(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182340
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】設置エリア管理システム、管理サーバ、設置エリア管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 3/02 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G08G3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095879
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(72)【発明者】
【氏名】内田 優雨
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA25
5H181BB04
5H181CC12
5H181LL01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】浮遊対象物に関する位置情報を自動収集し、収集した位置情報に基いて生成した設置エリア情報を需要者に提供する。
【解決手段】浮遊対象物が設置されたエリアを表す地図上の設置エリアを管理する管理サーバは、通信端末装置を識別する識別情報を複数対応付けたグループ情報を記憶し、浮遊対象物の複数箇所に配置した通信端末装置から、識別情報と、通信端末装置の現在位置を示す位置情報とを含む端末位置情報を受信し、グループ情報により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報に基いて、設置エリアの形状を示すエリア形状を決定し、地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、エリア形状を含む1または複数のタイルを特定する設置エリア情報を生成して記憶し、要求に応じて、記憶した設置エリア情報を送信する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上に浮遊する浮遊対象物の複数箇所に配置した通信端末装置と、前記浮遊対象物が設置されたエリアを表す、地図上の設置エリアを管理する管理サーバと、を含む設置エリア管理システムであって、
前記通信端末装置は、
前記通信端末装置の現在位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記通信端末装置を識別する識別情報と、前記位置情報とを含む端末位置情報を前記管理サーバに送信する端末通信部と、を備え、
前記管理サーバは、
複数の前記識別情報を対応付けたグループ情報を記憶する記憶部と、
前記通信端末装置から、前記端末位置情報を受信する通信部と、
前記グループ情報により対応付けられている前記識別情報を含む複数の前記端末位置情報に基いて、前記設置エリアの形状を示すエリア形状を決定する決定部と、
前記地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、前記エリア形状を含む1または複数の前記タイルを特定する設置エリア情報を生成する生成部と、を備え、
前記記憶部は、前記設置エリア情報を記憶し、
前記通信部は、要求に応じて、前記記憶部に記憶した前記設置エリア情報を送信する、
設置エリア管理システム。
【請求項2】
前記グループ情報は、更に、前記エリア形状における前記通信端末装置の配置関係を指定するエリア形状情報を含む、請求項1記載の設置エリア管理システム。
【請求項3】
水上に浮遊する浮遊対象物の複数箇所に配置した通信端末装置と、前記浮遊対象物が設置されたエリアを表す、地図上の設置エリアを管理する管理サーバと、を含む設置エリア管理システムであって、
前記通信端末装置は、
前記通信端末装置の現在位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記通信端末装置を識別する識別情報と、前記位置情報と、属するグループを識別するグループ識別情報と、を含む端末位置情報を前記管理サーバに送信する端末通信部と、を備え、
前記管理サーバは、
前記通信端末装置から、前記端末位置情報を受信する通信部と、
同じ前記グループ識別情報を含む複数の前記端末位置情報に基いて、前記設置エリアの形状を示すエリア形状を決定する決定部と、
前記地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、前記エリア形状を含む1または複数の前記タイルを特定する設置エリア情報を生成する生成部と、を備える、
設置エリア管理システム。
【請求項4】
前記端末位置情報は、更に、前記エリア形状における前記通信端末装置の配置関係を指定するエリア形状情報を含む、請求項3記載の設置エリア管理システム。
【請求項5】
浮遊対象物が設置されたエリアを表す地図上の設置エリアを管理する管理サーバであって、
通信端末装置を識別する識別情報を複数対応付けたグループ情報を記憶する記憶部と、
前記浮遊対象物の複数箇所に配置した前記通信端末装置から、前記識別情報と、前記通信端末装置の現在位置を示す位置情報とを含む端末位置情報を受信する通信部と、
前記グループ情報により対応付けられている前記識別情報を含む複数の前記端末位置情報に基いて、前記設置エリアの形状を示すエリア形状を決定する決定部と、
前記地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、前記エリア形状を含む1または複数の前記タイルを特定する設置エリア情報を生成する生成部と、を備え、
前記記憶部は、前記設置エリア情報を記憶し、
前記通信部は、要求に応じて、前記記憶部に記憶した前記設置エリア情報を送信する、
管理サーバ。
【請求項6】
前記管理サーバは、更に、
前記グループ情報により対応付けられた前記識別情報を含む複数の前記端末位置情報のうち、少なくとも1つが未受信であることを判定する未受信判定部と、
未受信である前記端末位置情報に含まれる前記識別情報が識別する前記通信端末装置は故障しているものとみなして、予め定めた宛先に故障の旨を通知する故障通知部と、
を備える請求項5記載の管理サーバ。
