(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182336
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】配管加工装置、配管加工システム、配管加工方法及び配管ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 51/16 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B21D51/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095875
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】込山 治良
(57)【要約】
【課題】配管作業を簡便に行うことのできる配管を加工する加工装置、配管加工システム、配管加工方法及び配管ユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】配管を設定された長さに切断する切断処理部と、前記配管における長手方向の一方の端部である第1端部及び他方の端部である第2端部のそれぞれを、前記配管の内側から外側に径方向に沿って広げて拡管する拡管処理部と、前記拡管処理部が切断された前記配管の両端を拡管する前に、切断された前記配管に、前記第1端部において他の部材との接続に用いられる第1袋ナット及び前記第2端部において他の部材との接続に用いられる第2袋ナットを挿入する袋ナット処理部と、を備える、配管加工装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を設定された長さに切断する切断処理部と、
前記配管における長手方向の一方の端部である第1端部及び他方の端部である第2端部のそれぞれを、前記配管の内側から外側に径方向に沿って広げて拡管する拡管処理部と、
前記拡管処理部が切断された前記配管の両端を拡管する前に、切断された前記配管に、前記第1端部において他の部材との接続に用いられる第1袋ナット及び前記第2端部において他の部材との接続に用いられる第2袋ナットを挿入する袋ナット処理部と、を備える、
配管加工装置。
【請求項2】
前記拡管処理部は、前記第1端部を拡管する第1拡管処理部と、前記第2端部を拡管する第2拡管処理部と、を備える、
請求項1に記載の配管加工装置。
【請求項3】
前記第2拡管処理部は、前記第1拡管処理部と逆方向に向いて設けられる、
請求項2に記載の配管加工装置。
【請求項4】
前記切断処理部、前記拡管処理部及び前記袋ナット処理部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、施工データから施工される施工配管に関する配管情報を取得し、前記配管情報に基づいて制御する、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の配管加工装置。
【請求項5】
前記配管情報は、前記施工配管の長さに関する情報である配管長情報を含み、
前記制御部は、前記配管長情報に基づいて、加工した前記配管が前記配管長情報の長さになるように、前記切断処理部を制御する、
請求項4に記載の配管加工装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記拡管処理部における処理により、前記配管が長手方向に短くなる分を前記配管長情報の長さに追加して、前記配管を切断するように、前記切断処理部を制御する、
請求項5に記載の配管加工装置。
【請求項7】
前記配管情報は、複数の施工配管の長さに関する情報である配管長情報を含み、
前記制御部は、前記複数の施工配管のそれぞれの配管長情報に基づいて、長尺の配管から切り出す前記配管を、前記複数の施工配管の中から選択する、
請求項4に記載の配管加工装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の施工配管の中から選択する前記施工配管の長さの和が、前記長尺の配管の長さに近くなるように、前記施工配管を選択する、
請求項7に記載の配管加工装置。
【請求項9】
施工データを管理するサーバと、
配管加工装置と、を備える配管加工システムであって、
前記配管加工装置は、
配管を設定された長さに切断する切断処理部と、
前記配管における長手方向の一方の端部である第1端部及び他方の端部である第2端部のそれぞれを、前記配管の内側から外側に径方向に沿って広げて拡管する拡管処理部と、
前記拡管処理部が切断された前記配管の両端を拡管する前に、切断された前記配管に、前記第1端部において他の部材との接続に用いられる第1袋ナット及び前記第2端部において他の部材との接続に用いられる第2袋ナットを挿入する袋ナット処理部と、
前記切断処理部、前記拡管処理部及び前記袋ナット処理部を制御する制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記サーバから施工データから施工する施工配管に関する配管情報を取得し、前記配管情報に基づいて制御する、
配管加工システム。
【請求項10】
配管における長手方向の一方の端部である第1端部を、前記配管の内側から外側に径方向に沿って広げて拡管する工程と、
前記配管を設定された長さに切断する工程と、
前記第1端部を拡管後に、切断した前記配管における前記第1端部と反対側の端部である第2端部から、前記第1端部において他の部材との接続に用いられる第1袋ナット及び前記第2端部において他の部材との接続に用いられる第2袋ナットを挿入する工程と、
前記第1袋ナット及び前記第2袋ナットを挿入した後に、前記第2端部を、前記配管の内側から外側に径方向に沿って広げて拡管する工程と、
を含む、
配管加工方法。
【請求項11】
配管と、第1袋ナット及び第2袋ナットと、を備える配管ユニットの製造方法であって、
前記配管における長手方向の一方の端部である第1端部を、前記配管の内側から外側に径方向に沿って広げて拡管する工程と、
前記配管を設定された長さに切断する工程と、
前記第1端部を拡管後に、切断した前記配管における前記第1端部と反対側の端部である第2端部から、前記第1端部において他の部材との接続に用いられる前記第1袋ナット及び前記第2端部において他の部材との接続に用いられる前記第2袋ナットを挿入する工程と、
前記第1袋ナット及び前記第2袋ナットを挿入した後に、前記第2端部を、前記配管の内側から外側に径方向に沿って広げて拡管する工程と、
を含む、
