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特開2023-182418制御装置、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182418
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20231219BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231219BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20231219BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 130
H02J3/32
H02J7/34 D
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096017
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】倉金 博
(72)【発明者】
【氏名】工藤 耕治
(72)【発明者】
【氏名】杉村 眞
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB03
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA03
5G066AA02
5G066AE05
5G066AE09
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G066KA01
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA06
5G503EA05
5G503GB06
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】電力系統で電力が調達される際、放電側の電力のみが調達される場合に、比較的長期間にわたって電力の調達に対応できるようにする。
【解決手段】制御装置が、ある時間区間の開始時における蓄電池の蓄電残量に、調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、エネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における蓄電残量を得られるという関係と、蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件を満たし、かつ、エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数が示す評価がより良くなるように、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池の充放電量の解探索を行うことで計画を生成する計画手段と、生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる制御手段と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成する計画手段と、
生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる制御手段と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記計画手段は、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充電電力と、前記調整力提供サービスでの前記蓄電池の充電電力との合計が、前記蓄電池の充電電力の上限値以下であることを示す制約条件、または、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の放電電力と、前記調整力提供サービスでの前記蓄電池の放電電力との合計が、前記蓄電池の放電電力の上限値以下であることを示す制約条件の少なくとも何れかをさらに満たすように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行う、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記計画手段は、前記時間区間の終了時における前記蓄電池の蓄電残量が、前記蓄電残量の上限値から、その時間区間における前記調整力提供サービスでの前記蓄電池の充電電力量の予測誤差を減算した差以下であることを示す制約条件、または、前記時間区間の終了時における前記蓄電池の蓄電残量が、前記蓄電残量の下限値と、その時間区間における前記調整力提供サービスでの前記蓄電池の放電電力量の予測誤差との合計以上であることを示す制約条件の少なくとも何れかをさらに満たすように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行う、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記目的関数は、前記エネルギーマネージメントサービスの計画対象となっている期間について、時間区間ごとの電力単価と、その時間区間における商用電力の消費電力量との積の合計による電力料金を計算する関数である、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
コンピュータが、
ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成し、
生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる、
ことを含む制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成することと、
生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせることと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
需要家(電力需要家)が有する蓄電池から電力系統へ電力が調達される場合がある。
例えば、特許文献1には、需要家のエネルギー管理装置が、デマンドレスポンス等による調整力の調達を、需要家の電気自動車の蓄電池の運転計画に含めるように、運転計画を立案することが記載されている。
【0003】
また、蓄電池の充放電の計画を立案する際に、電力需要の予測を行う、といったことが行われている。
特許文献2には、太陽光発電設備の発電電力から需要電力を差し引いた余剰電力で蓄電設備を充電すること、および、需要予測値の予測誤差を見積り、予測誤差から想定される最悪の条件を用いて計画期間を定めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-052529号公報
