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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182321
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】受信方法及び受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20231219BHJP
   H04H 60/82 20080101ALI20231219BHJP
   H04H 60/11 20080101ALI20231219BHJP
【FI】
H04B1/16 A
H04H60/82
H04H60/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095855
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼橋 直也
【テーマコード(参考)】
5K061
【Fターム(参考)】
5K061AA11
5K061AA13
5K061BB06
5K061CD04
5K061EF06
5K061FF16
(57)【要約】
【課題】Air放送からIP放送への切り替えを短時間で行うこと。
【解決手段】実施形態に係る受信方法は、IP放送のストリームデータを受信するよう制御部が受信制御する受信方法である。制御部は、ストリームデータを取得するためのURLへアクセスしたときにリダイレクトが発生した場合、リダイレクト先のURLへアクセスした後、ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを起動する。制御部は、タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、取得したストリームデータを基に音声を出力させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP放送のストリームデータを受信するよう制御部が受信制御する受信方法であって、
前記制御部が、前記ストリームデータを取得するためのURLへアクセスしたときにリダイレクトが発生した場合、リダイレクト先のURLへアクセスした後、前記ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを起動し、
前記タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、取得した前記ストリームデータを基に音声を出力させる
受信方法。
【請求項2】
受信したラジオ放送の信号強度が予め設定された閾値未満となった場合
IP放送のストリームデータを取得するための第1のURLへアクセスするとともにタイマを起動し、
前記第1のURLから第2のURLへのリダイレクトが発生した場合、前記第2のURLへアクセスした後、ストリームデータの取得を開始したタイミングで前記タイマを再起動し、
前記タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、前記第2のURLへアクセスして取得したストリームデータを基に音声を出力させる
請求項1に記載の受信方法。
【請求項3】
前記タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、取得したストリームデータのバッファ量が閾値以上であれば音声を出力させ、前記バッファ量が閾値未満であれば音声を出力させることなく、さらにストリームデータを取得する
請求項1に記載の受信方法。
【請求項4】
IP放送のストリームデータを取得するための第3のURLへアクセスするとともにタイマを起動し、
前記第3のURLからのストリームデータの取得に失敗したと判定した場合、第4のURLへアクセスし、前記タイマを再起動することなくストリームデータの取得を開始し、
前記タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、前記第4のURLへアクセスして取得したストリームデータを基に音声を出力させる
請求項1に記載の受信方法。
【請求項5】
車両に備えられた受信装置であって、
音声の出力を制御する制御部と、
音声を出力するスピーカと、
ストリームデータを格納する記憶部と、
を有し、
前記制御部は、
前記ストリームデータを取得するためのURLへアクセスしたときにリダイレクトが発生した場合、リダイレクト先のURLへアクセスした後、前記ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを起動し、
前記タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、取得した前記ストリームデータを基に音声を出力させる
受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信方法及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においてラジオ放送を再生するための機能であって、Air放送とIP放送を切り替えることが可能なハイブリッドラジオと呼ばれる機能が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
例えば、ハイブリッドラジオは、Air放送の受信品質が悪くなった際に、IP放送への切り替えを行う。
【0004】
Air放送は、ラジオ放送局から送信される電波を基に、コンテンツの音声を再生する形態のラジオ放送である。Air放送は、AMラジオ、FMラジオ、DAB(Digital Audio Broadcast)ラジオ、HDラジオ等を含む。
【0005】
一方、IP放送は、IP通信によりサーバから提供されるデータを基に、コンテンツの音声を再生する形態のラジオ放送である。例えば、IP放送は、ストリーミングにより再生される。