配管ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管加工装置、配管加工システム、配管加工方法及び配管ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、管体に差し込まれて前記管体の内表面と径方向へ対向する挿入部を有するニップルと、ニップル及び挿入部が差し込まれた管体の外表面に対して軸方向へ相対的に移動自在に設けられる締め付け部材と、を備える管継手が開示されている。特許文献1には、締め付け部材は、ニップルに対する相対的な移動に伴って管体の前記外表面を前記挿入部に向け押し付ける押圧部を有することが開示されている。また、特許文献1には、管体は接続点部をその他の部位より拡径変形させた状態でニップルの挿入部に沿って嵌合することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水道等の配管には、炭素鋼鋼管等の鉄管が一般的に用いられている。鉄管の設置作業において、配管加工に際し大型の工具が必要である。また、鉄管自体が重いため、配管加工及び配管設置作業の際に、作業員の大きな負担となっている。さらに、鉄管の配管加工を行う配管作業員は熟練した技術が必要である。
【0005】
しかしながら、人口減及び重労働等の理由により、若手の配管作業員は減少傾向にある。また、熟練した技術を備える配管作業員も減少傾向にある。したがって、配管工事の際に、必要な配管作業員の確保が課題となっている。
【0006】
本開示は、配管作業を簡便に行うことのできる配管を加工する配管加工装置、配管加工システム、配管加工方法及び配管ユニットの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、配管を設定された長さに切断する切断処理部と、前記配管における長手方向の一方の端部である第1端部及び他方の端部である第2端部のそれぞれを、前記配管の内側から外側に径方向に沿って広げて拡管する拡管処理部と、前記拡管処理部が切断された前記配管の両端を拡管する前に、切断された前記配管に、前記第1端部において他の部材との接続に用いられる第1袋ナット及び前記第2端部において他の部材との接続に用いられる第2袋ナットを挿入する袋ナット処理部と、を備える、配管加工装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の配管加工装置、配管加工システム、配管加工方法及び配管ユニットの製造方法によれば、配管作業を簡便に行うことのできる配管を加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る配管加工装置により製造される配管ユニットの側面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る配管加工装置により製造される配管ユニットを構成する配管の一例であるアルミ三層管の概要を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る配管加工装置により製造される配管ユニットと継手部材との接続について説明する図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る配管加工装置の平面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る配管加工装置の側面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る配管加工装置における袋ナット供給部の側面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る配管加工装置の機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る配管加工装置による処理について説明するフロー図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る配管加工装置によって加工される素材配管の平面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る配管加工装置による処理を説明する図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る配管加工装置による処理を説明する図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る配管加工装置による処理を説明する図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る配管加工装置による処理を説明する図である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る配管加工装置による配管長の変化について説明する図である。
【
図15】
図15は、本実施形態に係る配管加工装置による処理の変形例について説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0012】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右及び前後等の方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平及び垂直には、それぞれ略平行、略直角、略直交、略水平及び略垂直が含まれてもよい。
【0013】
例えば、略平行は、2つの線又は2つの面が互いに完全に平行でなくても、製造上許容される範囲内で互いに平行として扱うことができることを意味する。他の略直角、略直交、略水平及び略垂直のそれぞれについても、略平行と同様に、2つの線又は2つの面の相互の位置関係が製造上許容される範囲内であればそれぞれに該当することが意図される。
【0014】
なお、図面には、説明の便宜のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸(XYZ軸)からなる仮想三次元座標系(XYZ直交座標系)が設定される場合がある。例えば、図面の紙面に対して垂直な座標軸について、座標軸の丸の中に黒丸印を示す場合は紙面に対して手前側が座標軸の正の領域であることを表している。また、座標軸の丸の中にバツ印を示す場合は紙面に対して手前側が座標軸の負の領域であることを表している。
【0015】
ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、本実施形態に係る配管加工装置及び配管ユニット等の姿勢について限定するものではない。
【0016】
≪配管ユニット1≫
最初に、本実施形態に係る配管加工装置により製造される配管ユニット1について説明する。
図1は、本実施形態に係る配管加工装置により製造される配管ユニット1の側面図である。配管ユニット1は、配管10と、一組の袋ナット、すなわち、袋ナット11a及び袋ナット11bと、を備える。
【0017】
<配管10>
配管10は、例えば、アルミ三層管である。
図2は、アルミ三層管の概要を示す斜視図である。
図2は、アルミ三層管の構成が分かるように、配管10を切断して示す斜視図である。
【0018】
配管10は、内部10Hが空洞である筒状の形状を有する。配管10は、管の内面10S1と、管の外面10S2と、を有する。内部10Hは、内面10S1に囲まれて形成される。
【0019】
配管10は、第1樹脂層10P1と、第1接着剤層10A1と、金属層10Mと、第2接着剤層10A2と、第2樹脂層10P2と、を備える多層配管である。
【0020】