【特許文献2】国際公開第2014/208059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
需要家が有する蓄電池から電力系統で電力が調達される際、放電側の電力のみが調達される場合がある。かかる場合に、比較的長期間にわたって電力の調達に対応できることが好ましい。
【0006】
本発明の目的の一例は、上述の課題を解決することのできる制御装置、制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、制御装置は、ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成する計画手段と、生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる制御手段と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、制御方法は、コンピュータが、ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成し、生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる、ことを含む。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成することと、生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせることと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電力系統で電力が調達される際、放電側の電力のみが調達される場合に、比較的長期間にわたって電力の調達に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る電力システムの構成の例を示す図である。
図2】実施形態に係る上位制御装置の構成の例を示す図である。
図3】実施形態に係る設定部が値を設定するパラメータの例を示す図である。
図4】実施形態に係る制御装置の構成の例を示す図である。
図5】実施形態に係る制御方法における処理の手順の例を示す図である。
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る電力システムの構成の例を示す図である。図1に示す構成で、電力システム1は、中央給電指令システム11と、上位側第一ゲートウェイ装置21と、上位制御装置22と、上位側第二ゲートウェイ装置23と、電力系統30と、需要家設置システム50と、大型蓄電システム70とを備える。
【0013】
需要家設置システム50は、分電盤51と、交流端側計測器52と、電力負荷53と、太陽光発電(Photovoltaic;PV)システム54と、蓄電システム60とを備える。蓄電システム60は、下位側ゲートウェイ装置61と、下位制御装置62と、パワーコンディショニングシステム(Power Conditioning Subsystem;PCS)63と、蓄電池65とを備える。パワーコンディショニングシステム63は、AC/DCコンバータ64を備える。
【0014】
大型蓄電システム70は、下位制御装置71と、交流端側計測器72と、パワーコンディショニングシステム73と、大型蓄電池75とを備える。パワーコンディショニングシステム73は、AC/DCコンバータ74を備える。なお、交流端側計測器72は、連系点側計測器と捉えることもできる。
また、図1では、通信経路を破線で示し、電力経路を実線で示している。図1において、下位側ゲートウェイ装置61および下位制御装置62も電力を消費しているが、蓄電システム60のAC側(交流端側計測器52側)出力の擾乱にならない構成で受電されている。
【0015】
中央給電指令システム11は、送配電事業者の中央給電指令所に設けられ、電力系統30における電力の需給バランスを制御する。また、中央給電指令システム11は、電力需要家等が備える蓄電池の放電または充電によって電力系統30の安定化を図るアンシラリーサービスの提供を上位制御装置に要求する。図1の例では、蓄電池65および大型蓄電池75が、アンシラリーサービスに用いられる蓄電池の例に該当する。電力需要家を単に需要家とも称する。
電力系統30は、送配電事業者の監視制御のもと、商用電力の送配電に用いられる。
【0016】
上位側第一ゲートウェイ装置21は、中央給電指令システム11と上位制御装置22との通信を仲介する。
上位制御装置22は、中央給電指令システム11からの要求に応じて、需要家等が備える蓄電池に充放電を行わせる。上位制御装置22は、複数の需要家等が備える蓄電池の充放電を取りまとめることで、比較的大容量の調整力を提供することができる。
【0017】
上位側第二ゲートウェイ装置23は、上位制御装置22と需要家等に設置されている制御装置との通信を仲介する。図1の例では、下位制御装置62および下位制御装置71が、需要家等に設置されている制御装置の例に該当する。下位制御装置62は、パワーコンディショニングシステム63と協働して蓄電池65の充放電を制御する。あるいは、下位側ゲートウェイ装置61が、パワーコンディショニングシステム63と協働して蓄電池65を制御する機能、あるいはその一部を有していてもよい。この場合、下位側ゲートウェイ装置61も、需要家等に設置されている制御装置の例に該当する。下位制御装置71は、パワーコンディショニングシステム73と協働して大型蓄電池75の充放電を制御する。
【0018】
上位側第一ゲートウェイ装置21と、上位制御装置22と、上位側第二ゲートウェイ装置23とは、アグリゲータ(Aggregator)の設備に設けられている。ここでいうアグリゲータは、複数の需要家等が備える蓄電池の充放電を取りまとめて送配電事業者にアンシラリーサービスを提供する事業者である。
【0019】
アグリゲータが、リソースアグリゲータ(Resource Aggregator;RA)と、アグリゲーションコーディネータ(Aggregation Coordinator;AC)とによって構成されるなど、アグリゲータが階層的に構成されていてもよい。リソースアグリゲータは、複数の需要家等が備える蓄電池の充放電を取りまとめる。アグリゲーションコーディネータは、リソースアグリゲータが複数の需要家等について取り纏めた充放電電力提供サービスを、複数のリソースアグリゲータについてさらに取り纏めて送配電事業者にサービス提供する。
この場合、階層化されたアグリゲーションサービス事業者の各々が上位制御装置22を備えることで、上位制御装置22が階層的に設けられていてもよい。
【0020】
需要家設置システム50は、1つの需要家に設けられている電力設備および電力負荷と、それら電力設備および電力負荷を制御する制御装置との組み合わせによるシステムである。
分電盤51は、電力系統30と需要家設置システム50との連系点の需要家設置システム50側に設けられ、電力系統30と、需要家設置システム50の各機器との間の電気のやり取りを仲介する。例えば、分電盤51における順潮流時には、分電盤51は、電力系統30から供給される電気(商用電力)を、需要家設置システム50の各機器に分配する。
