(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182417
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】排水経路の異物捕集装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/264 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
E03C1/264
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096015
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 めぐみ
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA10
2D061DE15
(57)【要約】
【課題】
本発明は前記問題に鑑み発明されたものであって、容易に捕集部を排水経路から脱着可能とすることで、排水経路の定期的なメンテナンスを容易とすることができる排水経路の異物捕集装置を提供する。
【解決手段】
排水経路1の管軸方向に対して側方に開口される開口部23に着脱可能に取り付け可能な挿入部材3を備えた排水経路の異物捕集装置であって、前記挿入部材3は、前記排水経路1中の異物を捕集する第一捕集部4と、前記第一捕集部4が備えられるとともに前記排水経路1の前記開口部23を閉塞する閉塞部31と、から構成されるとともに、前記開口部23と前記閉塞部31とが水密的に接続される排水経路の異物捕集装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水経路1の管軸方向に対して側方に開口される開口部23に着脱可能に取り付け可能な挿入部材3を備えた排水経路の異物捕集装置であって、
前記挿入部材3は、
前記排水経路1中の異物を捕集する第一捕集部4と、
前記第一捕集部4が備えられるとともに前記排水経路1の前記開口部23を閉塞する閉塞部31と、
から構成されるとともに、前記開口部23と前記閉塞部31とが水密的に接続されることを特徴とする排水経路の異物捕集装置。
【請求項2】
前記第一捕集部4に対して前記閉塞部31は回転可能に取り付けられるとともに、前記閉塞部31を前記開口部23に回転させて取り付けることで前記開口部23を閉塞することを特徴とする請求項1に記載の排水経路の異物捕集装置。
【請求項3】
前記挿入部材3に、前記開口部23から前記排水経路1に前記挿入部材3を挿入する際に、前記挿入部材3を適正位置に案内するための傾斜面36を構成するとともに、前記挿入部材3が挿入される前記排水経路1に前記傾斜面36と合致する被傾斜面27を構成したことを特徴とする請求項1に記載の排水経路の異物捕集装置。
【請求項4】
前記挿入部材3に、前記開口部23から前記排水経路1に前記挿入部材3を挿入する際に、前記挿入部材3を適正位置に案内するための傾斜面36を構成するとともに、前記挿入部材3が挿入される前記排水経路1に前記傾斜面36と合致する被傾斜面27を構成したことを特徴とする請求項2に記載の排水経路の異物捕集装置。
【請求項5】
前記排水経路1は手洗い器5と便器52とをつなぐ経路であって、
前記排水経路1に少なくとも一つの前記第一捕集部4を備えたことを特徴とする請求項3に記載の排水経路の異物捕集装置。
【請求項6】
前記排水経路1は手洗い器5と便器52とをつなぐ経路であって、
前記排水経路1に少なくとも一つの前記第一捕集部4を備えたことを特徴とする請求項4に記載の排水経路の異物捕集装置。
【請求項7】
前記排水経路1へ排水が流入する流入口11を備え、
