(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182335
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/02 20060101AFI20231219BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20231219BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65H5/02 F
B41J11/02
B65H5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095873
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 知明
(72)【発明者】
【氏名】小高 俊和
【テーマコード(参考)】
2C058
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
2C058AB06
2C058AB12
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF27
2C058AF31
2C058AF59
2C058DA13
2C058DA25
3F049AA03
3F049DB02
3F049LA01
3F049LB03
3F101AB05
3F101AB19
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】搬送ベルトを交換する為に、ユニットであるベルト搬送部をフレームから取り外す構成では作業性が悪い。
【解決手段】媒体搬送装置は、ベルトユニットと、ベルトユニットを回転可能に支持する第1支持部及び第2支持部とを備え、第1支持部は、第1フレームと、第1フレームに対して着脱可能なフレームであってベルトユニットを回転可能に支持する第2フレームとを備え、幅方向において搬送ベルトの中心から第1支持部に向かう方向を外方向として、第2フレームは、第1フレームに対して外方向に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を吸着して搬送する搬送ベルトを備えたユニットであって媒体搬送方向と交差する方向である幅方向の両側で回転可能に支持されるベルトユニットと、
前記幅方向において前記ベルトユニットの一方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第1支持部と、
前記幅方向において前記ベルトユニットの他方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2支持部と、を備え、
前記第1支持部は、第1フレームと、前記第1フレームに対して着脱可能なフレームであって前記前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2フレームとを備え、
前記ベルトユニットの回転軸方向から見て、前記第2フレームは前記搬送ベルトの一部と重なっており、
前記幅方向において前記搬送ベルトの中心から前記第1支持部に向かう方向を外方向として、前記第2フレームは、前記第1フレームに対して前記外方向に位置する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、前記ベルトユニットに対して前記幅方向の前記第1支持部側に設けられる第1リンク機構と、
前記ベルトユニットに対して前記幅方向の前記第2支持部側に設けられる第2リンク機構と、
前記第1リンク機構と前記第2リンク機構に動力を伝達する伝達軸と、を備え、
前記伝達軸の回転が前記第1リンク機構と前記第2リンク機構を介して前記ベルトユニットの回転に変換される構成を有し、
前記第1リンク機構と前記ベルトユニットとの接続を解除した状態において、前記ベルトユニットの姿勢が前記第2リンク機構によって維持される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体搬送装置において、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトが掛け回される第1ローラーと、
前記搬送ベルトが掛け回される第2ローラーと、
前記第1ローラーと係わり合う第1部材と、
前記第2ローラーと係わり合う部材であって、前記第1ローラーと前記第2ローラーとの軸間距離が変化する方向に前記第1部材に対して変位可能な第2部材と、
前記軸間距離が長くなる方向に前記第2部材を押圧する押圧部材と、
前記押圧部材の押圧力を受ける部材であって前記第2部材の変位方向に変位可能な第3部材と、
着脱可能な部材であって前記第3部材の前記変位方向の位置を固定する第4部材と、を備え、
前記第4部材を取り外すことにより、前記押圧部材により前記第2部材を押圧する押圧力が弱まる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体搬送装置において、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトに接触することで前記搬送ベルトを清掃する清掃ユニットを着脱可能に備え、
前記第4部材は、前記清掃ユニットに対して一体に設けられる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体搬送装置において、前記第3部材及び前記第4部材の少なくとも一方に、前記第4部材の装着に伴って前記第3部材が前記第2部材に進出する方向に前記第3部材を案内する案内面が設けられる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項3に記載の媒体搬送装置において、前記第2支持部には、前記第1ローラーを駆動する駆動源が設けられる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
