(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182370
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】不確かさ評価方法及び不確かさ評価装置
(51)【国際特許分類】
G21C 17/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G21C17/00 240
G21C17/00 230
G21C17/00 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095926
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 啓基
(72)【発明者】
【氏名】中里 道
(72)【発明者】
【氏名】浅野 耕司
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075CA08
2G075EA08
2G075FB07
2G075GA17
(57)【要約】
【課題】炉心設計において設計される炉心条件の範囲内において、何れの炉心であっても、核特性の不確かさを適切に評価する。
【解決手段】核特性の不確かさを評価する不確かさ評価方法であって、核特性の不確かさは、炉心設計コードの計算手法の不確かさを含み、計算手法の不確かさの計算では、炉心設計コードと、炉心設計コードよりも高次の解析コードが用いられ、計算コードへの入力パラメータとなる炉心設計の炉心条件のセットを、炉心条件のランダムサンプリングにより複数生成して取得するステップと、複数の炉心条件のセットに対して、炉心設計コードと解析コードとを用いて、コード毎に核特性計算値をそれぞれ算出するステップと、炉心設計コードで算出した核特性計算値と、解析コードで算出した核特性計算値との差分をセット毎にそれぞれ算出するステップと、算出した複数の差分を統計処理して、計算手法の不確かさを算出するステップと、を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉心設計における核特性の不確かさを評価する不確かさ評価方法であって、
前記核特性の不確かさは、前記核特性を算出する炉心設計コードの計算手法の不確かさを含んでおり、
前記計算手法の不確かさを計算する計算コードとしては、炉心設計に用いられる計算コードである前記炉心設計コードと、前記炉心設計コードよりも高次の計算コードである解析コードが用いられ、
前記計算コードへの入力パラメータとなる前記炉心設計の炉心条件のセットを、前記炉心条件のランダムサンプリングにより複数生成して取得するステップと、
前記複数の炉心条件のセットに対して、前記炉心設計コードと前記解析コードとを用いて、コード毎に核特性計算値をそれぞれ算出するステップと、
前記炉心設計コードで算出した前記核特性計算値と、前記解析コードで算出した前記核特性計算値との差分をセット毎にそれぞれ算出するステップと、
算出した前記複数の差分を統計処理して、前記計算手法の不確かさを算出するステップと、を実行する不確かさ評価方法。
【請求項2】
前記炉心設計の炉心条件として含まれる前記入力パラメータは、炉心状態に関する前記入力パラメータとして、出力レベル、燃料温度、制御棒挿入度、Naボイド率の少なくとも一つを含み、燃料組成に関する前記入力パラメータとして、Pu富化度、MA含有率、燃焼度の少なくとも一つを含む請求項1に記載の不確かさ評価方法。
【請求項3】
前記計算手法の不確かさを算出するステップにおいて算出される核特性は、中性子増倍率、Naボイド反応度、制御棒価値の少なくとも一つを含む請求項1に記載の不確かさ評価方法。
【請求項4】
前記核特性の不確かさは、前記核特性に対する核データの不確かさを含み、
前記核データの不確かさは、前記計算手法の不確かさに基づいて取得した前記核データに基づいて算出される請求項1に記載の不確かさ評価方法。
【請求項5】
炉心設計における核特性の不確かさを評価する不確かさ評価装置であって、
前記核特性の不確かさは、前記核特性を算出する炉心設計コードの計算手法の不確かさを含んでおり、
前記計算手法の不確かさを計算する計算コードとしては、炉心設計に用いられる計算コードである前記炉心設計コードと、前記炉心設計コードよりも高次の計算コードである解析コードが用いられ、
前記核特性の不確かさを算出する演算部を備え、
前記演算部は、
