(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182390
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/42 20060101AFI20231219BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231219BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20231219BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20231219BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20231219BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/37
A61K8/365
A61K8/24
A61Q5/12
A61K8/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095968
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】595082283
【氏名又は名称】株式会社アリミノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深津 奈々江
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB011
4C083AB012
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC331
4C083AC432
4C083AC641
4C083AD492
4C083BB12
4C083CC33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】本発明は、傷んだ毛髪に対しても、柔軟性、滑らかさ、滑り性およびしっとり感を付与でき、かつ、皮膚刺激が低い毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の毛髪化粧料は、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)を0.5~4質量%と、25℃でペースト状の油剤(B)を0.1~4質量%と、無機酸および炭素数1~5の有機酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸(C)を0.01~2質量%とを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)を0.5~4質量%と、25℃でペースト状の油剤(B)を0.1~4質量%と、無機酸および炭素数1~5の有機酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸(C)を0.01~2質量%とを含む、毛髪化粧料。
【請求項2】
高級アルコール(D)を0.1~15質量%含む、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記高級アルコール(D)が、炭素数14~22の直鎖アルキル基を有する高級アルコールである、請求項2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
前記25℃でペースト状の油剤(B)が、エステル類である、請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
前記酸(C)が、リン酸、乳酸、およびリンゴ酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
洗い流すトリートメントである、請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪化粧料には、毛髪に柔軟性を付与する目的で4級アンモニウム塩が一般的に使用されている。4級アンモニウム塩は、毛髪への吸着性が高いため、柔軟性を付与する効果に優れているが、皮膚刺激が強い場合がある。
【0003】
これまでに、皮膚刺激を改善する方法として、4級アンモニウム塩の代わりに、アミドアミン化合物等を配合することが提案されている。アミドアミン化合物を配合した毛髪用組成物は、安全性が高く、皮膚に対して温和な作用を示していた(特許文献1、2)。
【0004】
また、4級アンモニウム塩を使用して毛髪に柔軟性を付与するだけでなく、しっとり感、滑らかさ、くし通り性も付与するために、4級アンモニウム塩とシリコーン油等とを配合する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-113045号公報
【特許文献2】特開平11-79947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、毛髪に柔軟性を付与できるが、滑り性、しっとり感、まとまりについては満足できるものではなかった。
特許文献2の技術では、皮膚に対して温和な作用であるが、傷んだ毛髪に対して、なめらかさ、柔軟性、滑り性、およびしっとり感を付与する効果が満足できるものではなかった。
【0007】
4級アンモニウム塩とシリコーン油等とを配合する技術では、シリコーン油の配合量によっては剤型を不安定にするため、シリコーン油の配合量に制約がある場合があった。また、4級アンモニウム塩を使用しているため、皮膚刺激があった。
【0008】
このようなことから、本発明は、傷んだ毛髪に対しても、柔軟性、滑らかさ、滑り性およびしっとり感を付与でき、かつ、皮膚刺激が低い毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有する毛髪化粧料は上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば、以下の[1]~[6]である。
【0010】
[1]ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)を0.5~4質量%と、25℃でペースト状の油剤(B)を0.1~4質量%と、無機酸および炭素数1~5の有機酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸(C)を0.01~2質量%とを含む、毛髪化粧料。
