(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182371
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B65F3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095930
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】山内 正輝
(72)【発明者】
【氏名】平田 裕起
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA05
3E024BA01
3E024CA04
3E024DA01
3E024DB03
3E024HA04
3E024HB10
3E024HC03
3E024HD10
(57)【要約】
【課題】塵芥投入箱を揺動させるアクチェータの取付け強度が高い塵芥収集車を提供することを課題とするものである。
【解決手段】塵芥収容箱12と、塵芥投入箱13と、シリンダ20を有し、前記塵芥投入箱12は側壁部材21を有し、当該側壁部材21に接続部材25を介して前記シリンダ20が接続されており、前記側壁部材21は、表板部材30と押さえ部材32を有し、前記表板部材30には開口、凹部、切り欠き部の少なくともいずれかがあり、当該開口、凹部、切り欠き部のいずれかの部位に接続部材25が配置され、さらに接続部材25の外側に押さえ部材32が配されていて当該押さえ部材32の少なくとも一部によって接続部材25の一部が覆われていることを特徴とする塵芥収集車1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱と、塵芥投入箱と、アクチェータを有し、塵芥収容箱は、一端側に塵芥排出口を有し、内部に塵芥を収納する塵芥収納空間を備え、塵芥投入箱は、塵芥収納空間内に塵芥を押し入れる積込装置を備え、塵芥投入箱は、塵芥収容箱の塵芥排出口側にヒンジを介して取り付けられており、塵芥投入箱と塵芥収容箱の間にアクチェータが接続されており、当該アクチェータを駆動することによって塵芥排出口が開閉される塵芥収集車において、
前記塵芥投入箱は側壁部材を有し、当該側壁部材に接続部材を介して前記アクチェータが接続されており、
前記側壁部材は、壁本体と押さえ部材を有し、前記壁本体には開口、凹部、切り欠き部の少なくともいずれかがあり、当該開口、凹部、切り欠き部のいずれかの部位に接続部材が配置され、さらに接続部材の少なくとも一部に押さえ部材が重ねられていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
塵芥収容箱と、塵芥投入箱と、アクチェータを有し、塵芥収容箱は、一端側に塵芥排出口を有し、内部に塵芥を収納する塵芥収納空間を備え、塵芥投入箱は、塵芥収納空間内に塵芥を押し入れる積込装置を備え、塵芥投入箱は、塵芥収容箱の塵芥排出口側にヒンジを介して取り付けられており、塵芥投入箱と塵芥収容箱の間にアクチェータが接続されており、当該アクチェータを駆動することによって塵芥排出口が開閉される塵芥収集車において、
前記塵芥投入箱は側壁部材を有し、当該側壁部材に接続部材を介して前記アクチェータが接続されており、
前記側壁部材は、表板部材と押さえ部材を有し、前記表板部材には開口、凹部、切り欠き部の少なくともいずれかがあり、当該開口、凹部、切り欠き部のいずれかの部位に接続部材が配置され、さらに接続部材の外側に押さえ部材が配されていて当該押さえ部材の少なくとも一部よって接続部材の一部が覆われていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
側壁部材は、表板と裏板を有し、表板には切り欠き部があり、当該切り欠き部に裏板の一部または全部が配されていて前記切り欠き部の縁と裏板によって凹部が形成されており、当該凹部に接続部材が配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