前記流入口11に前記第一捕集部4の捕集率とは相違する捕集率で構成されるとともに、前記流入口11に流入する排水中の異物を捕集する第二捕集部6を備えたことを特徴とする前記請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の排水経路の異物捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水経路に取り付けられて、排水経路中の異物や、排水経路に流入する排水の異物を捕集する捕集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、特許文献1に記載された航空機の排水システムがある。航空機の手洗い器からの排水は貯水タンクに集められ、ポンプによって便器に排水される構成になっており、貯水タンク内の水位が洗面台に逆流する程高くなると、バルブによってオーバーフロー排水が行われるものである。この排水システムを使用すると、手洗い器で使用した排水はいったん貯水タンク内に貯水され、便器洗浄の際に貯水タンク内の排水を二次利用することが可能となる。
【0003】
また、航空機の手洗い器排水中の異物捕集構造の従来の技術としては、特許文献2に記載されたものがある。この従来の技術によれば、航空機のトイレ手洗いにおいて、手洗い器の排水口および手洗い器からの排水を貯水する貯水タンク内にフィルターを構成している。この構成によれば、手洗い器で発生した排水中の異物を、排水経路の流入口(手洗い器の排水口)及び貯水タンク内のフィルターによって捕集することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1における排水システムでは、手洗い器で発生した排水を貯水タンク内に貯水した上で便器洗浄へ二次利用するが、この従来例では異物の捕集装置を備えていないため、手洗い器からの排水中にゴミや毛髪などの異物が混入したまま便器洗浄水として使用されていた。このため、洗浄水に異物が混入していると便器使用者が当該異物を視認可能となり、便器使用者の不快感が増していた。また、手洗い器で使用者が誤って指輪等を流入口内へ落下させた際にはそのまま貯水タンクと便器を介して便槽へ排水されてしまうため、一度流入口へ指輪等の異物を落下させると取り戻すことが困難であった。
【0007】
特許文献2における排水システムでは、航空機の手洗い器で発生した排水を貯水タンク内に貯水した上で便器洗浄へ二次利用するが、この従来例では排水経路中にフィルターが構成されているが、当然フィルターによって捕集された異物は定期的に清掃する必要がある。しかしながら、特許文献2における技術ではフィルターのメンテナンスに対する配慮がなされていない。
【0008】
本発明は前記問題に鑑み発明されたものであって、容易に捕集部を排水経路から脱着可能とすることで、排水経路の定期的なメンテナンスを容易とすることができる排水経路の異物捕集装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の排水経路の捕集装置は、排水経路1の管軸方向に対して側方に開口される開口部23に着脱可能に取り付け可能な第一捕集部4を備えた挿入部材3を備えた排水経路の異物捕集装置であって、開口部と閉塞部31とが水密的に接続されていることを特徴とする排水経路の異物捕集装置であって、さらには閉塞部31を開口部に回転させて取り付けることで開口部を閉塞したり、挿入部材3を適正位置に案内するための傾斜面を構成し、挿入部材3が挿入される排水経路1に傾斜面36と合致する被傾斜面27を構成したりするものである。
また、前記排水経路1を例えば乗り物などの手洗い器5と便器52とをつなぐ経路としたり、流入口11に設ける第二捕集部6と第一捕集部4の捕集率を相違させたりするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本発明によれば、排水経路1の管軸方向に対して側方に開口される開口部23に着脱可能に取り付け可能な第一捕集部4を備えた挿入部材3を構成して、排水経路1の開口部23と挿入部材3の閉塞部31とが水密的に接続されていることから、短時間に大量の排水が流入した際であっても、排水経路1と挿入部材3の間から漏水が発生するようなことがない。また、排水経路1の側方から挿入部材3を着脱自在としたため、狭い空間内で挿入部材3を取り外すことが可能となる上、挿入部材3に備えられた第一捕集部4の清掃が可能となり、第一捕集部4のメンテナンスが容易となる。
請求項2に記載の本発明によれば、第一捕集部4に対して閉塞部31は回転可能に取り付け、閉塞部31を開口部23に回転させて取り付けることで開口部23を閉塞するようにしたことで、狭い空間内で挿入部材3を取り外すことが可能となる。また、排水経路1内に負圧や過圧が加わった場合であっても、閉塞部31に対して上流側又は下流側から圧力が加わるが、閉塞部31は開口部23に強固に接続されているので、排水経路1内の空気圧の変動によって外れてしまうようなことがない。