前記計算コードへの入力パラメータとなる前記炉心設計の炉心条件のセットを、前記炉心条件のランダムサンプリングにより複数生成して取得するステップと、
前記複数の炉心条件のセットに対して、前記炉心設計コードと前記解析コードとを用いて、コード毎に核特性計算値をそれぞれ算出するステップと、
前記炉心設計コードで算出した前記核特性計算値と、前記解析コードで算出した前記核特性計算値との差分をセット毎にそれぞれ算出するステップと、
算出した前記複数の差分を統計処理して、前記計算手法の不確かさを算出するステップと、を実行する不確かさ評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不確かさ評価方法及び不確かさ評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、核特性の不確かさを評価する評価方法として、計算手法を起因とする不確かさの評価方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1の評価方法では、複数の代表炉心を対象に、炉心設計コードと、より高次の計算手法に基づく解析コードによる核特性差異(バイアス)を算出し、これを定数倍(例えば、0.3倍)することで工学的に不確かさ(バラツキ)を推定している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】石川 眞、“核設計への応用:炉定数調整法”、[online]、2013年7月31日~8月2日、第45回炉物理夏期セミナー、30~32頁、[令和4年5月25日検索]、インターネット<URL:https://rpg.jaea.go.jp/else/rpd/seminar/appendix/Ishikawa.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、核特性差異は炉心条件により変動する。このため、非特許文献1の不確かさの評価方法では、代表炉心とは異なる炉心に対しても、上記の0.3倍で補正することになる。このため、非特許文献1の不確かさの評価方法では、異なる炉心に対する核特性の不確かさについて、代表炉心が異なる炉心をも包含するか否かの包含性、及び補正係数に対する妥当性において課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、炉心設計において設計される炉心条件の範囲内(炉心設計に用いられる計算コードである炉心設計コードの適用範囲内)において、何れの炉心であっても、核特性の不確かさを適切に評価することができる不確かさ評価方法及び不確かさ評価装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の不確かさ評価方法は、炉心設計における核特性の不確かさを評価する不確かさ評価方法であって、前記核特性の不確かさは、前記核特性を算出する炉心設計コードの計算手法の不確かさを含んでおり、前記計算手法の不確かさを計算する計算コードとしては、炉心設計に用いられる計算コードである前記炉心設計コードと、前記炉心設計コードよりも高次の計算コードである解析コードが用いられ、前記計算コードへの入力パラメータとなる前記炉心設計の炉心条件のセットを、前記炉心条件のランダムサンプリングにより複数生成して取得するステップと、前記複数の炉心条件のセットに対して、前記炉心設計コードと前記解析コードとを用いて、コード毎に核特性計算値をそれぞれ算出するステップと、前記炉心設計コードで算出した前記核特性計算値と、前記解析コードで算出した前記核特性計算値との差分をセット毎にそれぞれ算出するステップと、算出した前記複数の差分を統計処理して、前記計算手法の不確かさを算出するステップと、を実行する。
【0007】
本開示の不確かさ評価装置は、炉心設計における核特性の不確かさを評価する不確かさ評価装置であって、前記核特性の不確かさは、前記核特性を算出する炉心設計コードの計算手法の不確かさを含んでおり、前記計算手法の不確かさを計算する計算コードとしては、炉心設計に用いられる計算コードである前記炉心設計コードと、前記炉心設計コードよりも高次の計算コードである解析コードが用いられ、前記核特性の不確かさを算出する演算部を備え、前記演算部は、前記計算コードへの入力パラメータとなる前記炉心設計の炉心条件のセットを、前記炉心条件のランダムサンプリングにより複数生成して取得するステップと、前記複数の炉心条件のセットに対して、前記炉心設計コードと前記解析コードとを用いて、コード毎