【0021】
交流端側計測器52は、パワーコンディショニングシステム63の交流端側に設けられ、パワーコンディショニングシステム63の交流端側における電力または単位時間当たりの電力量を測定する。あるいは、交流端側計測器52に代えて、パワーコンディショニングシステム63が、自らの交流端側における電力または単位時間当たりの電力量を測定するようにしてもよい。
電力を所定時間あたりの電力量の形式で示すようにしてもよい。また、電力量を、所定時間における電力の積算の形式で示すようにしてもよい。
また、電気エネルギーを電力と表記する場合がある。
【0022】
電力負荷53は、電力を消費する機器の総称である。電力負荷53を構成する機器の個数は、特定の個数に限定されない。また、電力負荷53を構成する機器の種類も、特定のものに限定されない。
太陽光発電システム54は、太陽光を受けて発電し、交流電力を出力する。
蓄電システム60は、蓄電池65と、蓄電池65の充放電を制御する構成との組み合わせによるシステムである。
【0023】
下位側ゲートウェイ装置61は、上位制御装置22と下位制御装置62との通信を仲介する。上述したように、下位側ゲートウェイ装置61が、パワーコンディショニングシステム63と協働して蓄電池65の充放電を制御する機能、またはその一部を有していてもよい。
下位制御装置62は、パワーコンディショニングシステム63と協働して蓄電池65の充放電を制御する。例えば、下位制御装置62が、蓄電池65の充電、放電、または充放電停止をパワーコンディショニングシステム63に指示し、パワーコンディショニングシステム63が、下位制御装置62の指示に従って、蓄電池65に充放電を行わせ、または、蓄電池65の充放電を停止させる。
下位制御装置62は、特に、上位制御装置22からの指示または要求に応じて、蓄電池65の充放電を制御する。
【0024】
パワーコンディショニングシステム63は、AC/DCコンバータ64にて、交流電力と直流電力との変換を行う。蓄電池65の充電時には、パワーコンディショニングシステム63は、分電盤51側からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池65に供給する。蓄電池65の放電時には、パワーコンディショニングシステム63は、蓄電池65からの直流電力を交流電力に変換し、分電盤51側に供給する。
また、パワーコンディショニングシステム63は、上記のように、下位制御装置62と協働して蓄電池65の充放電を制御する。
【0025】
パワーコンディショニングシステム63が交流電力を出力する出力端を交流端またはAC端とも称する。パワーコンディショニングシステム63から見て交流端側を交流側とも称する。パワーコンディショニングシステム63が直流電力を出力する出力端を直流端またはDC端とも称する。パワーコンディショニングシステム63から見て直流端側を直流側とも称する。
下位側ゲートウェイ装置61、下位制御装置62、および、パワーコンディショニングシステム63のうち何れか2つ、またはこれら3つが組み合わさって1つの装置として構成されていてもよい。
【0026】
需要家設置システム50の構成は、図1に示す構成に限定されず、蓄電池およびその蓄電池の充放電を制御する機構を備えるいろいろな構成とすることができる。たとえば、需要家設置システム50が太陽光発電システム54を備えていなくてもよい。
また、需要家によって需要家設置システム50の構成が異なっていてもよい。
【0027】
大型蓄電システム70は、電力系統30の安定化のための充放電機能を提供する。大型蓄電システム70では、下位制御装置71が、上位制御装置22からの指示または要求に応じて、パワーコンディショニングシステム73と協働して大型蓄電池75の充放電を制御する。また、下位制御装置71とパワーコンディショニングシステム73が組み合わさって1つの装置として構成されていてもよい。その場合、下位制御装置71は、電力系統30と大型蓄電池75との間の、直流電力と交流電力との変換を行う。
以下では、調整力を提供するシステムとして需要家設置システム50を示すが、大型蓄電システム70も、調整力を提供するシステムに含まれていてもよい。
【0028】
図2は、上位制御装置22の構成の例を示す図である。図2に示す構成で、上位制御装置22は、調整力提供サービス処理部110と、エネルギーマネージメントサービス処理部120と、制御指令部130と、通信部140とを備える。エネルギーマネージメントサービス処理部120は、設定部121と、計画部122とを備える。
【0029】
上位制御装置22は、蓄電池65の充放電量を決定し、決定した充放電量にて蓄電池65に充放電を行わせるように、下位制御装置62に要求する。これにより、上位制御装置22は、蓄電池65の充放電を制御する。上位制御装置22は、制御装置の例に該当する。
上位制御装置22が、下位制御装置62に蓄電池65の充放電量を指示する際、充放電量を電力の形式で示すようにしてもよいし、所定時間当たりの電力量の形式で示すようにしてもよい。
【0030】
上位制御装置22は、特に、アンシラリーサービスとエネルギーマネージメントサービスとを同時に実行し得る同時マルチユースに基づいて、蓄電池65の充放電量を決定する。
アンシラリーサービスは、電力系統の安定化のために、電力系統に連系する発電所群の発電出力と電力系統に連系する需要家群の需要家設備の電力消費との間の電力需給バランスを調整するサービスである。この需給バランスの調整、または、調整される電力は、調整力とも称される。
エネルギーマネージメントサービスは、例えば電力利用の効率化など所定の目的に基づいて、需要家の設備における電力需給を調整するサービスである。
【0031】
以下では、アンシラリーサービスのうち説明の対象とするサービスを調整力提供サービスとも称する。調整力提供サービスのための充放電を調整力提供または調整力向け充放電とも称する。調整力提供サービスのための充放電電力を調整力提供量とも称する。
【0032】
エネルギーマネージメントサービスのための充電をエネルギーマネージメント向け充電とも称する。エネルギーマネージメントサービスのための放電をエネルギーマネージメント向け放電とも称する。エネルギーマネージメントサービスのための充放電をエネルギーマネージメント向け充放電とも称する。
【0033】
調整力提供サービス処理部110は、調整力提供サービスの計画を立案する。また、調整力提供サービス処理部110は、調整力提供サービスの実施時に、需要家設置システム50ごとに蓄電池65の充放電量を決定し、制御指令部130を介して需要家設置システム50に対して蓄電池65の充放電を指示する。計画を立案することを、計画を生成する、または計画するとも称する。
調整力提供サービスでは、アグリゲータが、調整力提供サービスに参加する需要家を示すリストである需要家リスト・パターンを作成しておく。調整力提供サービスの約定は、商品ブロックと呼ばれる所定の時間単位、かつ、需要家リスト・パターン単位で行われる。商品ブロックの時間長は、特定のものに限定されない。例えば、商品ブロックが3時間単位に設定されていてもよいが、これに限定されない。