請求項3及び請求項4に記載の本発明によれば、挿入部材3に、挿入部材3を排水経路1の適正位置に案内するための傾斜面36を構成し、排水経路1内に傾斜面36と合致する被傾斜面27を構成したことで、挿入部材3の傾斜面36が排水経路1の被傾斜面27とによって接近して圧接することにより、水平方向の応力が更に上下方向の応力に変換される。これにより、傾斜面36に取り付けられたパッキン39を被傾斜面27に押し付けることが可能となる。
請求項5及び請求項6に記載の本発明によれば、手洗い器5と便器52とをつなぐ経路を排水経路1とし、排水経路1に少なくとも一つの第一捕集部4を備えたことから、手洗い器5の排水を便器52の洗浄に二次利用する場合に、排水中の異物を捕集することが可能となり、便器52洗浄の際の排水中に異物が混入するようなことがない。
請求項7に記載の本発明によれば、排水経路1へ排水が流入する流入口11に第一捕集部4の捕集率とは相違する捕集率で構成され、かつ流入口11に流入する排水中の異物を捕集する第二捕集部6を備えたことから、流入口11に取り付けられる第二捕集部6はこまめに清掃などのメンテナンスを実施し、第二捕集部6で捕集できなかった異物は排水経路1の第二捕集部6よりも大容量捕集可能な第一捕集部4で捕集するようにし、第一捕集部4を第二捕集部6のメンテナンス期間よりも長い間メンテナンスせず対応可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の排水経路の異物捕集装置が取り付けられるトイレ排水システムの排水経路を示す図である。
【
図2】本発明の排水経路の一部である継手部材に挿入部材が取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の排水経路の一部である継手部材から挿入部材を取り外した状態を示す断面図である。
【
図4】挿入部材を示す(a)斜視図(b)分解斜視図である。
【
図5】本発明の排水経路の一部である継手部材から挿入部材を取り外した状態の継手部材の側面図である。
【
図6】(a)挿入部材の分解断面図である。(b)(a)における挿入部材から取り外した第一捕集部の側面図である。
【
図7】(a)その他の実施形態に係る本発明の排水経路の一部である継手部材に挿入部材が取り付けられた状態を示す断面図である。(b)(a)における挿入部材から取り外した第一捕集部の側面図である。
【
図8】(a)その他の実施形態に係る本発明の排水経路の一部である継手部材に挿入部材が取り付けられた状態を示す断面図である。(b)(a)における挿入部材から取り外した第一捕集部の側面図である。
【
図9】その他の実施形態に係る本発明の排水経路の異物捕集装置が取り付けられる排水設備(洗面台)における排水経路を示す図である。
【
図10】その他の実施形態に係る本発明の排水経路の異物捕集装置が取り付けられる建物の排水経路を示す図である。
【
図11】その他の実施形態に係る本発明の排水経路の異物捕集装置が取り付けられる洗濯機の排水経路を示す図である。
【
図12】その他の実施形態に係る本発明の排水経路の異物捕集装置が取り付けられる歯科治療時に発生する廃液を吸引する吸引配管経路及びスピットンからの排水経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の排水経路の異物捕集装置を、図面を参照しつつ説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするものであって、これによって本発明が制限して理解されるものではない。
尚、本実施形態における継手部材2は
図1に示すように、乗り物の手洗い器5と便器52をつなぐ排水経路1に取り付けられる。尚、乗り物とは、航空機、車両、鉄道、船舶などの乗客用輸送機関をいう。
手洗い器5は、使用者が手を洗浄するために用いられる槽体であって、底部に手洗い器5上に発生した排水を下流に排水するための流入口11を開口する。
流入口11には第二捕集部6が着脱自在に配置され、流入口11内に流入する排水中に混入する塵芥や毛髪などの異物を捕集する。
