(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182404
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電池診断装置、電池診断方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/392 20190101AFI20231219BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20231219BHJP
G01R 31/374 20190101ALI20231219BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231219BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/367
G01R31/374
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095993
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】川原 卓磨
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA21
2G216BA34
2G216CB11
5G503BA01
5G503BB02
5G503EA09
5G503FA06
5H030AS08
5H030FF27
5H030FF42
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】電池の劣化度合いをより適切に推定することができる電池診断装置、電池診断方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧を推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とを記憶する記憶部と、指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を前記過電圧推定情報および前記理論値情報に基づいて導出し、導出した前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定する推定部と、を備える電池診断装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧を推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とを記憶する記憶部と、
指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を前記過電圧推定情報および前記理論値情報に基づいて導出し、導出した前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定する推定部と、
を備える電池診断装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記推定値および前記理論値の誤差と前記変数との関係を示す誤差推定情報を取得し、取得した前記誤差推定情報に基づいて電池の劣化度を推定する、
請求項1に記載の電池診断装置。
【請求項3】
前記推定部は、電池の過電圧の推定について前記変数の値が入力された場合、前記誤差推定情報をもとに、前記変数の値での電池の過電圧について前記推定値が有する誤差の範囲を出力する、
請求項2に記載の電池診断装置。
【請求項4】
前記変数は、前記電池が使用された環境の温度、前記電池を使用された際の電流、または、前記電池が使用された時間を含む、
請求項2または3に記載の電池診断装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記変数の種類に応じて異なる理論式を選択し、選択した理論式を用いて前記理論値を算出する、
請求項4に記載の電池診断装置。
【請求項6】
前記推定部は、複数の種類の前記変数が与えられた場合、前記誤差を複数の前記変数ごとに算出し、電池の劣化度として前記変数ごとの過電圧の誤差の積算値を取得する、
請求項4に記載の電池診断装置。
【請求項7】
コンピュータが、
電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧の推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とをもとに、指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を導出し、
導出した前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定する、
電池診断方法。
【請求項8】
コンピュータに、
電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧の推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とをもとに、指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を導出させ、
