検知してよいし、車両1と他の車両との相対速度を検知してよい。
【0014】
車速センサ16は、車両1の速度を検出し、検出結果を車両用制御装置10に伝達する。
【0015】
車両用制御装置10は、制御対象装置20を制御する装置である。車両用制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Read Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などを備えてよい。
【0016】
本実施形態に係る車両用制御装置10は、車両1の運転モードに応じて制御対象装置20を制御する。具体的には、車両用制御装置10は、自動運転モードの場合には、運転者の操作(たとえば、ハンドル、アクセルペダルおよびブレーキペダルなどの操作)にかかわらず、制御対象装置20を制御して、車両1を自動運転する。なお、手動運転モードの場合には、車両1は、運転者によるハンドルおよびペダルを用いた操作によって運転される。本実施形態に係る車両用制御装置10は、入力部100、記憶部120および制御部140を備える。
【0017】
入力部100は、車両1の乗員による発話および操作などに応じて各種の入力を取得し、取得した入力を制御部140に伝達する。本実施形態に係る入力部100は、音声取得部102、音声認識部103および操作部104を有する。
【0018】
音声取得部102は、音声を取得する装置であり、各種の公知のマイクなどによって構成されてよい。音声取得部102は、たとえば車両1の運転モードの切り替えを命令する乗員の音声(ユーザ音声)を取得してよい。具体的には、音声取得部102は、運転モードを手動運転モードから自動運転モードに切り替えることを命令する音声を取得してよいし、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えることを命令する音声を取得してよい。音声取得部102は、取得した音声を信号に変換して、音声認識部103に伝達する。
【0019】
音声認識部103は、各種の公知の音声認識技術を用いて、音声に基づく信号を認識し、認識結果を制御部140に伝達できる。具体的には、音声認識部103は、音声取得部102から伝達された信号をたとえばテキストなどに変換し、運転モードを切り替える命令の内容を認識してよい。
【0020】
操作部104は、車両の乗員の操作(ユーザ操作)に応じた入力を取得する。本実施形態に係る操作部104は、運転モードを切り替えるためのボタン型のスイッチを有する。スイッチが操作されると、操作部104は、運転モードを切り替える命令を入力として制御部140に伝達してよい。
【0021】
記憶部120は、各種の情報を記憶し、その情報は必要に応じて制御部140によって参照される。記憶部120は、たとえばモード維持条件などを記憶してよい。後述するように、本実施形態では、音声によって運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える命令があったとき、このモード維持条件が満たされている場合には運転モードが自動運転モードに維持され、モード維持条件が満たされていない場合には運転モードが手動運転モードに切り替わる。
【0022】
モード維持条件は、たとえば、車両1が他の車両(車両1の先行車など)と接近していることであってよい。具体的には、モード維持条件は、車両1と他の車両との間の距離が所定距離以下であることであってよいし、あるいは、車両1が他の車両と接近していることに基づいて、車両1に設けられた接近警報器(図示しない。)が作動していることであってよい。
【0023】
また、モード維持条件は、車両1が車線から逸脱していることであってよい。あるいは、モード維持条件は、車両1が車線から逸脱していることに応じて、車両1に設けられた逸脱警報器(図示しない。)が作動していることであってよい。なお、車両1が車線から逸脱していることは、カメラ12の画像に基づいて検知されてよい。
【0024】
また、モード維持条件は、車両1の速度が所定の制限速度を超えていることであってよい。あるいは、モード維持条件は、車両1の速度が制限速度を超えていることに応じて、スピードリミッタが作動していることであってよい。ここで、スピードリミッタは、予め設定された制限速度を超える速度で車両1が走行しないように、制御対象装置20などを制御することである。スピードリミッタは、たとえば制御部140によって実施されてよい。また、モード維持条件は、車両1の速度が制限速度から所定の閾値を差し引いた値よりも大きいことであってよい。
【0025】
また、モード維持条件は、衝突予測時間(TTC)に基づく条件であってよく、たとえば衝突予測時間が所定時間以下であることなどであってよい。衝突予測時間は、仮に車両1と先行車との相対速度が一定に保たれたときに、車両1が先行車に衝突するまでの時間である。
【0026】
さらに、モード維持条件は、車両1の周囲の状況が所定時間以内に所定の状況になると予測されることであってよい。所定の状況は、たとえば、車両1がカーブを曲がることおよびトンネルに入ることなどであってよい。
【0027】