媒体を吸着して搬送する搬送ベルトを備えたユニットであって媒体搬送方向と交差する方向である幅方向の両側で回転可能に支持されるベルトユニットと、
前記幅方向において前記ベルトユニットの一方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第1支持部と、
前記幅方向において前記ベルトユニットの他方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2支持部と、を備え、
前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトが掛け回される第1ローラーと、
前記搬送ベルトが掛け回される第2ローラーと、
前記第1ローラーと係わり合う第1部材と、
前記第2ローラーと係わり合う部材であって、前記第1ローラーと前記第2ローラーとの軸間距離が変化する方向に前記第1部材に対して変位可能な第2部材と、
前記軸間距離が長くなる方向に前記第2部材を押圧する押圧部材と、
前記押圧部材の押圧力を受ける部材であって前記第2部材の変位方向に変位可能な第3部材と、
着脱可能な部材であって前記第3部材の前記変位方向の位置を固定する第4部材と、を備え、
前記第4部材を取り外すことにより、前記押圧部材により前記第2部材を押圧する押圧力が弱まる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の媒体搬送装置において、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトに接触することで前記搬送ベルトを清掃する清掃ユニットを着脱可能に備え、
前記第4部材は、前記清掃ユニットに対して一体に設けられる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項9】
媒体に記録を行う記録部と、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の媒体搬送装置と、
を備えた記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置、および媒体搬送装置を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターに代表される記録装置において、搬送ベルトを用いて記録用紙に代表される媒体を搬送する構成が採用される場合がある。特許文献1に記載の記録装置では、搬送ベルトを含むユニットであるベルト搬送部が、回転することにより、記録を行う際の第1状態と、記録ヘッドから離れた第2状態とを切り換え可能に設けられている。ベルト搬送部はフレームに対し回転可能に設けられているとともに、モーターによって動作するリンク機構によって回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送ベルトは他の部材に比べて寿命が短く、交換の必要性が高い。特許文献1の
図7に示される様に、従来は搬送ベルトを交換する為にはユニットであるベルト搬送部をフレームから取り外す必要があった。また搬送ベルトを交換する為には搬送ベルトに対するテンション付与を解除する必要があった。以上のことから、搬送ベルトをより簡易に交換できることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の媒体搬送装置は、媒体を吸着して搬送する搬送ベルトを備えたユニットであって媒体搬送方向と交差する方向である幅方向の両側で回転可能に支持されるベルトユニットと、前記幅方向において前記ベルトユニットの一方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第1支持部と、前記幅方向において前記ベルトユニットの他方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2支持部と、を備え、前記第1支持部は、第1フレームと、前記第1フレームに対して着脱可能なフレームであって前記前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2フレームとを備え、前記ベルトユニットの回転軸方向から見て、前記第2フレームは前記搬送ベルトの一部と重なっており、前記幅方向において前記搬送ベルトの中心から前記第1支持部に向かう方向を外方向として、前記第2フレームは、前記第1フレームに対して前記外方向に位置することを特徴とする。
【0006】
また本発明の媒体搬送装置は、媒体を吸着して搬送する搬送ベルトを備えたユニットであって媒体搬送方向と交差する方向である幅方向の両側で回転可能に支持されるベルトユニットと、前記幅方向において前記ベルトユニットの一方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第1支持部と、前記幅方向において前記ベルトユニットの他方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2支持部と、を備え、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトが掛け回される第1ローラーと、前記搬送ベルトが掛け回される第2ローラーと、前記第1ローラーと係わり合う第1部材と、前記第2ローラーと係わり合う部材であって、前記第1ローラーと前記第2ローラーとの軸間距離が変化する方向に前記第1部材に対して変位可能な第2部材と、前記軸間距離が長くなる方向に前記第2部材を押圧する押圧部材と、前記押圧部材の押圧力を受ける部材であって前記第2部材の変位方向に変位可能な第3部材と、着脱可能な部材であって前記第3部材の前記変位方向の位置を固定する第4部材と、を備え、前記第4部材を取り外すことにより、前記押圧部材により前記第2部材を押圧する押圧力が弱まることを特徴とする。