【請求項7】
前記設置エリア情報は、更に、データの信頼性を示す信頼性情報を含み、
前記生成部は、前記未受信判定部が、少なくとも1つの前記端末位置情報を受信しなかったことを検出した場合、前記信頼性情報を通常よりも信頼性を下げた値に変更して前記設置エリア情報を生成する、
請求項6記載の管理サーバ。
【請求項8】
前記管理サーバは、更に、
前記端末位置情報に含まれる前記位置情報が示す位置が、過去に受信した前記識別情報が同一の前記端末位置情報が示す位置よりも所定の閾値以上離れている場合、異常であると判定する異常判定部と、
異常と判定した場合、予め定めた宛先に異常の旨を通知する異常通知部と、
を備えることを特徴とする請求項5記載の管理サーバ。
【請求項9】
浮遊対象物が設置されたエリアを表す地図上の設置エリアを管理する設置エリア管理方法であって、
通信端末装置を識別する識別情報を複数対応付けたグループ情報を記憶し、
前記浮遊対象物の複数箇所に配置した前記通信端末装置から、前記識別情報と、前記通信端末装置の現在位置を示す位置情報とを含む端末位置情報を受信し、
前記グループ情報により対応付けられている前記識別情報を含む複数の前記端末位置情報に基いて、前記設置エリアの形状を示すエリア形状を決定し、
前記地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、前記エリア形状を含む1または複数の前記タイルを特定する設置エリア情報を生成し、
前記設置エリア情報を記憶し、
要求に応じて、記憶した前記設置エリア情報を送信する、
設置エリア管理方法。
【請求項10】
浮遊対象物が設置されたエリアを表す地図上の設置エリアを管理する設置エリア管理処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータは、通信端末装置を識別する識別情報を複数対応付けたグループ情報を記憶する記憶部を備え、
前記設置エリア管理処理は、
前記浮遊対象物の複数箇所に配置した前記通信端末装置から、前記識別情報と、前記通信端末装置の現在位置を示す位置情報とを含む端末位置情報を定期的に受信するステップと、
前記グループ情報により対応付けられている前記識別情報を含む複数の前記端末位置情報に基いて、前記設置エリアの形状を示すエリア形状を決定するステップと、
前記地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、前記エリア形状を含む1または複数の前記タイルを特定する設置エリア情報を生成するステップと、
前記設置エリア情報を前記記憶部に記憶するステップと、
要求に応じて、記憶した前記設置エリア情報を送信するステップと、
を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養殖用筏、生簀網、定置網、フェンス等(以下、「浮遊対象物」という。)をアンカーで係留して水上に設置したエリア(以下、「設置エリア」という。)を特定し、特定した設置エリアを示す設置エリア情報を船舶等に提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、船舶の衝突予防に有益な機能を提供する船舶動静共有航行支援システムを開示する。特許文献1の段落番号[0050]には、管理者が、水域のマップ上の複数の点を指定することによって、例えば、定置網の設置エリアを監視エリアとして設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、沿岸付近の水域には、漁業等の水上業務関係者によって多くの浮遊対象物が設置されている。そして、時期に応じて、不要となれば浮遊対象物を撤収している。上記の特許文献1に開示されているシステムを用いた場合、管理者は、大量にある浮遊対象物の設置エリアをマップ上で指定して設定し、浮遊対象物が撤収されるとその設定を解除する、といった煩雑な作業を繰り返し行う必要がある。
【0005】
本明細書は、浮遊対象物に関する位置情報を自動収集し、収集した位置情報に基いて生成した設置エリア情報を需要者に提供する設置エリア管理システム、管理サーバ、設置エリア管理方法およびプログラムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書が開示する第一態様に係る設置エリア管理システムは、水上に浮遊する浮遊対象物の複数箇所に配置した通信端末装置と、浮遊対象物が設置されたエリアを表す、地図上の設置エリアを管理する管理サーバと、を含む。通信端末装置は、取得部と、端末通信部とを備える。取得部は、通信端末装置の現在位置を示す位置情報を取得する。端末通信部は、通信端末装置を識別する識別情報と、位置情報とを含む端末位置情報を管理サーバに送信する。管理サーバは、記憶部と、通信部と、決定部と、生成部とを備える。記憶部は、複数の識別情報を対応付けたグループ情報を記憶する。通信部は、通信端末装置から、端末位置情報を受信する。決定部は、グループ情報により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報に基いて、設置エリアの形状を示すエリア形状を決定する。地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成している。生成部は、エリア形状を含む1または複数のタイルを特定する設置エリア情報を生成する。記憶部は、設置エリア情報を記憶し、通信部は、要求に応じて、記憶部に記憶した設置エリア情報を送信する。
【0007】
(2)上記(1)に開示する設置エリア管理システムにおいて、グループ情報は、更に、エリア形状における通信端末装置の配置関係を指定するエリア形状情報を含む、としてもよい。
【0008】
(3)本明細書が開示する第二態様に係る設置エリア管理システムは、水上に浮遊する浮遊対象物の複数箇所に配置した通信端末装置と、浮遊対象物が設置されたエリアを表す、地図上の設置エリアを管理する管理サーバと、を含む。通信端末装置は、取得部と、端末通信部とを備える。取得部は、通信端末装置の現在位置を示す位置情報を取得する。端末通信部は、通信端末装置を識別する識別情報と、位置情報と、属するグループを識別するグループ識別情報と、を含む端末位置情報を管理サーバに送信する。管理サーバは、通信部と、決定部と、生成部とを備える。通信部は、通信端末装置から、端末位置情報を通信する。決定部は、同じグループ識別情報を含む複数の端末位置情報に基いて、設置エリアの形状を示すエリア形状を決定する。生成部は、地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、エリア形状を含む1または複数のタイルを特定する設置エリア情報を生成する。