【0006】
ハイブリッドラジオによれば、車両に搭乗しているリスナは、所望するコンテンツを継続して聴くことができる。なお、この場合、Air放送とIP放送で同じコンテンツが同時に提供されているものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-82399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術では、Air放送からIP放送への切り替えに長い時間を要する場合があるという問題がある。
【0009】
ハイブリッドラジオは、Air放送からIP放送への切り替えを行う際に、IP放送のストリーム再生に必要なデータを取得するためのURLへアクセスする。
【0010】
その際、ハイブリッドラジオは、URLにアクセスした時点で時間の計測を開始(タイマ起動)し、一定時間が経過(タイムアウト)した時にストリームのバッファ量が十分に溜まっていればIP放送を開始する。
【0011】
また、ハイブリッドラジオがURLへアクセスした際にリダイレクトが発生し、別のURLへの転送が行われる場合がある。例えば、IP放送のURLは適宜別のものに更新される場合がある。そのため、ハイブリッドラジオが更新前の古いURLにアクセスした際にリダイレクトが発生し、更新後の新しいURLへの自動転送が行われる。
【0012】
リダイレクトが発生した場合、前述の時間の計測においてはリダイレクトに要した時間が考慮されないため、タイムアウトの時点でバッファ量が十分に溜まっていないことがある。その場合、さらにタイマ起動が行われ、IP放送の開始までに長い時間を要すことになる。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、Air放送からIP放送への切り替えを短時間で行うことができる受信方法及び受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る受信方法は、IP放送のストリームデータを受信するよう制御部が受信制御する受信方法である。制御部は、ストリームデータを取得するためのURLへアクセスしたときにリダイレクトが発生した場合、リダイレクト先のURLへアクセスした後、ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを起動する。制御部は、タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、取得したストリームデータを基に音声を出力させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、Air放送からIP放送への切り替えを短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る受信システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る受信装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る受信方法の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、従来の放送の切り替えを説明するタイムチャートである。
図5図5は、実施形態に係る放送の切り替えを説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する受信方法及び受信装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
まず、図1を用いて、実施形態に係る受信装置を含む受信システムについて説明する。図1は、実施形態に係る受信システムの構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、受信システム1は、車両Vに備えられた受信装置10、ネットワークNに配置されたサーバ20a、サーバ20b及び放送局Bを有する。
【0020】
受信装置10は、受信したAir放送及びIP放送の信号を受信し、当該信号に基づきラジオ放送(音声コンテンツ)を出力する。例えば、受信装置10は、車両Vに備えられたスピーカに音声を出力させる。
【0021】
なお、受信装置10は、車両Vに備えられたカーナビゲーションシステムの機能の一部として実現されてもよい。
【0022】
ネットワークNは、例えばインターネットである。受信装置10は、IPプロトコルに従ってネットワークNに接続された装置との間でデータの通信を行うことができる。
【0023】
サーバ20a及びサーバ20bは、IP放送を提供するためのサーバである。サーバ20a及びサーバ20bは、IP放送をストリームにより再生するためのデータ(以降、ストリームデータ)を、ネットワークNを介して送信する。
【0024】
受信装置10は、指定されたURLにアクセスすることにより、サーバ20a及びサーバ20bにストリームデータの送信を要求する。
【0025】
放送局Bは、Air放送を再生するための電波を出力する。なお、サーバ20a及びサーバ20bの少なくともいずれかは、放送局BによるAir放送に同期して、当該Air放送と同じコンテンツを提供するためのストリームデータを送信できるものとする。
【0026】
図2を用いて、受信装置10の構成とともに、実施形態の受信方法について説明する。図2は、実施形態に係る受信装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0027】
図2に示すように、受信装置10は、Air放送受信部11、IP放送受信部12、音声出力部13、記憶部14及び制御部15を有する。
【0028】