【0034】
計画時には、調整力提供サービス処理部110は、調整力提供サービスで約定された調整力提供可能量として示される電力量を、約定された需要家リスト・パターンに示される需要家の需要家設置システム50に割り当てる。具体的には、調整力提供サービス処理部110は、約定された需要家リスト・パターンに示される需要家の需要家設置システム50の蓄電池65の充放電の余力の電力量の合計が、調整力提供サービスで約定された調整力提供可能量として示される電力量と等しくなるように、各蓄電池65の充放電の余力の電力量を決定する。
【0035】
調整力提供サービスで、調整力として順潮流側の電力(放電側の電力)、または、逆潮流側の電力(充電側の電力)の何れか一方のみが調達されてもよい。例えば、需給調整市場における二次調整力(1)では、調整力提供サービスの約定期間中ずっと、予め設定されるベースラインまたはそれよりも放電側の電力を中央給電指令システム11の指令に応じて出力し続けることが要求される。また、需給調整市場における一次調整力では、ベースラインよりも充電側の電力も許容されるが、調達電力として評価されるのは、放電側の電力のみである。
【0036】
ここでの「側」は、調整力提供サービスにおける電力が、ベースラインからの電力の差で計算されることを示す。例えば、逆潮流側の調整力の提供が約定された場合、順潮流の電力(電力系統30から需要家設置システム50に供給される電力)の実績値の、ベースライン値からの減少分も、逆潮流側の調整力として計算される。
需要家設置システム50が蓄電池65を用いて調整力提供サービスを実施する場合、このことは、調整力として提供された電力が、蓄電池65の出力電力における0(充放電を行わない状態)ではなくベースラインを基準に計算されることに相当する。
【0037】
蓄電池65の放電の余力とは、その蓄電池65の蓄電残量である。調整力提供サービスで、順潮流側の電力(放電側の電力)の供給が約定された場合、調整力提供サービス処理部110は、蓄電池65に対して、調整力提供サービス実施のための蓄電残量の余裕分を確保させる。
蓄電池65の充電の余力とは、その蓄電池65の空き容量である。調整力提供サービスで、逆潮流側の電力(充電側の電力)の供給が約定された場合、調整力提供サービス処理部110は、蓄電池65に対して、調整力提供サービス実施のための空き容量の余裕分を確保させる。
【0038】
調整力提供サービス実施時には、調整力提供サービス処理部110は、中央給電指令システム11から要求される充放電電力を、約定された需要家リスト・パターンに示される需要家の需要家設置システム50に割り当てる。中央給電指令システム11は、商品ブロックにおける電力量が、約定された電力量の範囲内となるように、充放電電力を要求する。調整力提供サービス処理部110は、蓄電池65に対して、中央給電指令システム11は、商品ブロックにおける電力量が、計画の範囲内(計画時に割り当てた電力量の範囲内)となるように、充放電電力を割り当て、充放電を行わせる。
【0039】
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、エネルギーマネージメントサービスの計画を生成する。また、エネルギーマネージメントサービス処理部120は、エネルギーマネージメントサービスの実施時に、計画に基づいて、制御指令部130を介して需要家設置システム50に対して蓄電池65の充放電を指示する。
【0040】
設定部121は、エネルギーマネージメントサービスの計画生成のための最適化問題を設定する。例えば、設定部121は、蓄電池65の蓄電容量および充放電電力に関する制約条件と、コスト削減などエネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す評価関数とを設定する。これら制約条件および目的関数の設定により、設定部121は、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池65の充放電量を解として、制約条件を満たし、目的関数が示す評価がより良くなるように解探索を行う最適化問題を設定する。
【0041】
上述したように、充放電量は、充放電電力であってもよいし、充放電電力量であってもよい。充放電電力は、時間を乗算することで充放電電力量に換算することができる。充放電電力量は、時間で除算することで、充放電電力に換算することができる。
設定部121が、最適化問題を設定する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、設定部121が、制約条件のテンプレート、および、目的関数のテンプレートから、行われるエネルギーマネージメントサービスの種類に応じたテンプレートを選択し、テンプレートのパラメータに値を設定することで、最適化問題を設定するようにしてもよい。あるいは、設定部121が、最適化問題を設定するユーザ操作に従って、最適化問題を設定するようにしてもよい。
【0042】
計画部122は、設定部121が設定した最適化問題を解くことで、エネルギーマネージメントシステムの計画を生成する。計画部122は、最適化問題の解として、設定されている時間区間(後述する時間ステップ)ごとの、蓄電池65の充放電量を取得する。この充放電量が、エネルギーマネージメントでの蓄電池65の充放電の計画に相当する。計画部122は、計画手段の例に該当する。
計画部122が最適化問題を解く方法は、特定の方法に限定されない。例えば、計画部122が、最適化問題における公知の解探索アルゴリズムを用いて、解を求めるようにしてもよい。
【0043】
制御指令部130は、需要家設置システム50に対して蓄電池65の充放電量を指示して、蓄電池65の充放電を行わせる。制御指令部130は、制御手段の例に該当する。
需要家設置システム50が、エネルギーマネージメントサービスを行うが、調整力提供サービスは行わない時間区間では、制御指令部130は、エネルギーマネージメントサービス処理部120が生成した計画で示される、エネルギーマネージメント向け充放電量を指示する。これにより、制御指令部130は、蓄電池65に、エネルギーマネージメント向け充放電を行わせる。
【0044】
需要家設置システム50が調整力提供サービスを行うが、エネルギーマネージメントサービスを行わない時間区間では、制御指令部130は、調整力提供サービス処理部110が生成した計画で示される、調整力向け充放電量を指示する。これにより、制御指令部130は、蓄電池65に、調整力向け充放電を行わせる。
【0045】
需要家設置システム50が、エネルギーマネージメントサービスおよび調整力提供サービスの両方を行う時間区間では、制御指令部130は、エネルギーマネージメントサービス処理部120が生成した計画で示される、エネルギーマネージメント向け充放電量と、調整力提供サービス処理部110が生成した計画で示される、調整力向け充放電量の合計の充放電量を指示する。これにより、制御指令部130は、蓄電池65に、エネルギーマネージメント向け充放電と、調整力向け充放電とを行わせる。