第1樹脂層10P1は、配管10の内側を構成する層である。第1樹脂層10P1の内側の面は内面10S1となる。第1樹脂層10P1は、例えば、架橋ポリエチレン等の樹脂により形成される。配管10は、内面10S1を樹脂により構成することにより、例えば、配管10における内部10Hに流体が流れたときに、配管10が腐食するのを抑制できる。
【0021】
第1接着剤層10A1は、第1樹脂層10P1と金属層10Mとを接着する接着剤により構成される。
【0022】
金属層10Mは、配管10の強度を高めるための層である。金属層10Mは、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成される。配管10が金属層10Mを有することにより、配管10は所望の強度を有する。配管10が金属層10Mを有することにより、配管10は所望の耐圧性能を有する。
【0023】
第2接着剤層10A2は、金属層10Mと第2樹脂層10P2とを接着する接着剤により構成される。
【0024】
第2樹脂層10P2は、配管10の外側を構成する層である。第2樹脂層10P2の外側の面は外面10S2となる。第2樹脂層10P2は、例えば、架橋ポリエチレン等の樹脂により形成される。
【0025】
配管10は、配管用炭素鋼鋼管と比較すると、重量が5分の1程度になる。したがって、配管ユニット1を加工したり、配管ユニット1を用いて配管作業を行ったりする際に、扱いやすい。また、配管10が軽量であることから、安全に作業を行うことができる。
【0026】
配管10は、長手方向における一方の端部に拡管部10aを有する。また、配管10は、長手方向における他方の端部に及び拡管部10bを有する。
【0027】
拡管部10aは、配管10の内側から外側に径方向に沿って広げて成形される。同様に、拡管部10bは、配管10の内側から外側に径方向に沿って広げて成形される。拡管部10a及び拡管部10bのそれぞれには、複数の配管ユニット1を接続する際に、配管ユニット1が接続される継手部材のニップル(
図3参照)が挿入される。また、拡管部10a及び拡管部10bのそれぞれにより、袋ナット11a及び袋ナット11bのそれぞれが、配管10から外れることを防止する。
【0028】
なお、配管10は、上述したアルミ三層管に限らない。例えば、配管10は、樹脂により形成される単層管又は多層管でもよい。なお、配管10を樹脂により形成される多層管とする場合には、層により樹脂の種類を変えてもよい。また、例えば、配管10は、金属により形成される単層管又は多層管でもよい。なお、配管10を金属により形成される多層管とする場合には、層により金属の種類を変えてもよい。また、樹脂と金属とにより形成される複合材料の多層管でもよい。また、配管10の素材は、樹脂、金属に限らず、例えば、炭素繊維等を用いてもよい。
【0029】
なお、配管10に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の公知の樹脂材料を用いることができる。配管10に用いられる金属としては、鉄、鉄合金、銅、銅合金、ステンレス合金等の公知の金属を用いることができる。
【0030】
<袋ナット11a及び袋ナット11b>
袋ナット11a及び袋ナット11bは、それぞれ拡管部10a及び拡管部10bが接続される際に、継手部材におけるねじと接合する。また、袋ナット11a及び袋ナット11bは、それぞれ拡管部10a及び拡管部10bを配管10の径方向に沿って内向きに抑える。袋ナット11a及び袋ナット11bは、それぞれ拡管部10a及び拡管部10bを配管10の径方向に沿って内向きに抑えることにより、拡管部10a及び拡管部10bが内圧により配管10の径方向に沿って外向きに拡張することを防止できる。拡管部10a及び拡管部10bが内圧により配管10の径方向に沿って外向きに拡張することを防止することにより、継手部材との接続部分における耐圧を確保できる。
【0031】
ここで、配管ユニット1と、継手部材2との接続について説明する。なお、拡管部10aにおける接続形態は、拡管部10bにおける接続形態と同じ形態であることから、ここでは、拡管部10bにおける接続形態について説明して、拡管部10aにおける接続形態については説明を省略する。
【0032】
図3は、本実施形態に係る配管加工装置により製造される配管ユニット1と継手部材2との接続について説明する図である。なお、
図3において、配管ユニット1における配管10は、断面図により示す。
図3において、配管10における多層構造については省略して、単層配管として示す。
【0033】
配管10における拡管部10bは、外面10bAと、内面10bBと、を有する。拡管部10bは、内面10bBに囲まれた内側の空間である空間10bSを有する。空間10bSには、継手部材2のニップル20aが挿入される。ニップル20aが空間10bSに挿入されると、ニップル20aの先端に取り付けられたパッキン21が内面10bBと接触する。また、パッキン21は、内面10bBとニップル20aとの間で圧縮される。
【0034】
パッキン21が、内面10bBとニップル20aとの間で圧縮されることにより、配管ユニット1の配管10と継手部材2との接合部分における耐圧が確保される。
【0035】
袋ナット11bの内面には雌ねじが形成されている。袋ナット11bの内面における雌ねじと、継手部材2の雄ねじ20bとは、ねじ締めされる。袋ナット11bの内面における雌ねじと継手部材2の雄ねじ20bとがねじ締めされることにより、配管ユニット1と継手部材2とが離脱することを防止できる。
【0036】
また、袋ナット11bの内面は、拡管部10bの外面10bAに接触する。袋ナット11bの内面と外面10bAとが接触することにより、拡管部10bが配管10の径方向に沿って外側に拡張することを防止できる。拡管部10bが配管10の径方向に沿って外側に拡張することを防止することにより、配管ユニット1と継手部材2との接続部分における耐圧を確保できる。
【0037】
なお、袋ナット11aが第1袋ナットの一例、袋ナット11bが第2袋ナットの一例、である。
【0038】
≪配管加工装置100≫
上述した配管ユニット1を製造するため用いられる本実施形態に係る配管加工装置100について説明する。本実施形態に係る配管加工装置100は、配管10の切断、拡管部10a及び拡管部10bの形成及び袋ナット11a及び袋ナット11bの取り付けを自動で行って、配管ユニット1を製造する装置である。配管加工装置100は、例えば、アルミ三層管加工装置又はアルミ三層管自動加工装置である。
【0039】
図4は、本実施形態に係る配管加工装置100の平面図である。なお、
図4は、
図5のI-I矢視図である。
図5は、本実施形態に係る配管加工装置100の側面図である。
図6は、本実施形態に係る配管加工装置100における袋ナット供給部141の側面図である。
【0040】
なお、以下の
図4、
図5及び
図6のそれぞれでは、X軸方向は水平方向であって処理軸Axが延びる方向とする。Y軸方向は水平方向であって処理軸Axに垂直な方向とする。Z軸方向は鉛直方向とする。
【0041】