なお、ここでは受信装置10が制御部15を有する構成としたが、このような構成に限られない。例えば、制御部15に相当する機能を実行する装置を、受信装置10とは別の外部の装置に設けてもよい。その際、受信装置10は、制御部15を有する外部装置と通信をしながら本実施形態と同様の動作を実現する。
【0029】
Air放送受信部11は、放送局Bによって出力されるAir放送の電波を受信し、出力可能な形式の音声データを出力する。
【0030】
Air放送受信部11は、電波を受信するアンテナ、電波から信号を抽出し増幅するRF/IF機能、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換機能、ノイズ除去機能等を有する。なお、Air放送の信号は、アナログ信号に限られず、デジタル信号であってもよい。
【0031】
IP放送受信部12は、IP通信を行う。例えば、IP放送受信部12は、NIC(Network Interface Card)である。IP放送受信部12は、Wi-Fi(登録商標)、4G(LTE:Long Term Evolution)といった規格に従ってネットワークNとの間でIP通信を行う。
【0032】
音声出力部13は、スピーカである。音声出力部13は、入力された信号に応じて音声を出力する。
【0033】
受信装置10の制御部15及び記憶部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0034】
記憶部14は、RAMやフラッシュメモリに対応する。記憶部14は、放送局情報記憶領域141及びバッファ領域142を有する。
【0035】
放送局情報記憶領域141は、Air放送を行う放送局ごとの周波数と、対応するIP放送のURLとを対応付けた情報が格納される記憶領域である。バッファ領域142は、ストリームデータが格納される記憶領域である。
【0036】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部15の出力制御部151、判定部152及び時間計測部153として機能する。
【0037】
なお、受信装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0038】
出力制御部151は、Air放送及びIP放送の出力を制御する。また、出力制御部151は、Air放送からIP放送への切り替えを制御する。
【0039】
Air放送受信部11及びIP放送受信部12は、音声を出力するための信号を出力制御部151に受け渡す。また、音声出力部13は、出力制御部151の制御に応じて音声を出力する。
【0040】
判定部152は、Air放送の受信品質を判定する。例えば、判定部152は、Air放送受信部11によって受信されるAir放送の信号強度に応じて、受信品質を「○:良好」、「△:品質低下」、「×:再生不可」のように3段階で判定する。
【0041】
なお、受信品質の評価方法は、上記のような3段階の判定によるものに限られない。例えば、受信品質は、受信した電波の強度及びS/N比等の連続値であってもよい。
【0042】
また、判定部152は、連続値であらわされた受信品質とあらかじめ設定された閾値とを比較することにより、離散値の受信品質(例えば、上記の3段階の受信品質)を導出してもよい。例えば、判定部152は、電波の強度が第1の閾値未満である場合、「×:再生不可」と判定し、電波の強度が第1の閾値以上第2の閾値未満である場合、「△:品質低下」と判定し、電波の強度が第2の閾値以上である場合、「〇:良好」と判定することができる。ただし、第2の閾値は第1の閾値より大きいものとする。
【0043】
時間計測部153は、起動された時点から時間の計測を開始する。時間計測部153は、出力制御部151によって起動される。また、時間計測部153は、あらかじめ定められた時間が経過した場合、そのことを出力制御部151に通知する。
【0044】
また、時間計測部153に時間の計測を開始させる処理をタイマの起動と呼ぶ。また、時間計測部153に時間の計測を中止させ、時間の計測を始めから開始させる処理をタイマの再起動と呼ぶ。
【0045】
また、時間計測部153による時間の計測が開始された後、あらかじめ定められた時間が経過することをタイムアウトと呼ぶ。
【0046】
従来の受信装置は、タイムアウトのタイミングで十分な量のストリームデータがバッファ領域に格納されていればIP放送を開始することができる。
【0047】
一方で、従来の受信装置は、タイムアウトのタイミングで十分な量のストリームデータがバッファ領域に格納されていなければIP放送を開始することができず、タイマを再起動する。
【0048】
そのため、従来の受信装置では、リダイレクトが発生した場合、タイムアウトの時点で十分な量のストリームデータがバッファ領域に格納されていない可能性が高くなり、タイマの再起動によりIP放送開始までの時間が遅くなる。
【0049】
このような問題を解決するため、実施形態では以下のような処理が行われる。
【0050】
出力制御部151は、ストリームデータを取得するためのURLへアクセスしたときにリダイレクトが発生した場合、リダイレクト先のURLへアクセスした後、ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを起動する。
【0051】
そして、出力制御部151は、制御部は、タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過(タイムアウト)した場合、取得したストリームデータを基に音声を出力させる。
【0052】
このように、出力制御部151は、リダイレクト先からストリームデータを取得するタイミングでタイマを起動(再起動でも可)するため、IP放送開始までの時間が遅くなることを抑止できる。
【0053】
なお、Air放送の電波の受信品質の悪化は、車両Vが放送局Bから離れた場合、車両Vがトンネル内又は屋内の駐車場に進入した場合等に発生し得る。
【0054】