この場合、制御指令部130は、例えば、放電量をマイナスの充電量として扱って、エネルギーマネージメント向け充放電量と調整力向け充放電量との合計を計算する。
【0046】
需要家設置システム50が、エネルギーマネージメントサービスと調整力提供サービスとを同時に実施する場合、エネルギーマネージメント向け充放電量をベースラインとして予め申告しておくことで、エネルギーマネージメント向け充放電量が、調整力としての充放電量の計算の基準となる。この場合、エネルギーマネージメントサービスでの充放電量の計画値と、実際の充放電量との差が、調整力提供サービスでの充放電量として扱われる。
【0047】
通信部140は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部140は、中央給電指令システムから、調整力としての電力(または電力量)の要求を受信する。また、通信部140は、需要家設置システム50の下位制御装置62から蓄電池65の状態情報を受信するなど、計画を生成するための各種情報を、他の装置から受信する。また、通信部140は、制御指令部130が決定した蓄電池65の充放電量を下位制御装置62に送信して、蓄電池65の充放電の制御を行わせる。
【0048】
以下では、エネルギーマネージメントサービス処理部120が、時間ステップごとのエネルギーマネージメントサービスの計画を生成するものとする。時間ステップの1ステップの時間幅は一定とし、Δtで示す。Δt>0である。時間ステップの各ステップを、時間ステップ1、時間ステップ2、・・・時間ステップt、・・・のように表記する。
時間幅Δtは一定の時間幅であればよく、特定の時間幅に限定されない。例えば、時間幅Δtが、調整力提供サービスでコマ時間とされている時間幅と同じく30分に設定されていてもよいが、これに限定されない。
【0049】
設定部121が、最適化問題における制約条件として、以下のような制約条件を設定するようにしてもよい。
(調整力提供量の予測値に基づく蓄電残量の制約)
設定部121は、蓄電池65の蓄電残量(蓄電電力量)が、蓄電残量の上限値および下限値を超えない、との制約条件を設定する。例えば、設定部121は、式(1)に示される制約条件を設定する。
【0050】
【数1】
【0051】
batt は、時間ステップtの終了時における蓄電池65の蓄電残量を表す。cbatt ≧0である。
batt,minは、蓄電池65の蓄電残量の下限値を表す。cbatt,min≧0である。
batt,maxは、蓄電池65の蓄電残量の上限値を表す。cbatt,max>0である。
蓄電池65の蓄電残量はSOC(State Of Charge)で表されていてもよい。SOCでは、蓄電池の満充電時の容量に対する蓄電残量の割合を%で表す。
【0052】
蓄電池65の蓄電残量の下限値cbatt,minおよび上限値cbatt,maxは、蓄電池65の定格にて定まっている。また、定格とは別に、蓄電池65の使用者(需要家)が上限値または下限値、あるいはこれら両方を設定する場合がある。
例えば、蓄電池65を満充電まで充電することを繰り返すと、蓄電池65が比較的速く劣化することが考えられる。そこで、需要家が、蓄電池65の寿命を考慮して、定格で定められている上限値よりも低い上限値に設定することが考えられる。
また、需要家が、BCP(Business Continuity Planning)対策として、定格で定められている下限値よりも高い下限値に設定することが考えられる。例えば、停電時に蓄電池65の蓄電電力を使えるように、SOCで30%を下限値に設定するといった運用が考えられる。
式(1)を含む制約条件は、蓄電池65の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件の例に該当する。
【0053】
また、設定部121は、蓄電池65の蓄電残量cbatt の変化に関して、例えば式(2)に示される制約条件を設定する。
【0054】
【数2】
【0055】
batt,ch は、時刻tにおける、エネルギーマネージメント向け充電電力(エネルギーマネージメントサービス向けの蓄電池65の充電電力)を表す。pbatt,ch ≧0とする。時刻tにおけるエネルギーマネージメント向け充電電力として、エネルギーマネージメントサービス処理部120が生成する計画で示される計画値を用いることができる。
batt,dch は、時刻tにおける、エネルギーマネージメント向け放電電力(エネルギーマネージメントサービス向けの蓄電池65の放電電力)を表す。pbatt,dch ≧0とする。時刻tにおけるエネルギーマネージメント向け放電電力として、エネルギーマネージメントサービス処理部120が生成する計画で示される計画値を用いることができる。
【0056】
fr,ch,prd は、時間ステップtにおける、充電側の調整力提供量の予測値(調整力提供サービスでの蓄電池65の充電電力の予測値)を表す。pfr,ch,prd ≧0とする。
fr,dch,prd は、時間ステップtにおける、放電側の調整力提供量の予測値(調整力提供サービスでの蓄電池65の放電電力の予測値)を表す。pfr,dch,prd ≧0とする。
上述したように、Δtは、エネルギーマネージメントサービスの計画における単位時間(時間ステップ1ステップぶんの時間幅)を表す。
【0057】
式(2)は、ある時間区間(時間ステップt)の開始時における、計画生成対象の蓄電池65の蓄電残cbatt t-1に、電力系統30の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値(pfr,ch,prd 、および、pfr,dch,prd )と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値(pbatt,ch 、および、pbatt,dch )とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量cbatt を得られるという関係を示す式の例に該当する。
【0058】
式(2)に示されるように、蓄電池65の蓄電残量cbatt は、エネルギーマネージメント向け充電電力pbatt,ch および放電電力pbatt,dch に依存する。したがって、式(1)のように蓄電池65の蓄電残量cbatt の上限値cbatt,maxおよび下限値cbatt,minを設定することは、エネルギーマネージメント向け充電電力pbatt,ch および放電電力pbatt,dch に対する制約条件を設定すること、といえる。
【0059】
設定部121が、蓄電池65の蓄電残量cbatt の変化に関して、蓄電池65の充放電における効率を含む制約条件を設定するようにしてもよい。例えば、設定部121が、式(2)に代えて式(3)に示される制約条件を設定するようにしてもよい。
【0060】
【数3】
【0061】
batt,chは、蓄電池65の充電効率を表す。0<ebatt,ch≦1とする。
batt,dchは、蓄電池65の放電効率を表す。0<ebatt,dch≦1とする。
