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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182416
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】紙幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20231219BHJP
   G07D 11/12 20190101ALI20231219BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096013
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】岩月 敬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 人
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA03
3E141FA03
3E141FA10
3E141FL10
(57)【要約】
【課題】異物が滑り落ちていく際の勢いを抑制する。
【解決手段】紙幣収容部の底部には、装置の前後方向に延び、前記装置の前後方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の紙幣支持部と、前記紙幣支持部の前記幅方向の両側に位置し、異物排出部と繋がる異物落下穴とが設けられ、前記異物落下穴の前記幅方向の大きさは、異物として想定される最大径硬貨の直径よりも大きく、前記異物排出部は、底部が前記装置の後方から前方に向かって傾斜し、前記装置の前方側の端である前端から異物が排出されるようになっていて、前記装置の前方側に前記異物排出部の前端に向かうにつれて幅を狭くする絞り壁部を有し、前記絞り壁部の前端と、当該絞り壁部の前端から見て前記幅方向の内側に隣接する紙幣支持部の前端との距離が、前記異物として想定される最小径硬貨の直径よりも小さい。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された紙幣を収容する紙幣収容部と、
前記紙幣収容部の下方に設けられた異物排出部と
を備え、
前記紙幣収容部の底部には、装置の前後方向に延び、前記装置の前後方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の紙幣支持部と、前記紙幣支持部の前記幅方向の両側に位置し、前記異物排出部と繋がる異物落下穴とが設けられ、
前記異物落下穴の前記幅方向の大きさは、異物として想定される最大径硬貨の直径よりも大きく、
前記異物排出部は、
底部が前記装置の後方から前方に向かって傾斜し、前記装置の前方側の端である前端から異物が排出されるようになっていて、前記装置の前方側に前記異物排出部の前端に向かうにつれて前記異物排出部の幅を狭くする絞り壁部を有し、
前記絞り壁部の前端と、当該絞り壁部の前端から見て前記幅方向の内側に隣接する紙幣支持部の前端との距離が、異物として想定される最小径硬貨の直径よりも小さい
ことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記異物排出部の底部における、前記絞り壁部の前端よりも前記幅方向の内側に、当該底部を滑り落ちてくる前記異物を減速させる為の減速部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記絞り壁部の前端から見て前記幅方向の内側に隣接する紙幣支持部よりも前記幅方向の内側に、前記減速部材が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記絞り壁部の前端から見て前記幅方向の内側に隣接する紙幣支持部と、前記減速部材の前記幅方向の端部との距離が、異物として想定される最小径硬貨の直径よりも小さい
ことを特徴とする請求項3に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記減速部材は、
前記異物排出部の底面から突出する突起部である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
前記突起部は、
前記装置の後方側の端となる後端が、上方から見て前記装置の後方に膨らむ略円弧形状である
ことを特徴とする請求項5に記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
投入された紙幣を収容する紙幣収容部と、
前記紙幣収容部の下方に設けられた異物排出部と
を備え、
前記紙幣収容部の底部には、装置の前後方向に延び、前記装置の前後方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の紙幣支持部と、前記紙幣支持部の前記幅方向の両側に位置し、前記異物排出部と繋がる異物落下穴とが設けられ、
前記異物落下穴の前記幅方向の大きさは、異物として想定される最大径硬貨の直径よりも大きく、
前記異物排出部は、
底部が前記装置の後方から前方に向かって傾斜し、前記装置の前方側の端である前端から前記異物が排出されるようになっていて、前記装置の前方側に前記異物排出部の前端に向かうにつれて前記異物排出部の幅を狭くする絞り壁部を有し、
前記異物排出部の底部における、前記絞り壁部の前端よりも前記幅方向の内側に、当該底部を滑り落ちてくる前記異物を減速させる為の減速部材が設けられている
ことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項8】
前記絞り壁部の前端から見て前記幅方向の内側に隣接する紙幣支持部よりも前記幅方向の内側に、前記減速部材が設けられている
ことを特徴とする請求項7に記載の紙幣処理装置。
【請求項9】
前記絞り壁部の前端から見て前記幅方向の内側に隣接する紙幣支持部と、前記減速部材の前記幅方向の端部との距離が、異物として想定される最小径硬貨の直径よりも小さい
ことを特徴とする請求項8に記載の紙幣処理装置。
【請求項10】
前記減速部材は、
前記異物排出部の底面から突出する突起部である
ことを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の紙幣処理装置。
【請求項11】
前記突起部は、
前記装置の後方側の端となる後端が、上方から見て前記装置の後方に膨らむ略円弧形状である
ことを特徴とする請求項10に記載の紙幣処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙幣処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙幣の入金機能を有する紙幣処理装置では、例えば、紙幣投入口から紙幣収容部に投入された紙幣を1枚ずつ取り込んで金種を判別し、金種ごとに紙幣収納庫に収納することで入金するようになっている。
【0003】
この種の紙幣処理装置として、紙幣収容部の底部が、装置の幅方向に間隔を空けて配置された前後方向に延びる複数本の紙幣支持部と、紙幣支持部と紙幣支持部との間の異物落下穴とで構成され、紙幣収容部に投入された異物を異物落下穴から下方に落下させるものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
またこの種の紙幣処理装置として、紙幣収容部の下方に、装置の後方から前方に向かって下るように傾斜する異物受けを設け、紙幣収容部から落下してきた異物を当該異物受けで受け止め、装置外部へと滑り落として排出するものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-170109号公報
【特許文献2】特開平5-28345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