排水経路1は、配管100、200、300と、継手部材2と、貯水タンク51と、から構成される。
配管100は、内部に排水を通過させる管体であって、その上端は手洗い器5の流入口11に接続され、下端は継手部材2の上端に接続される。
配管200は、内部に排水を通過させる管体であって、その上端は継手部材2の下端に接続され、その下端は貯水タンク51に接続される。
配管300は、内部に排水を通過させる管体であって、その上端は貯水タンク51に接続され、その下端は便器52へと接続される。
継手部材2は、継手部材2の上流側に配管100と、継手部材2の下流側に配管200が接続されている。
貯水タンク51は、手洗い器5から発生した排水を一時的に貯水するタンクであって、当該貯水タンク51内の排水は下流に設置される便器52の洗浄水に利用される。貯水タンク51の上流側に配管200と、貯水タンク51の下流側に配管300が接続されている。
便器52は、大小便の排泄に使用する器具であり、前記貯水タンク51からの排水が便器52の洗浄水として使用される。便器52の上流側に配管300と、便器52の下流側には下水管が接続されている。なお、便器52より下流の下水管は、航空機のトイレ排水システムとして一般的な真空式トイレ配管システムが採用されている。
【0013】
本発明における排水経路1としての継手部材2は、
図2、
図3に示すように、上流側端部に形成された上流側開口21と、下流側端部に形成された下流側開口22と、排水経路1の一部である継手部材2の管軸方向に対して側方に形成された開口部23を有するとともに、上流側開口21と下流側開口22の間には後述する第一捕集部4が配置される収納室25が形成されている。なお、排水経路1の管軸方向に対して側方とは、排水経路1の管軸方向に対して略垂直に交わる方向をいう。又、収納室25には開口部23から挿入された挿入部材3が配置される。
上流側開口21は継手部材2の上端に形成された開口であって、上流側の排水経路1の一部である配管100が接続されている。又、下流側開口22は継手部材2の下端に形成された開口であって、下流側の排水経路1の一部である配管200が接続されている。
開口部23は継手部材2の側面に形成された開口であって、内周において挿入部材3の溝部311内を摺動する突起24が形成されている。
収納室25は挿入部材3が配置可能な収納空間を有するとともに、その上端であって上流側開口21下端と連続する位置に取り付け溝26が形成されている。
図3に示すように、取り付け溝26は継手部材2が幅方向外側に向けて凸となるように膨出して形成されており、被傾斜面27、被ガイド部28を有している。被傾斜面27は取り付け溝26の上面であって、上流側開口21下端に形成されているとともに、開口部23へ向かうに従い上流側開口21側へと傾斜している。従って、被傾斜面27は開口部23の軸方向及び後述する挿入部材3の挿入方向に対して傾斜している。又、被傾斜面27は挿入部材3の傾斜面36と当接する。被ガイド部28は被傾斜面27と対向する取り付け溝26の下面であり、挿入部材3が挿入された際、挿入部材3のガイド部37と当接することによって、第一捕集部4が被傾斜面27より離間することを防ぐ。尚、被傾斜面27は本実施形態において、挿入部材3の挿入方向と平行に形成されているが、開口部23へ向かうに従い下流側開口22側へと傾斜しても良い。
【0014】
図3、
図4、
図6に示すように、挿入部材3は閉塞部31、固定部34、第一捕集部4を有している。
閉塞部31はその外径が前記開口部23と略同径である円形であって、その外周に突起24が摺動する溝部311が螺刻されている。又、閉塞部31は施工完了時において継手部材2から露出する側の側面に取手32が形成されているとともに、取手32と反対の側面において、閉塞部31と固定部34が相対回転可能となるように接続される円形の嵌合部33が形成されている。