図3を用いて、受信装置10による処理の詳細を説明する。図3は、実施形態に係る受信方法の手順を示すフローチャートである。なお、フローチャートに示す各ステップは、主に受信装置10の出力制御部151によって実行される。
【0055】
出力制御部151は、判定部152及び時間計測部153を制御し、また、判定部152及び時間計測部153による処理結果を取得しながら処理を進める。
【0056】
図3に示すように、まず、出力制御部151は、放送局情報記憶領域141を参照し、Air放送のための選局を行う(ステップS101)。出力制御部151は、リスナの操作に応じて選局を行ってもよいし、自動的に選局を行ってもよい。
【0057】
そして、出力制御部151は、選局した放送局からのAir放送の再生(音声の出力)を開始する(ステップS102)。
【0058】
このとき、出力制御部151は、判定部152からAir放送の受信品質の通知を受信する(ステップS103)。
【0059】
ここで、出力制御部151は、通知に基づき受信品質が良好であるか否かを確認する(ステップS104)。例えば、出力制御部151は、通知された受信品質が「○:良好」である場合、受信品質が良好であると判断し、通知された受信品質が「△:品質低下」又は「×:再生不可」である場合、受信品質が良好でないと判断する。
【0060】
出力制御部151は、受信品質が良好であると判断した場合(ステップS104、Yes)、ステップS103に戻り、引き続きAir放送を再生しつつ受信品質の通知を受け取る。
【0061】
一方、出力制御部151は、受信品質が良好でないと判断した場合(ステップS104、No)、IP放送への切り替えを行う。まず、出力制御部151は、時間計測部153を制御し、タイマを起動する(ステップS105)。
【0062】
続いて、出力制御部151は、IP放送のストリームURLへアクセスする(ステップS106)。ここで、URLがリダイレクトされなかった場合(ステップS107、No)、出力制御部151は、アクセスしたストリームURLから取得したストリームデータをバッファ領域142に格納しつつタイムアウトまで待機する(ステップS109)。
【0063】
一方、URLがリダイレクトされた場合(ステップS107、Yes)、出力制御部151は、リダイレクトされたURLにアクセスし、ストリームデータの取得を開始するとともに、タイマを再起動する(ステップS108)。
【0064】
出力制御部151は、リダイレクトされたURLにアクセスしたタイミングではなく、ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを再起動する。
【0065】
なお、具体的には、出力制御部151は、プログラミングにおいて、1バイト以上のデータを取得した場合に、ストリームデータの取得を開始したと判断し、タイマを再起動するように実装される。このとき、出力制御部151は、受信したデータが0バイトの場合、ストリームデータの取得を開始したと判断しない。
【0066】
出力制御部151は、タイマの再起動後、リダイレクト先のURLから取得したストリームデータをバッファ領域142に格納しつつタイムアウトまで待機する(ステップS109)。
【0067】
ここで、出力制御部151がURLにアクセスすると、HTTPステータスコードを受け取る。出力制御部151は、HTTPステータスコードが300番台(例えば、301又は302)である場合、リダイレクトされたと判断し、リダイレクト先のURLにアクセスする。
【0068】
出力制御部151がURLにアクセスし、HTTPステータスコードを受け取るまでには一定の時間を要する。従来の技術であれば、リダイレクトの後にタイマの再起動が行われないため、HTTPステータスコードを受け取るまでの時間によって、タイムアウトまでの時間が無駄に消費されることになる。
【0069】
なお、出力制御部151は、URLへのアクセス後に、制限時間(例えば2、3秒程度)が経過するまでにストリームデータの取得ができなかった場合にリダイレクトが発生していると判断してもよい。
【0070】
タイムアウトが発生すると(ステップS110)、出力制御部151は、バッファ領域142のストリームデータのバッファ量が閾値以上であるか否かを確認する(ステップS111)。
【0071】
具体的には、出力制御部151は、プログラミングにおいて、記憶容量(バッファ量に相当)が閾値以上のバイト数であるか否かを確認するように実装される。
【0072】
バッファ量が閾値以上である場合(ステップS111、Yes)、出力制御部151は、バッファ領域142に格納されたストリームデータを用いて、IP放送に切り替えて再生を開始する(ステップS112)。
【0073】
一方、バッファ量が閾値未満である場合(ステップS111、No)、出力制御部151は、ステップS108に戻り、ストリームデータの取得を開始するとともに、タイマを再起動する。
【0074】
このように、受信装置10は、IP放送のストリームデータを取得するための第1のURL(ステップS106のストリームURL)へアクセスするとともにタイマを起動する。
【0075】
そして、受信装置10は、第1のURLから第2のURLへのリダイレクトが発生した場合、第2のURLへアクセスした後、ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを再起動する(ステップS108)。
【0076】
さらに、受信装置10は、タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合(タイムアウト)、第2のURLへアクセスして取得したストリームデータを基に音声を出力させる。
【0077】
このように、受信装置10は、リダイレクト時のタイマの再起動によりIP放送への切り替えの時間を短縮している。
【0078】
また、受信装置10は、タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、取得したストリームデータのバッファ量が閾値以上であれば音声を出力させ、バッファ量が閾値未満であれば音声を出力させることなく、さらにストリームデータを取得する。