装置外部へと排出された異物は、例えば、異物排出口に設けられた受け皿で受け止められる、もしくは異物排出口の下方に設けられた受け皿へと落下して受け止められる。ここで、従来の紙幣処理装置では、異物が滑り落ちていく際に勢いが付きすぎてしまう場合があり、この場合に、異物が受け皿の外側へ飛び出したり、異物を受け止める際の衝撃が大きくなって騒音の原因となったりする可能性が出てくる。この為、異物が滑り落ちていく際の勢いを抑制することが望ましい。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、異物が滑り落ちていく際の勢いを抑制し得る紙幣処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の紙幣処理装置においては、投入された紙幣を収容する紙幣収容部と、前記紙幣収容部の下方に設けられた異物排出部とを備え、前記紙幣収容部の底部には、装置の前後方向に延び、前記装置の前後方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の紙幣支持部と、前記紙幣支持部の前記幅方向の両側に位置し、前記異物排出部と繋がる異物落下穴とが設けられ、前記異物落下穴の前記幅方向の大きさは、異物として想定される最大径硬貨の直径よりも大きく、前記異物排出部は、底部が前記装置の後方から前方に向かって傾斜し、前記装置の前方側の端である前端から異物が排出されるようになっていて、前記装置の前方側に前記異物排出部の前端に向かうにつれて前記異物排出部の幅を狭くする絞り壁部を有し、前記絞り壁部の前端と、当該絞り壁部の前端から見て前記幅方向の内側に隣接する紙幣支持部の前端との距離が、異物として想定される最小径硬貨の直径よりも小さい。
【0009】
こうすることで、絞り壁部の前端から見て幅方向の内側に隣接する紙幣支持部よりも幅方向の外側にある異物落下穴から落下した異物が、異物排出部の底部を滑り落ちていく際に絞り壁部に衝突して減速される。
【0010】
また本発明の紙幣処理装置においては、投入された紙幣を収容する紙幣収容部と、前記紙幣収容部の下方に設けられた異物排出部とを備え、前記紙幣収容部の底部には、装置の前後方向に延び、前記装置の前後方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の紙幣支持部と、前記紙幣支持部の前記幅方向の両側に位置し、前記異物排出部と繋がる異物落下穴とが設けられ、前記異物落下穴の前記幅方向の大きさは、異物として想定される最大径硬貨の直径よりも大きく、前記異物排出部は、底部が前記装置の後方から前方に向かって傾斜し、前記装置の前方側の端である前端から前記異物が排出されるようになっていて、前記装置の前方側に前記異物排出部の前端に向かうにつれて前記異物排出部の幅を狭くする絞り壁部を有し、前記異物排出部の底部における、前記絞り壁部の前端よりも前記幅方向の内側に、当該底部を滑り落ちてくる前記異物を減速させる為の減速部材が設けられている。
【0011】
こうすることで、絞り壁部の前端よりも幅方向の外側に落ちた異物については、異物排出部の底部を滑り落ちていく際に絞り壁部に衝突して減速される一方、絞り壁部の前端よりも幅方向の内側に落ちた異物については、異物排出部の底部を滑り落ちていく際に減速部材と接触して減速される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異物が滑り落ちてくる際の勢いを抑制することができる
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態による入出金機の外観構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態による紙幣ユニットの外観構成を示す斜視図である。
図3】第1の実施の形態による紙幣入金部の内部構成を示す図である。
図4】第1の実施の形態による異物排出口から異物が排出される様子を示す図である。
図5】第1の実施の形態による紙幣入金部の動作(紙幣投入時)を示す図である。
図6】第1の実施の形態による紙幣入金部の動作(紙幣取込時)を示す図である。
図7】第1の実施の形態による紙幣入金部の動作(異物排出時)を示す1つ目の図である。
図8】第1の実施の形態による紙幣入金部の動作(異物排出時)を示す2つ目の図である。
図9】第1の実施の形態による紙幣入金部の動作(異物排出時)を示す3つ目の図である。
図10】第1の実施の形態による紙幣入金部の比較対象となる構成を示す図である。
図11】第2の実施の形態による紙幣入金部の内部構成を示す図である。
図12】第2の実施の形態による紙幣入金部の動作(異物排出時)を示す図である。
図13】第2の実施の形態による紙幣入金部の内部構成の他の例を示すである。
図14】第3の実施の形態による紙幣入金部の内部構成を示すである。
図15】第3の実施の形態による紙幣入金部の動作(異物排出時)を示す1つ目の図である。
図16】第3の実施の形態による紙幣入金部の動作(異物排出時)を示す2つ目の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.入出金機の外観構成]
図1に、第1の実施の形態としての入出金機1の外観を示す。図1に示す入出金機1は、紙幣及び硬貨の入金及び出金が可能な例えばセルフ精算機であり、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ガソリンスタンド等の小売店の精算所に設置されている。この入出金機1は、図示しないPOSレジなどのレジスタと接続されており、当該レジスタの制御に基づき動作する。
【0016】
入出金機1は、箱型の装置筐体2を有している。ここで、装置筐体2を形成する各面のうち、利用者と対峙する面を前面2a、利用者から見て上側の面を上面2bとする。
【0017】
装置筐体2は、前後方向及び左右方向に比べて上下方向に長い箱型であり、上面2bの中央に、取引明細などが記載されたレシートを出力するレシートプリンタ3と、各種画面を表示する表示部及び表示部に表示された各種画面に対する操作入力を受け付ける操作部として機能する操作表示部4とが設けられている。操作表示部4としては、例えばタッチパネル付きディスプレイが用いられる。
【0018】
さらに装置筐体2の前面2aの上部左寄りには、紙幣が投入される紙幣投入口5が設けられ、さらに当該紙幣投入口5の下方に、紙幣が排出される紙幣排出口6が設けられている。尚、紙幣投入口5には、例えばシャッタが設けられ、シャッタの開閉により露出又は遮蔽されるようになっている。さらに装置筐体2の前面2aには、紙幣投入口5と紙幣排出口6の間に、紙幣投入口5に投入された異物が排出される異物排出口7が設けられている。紙幣投入口5、紙幣排出口6、異物排出口7は、後述する紙幣ユニット8の一部として入出金機1に組み込まれている。
【0019】
さらに装置筐体2の前面2aには、紙幣投入口5の右側に、硬貨が投入される硬貨投入口9が設けられ、さらに紙幣排出口6の下方に、硬貨が排出される硬貨排出口10が設けられている。尚、異物排出口7から排出された異物(具体的には硬貨を想定)は、下方の硬貨排出口10に設けられたトレイ11へと落下するようになっている。硬貨投入口9、硬貨排出口10は、硬貨ユニット12の一部として入出金機1に組み込まれている。
【0020】
[1-2.紙幣ユニットの構成]
つづけて、図2を用いて、紙幣ユニット8の構成について説明する。図2に外観斜視図を示すように、紙幣ユニット8は、前後方向に長い直方体形状の筐体20を有しており、この筐体20の前面上部に紙幣が投入される紙幣投入口5が設けられ、前面下部に紙幣が排出される紙幣排出口6が設けられ、紙幣投入口5と紙幣排出口6との間に異物排出口7が設けられている。この紙幣ユニット8は、使用者により紙幣投入口5に投入された紙幣を取り込んで筐体2内部に収納すると共に、内部に収納している紙幣を紙幣排出口6から釣銭として排出する。また紙幣ユニット8は、紙幣投入口5に投入された異物(例えば紙幣とともに投入された硬貨など)を異物排出口7から排出する。