[2]高級アルコール(D)を0.1~15質量%含む、[1]に記載の毛髪化粧料。
[3]前記高級アルコール(D)が、炭素数14~22の直鎖アルキル基を有する高級アルコールである、[2]に記載の毛髪化粧料。
[4]前記25℃でペースト状の油剤(B)が、エステル類である、[1]~[3]のいずれかに記載の毛髪化粧料。
[5]前記酸(C)が、リン酸、乳酸、およびリンゴ酸からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれかに記載の毛髪化粧料。
[6]洗い流すトリートメントである、[1]~[5]のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、傷んだ毛髪に対しても、柔軟性、滑らかさ、滑り性およびしっとり感を付与でき、かつ、皮膚刺激が低い毛髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の毛髪化粧料について具体的に説明する。
<毛髪化粧料>
本発明の毛髪化粧料は、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)を0.5~4質量%と、25℃でペースト状の油剤(B)を0.1~4質量%と、無機酸および炭素数1~5の有機酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸(C)を0.01~2質量%とを含む。
【0013】
<ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)>
ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)は、アブラナ属の植物油由来のアミドアミンである。
【0014】
ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)の構造を下記式(I)に示す。式(I)中のRは、アブラナ属の植物油に含まれる脂肪酸を表す。前記脂肪酸としては、ステアリン酸、ベへン酸等が挙げられる。
【0015】
【0016】
本発明の毛髪化粧料は、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)(以下、単に「成分(A)」とも記す。)を0.5~4質量%、好ましくは1~3質量%、より好ましくは1.5~2.5質量%含む。
【0017】
成分(A)が前記範囲内にあると、毛髪になめらかさ、柔軟性、滑り性、およびしっとり感を向上させることができる。
成分(A)が前記下限量より少ないと、毛髪への吸着量が不十分となり滑り性が悪くなる場合がある。また、成分(A)が前記上限量より多くても、毛髪への吸着量が多すぎるため滑り性が悪くなる場合がある。
【0018】
本発明者は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン等の従来のアミドアミン化合物や、ステアルトリモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩よりも、成分(A)のほうが毛髪への吸着性が高いと考えている。そして、成分(A)~(C)を特定量配合することで、毛髪になめらかさ、柔軟性、滑り性、およびしっとり感を付与できると考えている。
【0019】
<25℃でペースト状の油剤(B)>
本発明の毛髪化粧料は、25℃でペースト状の油剤(B)(以下、単に「成分(B)」とも記す。)を0.1~4質量%、好ましくは0.2~2質量%、より好ましくは0.5~1質量%含む。
【0020】
本発明において、25℃でペースト状の油剤とは、室温(15~25℃)で完全に固化しない油剤、すなわち室温で半固体状の油剤のことを指す。
25℃でペースト状の油剤は、液状油、固形油と完全に区別される油剤であり、具体的には医薬部外品原料規格等で「ワセリンよう」等と表現される油剤である。
【0021】
成分(B)が前記範囲内にあると、毛髪になめらかさ、柔軟性、およびしっとり感を向上させることができる。
成分(B)が前記下限量より少ないと、毛髪への吸着量が不十分となり、しっとり感が悪くなる場合がある。また、成分(B)が前記上限量より多いと、毛髪への吸着量が多すぎるため、滑り性が悪くなる場合がある。
【0022】
成分(B)としては、例えば、ワセリン等の炭化水素類;マカデミアナッツ油ポリグリセリル-6エステルズベヘネート、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、イソステアリン酸水添ヒマシ油等のエステル類;が挙げられる。
【0023】
これらの中でも、乾燥後の毛髪のなめらかさ、柔軟性、および滑り性に優れることから、成分(B)が、エステル類であることが好ましい。具体的には、成分(B)が、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、およびイソステアリン酸水添ヒマシ油からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なめらかさ、および柔軟性に特に優れることから、成分(B)がイソステアリン酸水添ヒマシ油であることがより好ましい。
【0024】
本発明者は、イソステアリン酸水添ヒマシ油の分子構造が、成分(A)と何らかの相互作用をし、毛髪への吸着性が高まるため、なめらかさ、および柔軟性の相乗効果を発揮すると考えている。
成分(B)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0025】
<酸(C)>
本発明の毛髪化粧料は、無機酸および炭素数1~5の有機酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸(C)(以下、単に「成分(C)」とも記す。)を0.01~2質量%、好ましくは0.1~1.5質量%、より好ましくは0.3~1質量%含む。
【0026】
成分(C)が前記範囲内にあると、乾燥後の毛髪のなめらかさ、および柔軟性に優れる。
成分(C)が前記下限量より少ないと、成分(A)の中和が不十分のため、なめらかさが悪くなる場合がある。また、成分(C)が前記上限量より多いと、成分(A)の毛髪への吸着量が低下してしまうため、しっとり感が悪くなる場合がある。
【0027】
