(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182348
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】環境制御システム
(51)【国際特許分類】
E21F 1/00 20060101AFI20231219BHJP
E21D 9/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E21F1/00 A
E21D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095889
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000148346
【氏名又は名称】株式会社錢高組
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】角田 晋相
(72)【発明者】
【氏名】森川 淳司
(72)【発明者】
【氏名】原田 尚幸
(57)【要約】
【課題】トンネルの坑内の二酸化炭素濃度の上昇を抑制するための換気用のファンの出力を効率化することで環境負荷を低減する。
【解決手段】トンネル10の坑内の環境を制御する制御部14と、トンネル10の坑内に配置される送風管46と、送風管46に対して送風するファン44と、トンネル10の坑内に配置され二酸化炭素濃度を検出可能な二酸化炭素濃度計22と、を備え、制御部14は、二酸化炭素濃度計22により検出された二酸化炭素濃度に基づいてファン44の出力を調整する環境制御システム12。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの坑内の環境を制御する制御部と、
前記トンネルの坑内に配置される送風管と、
前記送風管に対して送風するファンと、
前記トンネルの坑内に配置され二酸化炭素濃度を検出可能な二酸化炭素濃度計と、
を備え、
前記制御部は、前記二酸化炭素濃度計により検出された二酸化炭素濃度に基づいて前記ファンの出力を調整することを特徴とする環境制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記トンネルの延びる方向における前記トンネルの坑内の複数の位置に前記二酸化炭素濃度計を備えることを特徴とする環境制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の環境制御システムにおいて、
前記制御部は、複数の前記二酸化炭素濃度計のうちの最も高い二酸化炭素濃度の検出結果に基づいて前記ファンの出力を調整することを特徴とする環境制御システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の環境制御システムにおいて、
前記制御部は、前記ファンが前記送風管内に発生させる風速をV(m/s)、前記送風管の内径をA(m2)、前記二酸化炭素濃度計の検出した二酸化炭素濃度をc(ppm)、空気密度をρ(Kg/m3)とした場合に、二酸化炭素の1秒当たりの排出量をV・A・ρ・c(mg/s)として計算し、前記ファンの出力を調整することを特徴とする環境制御システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の環境制御システムにおいて、
一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つを検出可能な検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部での一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つの検出結果が予め定められた閾値を超える場合は、前記二酸化炭素濃度計の検出結果に拘らず前記ファンの出力を最大にすることを特徴とする環境制御システム。
【請求項6】
請求項1または2に記載の環境制御システムにおいて、
前記トンネルの坑内に前記二酸化炭素濃度計の検出結果を表す表示部を備えることを特徴とする環境制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の環境制御システムにおいて、
前記表示部は、前記二酸化炭素濃度計による二酸化炭素濃度に応じて異なる色の光を発する警告灯であることを特徴とする環境制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な場所でトンネル工事が行われている。トンネル工事においては、トンネルの坑内での作業に使用する車両や機器などから多量のガスや粉塵などが排出される。トンネルの坑内でガスや粉塵などの濃度が高くなりすぎると、工事に従事する作業者の健康に多大な影響を与える虞がある。そこで、例えば、特許文献1には、トンネルの坑内での作業に使用する作業重機の稼働状況に基づいて作業モードを確認し、確認された作業モードに基づいて換気装置を駆動する換気システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、トンネル工事においては、トンネルの坑内での作業に使用する車両や機器などから二酸化炭素が排出される。