制御部140は、制御対象装置20を制御する。具体的には、制御部140は、車両1の運転モードが自動運転モードである場合に、制御対象装置20を制御する。制御部140は、受付部142、予測部144、判断部146、切り替え部148、モード制御部149および駆動制御部150を備える。
【0028】
受付部142は、運転モードを切り替えるための入力を受け付け、具体的には、運転モードを手動運転モードから自動運転モードに切り替えるための入力および運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えるための入力を受け付ける。本実施形態に係る受付部142は、車両の運転モードが自動運転モードであるときに、ユーザ操作による運転モードの第1切り替え入力またはユーザ音声による運転モードの第2切り替え入力を受け付ける。受付部142は、受け付けた第1切り替え入力を切り替え部148に伝達し、受け付けた第2切り替え入力をモード制御部149に伝達する。
【0029】
本実施形態では、受付部142は、操作部104のユーザ操作によって入力された、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える命令を、第1切り替え入力として受け付ける。また、本実施形態では、受付部142は、音声認識部103がユーザ音声に基づき認識した、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える命令を、第2切り替え入力として受け付ける。
【0030】
予測部144は、車両1の周囲の状況に関わる情報を予測し、予測結果を判断部146に伝達できる。本実施形態に係る予測部144は、カメラ12によって取得された画像、ミリ波レーダの検知結果および車速センサ16の検出結果に基づいて、車両1の周囲の状況を予測できる。
【0031】
たとえば、予測部144は、たとえば、カメラ12によって取得された画像および車速センサ16の検出結果に基づいて、数秒後に車両1がカーブを曲がること、あるいは車両1がトンネルに入ることを予測してよい。また、予測部144は、車速センサ16によって取得された車両1の車速、ミリ波レーダ14によって取得された先行車の速度および先行車までの距離などに基づいて、衝突予測時間を予測してよい。
【0032】
判断部146は、車両1の状況がモード維持条件を満たしているか否かを判断し、判断結果をモード制御部149に伝達できる。判断部146は、たとえば、カメラ12が取得した画像、ミリ波レーダ14が取得した物体の位置および速度、車速センサ16が取得した車両1の速度および予測部144による予測結果などに基づいて、モード維持条件が満たされているか否かを判断できる。
【0033】
判断部146は、予測部144の予測結果に基づいて、モード維持条件が満たされているか否かを判断してよい。たとえば、判断部146は、予測部144の予測結果がモード維持条件に合致する場合には、モード維持条件が満たされていると判断してよい。あるいは、判断部146は、予測部144によって予測された衝突予測時間が、モード維持条件において規定された所定時間以下である場合に、モード維持条件が満たされていると判断してよい。
【0034】
また、判断部146は、スピードリミッタが作動している場合、および車両1の速度が制限速度から所定の閾値を差し引いた値よりも大きい場合に、モード維持条件が満たされていると判断してよい。あるいは、判断部146は、たとえば接近警報器あるいは逸脱警報器が作動している場合に、モード維持条件が満たされていると判断してよい。
【0035】
切り替え部148は、受付部142が受け付けた入力に応じて、車両1の運転モードを切り替える。具体的には、切り替え部148は、受付部142が第1切り替え入力を受け付けたときに、車両1の状況にかかわらず、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える。なお、切り替え部148は、運転モードを手動運転モードから自動運転モードに切り替えることもできる。
【0036】
モード制御部149は、受付部142が第2切り替え入力を受け付けたときに、車両1の状況がモード維持条件を満たす場合には、運転モードを自動運転モードに維持し、車両1の状況がモード維持条件を満たさない場合には、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える。モード制御部149は、モード維持条件が満たされて運転モードを自動運転モードに維持した場合であっても、後でモード維持条件が満たされた場合には、そのときに運転モードを手動運転モードに切り替えてよい。
【0037】
駆動制御部150は、運転モードが自動運転モードである場合に、制御対象装置20を制御できる。本実施形態に係る駆動制御部150は、切り替え部148またはモード制御部149によって運転モードが自動運転モードから手動運転モードに切り替えられた場合には、制御対象装置20の制御を停止する。この場合、運転者によるハンドルなどの操作によって制御対象装置20が制御される。また、モード制御部149によって運転モードが自動運転モードに維持された場合には、駆動制御部150は、制御対象装置20の制御を継続できる。
【0038】