配管加工装置100は、搬入部110と、切断処理部120と、拡管処理部130と、袋ナット処理部140と、搬送部150と、搬出部160と、制御部170(
図7参照)と、を備える。配管加工装置100は、床Gに設置される。配管加工装置100は、加工対象を処理軸Axに沿って移動させながら処理を行う。
【0042】
[搬入部110]
搬入部110は、搬入された素材配管10iを保管する。配管加工装置100は、素材配管10iを切断して、複数の配管ユニット1を製造する。素材配管10iは、例えば、市販されている長さのアルミ三層管である。素材配管10iは長尺のアルミ三層管である。素材配管10iから配管ユニット1用の配管10を複数本切り出す。素材配管10iの長さLiは、例えば、公称4メートルである。素材配管10iの長さLiは、例えば、マージンを考慮して、4030±5ミリメートルである。
【0043】
また、搬入部110は、搬入された素材配管10iを切断処理部120に搬送する。搬入部110は、切断処理部120における搬入部110から処理軸Ax上に、素材配管10iを搬入する。
【0044】
なお、搬入部110は、搬入する素材配管10iの長さを測定して、測定した長さに基づいて、切り出す複数の配管10の組み合わせについて最適化してもよい。
【0045】
[切断処理部120]
切断処理部120は、素材配管10i又は一部が切り出された素材配管10i(後述する素材配管10ir)を、所望の長さに切断する。切断処理部120は、端部保持部121と、駆動部122と、切断部123と、配管保持部124と、把持部125と、を備える。
【0046】
(端部保持部121)
端部保持部121は、素材配管10iのX軸方向における-X側の端部を保持する。端部保持部121は、例えば、素材配管10iの内部にチャック121aを挿入してチャック121aにより、素材配管10iを保持する。
【0047】
(駆動部122)
駆動部122は、端部保持部121をX軸方向に沿って移動する。駆動部122がX軸方向に移動することによって、配管加工装置100は素材配管10iをX軸方向に移動する。配管加工装置100は素材配管10iをX軸方向に移動することによって、切断部123及び拡管処理部130に素材配管10iを送る。
【0048】
(切断部123)
切断部123は、素材配管10iを切断する。切断部123は、円筒形状を有するカッターヘッドと、カッターヘッドに取り付けられたカッターと、を備える。カッターヘッドは、処理軸Axを中心に回転する。素材配管10iは、カッターヘッドの中心に設けられた開口を貫通して配置される。切断部123は、処理軸Axからのカッターの距離を徐々に短くすることにより、素材配管10iを切断する。
【0049】
(配管保持部124)
配管保持部124は、切断部123が配管を切断する際に、素材配管10iを保持する。配管保持部124が素材配管10iを保持することにより、切断部123が素材配管10iを切断する際に、安定して切断できる。
【0050】
なお、素材配管10iから所定の長さ切り出した配管を中間配管10m(
図11参照)という。
【0051】
(把持部125)
把持部125は、端部保持部121におけるチャック121aに素材配管10iを取り付ける際に、素材配管10iの芯あわせを行う。把持部125は、例えば、ロボットハンドである。
【0052】
[拡管処理部130]
拡管処理部130は、最終的に製造される配管ユニット1における配管10の両端部を拡管処理する。具体的には、拡管処理部130は、素材配管10iの一方の端部と、素材配管10iから切り出した中間配管10mの他方の端部を拡管処理する。拡管処理部130は、第1拡管処理部131と、第2拡管処理部132と、を備える。また、拡管処理部130は、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132を、Y軸方向に沿って移動する駆動部133を備える。
【0053】
駆動部133は、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132を、処理軸Axから離れた退避位置から処理軸Ax上の処理位置に移動する。また、駆動部133は、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132を、処理軸Ax上の処理位置から処理軸Axから離れた退避位置に移動する。なお、
図4では、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132は退避位置に位置している。
【0054】
第1拡管処理部131は、素材配管10iにおけるX軸方向に沿う+X側の端部を拡管処理する。拡管処理を行った素材配管10iにおけるX軸方向に沿う+X側の端部は、最終的に、配管ユニット1が備える配管10における拡管部10aとなる。
【0055】
第1拡管処理部131は、拡管パンチ131aと、拡管ニードル131bと、を備える。第1拡管処理部131は、拡管パンチ131aに拡管ニードル131bを挿入することにより、拡管パンチ131aが径方向に拡大する。
【0056】
拡管パンチ131aは、径方向に拡大可能な円錐台状の形状を有する。拡管パンチ131aにおける円錐台の側面には、素材配管10iを保護するために、ゴム系の樹脂が設けられている。拡管パンチ131aにおける円錐台の側面の傾きは、素材配管10iを拡管したときに、拡管部の内面(拡管部10aの内面)の傾きと等しい。拡管パンチ131aは、複数の金属部材が、円周上に配置されて構成される。そして、拡管パンチ131aの中心に、拡管ニードル131bが挿入されることにより、拡管パンチ131aが径方向に拡大する。
【0057】
拡管ニードル131bは、先端が円錐状の形状を有する。拡管ニードル131bは、例えば、モータにより拡管パンチ131aに向けて押圧される。第1拡管処理部131は、拡管ニードル131bを処理軸Axに沿ってX軸と反対向きに押圧する。拡管ニードル131bが拡管パンチ131aの中心に挿入されて押圧することにより、拡管パンチ131aは径方向に拡大する。
【0058】
第2拡管処理部132は、中間配管10mにおけるX軸方向に沿う-X側の端部を拡管処理する。拡管処理を行った中間配管10mにおけるX軸方向に沿う-X側の端部は、最終的に、配管ユニット1が備える配管10における拡管部10bとなる。第2拡管処理部132は、第1拡管処理部131と逆方向を向いて設けられる。
【0059】
第2拡管処理部132は、拡管パンチ132aと、拡管ニードル132bと、を備える。第2拡管処理部132は、拡管パンチ132aに拡管ニードル132bを挿入することにより、拡管パンチ132aが径方向に拡大する。
【0060】
拡管パンチ132aは、径方向に拡大可能な円錐台状の形状を有する。拡管パンチ132aにおける円錐台の側面には、中間配管10mを保護するために、ゴム系の樹脂が設けられている。拡管パンチ132aにおける円錐台の側面の傾きは、中間配管10mを拡管したときに、拡管部の内面(拡管部10bの内面10bB)の傾きと等しい。拡管パンチ132aは、複数の金属部材が、円周上に配置されて構成される。そして、拡管パンチ132aの中心に、拡管ニードル132bが挿入されることにより、拡管パンチ132aが径方向に拡大する。