二酸化炭素は一酸化炭素やメタンなどと比べ毒性は低いものの二酸化炭素濃度が高くなると工事に従事する作業者の健康に影響を与える虞がある。しかしながら、特許文献1の換気システムのような従来の環境制御システムにおいては、トンネルの坑内での作業に使用する車両や機器などの稼働状況に基づいて換気装置を駆動することが一般的であった。なお、特許文献1の換気システムは、トンネル坑内に粉塵の濃度や酸素の濃度を検出するセンサーを設け、当該センサーが検出した情報に基づいて換気装置を制御する旨の記載があるものの二酸化炭素濃度に基づく換気装置の駆動に関しては考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明は、トンネルの坑内の二酸化炭素濃度の上昇を抑制するための換気用のファンの出力を効率化することで環境負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様に係る環境制御システムは、トンネルの坑内の環境を制御する制御部と、前記トンネルの坑内に配置される送風管と、前記送風管に対して送風するファンと、前記トンネルの坑内に配置され二酸化炭素濃度を検出可能な二酸化炭素濃度計と、を備え、前記制御部は、前記二酸化炭素濃度計により検出された二酸化炭素濃度に基づいて前記ファンの出力を調整することを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、トンネルの坑内に二酸化炭素濃度計を備え、二酸化炭素濃度計により検出された二酸化炭素濃度に基づいてファンの出力を調整する。このため、換気用のファンを駆動することでトンネルの坑内の二酸化炭素濃度の上昇を抑制することができるとともに、トンネルの坑内の二酸化炭素濃度に基づいてファンの出力を好適に調整して効率化することで環境負荷を低減することができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る環境制御システムは、前記第1の態様において、前記トンネルの延びる方向における前記トンネルの坑内の複数の位置に前記二酸化炭素濃度計を備えることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、トンネルの延びる方向におけるトンネルの坑内の複数の位置に二酸化炭素濃度計を備える。このため、トンネルの坑内において二酸化炭素の濃度が高い場所が一部に発生してもそのことを好適に検出でき、その場所における二酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る環境制御システムは、前記第2の態様において、前記制御部は、複数の前記二酸化炭素濃度計のうちの最も高い二酸化炭素濃度の検出結果に基づいて前記ファンの出力を調整することを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、複数の二酸化炭素濃度計のうちの最も高い二酸化炭素濃度の検出結果に基づいてファンの出力を調整する。このため、トンネルの坑内の全体において二酸化炭素濃度が所定の濃度よりも上昇することを効果的に抑制することができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る環境制御システムは、前記第1または第2の態様において、前記制御部は、前記ファンが前記送風管内に発生させる風速をV(m/s)、前記送風管の内径をA(m2)、前記二酸化炭素濃度計の検出した二酸化炭素濃度をc(ppm)、空気密度をρ(Kg/m3)とした場合に、二酸化炭素の1秒当たりの排出量をV・A・ρ・c(mg/s)として計算し、前記ファンの出力を調整することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、二酸化炭素の1秒当たりの排出量をV・A・ρ・c(mg/s)として計算し、ファンの出力を調整する。このようにファンの出力を調整することで、高い精度でトンネルの坑内の二酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る環境制御システムは、前記第1または第2の態様において、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つを検出可能な検出部を備え、前記制御部は、前記検出部での一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つの検出結果が予め定められた閾値を超える場合は、前記二酸化炭素濃度計の検出結果に拘らず前記ファンの出力を最大にすることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、検出部での一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つの検出結果が予め定められた閾値を超える場合は、二酸化炭素濃度計の検出結果に拘らずファンの出力を最大にする。