固定部34は前記嵌合部33と嵌合する爪部35と、収納室25内に配置される傾斜面36及びガイド部37を有するとともに、施工完了時において上流側開口21下端と連続する位置において形成された開口341に第一捕集部4が取り付けられている。又、固定部34は爪部35の外周において、開口部23の内周と当接する位置に環状のパッキン38を有するとともに、傾斜面36には、被傾斜面27と当接する位置にパッキン39を有している。傾斜面36は固定部34の上面に形成され、収納室25の被傾斜面27と同じ角度で傾斜しており、挿入部材3が継手部材2内に配置された際にパッキン39を介して被傾斜面27と密接する。ガイド部37は固定部34の下面に形成され、挿入部材3が継手部材2内に配置された際に被ガイド部28と当接する。開口341は上流側開口21の直下に配置される位置において固定部3上下に貫通するように形成されている。開口341の内周には突起状の接続部342が形成されており、当該接続部342と後述する被接続部41によって第一捕集部4が取り付けられている。尚、開口341は上流側が縮径しており、第一捕集部4が取り付けられた状態において、当該縮径部分の内周面にパッキン40が当接する。これにより、開口341は水密に塞がれている。又、開口341は下端において外向きに突出する鍔部343が形成されている。
第一捕集部4は固定部34の開口341に着脱自在に取り付けられた捕集装置であって、その底部に複数の開口又は、網状体からなる。この第一捕集部4の複数の開口を有するか、又は網状体によって、排水経路1中に通過する排水中の異物を捕集することが可能となる。なお、第一捕集部4の捕集率と、前記した第二捕集部6の捕集率は相違している。具体的には、第一捕集部4の捕集率よりも第二捕集部6の捕集率の方が高くなるように構成されている。これは、第一捕集部4の複数の開口のうち一つの開口の面積よりも、第二捕集部6の複数の開口のうち一つの開口の面積の方が大きい場合をいう。なお、本発明での捕集率とは、排水経路1の排水時における排水中の異物の捕集率をいう。
又、第一捕集部4は
図6(b)に示すように、上端近傍において前記固定部34の内周に当接するパッキン40が取り付けられているとともに、その外周には前記接続部342が係合する溝状の被接続部41が形成されている。
さらに、第一捕集部4には網目状の金属材からなる通水開口を備えており、この開口により、排水経路1中の異物を捕集することが可能となる。この第一捕集部4の開口面積は、流入口11の第二捕集部6の開口面積よりも小さい面積を有している。これにより、第二捕集部6で捕集できなかった排水経路1中の異物を第一捕集部4によって捕集することが可能となる。
【0015】
前記配管100及び配管200と継手部材2の取り付けについて説明する。
まず、手洗い器5に配管100を接続し、配管100と配管200の間に継手部材2を接着により取り付ける。この時、配管100と配管200は継手部材2を介して排水経路1が連通している。また、配管200に貯水タンク51を接続し、貯水タンク51下流に配管300を接続する。そして、配管300の下端に便器52を接続する。
次に、固定部34の開口341に第一捕集部4を挿入し、接続部342を被接続部41に押し付けた状態で第一捕集部4を回転させる。この時、パッキン40が開口341の内周面に当接し、開口341が水密に塞がれるとともに、突起状の接続部342が溝状の被接続部41内に配置されることで、固定部34に第一捕集部4が取り付け固定される。
次に、開口部23より挿入部材3を挿入する。尚、当該挿入の際には
図3に示すように、ガイド部37に対して略水平であって、被ガイド部28の軸方向に対して平行となる方向に挿入する。そして、開口部23の突起24が閉塞部31の溝部311に当接した後、閉塞部31を回動させることによって挿入部材3を収納室25内に配置する。尚、溝部311は螺旋状に形成されているため、閉塞部31の回動に伴い突起24が溝部311内を摺動するとともに、当該摺動によって閉塞部31の回転運動が挿入部材3を収納室25側へと移動させる水平方向の応力へと変換される。その結果、挿入部材3は更に収納室25の奥側へと移動する。又、挿入部材3はガイド部37が被ガイド部28に当接し、当該被ガイド部28に沿って収納室25の奥側へと移動するとともに、継手部材2の被傾斜面27と挿入部材3の傾斜面36がパッキン39を介して圧接される。この時、と挿入部材3は被傾斜面27と傾斜面36によって接近し、圧接することにより、水平方向の応力が更に上下方向の応力に変換される。これにより、パッキン39が被傾斜面27に押し付けられて上流側開口21が閉塞される。尚、前記変換された上下方向の応力は、挿入部材3の傾斜面36を下方に押し下げるようにも働くが、継手部材2の被ガイド部28によって挿入部材3のガイド部37が支持されているため、被傾斜面27と傾斜面36が離間してしまうことが防止される。