【0061】
拡管ニードル132bは、先端が円錐状の形状を有する。拡管ニードル132bは、例えば、モータにより拡管パンチ132aに向けて押圧される。第2拡管処理部132は、拡管ニードル132bを処理軸Axに沿ってX軸の向きに押圧する。拡管ニードル132bが拡管パンチ132aの中心に挿入されて押圧することにより、拡管パンチ132aは径方向に拡大する。
【0062】
[袋ナット処理部140]
袋ナット処理部140は、中間配管10mに袋ナット11a及び袋ナット11bを取り付ける。袋ナット処理部140は、袋ナット供給部141と、袋ナット取付部142と、を備える。また、袋ナット処理部140は、袋ナット取付部142を、Y軸方向に沿って移動する駆動部143を備える。
【0063】
駆動部143は、袋ナット取付部142を、処理軸Axから離れた退避位置から処理軸Ax上の処理位置に移動する。また、駆動部143は、袋ナット取付部142を、処理軸Ax上の処理位置から処理軸Axから離れた退避位置に移動する。なお、
図4では、袋ナット取付部142は退避位置に位置している。
【0064】
(袋ナット供給部141)
袋ナット供給部141は、一組の袋ナット、すなわち、1個の袋ナット11aと1個の袋ナット11bとを、背中合わせの状態で同時に袋ナット取付部142に供給する。袋ナット供給部141は、保管部141aと、第1ゲート駆動部141bと、第2ゲート駆動部141cと、を備える。1個の袋ナット11a及び1個の袋ナット11bは、供給口141pから袋ナット取付部142によって取り出される。
【0065】
保管部141aは、処理される袋ナット11a及び袋ナット11bのそれぞれを保管する。保管部141aは、水平面(XY平面)に対して、傾斜して設けられる。保管部141aが傾斜して設けられることにより、袋ナット11a及び袋ナット11bのそれぞれが自重により供給口141pまで移動するようになっている。保管部141aは、開口141iから処理される袋ナット11a及び袋ナット11bのそれぞれが挿入される。保管部141aは、-X側に袋ナット11aを保管する角筒状の形状を有する第1経路と、+X側に袋ナット11bを保管する角筒状の形状を有する第2経路と、を有する。
【0066】
袋ナット11a及び袋ナット11bは、それぞれ第1経路及び第2経路に互いに背中合わせの状態になるように挿入される。具体的には、袋ナット11a及び袋ナット11bのそれぞれは、雌ねじが互いの反対向きになるように保管される。
【0067】
第1ゲート駆動部141bは、供給口141pに保管部141aに保管されている袋ナット11a及び袋ナット11bが供給されることを抑制するゲートを駆動する。第1ゲート駆動部141bがゲートを駆動することによって、複数の袋ナット11a及び複数の袋ナット11bが供給口141pに供給されることを抑制する。
【0068】
第2ゲート駆動部141cは、供給口141pに供給された1個の袋ナット11aと1個の袋ナット11bとが袋ナット取付部142によって取り出させるように、ゲート141gを開放する。
【0069】
(袋ナット取付部142)
袋ナット取付部142は、中間配管10mにおける-X側の端部(
図12の第2端部10mfを参照)から一組の袋ナット、すなわち、1個の袋ナット11a及び1個の袋ナット11bを中間配管10mに挿入して取り付ける。袋ナット取付部142は、袋ナット保持棒142aと、袋ナット押出板142bと、第1駆動部142cと、第2駆動部142dと、を備える。
【0070】
袋ナット保持棒142aは、一組の袋ナットを袋ナット供給部141における供給口141pから取り出す際に、一組の袋ナットの開口に挿入される。そして、袋ナット保持棒142aは、袋ナット供給部141から一組の袋ナットを取り出す。次に、袋ナット保持棒142aは、処理軸Axにおいて、中間配管10mに先端が挿入される。そして、袋ナット保持棒142aから、一組の袋ナットが中間配管10mに、後述する袋ナット押出板142bによって移動される。
【0071】
袋ナット保持棒142aは、第2駆動部142dによって、X軸方向に沿って移動する。第2駆動部142dは、例えば、油圧シリンダである。第2駆動部142dが袋ナット保持棒142aをX軸向きに移動することにより、袋ナット保持棒142aは、袋ナット供給部141における供給口141pに挿入される。また、第2駆動部142dが袋ナット保持棒142aをX軸向きに移動することにより、袋ナット保持棒142aは、処理軸Axにおいて、中間配管10mに挿入される。
【0072】
袋ナット押出板142bは、袋ナット保持棒142aが中間配管10mに挿入されている状態で、袋ナット保持棒142aに保持されている一組の袋ナットをX軸の向きに移動させることにより、一組の袋ナットを中間配管10mに挿入して取り付ける。袋ナット押出板142bは、第1駆動部142cによって、袋ナット保持棒142aの周りをX軸方向に沿って移動する。第1駆動部142cは、例えば、油圧シリンダである。
【0073】
[搬送部150]
搬送部150は、中間配管10mを切断処理部120から、袋ナット処理部140、第2拡管処理部132に搬送し、最終的な加工物である配管ユニット1を搬出部160に搬送する。
【0074】
搬送部150は、切断処理部120、拡管処理部130及び袋ナット処理部140より上側(+Z側)に設けられる。搬送部150は、中間配管10mを処理軸Axが延びる方向(X軸方向)に移動する。
【0075】
搬送部150は、本体部151と、第1把持部152と、第2把持部153と、駆動部154と、を備える。
【0076】
(本体部151)
本体部151は、第1把持部152及び第2把持部153を保持するとともに、X軸方向に沿って移動する。本体部151は、処理軸Axの上側(+Z側)に設けられる。
【0077】
(第1把持部152及び第2把持部153)
第1把持部152及び第2把持部153は、中間配管10mを把持する。第2把持部153は、第1把持部152の+X側に位置する。中間配管10mが短い場合は、中間配管10mを第1把持部152により保持する。また、中間配管10mが長い場合は、中間配管10mを第1把持部152及び第2把持部153により保持する。
【0078】
(駆動部154)
駆動部154は、本体部151をX軸方向に沿って移動させる。駆動部154は、例えば、ステッピングモータである。
【0079】
[搬出部160]
搬出部160は、完成した配管ユニット1を配管加工装置100から搬出する。完成した配管ユニット1は、搬出部160の載置台161に載置される。載置された配管ユニット1は、駆動部163により押出板163aがY軸方向に沿ってY軸と反対向きに移動することにより、傾斜台162から-Y側に搬出される。
【0080】
搬出部160は、印字ヘッド164aにより配管10に印字を行う印字部164を備える。印字部164は、印字ヘッド164aからインクを吐出して、搬送部150で搬送されている配管ユニット1に、所定の情報を印字する。印字部164は、例えば、施工情報における印字データを印字する。
【0081】
[制御部170]
制御部170は、配管加工装置100を制御する。