このため、人体に対する毒性の高い一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つの検出結果が予め定められた閾値を超える場合に、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つの濃度の上昇を抑制することができる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る環境制御システムは、前記第1または第2の態様において、前記トンネルの坑内に前記二酸化炭素濃度計の検出結果を表す表示部を備えることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、トンネルの坑内に二酸化炭素濃度計の検出結果を表す表示部を備える。このため、トンネルの坑内において作業者は、二酸化炭素濃度の上昇を把握することができ、二酸化炭素濃度の上昇を抑制するための作業を迅速に実行することができる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る環境制御システムは、前記第6の態様において、前記表示部は、前記二酸化炭素濃度計による二酸化炭素濃度に応じて異なる色の光を発する警告灯であることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、表示部は、二酸化炭素濃度計による二酸化炭素濃度に応じて異なる色の光を発する警告灯である。このため、トンネルの坑内において作業者は、二酸化炭素濃度の上昇を表示部から離れた位置からでも容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】穿孔及び装薬作業におけるトンネル坑内の作業状態を示す概要図。
【
図2】発破作業におけるトンネル坑内の作業状態を示す概要図。
【
図3】ずり出し作業におけるトンネル坑内の作業状態を示す概要図。
【
図4】こそく作業におけるトンネル坑内の作業状態を示す概要図。
【
図5】吹付作業におけるトンネル坑内の作業状態を示す概要図。
【
図6】ロックボルト作業におけるトンネル坑内の作業状態を示す概要図。
【
図7】本発明の環境制御システムが実行する環境制御方法の一例を表すフローチャート。
【
図8】本発明の環境制御システムが実行する環境制御方法の
図7とは別の一例を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
【0022】
<環境制御システムの概要>
最初に、
図1から
図6を参照して、トンネル10内における環境制御システム12について説明する。
図1などで表されるように、本実施例における環境制御システム12は、制御部14と、記憶部16と、警告灯18と、複数の電源装置20と、複数の二酸化炭素濃度計22と、換気装置24と、集塵装置26と、複数の照明58(
図1以外は符号を省略)と、を備えている。
【0023】
本実施例において、制御部14は、一例としてトンネル抗外近傍に設けられた建設作業事務所等に設置されている。本実施例において、制御部14は、複数の電子部品や回路から構成されるコンピューターとして構成されている。また、記憶部16は、制御部14と電気的に接続されており、制御部14における制御データーやトンネル10の坑内における環境のデーターを記憶する。具体的には、記憶部16は、各作業工程における換気装置24及び集塵装置26の換気レベルの設定、トンネル10における作業工程の履歴等を記憶している。そして、記憶部16は、制御部14からの命令に応じて必要なデーターを制御部14に送信する。
【0024】
本実施例においてトンネル10は、その先端の掘削部分(以下、「切羽」という)、すなわち切羽からトンネル10の坑口Y1まで複数の区間に分けられている。本実施例では、切羽の区間に符号10aを付し、切羽以外の区間(その他の区間)には符号10bを付している。
【0025】
本実施例において、一例として切羽区間10aに警告灯18が設けられている。警告灯18は、トンネル10の坑内における二酸化炭素濃度計22の検出結果を表す表示部としての役割をしており、詳細には、二酸化炭素濃度計による二酸化炭素濃度に応じて異なる色の光を発する警告灯である。なお、本実施例の警告灯18は、青色、緑色、黄色、赤色に点灯可能である。本実施例の環境制御システムは、このように二酸化炭素濃度計22の検出結果を表す表示部としての警告灯18を備えるため、トンネルの坑内において作業者は、二酸化炭素濃度の上昇を把握することができ、二酸化炭素濃度の上昇を抑制するための作業を迅速に実行することができる。また、二酸化炭素濃度計22の検出結果を表す表示部として警告灯18を用いることで、トンネル10の坑内において作業者は、二酸化炭素濃度の上昇を表示部から離れた位置からでも容易に把握することができる。そして、作業者は、例えばトンネル10の坑内における工事車両38や作業機械48を一旦停止させるなど二酸化炭素濃度の上昇を抑制するための対策することができる。
【0026】
なお、
図1から
図6では省略されているが、警告灯18は、切羽区間10aに加え、切羽以外の区間10bにも設置することが望ましい。ただし、トンネル10の坑内における二酸化炭素濃度計22の検出結果を表す表示部として、警告灯18以外のものを使用してもよい。例えば、表示部としてモニターなどを設置し、モニターに二酸化炭素濃度を表示させてもよい。
【0027】