導出された前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池診断装置、電池診断方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の劣化度合いを認識するために電池のSOH(State Of Health)を推定することが行われている。このようなSOHの推定方法として、例えば、市場に投入された車両から取得されるFCDデータ(Floating Car Data)を用いた機械学習により各種変数と劣化度合いとの関係性を学習し、この学習済みモデルをもとにSOHを推定する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、電気化学的要因によりSOHを適切に推定することができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、電池の劣化度合いをより適切に推定することができる電池診断装置、電池診断方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電池診断装置、電池診断方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
【0007】
(1):この発明の一態様に係る電池診断装置は、電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧を推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とを記憶する記憶部と、指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を前記過電圧推定情報および前記理論値情報に基づいて導出し、導出した前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定する推定部と、を備える。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記推定部は、前記推定値および前記理論値の誤差と前記変数との関係を示す誤差推定情報を取得し、取得した前記誤差推定情報に基づいて電池の劣化度を推定するものである。
【0009】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記推定部は、電池の過電圧の推定について前記変数の値が入力された場合、前記誤差推定情報をもとに、前記変数の値での電池の過電圧について前記推定値が有する誤差の範囲を出力するものである。
【0010】
(4):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、前記変数は、前記電池が使用された環境の温度、前記電池を使用された際の電流、または、前記電池が使用された時間を含むものである。
【0011】
(5):上記(1)から(4)のいずれかの態様において、前記推定部は、前記変数の種類に応じて異なる理論式を選択し、選択した理論式を用いて前記理論値を算出するものである。
【0012】
(6):上記(1)から(5)の態様において、前記推定部は、複数の種類の前記変数が与えられた場合、前記誤差を複数の前記変数ごとに算出し、電池の劣化度として前記変数ごとの過電圧の誤差の積算値を取得するものである。
【0013】
(7):この発明の一態様に係る電池診断方法は、コンピュータが、電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧の推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とをもとに、指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を導出し、導出した前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定するものである。
【0014】
(8):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧の推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とをもとに、指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を導出させ、導出された前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定させるものである。
【発明の効果】
【0015】
(1)~(8)の態様によれば、電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧の推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とをもとに、指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を導出し、導出した前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定することにより、電池の劣化度合いをより適切に推定することができる電池診断装置、電池診断方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】バッテリ診断システム1の構成の概略を示す図である。
【
図2】バッテリ診断装置100が適用される車両10の構成の一例を示す図である。
【
図3】バッテリ診断装置100の構成の一例を示す図である。
【
図5】過電圧の誤差モデルを生成する処理(前処理)の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】過電圧の誤差モデルを生成する方法の概略を示す図である。
【
図7】過電圧の誤差モデルを用いて過電圧の推定値について誤差範囲を推定する処理(過電圧推定処理)の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】過電圧の推定値について誤差範囲を推定する方法の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の電池診断装置、電池診断方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下では、電池診断装置が診断する対象の電池が、バッテリセルを集積したバッテリである場合について説明するが、これに限定されない。電池は、個々のバッテリセルであってもよい。また、以下では、電池が車両の電源として用いられる場合について説明するが、これに限定されない。電池は、その使用時の情報が取得できるものであれば、任意の電動機器に用いられるものであってよい。