充電効率ebatt,chは、主に、パワーコンディショニングシステム63が交流電力を直流電力に変換する際の変換効率に依存すると考えられる。充電効率ebatt,chが、パワーコンディショニングシステム63の定格にて定められていてもよい。放電効率ebatt,dchは、主に、パワーコンディショニングシステム63が直流電力を交流電力に変換する際の変換効率に依存すると考えられる。充電効率ebatt,dchが、パワーコンディショニングシステム63の定格にて定められていてもよい。
【0062】
設定部121が、蓄電池65の充放電における効率を含む制約条件を設定することで、蓄電池65の蓄電残量cbatt をより高精度にモデル化することができる。この点で、計画部122が、エネルギーマネージメントサービスの計画をより高精度に生成できることが期待される。
【0063】
(調整力約定量に基づく出力制約)
設定部121は、蓄電池65の充電電力が、物理的に可能な充電電力上限値を超えず、かつ、調整力約定量を提供できる余力がある、との制約条件を設定する。例えば、設定部121は、式(4)に示される制約条件を設定する。
【0064】
【数4】
【0065】
fr,ch,max は、時間ステップtにおける充電側(順潮流方向)の調整力約定量を表す。pfr,ch,max ≧0とする。
調整力約定量は、調整力提供サービスへの提供可能量として約定された量であり、例えば、サービス実行時に要求され得る電力の最大値で示される。調整力約定量が、需要家リスト・パターンに示される需要家に割り当てられた量も、調整力約定量、または、蓄電池65の調整力約定量と称する。蓄電池65の調整力約定量は、その蓄電池65が、調整力を提供できるように確保しておくべき、放電電力の余力、または、充電電力の余力である。
【0066】
放電側の調整力のみが調達される場合は、pfr,ch,max =0とする。
batt,ch,maxは、蓄電池65の物理的な充電電力上限値を表す。pbatt,ch,max>0とする。蓄電池65の充電電力上限値pbatt,ch,maxは、例えば、蓄電池65の定格にて定まっている。
【0067】
式(4)は、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池65の充電電力pbatt,ch -pbatt,dch と、調整力提供サービスでの蓄電池65の充電電力pfr,ch,max との合計が、蓄電池65の充電電力の上限値pbatt,ch,max以下であることを示す制約条件の例に該当する。
【0068】
また、設定部121は、蓄電池65の放電電力が、物理的に可能な放電電力上限値を超えず、かつ、調整力約定量を提供できる余力がある、との制約条件を設定する。例えば、設定部121は、式(5)に示される制約条件を設定する。
【0069】
【数5】
【0070】
fr,dch,max は、時間ステップtにおける放電側(逆潮流方向)の調整力約定量を表す。pfr,dch,max ≧0とする。
batt,dch,maxは、蓄電池65の物理的な放電電力上限値を表す。pbatt,dch,max>0とする。蓄電池65の放電電力上限値pbatt,dch,maxは、例えば、蓄電池65の定格にて定まっている。
【0071】
式(5)は、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池65の放電電力pbatt,dch -pbatt,ch と、調整力提供サービスでの蓄電池65の放電電力pfr,dch,max との合計が、蓄電池65の放電電力の上限値pbatt,dch,max以下であることを示す制約条件の例に該当する。
【0072】
また、設定部121は、需要家の系統買電電力が、買電電力上限値を超えず、かつ、調整力約定量を提供できる余力がある、との制約条件を設定する。ここでは、系統買電電力は、電力系統30からの買電電力である。
例えば、設定部121は、式(6)に示される制約条件を設定する。
【0073】
【数6】
【0074】
gen,buy は、時間ステップtにおける需要家の系統買電電力を表す。pgen,buy ≧0とする。時間ステップtにおける需要家の系統買電電力として、エネルギーマネージメントサービスの計画で示される計画値を用いるようにしてもよい。
gen,sell は、時間ステップtにおける需要家の系統売電電力を表す。ここでいう系統売電電力は、電力系統30への売電電力である。pgen,sell ≧0とする。時間ステップtにおける需要家の系統売電電力として、エネルギーマネージメントサービスの計画で示される計画値を用いるようにしてもよい。
【0075】
gen,buy,maxは、買電電力上限値を表す。pgen,buy,max≧0とする。
買電電力上限値は、例えば、需要家の電気利用の計画にて設定される。例えば、エネルギーマネージメントサービスにてピークカットを行う場合、ピークカット電力が買電電力上限値に該当する。ここでいうピークカットは、買電電力を所定の電力以下に制限するものであり、ピークカット電力は、上限値として設定される所定の電力である。
買電電力上限値が設定されない場合、設定部121が、式(6)に示される制約条件は設定しないようにしてもよい。
【0076】
また、設定部121は、需要家の系統売電電力が、売電電力上限値を超えず、かつ、調整力約定量を提供できる余力がある、との制約条件を設定する。
例えば、設定部121は、式(7)に示される制約条件を設定する。
【0077】
【数7】
【0078】
gen,sell,maxは、売電電力上限値を表す。pgen,sell,max≧0とする。
売電電力上限値は、例えば、売電契約にて設定されている。例えば、需要家が電力系統30への逆潮流を行わない場合(逆潮流が禁止されている場合)は、pgen,sell,max=0とする。この場合、式(7)は、式(8)のようになる。
【0079】
【数8】
【0080】
あるいは、調整力提供サービスでの逆潮流は許可されている場合、設定部121が、式(7)に代えて式(9)に示される制約条件を設定するようにしてもよい。
【0081】
【数9】
【0082】
式(9)は、電力系統30と需要家設置システム50との間での売買電電力による逆潮流は生じない、との制約条件を示している。一方、蓄電池65の放電による逆潮流は、式(9)では制限されていない。
あるいは、太陽光発電電力の逆潮流は許可されている場合、設定部121が、式(7)に代えて式(10)に示される制約条件を設定するようにしてもよい。
【0083】
【数10】
【0084】
pv は、時間ステップtにおける太陽光発電システム54の発電電力を表す。ppv ≧0である。太陽光発電システム54の発電電力ppv は、例えば、過去の実績から推定することができる。
式(10)は、系統売電電力pgen,sell のうち、太陽光発電システム54の発電電力ppv 以外の電力は、系統買電電力pgen,buy 以下である、との制約条件を表していると読むことができる。
【0085】
また、設定部121は、需要家設置システム50の電力需給について、例えば、式(11)に示される制約条件を設定する。