接続部材が押さえ部材に溶接されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記開口、凹部、切り欠き部のいずれかの縁に、接続部材が接していることを特徴とする請求項1又は2に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥を収集して運搬する塵芥収集車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭から排出される一般ごみや、飲食店等から排出される生ゴミ等を収集する装置として、塵芥収集車200が知られている。
塵芥収集車200は、
図6(a)の様に車両10に塵芥収集装置201を搭載したものである。
塵芥収集装置201は、塵芥を収容する塵芥収容箱202と、塵芥投入箱203によって構成されている。塵芥収容箱202は、
図6(b)の様に車両10の後端側に塵芥排出口208が開口した箱であり、他方の塵芥投入箱203は、塵芥収容箱202の開口部分(塵芥排出口208)を覆う位置にある。即ち塵芥投入箱203は、
図6(a)(b)の様に塵芥収容箱202を蓋するものであり、塵芥収容箱202と塵芥投入箱203とによって、略密閉された塵芥収納空間205が形成される。
そして塵芥投入箱203には、
図7の様に塵芥が投入される塵芥投入空間206と、塵芥投入空間206に投入された塵芥を塵芥収容箱202内の塵芥収納空間205に押し入れる積込装置207が内蔵されている。
【0003】
現在使用されている積込装置207,208は、「回転板式積込装置」と、「プレス式積込装置」に大別される。
回転板式積込装置207は、
図7の様に揺動式の押し込み板210と、回転板213とが組み合わされた構造のものである。
即ち回転板式積込装置207では、塵芥投入空間206内に回転板213がある。当該回転板213は、水平軸215を中心として回転する。
また押し込み板210は、回転板213の上部であって、塵芥投入箱203の後端側に設けられている。押し込み板210は、水平軸218を中心として、車両10の前後方向に揺動する。
【0004】
回転板式積込装置207では、
図7(a)の様に回転板213を回転させることによって、
図7(b)の様に塵芥投入空間206に投入された塵芥220を一定の高さにすくい上げる。そして
図7(c)の様に押し込み板210を揺動させ、押し込み板210の先端で回転板213の表面を拭い、塵芥220を塵芥収容箱202内の塵芥収納空間205内に押し入れる。
【0005】
一方、「プレス式積込装置」は、
図8の様に、スライド板209と、押し込み板251とが組み合わされた構造のものである。
即ちプレス式積込装置250では、斜め方向に昇降するスライド板209を有している。そしてスライド板209の先端に押し込み板251が設けられている。押し込み板251は、水平軸204を中心として揺動する。
【0006】
プレス式積込装置250では、
図8(a)の様に押し込み板251をスライド板209に対して180度以上に開いた姿勢にし、この姿勢の状態でスライド板209を降下し、押し込み板251を塵芥投入空間206に差し入れる。そしてこの状態で、押し込み板251を
図12(b)の様に時計方向に回転して塵芥7をすくう。その後に、
図8(c)の様にスライド板209を上昇させ、塵芥7をすくった状態の押し込み板251を引き上げ、塵芥7を塵芥収納空間205内に押し入れる。
【0007】
いずれにしても、塵芥投入箱203は、
図6の様に、塵芥収容箱202にヒンジ230を介して取り付けられている。また塵芥投入箱203と塵芥収容箱202の間にはシリンダ231が取り付けられている。
塵芥収集車200は、
図6の様に、シリンダ231を伸縮することにより、塵芥投入箱203を揺動させて塵芥収容箱202の一端の塵芥排出口208を開閉することができる。
【0008】
従来技術の塵芥収集車200では、シリンダ231は、例えば
図9の様なブラケット(接続部材)300を介して塵芥投入箱203に接続されている。
ブラケット300は、取り付け座301とクレビス部302を有している。ブラケット300側のクレビス部302は、例えば二山クレビスであり、一対の支持板305a、305bにそれぞれ貫通孔306が設けられている。
シリンダ231は、ロット232の先端に一山クレビス307を有している。一山クレビス307には貫通孔がある。
そしてシリンダ231の一山クレビス307がブラケット300側の一対の305a、305bの間に挿入され、ブラケット300側の貫通孔306と、シリンダ231側の貫通孔にピン310が挿通され、シリンダ231のロット232がブラケット300に接続される。