【0021】
この紙幣ユニット8の筐体2内部には、前側上部(つまり紙幣投入口5の奥)に、紙幣投入口5に投入された紙幣を内部に取り込む紙幣入金部100が設けられている。以下、この紙幣入金部100の構成について詳しく説明する。
【0022】
[1-3.紙幣入金部の構成]
図3(A)に、紙幣入金部100を上方から見た場合の上面図を示す。また図3(B)に、紙幣入金部100を右方から見た場合の側面図を示す。図3(A)、(B)は、それぞれ一部を省略したり簡略化したりした模式図となっている。図3(A)、(B)に示すように、紙幣入金部100は、紙幣投入口5(図2)から投入された紙幣を収容する紙幣収容部101を中心に構成されている。尚、紙幣入金部100では、図5(A)、(B)に示すように、紙幣の長手方向が左右方向、厚さ方向が前後方向となる向きで、紙幣収容部101に紙幣が投入されるようになっていて、投入された紙幣を紙幣収容部101の底部上に立位状態で前後方向に集積するようにして収容する。
【0023】
紙幣収容部101の上端は開放されていて、紙幣投入口5(図2)とつながっている。紙幣収容部101の前端には、紙幣収容部101の前側の壁面を形成するフロントフレーム102が設けられ、紙幣収容部101の後端には、紙幣収容部101の後側の壁面を形成するガイド103が設けられている。尚、ガイド103は、紙幣収容部101の底部よりも下方まで延びている。また図示しないが紙幣収容部101の左端と右側には、それぞれ左側の壁面及び右側の壁面を形成するサイドフレームが設けられている。
【0024】
紙幣収容部101の底部は、後方から前方に向かって下るように傾斜していて、この底部の後端部分がゲートガイド104となっていて、ゲートガイド104よりも前側に位置する部分が紙幣支持部105となっている。さらに紙幣支持部105の下方には、異物ダクト106が設けられている。
【0025】
ゲートガイド104は、後端部分が下方へと延びる断面L字型の板状部材である。ゲートガイド104の下方に延びている部分と、ガイド103の下端部との間には所定の隙間Rが形成されていて、紙幣収容部101に収容されている紙幣はこの隙間Rを通って1枚ずつ繰り出されて、紙幣ユニット8に取り込まれていくようになっている。よってこの隙間Rを、以下、搬送路Rと呼ぶ。つまりゲートガイド104は、紙幣収容部101の底部の後端部分を形成する上部と、搬送路Rを形成する下部とで構成されている。
【0026】
またこの搬送路Rを挟んでゲートガイド104側(前側)にはゲートローラ107が設けられ、ガイド103側(後側)にはフィードローラ108が設けられている。これらゲートローラ107とフィードローラ108は、それぞれゲートガイド104及びガイド103から搬送路R内に一部が突出するように対向配置されていて、搬送路R内で当接するようになっている。またフィードローラ108の上方には、ガイド103から紙幣収容部101内に一部が突出するようにしてピッカローラ109(図3(A)では省略)が設けられている。
【0027】
これらゲートローラ107、フィードローラ108、ピッカローラ109は、図示しないアクチュエータにより回転するローラであり、紙幣収容部101に収容されている紙幣を1枚ずつ搬送路Rを通して繰り出す機能を有している。
【0028】
紙幣支持部105(105SL、105SR、105CL、105CR)は、幅方向(つまり左右方向)の長さが紙幣収容部101よりも十分に短い前後方向に延びる角棒状の部材であり、ゲートガイド104の上部前端からフロントフレーム102の下端まで延びている。尚、紙幣支持部105の幅方向の長さ(つまり幅)は2mm程度であり、異物として想定される硬貨のうちの最小径硬貨(例えば1円硬貨)の直径と比較しても十分小さい幅となっている。この紙幣支持部105は、紙幣収容部101に収容された紙幣を支持する部材(リブ)である。紙幣収容部101の底部を形成するゲートガイド104の上部と紙幣支持部105は、それぞれ後方から前方に向かって下るように傾斜している。
【0029】
紙幣収容部101の底部には、この紙幣支持部105が、幅方向に間隔を空けて複数本(本実施の形態では4本)配置されている。ここで、4本の紙幣支持部105のうち、紙幣収容部101の幅方向の一端側(左端側)に位置する紙幣支持部105を紙幣支持部105SL、当該紙幣支持部105SLから見て幅方向の内側(右側)に隣接する紙幣支持部105を紙幣支持部105CL、紙幣収容部101の幅方向の他端側(右端側)に位置する紙幣支持部105を紙幣支持部105SR、当該紙幣支持部105SRから見て幅方向の内側に隣接する紙幣支持部105を紙幣支持部105CRとする。紙幣支持部105SL、105CLは、紙幣収容部101の幅方向の中心よりも左側に配置され、紙幣支持部105SR、105CRは、紙幣収容部101の幅方向の中心よりも右側に配置されている。
【0030】
また紙幣収容部101の底部には、紙幣支持部105と紙幣支持部105との間、及び左端の紙幣支持部105SL及び右端の紙幣支持部105CLの幅方向のさらに外側に、それぞれ紙幣収容部101と異物ダクト106とを繋ぐ異物落下穴110が設けられている。図3(A)に示すように、紙幣収容部101には、この異物落下穴110が5つ設けられている。
【0031】
紙幣入金部100では、紙幣収容部101に投入された紙幣を紙幣支持部105(105SL、105SR、105CL、105CR)で支持する一方で、紙幣収容部101に投入された異物(硬貨を想定)については、異物落下穴110から異物ダクト106に落下させるようになっている。ここで、異物の落下のみに着目すると、異物落下穴110の幅(左右方向の長さ)はできる限り広くすることが望ましいが、異物落下穴110の幅を広くすると、その分、紙幣支持部105の間隔が広くなってしまう。尚、ここで言う異物落下穴110の幅とは、異物落下穴110の後側の幅のことである。紙幣収容部101に投入された紙幣が異物落下穴110から落下してしまうことのないように、紙幣支持部105の間隔は、少なくとも長手方向の長さが最小の紙幣の長手方向の長さよりは狭く、異物として想定される硬貨のうち、最大径硬貨(例えば500円硬貨)の直径よりは広くなっている。本実施の形態では、幅方向の中央に位置する異物落下穴110が、他の異物落下穴110と比較してかなり大きくなっていて、この中央の異物落下穴110が長手方向の長さが最小の紙幣の長手方向の長さよりは狭くなっている。
【0032】
また紙幣収容部101内には、紙幣収容部101内を前後方向にスライド可能なビルプレス112が設けられている。ビルプレス112は、紙幣収容部101よりも前後方向の長さが十分に短く、左右方向及び上下方向の長さが紙幣収容部101と同程度の板状部材である。紙幣入金部100では、紙幣投入時、このビルプレス112をフロントフレーム102に近接する位置まで移動させ、ビルプレス112とガイド103との間に、投入された紙幣を収容するようになっている。つまり紙幣収容部101全体のうち、ビルプレス112とガイド103との間のスペースが紙幣収容空間となっていて、紙幣と異物はこの紙幣収容空間に投入されることになる。
【0033】
このビルプレス112の下端と、紙幣支持部105との間には製造時や組立時の誤差を考慮してわずかな隙間が設けられている。この隙間は、異物として想定される最大厚さ硬貨が通り抜けできる程度の大きさとなっている。
【0034】
異物ダクト106は、底部が後方から前方に向かって下るように傾斜していて、上端と前端とが開放されていて、上端は異物落下穴110を介して紙幣収容部101と繋がっていて、前端は異物排出口7(図2)と繋がっている。
【0035】