また本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、上記いずれかの媒体搬送装置とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プリンターにおける媒体搬送経路の全体を示す図。
【
図2】搬送ユニットの斜視図であってベルトユニットが第2姿勢の状態の図。
【
図3】搬送ユニットの斜視図であってベルトユニットが第1姿勢の状態の図。
【
図4】搬送ユニットの斜視図であってベルトユニットが第2姿勢の状態の図。
【
図5】(A)はベルトユニットが第2姿勢の状態の搬送ユニットの側面図、(B)はベルトユニットが第1姿勢の状態の搬送ユニットの側面図、
【
図10】第2フレームを取り除いた状態の第1支持部の斜視図。
【
図12】搬送ベルトを取り外した状態の搬送ユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体搬送装置は、媒体を吸着して搬送する搬送ベルトを備えたユニットであって媒体搬送方向と交差する方向である幅方向の両側で回転可能に支持されるベルトユニットと、前記幅方向において前記ベルトユニットの一方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第1支持部と、前記幅方向において前記ベルトユニットの他方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2支持部と、を備え、前記第1支持部は、第1フレームと、前記第1フレームに対して着脱可能なフレームであって前記前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2フレームとを備え、前記ベルトユニットの回転軸方向から見て、前記第2フレームは前記搬送ベルトの一部と重なっており、前記幅方向において前記搬送ベルトの中心から前記第1支持部に向かう方向を外方向として、前記第2フレームは、前記第1フレームに対して前記外方向に位置することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記第1支持部が、第1フレームと、前記第1フレームに対して着脱可能なフレームであって前記前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2フレームとを備え、前記第2フレームは、前記第1フレームに対して前記外方向に位置することから、前記第2フレームを取り外すことによって前記幅方向における前記搬送ベルトの一端側を露呈させることができる。これにより、前記ベルトユニットが前記第2支持部によって支持された状態のまま前記搬送ベルトを取り外すことができ、即ち前記ベルトユニットを前記第1支持部と前記第2支持部の双方から取り外すことなく前記搬送ベルトを取り外すことができる為、前記搬送ベルトをより簡易に交換することができる。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記ベルトユニットに対して前記幅方向の前記第1支持部側に設けられる第1リンク機構と、前記ベルトユニットに対して前記幅方向の前記第2支持部側に設けられる第2リンク機構と、前記第1リンク機構と前記第2リンク機構に動力を伝達する伝達軸と、を備え、前記伝達軸の回転が前記第1リンク機構と前記第2リンク機構を介して前記ベルトユニットの回転に変換される構成を有し、前記第1リンク機構と前記ベルトユニットとの接続を解除した状態において、前記ベルトユニットの姿勢が前記第2リンク機構によって維持されることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記第1リンク機構と前記ベルトユニットとの接続を解除した状態において、前記ベルトユニットの姿勢が前記第2リンク機構によって維持される構成である為、前記搬送ベルトを交換する際の前記ベルトユニットの姿勢が安定し、前記搬送ベルトを交換する際の作業性が向上する。
【0012】
第3の態様は、第2の態様において、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトが掛け回される第1ローラーと、前記搬送ベルトが掛け回される第2ローラーと、前記第1ローラーと係わり合う第1部材と、前記第2ローラーと係わり合う部材であって、前記第1ローラーと前記第2ローラーとの軸間距離が変化する方向に前記第1部材に対して変位可能な第2部材と、前記軸間距離が長くなる方向に前記第2部材を押圧する押圧部材と、前記押圧部材の押圧力を受ける部材であって前記第2部材の変位方向に変位可能な第3部材と、着脱可能な部材であって前記第3部材の前記変位方向の位置を固定する第4部材と、を備え、前記第4部材を取り外すことにより、前記押圧部材により前記第2部材を押圧する押圧力が弱まることを特徴とする。
【0013】
前記搬送ベルトを交換する際、前記搬送ベルトに強いテンションが加わっていると前記搬送ベルトを交換し難いが、本態様によれば、前記第4部材を取り外すことにより、前記押圧部材により前記第2部材を押圧する押圧力が弱まることから、前記搬送ベルトを交換する際の作業性が向上する。尚、「押圧力が弱まる」とは、押圧力がゼロになることを含む意味である。
尚、本態様は上記第1の態様に限らず、上記第2の態様に適用しても良い。
【0014】
第4の態様は、第3の態様において、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトに接触することで前記搬送ベルトを清掃する清掃ユニットを着脱可能に備え、前記第4部材は、前記清掃ユニットに対して一体に設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトに接触することで前記搬送ベルトを清掃する清掃ユニットを着脱可能に備え、前記第4部材は、前記清掃ユニットに対して一体に設けられることから、前記搬送ベルトを取り外す為に前記清掃ユニットを取り外すと、これに伴って前記第4部材も取り外され、前記押圧力が弱まる。このことにより前記搬送ベルトを交換する際の作業性がより一層向上する。
【0015】