【0009】
(4)上記(3)に開示する設置エリア管理システムにおいて、端末位置情報は、更に、エリア形状における通信端末装置の配置関係を指定するエリア形状情報を含む、としてもよい。
【0010】
(5)本明細書が開示する第三態様に係る管理サーバは、浮遊対象物が設置されたエリアを表す地図上の設置エリアを管理する管理サーバである。管理サーバは、記憶部と、通信部と、決定部と、生成部とを備える。記憶部は、通信端末装置を識別する識別情報を複数対応付けたグループ情報を記憶する。通信部は、浮遊対象物の複数箇所に配置した通信端末装置から、識別情報と、通信端末装置の現在位置を示す位置情報とを含む端末位置情報を受信する。決定部は、グループ情報により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報に基いて、設置エリアの形状を示すエリア形状を決定する。地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成している。生成部は、エリア形状を含む1または複数のタイルを特定する設置エリア情報を生成する。記憶部は、設置エリア情報を記憶し、通信部は、要求に応じて、記憶部に記憶した設置エリア情報を送信する。
【0011】
(6)上記(5)に開示する管理サーバは、更に、未受信判定部と、故障通知部とを備えるとしてもよい。未受信判定部は、グループ情報により対応付けられた識別情報を含む複数の端末位置情報のうち、少なくとも1つが未受信であることを判定する。故障通知部は、未受信である端末位置情報に含まれる識別情報が識別する通信端末装置は故障しているものとみなして、予め定めた宛先に故障の旨を通知する。
【0012】
(7)上記(6)に開示する管理サーバにおいて、設置エリア情報は、更に、データの信頼性を示す信頼性情報を含み、生成部は、未受信判定部が、少なくとも1つの端末位置情報を受信しなかったことを検出した場合、信頼性情報を通常よりも信頼性を下げた値に変更して設置エリア情報を生成する、としてもよい。
【0013】
(8)上記(5)に開示する管理サーバは、更に、異常判定部と、異常通知部とを備えるとしてもよい。異常判定部は、端末位置情報に含まれる位置情報が示す位置が、過去に受信した識別情報が同一の端末位置情報が示す位置よりも所定の閾値以上離れている場合、異常であると判定する。異常通知部は、異常と判定した場合、予め定めた宛先に異常の旨を通知する。
【0014】
(9)本明細書が開示する第四態様に係る設置エリア管理方法は、浮遊対象物が設置されたエリアを表す地図上の設置エリアを管理する設置エリア管理方法であって、通信端末装置を識別する識別情報を複数対応付けたグループ情報を記憶し、浮遊対象物の複数箇所に配置した通信端末装置から、識別情報と、通信端末装置の現在位置を示す位置情報とを含む端末位置情報を受信し、グループ情報により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報に基いて、設置エリアの形状を示すエリア形状を決定し、地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、エリア形状を含む1または複数のタイルを特定する設置エリア情報を生成し、設置エリア情報を記憶し、要求に応じて、記憶した設置エリア情報を送信する。
【0015】
(10)本明細書が開示する第五態様に係るプログラムは、浮遊対象物が設置されたエリアを表す地図上の設置エリアを管理する設置エリア管理処理をコンピュータに実行させるプログラムである。コンピュータは、通信端末装置を識別する識別情報を複数対応付けたグループ情報を記憶する記憶部を備える。設置エリア管理処理は、浮遊対象物の複数箇所に配置した通信端末装置から、識別情報と、通信端末装置の現在位置を示す位置情報とを含む端末位置情報を定期的に受信するステップと、グループ情報により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報に基いて、設置エリアの形状を示すエリア形状を決定するステップと、地図は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成しており、エリア形状を含む1または複数のタイルを特定する設置エリア情報を生成するステップと、設置エリア情報を記憶部に記憶するステップと、要求に応じて、記憶した設置エリア情報を送信するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様である設置エリア管理システムを用いれば、管理者による煩雑な手入力操作を削減し、浮遊対象物の位置情報を自動収集し、位置情報に基いて特定した設置エリア情報を需要者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】設置エリア管理システム10の構成の一例を示す図である。
【
図2】通信端末装置1の構成の一例を示す図である。
【
図6】地図表示装置6の構成の一例を示す図である。
【
図7】設置エリア管理処理の動作フローの一例を示す図である。
【
図9】浮遊対象物2の設置状態を模擬的に示した図である。
【
図10】端末位置情報34が示す位置を地
図50上にプロットした一例を示す図である。
【
図11】グループ情報33に基いて決定したエリア形状の一例を示す図である。
【
図12】エリア形状を含むタイルを特定した一例を示す図である。
【
図13】地図表示装置6に表示した画面60の一例を示す図である。
【
図14】エリア形状の決定方法の変形例を示す図である。
【
図15】変形例で決定したエリア形状を含むタイルを特定した一例を示す図である。
【
図16】通信端末装置1の設置位置と、タイルサイズの変形例を示す図である。
【
図17】グループ情報33に基いてエリア形状を決定した一例を示す図である。
【