【0009】
従来技術においては、ブラケット300は、単に塵芥投入箱203の側面に溶接されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
塵芥投入箱203は、ブラケット300の取り付け部分がシリンダ231に押されることによってヒンジ230を中心として回動し、塵芥収容箱202の端部の塵芥排出口208が開放される。
このとき、ブラケット300のクレビス部302は、相当の力で押圧される。クレビス部302は、取り付け座301に対して片持ち状に固定されているから、クレビス部302がシリンダ231によって押圧されることにより、取り付け座301にモーメントが生じ、取り付け座301の一部に側壁部材側に押し付けられる力が掛かり、取り付け座301の他の一部には、側壁部材側から浮き上がる方向に力が掛かる。その結果、取り付け座301が弾性変形し、溶接部分に応力集中や繰り返し応力が掛かる懸念があった。
【0012】
この様に、従来技術の塵芥収集車では、シリンダ231を取り付けるブラケット300は、前記した様に、単に塵芥投入箱203の側面に溶接されていただけであり、取り付け強度に不安があった。
本発明は、上記した課題を解決するものであり、塵芥投入箱を揺動させるアクチェータの取付け強度が高い塵芥収集車を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するための態様は、塵芥収容箱と、塵芥投入箱と、アクチェータを有し、塵芥収容箱は、一端側に塵芥排出口を有し、内部に塵芥を収納する塵芥収納空間を備え、塵芥投入箱は、塵芥収納空間内に塵芥を押し入れる積込装置を備え、塵芥投入箱は、塵芥収容箱の塵芥排出口側にヒンジを介して取り付けられており、塵芥投入箱と塵芥収容箱の間にアクチェータが接続されており、当該アクチェータを駆動することによって塵芥排出口が開閉される塵芥収集車において、前記塵芥投入箱は側壁部材を有し、当該側壁部材に接続部材を介して前記アクチェータが接続されており、前記側壁部材は、壁本体と押さえ部材を有し、前記壁本体には開口、凹部、切り欠き部の少なくともいずれかがあり、当該開口、凹部、切り欠き部のいずれかの部位に接続部材が配置され、さらに接続部材の少なくとも一部に押さえ部材が重ねられていることを特徴とする塵芥収集車である。
【0014】
本態様の塵芥収集車では、側壁部材の壁本体に開口、凹部、切り欠き部のいずれかがあり、接続部材は、当該開口、凹部、切り欠き部のいずれかの部位に配置されている。
また、本態様の塵芥収集車では、接続部材の少なくとも一部に押さえ部材が重ねられている。そのため接続部材の浮き上がり方向の変位が押さえ部材によって阻止される。そのため、溶接部分に応力集中が生じたり、繰り返し応力が掛かることが防がれる。
押さえ部材は、接続部材に直接重ねられていても良いし、両者の間に何らかの部材が介在されていてもよい。
【0015】
上記した課題を解決するためのもう一つの態様は、塵芥収容箱と、塵芥投入箱と、アクチェータを有し、塵芥収容箱は、一端側に塵芥排出口を有し、内部に塵芥を収納する塵芥収納空間を備え、塵芥投入箱は、塵芥収納空間内に塵芥を押し入れる積込装置を備え、塵芥投入箱は、塵芥収容箱の塵芥排出口側にヒンジを介して取り付けられており、塵芥投入箱と塵芥収容箱の間にアクチェータが接続されており、当該アクチェータを駆動することによって塵芥排出口が開閉される塵芥収集車において、前記塵芥投入箱は側壁部材を有し、当該側壁部材に接続部材を介して前記アクチェータが接続されており、前記側壁部材は、表板部材と押さえ部材を有し、前記表板部材には開口、凹部、切り欠き部の少なくともいずれかがあり、当該開口、凹部、切り欠き部のいずれかの部位に接続部材が配置され、さらに接続部材の外側に押さえ部材が配されていて当該押さえ部材の少なくとも一部によって接続部材の一部が覆われていることを特徴とする塵芥収集車である。
【0016】
本態様の塵芥収集車では、側壁部材に開口、凹部、切り欠き部のいずれかがあり、接続部材は、当該開口、凹部、切り欠き部のいずれかの部位に配置されている。