ここで、二酸化炭素濃度計22は、トンネル10の坑内における切羽区間10a及びその他の区間10bに適宜間隔をおいて配置され、その各々は、二酸化炭素濃度を検出することが可能なほか、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度も併せて検出可能である。別の表現をすると、複数の二酸化炭素濃度計22の各々は、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の検出部としての役割を兼ねている。このように、二酸化炭素濃度計22は、切羽区間10aにおける掘削作業やコンクリート吹付作業に伴って発生する粉塵の濃度や、切羽区間10aにおける発破の際に発生する二酸化炭素などのガスの濃度、トンネル10の坑内における工事車両38や作業機械48が発生させる二酸化炭素などの排出ガスの濃度を検出可能である。そして、検出された粉塵及びガスの濃度を制御部14に送信する。
【0028】
なお、上記のように、本実施例の環境制御システム12においては、二酸化炭素濃度計22が一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度も併せて検出可能な検出部を兼ねているが、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度などを検出する検出部を二酸化炭素濃度計22とは別に設けていてもよい。また、検出部は、酸素濃度など、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度以外のガスの濃度なども検出可能な構成としてもよい。
【0029】
電源装置20は、トンネル10の坑内において切羽区間10aに設けられている。また、電源装置20はトンネル10の坑外、またはトンネル10の坑口Y1から切羽区間10aに向けて適宜間隔をおいて設けてもよい。なお、
図1から
図6において電源装置20は切羽区間10aに設置されたもののみを図示し、その他の区間10b及びトンネル10の坑外に設けられた電源装置20の図示は省略している。
【0030】
本実施例において電源装置20には、トンネル抗外に設けられた不図示の外部電源に電気的に接続されている。そして、電源装置20は、ドリルジャンボ28、コンクリート吹付機30等の作業機械48と電源ケーブルにより有線で接続可能に構成されている。そして、電源装置20に電源ケーブルで接続された作業機械48に電力を供給する。また、電源装置20内には、電流計32が設けられている。電流計32は制御部14に電気的に接続されている。本実施例において、電流計32は、電源装置20に接続された作業機械48の電流値を計測している。電流計32は、計測した電流値を制御部14に送信する。
【0031】
また、トンネル10の坑内に入坑する入坑者34は通信端末36を有している。本実施例における入坑者34とは、トンネル10の坑内においてトンネル10の掘削作業に従事する作業員だけでなく、一時的に入坑する者も含まれている。なお、トンネル10の坑内に入坑する工事車両38も通信端末36を備えている。本実施例において、工事車両38とは、例えば、ダンプトラック40、トラックミキサ42、火薬運搬車、モルタル運搬車等を含んでいる。
【0032】
通信端末36は、トンネル10内において、入坑者34あるいは工事車両38が切羽区間10a及びその他の区間10bのどの区間に位置するかの位置情報を不図示の受信ユニットに送信する。そして、該受信ユニットは、受信した位置情報を制御部14に送信する。本実施例では、一例として通信端末36を備える入坑者34と工事車両38のうち、受信ユニットは、入坑者34のうちトンネル10の掘削作業に従事する作業員と、工事車両38のうちダンプトラック40及びトラックミキサ42の通信端末36の位置情報のみを収集し、受信した位置情報を制御部14に送信する。例えば、入坑者34と工事車両38の備える通信端末36の個別の識別IDにより、入坑者34と工事車両38の種類を判断して収集する。
【0033】
換気装置24は、トンネル10内の換気を行う様に設定されている。換気装置24は、一例としてトンネル10の坑外に設けられたファン44と、ファン44から吸い込まれた大気を切羽区間10aに導き、切羽区間10aに該大気を吹き出させる送風管46とを備えている。なお、本実施例において換気装置24は切羽区間10aにトンネル10の坑外の大気を送気するように構成したが、切羽区間10aの気体を送風管46に吸引し、トンネル10の坑外に排気するように構成してもよい。すなわち、本実施例において換気装置24を使用する換気方法には、希釈方式のみならず、強制換気方式における換気方法が含まれる。
【0034】
本実施例において、換気装置24は制御部14に制御されている。より具体的には、制御部14はファン44の出力、すなわち、ファン44の回転数を調整することにより、トンネル10の坑内に送られる大気の量、すなわち換気装置24の風量を調整している。本実施例において制御部14は、一例としてファン44の回転数を4段階に設定可能である。具体的には、制御部14は、換気装置24の換気レベルを低速レベル、中速レベル、高速レベル、最大レベルで設定可能である。尚、本実施例において、換気装置24の換気量(m3/min)は、一例として低速レベルにおいて1000(m3/min)、中速レベルにおいて1600(m3/min)、高速レベルにおいて2000(m3/min)、最大レベルにおいて2400(m3/min)に設定されている。