第5の態様は、第4の態様において、前記第3部材及び前記第4部材の少なくとも一方に、前記第4部材の装着に伴って前記第3部材が前記第2部材に進出する方向に前記第3部材を案内する案内面が設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記第3部材及び前記第4部材の少なくとも一方に、前記第4部材の装着に伴って前記第3部材が前記第2部材に進出する方向に前記第3部材を案内する案内面が設けられることから、前記第4部材の装着に伴って前記第3部材が自動的に変位することとなり、前記第4部材を取り付ける際の作業性が向上する。
尚、本態様は上記第4の態様に限らず、上記第3の態様に適用しても良い。
【0016】
第6の態様は、第3の態様において、前記第2支持部には、前記第1ローラーを駆動する駆動源が設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記第2支持部には、前記第1ローラーを駆動する駆動源が設けられることから、前記ベルトユニットを前記第2支持部から取り外す為には前記第1ローラーと前記駆動源との連結を解除する必要があるが、前記搬送ベルトを交換する際には前記ベルトユニットは前記第2支持部に支持された状態のままで良い為、前記駆動源が前記搬送ベルトの交換作業の障害になることを回避できる。
尚、本態様は上記第3の態様に限らず、上記第4、第5のいずれかの態様に適用しても良い。
【0017】
第7の態様に係る媒体搬送装置は、媒体を吸着して搬送する搬送ベルトを備えたユニットであって媒体搬送方向と交差する方向である幅方向の両側で回転可能に支持されるベルトユニットと、前記幅方向において前記ベルトユニットの一方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第1支持部と、前記幅方向において前記ベルトユニットの他方側に配置される支持部であって前記ベルトユニットを回転可能に支持する第2支持部と、を備え、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトが掛け回される第1ローラーと、前記搬送ベルトが掛け回される第2ローラーと、前記第1ローラーと係わり合う第1部材と、前記第2ローラーと係わり合う部材であって、前記第1ローラーと前記第2ローラーとの軸間距離が変化する方向に前記第1部材に対して変位可能な第2部材と、前記軸間距離が長くなる方向に前記第2部材を押圧する押圧部材と、前記押圧部材の押圧力を受ける部材であって前記第2部材の変位方向に変位可能な第3部材と、着脱可能な部材であって前記第3部材の前記変位方向の位置を固定する第4部材と、を備え、前記第4部材を取り外すことにより、前記押圧部材により前記第2部材を押圧する押圧力が弱まることを特徴とする。
【0018】
前記搬送ベルトを交換する際、前記搬送ベルトに強いテンションが加わっていると前記搬送ベルトを交換し難いが、本態様によれば、前記第4部材を取り外すことにより、前記押圧部材を取り外すことなく前記第2部材を押圧する押圧力が弱まることから、前記搬送ベルトを交換する際の作業性が向上する。尚、「押圧力が弱まる」とは、押圧力がゼロになることを含む意味である。
【0019】
第8の態様は、第7の態様において、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトに接触することで前記搬送ベルトを清掃する清掃ユニットを着脱可能に備え、前記第4部材は、前記清掃ユニットに対して一体に設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記ベルトユニットは、前記搬送ベルトに接触することで前記搬送ベルトを清掃する清掃ユニットを着脱可能に備え、前記第4部材は、前記清掃ユニットに対して一体に設けられることから、前記搬送ベルトを取り外す為に前記清掃ユニットを取り外すと、これに伴って前記第4部材も取り外され、前記押圧力が弱まる。このことにより前記搬送ベルトを交換する際の作業性がより一層向上する。
【0020】
第9の態様は、媒体に記録を行う記録部と、第1から第8の態様のいずれかに係る媒体搬送装置とを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、記録装置において、上述した第1から第8の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0021】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では媒体の一例である記録用紙に対し、液体の一例であるインクを吐出することで記録を行うインクジェットプリンター1を、記録装置の一例として説明する。以下においてインクジェットプリンター1は、プリンター1と略称する。
尚、インクジェットプリンター1は、媒体を搬送する観点において媒体搬送装置50として捉えることもできる。媒体搬送装置50の観点では、後述するラインヘッド12を備えていても備えていなくてもいずれであっても良い。
【0022】
各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であって、Y軸方向が媒体の搬送方向と交差する幅方向であり、また装置奥行き方向である。本実施形態において装置本体2の周囲を構成する側面のうち、+Y方向の側面が背面となり、-Y方向の側面が前面となる。
X軸方向は装置幅方向であり、プリンター1の操作者から見て+X方向が左側、-X方向が右側となる。また-X方向は、後述する各用紙カセットからの用紙送り出し方向となる。
Z軸方向は鉛直方向即ち装置高さ方向であり、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向となる。
以下では、記録用紙が送られていく方向を「下流」と言い、またその反対方向を「上流」と言う場合がある。
図1においては、用紙搬送経路を破線で示している。プリンター1において用紙は、破線で示す用紙搬送経路を通って搬送される。
【0023】