に核特性計算値をそれぞれ算出するステップと、前記炉心設計コードで算出した前記核特性計算値と、前記解析コードで算出した前記核特性計算値との差分をセット毎にそれぞれ算出するステップと、算出した前記複数の差分を統計処理して、前記計算手法の不確かさを算出するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、炉心設計において設計される炉心条件の範囲内(炉心設計コードの適用範囲内)において、何れの炉心であっても、核特性の不確かさを適切に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る不確かさ評価装置を模式的に表したブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る不確かさ評価方法において設計される炉心条件と核特性計算値とを示す説明図である。
【
図3】
図3は、炉心条件の入力パラメータを示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る計算手法の不確かさを評価する不確かさ評価方法に関するフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る核データの不確かさを評価する不確かさ評価方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0011】
[実施形態]
本実施形態に係る不確かさ評価方法及び不確かさ評価装置10は、炉心体系における核特性の不確かさを評価する方法及び装置となっている。評価対象となる炉心体系としては、例えば、設計段階における炉心体系である。ここで、炉心体系における核特性の不確かさは、核特性に対する核データの不確かさと、核特性を算出する計算手法の不確かさに起因している。このため、不確かさ評価方法及び不確かさ評価装置10では、核データと計算手法の不確かさに起因する核特性の不確かさを評価している。なお、以下の炉心体系では、高速増殖炉の炉心体系に適用して説明する。
【0012】
(不確かさ評価装置)
図1を参照して、不確かさ評価装置10について説明する。
図1は、本実施形態に係る不確かさ評価装置を模式的に表したブロック図である。不確かさ評価装置10は、演算部11と、記憶部12と、出力部13と、入力部14とを有している。
【0013】
演算部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路を含んでいる。演算部11は、炉心体系における核特性の不確かさを評価するための各種計算処理を実行している。記憶部12は、半導体記憶デバイス及び磁気記憶デバイス等の任意の記憶デバイスである。この記憶部12には、各種計算処理を実行するための各種プログラム、及び計算処理に用いられる各種データが記憶されている。各種プログラムとしては、核特性の不確かさを計算するための計算コードである。具体的に、計算コードとしては、炉心設計コードと解析コードとが用いられる。炉心設計コードは、炉心設計に用いられる計算コードであり、核特性計算コードとなっている。解析コードは、炉心設計コードよりも高次の計算コードとなっており、例えば、連続エネルギーモンテカルロコードである。また、各種データとしては、炉心設計コードへの入力パラメータとなる炉心設計の炉心条件、解析コードへの入力パラメータとなる核データ及び核データ共分散等である。出力部13は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。入力部14は、例えば、キーボード及びマウス等の入力デバイスである。
【0014】
(不確かさ評価方法)
次に、
図2から
図4を参照して、不確かさ評価装置10により実行される不確かさ評価方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る不確かさ評価方法において設計される炉心条件と核特性計算値とを示す説明図である。
図3は、炉心条件の入力パラメータを示す図である。
図4は、本実施形態に係る計算手法の不確かさを評価する不確かさ評価方法に関するフローチャートである。
【0015】
図2に示すように、不確かさ評価方法では、核特性を算出する計算手法の不確かさV
mを評価している。核特性としては、中性子増倍率(実効増倍率)、Naボイド反応度、制御棒価値等がある。