図18】エリア形状を含むタイルを特定した一例を示す図である。
【
図19】エリア形状から特定したタイルサイズの変形例を示す図である。
【
図20】浮遊対象物2である生簀のエリア形状を決定した一例を示す図である。
【
図21】エリア形状の決定方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、図面に表現された同一の構成部(機能部)については同じ符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0019】
[設置エリア管理システム10の構成]
図1から
図3を用いて設置エリア管理システム10の構成を説明する。
図1に示す設置エリア管理システム10は、浮遊対象物2に配置された複数の通信端末装置1と管理サーバ3とで構成される。通信端末装置1と管理サーバ3は、基地局4、ネットワーク100を介して通信する。各通信端末装置1と基地局4は、LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる無線通信方式で通信する。ネットワーク100は、インターネットやイントラネット、無線LAN、移動通信網等で構成される。
【0020】
地図表示装置6は、自装置の位置情報を取得する取得機能と、後述する設置エリア30と自装置の位置を地
図50上に表示する表示機能と、データの送受信を行う通信機能とを備えたコンピュータである。地図表示装置6は、例えば、スマートフォンであり、または、船舶5に搭載された電子海図表示システム(ECDIS:Electronic Chart Display and Information System)である。
【0021】
設置エリア管理システム10の動作概要を簡単に説明する。まず、水上に設置される浮遊対象物2の複数個所に、少なくとも2つの通信端末装置1を配置する。配置した複数の通信端末装置1は、自身の位置を示す位置情報を取得し、自身の識別情報と取得した位置情報を含む端末位置情報34を管理サーバ3に送信する。
【0022】
管理サーバ3は、各通信端末装置1から端末位置情報34を受信する。管理サーバ3は、各通信端末装置1の識別情報を対応付けたグループ情報33を記憶する。管理サーバ3は、グループ情報33と端末位置情報34に基いて、浮遊対象物2の設置エリア30の形状を示すエリア形状21を決定する。管理サーバ3が管理対象とする地
図50は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成する。管理サーバ3は、エリア形状21を含むタイルを特定する設置エリア情報35を生成する。
【0023】
管理サーバ3は、地図表示装置6から自装置の位置周辺の設置エリア情報36の要求を受信する。管理サーバ3は、要求に応じて、対応する設置エリア情報36を地図表示装置6に送信する。地図表示装置6は、受信した設置エリア情報36に基いて、地
図50上に浮遊対象物2の設置エリア30を表示することができる。
【0024】
例えば、夜間や霧発生時に船舶5を航行する場合、浮遊対象物2を目視で確認することが困難になる。このような場合に、地図表示装置6に表示された自装置の位置と設置エリア30の位置関係を利用者が確認することで、利用者は、浮遊対象物2に衝突しないように船舶5を操船することができる。
【0025】
浮遊対象物2は、浮力を有するフロート部材を含み、浮遊対象物2の一部を水上に浮遊させて、アンカー係留により水上の所定エリアに留まるように設置される。浮遊対象物2は、例えば、牡蛎筏である。牡蛎筏は、竹や木等の棒状部材を格子状に組んだ骨格を有する。牡蛎筏の骨格にはフロート部材が数カ所に取り付けられているため、骨格部分は水面に浮いている。
【0026】
牡蛎筏の骨格には、牡蛎の幼生を付着させたコレクター(貝殻)を40枚ほどワイヤーに取り付けた垂下連が吊るされる。1つの牡蛎筏には、600~700本の垂下連が吊り下げられる。
【0027】
牡蛎筏の形状は設置される水面に対して矩形である。一つの牡蛎筏の大きさは、概ね縦20m、横10mである。牡蛎筏は、複数の筏を一列に連結した牡蛎筏群にして水上に設置されるのが一般的である。牡蛎筏群は、各筏間をワイヤーで接続して、先頭と末尾の牡蛎筏をアンカーで係留して、水上の所定のエリアに設置される。
【0028】
浮遊対象物2は、例えば、定置網である。定置網は、数多くの種類があり、大きさも様々である。定置網は、フロート部材であるブイ(浮標)、アンカー、垣網と身網、これらを繋ぐロープで構成される。大型定置網の場合、その大きさは、身網部分が長さ約300m、幅約70m、垣網部分が長さ2km~4kmほどある。網は、水深27m~70mの範囲に設置する。小型定置網の場合、大型のものより大きさは小規模になるが、網は、水深が6m~20mの範囲に設置する。
【0029】
船舶5が定置網の設置エリア30に進入することは禁止されている。船舶5が設置エリア30に進入した場合、水没している網や、網とブイを接続するロープ等が船舶5に引っ掛かる、或いは、通過することで生じる水流によって定置網を破損する恐れがある。
【0030】
浮遊対象物2は、例えば、生簀網であってもよいし、フェンスであってもよい。生簀網は、魚類を養殖するための囲いであり、丸型、六角型等、様々な形状のものがある。生簀網は、牡蛎筏と同様、複数の生簀網をワイヤーで接続して配列配置して運用されることが多い。フェンスは、例えば、オイル漏れ等の海洋汚染が発生した際、汚染物が拡散しないように所定のエリアに封じ込めることを目的とする囲いである。
【0031】
浮遊対象物2には、浮遊対象物2の設置エリア30を特定するための通信端末装置1が複数配置される。通信端末装置1の配置数は、例えば、少なくとも2つであることが望ましい。通信端末1を配置する位置は、設置エリアの端部であることが望ましく、例えば、アンカーに接続されたブイ、浮遊する構造物の角部分に配置することが望ましい。具体的な配置例については後述する。
【0032】
[通信端末装置1の構成]
図2に示すように、通信端末装置1は、機能部として、ソーラーパネル部11、バッテリー部12、光センサ部13、発光部14、端末通信部15、取得部16、端末制御部17、端末記憶部18を備える。
【0033】