【0086】
【数11】
【0087】
load は、時間ステップtにおける電力負荷53の消費電力を表す。電力負荷53の消費電力pload は、例えば、過去の実績から推定することができる。
式(11)に示されるように、系統売電電力pgen,sell 、系統買電電力pgen,buy 、蓄電池65の充電電力pbatt,ch 、および、蓄電池65の放電電力pbatt,dch の間には相関がある。この点で、式(6)から式(10)に示されるような系統買電電力pgen,buy および系統売電電力pgen,sell に関する制約条件は、蓄電池65の充電電力pbatt,ch 、および、蓄電池65の放電電力pbatt,dch に関する制約条件を表しているともいえる。
【0088】
(調整力提供量の予測誤差の予測値に基づく、SOC制約)
設定部121が、調整力提供量の予測誤差を許容できるように制約条件を設定するようにしてもよい。例えば、設定部121が、式(1)に代えて、式(12)に示される制約条件を設定するようにしてもよい。
【0089】
【数12】
【0090】
Δpfr,dch,prd は、時間ステップtにおける放電側の調整力提供量の予測値pfr,dch,prd の予測誤差の予測値を表す。Δpfr,dch,prd ≧0とする。
Δpfr,ch,prd は、時間ステップtにおける充電側の調整力提供量の予測値pfr,ch,prd の予測誤差の予測値を表す。Δpfr,ch,prd ≧0とする。
【0091】
「cbatt,min+Δpfr,dch,prd ×Δt」は、放電側の調整力提供量の予測値pfr,dch,prd に予測誤差が生じることを見込んで、蓄電池65の放電可能電力量に余裕を持たせるために、蓄電池65の蓄電残量の下限値に余裕分(マージン)を加えるものといえる。
「cbatt,max+Δpfr,ch,prd ×Δt」は、充電側の調整力提供量の予測値pfr,ch,prd に予測誤差が生じることを見込んで、蓄電池65の充電可能電力量に余裕を持たせるために、蓄電池65の空き容量の下限値に余裕分(マージン)を加えるものといえる。
【0092】
式(2)は、時間ステップt-1の終了時における蓄電池65の蓄電残量cbatt t-1から、エネルギーマネージメントサービスでの変化量(pbatt,ch -pbatt,dch )×Δtと、調整力提供サービスでの変化量(pfr,ch,prd -pfr,dch,prd )×Δtとを変化させると、時間ステップtの終了時における蓄電池65の蓄電残量cbatt になる、という関係を示している。
【0093】
式(2)に示される制約条件、および、式(12)に示される制約条件の何れも成立する場合、式(2)での調整力提供サービスでの変化量(pfr,ch,prd -pfr,dch,prd )×Δtに予測誤差が生じても、その予測誤差が、式(12)に示される余裕分「Δpfr,ch,prd ×Δt」および「Δpfr,dch,prd ×Δt」の範囲内であれば、時間ステップtの終了時における蓄電池65の蓄電残量cbatt が、下限値cbatt,min および上限値cbatt,max の範囲に含まれることが保証される。
【0094】
式(12)の右側の不等式「cbatt ≦(cbatt,max-Δpfr,ch,prd ×Δt)」は、時間区間(時間ステップt)の終了時における蓄電池65の蓄電残量cbatt が、蓄電残量の上限値cbatt,maxから、その時間区間における調整力提供サービスでの蓄電池65の充電電力量の予測誤差Δpfr,ch,prd ×Δtを減算した差以下であることを示す制約条件の例に該当する。
【0095】
式(12)の左側の不等式「cbatt ≦(cbatt,min+Δpfr,dch,prd ×Δt)≦cbatt 」は、時間区間(時間ステップt)の終了時における蓄電池65の蓄電残量cbatt が、蓄電残量の下限値cbatt,minと、その時間区間における調整力提供サービスでの蓄電池65の充電電力量の予測誤差Δpfr,dch,prd ×Δtとの合計以上であることを示す制約条件の例に該当する。
【0096】
(目的関数)
最適化問題における目的関数は、上述した制約条件の下で、時間ステップごとの蓄電池65の充電電力pbatt,ch および放電電力pbatt,dch を評価可能な、いろいろな関数とすることができる。例えば、時間帯によって異なる電気料金単価を考慮して、需要家の買電額をなるべく安くしたい場合、計画部122が、設定部121が設定した制約条件の下で式(13)に示される最小化問題の解を探索するようにしてもよい。
【0097】
【数13】
【0098】
gen,buy は、時間ステップtにおける時間帯別買電電力単価を表す。cgen,buy ≧0である。
「Σ(cgen,buy ×pgen,buy ×Δt)」は、買電額の算出式であり、最適化問題における目的関数の例に該当する。この目的関数では、系統買電電力pgen,buy に時間帯別買電電力単価cgen,buy を乗算して、エネルギーマネージメントサービスの計画の対象期間全体について時間積算することで、買電額を算出する。
【0099】
「Σ(cgen,buy ×pgen,buy ×Δt)」は、エネルギーマネージメントサービスの計画対象となっている期間について、時間区間(時間ステップt)ごとの電力単価cgen,buy と、その時間区間における商用電力の消費電力量pgen,buy ×Δtとの積の合計による電力料金を計算する関数の例に該当する。
【0100】
図3は、設定部121が値を設定するパラメータの例を示す図である。
図3のグラフの横軸は時刻を示し、縦軸は、蓄電池65の出力電力を示す。
線L111は、時間ステップtにおけるベースラインを示す。ベースラインは、商品ブロックごとに設定される。線L112は、蓄電池65に対する調整力指令値を示す。蓄電池65が、調整力指令値に従って充放電を行い、調整力指令値と、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力とは等しいものとする。
【0101】
調整力提供サービスにおける調整力は、ベースライン(線L111)を基準に、ベースラインと、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力(線L112)との差で計算される。
図3の例では、線L112は、時間ステップtの全区間で線L111の上にある。この場合、蓄電池65は、時間ステップtの全区間で蓄電池65は放電側の電力を供給していると評価される。また、ベースライン(線L111)と、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力(線L112)との差の大きさが、調整力の大きさに該当する。
fr,dch(ave) は、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力(線L112)の時間ステップtにおける平均値を表す。
【0102】