プリンター1は後述するラインヘッド12を備える装置本体2の下部に、鉛直方向に沿って複数の用紙カセット、具体的には第1用紙カセット3、第2用紙カセット4、第3用紙カセット5、及び第4用紙カセット6のこれら用紙カセットを備えている。符号Pは、各用紙カセットに収容される記録用紙を示している。
各用紙カセットに対しては、収容された記録用紙を-X方向に送り出すピックローラーが設けられている。符号21、22、23、24は、各用紙カセットに設けられたピックローラーを示している。
また各用紙カセットに対しては、ピックローラーによって送り出された記録用紙を更に下流に給送する給送ローラー対が設けられている。符号25、26、27、28は、各用紙カセットに対して設けられた給送ローラー対を示している。
尚、以下では「ローラー対」とは、特に説明しない限り不図示のモーターによって駆動される駆動ローラーと、この駆動ローラーに接して従動回転する従動ローラーとで構成されるものとする。
【0024】
符号T1は、各用紙カセットから送り出されて搬送ローラー対34に到達する記録用紙の搬送経路を示している。第1用紙カセット3から送り出された記録用紙は、搬送ローラー対29、33から送り力を受けて、搬送ローラー対34に送られる。第2用紙カセット4から送り出された記録用紙は、搬送ローラー対30、29、33から送り力を受けて搬送ローラー対34に送られる。第3用紙カセット5から送り出された記録用紙は、搬送ローラー対31、30、29、33から送り力を受けて搬送ローラー対34に送られる。第4用紙カセット6から送り出された記録用紙は、搬送ローラー対32、31、30、29、33から送り力を受けて搬送ローラー対34に送られる。
【0025】
搬送ローラー対34から送り力を受ける記録用紙は、記録部及び液体吐出ヘッドの一例であるラインヘッド12と、搬送ベルト53との間、つまりラインヘッド12と対向する記録位置に送られる。
ラインヘッド12は、記録用紙の面に液体の一例であるインクを吐出して記録を実行する。ラインヘッド12は、インクを吐出するノズルが用紙幅方向の全域をカバーする様に構成されたインク吐出ヘッドであり、用紙幅方向への移動を伴わないで用紙幅全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。但し、インク吐出ヘッドはこれに限られず、キャリッジに搭載されて用紙幅方向に移動しながらインクを吐出するタイプであってもよい。
【0026】
搬送ベルト53は、第1ローラー54及び第2ローラー55に掛け回される無端ベルトであって、第1ローラー54が駆動ユニット92(
図2、
図3参照)により駆動されることで回転する。記録用紙は、搬送ベルト53のベルト面に吸着されつつラインヘッド12と対向する位置を搬送される。搬送ベルト53に対する記録用紙の吸着は、本実施形態では静電吸着方式が採用される。搬送ベルト53を帯電させる手段については後に説明する。
【0027】
ラインヘッド12により第1面に記録が行われた記録用紙は、搬送ベルト53の下流に位置する搬送ローラー対35により、搬送ローラー対36及び搬送ローラー対40のいずれかに向けて送られる。搬送ローラー対35の下流には不図示の経路切り換えフラップが設けられており、この経路切り換えフラップにより、搬送ローラー対35から送り力を受ける記録用紙は、搬送ローラー対36及び搬送ローラー対40のいずれかに送られる。
【0028】
記録用紙の第1面とその反対の第2面の双方に記録を行わない場合、即ち両面記録を行わない場合、記録用紙は搬送ローラー対35から搬送ローラー対36に向けて送られ、排出経路T4を通って排出トレイ8に向けて排出される。排出経路T4には、搬送ローラー対38と、搬送ローラー対39が設けられている。
【0029】
記録用紙の第1面とその反対の第2面の双方に記録を行う場合、即ち両面記録を行う場合、記録用紙は搬送ローラー対35から搬送ローラー対40に向けて送られ、スイッチバック経路T2に入る。その後、搬送ローラー対40の回転方向が切り換えられ、記録用紙は反転経路T3に入り、搬送ローラー対41、42、43により、搬送ローラー対34へ送られる。
【0030】
符号10A、10Bは吐出前のインクを収容する、液体収容部としてのインク収容部である。ラインヘッド12から吐出されるインクは、インク収容部10A、10Bから、図示を省略するチューブを介してラインヘッド12へと供給される。
また符号9は、ラインヘッド12をキャップするキャップ部9aを有するキャップユニットである。キャップユニット9は、キャップ部9aがラインヘッド12をキャップするキャップ位置(不図示)と、キャップ部9aがラインヘッド12から離間する離間位置(
図1に示す位置)とを変位可能に設けられている。詳しくは後述するが、キャップユニット9がキャップ位置に移動する際、搬送ベルト53は二点鎖線及び符号53-1で示す様にラインヘッド12と対向する位置から退避する。
【0031】
符号11は、ラインヘッド12からキャップ部9aに向けてメンテナンスの為に吐出された、廃液としてのインクを貯留する廃液収容部である。ラインヘッド12からキャップ部9aに向けてメンテナンスの為に吐出された、廃液としてのインクは、キャップ部9aから不図示のチューブを介して廃液収容部11に送られる。
【0032】
続いて
図2以降を参照して搬送ベルト53を含む搬送ユニット51について説明する。
搬送ユニット51は、記録用紙を吸着して搬送する搬送ベルト53を備えたベルトユニット52を備えている。ベルトユニット52は、Y軸方向即ち幅方向の両側で回転可能に支持されるユニットである。
搬送ユニット51は、Y軸方向においてベルトユニット52の一方側である+Y方向に配置される支持部であってベルトユニット52を回転可能に支持する第1支持部86と、Y軸方向においてベルトユニット52の他方側である-Y方向に配置される支持部であってベルトユニット52を回転可能に支持する第2支持部87とを備えている。
ベルトユニット52は、第1ローラー54の回転軸54aが第1支持部86と第2支持部87とに支持されることで回転可能に設けられている。