なお、図示していないが、通信端末装置1は、CPU、メモリを備えたコンピュータであってもよい。通信端末装置1は、更に、気温、湿度、水温、風速、振動、日照量等を検出する各種センサを備えていてもよく、検出したセンサ情報を管理サーバ3に送信するようにしてもよい。
【0034】
通信端末装置1は、浮遊対象物2に取り付けるための取付部を備えていてもよい。通信端末装置1は、防水性、耐圧性、耐熱性を有する筐体を備えていてもよい。通信端末装置1の筐体は、取り付けていた浮遊対象物2から脱落しても、水没しないようにある程度の浮力性を有していてもよい。
【0035】
ソーラーパネル部11は、光起電力効果を利用して、光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する太陽電池を複数個配列してパネル状にしたユニットである。ソーラーパネル部11は、バッテリー部12と接続されており、発電した電力をバッテリー部12に充電する。
【0036】
バッテリー部12は、充電を行うことで繰り返し使用することができる二次電池である。例えば、バッテリー部12は、ニッケル・水素充電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・カドミウム蓄電池であってもよく、他の種類の二次電池であってもよいし、複数種類の組み合わせで構成してもよい。バッテリー部12は、ソーラーパネル部11が発電した電力を受けて充電し、他の機能部を動作させるための電力供給として放電を行う。
【0037】
光センサ部13は、光量を検出するセンサである。光センサ部13は、例えば、CdS(硫化カドミウム)セル、または、フォトダイオードであってもよい。光センサ部13が検出した光量の情報は、端末制御部17に入力される。
【0038】
発光部14は、バッテリー部12からの電力供給により発光する機能を有する。発光部14は、例えば、LED(light-emitting diode)である。発光部14は、端末制御部17の発光/消灯判定に基いて、点滅発光の開始、発光の停止を行う。
【0039】
端末通信部15は、所定の通信方式で通信を行う機能を有する。端末通信部15は、LPWA通信方式で通信を行う。LPWA通信は、低消費電力で広い範囲に通信することができるが、1回に送信できるデータ量、送信回数等に制限がある。
【0040】
端末通信部15が採用する通信方式は、例えば、Sigfox(登録商標)、Eltres(登録商標)、LoRaWAN(登録商標)、LTE-Mであってもよい。端末通信部15が送信した情報は、基地局4が受信し、ネットワーク100を介して管理サーバ3が受信する。
【0041】
取得部16は、端末制御部17の制御により、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を逐次受信し、受信した複数のGPS信号から現在位置を示す位置情報を算出して取得する機能を有する。取得部16は、取得した位置情報を端末制御部17に入力する。
【0042】
端末制御部17は、通信端末装置1の各機能部を制御する機能を有する。端末制御部17は、光センサ部13が検出した光量に基いて、充電が可能な光量なのかどうかの充電判定と、発光部14の発光/消灯判定を行う。
【0043】
端末制御部17は、位置情報を送信する時刻になると、端末記憶部18に記憶している通信端末装置1を識別する識別情報と、取得部16が取得した位置情報とを含む端末位置情報34を生成して、端末通信部15に送信させる。
【0044】
端末位置情報34を生成して送信するタイミングは、例えば、1日に1回、12時のタイミングとしてもよいし、1日に2回、12時と0時のタイミングとしてもよいし、タイミングを任意に設定できるとしてもよい。例えば、取得した位置情報が、前回取得した位置情報と比較することで、所定の閾値以上の距離を移動していることが判明した場合、通常モードの1日1回の送信タイミングから、異常モードの1時間毎に送信するタイミングに切り替えてもよい。
【0045】
端末制御部17は、更に、他のセンサ情報と識別情報とを含む送信情報を生成して、端末通信部15に送信させてもよい。他のセンサ情報は、例えば、周辺の気温、水温、湿度、光量に関するセンサ情報である。
【0046】
端末記憶部18は、通信端末装置1の各機能部を制御するためのプログラムと、識別情報と、取得した位置情報を記憶する。端末記憶部18のハードウェアである記憶媒体は、例えば、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read On Memory)であってもよく、または、これらの組み合わせでもよい。
【0047】
[管理サーバ3の構成]
図3に示すように、管理サーバ3は、通信部31、記憶部32、サーバ制御部37を備える。管理サーバ3は、コンピュータであり、CPUがプログラムを実行することにより、管理サーバ3が備える各種機能を実現する。管理サーバ3は、後述する設置エリア管理処理をCPUに実行させるプログラムを、コンピュータにインストールすることで実現する。
【0048】
通信部31は、基地局4及びネットワーク100を介して各通信端末装置1から端末位置情報34を受信する機能を有する。通信部31は、地図表示装置6から設置エリア情報36の要求を受信し、要求に応じて抽出部373が抽出した設置エリア情報36を地図表示装置6に送信する。要求には、地図表示装置6が取得した第1位置情報67が含まれる。要求は、第1位置情報67が示す位置周辺の所定エリアに存在する設置エリア情報36を要求する情報である。
【0049】
記憶部32は、グループ情報33、端末位置情報34、地図情報35、設置エリア情報36、図示していないが、管理サーバ3の各機能部を制御するためのプログラムを記憶する。記憶部32のハードウェアである記憶媒体は、例えば、ハードディスク、SSD、フラッシュメモリ、DRAM、SRAM、ROMであってもよく、または、これらの組み合わせでもよい。
【0050】
グループ情報33は、設置エリア30を特定するための情報である。グループ情報33は、複数の通信端末装置1の識別情報を対応付けている。
図4に示すように、グループ情報33は、グループを識別するグループ識別情報と、通信端末装置1の識別情報と、エリア形状を指定するエリア形状情報とを含む。
【0051】