【0018】
図1は、バッテリ診断システム1の構成の概略を示す図である。バッテリ診断システム1は、複数の車両10から取得されるバッテリの使用状況に関する情報(以下「バッテリ情報」という。)をもとに、市場に投入されたバッテリ群の劣化度合いを診断するシステムである。例えば、バッテリ情報は、FCDデータ(Floating Car Data)の態様で複数の車両10から取得され得る。バッテリ診断システム1は、例えば、複数の車両10と、バッテリ診断装置100とを備える。複数の車両10と、バッテリ診断装置100とは、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWは、インターネットやLAN(Local Area Network)、セルラー網、専用線、移動体通信回線等を含んでもよい。
【0019】
複数の車両10は、それぞれバッテリ40を搭載しており、バッテリ40から供給される電力を駆動力に変換することができる。複数の車両10は、バッテリ40により得られる駆動力と、内燃機関により得られる駆動力とを併用する、いわゆるハイブリッド車であってもよい。複数の車両10は、バッテリ40に関するバッテリ情報をバッテリ診断装置100に供給する。例えば、複数の車両10は、カーナビゲーション装置等の無線通信機能を有する車載器を介してバッテリ情報を送信してもよい。
【0020】
バッテリ診断装置100は、複数の車両10からバッテリ情報を収集し、収集したバッテリ情報をもとにバッテリ40の劣化度合いを推定するための推定モデルを生成する。このような推定モデルの生成により、バッテリ診断装置100は、市場に投入されたバッテリ40について劣化度合いを診断(推定)することができる。また、バッテリ診断装置100は、市場に投入されたバッテリ40についての膨大なバッテリ情報をもとに劣化の傾向を学習することにより、バッテリ情報が取得できないバッテリであっても、劣化の傾向が類似するバッテリについて劣化度合いを推定することも可能となる。
【0021】
本実施形態のバッテリ診断システム1は、このようなバッテリの劣化度合いの推定において、電気化学的要因を適切に考慮することにより、バッテリの劣化度合いをより適切に推定できるようにしたものである。以下、このような効果を奏することのできる実施形態のバッテリ診断システム1の構成について詳細に説明する。
【0022】
[車両の構成]
図2は、バッテリ診断装置100が適用される車両10の構成の一例を示す図である。
図2に示した車両10は、走行用のバッテリ(二次電池)から供給される電力によって駆動される電動機(電動モータ)によって走行するBEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)である。代替的に、車両10は、ハイブリッド車両に外部充電機能を持たせたPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)又はPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)であってもよい。なお、車両10は、例えば、四輪の車両のみならず、鞍乗り型の二輪の車両や、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)の車両、アシスト式の自転車、さらには、電動船など、バッテリから供給される電力によって駆動される電動モータによって走行する移動体の全般が含まれる。
【0023】
モータ12は、例えば、三相交流電動機である。モータ12の回転子(ロータ)は、駆動輪14に連結される。モータ12は、バッテリ40が備える蓄電部(不図示)から供給される電力によって駆動され、回転の動力を駆動輪14に伝達させる。また、モータ12は、車両10の減速時に車両10の運動エネルギーを用いて発電する。
【0024】
ブレーキ装置16は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、を備える。ブレーキ装置16は、ブレーキペダル(不図示)に対する車両10の利用者(運転者)による操作によって発生した油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてもよい。なお、ブレーキ装置16は、上記説明した構成に限らず、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0025】
車両センサ20は、例えば、アクセル開度センサと、車速センサと、ブレーキ踏量センサと、を備える。アクセル開度センサは、アクセルペダルに取り付けられ、運転者によるアクセルペダルの操作量を検出し、検出した操作量をアクセル開度として後述する制御部36に出力する。車速センサは、例えば、車両10の各車輪に取り付けられた車輪速センサと速度計算機とを備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して車両10の速度(車速)を導出し、制御部36に出力する。ブレーキ踏量センサは、ブレーキペダルに取り付けられ、運転者によるブレーキペダルの操作量を検出し、検出した操作量をブレーキ踏量として制御部36に出力する。
【0026】
PCU30は、例えば、変換器32と、VCU(Voltage Control Unit)34と、を備える。なお、
図2においては、これらの構成要素をPCU30として一まとまりの構成としたのは、あくまで一例であり、車両10におけるこれらの構成要素は分散的に配置されても構わない。
【0027】