【0079】
このように、タイムアウトまでに十分なバッファ量が蓄積されなかった場合、さらにタイマが起動するため、IP放送開始までの時間が増加する。受信装置10は、そのようなケースの発生を抑止することができる。
【0080】
一方で、通信環境が悪くURL先と接続ができない場合がある。その場合は、タイムアウトの際に、複数のURL接続先がある放送局については、受信装置10は、URLを切り替え、再接続する。
【0081】
具体的には、受信装置10は、IP放送のストリームデータを取得するための第3のURLへアクセスするとともにタイマを起動する。
【0082】
第3のURLからのストリームデータの取得に失敗したと判定した場合、第4のURLへアクセスし、タイマを再起動することなくストリームデータの取得を開始する。
【0083】
そして、受信装置10は、タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、第4のURLへアクセスして取得したストリームデータを基に音声を出力させる。
【0084】
例えば、第3のURLは放送局の既定のURLである。また、第4のURLは、第3のURLからのストリームデータの取得に失敗した場合に利用されるミラーのURLである。例えば、サーバの障害、通信環境の悪化等により第3のURLからのストリームデータの取得が失敗する場合がある。
【0085】
リダイレクトが発生したか否かにかかわらず、単純にストリームが開始されたタイミングでタイマを再起動させる方法も考えられる。一方で、そのような方法では、例えば第3のURLでも第4のURLでもリダイレクトが発生し、そのたびにタイマが再起動され、十分なバッファ量がなかなか得られずにIP放送に切り替えられないという事態が発生し得る。
【0086】
そのため、受信装置10では、リダイレクトの場合とストリームデータの取得に失敗した場合とでは異なる処理が行われるため、ストリームデータの取得に失敗した場合に、十分なバッファ量を得るための時間を確保することができる。
【0087】
図4及び図5に示すタイムチャートを用いて、従来の技術と実施形態との放送の切り替えまでに要する時間の違いを説明する。図4は、従来の放送の切り替えを説明するタイムチャートである。また、図5は、実施形態に係る放送の切り替えを説明するタイムチャートである。図4及び図5では、タイムアウトまでの時間をT1とする。
【0088】
(従来の受信装置)
図4に示すように、従来の受信装置は、Air放送の受信品質が悪化した時点でURL接続を行うとともに、タイマを起動する。
【0089】
続いて、従来の受信装置は、タイマが作動中(時間計測中)に、Air放送を再生しつつIP放送準備を行う。
【0090】
そして、従来の受信装置は、リダイレクトが発生した後、時間T1が経過した時点ではストリームデータのバッファリング中であるため、タイマを再起動する。
【0091】
さらに、従来の受信装置は、タイマの再起動後、時間T1が経過した時点で再生準備が完了しているため、IP放送の再生を開始する。図4の例では、リダイレクトが発生してからIP放送が開始されるまでに要する時間は2×T1である。
【0092】
(実施形態の受信装置)
図5に示すように、実施形態の受信装置10は、Air放送の受信品質が悪化した時点でURL接続を行うとともに、タイマを起動する。
【0093】
続いて、受信装置10は、タイマが作動中(時間計測中)に、Air放送を再生しつつIP放送準備を行う。
【0094】
そして、受信装置10は、リダイレクトが発生し、リダイレクトからストリームデータの取得を開始したタイミングで、タイマを再起動する。初回のタイマの起動から、タイマの再起動までの時間をT1´とする。ただし、T1´<T1である。
【0095】
受信装置10は、タイマの再起動後、時間T1が経過した時点で再生準備が完了しているため、IP放送の再生を開始する。図5の例では、従来の受信装置においては、リダイレクトが発生してからIP放送が開始されるまでに要する時間はT1´+T1である。
【0096】
T1´+T1<2×T1であるため、実施形態の受信装置10によれば、従来の受信装置と比べてIP放送が再生されるまでの時間が短縮されるということができる。
【0097】
例えば、T1=15秒、T1´=4秒である場合、IP放送が再生されるまでの時間は、図4の例では30秒であり、図5の例では19秒である。この場合、実施形態により11秒の時間が短縮されたことになる。
【0098】
上述してきたように、実施形態に係る受信装置10は、IP放送のストリームデータを取得するためのURLへアクセスする。受信装置10は、URLへアクセスしたときにリダイレクトが発生した場合、リダイレクト先のURLへアクセスした後、ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを起動する。受信装置10は、タイマの起動後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、取得したストリームデータを基に音声を出力させる。
【0099】
このように、リダイレクトが発生した後、ストリームデータの取得を開始したタイミングでタイマを起動することにより、Air放送からIP放送への切り替えを短時間で行うことができる。
【0100】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0101】
B 放送局
N ネットワーク
V 車両
1 受信システム
10 受信装置
11 Air放送受信部
12 IP放送受信部
13 音声出力部
14 記憶部
15 制御部
20a、20b サーバ
141 放送局情報記憶領域
142 バッファ領域
151 出力制御部
152 判定部
153 時間計測部
図1
図2
図3
図4
図5