【0035】
また、集塵装置26は、トンネル10の坑内、特に切羽区間10aに配置されている。そして、本実施例では、集塵装置26は切羽区間10aにおける粉塵が含まれた気体を吸入し、集塵装置26の内部で除塵し、粉塵が取り除かれた気体を集塵装置26から排出する。なお、本実施例における集塵装置26には、粉塵だけでなく、発破により生じたガスや排出ガス等のガスも処理可能な装置も含むものとする。
【0036】
本実施例において、集塵装置26も制御部14に電気的に接続されている。そして、制御部14は、集塵装置26における粉塵等を含んだ気体の吸入量を調整可能である。本実施例において、集塵装置26は、換気装置24と同様に4段階に気体の吸入量を調整可能に設定されている。すなわち、制御部14は、集塵装置26において、その吸入量、すなわち集塵装置26の換気レベルを低速レベル、中速レベル、高速レベル、最大レベルで設定可能である。本実施例において、集塵装置26を使用する換気方法である希釈封じ込め方式のみならず、吸引伸縮風管を用いる吸引捕集方式における換気方式も含まれる。
【0037】
<トンネルの坑内における作業の概要>
次に、
図1から
図6を参照して、トンネル10の坑内における作業の概要について説明する。本実施例における制御部14は、入坑者34及び工事車両38の少なくとも一方の位置情報と、作業機械48の電流値とに基づいて換気装置24及び集塵装置26の換気レベルを制御することが可能である。
【0038】
なお、本実施例では、一例として通信端末36を備える入坑者34と工事車両38のうち、不図示の受信ユニットは、入坑者34はトンネル10の掘削作業に従事する作業員と、工事車両38はダンプトラック40及びトラックミキサ42の通信端末36の位置情報のみを収集し、受信した位置情報を制御部14に送信して、換気装置24及び集塵装置26の制御に利用している。例えば、入坑者34と工事車両38の備える通信端末36の個別の識別IDにより、入坑者34と工事車両38の種類を判断して収集し、受信した位置情報を制御部14に送信して、換気装置24及び集塵装置26の制御に利用している。
【0039】
また、本実施例において、作業機械48の電流値とは、より具体的には、電気を動力として用いて稼働する作業機械、排出ガスを発生させるドリルジャンボ28と、粉塵が多く発生する作業に使用するコンクリート吹付機30の電流値を意味している。ここで、ドリルジャンボ28及びコンクリート吹付機30の電流値には、それぞれ閾値が設定されている。
【0040】
なお、本実施例において、環境制御システム12は、入坑者34、ダンプトラック40、トラックミキサ42のトンネル10の坑内における位置情報、ドリルジャンボ28及びコンクリート吹付機30の電流値を制御パラメーターとしている。そして、これらの制御パラメーターのいくつかが満たされると、制御部14は、現在トンネル10の坑内で作業されている工程が制御パラメーターの組み合わせに応じた作業工程であると判断する。
【0041】
ここで、
図1は、トンネル10の坑内において定常作業の一つである穿孔及び装薬作業の状態を示している。以下、トンネル10の坑内における定常作業の順に沿って説明する。
図1において入坑者34が切羽区間10a及びその他の区間10bに位置するとともにドリルジャンボ28が電源装置20に接続され、稼働状態となると、制御部14は制御パラメーターの組み合わせの中から対応する作業工程を選び出し、この場合では穿孔及び装薬作業が行われていると判断する。そして、制御部14は、換気装置24及び集塵装置26を運転する。
【0042】
切羽区間10aの先端においてドリルジャンボ28が発破用の爆薬を装薬するための穴の穿孔(穿孔作業)が完了すると、工事車両38の一つである不図示の火薬運搬車がトンネル10坑内に入坑し、切羽区間10aまで移動する。そして、入坑者34が火薬運搬車によって運ばれた爆薬を、ドリルジャンボ28により穿孔された穴の中にセットする(装薬作業)。そして、ドリルジャンボ28を切羽区間10aから退避させて、トンネル10の坑内における駐車位置にドリルジャンボ28を停止させる。その結果、切羽区間10a及びその他の区間10bに入坑者34が位置する状態となる。すなわち、発破工程における制御パラメーターが満たされた状態となる。これにより、制御部14は、作業工程が穿孔・装薬作業から発破作業に移行したと判断する。そして、入坑者34は安全確認後、
図2で表されるように、切羽区間10aの先端に仕掛けられた爆薬を爆発させる(発破作業)。この際、爆薬の爆発によりガスが発生する。
【0043】
次いで、
図3で表されるように、トンネル10の抗内にダンプトラック40が入坑し、切羽区間10aまで移動する。すると、制御部14は切羽区間10aにおけるダンプトラック40の位置情報を受信する。その結果、切羽区間10aにダンプトラック40が位置するとともに、切羽区間10a及びその他の区間10bに入坑者34が位置する状態となる。つまり、ずり出し作業における制御パラメーターを満たした状態となる。そして、制御部14は、発破作業からずり出し作業に移行したと判断する。また、