成分(C)としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;等の有機酸が挙げられる。
【0028】
これらの中でも、乾燥後の毛髪の柔軟性、滑り性、およびしっとり感に優れることから、成分(C)が、炭素数1~5の有機酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より具体的には、成分(C)がリン酸、乳酸、およびリンゴ酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、柔軟性に優れることから、成分(C)が、乳酸、およびリンゴ酸からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、滑り性に特に優れることから、リンゴ酸がさらに好ましい。
成分(C)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
<高級アルコール(D)>
本発明の毛髪化粧料は、高級アルコール(D)(以下、単に「成分(D)」とも記す。)を好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは2~10質量%、さらに好ましくは4~8質量%含む。
【0030】
本発明の毛髪化粧料は、成分(D)を含むと、乾燥後の毛髪のなめらかさ、柔軟性、および滑り性に優れるため好ましい。
成分(D)としては、例えば、炭素数14~22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する高級アルコールが好ましい。これらの中でも、成分(D)が炭素数14~18の直鎖アルキル基を有する高級アルコールがより好ましく、炭素数16~18の直鎖アルキル基を有する高級アルコールがさらに好ましい。
【0031】
成分(D)として、具体的には、ミリスチルアルコール、セタノール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。
【0032】
これらの中でも、乾燥後の毛髪の柔軟性、滑り性、およびしっとり感に優れることから、成分(D)が、ミリスチルアルコール、セテアリルアルコール、およびベヘニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、成分(D)がミリスチルアルコールおよびセテアリルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、セテアリルアルコールが最も好ましい。
【0033】
本発明者は、本発明において規定した特定量の成分(A)、成分(B)、および成分(C)を配合した場合には、本発明の毛髪化粧料の剤型は液状であるが、さらに成分(D)を特定量配合することによって、適度な粘度を付与できることを見出した。粘度を付与できる理由として、本発明者は、油相と水相の界面に、特定量の成分(D)が作用して界面膜の強度が高まり、増粘するからではないかと考えている。
成分(D)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0034】
<その他成分>
本発明の毛髪化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に、保湿剤、生薬類、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、香料、抗菌剤、および色素等の添加剤を含有することができる。
【0035】
本発明の毛髪化粧料は、水を好ましくは70~99.39質量%、より好ましくは75~90質量%含む。
水として、具体的には、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水、天然水、および芳香蒸留水が挙げられ、イオン交換水が好ましい。
【0036】
本発明の毛髪化粧料は、4級アンモニウム塩を実質的に含まないことが好ましい。4級アンモニウム塩を実質的に含まないとは、各成分の不純物として存在する4級アンモニウム塩については毛髪化粧料に含まれていてもよいが、通常4級アンモニウム塩を意図的に添加しないことを意味する。
【0037】
4級アンモニウム塩を実質的に含まないとは、具体的には、本発明の毛髪化粧料中の4級アンモニウム塩の含有量が、通常は0~1.5質量%、好ましくは、0~0.5質量%、より好ましくは、0~0.1質量%であることを意味する。
【0038】
4級アンモニウム塩としては、例えば、ステアルトリモニウムクロリド、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5E.O.)、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム(2E.O.)、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、および臭化ステアリルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0039】
<毛髪化粧料の製造等>
本発明の毛髪化粧料は、上述した各成分を上述の量で使用する以外は、例えば公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、分散等することによって製造することができ、製造方法は特に限定されない。製造方法としては各成分を均一に混合するために、加熱条件下で行ってもよい。
本発明の毛髪化粧料は、上述した各成分を上述の配合量で混合することにより製造することができる。
【0040】
〔剤型〕
本発明の毛髪化粧料の状態としては、例えば、クリーム状、ミルク状、液状などが挙げられ、毛髪に均一に塗布しやすい観点から、クリーム状が好ましい。
【0041】
本発明の毛髪化粧料の粘度は、B型粘度計を用いて測定することができる。具体的には、25℃、ローターNO.3、および回転数60rpmの条件で、粘度の計測を開始し、計測開始してから60秒後の粘度を測定する。
【0042】
本発明の毛髪化粧料の粘度は、毛髪への塗布のしやすさに優れることから、1000mPa・s~100000mPa・sであることが好ましい。
本発明の毛髪化粧料の外観は、例えば、透明または不透明な外観が挙げられるが、不透明な乳化状態であることが好ましい。乳化状態としては、W/O型、O/W型でもよく、マルチプルエマルションであってもよいが、毛髪に均一に塗布しやすいことから、O/W型が好ましい。