紙幣収容部101から異物ダクト106へと落下してきた異物(つまり硬貨)は、異物ダクト106の底部を前方へと滑り落ちていき、異物排出口7から排出される。その後、図4に入出金機1の装置筐体2を右方から見た場合の側断面図を示すように、異物排出口7から排出された硬貨Ciは、下方に位置するトレイ11へと落下していき、トレイ11によって受け止められるようになっている。
【0036】
このとき、異物を異物排出口7の幅方向(左右方向)の中央に寄せて排出した方が利用者による異物の視認性が向上する。この為、異物ダクト106は、図3(A)に示すように、左端の外壁の前端部分106AL以外の部分は、異物ダクト106の幅方向(左右方向)に直交している一方で、当該前端部分106ALは、前方に向かうにつれて(つまり異物排出口7に近づくにつれて)異物ダクト106の幅方向の中央に近づくように傾けられている。同様に、右端の外壁の前端部分106ARも、前方に向かうにつれて異物ダクト106の幅方向の中央に近づくように傾けられている。つまり、異物ダクト106は、左右の外壁の前端部分106AL、106ARが、前方に向かうにつれて異物ダクト106の幅を狭くする絞り形状となっていて、これにより、紙幣収容部101から落下してきた異物を、異物排出口7の幅方向(左右方向)の中央に寄せて排出できるようになっている。尚、左右の外壁の前端部分106AL、106ARを、以下、絞り壁部106AL、106ARと呼ぶ。
【0037】
またこのように、異物ダクト106の左右の絞り壁部106AL、106ARが幅方向の中央に向かって絞る絞り形状となっている為、前側に絞り壁部106ALが位置する異物落下穴110(左端の異物落下穴110とその隣の異物落下穴110)と、前側に絞り壁部106ARが位置する異物落下穴110(右端の異物落下穴110とその隣の異物落下穴110)は、それぞれ前方に向かって幅が狭くなっている。
【0038】
また4本あるうちの左端の紙幣支持部105SLは、異物ダクト106の左端の絞り壁部106ALの前端よりも異物ダクト106の幅方向の外側に配置されている。また左端の紙幣支持部105SLの隣に位置する左側中央寄りの紙幣支持部105CLは、異物ダクト106の左端の絞り壁部106ALの前端よりも異物ダクト106の幅方向の内側に配置されている。具体的には、図3(A)に示すように、左側中央寄りの紙幣支持部105CLは、左端の絞り壁部106ALの前端から距離X1だけ幅方向の内側に配置されている。この距離X1は、最小径硬貨(例えば1円硬貨)の直径よりも小さくなっている。
【0039】
詳しくは後述するが、距離X1を最小径硬貨(例えば1円硬貨)の直径よりも小さくした理由は、左端の紙幣支持部105SLと左側中央寄りの紙幣支持部105CLの間に位置する左側中央寄りの異物落下穴110から異物ダクト106へと落下した硬貨が異物ダクト106の前方へと滑りと落ちていった際に、当該硬貨を確実に絞り壁部106ALに衝突させて減速させる為である。
【0040】
また右端の紙幣支持部105SRは、右端の絞り壁部106ARの前端よりも異物ダクト106の幅方向の外側に配置されている。また右端の紙幣支持部105SRの隣に位置する右側中央寄りの紙幣支持部105CRは、異物ダクト106の右端の絞り壁部106ARの前端よりも異物ダクト106の幅方向の内側に配置されている。具体的には、図3(A)に示すように、右側中央寄りの紙幣支持部105CRは、右端の絞り壁部106ARの前端から距離X2だけ幅方向の内側に配置されている。この距離X2は、距離X1と同じ長さであり、距離X1と同様、最小径硬貨(例えば1円硬貨)の直径よりも小さくなっている。
【0041】
詳しくは後述するが、距離X2を最小径硬貨(例えば1円硬貨)の直径よりも小さくした理由も、距離X1と同様、右端の紙幣支持部105SRと右側中央寄りの紙幣支持部105CRの間に位置する右側中央寄りの異物落下穴110から異物ダクト106へと落下した硬貨が異物ダクト106の前方へと滑りと落ちていった際に、当該硬貨を確実に絞り壁部106ARに衝突させて減速させる為である。尚、上述の距離X1は、図8のように紙幣入金部100を上方から見て、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと左端の絞り壁部106ALの前端とが一つの仮想的な面の上(換言すると図8の紙面上)にあると見た場合の当該面上における距離である。また上述の距離X2も同様に、図8のように紙幣入金部100を上方から見て、右側中央寄りの紙幣支持部105CRと右端の絞り壁部106ARの前端とが一つの仮想的な面の上(換言すると図8の紙面上)にあると見た場合の当該面上における距離である。紙幣入金部100の構成は、以上のようになっている。
【0042】
[1-4.紙幣入金部の動作]
次に、紙幣入金部100の動作として、投入された紙幣を取り込むときの通常動作について図5及び図6を用いて説明する。尚、図5は、紙幣投入時の通常動作を示し、図6は、紙幣取込時の通常動作を示している。
【0043】
図5(A)、(B)に示すように、紙幣投入時、紙幣入金部100は、紙幣収容部101におけるビルプレス112の前方に紙幣Biの束が投入される。このとき、紙幣Biは、立位状態で異物落下穴110に落下しないように紙幣支持部105(105SL、105SR、105CL、105CR)により支持される。
【0044】
その後、図6(A)、(B)に示すように、紙幣取込時、紙幣入金部100は、ビルプレス112を後方(つまりガイド103側)へと移動させることで、紙幣Biの束をピッカローラ109(図6(B))に押し付ける。このとき、紙幣Biの束は、紙幣支持部105の後方に位置するゲートガイド104の上部により立位状態のまま支持される。この状態で、紙幣入金部100は、ピッカローラ109とフィードローラ108を回転させることにより、紙幣Biの束を1枚ずつ分離して下方の搬送路Rへと送り搬送路Rから繰り出す。このようにして紙幣入金部100から繰り出された紙幣Biは紙幣ユニット8の内部に取り込まれる。
【0045】
尚、本実施の形態では、紙幣入金部100に入金機能のみを持たせているが、出金機能を持たせることもできる。この場合、紙幣入金部100は、ゲートローラ107とフィードローラ108を回転させることにより、紙幣ユニット8の内部から搬送路Rへと送られてきた紙幣を、ビルプレス112とガイド103との間へと繰り出して集積していく。このとき、紙幣入金部100は、集積している紙幣の枚数が増えるにつれて、ビルプレス112を前方へ移動させて、ビルプレス112とガイド103との間の紙幣収容空間を広げていく。利用者は、このようにして紙幣入金部100に収容された紙幣を、紙幣投入口5から受け取る。
【0046】
つづけて、紙幣入金部100の動作として、紙幣投入口5から投入された異物を異物排出口7から排出する排出動作について図7図9を用いて説明する。
【0047】
図7(A)、(B)は、異物としての硬貨Ciが、左端の紙幣支持部105SLの幅方向の外側に位置する左端の異物落下穴110上に落下してきた場合の排出動作を示している。この場合、当該硬貨Ciは、そのまま異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下し、異物ダクト106の底部上を前方に滑り落ちていく。ここで、左端の異物落下穴110の前方には、異物ダクト106の左端の絞り壁部106ALが位置する為、左端の異物落下穴110から異物ダクト106に落下して前方に滑り落ちていった硬貨Ciは、絞り壁部106ALに衝突し、その後、絞り壁部106ALに沿って異物ダクト106の前端へと進んで前方に排出される。
【0048】
この場合、異物としての硬貨Ciは、紙幣支持部105に接触することなく、直接、左端の異物落下穴110を通って異物ダクト106まで落下している。このようなパターンでは、異物ダクト106の底部上を滑り落ちていく際に硬貨Ciに勢いが付きやすい。硬貨Ciに勢いが付きすぎた状態で、当該硬貨Ciが異物排出口7から排出されてしまうと、硬貨Ciがトレイ11の外側へ飛び出したり、トレイ11が硬貨Ciを受け止める際の衝撃が大きくなって騒音の原因となったりする可能性が出てくる。そこで、紙幣入金部100では、左端の異物落下穴110を通って異物ダクト106まで落下してきた当該硬貨Ciを、絞り壁部106ALに衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。