変換器32は、例えば、AC-DC変換器である。変換器32の直流側端子は、直流リンクDLに接続されている。直流リンクDLには、VCU34を介してバッテリ40が接続されている。変換器32は、モータ12により発電された交流を直流に変換して直流リンクDLに出力する。
【0028】
VCU34は、例えば、DC-DCコンバータである。VCU34は、バッテリ40から供給される電力を昇圧して直流リンクDLに出力する。
【0029】
制御部36は、車両センサ20が備えるアクセル開度センサからの出力に基づいて、モータ12の駆動を制御する。制御部36は、また、車両センサ20が備えるブレーキ踏量センサからの出力に基づいて、ブレーキ装置16を制御する。制御部36は、また、バッテリ40に接続された後述するバッテリセンサ42からの出力に基づいて、例えば、バッテリ40のSOC(State Of Charge)を算出し、VCU34に出力する。VCU34は、制御部36からの指示に応じて、直流リンクDLの電圧を上昇させる。
【0030】
バッテリ40は、例えば、リチウムイオン電池など、充電と放電とを繰り返すことができる二次電池である。バッテリ40の正極を構成する正極活物質は、例えば、NCM(Nickel Cobalt Manganese)、NCA(Nickel Cobalt Aluminum)、LFP(Lithium Ferro Phosphate)、LMO(Lithium Manganese Oxide)などの材料のうち少なくとも一つを含む物質であり、バッテリ40の負極を構成する負極活物質は、例えば、ハードカーボンやグラファイトなどの材料のうち少なくとも一つを含む物質である。また、バッテリ40は、車両10に対して着脱自在に装着される、例えば、カセット式などのバッテリパックであってもよい。バッテリ40は、車両10の外部の充電器(不図示)から供給される電力を蓄え、車両10の走行のための放電を行う。
【0031】
バッテリセンサ42は、バッテリ40の電流や、電圧、温度などの物理量を検出する。バッテリセンサ42は、例えば、電流センサ、電圧センサ、温度センサを備える。バッテリセンサ42は、電流センサによってバッテリ40を構成する二次電池の電流を検出し、電圧センサによってバッテリ40の電圧を検出し、温度センサによってバッテリ40の温度を検出する。バッテリセンサ42は、検出したバッテリ40の電流値、電圧値、温度などの物理量のデータを制御部36や通信装置50に出力する。
【0032】
通信装置50は、セルラー網やWi-Fi網を接続するための無線モジュールを含む。通信装置50は、Bluetooth(登録商標)など利用するための無線モジュールを含んでもよい。通信装置50は、無線モジュールにおける通信によって、車両10に係る種々の情報を、例えば、バッテリ診断装置100との間で送受信する。通信装置50は、制御部36又はバッテリセンサ42により出力されたバッテリ40の物理量のデータを、バッテリ診断装置100に送信する。通信装置50は、後述するバッテリ診断装置100により診断されて送信されたバッテリ40の劣化度合いを表す劣化情報を受信し、受信したバッテリ40の劣化情報を車両10のHMI(不図示)に出力してもよい。
【0033】
[バッテリ診断装置の構成]
次に、車両10のバッテリ40の劣化度合いを推定するバッテリ診断装置100の一例について説明する。
図3は、実施形態に係るバッテリ診断装置100の構成の一例を示す図である。バッテリ診断装置100は、例えば、取得部110と、学習部120と、推定部130と、入力部140と、表示部150と、記憶部160と、を備える。取得部110、学習部120、および推定部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。記憶部160は、例えば、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等である。
【0034】
取得部110は、バッテリ診断装置100に搭載された不図示の通信インターフェースを用いて、通信装置50から、バッテリ40の使用状況(電流値、電圧値、温度などであり、以下「放電条件」ともいう。)を示すバッテリ情報の時系列データ160Aを取得して記憶部160に格納する。取得部110は、さらに、取得した時系列データに含まれる電流値を積算することによって、放電容量(放電量)を算出し、時系列データ160Aとして記憶部160に格納してもよい。このとき、取得部110は、取得した時系列データのうち、欠損や異常が発生したデータを除外する処理を行ってもよい。さらに、放電容量は、バッテリ診断装置100において算出されるものではなく、車両10側で算出された後に、通信装置50を介して、バッテリ診断装置100に送信されるものであってもよい。
【0035】
学習部120は、バッテリ40の過電圧推定モデル160Bと、過電圧推定モデル160Bにより推定された過電圧の誤差を推定するための誤差推定モデル160Dとを学習する。過電圧推定モデル160Bは、バッテリ40の放電条件(使用状況)を変数としてバッテリ40の劣化度合いとして過電圧(SOH:State Of Health)を推定するためのモデルである。学習部120は、時系列データ160Aを用いた機械学習によって様々な放電条件と過電圧との関係性を学習することにより過電圧推定モデル160Bを生成する。学習部120は、このように生成した過電圧推定モデル160Bを記憶部160に保存する。
【0036】
また、学習部120は、学習した過電圧推定モデル160Bにより過電圧の推定値を取得し、その推定値と、過電圧理論式160Cにより導出される過電圧の理論値とに基づいて誤差推定モデル160Dを学習する。詳細は後述するが、学習部120は、過電圧の推定値と理論値との差分について放電条件との関係性を学習することにより、放電条件の入力に対して過電圧推定値の推定誤差を与える誤差推定モデル160Dを生成する。学習部120は、このように生成した誤差推定モデル160Dを記憶部160に保存する。
【0037】