また、本態様の塵芥収集車では、接続部材の外側に押さえ部材が配されていて当該押さえ部材によって接続部材の一部が覆われている。そのため接続部材の浮き上がり方向の変位が押さえ部材によって阻止される。そのため、溶接部分に応力集中が生じたり、繰り返し応力が掛かることが防がれる。
押さえ部材は、接続部材に直接重ねられていても良いし、両者の間に何らかの部材が介在されていてもよい。
【0017】
上記した態様において、側壁部材は、表板と裏板を有し、表板には切り欠き部があり、当該切り欠き部に裏板の一部または全部が配されていて前記切り欠き部の縁と裏板によって凹部が形成されており、当該凹部に接続部材が配されていることが望ましい。
【0018】
本態様の塵芥収集車では、接続部材の沈み方向の変位が裏板によって阻止される。そのため、溶接部分に応力集中が生じたり、繰り返し応力が掛かることが防がれる。
【0019】
上記した態様において、接続部材が押さえ部材に溶接されていることが望ましい。
【0020】
本態様の塵芥収集車では、接続部材が押さえ部材に溶接されているので、接続部材と押さえ部材の間の隙間が小さくなる。あるいは接続部材と押さえ部材の間の隙間がなくなる。また接続部材と押さえ部材が強固に接続される。
【0021】
上記した態様において、前記開口、凹部、切り欠き部のいずれかの縁に、接続部材が接していることが望ましい。
【0022】
本態様によると、接続部材が受ける面方向の荷重を側壁部材全体で負担することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の塵芥収集車は、塵芥投入箱を揺動させるアクチェータの取付け強度が高く、頑丈である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態の塵芥収集車の側面図である。
【
図2】(a)は、
図1の拡大図であり、(b)は、(a)の図からシリンダ及びブラケットのクレビス部を省略した拡大図であり、ブラケットの座部と表板及び押さえ部材の位置関係を示す。
【
図3】
図1の塵芥収集装置の接続部材を含む側壁部材の分解斜視図である。
【
図4】
図1の塵芥収集装置の側壁部材の接続部材の取付け部分の断面図である。
【
図5】(a)は、
図1の塵芥収集装置のブラケット(接続部材)とシリンダの接続部分の斜視図であり、(b)は、ブラケットの取り付け座の正面図である。
【
図6】従来技術及び本発明の実施形態の塵芥収集車の側面図であり、(a)は、塵芥収容箱の塵芥排出口を塵芥投入箱で塞いだ状態を示し、(b)は、塵芥投入箱を揺動させて塵芥収容箱の塵芥排出口を開いた状態を示す。
【
図7】従来技術及び本発明の塵芥収集車の壁板と押し込み板及び回転板周辺の要部断面図であり、(a)は回転板が準備姿勢であり、且つ押し込み板の下端側が後端側に退避している状態を示し、(b)は回転板が回転して塵芥をすくい上げ、押し込み板の下端側が後端側に退避している状態を示し、(c)は、押し込み板の下端側が前方に移動して塵芥を塵芥収容箱側に押し込んだ状態を示す。
【
図8】従来技術の塵芥収集車のスライド板と押し込み板周辺の要部断面図であり、(a)はスライド板を降下した状態を示し、(b)はスライド板を塵芥投入空間に差し入れて押し込み板を回動し塵芥をすくった状態を示し、(c)はスライド板を引き上げて塵芥を塵芥収容箱側に押し込んだ状態を示す。
【
図9】(a)は従来技術の塵芥収集車における塵芥投入箱を開閉するシリンダの取付け部分を示す斜視図であり、(b)はブラケット(接続部材)とシリンダの接続部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明の実施形態について説明する。なお以下の説明において、前後の関係は、車両の前後に合わせ、運転席が前であり、塵芥投入箱13側が後ろである。また上下の関係は、各部材が正規の位置に取り付けられ、且つ塵芥投入箱13によって塵芥収容箱12の塵芥排出口15が封鎖されている姿勢を基準とする。
本実施形態の塵芥収集車1の基本構成は、従来技術と何ら変わるものではない。即ち本実施形態の塵芥収集車1は、
図1の様に、車両10に塵芥収集装置11が搭載されたものである。塵芥収集装置11は、従来技術と同様に、塵芥を収容する塵芥収容箱12と、塵芥投入箱13によって構成されている。
一方の塵芥収容箱12は、
図1,