【0033】
第1支持部86は、第1フレーム88、第2フレーム89、及び支持部材93を備えている。また第2支持部87は、第3フレーム90、第4フレーム91、及び駆動ユニット92を備えている。
【0034】
搬送ユニット51の基体はフレームユニット85により構成される。フレームユニット85は、
図8に示す様に+Y方向の端部に第1フレーム88と第2フレーム89を備え、-Y方向の端部に第3フレーム90を備えている。
第3フレーム90には、
図2、
図3に示す様に第4フレーム91が取り付けられ、そして第4フレーム91に対して駆動ユニット92が取り付けられ、これにより第2支持部87が構成されている。駆動ユニット92は不図示のモーターを含むユニットであり、第1ローラー54の回転軸54aに対し動力を伝達し、搬送ベルト53を回転させる。回転軸54aの-Y方向の端部は、駆動ユニット92によって支持される。
尚、第4フレーム91には、後述する伝達軸71を回転させる為の不図示のモーターが取り付けられている。
回転軸54aの+Y方向の端部は、支持部材93を介して第2フレーム89に支持される。第2フレーム89は、ねじ110によって第1フレーム88に固定される。尚、本実施形態では回転軸54aは支持部材93を介して第2フレーム89に間接的に支持されるが、第2フレーム89によって直接支持されても良い。
【0035】
次にベルトユニット52の構成について説明する。ベルトユニット52は、
図12、
図13、
図14に示す様に搬送ベルト53が掛け回される第1ローラー54及び第2ローラー55と、第1ローラー54と係わり合う第1部材57と、第2ローラー55と係わり合う部材であって、第1ローラー54と第2ローラー55との軸間距離が変化する方向に第1部材57に対して変位可能な第2部材58とを備えている。またベルトユニット52は、前記軸間距離が長くなる方向に第2部材58を押圧する押圧部材であるコイルばね61と、コイルばね61の押圧力を受ける部材であって第2部材58の変位方向に変位可能な第3部材59と、着脱可能な部材であって第3部材59の変位方向の位置を固定する第4部材60とを備えている。
【0036】
第1部材57はベルトユニット52の基体を構成する部材であって、第1ローラー54と第2ローラー55とに掛け回された搬送ベルト53の全体的な形状を維持する部材であり、第1ローラー54の回転軸54aを中心に回転可能に設けられている。第2部材58は第2ローラー55の回転軸55aを支持するとともに、第1部材57に対してスライド可能に設けられており、そのスライド方向は、第2ローラー55が第1ローラー54に対して進退する方向である。即ち第2部材58が第1部材57から離間する方向は、第1ローラー54と第2ローラー55との軸間距離が長くなる方向であって、搬送ベルト53のテンションが増加する方向となる。また第2部材58が第1部材57に近接する方向は、第1ローラー54と第2ローラー55との軸間距離が短くなる方向であって、搬送ベルト53のテンションが弱まる方向となる。
【0037】
第3部材59はばね受け部材となっており、第3部材59が第1ローラー54から離間するほどコイルばね61のばね長さが短くなり、搬送ベルト53のテンションが増加する。この第3部材59の位置は、第4部材60によって規定される。
第4部材60は、ブレードユニット63を構成する固定部材65に一体に設けられている。固定部材65は、ねじ113によって第1部材57に固定される。尚、固定部材65とねじ113は、
図13に示す様に+Y方向端部に加え、図示は省略するが-Y方向端部にも設けられている。
【0038】
ブレードユニット63は、清掃ユニットの一例であり、
図5に示す様にブレード64を備えている。ブレード64は搬送ベルト53の外面に接触し、搬送ベルト53の外面に付着した異物を除去する様に機能する。第1部材57からねじ113を取り外すと、第1部材57に対する固定部材65の固定が解消され、
図15に示す様にブレードユニット63を第1部材57即ちベルトユニット52から取り外すことができる。
ブレードユニット63を第1部材57即ちベルトユニット52から取り外すと、第4部材60による第3部材59の位置規制が解消される。その結果、コイルばね61のばね長さが長くなり、搬送ベルト53のテンションが弱まる。
【0039】
ベルトユニット52は、
図4、
図5に示す様に帯電ユニット83を備えている。帯電ユニット83は帯電ローラー84を備えている。帯電ローラー84は搬送ベルト53の外面に接するローラーであり、搬送ベルト53の回転に応じて従動回転する。帯電ローラー84には、不図示の電源装置によって直流電圧が印加され、これにより帯電ローラー84は搬送ベルト53に接触している部位に電荷を供給する。その結果搬送ベルト53の外面はプラス極性に帯電し、搬送ベルト53の外面が記録用紙を吸着する吸着面となる。
図6、
図7において符号97は帯電ローラー84を搬送ベルト53に押し付ける押圧部材であり、押圧部材97には押圧ばね98が掛けられ、押圧ばね98のばね力によって押圧部材97が帯電ローラー84を搬送ベルト53に押し付ける。
【0040】
尚、帯電ユニット83は、
図4に示す様に+Y方向の端部においてねじ114によって支持部材93に対し固定され、また-Y方向の端部においてねじ114によって駆動ユニット92に対し固定される。
【0041】
以上の構成を備えたベルトユニット52は、上述した様に第1支持部86と第2支持部87とによって回転可能に支持されている。そしてベルトユニット52は、リンク機構70によって回転することで、
図2、
図5(A)に示す第2姿勢と、
図3、
図5(B)に示す第1姿勢とを切り替える。
ベルトユニット52の第2姿勢は、記録用紙を搬送する際の姿勢であり、また搬送ベルト53を交換する際の姿勢である。ベルトユニット52の第1姿勢は、
図1において符号53-1で示した搬送ベルトの様に、キャップユニット9のキャップ部9aがラインヘッド12をキャップする際の姿勢である。
【0042】
リンク機構70は、幅方向即ちY軸方向において+Y方向に設けられた第1リンク機構70A(