図4に示すように、不確かさ評価方法では、先ず、演算部11が、ランダムサンプリング法(無作為抽出法)に基づいて、炉心条件のセット(ケースNo.)C1~CNを、複数生成して取得する(ステップS1)。ステップS1では、
図3に示すように、炉心条件に含まれる入力パラメータとして、炉心状態に関する入力パラメータと、燃料組成に関する入力パラメータとを含んでいる。炉心状態に関する入力パラメータとしては、出力レベル、燃料温度、制御棒挿入度、Naボイド率である。燃料組成に関する入力パラメータとしては、Pu富化度、MA含有率、燃焼度である。なお、炉心条件に含まれる入力パラメータは、上記に特に限定されず、炉心設計の入力パラメータとなるものであれば、何れであってもよい。そして、ステップS1では、各入力パラメータにおいて予め設定される範囲内(炉心設計コードの適用範囲内)において、ランダムサンプリングを実行する。なお、上記の核特性及び入力パラメータは、炉心体系が高速増殖炉である場合であり、軽水炉等の異なる炉心体系である場合、異なる核特性及び入力パラメータを適用してもよい。
【0016】
続いて、不確かさ評価方法では、演算部11が、各ケースC1~CNの炉心条件に基づいて、炉心設計コードを用いて核特性計算値R1(D)~RN(D)を算出すると共に、解析コードを用いて核特性計算値R1(M)~RN(M)を算出する(ステップS2)。
【0017】
そして、不確かさ評価方法では、演算部11が、算出した核特性計算値R1(D)~RN(D)と、核特性計算値R1(M)~RN(M)との差分ΔR1~ΔRNを、複数のケースC1~CNのそれぞれにおいて算出する(ステップS3)。
【0018】
ステップS3の実行後、不確かさ評価方法では、演算部11が、算出したN個の差分ΔR1~ΔRNを統計処理して(ステップS4)、計算手法の不確かさVmを算出し、核特性の不確かさの評価結果として取得する(ステップS5)。ステップS4では、N個の差分ΔR1~ΔRNの平均値を平均差異として取得し、ステップS5では、平均差異からのばらつき、つまり、平均差異に対する各差分ΔR1~ΔRNの差異である相対差異の分布における標準偏差を、計算手法の不確かさVmとして取得する。また、ステップS5では、計算手法の不確かさVmを含む核特性の不確かさを評価結果として取得する。
【0019】
次に、
図5を参照して、計算手法の不確かさV
mに基づいて、核データの不確かさを低減する不確かさ評価方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る核データの不確かさを低減する不確かさ評価方法に関するフローチャートであり、
図4のS5の内容を具体的に示したものである。
【0020】
核データの不確かさは、計算手法の不確かさV
mを入力として評価することが可能であり、例えば、特願2021-098780に記載の手法を用いることができる。
図5に示すように、不確かさ評価方法では、先ず、演算部11が、
図4において算出した計算手法の不確かさV
mを取得する(ステップS11)。この後、不確かさ評価方法では、計算手法の不確かさV
mに基づいて、核データのランダムサンプリングによる核特性計算を実行する(ステップS12)。ステップS12では、演算部11が、核データ及び核データ共分散を、核データライブラリ(断面積ライブラリ)から取得し、計算手法の不確かさV
mに基づいて核データの共分散(不確かさ)を調整して、調整済みの核データ共分散を取得する。そして、ステップS12では、演算部11が、調整後の核データの共分散を用いて、核データのランダムサンプリングにより、核データの摂動量をM個算出し、M個の摂動量となる各核データに基づいてM個の核特性をそれぞれ算出する。
【0021】
そして、不確かさ評価方法では、演算部11が、算出したN個の核特性を統計処理して(ステップS13)、核特性の不確かさを算出し、評価結果として取得するステップS14を実行する。ステップS13では、N個の核特性の平均値に対する各核特性の差異を相対差異として取得し、ステップS14では、核特性の相対差異の分布における標準偏差を、核データの不確かさVnとして取得する。
【0022】
以上のように、本実施形態に記載の不確かさ評価方法及び不確かさ評価装置10は、例えば、以下のように把握される。
【0023】