図6(b)の様に、車両10の後端側が開口した箱である。即ち塵芥収容箱12は、後端に大きな塵芥排出口15があり、当該塵芥排出口15を除く5面が頑丈な鋼板によって覆われた構造をしている。本実施形態では、塵芥収容箱12の中に塵芥収納空間16が形成されている。
【0026】
塵芥投入箱13は、
図2の様に、塵芥収容箱12の後端にヒンジ8によって取り付けられており、従来技術と同様に、シリンダ20を駆動することによって、塵芥排出口15を蓋した姿勢と、塵芥排出口15を開放する姿勢をとることができる。
【0027】
本実施形態で採用する塵芥投入箱13は、回転板式積込装置又はプレス式積込装置を採用するものである。回転板式積込装置の構造および機能は、
図7に示す従来技術のものと同じであり、内部に揺動式の押し込み板2と、回転板3と、塵芥投入槽(塵芥投入空間)206が内蔵されている。
プレス式積込装置の構造および機能は、
図8に示す従来技術のものと同じである。
【0028】
塵芥投入箱13は、左右に側壁部材21が設けられている。そして当該側壁部材21にブラケット(接続部材)25が取り付けられ、ブラケット25にシリンダ20のロッド26が接続されている。
以下、側壁部材21及びブラケット25の構造について説明する。
【0029】
本実施形態の側壁部材21は、
図3の様に、壁本体5と、押さえ部材32を有している。さらに壁本体5は、表板部材30と裏板部材31を有している。
表板部材30は、塵芥投入箱13の外側面の大半を構成する部材である。塵芥投入箱13に組み込まれた姿勢を基準として、後側の辺33は、やや後方に向かう膨らみを有している。表板部材30の下辺側35には切り欠き36a、36bがある。塵芥収容箱12側の辺37は傾斜辺となっている。
表板部材30の上部側の領域には切り欠き部38がある。切り欠き部38の縁は、略垂直辺40と、急傾斜辺41と、緩傾斜辺42によって構成されている。急傾斜辺41と緩傾斜辺42の間には角部45がある。表板部材30の角部45は、内側にへこんだ凹状の角である。
表板部材30の塵芥収容箱12側の辺37と、切り欠き部38の略垂直辺40の間の領域は、取付け姿勢を基準として上部側に突出する突出部43となっている。
【0030】
裏板部材31は、塵芥投入箱13の内壁を構成する部材であり、塵芥投入箱13の側面と略同じ形状の金属板である。裏板部材31の面積は、表板部材30よりも大きい。裏板部材31は、表板部材30の全体と、切り欠き部38の領域を覆うことができる。
裏板部材31は、表板部材30の裏面側に配されている。前記した様に、裏板部材31は、表板部材30よりも大きく、表板部材30の全体と、切り欠き部38の領域を覆うものであるから、表板部材30と裏板部材31を一体化した状態においては、表板部材30の切り欠き部38の裏が裏板部材31によって塞がれる。そのため、表板部材30と裏板部材31を一体化して構成される壁本体5は、
図4の様に、表板部材30の切り欠き部38に相当する領域に底58があり、凹状となっている。
即ち壁本体5は、表面に凹部6がある。
【0031】
押さえ部材32は、正面形状が弓型の板である。即ち押さえ部材32は、
図3の様に、上辺構成部46と、傾斜部47を有し、傾斜部47は上辺構成部46に対して斜め方向にのびている。
上辺構成部の下辺には、円弧状の切り欠き部48がある。
【0032】
ブラケット25は、
図5に示すように、取り付け座50とクレビス部51を有している。取り付け座50とクレビス部51は一体的に溶接されているが、作図の関係上、
図5では分離して図示している。
図5では、ブラケット25が取り付けられた姿勢を基準として図示している。
【0033】
取り付け座50は、座部52の一部に周壁部68が設けられたものである。
取り付け座50のクレビス部51が突出する側の面が、ブラケット(接続部材)25の外側70である。
座部52は、
図5(b)様に、いびつな形状の略五角形の板である。座部52は、
図5の様に取り付け姿勢を基準として下部側には急傾斜辺53と、緩傾斜辺55がある。急傾斜辺53と緩傾斜辺55の間には角部56がある。座部52の角部56は、外側に突出した凸状の角である。
座部52の急傾斜辺53と、緩傾斜辺55がなす角度は、表板部材30の切り欠き部38の急傾斜辺41と、緩傾斜辺42がなす角度と等しい。
座部52の後ろ側の辺57は、取り付け姿勢を基準として略垂直である。座部52の上辺は山形をなしている。