【0049】
尚、異物としての硬貨Ciが、右端の紙幣支持部105SRの幅方向の外側に位置する右端の異物落下穴110上に落下してきた場合の排出動作も同様の為、説明は省略する。
【0050】
図8(A)、(B)は、異物としての硬貨Ciが、左端の紙幣支持部105SLと左側中央寄りの紙幣支持部105CLとの間に位置する左側中央寄りの異物落下穴110上に落下してきた場合の排出動作を示している。この場合、当該硬貨Ciは、そのまま異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下し、異物ダクト106の底部上を前方に滑り落ちていく。ここで、左側中央寄りの異物落下穴110の前方左側には、異物ダクト106の左端の絞り壁部106ALが位置する。またこの絞り壁部106ALの前端と左側中央寄りの紙幣支持部105CLの前端との距離X1は、上述したように、最小径硬貨の直径よりも小さくなっている。この為、左側中央寄りの異物落下穴110から異物ダクト106に落下して滑り落ちてきた硬貨Ciは、絞り壁部106ALに衝突し、その後、絞り壁部106ALに沿って、異物ダクト106の前端へと進んで前方に排出される。
【0051】
このパターンにおいても、紙幣入金部100では、異物ダクト106の底部上を滑り落ちてくる硬貨Ciを、絞り壁部106ALに衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。
【0052】
尚、異物としての硬貨Ciが、右端の紙幣支持部105SRと右側中央寄りの紙幣支持部105CRとの間に位置する右側中央寄りの異物落下穴110上に落下してきた場合の排出動作も同様の為、説明は省略する。
【0053】
図9(A)、(B)は、異物としての硬貨Ciが、左側中央寄りの紙幣支持部105CL上に落下してきた場合の排出動作を示している。この場合、当該硬貨Ciは、紙幣支持部105CLに衝突した後、幅方向の内側もしくは外側(図9(A)では内側)にずれ、異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下し、異物ダクト106の底部上を前方に滑り落ちていく。
【0054】
このパターンのように、異物としての硬貨Ciが、紙幣支持部105に衝突してから異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下する場合、硬貨Ciが紙幣支持部105に衝突することなく異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下するパターンと比較して、硬貨Ciが異物ダクト106の底部上を滑り落ちていく際の勢いが抑制される。つまり、このパターンでは、硬貨Ciを絞り壁部106ALに衝突させなくても、当該硬貨Ciが異物ダクト106の底部上を滑り落ちていく際の勢いが抑制される。
【0055】
上述した図7図9のパターンについてまとめると、紙幣入金部100では、紙幣収容部101に投入された硬貨Ciにおける紙幣収容部101の幅方向(左右方向)の外側の端が、左側中央寄りの紙幣支持部105CLの幅方向の内側の端よりも外側の範囲L1(図9(A)参照)内、もしくは右側中央寄りの紙幣支持部105CRの幅方向の内側の端よりも外側の範囲L2内に位置していれば、当該硬貨Ciが絞り壁部106AL、106ARに衝突する、もしくは紙幣支持部105に衝突することで、当該硬貨Ciが異物ダクト106の底部上を滑り落ちていく際の勢いを抑制することができるようになっている。
【0056】
[1-5.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、紙幣処理装置としての紙幣ユニット8に、投入された紙幣を収容する紙幣収容部101と、紙幣収容部101の下方に設けられた異物排出部としての異物ダクト106とを設けた。さらに紙幣収容部101の底部には、紙幣ユニット8の前後方向に延び、紙幣ユニット8の前後方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の紙幣支持部105(105SL、105CL、105SR、105CR)と、紙幣支持部105の幅方向の両側に位置し、異物ダクト106と繋がる異物落下穴110とが設けられ、異物落下穴110の幅方向の大きさを、異物として想定される最大径硬貨の直径よりも大きくした。
【0057】
さらに異物ダクト106は、底部が紙幣ユニット8の後方から前方に向かって傾斜し(下り)、紙幣ユニット8の前方側の端である前端から異物が排出されるようになっていて、紙幣ユニット8の前方側となる前側に異物ダクト106の前端に向かうにつれて異物ダクト106の幅を狭くする絞り壁部106AL、106ARを有するとした。そしてさらに絞り壁部106AL、106ARの前端と、絞り壁部106AL、106ARの前端から見て幅方向の内側に隣接する紙幣支持部105CL、105CRの前端との距離X1、X2を、異物として想定される最小径硬貨の直径よりも小さくした。
【0058】
こうすることで、本実施の形態の紙幣ユニット8では、紙幣収容部101に投入された硬貨Ciにおける紙幣収容部101の幅方向(左右方向)の外側の端が、左側中央寄りの紙幣支持部105CLの幅方向の内側の端よりも外側の範囲L1(図9(A)参照)内、もしくは右側中央寄りの紙幣支持部105CRの幅方向の内側の端よりも外側の範囲L2内に位置していれば、当該硬貨Ciが絞り壁部106AL、106ARに衝突する、もしくは紙幣支持部105に衝突することにより、当該硬貨Ciが異物ダクト106の底部上を滑り落ちていく際の勢いを抑制することができる。
【0059】
ここで比較対象として、紙幣支持部105(105SL、105CL、105SR、105CR)の位置を幅方向の内側にずらして、紙幣支持部105の間隔を等間隔に近づけた構成を図10に示す。このような構成でも、紙幣収容部101に投入された硬貨Ciにおける紙幣収容部101の幅方向(左右方向)の外側の端が、左端の絞り壁部106ALの前端よりも外側の範囲L10、もしくは右端の絞り壁部106ARの前端よりも外側の範囲L20内に位置していれば、当該硬貨Ciが絞り壁部106AL、106ARに衝突することで、当該硬貨Ciが異物ダクト106の底部上を滑り落ちていく際の勢いを抑制することができる。しかしながら、図10に示す構成では、L10<L1、L20<L2となる為、紙幣収容部101の幅方向の両端部分において、硬貨Ciが滑り落ちていく際の勢いを抑制できる範囲が、本実施の形態の紙幣ユニット8と比較して狭くなってしまう。つまり、本実施の形態の紙幣ユニット8では、図10に示すような構成と比較した場合でも、紙幣収容部101の幅方向の両端部分において、硬貨Ciが滑り落ちていく際の勢いをより抑制できる(抑制し易い)と言える。尚、紙幣収容部101の幅方向の中央部分において、硬貨Ciが滑り落ちていく際の勢いを抑制する構成については、第2の実施の形態として、以下に説明する。
【0060】
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、紙幣入金部100の構成が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。ゆえに、ここでは、紙幣入金部100についてのみ説明する。尚、第1の実施の形態と区別する為、第2の実施の形態による紙幣入金部100を紙幣入金部100xとする。
【0061】
[2-1.紙幣入金部の構成]