図7参照)と、-Y方向に設けられた第2リンク機構70B(
図6参照)とで構成されている。
第1リンク機構70Aと第2リンク機構70Bの基本構成は同一であり、それぞれ
図6、
図7に示す様に第1リンクロッド72と、第2リンクロッド74とを備えている。第1リンクロッド72は伝達軸71に連結され、伝達軸71の回転に伴って回転する。第1リンクロッド72と第2リンクロッド74とは第1連結軸73を介して互いに回転可能に連結されており、第2リンクロッド74は
図9に示す様に第2連結軸75を介して固定部材100に連結されている。固定部材100は、ねじ111によって第1部材57に固定されている。
【0043】
伝達軸71は
図4に示す様にY軸方向に沿って延び、フレームユニット85によって回転可能に支持されるとともに、不図示のモーターの動力を受けて回転する。伝達軸71が回転すると、リンク機構70が動作し、ベルトユニット52が回転する。即ち伝達軸71の回転によって、ベルトユニット52が第1姿勢と第2姿勢とに切り換わる。
【0044】
以上の構成を備えた搬送ユニット51において、搬送ベルト53は他の部材に比べて寿命が短く、交換の必要性が高い。しかしながら搬送ベルト53を交換する為にベルトユニット52の全体を第1支持部86と第2支持部87から取り外す必要がある構成では、作業性が悪く、また作業時間も掛かる為、本実施形態に係る搬送ユニット51は以下に説明する特徴的構成を備えている。
以下、搬送ベルト53を交換する手順について説明しながら、上記特徴的構成について説明する。
【0045】
搬送ベルト53はY軸方向に沿ってベルトユニット52から引き抜く必要がある。その際に邪魔になる部品を順次取り外していく。尚、以下に説明する第1手順に先立って、搬送ユニット51がプリンター1から取り外されているものとする。
先ず第1手順として、
図4に示した2つのねじ114を外し、帯電ユニット83を取り外す。これにより帯電ローラー84(
図5参照)と搬送ベルト53との接触が解消される。
次に第2手順として、
図13に示した+Y方向端部のねじ113と、-Y方向端部のねじ113(不図示)を外し、固定部材65即ちブレードユニット63を取り外す。これにより上述した様に搬送ベルト53のテンションが弱まる。
尚、ブレードユニット63の着脱に応じて搬送ベルト53のテンションが変化しない構成の場合、例えば
図14に示した第4部材60がブレードユニット63から独立した部材である場合には、ブレードユニット63の取り外しとは別に、コイルばね61を取り外し、搬送ベルト53のテンションを弱める。尚この場合、+Y方向端部と-Y方向端部のそれぞれに設けられたコイルばね61をいずれも取り外す。
【0046】
次に第3手順として、
図13に示されているねじ112を外し、フラグ部材101を取り外す。フラグ部材101はベルトユニット52の姿勢を検出する為の検出手段を構成するものであり、不図示の検出部にフラグ部材101が入り込むことで、プリンター1の制御部(不図示)はベルトユニット52が第1姿勢にあるか否かを判断できる。フラグ部材101は
図14に示す様にY軸方向から見て搬送ベルト53と重なっており、搬送ベルト53を取り外す際に邪魔となる為、フラグ部材101を取り外す。
【0047】
次に第4手順として
図7に示す押圧ばね98を支持部材93から外す。押圧ばね98は支持部材93と押圧部材97との間に掛けられており、支持部材93を
図10の矢印Ra方向に回転させる際に邪魔となる為である。支持部材93の矢印Ra方向への回転については後に説明する。
尚、押圧ばね98は
図6に示す様に-Y方向にも設けられているが、この押圧ばね98を取り外す必要はない。
【0048】
次に第5手順として第1リンク機構70Aの第1部材57への連結と伝達軸71への連結を解消させる。具体的には、固定部材100を第1部材57に固定するねじ111(
図9参照)を取り外し、固定部材100を第1部材57から取り外す。また第1リンクロッド72を伝達軸71に固定するねじ114(
図11参照)を取り外す。
尚、この作業は第1リンク機構70Aに対してのみ行う。即ち第2リンク機構70Bには手を付けずにそのままの状態とする。
【0049】
次に第6手順として第2フレーム89を第1フレーム88に対して固定するねじ110を取り外し、第2フレーム89を第1フレーム88から取り外す。第1支持部86を構成する第2フレーム89は、
図14に示す様にベルトユニット52の回転軸方向即ちY軸方向から見て搬送ベルト53と重なっており、搬送ベルト53を+Y方向に引き抜く際に邪魔となる為、取り外す。
図10は、第2フレーム89を第1フレーム88から取り外した状態を示している。
【0050】
次に第7手順として支持部材93の+Y方向への抜け止めの機能を果たすEリング120(
図9参照)を取り外す。
この段階ではY軸方向から見て支持部材93が搬送ベルト53と重なっており、且つ
図10に示す様に支持部材93に対し+Y方向に第1フレーム88が位置している。従って第8手順として
図10の矢印Ra方向に支持部材93を回転させて、第1フレーム88と支持部材93との重なりを解消させた後、第9手順として
図11に示す様に第2フレーム89、支持部材93、押圧部材97、のこれらを+Y方向に移動させる。
【0051】
第9手順が終了すると、搬送ベルト53を+Y方向に引き抜く際に邪魔になるものが全て無くなる為、
図12に示す様に搬送ベルト53を+Y方向に引き抜く。
尚、搬送ベルト53を交換した後、元の状態に戻すには、上記とは逆の手順を辿れば良い。
また上述した各手順は、作業に支障がない範囲で適宜入れ替えても良い。また上述した各手順は、適宜省略しても良い。例えば支持部材93、押圧部材97、押圧部材98、帯電ユニット83、第1リンク機構70A、のこれらのうちいずれかを備えていない構成では、備えていない構成に係わる手順は省略できる。
【0052】