前記挿入部材3が収納室25内に配置された状態において、パッキン39は被傾斜面27に当接し、第一捕集部4によって排水経路が閉塞される。又、固定部34に取り付けられたパッキン38によって開口部23と閉塞部31とを水密とすることができ、内部の水などの流体が開口部23より外部に漏洩することを防ぐ。これにより、排水経路1中の排水中の異物を第一捕集部4によって捕集することが可能となる。
また、排水経路1内に負圧や過圧が加わった場合においても、閉塞部31に対して上流側又は下流側から圧力が加わるが、閉塞部31は排水経路1内の空気圧の変動によって外れてしまうようなことはない。
【0016】
また、排水経路1内のメンテナンスを行う場合は、閉塞部31を前記挿入部材3の配置時とは逆方向に回動させ、挿入部材3を継手部材2より取り外し、排水経路1の側方から取り外し、挿入部材3に取り付けられた第一捕集部4のメンテナンスを実施する。なお、排水経路1の側方から挿入部材3を着脱自在としたため、挿入部材3に備えられた第一捕集部4内にたまった異物を取り出ししたり、または第一捕集部4内を清掃したりすることが可能となり、メンテナンスが容易となる。また、第二捕集部6の捕集率よりも第一捕集部4の捕集率の方が高いため、排水経路中の異物の大きさによって捕集できる箇所を異物の大きさによって分けることが出来、特に航空機や乗り物の排水経路1に用いられるときなど、清掃の時期を長い期間に渡って設定することが可能となる。また、流入口11に取り付けられる第二捕集部6はこまめに清掃などのメンテナンスを実施し、第二捕集部6で捕集できなかった異物は排水経路1の第二捕集部6よりも大容量の第一捕集部4で捕集するようにし、第一捕集部4を第二捕集部6のメンテナンス期間よりも長い間メンテナンスせず対応可能とすることができる。
【0017】
前記本発明の排水経路の異物捕集装置においては、挿入部材3を取り付ける際、水平方向に挿入した後に閉塞部31を回転させるだけで取り付けが可能となる。従って、継手部材2(排水経路1)が狭い空間内に配置されていても、挿入部材3の着脱が容易となる。
【0018】
第一実施形態に係る排水経路の異物捕集装置は以上であるが、本発明の排水経路の異物捕集装置は前記実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えても良いものである。例えば、前記第一実施形態において、第一捕集部4は突起状の接続部342と溝状の被接続部41の係合によって取り付けられていたが、
図8(a)(b)に示すように、段状の接続部342と、当該段状の接続部342に係止する爪状の被接続部41による係合や、
図7(a)(b)に示すように、雌螺子から成る接続部342と雄螺子から成る被接続部41による螺合であっても良く、種々の接続構造を採用しても良い。
【0019】
又、本発明の第一実施形態における排水経路の異物捕集装置は航空機の手洗い器5排水を用いて便器洗浄に利用する排水システムに構成されていたが、これを、住宅等に設けられる排水設備(例えば、洗面台、台所、浴室)などの排水経路に取り付けられてもよい。
図9においては排水設備7としての洗面台の排水経路1を備え、排水経路1の途中にU字状に屈曲して構成された排水トラップを備える。また、排水経路1の流入口11には第二捕集部6を備え、排水経路1の途中であって、流入口11と排水トラップの間に、内部に第一捕集部4を備えた継手部材2を備える。また、排水経路1の流入口11から継手部材2までを配管100によって接続し、排水経路1の継手部材2から排水トラップまでを配管200によって接続している。さらに、床下に配管される排水横管500を排水経路1として配管されており、当該排水横管500の途中箇所にも本発明における第一捕集部を備えた継手部材2を備えている。このとき、排水経路1中内に異物が混入したとしても、継手部材2内に備えられる第一捕集部4によって捕集することが可能となる。また、排水設備7としての洗面台の流入口11に第二捕集部6を備え、第一捕集部4と第二捕集部6の捕集率を相違させることで、排水設備7の流入口11に取り付けられる第二捕集部6はこまめに清掃などのメンテナンスを実施し、第二捕集部6で捕集できなかった異物は排水経路1の第二捕集部6よりも大容量の第一捕集部4で捕集するようにし、第一捕集部4を第二捕集部6のメンテナンス期間よりも長い間メンテナンスせず対応可能とすることができる。