【0043】
本発明の毛髪化粧料は、噴射剤とともに用いることにより泡状やスプレー状にすることもでき、スプレー用組成物として用いることもできる。
【0044】
〔用途〕
本発明の毛髪化粧料は、例えば、毛髪処理剤、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、スタイリング剤、パーマ剤、ヘアカラー剤、または縮毛矯正剤に用いることができる。これらの中でも、本発明の毛髪化粧料は、リンスまたはトリートメントとして用いることが好ましい。また、トリートメントとして用いる場合は、多剤式トリートメント(いわゆる、システムトリートメント)、洗い流すトリートメント、および洗い流さないトリートメント等として使用することができ、本発明の毛髪化粧料は、洗い流すトリートメントであることが好ましい。
【0045】
本発明の毛髪化粧料は、タオルドライ後の濡れた毛髪や、乾いた毛髪等に使用することができる。
本発明の毛髪化粧料は、毛髪へのなじみやすさ、および浸透しやすさの観点から、濡れた毛髪に使用することが好ましい。
【実施例0046】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0047】
〔実施例1~32、比較例1~12〕
実施例、および比較例では、表1に記載の市販品を使用した。
【0048】
【0049】
表2~6の処方の数値は、毛髪化粧料を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表しており、純分換算した値を示す。
表2~6に示す処方で各成分を混合することにより毛髪化粧料を製造し、試料として以下の方法で評価した。
【0050】
〔評価方法〕
市販の毛束(30cm、2.5gの人毛黒髪毛束)(製品名BS-B3A、ビューラックス社製)を、脱色剤であるアリミノ120ブリーチ(株式会社アリミノ製)に25℃で30分間浸漬して、ダメージを与えた(ダメージ処理)。ダメージ処理した毛束を流水ですすぎ、シェルパデザインサプリD-2シャンプー(株式会社アリミノ製)1gで洗浄した。洗浄後の毛束を流水ですすぎ、ドライヤーで乾燥させて、評価用の毛束とした。
【0051】
評価用の毛束をお湯で濡らした後、濡れた毛束に実施例または比較例の各試料1gを均一に塗布した。試料が塗布された毛束をお湯ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた後、各毛束について(1)なめらかさ(2)柔軟性(3)滑り性(4)しっとり感の評価を行った。
【0052】
〔評価項目および評価基準〕
(1)~(4)の評価項目について、専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ、項目ごとの評価基準に従って官能評価を行った。
評価は、各評価項目につき10名の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
【0053】
(1)なめらかさ
毛束を触ったり、指を通した時の毛髪表面のでこぼこの無さをなめらかさとし、評価を行った。
4点:非常になめらかである
3点:なめらかである
2点:ややひっかかる
1点:非常にひっかかる
【0054】
(2)柔軟性
毛束を曲げたときの曲げやすさを柔軟性とし評価を行った。
4点:非常に曲げやすく、非常に柔軟性がある
3点:曲げやすく、柔軟性がある
2点:曲げにくく、あまり柔軟性がない
1点:非常に曲げにくく、柔軟性がない
【0055】
(3)滑り性
毛束を触ったり、指を通した時の滑り性の評価を行った。
4点:非常に滑る
3点:やや滑る
2点:あまり滑らない
1点:滑らない
【0056】
(4)しっとり感
毛束を触った時のしっとり感を評価した。
4点:非常にしっとりしている
3点:ややしっとりしている
2点:あまりしっとりしていない
1点:しっとりしていない
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
実施例1~32で製造した毛髪化粧料は、(1)~(4)の評価項目において良好な結果となった。実施例29および30は、特に良好な結果となった。
実施例1~32で製造した毛髪化粧料は、4級アンモニウム塩を配合していないため、皮膚刺激が低いと考えられた。
【0063】
本発明の毛髪化粧料は、傷んだ毛髪に対しても、柔軟性、滑らかさ、滑り性およびしっとり感を付与でき、かつ、皮膚刺激が低い毛髪化粧料であることがわかる。
【0064】
比較例1で製造した毛髪化粧料は、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)が規定量より少ないため、滑り性が悪かった。
【0065】
比較例2で製造した毛髪化粧料は、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)が規定量より多いため、毛髪の滑り性が悪かった。
【0066】
比較例3~5で製造した毛髪化粧料は、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(A)が配合されておらず、比較例3ではステアルトリモニウムクロリド、比較例4ではステアラミドプロピルジメチルアミン、比較例5ではベヘナミドプロピルジメチルアミンが配合されているため、毛髪のなめらかさおよび滑り性が特に悪かった。
【0067】
比較例6で製造した毛髪化粧料は、25℃でペースト状の油剤(B)が規定量より少ないため、毛髪のしっとり感が悪かった。
【0068】
比較例7で製造した毛髪化粧料は、25℃でペースト状の油剤(B)が規定量より多いため、毛髪の柔軟性、滑り性およびしっとり感が悪かった。
【0069】
比較例8および9で製造した毛髪化粧料は、25℃でペースト状の油剤(B)が配合されておらず、比較例8では25℃で液状のミネラルオイル、比較例9では25℃で固体のパラフィンが配合されているため、毛髪の滑り性およびしっとり感が悪かった。
【0070】
比較例10で製造した毛髪化粧料は、酸(C)が規定量より少ないため、毛髪のなめらかさ、柔軟性、滑り性、およびしっとり感が悪かった。
【0071】
比較例11で製造した毛髪化粧料は、酸(C)が規定量より多いため、毛髪のしっとり感が悪かった。
【0072】
比較例12で製造した毛髪化粧料は、酸(C)が配合されておらず、炭素数6の有機酸であるグルコン酸が配合されているため、毛髪のなめらかさ、柔軟性、滑り性、およびしっとり感が悪かった。