以上説明した様に第1支持部86は、第1フレーム88と、第1フレーム88に対して着脱可能なフレームであってベルトユニット52を回転可能に支持する第2フレーム89とを備え、第2フレーム89は、第1フレーム88に対して外方向に位置している。外方向とは、より具体的にはY軸方向即ち幅方向において搬送ベルト53の中心から第1支持部86に向かう方向であり、+Y方向である。即ち第2フレーム89は、第1フレーム88に対して外方向である+Y方向に位置する。
これにより第2フレーム89を取り外すことによって幅方向における搬送ベルト53の一端側である+Y方向を露呈させることができる。その結果、ベルトユニット52が第2支持部87によって支持された状態のまま搬送ベルト53を取り外すことができ、即ちベルトユニット52を第1支持部86と第2支持部87の双方から取り外すことなく搬送ベルト53を取り外すことができる為、搬送ベルト53をより簡易に交換することができる。
【0053】
また搬送ユニット51は、ベルトユニット52に対して幅方向の第1支持部86側に設けられる第1リンク機構70Aと、ベルトユニット52に対して幅方向の第2支持部87側に設けられる第2リンク機構70Bと、第1リンク機構70Aと第2リンク機構70Bに動力を伝達する伝達軸71と、を備えている。そして伝達軸71の回転が第1リンク機構70Aと第2リンク機構70Bを介してベルトユニット52の回転に変換される構成を有し、第1リンク機構70Aとベルトユニット52との接続を解除した状態において、ベルトユニット52の姿勢が第2リンク機構70Bによって維持される。これにより搬送ベルト53を交換する際のベルトユニット52の姿勢が安定し、搬送ベルト53を交換する際の作業性が向上する。
尚、本実施形態において第2リンク機構70Bによるベルトユニット52の姿勢維持は、伝達軸71を回転させる為に必要なトルクによって実現される。例えば、伝達軸71を駆動する不図示のモーターから伝達軸71に動力を伝達する動力伝達機構における回転負荷は、ベルトユニット52の姿勢維持に寄与する。また例えば伝達軸71を駆動する不図示のモーターにウォームギア(不図示)が設けられ、このウォームギアからはす歯ギア(不図示)に動力を伝達する構成は、はす歯ギア側からウォームギアを回転させ難い為、ベルトユニット52の姿勢維持に寄与する。
【0054】
またベルトユニット52は、搬送ベルト53が掛け回される第1ローラー54と、搬送ベルト53が掛け回される第2ローラー55と、第1ローラー54と係わり合う第1部材57と、第2ローラー55と係わり合う部材であって、第1ローラー54と第2ローラー55との軸間距離が変化する方向に第1部材57に対して変位可能な第2部材58と、前記軸間距離が長くなる方向に第2部材58を押圧するコイルばね61と、コイルばね61の押圧力を受ける部材であって第2部材58の変位方向に変位可能な第3部材59と、着脱可能な部材であって第3部材59の変位方向の位置を固定する第4部材60と、を備えている。そして第4部材60を取り外すことにより、コイルばね61により第2部材58を押圧する押圧力が弱まり、搬送ベルト53のテンションが弱まる構成である。
これにより、搬送ベルト53を交換する際の作業性が向上する。
【0055】
またベルトユニット52は、搬送ベルト53に接触することで搬送ベルト53を清掃するブレードユニット63を着脱可能に備え、第4部材60は、ブレードユニット63に対して一体に設けられる。このことにより搬送ベルト53を取り外す為にブレードユニット63を取り外すと、これに伴って第4部材60も取り外され、コイルばね61の押圧力が弱まり、搬送ベルト53のテンションが弱まる。このことにより搬送ベルト53を交換する際の作業性がより一層向上する。
【0056】
また第3部材59には
図14に示す様に案内面59aが形成され、第4部材60にも案内面60aが形成されている。これにより
図14において矢印aで示す様な第4部材60の装着に伴って、第3部材59が第2部材58に進出する方向(
図14において左方向)に案内される。即ち第4部材60の装着に伴って第3部材59が自動的に変位することとなり、第4部材60を取り付ける際の作業性が向上する。尚、本実施形態では第3部材59と第4部材60の双方に案内面を形成したが、いずれか一方にのみ案内面を形成しても良い。
【0057】
また第2支持部87には、第1ローラー54を駆動する駆動源である駆動ユニット92が設けられる。ここで仮にベルトユニット52を第2支持部87から取り外す為には第1ローラー54と駆動ユニット92との連結を解除する必要があるが、搬送ベルト53を交換する際にはベルトユニット52は第2支持部87に支持された状態のままで良い為、駆動ユニット92が搬送ベルト53の交換作業の障害になることを回避できる。
【0058】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、3…第1用紙カセット、4…第2用紙カセット、5…第3用紙カセット、6…第4用紙カセット、8…排出トレイ、9…キャップユニット、9a…キャップ部、10A、10B…インク収容部、11…廃液収容部、12…ラインヘッド、19…給送ローラー対、21、22、23、24…ピックローラー、25、26、27、28…給送ローラー対、29~42…搬送ローラー対、
50…媒体搬送装置、51…搬送ユニット、52…ベルトユニット、53…搬送ベルト、54…第1ローラー、54a…回転軸、55…第2ローラー、55a…回転軸、57…第1部材、58…第2部材、59…第3部材、59a…案内面、60…第4部材、60a…案内面、61…コイルばね、63…ブレードユニット、64…ブレード、65…固定部材、70…リンク機構、70A…第1リンク機構、70B…第2リンク機構、71…伝達軸、72…第1リンクロッド、73…第1連結軸、74…第2リンクロッド、75…第2連結軸、83…帯電ユニット、84…帯電ローラー、85…フレームユニット、
86…第1支持部、87…第2支持部、88…第1フレーム、89…第2フレーム、90…第3フレーム、91…第4フレーム、92…駆動ユニット、93…支持部材、97…押圧部材、98…押圧ばね、100…固定部材、101…フラグ部材、110、111、112、113、114、115…ねじ、120…Eリング