図7は、本実施形態に係る配管加工装置100の機能ブロック図である。
【0082】
制御部170は、例えば、パーソナルコンピュータ又はプログラマブルロジックコントローラ等である。制御部170は、切断処理部120、拡管処理部130、袋ナット処理部140、搬送部150及び搬出部160のそれぞれと通信可能に接続される。また、制御部170は、上位のサーバ200と接続する。制御部170は、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク等を介して、サーバ200と接続する。なお、配管加工装置100と、サーバ200と、をまとめて配管加工システム300という場合がある。
【0083】
サーバ200は、例えば、施工対象に関する施工データであるBIM(Building Information Modeling)データを保存し、管理するサーバである。制御部170は、サーバ200から、加工する配管ユニット1に関する情報(配管情報)を取得する。制御部170は、例えば、施工対象において必要な配管ユニット1について、配管情報として配管の長さ(配管長情報)、口径、印字内容等を取得する。
【0084】
制御部170は、演算部171と、通信部172と、を備える。
【0085】
演算部171は、切断処理部120、拡管処理部130、袋ナット処理部140、搬送部150及び搬出部160のそれぞれを制御する。
【0086】
演算部171は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を備えるマイクロプロセッシングユニットにより構成される。演算部171は、CPUがROMに記録されているプログラムをRAMに展開して実行することにより処理を行う。
【0087】
通信部172は、サーバ200と通信を行う。通信部172は、演算部171から送信されたデータをサーバ200に送信するとともに、サーバ200から送信されたデータを演算部171に送信する。
【0088】
≪配管加工装置100による処理≫
次に、配管加工装置100における処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る配管加工装置100による処理について説明するフロー図である。配管加工装置100による処理を説明することにより、配管加工方法及び配管ユニット1の製造方法について説明する。
【0089】
(ステップS10)
最初に、配管加工装置100は、搬入部110から素材配管10iを切断処理部120に搬入する(搬入部から切断処理部に素材配管を搬入する工程)。
図9は、本実施形態に係る配管加工装置100によって加工される素材配管10iの平面図である。
【0090】
素材配管10iは、第1端部10ieと第2端部10ifとを有する直線状に延びるアルミ三層管である。素材配管10iは、配管長Liを有する。配管長Liは、例えば、4000ミリメートルである。なお、素材配管10iとして、一般に市販されている製品を使用する場合には、配管長Liには一定の公差がある。したがって、例えば、素材配管10iを搬入部110から切断処理部120に搬入する際に、配管加工装置100は、素材配管10iの配管長Liを測定するようにしてもよい。素材配管10iの配管長Liを測定した場合には、制御部170は、測定した配管長Liを用いて、以降の処理を行ってもよい。
【0091】
制御部170は、搬入部110から1本の素材配管10iを切断処理部120に載置するように、配管加工装置100を制御する。そして、制御部170は、切断処理部120における端部保持部121が載置された素材配管10iにおける第2端部10ifを保持するように制御する。次に、制御部170は、処理軸Ax上をY軸方向に沿ってY軸の向きに素材配管10iを移動するように駆動部122を制御する。
【0092】
素材配管10iは、第1端部10ieの側から切断部123の開口を貫通する。なお、素材配管10iにおける第1端部10ieは、例えば、搬送時に他の配管等と接触して、第1端部10ieに傷や破損がある場合がある。第1端部10ieに傷や破損がある場合は、素材配管10iにおける第1端部10ieの一部を切断部123により切り落としてもよい。
【0093】
(ステップS20)
次に、配管加工装置100は、第1拡管処理部131において、素材配管10iの第1端部10ieを拡管処理する(第1拡管処理部において、素材配管の第1端部を拡管処理する工程)。
【0094】
制御部170は、拡管処理部130における駆動部133を第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132が処理軸Ax上に移動するように制御する。駆動部133は、制御部170からの制御により、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132を退避位置から処理軸Ax上の処理位置に移動する。
【0095】
そして、制御部170は、駆動部122を制御して、素材配管10iにおける第1端部10ieが第1拡管処理部131における拡管パンチ131aに挿入されるように、素材配管10iを移動する。
【0096】
次に、制御部170は、第1拡管処理部131に対して、拡管パンチ131aに拡管ニードル131bを挿入するように制御する。拡管パンチ131aに拡管ニードル131bが挿入されると、拡管パンチ131aが径方向に広がって、素材配管10iにおける第1端部10ieが拡管される。第1拡管処理部131における拡管処理が終了したら、制御部170は、拡管パンチ131aから拡管ニードル131bを退避させるように、第1拡管処理部131を制御する。
【0097】
図10は、配管加工装置100によって、素材配管10iにおける第1端部10ieが拡管処理された素材配管10iを示す図である。素材配管10iにおける第1端部10ieが拡管処理されると、素材配管10iには、拡管部10iaが形成される。なお、素材配管10iにおける拡管部10iaは、最終的に製造される配管ユニット1における拡管部10aとなる部分である。
【0098】
第1拡管処理部131によって、拡管処理を行うと、素材配管10iは、配管長が短くなる。すなわち、処理前の配管長Liに対して、拡管処理を行った後の配管長Li1は数ミリメートル程度短くなる。なお、拡管処理によって配管長が短くなる長さは、配管の口径によって異なる。
【0099】
第1拡管処理部131による拡管処理が終了すると、制御部170は、素材配管10iをX軸方向に沿ってX軸と反対向きに移動させるように、駆動部122を制御する。駆動部122が、素材配管10iをX軸方向に沿ってX軸と反対向きに移動させると、素材配管10iにおける第1端部10ieは第1拡管処理部131から離れる。
【0100】
そして、制御部170は、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132が処理軸Axから離れるように駆動部133を制御する。駆動部133は、制御部170からの制御により、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132を処理軸Ax上の処理位置から退避位置に移動する。