【0020】
又、本発明の第一実施形態における排水経路の異物捕集装置は航空機の手洗い器5排水を用いて便器洗浄に利用する排水システムに構成されていたが、これを、多数階を有する建物の各階に配置される排水縦管400に取り付けられてもよい。
図10においては1階から4階に配置された継手部材2が複数構成されているが、それぞれの継手部材2は全て同一の部材である。なお、各階には洗面ボウルや浴槽、キッチンなどの排水設備7が設けられ、これらの排水は排水横管500へ排水されてから排水縦管400内へ流入することとなる。このとき、排水経路1中内に異物が混入したとしても、継手部材2内に備えられる第一捕集部4によって捕集することが可能となる。また、各階に備えられる排水設備7の流入口11に第二捕集部6を構成して、第一捕集部4と第二捕集部6の捕集率を相違させることで、排水設備7の流入口11に取り付けられる第二捕集部6はこまめに清掃などのメンテナンスを実施し、第二捕集部6で捕集できなかった異物は排水経路1の第二捕集部6よりも大容量の第一捕集部4で捕集するようにし、第一捕集部4を第二捕集部6のメンテナンス期間よりも長い間メンテナンスせず対応可能とすることができる。
【0021】
又、本発明の第一実施形態における排水経路の異物捕集装置を、
図11及び
図13に示すように、洗濯機8の洗濯槽からの排水を洗濯機8外へ排水する排水経路1中に取り付けられてもよい。このとき、洗濯機8の排水中に混入する、糸くずやほこりなどの異物を第一捕集部4によって捕集することができる上、使用者が容易に挿入部材3を脱着することが可能なので、メンテナンスがしやすくなる。また、洗濯機8の槽体内に網体から成る第二捕集部6を構成して、第一捕集部4と第二捕集部6の捕集率を相違させることで、洗濯機8の流入口11に取り付けられる第二捕集部6はこまめに清掃などのメンテナンスを実施し、第二捕集部6で捕集できなかった異物は排水経路1の第二捕集部6よりも大容量の第一捕集部4で捕集するようにし、第一捕集部4を第二捕集部6のメンテナンス期間よりも長い間メンテナンスせず対応可能とすることができる。
【0022】
又、本発明の第一実施形態における排水経路の異物捕集装置を、
図12及び
図13に示すように、歯科治療時に発生する廃液を吸引する吸引器91の吸引配管経路及び歯科治療時のうがい廃液を受け止める機器であるスピットン9からの排水経路1に取付けられてもよい。このとき、歯科治療時に発生する治療屑や、うがい液中に混入する屑などの異物を第一捕集部4によって捕集することができる上、使用者が容易に挿入部材3を脱着することが可能なので、メンテナンスがしやすくなる。また、スピットン9の流入口11に第二捕集部6を構成して、第一捕集部4と第二捕集部6の捕集率を相違させることで、スピットン9の流入口11に取り付けられる第二捕集部6はこまめに清掃などのメンテナンスを実施し、第二捕集部6で捕集できなかった異物は排水経路1の第二捕集部6よりも大容量の第一捕集部4で捕集するようにし、第一捕集部4を第二捕集部6のメンテナンス期間よりも長い間メンテナンスせず対応可能とすることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 排水経路
11 流入口
2 継手部材
21 上流側開口
22 下流側開口
23 開口部
24 突起
25 収納室
26 取り付け溝
27 被傾斜面
28 被ガイド部
3 挿入部材
31 閉塞部
311 溝部
32 取手
33 嵌合部
34 固定部
341 開口
342 接続部
343 鍔部
35 爪部
36 傾斜面
37 ガイド部
38、39、40 パッキン
4 第一捕集部
41 被接続部
5 手洗い器
51 貯水タンク
52 便器
53 水栓(吐水口)
6 第二捕集部
7 排水設備
8 洗濯機
9 スピットン
91 吸引器
100 配管
200 配管
300 配管
400 排水縦管
500 排水横管