図3(A)、(B)に対応する図11(A)、(B)に、第2の実施の形態の紙幣入金部100xの構成を示す。図11(A)に示すように、紙幣入金部100xは、紙幣支持部105(105SL、105CL、105SR、105CR)の位置を幅方向の内側にずらして、紙幣支持部105の間隔を等間隔に近づけた構成となっている。
【0062】
さらに紙幣入金部100xは、異物ダクト106の底面106Sの前端側の幅方向の中央に当該底面106Sから上方に突出する突起部200が設けられている。具体的には、突起部200は、図11(A)に示すように、上方から見て、全体として紙幣収容部101の幅方向(左右方向)に長い略楕円形状であり、後端が後方に膨らんだ略円弧形状となっている。また突起部200は、図11(B)に示すように、幅方向から見て、全体としてなだらかな山形状であり、後端側が後方から前方に向かってわずかに上るように傾斜している。
【0063】
この突起部200は、上方から見て、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと右側中央寄りの紙幣支持部105CRとの間に位置している。さらにこの突起部200は、当該突起部200の左端と左側中央寄りの紙幣支持部105CLの右端との距離L31が最小径硬貨の直径よりも小さく、当該突起部200の右端と右側中央寄りの紙幣支持部105CRの左端との距離L32が最小径硬貨の直径よりも小さくなる大きさとなっている。尚、距離L31と距離L32は、図11のように紙幣入金部100xを上方から見て、突起部200の左端(右端)と左側中央寄りの紙幣支持部105CLの右端(右側中央寄りの紙幣支持部105CRの左端)とが一つの仮想的な面の上(換言すると図11の紙面上)にあると見た場合の当該面上における距離である。他の構成は、第1の実施の形態の紙幣入金部100と同様の為、詳しい説明は省略する。紙幣入金部100xの構成は、以上のようになっている。
【0064】
[2-2.紙幣入金部の動作]
次に、紙幣入金部100の動作として、紙幣投入口5から投入された異物を異物排出口7から排出する排出動作について図12を用いて説明する。
【0065】
図12(A)、(B)は、異物としての硬貨Ciが、左側中央寄りの紙幣支持部105CLの幅方向の内側で、且つ紙幣支持部105CLにぎりぎり当たらない位置で、中央の異物落下穴110上に落下してきた場合の排出動作を示している。この場合、当該硬貨Ciは、そのまま中央の異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下し、異物ダクト106の底部上を前方に滑り落ちていく。ここで、異物ダクト106の底面106Sに設けられた突起部200の左端と、左側中央寄りの紙幣支持部105CLの右端との距離L31が、最小径硬貨の直径よりも小さい為、中央の異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下した硬貨Ciは、必ずこの突起部200と衝突する。
【0066】
このとき、当該硬貨Ciは、突起部200と衝突することで減速しながら、この突起部200の外周に沿って(もしくは突起部200を乗り越えて)、さらに前方へと滑り落ち、異物ダクト106の前端から前方に排出される。
【0067】
尚、突起部200は、衝突してきた硬貨Ciを減速させるが停止させないように、高さや傾斜が適切に選定されている。またこの突起部200は、当該突起部200の後端が、ビルプレス112がフロントフレーム102に最も近い位置まで移動したときの当該ビルプレス112の後面よりも前方に位置するように配置されていればよい。よって、突起部200の位置を、図11(A)に示す位置よりも前方へずらしてもよい。
【0068】
このように、紙幣入金部100xでは、中央の異物落下穴110を通って異物ダクト106まで落下してきた当該硬貨Ciを、異物ダクト106の底面106Sの前方に設けられた突起部200に衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。
【0069】
また詳しい説明は省略するが、紙幣入金部100xでは、異物としての硬貨Ciが、左端の異物落下穴110から異物ダクト106に落下した場合、異物ダクト106の底部上を滑り落ちてくる硬貨Ciを、左端の絞り壁部106ALに衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。また紙幣入金部100xでは、硬貨Ciが、右端の異物落下穴110から異物ダクト106に落下した場合、異物ダクト106の底部上を滑り落ちてくる硬貨Ciを、右端の絞り壁部106ALに衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。さらに紙幣入金部100xでは、硬貨Ciが紙幣支持部105上に落下した場合、当該硬貨Ciが紙幣支持部105に衝突することで、滑り落ちていく際の勢いが抑制されるようになっている。
【0070】
ところで、図13に示すように、突起部200の左端が、左端の絞り壁部106ALの前端近傍まで達するとともに、突起部200の右端が、右端の絞り壁部106ARの前端近傍まで達するように、突起部200の幅を広くすることも考えられる。このようにすれば、左側中央寄りの異物落下穴110と右側中央寄りの異物落下穴110から異物ダクト106に落下した硬貨Ciについても、突起部200に衝突するようになり、滑り落ちていく際の勢いが抑制されることになる。
【0071】
一方で、このように突起部200の幅を広くすると、例えば左側中央寄りの紙幣支持部105CLに衝突してから異物落下穴110を通って異物ダクト106に落下するような硬貨Ciについては、紙幣支持部105CLと突起部200の両方に衝突することになり、滑り落ちていく際の勢いが必要以上に抑制されてしまう可能性が出てくる。このことを考慮して、本実施の形態では、突起部200を、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと、右側中央寄りの紙幣支持部105CRの右端との間に配置するようになっている。尚、異物としての硬貨Ciが紙幣支持部105CLと突起部200の両方に衝突する確率は低いと考えられる為、このような状況を考慮しなくてもよい場合には、図13に示すように、突起部200の幅を広くしてもよい。
【0072】
[2-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、紙幣処理装置としての紙幣ユニット8に、投入された紙幣を収容する紙幣収容部101と、紙幣収容部101の下方に設けられた異物排出部としての異物ダクト106とを設けた。さらに紙幣収容部101の底部に、紙幣ユニット8の前後方向に延び、紙幣ユニット8の前後方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の紙幣支持部105(105SL、105CL、105SR、105CR)と、紙幣支持部105の幅方向の両側に位置し、異物ダクト106と繋がる異物落下穴110とを設け、異物落下穴110の幅方向の大きさを、異物として想定される最大径硬貨の直径よりも大きくした。
【0073】
さらに異物ダクト106は、底部が紙幣ユニット8の後方から前方に向かって傾斜し(下り)、紙幣ユニット8の前方側の端である前端から異物が排出されるようになっていて、紙幣ユニット8の前方側となる前側に異物ダクト106の前端に向かうにつれて幅を狭くする絞り壁部106AL、106ARを有するとした。そしてさらに異物ダクト106の底部における、絞り壁部106AL、106ARの前端よりも幅方向の内側に、当該底部を滑り落ちてくる異物を減速させる為の減速部材としての突起部200を設けた。
【0074】