座部52の厚さは、表板部材30の厚さよりも薄い。
【0034】
座部52の下部側の辺と後ろ側の辺57には、周壁部68が設けられている。即ち座部52の急傾斜辺53と、緩傾斜辺55及び後ろ側の辺57は、周壁部68で縁どられている。
【0035】
クレビス部51は、従来技術と同様の二山クレビスであり、取り付け軸67に一対の支持板60a、60bにそれぞれ貫通孔61が設けられている。
クレビス部51は、座部52に溶接されていて一体不可分である。
【0036】
次に側壁部材21とブラケット25の関係について説明する。
側壁部材21の壁本体5は、前記した様に、表板部材30と裏板部材31を一体化して構成されており、表板部材30の切り欠き部38に相当する領域が凹状(凹部6)となっている。
本実施形態では、切り欠き部38に相当する凹状領域(凹部6)に、ブラケット25が配されている。具体的には、
図2の様に、ブラケット25の座部52の凸条の角部56が、表板部材30の凹部6の角部45と係合する位置にブラケット25が配されている。
【0037】
その結果、ブラケット25の急傾斜辺53が、表板部材30の急傾斜辺41と当接し、ブラケット25の緩傾斜辺55が、表板部材30の緩傾斜辺42と当接する。
前記した様に、座部52の急傾斜辺53と、緩傾斜辺55及び後ろ側の辺57が周壁部68で縁どられているので、ブラケット25の周壁部68が表板部材30の切り欠き部38の縁と接する。ブラケット25の座部52の厚さは、表板部材30の厚さよりも薄いが、表板部材30との当接領域に周壁部68があるので、ブラケット25の座部52と表板部材30の切り欠き部38の縁との間には十分な接触面積が確保されている。
またブラケット25の座部52の底面は、裏板部材31と接している。
【0038】
本実施形態の塵芥収集車1では、ブラケット25は、表板部材30と裏板部材31に溶接されている。具体的には、表板部材30の切り欠き部38の縁と、ブラケット25の周壁部68が溶接によって接合されている。またブラケット25の座部52の周囲と、裏板部材31との間も溶接されている。
【0039】
本実施形態の塵芥収集車1では、
図2、
図4の様に、さらにブラケット25の外側に押さえ部材32が配されていて当該押さえ部材32によってブラケット25の一部71(
図2、
図4参照)が覆われている。
即ち、押さえ部材32は、
図2の様に、表板部材30の突出部43と、表板部材30の後側の辺33の近傍との間にかけ渡されており、表板部材30の切り欠き部38の取付け姿勢を基準として上方領域を跨いでいる。
図2、
図4の様に、押さえ部材32の円弧状の切り欠き部48が、ブラケット25のクレビス部51の取り付け軸67を取り巻く位置にあり、ブラケット25の取り付け座50の外側70であって、取り付け軸67の上方領域(一部71)に、上辺構成部46が直接的に重なっている。
そしてブラケット25の取り付け座50と、押さえ部材32と切り欠き部38の間が溶接されている。
【0040】
シリンダ20は、
図1、
図2の様に、シリンダエンド側が塵芥収容箱12にピン65を介して接続されている。またシリンダ20のロッド26が塵芥投入箱13のブラケット25に接続されている。シリンダ20のロッド26とブラケット25との接続構造は、従来技術と同様であり、シリンダ20のロッド26に一山クレビス27があり、ブラケット25側の貫通孔28と、シリンダ20側の貫通孔にピンが挿通され、シリンダ20のロッド26がブラケット25に接続されている。
【0041】
本実施形態の塵芥収集車1では、シリンダ20を伸ばして塵芥投入箱13を押し、ヒンジ8を中心として塵芥投入箱13を回動させることによって、塵芥収容箱12の塵芥排出口15を開く。
ここで、シリンダ20を伸ばすことによって、ブラケット25が強く押され、ブラケット25にモーメントが生じる。
そのため、ブラケット25のクレビス部51の取り付け軸67を境として、シリンダ20のエンド、即ち塵芥収容箱12に取り付けられたピン65側の領域に浮き上がり方向の荷重が掛かり、取り付け軸67を境としてピン65から遠ざかる領域の沈み方向の荷重がかかる。
これに対して本実施形態の塵芥収集車1では、浮き上がり方向の荷重が掛かるブラケット25の取り付け姿勢を基準として上部側の領域に、押さえ部材32が重なり、浮き上がり方向の荷重が掛かる領域を覆っている。