【0101】
(ステップS30)
次に、配管加工装置100は、切断部123において、第1端部10ieにおける拡管処理を行った素材配管10iを所定の長さに切断する(切断部において、素材配管を所定の長さに切断する工程)。
【0102】
制御部170は、素材配管10iが切断部123によって所定の長さに切断される位置に移動するように、駆動部122を制御する。そして、駆動部122により移動が完了した後に、制御部170は、配管保持部124によって素材配管10iを保持するように、配管保持部124を制御する。次に、制御部170は、切断部123における刃を回転軸(処理軸Ax)に近づけるように、切断部123を制御する。切断部123が、刃を回転軸(処理軸Ax)に近づけることにより、素材配管10iから中間配管10mが切り離される。
【0103】
図11は、素材配管10iを切断して、切り離された中間配管10mと、素材配管10iから中間配管10mが切り離された素材配管10irを示す図である。配管加工装置100は、中間配管10mの長さが配管長Lmになるように、矢印Aで示す位置で素材配管10iを切断する。配管長Lmは、最終的な配管ユニット1における配管長L1に基づいて、拡管処理によって配管長が短くなることを考慮して設定される。すなわち、制御部170は、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132における拡管処理によって、中間配管10mの長手方向に短くなる分を配管長情報である配管長L1に追加して切断するように、切断処理部120を制御する。
【0104】
中間配管10mが切り離された素材配管10iの残りの素材配管10irは、再度素材配管として利用される。
【0105】
制御部170は、中間配管10mを離すように、配管保持部124を制御する。そして、制御部170は、中間配管10mを搬送部150により切断処理部120から搬送するように搬送部150を制御する。
【0106】
(ステップS40)
次に、配管加工装置100は、袋ナット処理部140において、切断した中間配管10mに袋ナットを挿入する(袋ナット処理部において、切断した配管に袋ナットを挿入する工程)。配管加工装置100は、素材配管10iにおける第1端部10ie、すなわち、中間配管10mの一方の端部を拡管後に、袋ナットを挿入する。
【0107】
制御部170は、袋ナット取付部142に袋ナット供給部141から一組の袋ナット、すなわち、1個の袋ナット11a及び1個の袋ナット11bを供給するように、袋ナット処理部140を制御する。
【0108】
そして、制御部170は、袋ナット取付部142を処理軸Ax上の処理位置に移動するように、袋ナット処理部140における駆動部143を制御する。駆動部143は、制御部170からの制御により、袋ナット取付部142を処理軸Ax上の処理位置に移動する。
【0109】
そして、制御部170は、袋ナット取付部142を制御して、中間配管10mに一組の袋ナット、すなわち、1個の袋ナット11a及び1個の袋ナット11bを挿入するように、袋ナット取付部142を制御する。
【0110】
図12は、中間配管10mに一組の袋ナット、すなわち、1個の袋ナット11a及び1個の袋ナット11bが挿入された状態を示す。
【0111】
そして、制御部170は、袋ナット取付部142が処理軸Ax上の処理位置から退避するように、袋ナット処理部140における駆動部143を制御する。駆動部143は、制御部170からの制御により、袋ナット取付部142を処理軸Ax上の処理位置から退避位置に退避する。
【0112】
(ステップS50)
次に、配管加工装置100は、第2拡管処理部132において、切断した中間配管10mにおける第1端部10ieと反対側の第2端部10mfを拡管処理する(第2拡管処理部において、切断した配管の第2端部を拡管処理する工程)。
【0113】
制御部170は、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132が処理軸Ax上の処理位置に移動するように、拡管処理部130における駆動部133を制御する。駆動部133は、制御部170からの制御により、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132を処理軸Ax上の処理位置に移動する。
【0114】
そして、制御部170は、搬送部150を制御して、中間配管10mにおける第2端部10mfが第2拡管処理部132における拡管パンチ132aに挿入されるように、中間配管10mを移動する。
【0115】
次に、制御部170は、第2拡管処理部132に対して、拡管パンチ132aに拡管ニードル132bを挿入するように制御する。拡管パンチ132aに拡管ニードル132bが挿入されると、拡管パンチ132aが径方向に広がって、中間配管10mにおける第2端部10mfが拡管される。第2拡管処理部132における拡管処理が終了したら、制御部170は、拡管パンチ132aから拡管ニードル132bを退避させるように、第2拡管処理部132を制御する。
【0116】
図13は、配管加工装置100によって、中間配管10mにおける第2端部10mfが拡管処理された中間配管10mを示す図である。中間配管10mにおける第2端部10mfが拡管処理されると、中間配管10mには、拡管部10mbが形成される。なお、中間配管10mにおける拡管部10mbは、最終的に製造される配管ユニット1における拡管部10bとなる部分である。
【0117】
配管加工装置100において、第2拡管処理部132における処理が終わると、配管ユニット1が完成する。
【0118】
第2拡管処理部132によって、拡管処理を行うと、中間配管10mは、配管長が短くなる。すなわち、処理前の配管長Lmに対して、拡管処理を行った後の配管長L1は数ミリメートル程度短くなる。なお、拡管処理によって配管長が短くなる長さは、配管の口径によって異なる。
【0119】
拡管処理の有無よる配管長の違いを
図14に示す。
図14は、本実施形態に係る配管加工装置100による配管長の変化について説明する図である。
図14において点線で示す配管10nは、中間配管10mに対して拡管処理を行わなかった場合の配管を示す。拡管処理を行わなかった場合には、配管長は配管長Lnであるのに対して、中間配管10mのように両端に対して拡管処理を行うと、配管長は配管長L1となる。
【0120】
サーバ200等に保存されているBIMデータの配管長は、配管長L1に相当する。したがって、ステップS30において、素材配管10iを切断する際には、拡管処理によって配管長が短くなることを考慮して、切断する長さを設定する。
【0121】
第2拡管処理部132による拡管処理が終了すると、制御部170は、中間配管10mを搬出部160に移動させるように、搬送部150を制御する。搬送部150は、制御部170の制御に基づいて、中間配管10mを搬出部160に移動させる。
【0122】