こうすることで、本実施の形態の紙幣ユニット8では、絞り壁部106AL、106ARの前端よりも幅方向の外側に落ちた異物については、異物ダクト106の底部を滑り落ちていく際に絞り壁部106AL、106ARに衝突させて滑り落ちていく際の勢いを抑制することができ、一方、絞り壁部106AL、106ARの前端よりも幅方向の内側に落ちた異物については、異物ダクト106の底部を滑り落ちていく際に突起部200と衝突させて滑り落ちていく際の勢いを抑制することができる。
【0075】
また絞り壁部106AL、106ARの前端よりも幅方向の内側で、且つ左側中央寄りの紙幣支持部105CLと、右側中央寄りの紙幣支持部105CRとの間に、突起部200を設けた。そして、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと突起部200の左端との距離L31を最小径硬貨の直径よりも小さくし、右側中央寄りの紙幣支持部105CLと突起部200の右端との距離L32を最小径硬貨の直径よりも小さくした。
【0076】
こうすることで、本実施の形態の紙幣ユニット8では、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと、右側中央寄りの紙幣支持部105CRとに接触せずに、これらの間に位置する中央の異物落下穴110を通って異物ダクト106まで落下してきた当該硬貨Ciを、突起部200に確実に衝突させて滑り落ちていく際の勢いを抑制することができる。
【0077】
[3.第3の実施の形態]
次に第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、第1の実施の形態の紙幣入金部100と、第2の実施の形態の紙幣入金部100xとを組み合わせた実施の形態である。ゆえに、ここでは、紙幣入金部100についてのみ説明する。尚、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と区別する為、第3の実施の形態の紙幣入金部100を紙幣入金部100yとする。
【0078】
[3-1.紙幣入金部の構成]
図3(A)、(B)に対応する図14(A)、(B)に、第3の実施の形態の紙幣入金部100yの構成を示す。上述したように、紙幣入金部100yは、紙幣入金部100と紙幣入金部100xとを組み合わせた構成であり、具体的には、紙幣支持部105(105SL、105CL、105SR、105CR)の位置が紙幣入金部100と同じ位置となっている。
【0079】
つまり、左側中央寄りの紙幣支持部105CLは、左端の絞り壁部106ALの前端よりも幅方向の内側に設けられていて、且つ当該絞り壁部106ALの前端から、最小径硬貨の直径よりも小さい距離X1だけ離れた位置にあり、この紙幣支持部105CLよりも幅方向の外側に左端の紙幣支持部105SLが設けられている。また右側中央寄りの紙幣支持部105CRは、右端の絞り壁部106ARの前端よりも幅方向の内側に設けられていて、且つ当該絞り壁部106ARの前端から、最小径硬貨の直径よりも小さい距離X2だけ離れた位置にあり、この紙幣支持部105CRよりも幅方向の外側に右端の紙幣支持部105SRが設けられている。
【0080】
さらに紙幣入金部100yは、紙幣入金部100xと同様、異物ダクト106の底面106Sの前端側の幅方向の中央に当該底面106Sから上方に突出する突起部300が設けられている。この突起部300は、突起部200とは形状が異なり、上方から見て紙幣収容部101の幅方向(左右方向)に長い長方形状であり、幅方向から見て三角形状であり、後端側が後方から前方に向かってわずかに上るように傾斜している。尚、突起部300の代わりに、突起部300と同じ幅を有する突起部200を設けてもよい。
【0081】
他の構成は、第1の実施の形態の紙幣入金部100と同様の為、詳しい説明は省略する。紙幣入金部100yの構成は、以上のようになっている。
【0082】
[3-2.紙幣入金部の動作]
次に、紙幣入金部100yの動作として、紙幣投入口5から投入された異物を異物排出口7から排出する排出動作について図15及び図16を用いて説明する。
【0083】
図15(A)、(B)は、第1の実施の形態で説明した図8(A)、(B)と同様のパターンであり、異物としての硬貨Ciが、左端の紙幣支持部105SLと左側中央寄りの紙幣支持部105CLとの間に位置する左側中央寄りの異物落下穴110上に落下してきた場合の排出動作を示している。この場合、当該硬貨Ciは、そのまま異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下し、異物ダクト106の底部上を前方に滑り落ちていく。ここで、左側中央寄りの異物落下穴110の前方左側には、異物ダクト106の左端の絞り壁部106ALが位置する。またこの絞り壁部106ALの前端と左側中央寄りの紙幣支持部105CLの前端との距離X1は、上述したように、最小径硬貨の直径よりも小さくなっている。この為、左側中央寄りの異物落下穴110から異物ダクト106に落下して滑り落ちてきた硬貨Ciは、絞り壁部106ALに衝突し、その後、絞り壁部106ALに沿って、異物ダクト106の前端へと進んで前方に排出される。
【0084】
つまり、このパターンにおいて、紙幣入金部100yでは、紙幣入金部100と同様、異物ダクト106の底部上を滑り落ちてくる硬貨Ciを、絞り壁部106ALに衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。
【0085】
図16(A)、(B)は、第2の実施の形態で説明した図12(A)、(B)と同様のパターンであり、異物としての硬貨Ciが、左側中央寄りの紙幣支持部105CLの幅方向の内側で、且つ紙幣支持部105CLにぎりぎり当たらない位置で、中央の異物落下穴110上に落下してきた場合の排出動作を示している。この場合、当該硬貨Ciは、そのまま中央の異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下し、異物ダクト106の底部上を前方に滑り落ちていく。ここで、異物ダクト106の底面106Sに設けられた突起部300の左端と、左側中央寄りの紙幣支持部105CLの右端との距離L31が、最小径硬貨の直径よりも小さい為、中央の異物落下穴110を通って異物ダクト106へと落下した硬貨Ciは、必ずこの突起部300と衝突する。
【0086】
このとき、当該硬貨Ciは、突起部300と衝突することで減速しながら、この突起部300を乗り越えて、さらに前方へと滑り落ち、異物ダクト106の前端から前方に排出される。
【0087】
尚、突起部300は、衝突してきた硬貨Ciを減速させるが停止させないように、高さや傾斜が適切に選定されている。またこの突起部300は、当該突起部300の後端が、ビルプレス112がフロントフレーム102に最も近い位置まで移動したときの当該ビルプレス112の後面よりも前方に位置するように配置されていればよい。よって、突起部300の位置を、図16(A)に示す位置よりも前方へずらしてもよい。
【0088】
このように、紙幣入金部100yでは、中央の異物落下穴110を通って異物ダクト106まで落下してきた当該硬貨Ciを、異物ダクト106の底面106Sの前方に設けられた突起部300に衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。
【0089】
また詳しい説明は省略するが、紙幣入金部100yでは、異物としての硬貨Ciが、左端の異物落下穴110から異物ダクト106に落下した場合、異物ダクト106の底部上を滑り落ちてくる硬貨Ciを、左端の絞り壁部106ALに衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。また紙幣入金部100yでは、硬貨Ciが、右端の異物落下穴110から異物ダクト106に落下した場合、異物ダクト106の底部上を滑り落ちてくる硬貨Ciを、右端の絞り壁部106ALに衝突させて減速させることで、滑り落ちていく際の勢いを抑制するようになっている。さらに紙幣入金部100yでは、硬貨Ciが紙幣支持部105上に落下した場合、当該硬貨Ciが紙幣支持部105に衝突することで、滑り落ちていく際の勢いが抑制されるようになっている。