推定部130は、バッテリ40について、その劣化度合いの指標値として過電圧の値を推定する。具体的には、推定部130は、学習部120によって学習された過電圧推定モデル160Bをもとに取得された過電圧の推定値と、電気化学的法則に基づく過電圧理論式160Cをもとに学習された誤差推定モデル160Dにより推定された過電圧の推定誤差とに基づいて、劣化度合いの最終的な診断結果としての過電圧の推定値を決定する。以下では、説明を分かりやすくするために、過電圧推定モデル160Bをもとに推定される過電圧の値を「第1の過電圧推定値」といい、劣化度合いの最終的な診断結果として推定される過電圧の値を「第2の過電圧推定値」という場合がある。
【0038】
入力部140は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等の入力装置を備える。入力部140は、バッテリ診断装置100の利用者による各種操作の入力を受け付ける。例えば、入力部140は、後述する放電条件の入力を受け付け、入力された放電条件を推定部130に出力する。
【0039】
表示部150は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。表示部150は、バッテリ診断装置100の動作に関する各種情報を表示する。例えば、表示部150には、推定部130によるバッテリ40の診断結果などが表示される。なお、表示部150による診断結果の表示は、診断結果情報の出力の一例である。このほか、診断結果の出力は、診断結果情報の通信であってもよいし、診断結果情報の記録であってもよいし、診断結果情報の音声出力であってもよい。
【0040】
記憶部160は、HDDやSSD、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部160は、バッテリ診断装置100において各種情報の記憶領域として用いられる。例えば、記憶部160には、上述した時系列データ160Aや、過電圧推定モデル160B、過電圧理論式160C、誤差推定モデル160Dなどが格納される。ここで、過電圧推定モデル160Bは「過電圧推定情報」の一例である。過電圧理論式160Cは「理論値情報」の一例である。誤差推定モデル160Dは「誤差推定情報」の一例である。
【0041】
図4は、過電圧理論式160Cの一例を示す図である。
図4のグラフは、バッテリ40について、アレニウス則に基づいて予測される過電圧と温度との関係性の具体例を示す図である。過電圧理論式160Cは、
図4に示されるような過電圧と温度との関係性を表す理論式のほか、過電圧と電流との関係性を表す理論式や、過電圧との時間との関係性を表す理論式などが含まれる。この場合、過電圧と電流との関係性を表す理論式は、例えばオームの法則やターフェル式などをもとに作成され得る。例えば、オームの法則によれば、過電圧が電流に比例して変化する理論式が得られ、ターフェル式によれば、過電圧が電流の対数に比例して変化する理論式が得られる。また、過電圧と時間との関係性を表す理論式は、例えばコットレルの式やフィックの法則などをもとに作成され得る。例えば、コットレルの式とフィックの法則によれば、過電圧が、通電開始の後の間もない間は時間の平方根に比例して変化し、通電時間が長時間になるにつれ一定値に漸近するように変化する理論式が得られる。
【0042】
学習部120は、このような過電圧理論式160Cにバッテリ40の放電条件を適用することにより、当該放電条件下におけるバッテリ40の過電圧の理論値を取得する。一方で、学習部120は、同様の放電条件を過電圧推定モデル160Bに適用することにより、当該放電条件下におけるバッテリ40の過電圧として第1の過電圧推定値を取得する。学習部120は、このように取得した第1の過電圧推定値および理論値をもとに、バッテリ40の過電圧について、推定値と理論値の誤差を推定するためのモデル(以下「誤差推定モデル」という。)を生成する。
【0043】
本実施形態のバッテリ診断装置100は、バッテリ40について劣化度合いの診断の実施に先立って上記の誤差推定モデルを予め生成しておき、過電圧推定モデル160Bによるバッテリ40の過電圧の推定結果に、誤差推定モデルによって得られる推定誤差を加味したものを最終的な劣化度合いの診断結果として出力するものである。このように構成された本実施形態のバッテリ診断装置100によれば、バッテリ40の劣化の状況を、電気化学的要因に基づいて想定され得る誤差を考慮して認識することができるので、バッテリ40の劣化度合いをより適切に推定することができる。
【0044】
以下、バッテリ診断装置100がバッテリ40の劣化度合いを診断するために実行する処理についてより詳細に説明する。以下では、バッテリ40の診断に先立って過電圧推定モデルおよび誤差推定モデルを生成するまでの処理を「前処理」と位置づけ、前処理で生成された過電圧推定モデルおよび誤差推定モデルを用いてバッテリ40の劣化度合いを診断する処理を「本処理」と位置付ける。
【0045】
図5は、前処理の実行により、バッテリ診断装置100が過電圧推定モデルおよび誤差推定モデルを生成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、バッテリ診断装置100において、学習部120が、取得部110により取得済みの時系列データ160Aを用いて機械学習を実施することにより、バッテリ40の過電圧を推定するための過電圧推定モデル160Bを学習する(ステップS101)。学習部120は、学習により得られた過電圧推定モデル160Bを学習済みモデルとして記憶部160に保存する。
【0046】
続いて、学習部120は、ステップS101で生成した過電圧推定モデル160Bに時系列データ160Aを適用することにより、バッテリ40について異なる複数の温度での過電圧を推定する(ステップS102)。これは、すなわち、バッテリ40の過電圧について温度依存性を推定することに相当する。
【0047】