そして、制御部170は、拡管処理部130における駆動部133を第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132が処理軸Ax上の処理位置から離れるように制御する。駆動部133は、制御部170からの制御により、第1拡管処理部131及び第2拡管処理部132を処理軸Axの処理位置から外側の退避位置に移動する。
【0123】
(ステップS60)
次に、配管加工装置100は、搬出部160において、完成した配管ユニット1を搬出する(搬出部において、完成した配管ユニットを搬出する工程)。
【0124】
搬送部150は、搬出部160に完成した配管ユニット1を搬送する。搬送部150が完成した配管ユニット1を搬送する際に、搬出部160における印字部164の印字ヘッド164aの前を通過する。そして、配管ユニット1が印字ヘッド164aの前を通過する際に、例えば、BIMデータにおける印字情報を、中間配管10mの表面に印字する。
【0125】
そして、搬送部150は、完成した配管ユニット1を、載置台161に載置する。載置台161に載置された配管ユニット1は、押出板163aにより傾斜台162に押し出されて搬出される。
【0126】
(ステップS70)
次に、配管加工装置100は、次に製造する配管ユニット1があるか判定する(次に製造する配管ユニットがあるか判定する工程)。
【0127】
制御部170は、残った素材配管10irから更に中間配管10mを切り出して、次に製造する配管ユニット1があるかどうか判断する。
【0128】
次に製造する配管ユニット1がある場合(ステップS70のYes)は、制御部170はステップS20に戻って処理を繰り返す。次に製造する配管ユニット1がない場合(ステップS70のNo)は、制御部170はステップS80に処理を進める。
【0129】
(ステップS80)
次に、配管加工装置100は、余った素材配管10iを処理する(余った素材配管を処理する工程)。
【0130】
配管長Liの素材配管10iから所定の長さの配管ユニット1を製造すると、素材配管10iが余る場合がある。制御部170は、例えば、余った素材配管10iの長さが所定の長さ以上の場合は、端材として利用し、余った素材配管10iの長さが所定の長さ未満の場合は、廃棄してもよい。端材として利用する場合は、例えば、印字部164により、「ハザイ」等のマーキングを行ってもよい。
【0131】
制御部170は、施工データから施工される施工配管の配管情報を取得する。そして、制御部170は、素材配管10iから切り出す配管ユニット1の配管10を、施工配管となる複数の配管ユニット1のそれぞれの配管長情報に基づいて、複数の配管ユニット1における配管10(複数の施工配管)の中から選択する。制御部170は、例えば、最終的に余る素材配管10iの長さが短くなるように、複数の配管10から選択した配管10の長さの和が、当初の素材配管10iの長さに近くなるように、複数の配管10を選択する。
【0132】
複数の配管10から選択した配管10の長さの和が、当初の素材配管10iの長さに近くなるように選択することによって、素材配管10iから無駄なく複数の配管ユニット1を加工できる。
【0133】
≪配管加工装置100による処理の変形例≫
配管加工装置100による処理の変形例について説明する。
図15は、本実施形態に係る配管加工装置100による処理の変形例について説明するフロー図である。なお、上記において説明した配管加工装置100による処理と異なる点について説明する。
【0134】
ステップS10、ステップS20、ステップS30及びステップS40までの処理は、上記において説明した配管加工装置100によるそれぞれの処理と同じ処理であることから説明は省略する。
【0135】
(ステップS140)
ステップS40が終了後、配管加工装置100は、次に製造する配管ユニット1があるか判定する(次に製造する配管ユニットがあるか判定する工程)。
【0136】
ステップS40が終了後、ステップS140において、制御部170は、残った素材配管10irから更に中間配管10mを切り出して、次に製造する配管ユニット1があるかどうか判断する。
【0137】
次に製造する配管ユニット1がある場合(ステップS140のYes)は、制御部170はステップS150に処理を進める。次に製造する配管ユニット1がない場合(ステップS140のNo)は、制御部170はステップS50に処理を進める。
【0138】
なお、ステップS50、ステップS60及びステップS80は、上記において説明した配管加工装置100による処理のそれぞれと同じ処理であることから説明は省略する。
【0139】
(ステップS150)
配管加工装置100は、第2拡管処理部132において、中間配管10mの第2端部10mfを拡管処理する。また、配管加工装置100は、同時に、第1拡管処理部131において、素材配管10iから中間配管10mを切断した素材配管10irの第1端部(素材配管10irにおける素材配管10iの第1端部10ieに対応する部分)を拡管処理する。すなわち、配管加工装置100は、第2拡管処理部において、切断した配管の第2端部を拡管処理し、同時に、第1拡管処理部において、素材配管の第1端部を拡管処理する工程を実行する。
【0140】
変形例では、第2拡管処理部132での拡管処理と同時に、次の加工する配管における第1拡管処理部131での拡管処理を行う。同時に拡管処理を行うことによって、配管を処理する処理量を増加できる。
【0141】
(ステップS160)
次に、配管加工装置100は、搬出部160において、完成した配管ユニット1を搬出する(搬出部において、完成した配管ユニットを搬出する工程)。処理に内容については、ステップS60と同じ処理であることから説明は省略する。
【0142】
そして、ステップS160終了後、ステップS30に戻って処理を繰り返す。
【0143】
<まとめ>
本実施形態に係る配管加工装置100によれば、配管作業を簡便に行うことのできる配管の一例である配管ユニット1を自動で加工できる。また、本実施形態に係る配管加工装置100によれば、配管情報をサーバ200から取得して処理することにより、施工の際に必要となる長さの異なる配管ユニットを、配管情報を用いて自動的に加工することができる。
【0144】
さらに、本実施形態に係る配管加工装置100によれば、2本の配管の拡管処理を同時に行うことによって、短時間当たりの処理本数(処理能力)を増やすことができる。
【0145】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0146】
1 配管ユニット
2 継手部材
10 配管
10a 拡管部
10i 素材配管
10m 中間配管
11a、11b 袋ナット
100 配管加工装置
110 搬入部
120 切断処理部
121 端部保持部
122 駆動部
123 切断部
124 配管保持部
130 拡管処理部
131 第1拡管処理部
132 第2拡管処理部
133 駆動部
140 袋ナット処理部
141 袋ナット供給部
142 袋ナット取付部
143 駆動部
150 搬送部
160 搬出部
161 載置台
162 傾斜台
163 駆動部
164 印字部
170 制御部
171 演算部
172 通信部
200 サーバ
300 配管加工システム