例えば、F_01のグループ識別情報を含むグループ情報33に対応付けられている識別情報は2つであり、エリア形状は矩形である。2つの識別情報を含む各端末位置情報34が示す位置は、エリア形状である矩形の対角線を表す。エリア形状は、例えば、円形であってもよい。この場合、2つの識別情報を含む各端末位置情報34が示す位置は、エリア形状である円形の直径を表す。
【0052】
例えば、F_11のグループ識別情報を含むグループ情報33に対応付けられている識別情報は6つであり、エリア形状は指定されていない。この場合、グループ情報33に識別情報が記載された順番で、識別情報を含む端末位置情報34が示す位置を線でつないで形成した形状をエリア形状と決定する。すなわち、グループ情報33は、エリア形状における各通信端末装置1の配置関係を示す情報である。エリア形状の具体例については後述する。
【0053】
端末位置情報34は、通信端末装置1から受信した、識別情報と位置情報を含む情報である。
図5に示すように、各通信端末装置1から受信した端末位置情報34は、受信した時刻と対応付けて記憶部32に記憶される。
【0054】
地図情報35は、例えば、日本の国土地理院が作成した数値地図である。地図情報35は、地球上の一定の範囲を縮小表現した地図それ自体の情報に加え、地球上の一の点または範囲である地点に関する情報である1以上の地点情報を含む。地点情報は、(緯度、経度)といった位置座標で表現される。
【0055】
地図情報35に基いて地図表示装置6の表示部66に表示される地
図50は、メッシュ状に分割した複数のタイルで構成される。タイルは、例えば、ズームレベル及びタイル座標により指定される。ズームレベルは、地
図50の表示倍率を数字で示す指標である。ズームレベルが1上がると、地
図50の表示倍率が4倍になり、タイルに対応する実際の領域の縦横の長さがそれぞれ1/2になる。
【0056】
例えば、ズームレベル0は、所定の地図投影法で投影した地球地図全体を1枚の正方形タイルで表現したもの、としてもよい。所定の地図投影法は、世界測地系の経緯度が正方形に変換されるよう極域の一部地域を除外した範囲について、メルカトル投影の数式を使って変換する方法である。
【0057】
タイル座標は、東方向をX正方向、南方向をY正方向にとって、「X,Y」の形式で示される。なお、タイルを示す情報は、発明の目的を達成するのに矛盾しない範囲で任意に決定可能である。タイルを示す情報は、所定の演算により、このタイルに対応する緯度及び経度の情報に変換できる。
【0058】
設置エリア情報36は、設置エリア30の形状を示すエリア形状を含む1または複数のタイルを特定する情報であり、ズームレベル及びタイル座標を含む情報である。
【0059】
サーバ制御部37は、決定部371、生成部372、抽出部373、未受信判定部374、異常判定部375、通知部376を備える。サーバ制御部37が備える各機能部は、CPUがプログラムを実行することにより実現する。
【0060】
決定部371は、グループ情報33により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報34に基いて、設置エリア30の形状を示すエリア形状を決定する機能を有する。
【0061】
生成部372は、決定したエリア形状を含むタイルを特定する設置エリア情報36を生成する機能を有する。生成した設置エリア情報36は、記憶部32に記憶される。
【0062】
抽出部373は、受信した要求に含まれる第1位置情報67に基いて、第1位置情報67が示す位置周辺の所定範囲に存在する設置エリア情報36を抽出する機能を有する。抽出した設置エリア情報36は、通信部31により地図表示装置6に送信される。
【0063】
未受信判定部374は、グループ情報33により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報34のうち、未受信の端末位置情報34の有無を判定する機能を有する。
【0064】
異常判定部375は、端末位置情報34に含まれる位置情報が示す位置が、過去に受信した識別情報が同一の端末位置情報34に含まれる位置情報が示す位置よりも所定の閾値以上離れた場合、異常であると判定する機能を有する。
【0065】
通知部376は、未受信判定部374が、特定の端末位置情報34を未受信と判定した場合、その端末位置情報34に含まれる識別情報が識別する通信端末装置1を故障と判定して、予め定めた宛先に故障判定を通知する故障通知機能と、異常判定部375が、異常と判定した場合、予め定めた宛先に異常判定を通知する異常通知機能とを有する。
【0066】
端末位置情報34は、定期的なタイミングで送信されるものであり、例えば、所定期間、特定の識別情報を含む端末位置情報34が未受信である場合、未受信判定部374は、対応する通信端末装置1を故障と判定してもよい。
【0067】
設置エリア情報36は、更に、データの信頼性を示す信頼性情報を含む、としてもよい。生成部372は、未受信判定部374が、少なくとも1つの端末位置情報34を未受信と判定した場合、信頼性情報を通常よりも信頼性を下げた値に変更して設置エリア情報36を生成してもよい。
【0068】
[地図表示装置6の構成]
図6に示すように、地図表示装置6は、第1通信部61、第1記憶部62、位置情報取得部64、入力受付部65、表示部66を備える。地図表示装置6は、コンピュータであり、CPUがプログラムであるアプリ63を実行することにより地図表示装置6が備える各種機能を実現する。
【0069】
第1通信部61は、ネットワーク100を介して管理サーバ3と通信する機能を有する。第1通信部61は、管理サーバ3に設置エリア情報36の要求を送信し、管理サーバ3から設置エリア情報36を受信する。第1通信部61は、アプリ63、地図情報35を管理サーバ3、若しくは別のアプリサーバから受信してもよいし、アプリ63、地図情報35の更新情報を受信してもよい。
【0070】
第1記憶部62は、アプリ63、地図情報35、第1位置情報67、設置エリア情報36を記憶する。第1記憶部62のハードウェアである記憶媒体は、例えば、ハードディスク、SSD、フラッシュメモリ、DRAM、SRAM、ROMであってもよく、または、これらの組み合わせでもよい。
【0071】