続いて、学習部120は、ステップS102で取得した温度依存性の推定結果について、過電圧理論式160Cをもとにカーブフィッティングを行い(ステップS103)、フィッティングにより得られた過電圧-温度曲線と、温度依存性の推定結果との差分データに基づいて、過電圧推定モデルについての誤差推定モデルを生成する(ステップS104)。上述のとおり、誤差推定モデルは、過電圧推定モデルによって推定された過電圧の推定値(第1の過電圧推定値)について想定される誤差を推定するためのモデルである。学習部120は、このように生成した誤差推定モデル160Dを記憶部160に保存する。
【0048】
図6は、誤差推定モデルの生成方法の概略を説明する図である。グラフG61は、ステップS102において取得された過電圧の推定結果を示すイメージ図である。例えば、学習部120は、まず、時系列データ160Aに含まれる各放電条件について過電圧推定モデルに適用することにより、放電条件ごとの過電圧の推定値を得る。学習部120は、得られた過電圧の推定値について、同一温度ごとに代表値を求めることにより、グラフG61をプロットすることができる。代表値は、典型的には平均値であるが、中央値や最頻値、最大値、最小値などの他の統計値が用いられてもよい。すなわち、グラフG61は、時系列データ160A(バッテリ情報)が取得されたバッテリ40の全体について代表的な過電圧の温度依存性を示すものである。
【0049】
グラフG62は、ステップS103におけるカーブフィッティングの結果として曲線L62を示すイメージ図である。例えば、学習部120は、
図4に例示した過電圧理論式160CをグラフG61にフィッティングさせることにより曲線L62を得ることができる。なお、過電圧理論式160Cが未知の係数を含んで提供される場合、カーブフィッティングにおいて、縦横方向の位置調整や縮尺変更を行って過電圧理論式160Cを同定することにより曲線L62が決定されてもよい。
【0050】
グラフG63は、ステップS104において生成される誤差推定モデルとして曲線L63を示すイメージ図である。例えば、学習部120は、ステップS103におけるカーブフィッティングで決定された温度依存性の曲線L62と、グラフG61にプロットされた推定結果との差分をとることにより、グラフG63の点群をプロットし、グラフG63にプロットされた点群についてカーブフィッティングを行うことにより誤差推定モデルの曲線L63を決定することができる。なお、上述のカーブフィッティングには、最小二乗法や未定係数法等に代表される任意の最適化手法が用いられてもよい。
【0051】
図7は、本処理の実行により、バッテリ診断装置100がバッテリ40の劣化度合いを診断する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、バッテリ診断装置100において、入力部140が、バッテリ40について、劣化度合いを診断するための放電条件の入力を受け付ける(ステップS201)。放電条件は、バッテリ40について想定する使用状況(変数)についての条件である。上述のとおり、本実施形態では、過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dの変数の一つとして温度を想定しているので、ここでは、少なくとも温度を含む放電条件が入力されるものとする。以下では、放電条件として与えられる温度の値を温度条件という。入力部140は、入力された温度条件を推定部130に供給する。
【0052】
続いて、推定部130が、入力部140から供給された温度条件を含む放電条件を過電圧推定モデル160Bに適用することにより、当該温度条件で使用されたバッテリ40について第1の過電圧推定値を計算する(ステップS202)。
【0053】
一方で、推定部130は、入力部140から供給された温度条件を誤差推定モデル160Dに適用することにより、バッテリ40について、過電圧推定モデル160Bにより推定される第1の過電圧推定値の誤差を推定する(ステップS203)。
【0054】
続いて、推定部130は、ステップS202で取得された第1の過電圧推定値と、ステップS202で取得された過電圧の推定誤差とに基づいて、当該温度条件で使用されたバッテリ40について、想定され得る過電圧の範囲を計算する(ステップS204)。
【0055】
推定部130は、ステップS204で取得された過電圧の範囲をバッテリ40の劣化状況の診断結果として出力する(ステップS205)。
【0056】
上述のとおり、ここでは放電条件として誤差推定モデルに適用する放電条件として温度条件が指定される場合について説明したが、放電条件は、過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dの変数に対応するものであれば温度条件以外の放電条件が指定されてよい。例えば、過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dの変数に電流が含まれる場合、電流値を含む放電条件が指定されてもよい。また、例えば、過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dの変数に電圧が含まれる場合、電圧値を含む放電条件が指定されてもよい。
【0057】
図8は、バッテリ40について劣化度合いを診断する方法を説明するイメージ図である。グラフG81は、ステップS202で推定された第1の過電圧推定値を示す曲線L81と、ステップS203で推定された第1の過電圧推定値の誤差を示す曲線L82とを、温度とは別の放電条件を横軸にとって表したものである。別の放電条件は特定のものに限定されないが、例えば、時間、電流、電圧などであってもよい。
【0058】
この場合、推定部130は、曲線L81と曲線L82との和や差をとることにより、バッテリ40について想定され得る過電圧の範囲を診断結果として取得することができる。グラフG82は、このような診断結果の表示例を示すものである。例えば、曲線L83は、曲線L81と曲線L82との和を示すものであり、過電圧の推定値について上限を示すことができる。一方、曲線L84は、曲線L81と曲線L82との差を示すものであり、過電圧の推定値について下限を示すことができる。
