(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182377
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】支柱の固定金物及び固定装置
(51)【国際特許分類】
E04H 12/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
E04H12/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095939
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】522238000
【氏名又は名称】有限会社三鷹テント
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】弁理士法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 信和
(57)【要約】
【課題】この発明は、簡易な構造で、支柱を確実に取り付け、固定できるようにすることを課題とするものである。
【解決手段】この発明の固定金物は、壁面に固定される固定板1と、この固定板に連設され、設置時に横向きをなす支柱の受け板2と、前記受け板の先端縁から突出した支柱の固定ボルト4とを備え、前記支柱の受け板2の先端縁に、支柱の周壁に沿う形状に凹入した、支柱の受け縁3が設けられたものである。
この発明の固定装置は、固定金物の固定板1を壁面に固定し、立設した支柱11の周壁を受け板2の支柱の受け縁3に当接させ、固定ボルト13を支柱に設けた透孔11aに挿入してナットで固定して構成する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定される固定板と、
この固定板に連設され、設置時に横向きとなる支柱の受け板と、
前記受け板の先端縁から突出した支柱の固定ボルトとを備え、
前記支柱の受け板の先端縁に、支柱の周壁に沿う形状に凹入した、支柱の受け縁が設けられた、
支柱の固定金物
【請求項2】
固定版は、平板又はアングル状とした、
請求項1に記載の支柱の固定金物
【請求項3】
請求項1に記載の支柱の固定金物の固定板を壁面に固定し、
立設した支柱の周壁を受け板の支柱の受け縁に当接させ、
固定ボルトを支柱に設けた貫通孔に挿入してナットで固定した、
支柱の固定装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁面に沿って支柱を取り付け、固定するために使用される金物、及びこの金物を用いた、支柱の固定装置に関するものであり、特に、家屋のバルコニーにテント(タープ)を設置する際におけるテント用のポールの取り付け、固定に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バルコニーの壁を利用してテント用の支柱を取り付ける場合、筒状の支柱挿通部を備えた金物を壁に固定することが行われている。
この場合、施工の手順は、支柱に金物の支柱挿通部を嵌めた後に、金物と壁に固定することになる。この手法によれば、金物と壁に固定する際には、支柱を立てた状態に保持しなければならず、支柱を保持する人と金物を壁に固定する作業を行う人の2人が必要である。
【0003】
特許文献としては、特開2000-96524に、一対の固定金具を道路側壁の上下方向に所定の間隔で常設しておき、これらの固定金具に一対の支持金具を着脱自在に装着する構造が記載され、前記支持金具としてポールを挿通する筒状のものが開示されている。
【特許文献1】特開2000-96524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、簡易な構造で、支柱を確実に取り付け、固定できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の固定金物は、壁面に固定される固定板と、この固定板に連設され、設置時に横向きをなす支柱の受け板と、前記受け板の先端縁から突出した支柱の固定ボルトとを備え、前記支柱の受け板の先端縁に、支柱の周壁に沿う形状に凹入した、支柱の受け縁が設けられたものである。
【0006】
前記固定板は、固定金物を壁面に固定するためのものであるから、その形状は取り付ける壁面の形状に合わせて適宜選択することができる。例えば、壁面が平面であれば平板とし、バルコニーのコーナー部の壁面に取り付ける場合はアングル状とするほか、湾曲した壁面に取り付ける場合は湾曲させる。
前記固定板には、壁面に固定するボルト挿通用の孔を設けておくことが好ましい。
【0007】
前記支柱の受け板は、支柱の周壁を支持するものであるから、設置時に水平をなすことが好ましいが、水平に限定されるものではなく、横向きであれば支柱を支持することができる。
また、固定板ヘの取り付け位置は、実施例に示す固定板の上縁に限られず、上下中間部としてもよい。
【0008】
前記支柱の固定ボルトは、支柱に設けた透孔を貫通させて支柱をナットで固定するためのものである。したがって、受け板の先端縁からの突出長は、取り付ける支柱の寸法を勘案して定めることになる。
【0009】
前記支柱の受け縁の形状は、取り付ける支柱の形状を勘案して定める。支柱が円筒状である場合は円弧状を基本とした形状とし、支柱が角筒状である場合は方形状を基本とした形状とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1記載の支柱の固定金物を使用した支柱の固定装置である。すなわち、固定金物の固定板を壁面に固定し、立設した支柱の周壁を受け板の支柱の受け縁に当接させ、固定ボルトを支柱に設けた透孔に挿入してナットで固定して構成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】受け板を上下中央部に設けた例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下この発明の実施例を説明する。
【実施例0013】
図1ないし
図3において、アングル状の固定板1の上縁に支柱の受け板2が連接(溶着)してある。壁のコーナー部に固定するのに適したものである。
前記固定板1と受け板2とは直角をなしており、受け板2の先端縁には円弧状の支柱の受け縁3が形成してある。この受け縁3は、取り付けるべき、支柱11の周面の形状である円形に合わせて円弧状とし、その曲率は支柱の周面の曲率に対応させてある。
前記固定板1には、壁面への取付のためのボルト13を挿通する透孔1aが設けてある。
前記受け板2の下面には固定ボルト4が固着(溶着)してあり、固定ボルト4の先端側は前記受け縁3から突出している。そしてその突出長は、固定ボルト4が、取り付けるべき支柱11を貫通して、その先端部が支柱11の対向側から突出する寸法としてある。
【0014】
図4は、固定板1を方形の平板としたものであって、固定板1の上縁に支柱の受け板2が連設してあり、受け板2には受け縁3が形成してあり、受け板2の下面に固定ボルト4が固着してある。
【0015】
図5は、受け縁3の変形例を示すものである。
図5(a)及び(b)は円弧状を基本とした変形例であり、
図5(c)は方形としたもの、
図5(d)は方形を基本とした変形例である。
【0016】
図6、
図7は他の変形例である。
図6は、アングル状の固定板1の上下中央部に受け板2を設けたもの、
図7は、壁面の突起に対応すべく、アングル状の固定板1及び受け板2に切り欠き5を設けたものである。
【0017】
図8は、この発明の固定金物の使用方法を示し、この発明の装置の実施例である。
固定金具の固定板1を、壁面12の上下2か所に、ボルト13で固定する。次いで、上下2か所の固定金具の支柱の受け縁3に沿わせて、支柱11を立設する。支柱の立設において、固定ボルト4を、支柱11に設けられた透孔11aを貫通させて、固定ボルト4の先端部を支柱11の対向側から突出させる。その後、固定ボルト4にナット14を螺合させて締め付け、支柱11を固定する。
【0018】
前記において、固定板1は予め壁面12に固定されているので、支柱11の透孔に固定ボルト4を挿通させることによって、支柱11を立設状態に保持することができる。したがって、固定ボルト4にナット14を締め付ける際に支柱11を人力で保持する必要がなく、1人で支柱を取り付けることができる。
支柱11の設置後において、支柱11は固定ボルト4で固定される他、支柱11の周壁は受け縁3によって保持される。したがって、支柱11の揺れが防止され、固定ボルト4の負担が少なく、支柱の揺れに伴うナット14の緩みは可及的に防止される。
【0019】
この発明の金物及び装置によれば、金物を壁面に固定し支柱をボルトで固定するという極めて簡単な作業で、支柱を取り付け、固定することができる。