位置情報取得部64は、複数のGPS信号を逐次受信し、受信した複数のGPS信号から現在位置を示す第1位置情報67を算出して取得する機能を有する。位置情報取得部64は、所定間隔、例えば、1秒間隔で第1位置情報67を取得し、取得した第1位置情報67は、第1記憶部62に記憶される。第1記憶部62は、記憶した第1位置情報67を現在時刻から遡った所定時間分を履歴として記憶し、所定時間以前の記憶分は逐次削除してもよい。
【0072】
なお、第1位置情報67は、現在位置に限らず、利用者が地
図50上の所定位置を指定して取得した位置を示す情報であってもよい。例えば、利用者は、現在位置周辺だけでなく、目的地周辺の設置エリア30を知りたい場合がある。
【0073】
入力受付部65は、地図表示装置6を利用する利用者からの入力操作を受け付ける機能を有する。入力受付部65は、例えば、タッチパネルディスプレイであってもよいし、物理的な操作ボタンであってもよい。利用者から受け付ける入力操作は、例えば、アプリ63の起動を指示する入力操作である。アプリ63の起動を指示する入力操作は、例えば、地図表示装置6を起動する入力操作であってもよいし、表示部66のホーム画面若しくはメニュー画面に表示したアプリ63のアイコンをクリックする入力操作であってもよい。
【0074】
アプリ63は、入力受付部65が利用者から起動を指示する操作を受け付けると起動し、地図情報35と、第1位置情報67と、受信した設置エリア情報36とに基いて、地
図50上に自装置の位置を示す自アイコン70と設置エリア30を重畳した画面60を表示部66に表示させるプログラムである。
【0075】
表示部66は、利用者からの入力操作に基づいて、ホーム画面、若しくは、メニュー画面、若しくは、地
図50上に自アイコン70と設置エリア30を重畳した画面60を表示する機能を有する。自装置アイコン70は、位置情報取得部64が取得した最新の第1位置情報67に基いて、地
図50上に表示される。よって、地図表示装置6が移動している場合、地
図50上に表示される自アイコン70の位置は逐次更新して表示される。
【0076】
なお、対象物の位置情報に基いて地
図50上に対象物を示すアイコンを表示することや、地
図50上に自アイコン70の位置を逐次更新して表示すること自体は、公知技術を用いて実現する。よって、地図表示に関する詳細な動作については説明を省略する。
【0077】
[管理サーバ3の動作]
ここで、
図7に示すフローに従って、管理サーバ3が実行する設置エリア管理処理を説明する。図に示す記号「S」はステップを意味する。まず、管理サーバ3は各通信端末装置1から端末位置情報34を受信した場合(S1:Yes)、S2に進む。管理サーバ3が、端末位置情報34を受信しない場合(S1:No)、S1に戻る。
【0078】
S2の処理において、未受信判定部374は、グループ情報33により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報34のうち、未受信の端末位置情報34の有無を判定する。その結果、未受信判定部374が、未受信の端末位置情報34は無い、と判定した場合(S2:No)、S3に進む。未受信判定部374が、未受信の端末位置情報34は有る、と判定した場合(S2:Yes)、S9に進む。
【0079】
S3の処理において、異常判定部375は、端末位置情報34に含まれる位置情報が示す位置が、過去に受信した識別情報が同一の端末位置情報34が示す位置よりも所定の閾値以上離れていないと判定した場合(S3:No)、S4に進む。異常判定部375が、所定の閾値以上離れているものがある、と判定した場合(S3:Yes)、S11に進む。
【0080】
S4の処理において、決定部371は、グループ情報33により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報34に基いて、設置エリア30の形状を示すエリア形状を決定し、S5に進む。
【0081】
S5の処理において、生成部372は、決定したエリア形状を含むタイルを特定する設置エリア情報36を生成し、S6に進む。S6の処理において、生成した設置エリア情報36は、記憶部32に記憶され、S7に進む。
【0082】
S7の処理において、通信部31が、地図表示装置6から設置エリア情報36の要求を受信した場合(S7:Yes)、S8に進む。通信部31が、設置エリア情報36の要求を受信していない場合(S7:No)、S1に戻る。
【0083】
S8の処理において、抽出部373は、設置エリア情報36の要求に含まれる第1位置情報67に基いて、第1位置情報67が示す位置周辺の所定範囲に存在する設置エリア情報36を抽出する。通信部31は、抽出した設置エリア情報36を地図表示装置6に送信する。管理サーバ3は、S8の処理をした後、S1に戻る。
【0084】
S9の処理において、通知部376は、未受信の通信端末装置1を故障と判定し、予め定めた宛先に故障判定を通知する。S9の処理の後、S10に進む。
【0085】
S10の処理において、生成部372は、端末位置情報34が未受信である場合、設置エリア情報36に含まれる信頼性情報を通常よりも信頼性を下げた値に変更する。S10の処理の後、S7に進む。
【0086】
S11の処理において、通知部376は、異常と判定した通信端末装置1について、予め定めた宛先に異常判定を通知する。S11の処理の後、S7に進む。
【0087】
[設置エリア情報36の具体例]
図8から
図21を用いて、管理サーバ3が生成する設置エリア情報36の具体例について説明する。
図8に示すように、浮遊対象物2の一例である牡蛎筏は、複数の牡蛎筏を連結して沿岸に近い水域に設置されている。
図9は、
図8に示した浮遊対象物2のうちの一部の設置状態を直上から見た場合の模式図である。
【0088】
図10は、各通信端末装置1から受信した端末位置情報34が示す位置を地
図50にプロットした図である。各通信端末装置1は、浮遊対象物2の対角をなす角部に2台配置されている。よって、各通信端末装置1が送信した端末位置情報34が示す位置であるプロット20は、各浮遊対象物2の対角をなす角部に表示される。
【0089】
続いて、決定部371は、
図11に示すように、グループ情報33により対応付けられている識別情報を含む複数の端末位置情報34に基いて、設置エリア30の形状を示すエリア形状21を決定する。