第1の態様に係る不確かさ評価方法は、炉心設計における核特性の不確かさを評価する不確かさ評価方法であって、前記核特性の不確かさは、前記核特性を算出する炉心設計コードの計算手法の不確かさVmを含んでおり、前記計算手法の不確かさVmを計算する計算コードとしては、炉心設計に用いられる計算コードである前記炉心設計コードと、前記炉心設計コードよりも高次の計算コードである解析コードが用いられ、前記計算コードへの入力パラメータとなる前記炉心設計の炉心条件のセット(ケース)C1~CNを、前記炉心条件のランダムサンプリングにより複数生成して取得するステップS1と、前記複数の炉心条件のセットC1~CNに対して、前記炉心設計コードと前記解析コードとを用いて、コード毎に核特性計算値をそれぞれ算出するステップS2と、前記炉心設計コードで算出した前記核特性計算値R1(D)~RN(D)と、前記解析コードで算出した前記核特性計算値R1(M)~RN(M)との差分ΔR1~ΔRNをセット毎にそれぞれ算出するステップS3と、算出した前記複数の差分ΔR1~ΔRNを統計処理して、前記計算手法の不確かさVmを算出するステップS4、S5と、を実行する。
【0024】
この構成によれば、炉心設計コードと解析コードとを用いて算出した核特性計算値の差分から、計算手法の不確かさVmを算出することができる。このため、炉心条件の範囲内(炉心設計コードの適用範囲内)であれば、何れの炉心であっても、計算手法の不確かさVmを含む核特性の不確かさを適切に評価することができる。
【0025】
第2の態様として、第1の態様に係る不確かさ評価方法において、前記炉心設計の炉心条件として含まれる前記入力パラメータは、炉心状態に関する前記入力パラメータとして、出力レベル、燃料温度、制御棒挿入度、Naボイド率の少なくとも一つを含み、燃料組成に関する前記入力パラメータとして、Pu富化度、MA含有率、燃焼度の少なくとも一つを含む。
【0026】
この構成によれば、適切な入力パラメータを選定することができるため、炉心条件のセット数を増大させることなく、計算手法の不確かさVmに関する信頼度の向上を図ることができる。
【0027】
第3の態様として、第1または第2の態様に係る不確かさ評価方法において、前記計算手法の不確かさVmを算出するステップS4、S5において算出される核特性は、中性子増倍率、Naボイド反応度、制御棒価値の少なくとも一つを含む。
【0028】
この構成によれば、様々な核特性に対して計算手法の不確かさを評価することができる。
【0029】
第4の態様として、第1から第3のいずれか一つの態様に係る不確かさ評価方法において、前記核特性の不確かさは、前記核特性に対する核データの不確かさVnを含み、前記核データの不確かさVnは、前記計算手法の不確かさVmに基づいて取得した前記核データに基づいて算出される。
【0030】
この構成によれば、計算手法の不確かさVmに基づいて、核データの不確かさVnを低減することにより、核データの不確かさVnと計算手法の不確かさVmと含む核特性の不確かさを適切に評価することができる。
【0031】
第5の態様に係る不確かさ評価装置は、炉心設計における核特性の不確かさを評価する不確かさ評価装置10であって、前記核特性の不確かさは、前記核特性を算出する炉心設計コードの計算手法の不確かさVmを含んでおり、前記計算手法の不確かさVmを計算する計算コードとしては、炉心設計に用いられる計算コードである前記炉心設計コードと、前記炉心設計コードよりも高次の計算コードである解析コードが用いられ、前記核特性の不確かさを算出する演算部11を備え、前記演算部11は、前記計算コードへの入力パラメータとなる前記炉心設計の炉心条件のセットC1~CNを、前記炉心条件のランダムサンプリングにより複数生成して取得するステップS1と、前記複数の炉心条件のセットに対して、前記炉心設計コードと前記解析コードとを用いて、コード毎に核特性計算値をそれぞれ算出するステップS2と、前記炉心設計コードで算出した前記核特性計算値R1(D)~RN(D)と、前記解析コードで算出した前記核特性計算値R1(M)~RN(M)との差分ΔR1~ΔRNをセット毎にそれぞれ算出するステップS3と、算出した前記複数の差分ΔR1~ΔRNを統計処理して、前記計算手法の不確かさVmを算出するステップS4、S5と、を実行する。
【0032】
この構成によれば、炉心設計コードと解析コードとを用いて算出した核特性計算値の差分から、計算手法の不確かさVmを算出することができる。このため、炉心条件の範囲内(炉心設計コードの適用範囲内)であれば、何れの炉心であっても、計算手法の不確かさVmを含む核特性の不確かさを適切に評価することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 不確かさ評価装置
11 演算部
12 記憶部
13 出力部
14 入力部