図3で表されるように、切羽区間10aにダンプトラック40が位置するとバックホウ50により、発破により崩された岩や土砂の積み込みが始まる。この作業により、切羽区間10aには、ダンプトラック40及びバックホウ50のエンジンから排出される排出ガスや、岩や土砂等による粉塵が発生する。
【0044】
次いで、切羽区間10aから岩や土砂を積み込んだダンプトラック40がトンネル10の坑外に向けて移動すると、制御部14は切羽区間10a及びその他の区間10bに入坑者34が位置する状態を認識する。すなわち、こそく作業における制御パラメーターが満たされた状態となる。なお、ここで、こそく作業と発破作業のパラメーターは同じであるが、一例として制御部14は記憶部16に記憶されている定常作業の順番、及び直前の工程でダンプトラック40の位置情報を得ていることから現在の作業がこそく作業であると判断する。
図4で表されるこそく作業では、大型ブレーカー52により切羽区間10aの先端や側面の地肌の整形が成される。この際、掘削岩の破砕微紛が発生する。
【0045】
次いで、大型ブレーカー52が切羽区間10aから退避し、その後、
図5で表されるように、切羽区間10aにトラックミキサ42が位置し、コンクリート吹付機30が稼働状態となると、制御部14は、こそく作業から吹付作業に移行したと判断する。
【0046】
次いで、コンクリート吹付機30が切羽区間10aから退避して停止状態となった後、
図6で表されるように入坑者34が切羽区間10a及びその他の区間10bに位置するとともにドリルジャンボ28が電源装置20に接続されて稼働状態となると、制御部14は、吹付作業からロックボルト作業に移行したと判断する。その後、切羽区間10aの先端においてドリルジャンボ28によりトンネル10の壁面から外周方向に向かって土中にロックボルト56を打設する。そして、ロックボルト作業が終了すると、そのまま、穿孔及び装薬作業(
図1参照)に移行する。
【0047】
なお、ロックボルト作業とともに、または、ロックボルト作業の実行前に、吹付作業を適宜行いながら支保工54を組み立てる支保工組立作業を行ってもよい。ここで、支保工組立作業を行う場合、支保工組立作業とロックボルト作業の制御パラメーターの条件を同じとしてもよいが、その場合、一例として制御部14は、コンクリート吹付機30の稼働回数に基づいて、現在の作業がどちらの作業であるかを判断することができる。また、本実施例において、火薬運搬車(不図示)に通信端末36を備えてもよい。これにより、火薬運搬車がトンネル10坑内に入坑し、切羽区間10aに位置することで作業工程が少なくともロックボルト作業から穿孔及び装薬作業に切り換わったことを制御部14が判断可能となる。
【0048】
上記のように、本実施例の環境制御システム12は、トンネル10の坑内の環境を制御する制御部14と、トンネル10の坑内に配置される送風管46と、送風管46に対して送風するファン44と、トンネル10の坑内に配置され二酸化炭素濃度を検出可能な二酸化炭素濃度計22と、を備えている。そして、制御部14は、二酸化炭素濃度計22により検出された二酸化炭素濃度に基づいて、
図1の穿孔及び装薬作業、
図2の発破作業、
図3のずり出し作業、
図4のこそく作業、
図5の吹付作業及び
図6のロックボルト作業の各作業において、ファン44の出力を調整することが可能に構成されている。このため、本実施例の環境制御システム12は、換気用のファン44を駆動することでトンネル10の坑内の二酸化炭素濃度の上昇を抑制することができるとともに、トンネル10の坑内の二酸化炭素濃度に基づいてファン44の出力を好適に調整して効率化することで環境負荷を低減することができる。そこで、以下に、本実施例の環境制御システム12を使用して実行可能な、制御部14によるトンネル10の坑内の二酸化炭素濃度の上昇を抑制することなどを目的とした環境制御方法の具体的な一実施例について、
図7及び
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
<制御部による環境制御方法の実施例>
本実施例の環境制御方法は、
図1の穿孔及び装薬作業、
図2の発破作業、
図3のずり出し作業、
図4のこそく作業、
図5の吹付作業及び
図6のロックボルト作業の各作業において、各作業の開始前、各作業中、各作業の終了後、のいずれにおいても実行され得る。別の表現をすると、
図7のフローチャートで表される本実施例の環境制御方法は、各作業の開始前、各作業中、各作業の終了後、の所望の期間中において、連続して繰り返し実行され得る。ただし、各作業のうちの例えば二酸化炭素の排出量の多い傾向にあるずり出し作業においてのみ本実施例の環境制御方法を実行することもできる。また、逆に、各作業のうちの例えば二酸化炭素の排出量の少ない傾向にある穿孔及び装薬作業やロックボルト作業以外において本実施例の環境制御方法を実行することもできる。
【0050】