【0059】
このように、バッテリ40の放電条件の一つ(ここでは温度)が与えられた場合に、バッテリ40の劣化度合いの診断結果として、他の放電条件に対する過電圧の依存性が表示されることにより、利用者は、バッテリ40の劣化状況を適切に把握することができる。これにより、利用者は、市場に投入された複数のバッテリ40の劣化の進行をマクロ的にコントロールしたり、バッテリの製品開発について適切な開発計画を立案したりすることが可能となる。
【0060】
図8の例では、過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dが放電条件に係る変数として温度および時間を有し、温度条件が与えられた場合に、過電圧の時間依存性が示される場合について説明した。しかしながら、過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dは、単一の変数を有するものであってもよいし、3つ以上の変数を有するものであってもよい。過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dが単一の変数を有する場合、当該変数による放電条件が指定されることで過電圧の推定値が一意に定まる。そのため、このような場合には、推定部130は、与えられた放電条件に対して過電圧の推定範囲を出力するように構成されてもよい。また、過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dが3つ以上の変数を有する場合には、推定部130は、1つ以上の変数について放電条件が与えられたことに対して、過電圧の他の1つ以上の変数に対する依存性を示すように構成されてもよい。例えば、3つの変数のうち1つの変数について放電条件が与えられた場合、推定部130は、他の2つの変数に対して過電圧の推定値を一意に決定する三次元グラフを表示するように構成されてもよい。
【0061】
以上のように構成された実施形態のバッテリ診断装置100によれば、バッテリ40の放電条件を表す変数をもとにバッテリ40の過電圧の推定するための過電圧推定モデル160Bと、当該変数に対して過電圧の理論値を与える過電圧理論式160Cとをもとに、指定された変数に対応する過電圧の推定値および理論値を導出し、導出した推定値および理論値に基づいて、上記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定することにより、バッテリ40の劣化度合いをより適切に推定することができる。
【0062】
<変形例>
バッテリ診断装置100において、学習部120は、過電圧推定モデル160Bおよび誤差推定モデル160Dを変数ごとに異なるモデルとして生成してもよい。この場合、バッテリ診断装置100は、各変数の入力に対して過電圧の推定値を与える過電圧理論式160Cを記憶部160に保持しておき、入力された変数の種類に応じて過電圧理論式160Cを使い分けるようにすればよい。すなわち、推定部130は、変数の種類に応じて異なる理論式を選択し、選択した理論式を用いて前記理論値を算出してもよい。また、この場合、推定部130は、変数ごとに計算した過電圧の推定値をもとにトータルの推定値(例えば推定値の積算値)を計算するように構成されてもよい。同様に、この場合、推定部130は、変数ごとに計算した過電圧の推定誤差をもとにトータルの推定誤差(例えば推定誤差の積算値)を計算するように構成されてもよい。
【0063】
バッテリ診断装置100が有する機能の一部は各車両10の側に備えられてもよい。例えば、バッテリ診断装置100が備える機能部のうち、推定部130、入力部140、および表示部150の一部または全部が車両10に備えられてもよい。この場合、バッテリ診断装置100は、学習部120による学習結果(過電圧推定モデル160B、誤差推定モデル160D)を各車両10に供給してもよい。この場合、車両10では、推定部130が、バッテリ診断装置100から供給された過電圧推定モデル160B、および誤差推定モデル160Dと、入力部140を介して指定された放電条件とをもとに自車両のバッテリ40の劣化度合いを診断し、診断結果を表示部150に表示させてもよい。また、例えば、入力部140および表示部150を車両10側に備え、車両10が、指定された放電条件をバッテリ診断装置100に送信することで自車両のバッテリ40の劣化度合いの診断をバッテリ診断装置100に依頼するように構成されてもよい。この場合、バッテリ診断装置100は、受信された放電条件をもとにバッテリ40の劣化度合いの診断を実施し、診断結果を車両10に送信するように構成されてもよい。
【0064】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
電池の放電条件を表す変数をもとに前記電池の過電圧の推定するための過電圧推定情報と、前記変数に対して前記過電圧の理論値を与える理論値情報とをもとに、指定された変数に対応する前記過電圧の推定値および理論値を導出し、
導出した前記推定値および前記理論値に基づいて、前記指定された変数に対応する電池の劣化度を推定する、
電池診断装置。
【0065】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…バッテリ診断システム、10…車両、12…モータ、14…駆動輪、16…ブレーキ装置、20…車両センサ、30…PCU、32…変換器、36…制御部、40…バッテリ、42…バッテリセンサ、50…通信装置、100…バッテリ診断装置、110…取得部、120…学習部、130…推定部、140…入力部、150…表示部、160…記憶部、160A…時系列データ、160B…過電圧推定モデル、160C…過電圧理論式、160D…誤差推定モデル