図11に示す例では、グループ情報33には、エリア形状21が「矩形」であることが指定されているため、グループ情報33によって対応付けられている各通信端末装置1の位置を対角線とする矩形をエリア形状21として決定する。
【0090】
続いて、生成部372は、
図12に示すように、エリア形状21を含む設置エリア30(黒塗りにしたタイル部分)を特定して、設置エリア情報36を生成する。設置エリア30は、ズームレベル及びタイル座標で特定され、設置エリア情報36にはこれらの情報が含まれる。
【0091】
図13は、設置エリア情報36と、地図情報35と、第1位置情報67とに基いて、地図表示装置6の表示部66に表示した画面60の一例である。同図に示すように表示部66は、地
図50に重畳して設置エリア30、自アイコン70を表示する。
【0092】
なお、目的地等、地図表示装置6の現在位置周辺ではない地点における設置エリア30を確認する場合は、利用者が指定した位置を第1位置情報67とする設置エリア情報36の要求を、管理サーバ3に送信して、自アイコン70の表示は行わず、地
図50に設置エリア30のみを重畳して表示するようにしてもよい。
【0093】
[エリア形状21の変形例]
エリア形状21の指定は、矩形に限らず、例えば、円形であってもよい。
図14に示す例では、グループ情報33には、エリア形状21が「円形」であることが指定されているため、グループ情報33によって対応付けられている各通信端末装置1の位置を直径とする円形をエリア形状21として決定する。
図15は、
図14に示す例で決定した円形のエリア形状21に基いて、設置エリア30を特定した一例を示す図である。
【0094】
[通信端末装置1の配置とエリア形状指定の変形例1]
図16は、個々の浮遊対象物2に通信端末装置1を配置するのではなく、牡蛎筏のように連結された複数の浮遊対象物2をまとめて、設置エリア30を設定する場合の配置例を示す図である。同図では、牡蛎筏の先頭と末尾に接続されるアンカーブイの4カ所に通信端末装置1を配置し、連結した牡蛎筏群の中間に位置する牡蛎筏の角部の2カ所に通信端末装置1を配置した例を示す。
【0095】
図17に示すように、決定部371は、牡蛎筏群に配置した、通信端末装置1の端末位置情報34が示す位置を線で結んで囲った領域をエリア形状21に決定してもよい。
図18は、
図17の例で決定したエリア形状21に基いて、設置エリア30を特定した一例を示す図である。
【0096】
なお、地
図50を構成するタイルのサイズが大きいほど、設置エリア情報36の情報量を小さくすることができるというメリットがある一方、設置エリア30の輪郭がわかりにくくなるため、タイルのサイズを決定するズームレベルを適切に設定する必要がある。例えば、浮遊対象物2の大きさに合わせて、
図19に示すように、1段階ズームレベルを上げたタイルサイズで設置エリア情報36を生成してもよい。
【0097】
[通信端末装置1の配置とエリア形状指定の変形例2]
図20に示す例では、複数の浮遊対象物2が正方形に配置されている。この例において、通信端末装置1は、4カ所のアンカーブイにそれぞれ配置されている。この場合、対角をなす位置に配置された通信端末装置1の位置を結ぶ対角線が2つ形成されるが、決定部371は、長い方の対角線を直径とする円をエリア形状21に決定する、としてもよい。長い方の対角線を直径とすることで、浮遊対象物2の設置エリア30が広く設定されるため、衝突予防の効果を上げることができる。
図21は、
図20の例で決定したエリア形状21に基いて、設置エリア30を特定した一例を示す図である。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上記の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したものや、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせた実施形態や、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加した実施形態も含まれる。
【0099】
上記の実施形態では、グループ情報33は管理サーバ3の記憶部32に記憶していたが、各通信端末装置1の端末記憶部18に同じグループであることを示すグループ識別情報を記憶しておいて、端末位置情報34にグループ識別情報を含めて送信することで、管理サーバ3は、端末位置情報34をグループとして対応付けてもよい。運用の仕方にもよるが、予め通信端末装置1にグループ識別情報を記憶させることで、管理サーバ3にグループ情報33の設定を行う作業を減らすことが可能である。
【0100】
エリア形状21の指定は、浮遊対象物2を設定することで自動的に指定するようにしてもよい。例えば、牡蛎筏に使用する場合、牡蛎筏の単体でグルーピングするのか、或いは、連結した牡蛎筏群でグルーピングするのかを設定することで、必要とする通信端末装置1の数、設置個所、エリア形状21の指定を自動的に行うようにしてもよい。
【0101】
本発明は、管理サーバ3が行う設置エリア管理方法であってもよく、設置エリア管理処理をコンピュータに実行させるプログラム、係るプログラムを記憶した記憶媒体であってもよい。
【0102】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CDR/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0103】
プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給してもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 通信端末装置
2 浮遊対象物
3 管理サーバ
4 基地局
5 船舶
6 地図表示装置
11 ソーラーパネル部
12 バッテリー部
13 光センサ部
14 発光部
15 端末通信部
16 取得部
17 端末制御部
18 端末記憶部
20 プロット
21 エリア形状
30 設置エリア
31 通信部
32 記憶部
33 グループ情報
34 端末位置情報
35 地図情報
36 設置エリア情報
37 サーバ制御部
50 地図
60 画面
61 第1通信部
62 第1記憶部
63 アプリ
64 位置情報取得部
65 入力受付部
66 表示部
70 自アイコン