本実施例の環境制御方法を開始すると、最初に、ステップS110で、制御部14は、各二酸化炭素濃度計22における二酸化炭素などのガス及び粉塵濃度の検出結果を入力する。上記のように、本実施例の環境制御システム12は、複数の二酸化炭素濃度計22を備えており、各々の二酸化炭素濃度計22は、二酸化炭素濃度に加え、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度を検出することが可能である。このため、ステップS110では、制御部14は、二酸化炭素濃度に加え、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の検出結果も入力する。
【0051】
次に、ステップS120で、制御部14は、各々の二酸化炭素濃度計22においてステップS110で検出した、二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、メタン濃度などの各ガス濃度、並びに、粉塵濃度のうち、二酸化炭素濃度以外のガス濃度及び粉塵濃度に関して、その値が閾値未満か否かを判断する。なお、各々のガス濃度及び粉塵濃度は、記憶部16に記憶されている。ステップS120で二酸化炭素濃度以外のガス濃度及び粉塵濃度のすべてが閾値未満と制御部14が判断した場合は、ステップS130に進む。一方、ステップS120で二酸化炭素濃度以外のガス濃度及び粉塵濃度のうちのいずれか1つでも閾値未満ではないと制御部14が判断した場合は、ステップS220に進む。なお、
図1から
図6で表されるように、本実施例の環境制御システム12は、トンネル10の延びる方向におけるトンネル10の坑内の複数の位置に二酸化炭素濃度計22を備えている。そして、制御部14は、複数の二酸化炭素濃度計22のうちの最も高いガス濃度、並びに、粉塵濃度の検出結果に基づいてステップS120の判断をする。
【0052】
ステップS130では、制御部14は、ステップS110で検出した各々の二酸化炭素濃度計22における二酸化炭素濃度が1000ppm未満か否かを判断する。ステップS130で各々の二酸化炭素濃度計22のいずれも二酸化炭素濃度が1000ppm未満と制御部14が判断した場合は、ステップS140に進む。ステップS140では、制御部14は、警告灯18を青色に点灯させるよう制御する。そして、その後、ステップS150に進み、制御部14は、換気用のファン44を低速レベルで駆動させ、本実施例の環境制御方法のフローを終了する。一方、ステップS130で各々の二酸化炭素濃度計22のうち二酸化炭素濃度が1000ppm以上のものがあると制御部14が判断した場合は、ステップS160に進む。
【0053】
ステップS160では、制御部14は、ステップS110で検出した各々の二酸化炭素濃度計22における二酸化炭素濃度が2000ppm未満か否かを判断する。ステップS160で各々の二酸化炭素濃度計22のいずれも二酸化炭素濃度が2000ppm未満と制御部14が判断した場合は、ステップS170に進む。ステップS170では、制御部14は、警告灯18を緑色に点灯させるよう制御する。そして、その後、ステップS180に進み、制御部14は、換気用のファン44を中速レベルで駆動させ、本実施例の環境制御方法のフローを終了する。一方、ステップS160で各々の二酸化炭素濃度計22のうち二酸化炭素濃度が2000ppm以上のものがあると制御部14が判断した場合は、ステップS190に進む。
【0054】
ステップS190では、制御部14は、ステップS110で検出した各々の二酸化炭素濃度計22における二酸化炭素濃度が5000ppm未満か否かを判断する。ステップS190で各々の二酸化炭素濃度計22のいずれも二酸化炭素濃度が5000ppm未満と制御部14が判断した場合は、ステップS200に進む。ステップS200では、制御部14は、警告灯18を黄色に点灯させるよう制御する。そして、その後、ステップS210に進み、制御部14は、換気用のファン44を高速レベルで駆動させ、本実施例の環境制御方法のフローを終了する。一方、ステップS190で各々の二酸化炭素濃度計22のうち二酸化炭素濃度が5000ppm以上のものがあると制御部14が判断した場合は、ステップS220に進む。ステップS220では、制御部14は、警告灯18を赤色に点灯させるよう制御する。そして、その後、ステップS230に進み、制御部14は、換気用のファン44を最大レベルで駆動させ、本実施例の環境制御方法のフローを終了する。
【0055】
次に、
図8のフローチャートで表される環境制御方法の実施例について説明する。
図8のフローチャートで表される環境制御方法の各ステップは、
図7のフローチャートで表される環境制御方法の各ステップと同様のステップを含んであり、各ステップの順番が一部異なるだけである。このため、各ステップの詳細の説明は省略する。
図8のフローチャートで表される環境制御方法においては、ステップS150の終了に伴い本実施例の環境制御方法のフローを終了するとともに、ステップS180、ステップS210、ステップS230の終了に伴いステップS120に戻る。すなわち、
図8のフローチャートで表される環境制御方法は、二酸化炭素濃度に応じてファン44を駆動しつつ最終的にファン44を低速で駆動するように制御する。
【0056】
図1から
図6で表されるように、本実施例の環境制御システム12は、トンネル10の延びる方向におけるトンネル10の坑内の複数の位置に二酸化炭素濃度計22を備えている。このため、本実施例の環境制御システム12は、トンネル10の坑内において二酸化炭素の濃度が高い場所が一部に発生してもそのことを好適に検出でき、その場所における二酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる。