制御対象装置20は、車両用制御装置10および車両1の運転者の操作によって制御される装置である。本実施形態に係る制御対象装置20は、駆動力出力装置22、ブレーキ装置24およびステアリング装置26を有する。なお、駆動力出力装置22は、車両1の車輪を駆動するためのトルクを出力するモータを有してよい。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置10の動作例を示すフローチャートである。以下、
図2のフローチャートに沿って、車両用制御装置10の動作の流れを説明する。ここでは、運転モードが自動運転モードである状態において、
図2に示す動作が開始される。
【0040】
まず、受付部142は、切り替え入力を受け付けたか否かを判定する(S101)。受付部142が第1切り替え入力または第2切り替え入力を受け付けた場合には、受付部142は切り替え入力を受け付けたと判定し、S103に進む。一方、受付部142がいずれの切り替え入力も受け付けていない場合には、受付部142は切り替え入力を受け付けていないと判定し、
図2に示す動作は終了する。
【0041】
受付部142は、S101において切り替え入力を受け付けたと判定すると、受け付けた切り替え入力が第2切り替え入力であるか否かを判定する(S103)。受付部142が第2切り替え入力を受け付けている場合にはS105に進む。一方、受付部142が第1切り替え入力を受け付けている場合には、S103において受付部142が第2切り替え入力を受け付けていないと判定し、S111に進む。
【0042】
S103において受付部142が第2切り替え入力を受け付けていると判定すると、判断部146は、モード維持条件が満たされているか否かを判断する(S105)。たとえば、判断部146は、接近警報器が作動している場合には、モード維持条件が満たされていると判断してよい。S105においてモード維持条件が満たされていると判断されると、S107に進む。一方、S105においてモード維持条件が満たされていないと判断されると、S111に進む。
【0043】
S105においてモード維持条件が満たされていると判断されると、モード制御部149は、運転モードを自動運転モードに維持するように、駆動制御部150に指示する(S107)。駆動制御部150は、S107におけるモード制御部149による指示に応じて、自動運転モードを継続し(S109)、
図2に示す動作は終了する。なお、この後、自動運転モードが継続されているときにモード維持条件が満たされたと判断された場合には、モード制御部149は、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えるように、駆動制御部150に指示してよい。
【0044】
S103において第2切り替え入力が受け付けられていない(すなわち、第1切り替え入力が受け付けられた)と判定されると、切り替え部148は、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えるように、駆動制御部150に指示する(S111)。また、S105においてモード維持条件が満たされていないと判断されている場合には、モード制御部149が、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えるように、駆動制御部150に指示する。
【0045】
駆動制御部150は、S111における切り替え部148またはモード制御部149による指示に応じて、自動運転モードを停止し(S113)、
図2に示す動作は終了する。この後、車両1は、運転者による操作によって運転されるようになる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置10の構成および動作例を説明した。本実施形態に係る車両用制御装置10は、運転モードの第2切り替え入力が受け付けられた場合には、車両1の状況に応じて運転モードを切り替えることができる。たとえば車両1の状況が手動運転モードに合っている場合には、運転モードを手動運転モードに切り替えることができ、車両1の状況が手動運転モードに合っていない場合には、運転モードを自動運転モードに維持できる。さらに、第1切り替え入力が受け付けられた場合には、車両1の状況にかかわらず運転モードが手動運転モードに切り替わるため、必要に応じて運転者は、速やかに運転モードを手動運転モードに切り替えられる。このように、本実施形態に係る車両用制御装置10によれば、適切なタイミングで車両の運転モードを切り替えることが可能となる。
【0047】
音声によって運転モードを命令する場合には、発話による命令からシステム実行までに時間を要する。このため、運転者が命令を発し始めたタイミングと車両のシステムが自動運転モードを停止して手動運転モードに切り替える命令(以下、「制御停止命令」ともいう。)を受信したタイミングとでは、車両の状況が著しく異なる場合がある。したがって、制御停止命令があっても、自動運転モードを維持すべき場合がある。たとえば、自車両の周辺に他の車両が存在していると、自動運転モードから手動運転モードに運転モードを切り替えたときに運転者の手動運転に負荷を与える状況があり得る。したがって、車両のシステムが音声による制御停止命令を実行するか否かを適切に判断した方が良い場合がある。