そのため、ブラケット25の取り付け座50の浮き上がり方向の変位が押さえ部材32によって抑制される。そのため、取り付け座50溶接部分に応力集中が生じたり、繰り返し応力が掛かることが防がれる。
【0042】
また本実施形態の塵芥収集車1では、ブラケット25の取り付け座50は、裏板部材31の表面と接しているので、ブラケット25の取り付け座50の沈み方向の変位が押さえ部材32によって抑制される。
さらに、本実施形態の塵芥収集車1では、
図2の様に、ブラケット25の座部52の凸条の角部56が、表板部材30の凹状の角部45と係合し、ブラケット25の急傾斜辺53が、表板部材30の急傾斜辺41と当接し、ブラケット25の緩傾斜辺55が、表板部材30の緩傾斜辺42と当接している。
そのため、ブラケット25に掛かる表板部材30の面方向の荷重が、表板部材30の広い範囲に分散され、ブラケット25が受ける面方向の荷重を側壁部材21全体で負担することができる。
【0043】
以上説明した実施形態では、表板部材30に切り欠き部38を設け、当該切り欠き部38にブラケット25を配置したが、切り欠き部38に代わって開口を設け、当該開口にブラケット25を配置してもよい。また開口にブラケット25をはめ込んでもよい。
【0044】
ブラケット25の取付け工程は、表板部材30に裏板部材31を取り付け、その後に表板部材30の切り欠き部38にブラケット25を設置し、その後にブラケット25に押さえ部材32を重ねることが推奨される。
他の方法として、表板部材30に裏板部材31と押さえ部材32の三者を接合し、裏板部材31と押さえ部材32の間の隙間に、ブラケット25の取り付け座50を滑り込ませる方法も考えられる。
以上説明した実施形態では、表板部材30に裏板部材31を重ねて切り欠き部38の底を構成したが、底は必ずしも必要ではない。また表板部材30に底を有する凹部を形成し、当該凹部にブラケット25を配置してもよい。要するに、壁本体5に開口、凹部、切り欠き部の少なくともいずれかがあればよい。
【0045】
以上説明した実施形態では、塵芥投入箱13を開閉するシリンダ20を側壁部材21に外付けしたが、塵芥投入箱13内に、シリンダ20を設けてもよい。
本実施形態での採用する塵芥収容箱12は、左右に側壁部材21が設けられているが、当該左右の側壁部材21で挟まれた領域に、塵芥投入箱13を開閉するシリンダ20があってもよい。
この場合、例えば側壁部材の表板部材と裏板部材の双方に切り欠きを設け、当該切り欠きにブラケット25を設置する。この状態においては、ブラケット25のクレビス部51は、塵芥収容箱12内に突出する。
そして、ブラケット25の外側70に、押さえ部材を重ねて接触させ、ブラケット25の外側70の一部71を押さえ部材で覆う。
【0046】
以上説明した実施形態では、シリンダ20やブラケット25等が、塵芥収容箱12の外側や内側に露出するが、シリンダ20やブラケット25等にカバーを設けてもよい。
【0047】
ケット25の外側70の一部71に押さえ部材32が重なり、ブラケット25の外側70の一部71だけが押さえ部材32で覆われているが、より広範囲に押さえ部材32が重なっていてもよい。
例えば、ブラケット25が取り付けられた姿勢を基準として、押さえ部材32が取り付け軸67の近傍に至っていてもよい。さらには、取り付け座50の取り付け軸67を除くすべての領域に、押さえ部材32が重なっていてもよい。
【0048】
以上説明した実施形態では、塵芥投入箱13を回動させるアクチェータとしてシリンダを例示した。シリンダは、油圧シリンダが使用されることが多いが、空圧シリンダであつてもよい。またシリンダ以外のアクチェータを使用するものであってもよい。例えば油圧モータやギャードモータによって塵芥投入箱13を回動させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 塵芥収集車
5 壁本体
6 凹部
8 ヒンジ
10 車両
11 塵芥収集装置
12 塵芥収容箱
13 塵芥投入箱
15 塵芥排出口
16 塵芥収納空間
20 シリンダ(アクチェータ)
21 側壁部材
25 ブラケット(接続部材)
30 表板部材
31 裏板部材
32 押さえ部材
38 切り欠き部
70 外側
71 一部
207 積込装置