【0057】
また、本実施例の環境制御システム12においては、ステップS130、ステップS160及びステップS190において、制御部14は、複数の二酸化炭素濃度計22のうちの最も高い二酸化炭素濃度の検出結果に基づいてファン44の出力を調整する。このため、本実施例の環境制御システム12は、トンネル10の坑内の全体において二酸化炭素濃度が所定の濃度よりも上昇することを効果的に抑制することができる。
【0058】
ただし、このような方法に限定されない。例えば、複数の二酸化炭素濃度計22の二酸化炭素濃度の検出結果の平均値を求め、該平均値を基準にファン44の出力を調整してもよい。さらに、二酸化炭素濃度計22の二酸化炭素濃度の検出結果に加えて、環境制御システム12全体の消費電力量や作業機械48全体の駆動状況などから二酸化炭素濃度を算出し、その算出結果に基づく補正などを行いながら、ファン44の出力を調整してもよい。
【0059】
また、上記のように、本実施例の二酸化炭素濃度計22は、二酸化炭素濃度に加え、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の検出も可能なものとなっている。すなわち、本実施例の環境制御システム12は、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つを検出可能な検出部を備えていると言える。そして、上記ステップS120及びステップS230で表されるように、制御部14は、検出部としての二酸化炭素濃度計22での一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つの検出結果が予め定められた閾値を超える場合は、二酸化炭素濃度計22の二酸化炭素濃度の検出結果に拘らずファン44の出力を最大にする。このため、本実施例の環境制御システム12は、人体に対する毒性の高い一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つの検出結果が予め定められた閾値を超える場合に、一酸化炭素濃度、メタン濃度及び粉塵濃度の少なくともいずれか1つの濃度の上昇を抑制することができる。
【0060】
ここで、制御部14は、二酸化炭素濃度が1000ppm未満の場合に低速レベルである1000(m3/min)、二酸化炭素濃度が1000ppm以上2000ppm未満の場合に中速レベルである1600(m3/min)、二酸化炭素濃度が2000ppm以上5000ppm未満の場合に高速レベルである2000(m3/min)、二酸化炭素濃度が5000ppm以上の場合に最大レベルである2400(m3/min)、と換気量がなるようにファン44の出力を調整する。これは、ファン44が送風管46内に発生させる風速をV(m/s)、送風管46の内径をA(m2)、二酸化炭素濃度計22の検出した二酸化炭素濃度をc(ppm)、空気密度をρ(Kg/m3)とした場合に、二酸化炭素の1秒当たりの排出量をV・A・ρ・c(mg/s)として計算し、該計算結果に基づくファン44の出力の調整方法に対応している。このようにファン44の出力を調整することで、高い精度でトンネル10の坑内の二酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる。
【0061】
詳細には、ファン44の送風量Qはトンネル10からの気体の排出量と同じであるとすると、Q=V・A(m3/s)となる。ただし、ファン44にインバータが内蔵されている場合は、インバータから送風量Qの値を導くこともできる。そして、トンネル工事に伴う二酸化炭素の濃度上昇分Δc(ppm)は、一般的な大気中の二酸化炭素濃度をc0(ppm)とした場合に、Δc(ppm)=c(ppm)-c0(ppm)となる。なお、c0(ppm)は、例えば一般的な大気中の二酸化炭素濃度の値である400ppmなどとして計算してもよいが、実際に二酸化炭素濃度を測定してその測定結果を用いてもよい。また、c(ppm)を質量濃度に変換すると、大気の密度をρ(mg/m3)とした場合、ρ・c(mg/m3)となる。すると、単位時間(1s)当たりの二酸化炭素の排出量はQ・ρ・c(mg/s)、すなわち、V・A・ρ・c(mg/s)となる。そして、サンプリングタイム(インターバル)をΔtとすると二酸化炭素の積算排出量はΣQ・ρ・c・Δt(mg)なる。
【0062】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
10…トンネル、10a…切羽区間、10b…切羽以外の区間、12…環境制御システム、14…制御部、16…記憶部、18…警告灯、20…電源装置、22…二酸化炭素濃度計(検出部)、24…換気装置、26…集塵装置、26a…吸引伸縮風管、28…ドリルジャンボ、30…コンクリート吹付機、32…電流計、34…入坑者、36…通信端末、38…工事車両、40…ダンプトラック、42…トラックミキサ、44…ファン、46…送風管、48…作業機械、50…バックホウ、52…大型ブレーカー、54…支保工、56…ロックボルト、58…照明、Y1…坑口