【0090】
このように、紙幣入金部100yでは、紙幣収容部101の幅方向の全域において、紙幣収容部101に投入された異物としての硬貨Ciが異物落下穴110から異物ダクト106へと落下して異物ダクト106の底部上を滑り落ちていく際の勢いを抑制することができるようになっている。
【0091】
[3-3.まとめと効果]
ここまで説明したように第3の実施の形態では、紙幣処理装置としての紙幣ユニット8に、投入された紙幣を収容する紙幣収容部101と、紙幣収容部101の下方に設けられた異物排出部としての異物ダクト106とを設けた。さらに紙幣収容部101の底部には、紙幣ユニット8の前後方向に延び、紙幣ユニット8の前後方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の紙幣支持部105(105SL、105CL、105SR、105CR)と、紙幣支持部105の幅方向の両側に位置し、異物ダクト106と繋がる異物落下穴110とが設けられ、異物落下穴110の幅方向の大きさを、異物として想定される最大径硬貨の直径よりも大きくした。
【0092】
さらに異物ダクト106は、底部が紙幣ユニット8の後方から前方に向かって傾斜し(下り)、紙幣ユニット8の前方側の端である前端から異物が排出されるようになっていて、紙幣ユニット8の前方側となる前側に異物ダクト106の前端に向かうにつれて幅を狭くする絞り壁部106AL、106ARを有するとした。
【0093】
さらに第1の実施の形態と同様、絞り壁部106AL、106ARの前端と、絞り壁部106AL、106ARの前端から見て幅方向の内側に隣接する紙幣支持部105CL、105CRの前端との距離X1、X2を、異物として想定される最小径硬貨の直径よりも小さくした。
【0094】
さらに第2の実施の形態と同様、異物ダクト106の底部における、絞り壁部106AL、106ARの前端よりも幅方向の内側に、当該底部を滑り落ちてくる異物を減速させる為の減速部材としての突起部300を設けた。
【0095】
こうすることで、本実施の形態の紙幣ユニット8では、紙幣収容部101の幅方向の全域において、紙幣収容部101に投入された異物としての硬貨Ciが、異物落下穴110から異物ダクト106へと落下して異物ダクト106の底部上を滑り落ちていく際の勢いを抑制することができる。
【0096】
[4.他の実施の形態]
[4-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第2及び第3の実施の形態では、異物ダクト106の底面106Sに、滑り落ちてくる異物を減速させる為の減速部材として突起部200及び突起部300を設けた。これに限らず、滑り落ちてくる異物を減速させることができるものであれば、突起部200及び突起部300以外の減速部材を異物ダクト106の底面106Sに設けてもよい。例えば、突起部200及び突起部300の代わりに、異物ダクト106の底面106Sよりも摩擦係数が高い摩擦部材を設けてもよい。また底面106Sの突起部200及び突起部300が配置される箇所に、これらの代わりに、底面106Sから突出する毛の束で構成されるブラシを設けてもよい。
【0097】
また突起部200及び突起部300の形状についても、第2及び第3の実施の形態で説明した形状とは異なる形状としてもよい。
【0098】
[4-2.他の実施の形態2]
また上述した第1の実施の形態では、紙幣支持部105の数を4本としたが、4本以上であってもよい。例えば、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと、右側中央寄りの紙幣支持部105CRとの間に、もう1本、中央の紙幣支持部105を追加するなどしてもよい。第2及び第3の実施の形態についても同様である。尚、第3の実施の形態において、例えば、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと、右側中央寄りの紙幣支持部105CRとの間に、もう1本、中央の紙幣支持部105を追加する場合、例えば、突起部300の半分程度の幅の突起部を2つ用意して、一方を、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと中央の紙幣支持部105との間に配置し、他方を、右側中央寄りの紙幣支持部105CRと中央の紙幣支持部105との間に配置するなどしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0099】
[4-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態では、異物ダクト106の前側の幅方向の両端を絞り壁部106AL、106ARとした。これに限らず、例えば、異物ダクト106の前側の幅方向の左端(もしくは右端)のみを絞り壁部106AL(106AR)とするようにしてもよい。
【0100】
[4-4.他の実施の形態4]
さらに上述した第1の実施の形態では、図3(A)に示したように、異物ダクト106の前側の左端の絞り壁部106ALの前端と、左側中央寄りの紙幣支持部105CLとが距離X1だけ離れているとした。この場合、図3(A)では、左側中央寄りの紙幣支持部105CLと右側中央寄りの紙幣支持部105CRとの間隔、つまり中央の異物落下穴110の幅が、他の異物落下穴110の幅よりも大きくなってしまう。そこで、左端の絞り壁部106ALの絞り角度を変えて、当該絞り壁部106ALの前端を、紙幣収容部101の幅方向の中央に向かってずらすようにしてもよい。このようにすれば、図3(A)の場合と比較して、中央の異物落下穴110の幅を小さくすることができる。右端の絞り壁部106ARについても同様に、絞り角度を変えて前端を、紙幣収容部101の幅方向の中央に向かってずらすようにしてもよい。
【0101】
[4-5.他の実施の形態5]
さらに上述した第1乃至第3の実施の形態では、入金機能を有する紙幣入金部100、100x、100yに本発明を適用したが、これに限らず、紙幣入金部100、100x、100yと同様、紙幣収容部の底部に紙幣支持部を有する構成のものであれば、入金機能に加えて出金機能を有する紙幣入出金部に適用することもできる。
【0102】
[4-6.他の実施の形態6]
さらに上述した各実施の形態では、本発明を、紙幣処理装置としての紙幣ユニット8及び当該紙幣ユニット8を有する紙幣取扱装置としての入出金機1に適用した。これに限らず、本発明は、紙幣収容部の底部に紙幣支持部を有する構成のものであれば、紙幣ユニット8とは部分的に構成が異なる紙幣処理装置や入出金機1とは部分的に構成が異なる紙幣取扱装置(例えば入金機など)にも適用することができる。
【0103】
さらに上述した各実施の形態では、本発明を、紙幣を扱う紙幣ユニット8及び入出金機1に適用したが、これに限らず、本発明は、紙幣以外の紙葉状の媒体(例えば切符やチケットなど)を扱う様々な媒体処理装置や媒体取扱装置にも適用することができる。
【0104】
[4-7.他の実施の形態7]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、例えば紙幣を扱う紙幣処理装置で利用できる。
【符号の説明】
【0106】
1……入出金機、2……装置筐体、5……紙幣投入口、7……異物排出口、8……紙幣ユニット、100、100x、100y……紙幣入金部、101……紙幣収容部、102……フロントフレーム、103……ガイド、104……ゲートガイド、105SR、105CR、105SL、105CL……紙幣支持部、106……異物ダクト、106AL、106AR……絞り壁部、110……異物落下穴、112……ビルプレス、200、300……突起部、Bi……紙幣、Ci……硬貨。
図1
図2
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