【0048】
本実施形態に係る車両用制御装置10によれば、音声取得部102による運転モードの切り替えの命令があったとき、車両用制御装置10が周囲(あるいは車両1自身)の状況を判断し、状況が自動運転モードの停止に適していなければ、自動運転モードを一時的に継続させることで車両1の安全な運行を支援できる。このように、本実施形態に係る車両用制御装置10によれば、車両1の周囲の変化に適切に対応した運転が可能となる。
【0049】
また、本実施形態によれば、操作部104(たとえばスイッチ)の操作であれば、いかなる状況でも自動運転モードを停止できる。このため、運転中に運転者が自動運転モードを即時に停止させたいという要求も満足できる。
【0050】
[変形例]
上記実施形態では、スイッチの操作によって第1切り替え入力が行われ、音声によって第2切り替え入力が行われる例を説明した。以下の変形例では、主として、第1切り替え入力および第2切り替え入力の入力方法が上記実施形態とは異なる例を説明する。
【0051】
(第1変形例)
第1変形例では、第1切り替え入力および第2切り替え入力を1つのスイッチの操作によって実現する例を説明する。この場合、当該スイッチは、
図1に示した音声取得部102、音声認識部103および操作部104に代えて、入力部100を構成する要素として車両用制御装置に設けられてよい。
【0052】
この場合、スイッチを長押しした場合には、第1切り替え入力が受け付けられ、スイッチを短押しした場合には、第2切り替え入力が受け付けられてよい。これにより、スイッチを長押しした場合には、即時に自動運転モードが停止され、スイッチを短押しした場合には、車両用制御装置によって自動運転モードを停止するか否かが判断される。ただし、このようにスイッチを長押しすることで自動運転モードを停止する場合には、上記実施形態のように単にスイッチを押しただけで自動運転モードを停止する場合よりも、自動運転モードの停止に時間がかかる。
【0053】
また、1つのスイッチを用いた入力の方法は、これに限定されるものではない。スイッチを短押しした場合には、第1切り替え入力が受け付けられ、スイッチを長押しした場合には、第2切り替え入力が受け付けられてよい。また、スイッチを押した回数に基づいて、第1切り替え入力および第2切り替え入力が受け付けられてよい。たとえば、スイッチが1回押された場合には、第1切り替え入力が受け付けられ、スイッチが2回押された場合には、第2切り替え入力が受け付けられてよい。
【0054】
(第2変形例)
第2の変形例では、第1切り替え入力および第2切り替え入力を2つのスイッチ(第1のスイッチおよび第2のスイッチ)の操作によって実現する例を説明する。この場合、当該2つのスイッチは、
図1に示した音声取得部102、音声認識部103および操作部104に代えて、入力部100を構成する要素として車両用制御装置に設けられてよい。
【0055】
この場合、第1のスイッチが押下された場合には、第1切り替え入力が受け付けられ、第2のスイッチが押下された場合には、第2切り替え入力が受け付けられてよい。これにより、第1のスイッチが押下された場合には、自動運転モードが即時に停止され、第2のスイッチが押下された場合には、車両用制御装置によって自動運転モードを停止するか否かが判断される。
【0056】
(第3変形例)
第3の変形例では、タッチパネルなどを用いてスイッチのモードを予め設定して、1つのスイッチの操作によって、スイッチに応じた入力(第1切り替え入力および第2切り替え入力)を実現する例を説明する。この場合、当該1つのスイッチおよびタッチパネルは、
図1に示した音声取得部102、音声認識部103および操作部104に代えて、入力部100を構成する要素として車両用制御装置に設けられてよい。
【0057】
第3変形例では、運転者は、タッチパネルを操作して、カーナビゲーションの画面をタッチパネルに表示させることができる。このとき、画面には、「制御停止時の動作」という項目が表示され、この項目を操作することにより、スイッチを制御中止モードに設定できる。スイッチが制御中止モードになると、車両用制御装置による車両の状況に応じた自動運転モードの停止の判断を中止できる。
【0058】
具体的には、スイッチが制御中止モードであるときに、スイッチが押下されると、第1切り替え入力が受け付けられてよい。これにより、自動運転モードが即時に停止される。また、スイッチが制御中止モード以外のモード(たとえば制御実施モード)になっている場合には、スイッチが押下されると、第2切り替え入力が受け付けられてよい。これにより、車両用制御装置によって自動運転モードを停止するか否かが判断される。
【0059】
[補足]
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0060】
1 車両、10 車両用制御装置、12 カメラ、14 ミリ波レーダ、16 車速センサ、20 制御対象装置、100 入力部、102 音声取得部、103 音声認識部、104 操作部、120 記憶部、140 制御部、142 受付部、144 予測部、146 判断部、148 切り替え部、150 駆動制御部。