また、pfr,dch,maxは、蓄電池65の調整力約定量を表す。pfr,dch,prd は、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力の、時間ステップtにおける予測値を表す。
蓄電池65の充放電電力(線L112)の時間ステップtにおける平均値pfr,dch(ave) と、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力の、時間ステップtにおける予測値pfr,dch,prd との差が、時間ステップtにおける調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力の予測誤差pfr,dch,err に該当する。
【0103】
また、図3では、時間ステップtにおける調整力提供サービスでの蓄電池65の充電電力の予測誤差の予測値Δpfr,ch,prd 、および、時間ステップtにおける調整力提供サービスでの蓄電池65の放電電力の予測誤差の予測値Δpfr,dch,prd が示されている。これらの予測誤差は、蓄電池65の蓄電残量の、上下限値に対する余裕分として用いられる。図3の例のように、時間ステップtにおける調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力の予測誤差pfr,dch,err が、充電電力の予測誤差の予測値Δpfr,ch,prd 、および、放電電力の予測誤差の予測値Δpfr,dch,prd の範囲内にあれば、蓄電池65が、調整力提供サービスでの放電を行っても、蓄電残量は上下限値を超えない。
【0104】
次に、上位制御装置22が、エネルギーマネージメントサービスの計画を行う処理について、例を用いて説明する。上位制御装置22は、エネルギーマネージメントサービスの計画と、調整力提供サービスの計画とを生成する。
【0105】
調整力提供サービスについては、以下のように約定および計画が行われるものとする。
1. 入札および約定
アグリゲータは、需給調整市場に調整力提供可能量を入札し約定する。アグリゲータが行う入札での調整力提供可能量は、複数の需要家設置システム50ごとの調整力提供可能量をとりまとめたもの(合計したもの)に相当する。
【0106】
アグリゲータは、一次調整力および二次調整力(1)の入札を行うものとする。一次調整力および二次調整力(1)では、それぞれ、3時間ごとの商品ブロックを約定の単位として、土曜日から金曜日までの1週間分にあたる56個の商品ブロックについて、サービス開始の前週の火曜日14時までに入札が行われ、同日15時に約定が行われる。
なお、「二次調整力(1)」の「(1)」は、「1」を「○」で囲った表記(マルイチ)と読み替えるものとする。
【0107】
アグリゲータは、入札の対象とする需要家を記載した需要家リスト・パターンを予め作成しておく。一次調整力、二次調整力(1)など調整力提供サービスの種類ごとに、商品ブロック単位、かつ、需要家リスト・パターン単位で、応札および約定が行われる。
【0108】
2. 約定結果の入力
アグリゲータは、調整力提供サービスの約定結果をシステムに入力する。例えば、アグリゲータは、落札された商品ブロックごとに、その商品ブロックで落札された需要家リスト・パターン、および、調整力約定量を入力する。
アグリゲータが約定結果を入力するシステムは、上位制御装置22から参照可能ないろいろなシステムとすることができる。例えば、アグリゲータが、上位制御装置22に約定結果を入力するようにしてもよいが、これに限定されない。
【0109】
3. 運用計画の生成
上位制御装置22の調整力提供サービス処理部110が、調整力提供サービスの運用計画を生成する。運用時の単位時間として、3時間の商品ブロックが、さらに、30分の「コマ」に分割(6分割)されており、調整力提供サービス処理部110は、コマごと、かつ、需要家リスト・パターンに示される需要家ごとに、基準値(ベースライン)と、調整力提供可能量を決定する。
【0110】
需要家ごとに調整力提供可能量を決定することは、その需要家の需要家設置システム50ごとに、調整力提供可能量を決定することである。また、需要家ごとに決定される調整力提供可能量は、その需要家の需要家設置システム50が、調整力の提供要求に応答できるように確保しておくべき、蓄電池65の蓄電残量または空き容量である。
上記のように、調整力提供サービスにおける調整力は、蓄電池65の充放電電力とベースラインとの差で計算される。
【0111】
調整力提供サービス処理部110は、調整力提供サービスが約定された商品ブロックごとに、その商品ブロックで約定された需要家リスト・パターンに示される需要家の需要家設置システム50が提供可能な調整力の総和が、調整力の約定量に一致するように、調整力提供サービスの計画を生成する。
【0112】
運用計画で用いるパラメータとして、例えば以下のものを用いることができる。
(契約関連情報、需要家設置システム50の仕様情報)
・蓄電池65の充電電力上限値pbatt,ch,max[kW]
・蓄電池65の放電電力上限値pbatt,dch,max[kW]
・蓄電池65の蓄電残量の上限値cbatt,max [kWh]
・蓄電池65の蓄電残量の下限値cbatt,min [kWh]
・パワーコンディショニングシステム63の充電効率(AC/DC変換効率)ebatt,ch
・パワーコンディショニングシステム63の放電効率(DC/AC変換効率)ebatt,dch
・パワーコンディショニングシステム63のタイプ(ハイブリッドPCS、または、セパレートPCSの区別等):ハイブリッドPCSが、1台で太陽光発電システム54および蓄電池65の両方を制御し得るのに対し、セパレートPCSは、太陽光発電システム54、蓄電池65のそれぞれに設けられる。このため、行える制御、および、パワーコンディショニングシステム63に出力すべき制御信号が異なり得る。
・調整力による逆潮流を許可するか否か:上記の式(7)から(10)のように、制約条件に影響する。
【0113】
(契約関連情報、エネルギーマネージメントサービス関連情報)
・エネルギーマネージメントサービスのモード(ピークカット、ピークシフト、自家消費):目的関数および制約条件に影響する。
・ピークカット閾値[kW]:順潮流の上限値pgen,buy,maxとして用いられる。
・売電料金単価[円/kWh]・時間帯別の買電料金単価[円/kWh]:上記の式(13)のように、目的関数に反映される。
【0114】
(制御情報、需要家設置システム50における電力需給情報)
・需要負荷電力量累積値:pload の予測に用いられる。
・発電電力量累積値:ppv の予測に用いられる。
【0115】
(制御情報、蓄電池65の状態情報)
・蓄電池65の充電電力上限値pbatt,ch,max[kW]:需要家によって設定が変更される場合がある。
・蓄電池65の放電電力上限値pbatt,dch,max[kW] :需要家によって設定が変更される場合がある。
・蓄電池65の蓄電残量の現在値Cbatt [kWh]またはSOC[%]:蓄電残量の初期値として用いられる。
【0116】
エネルギーマネージメントサービス処理部120が、エネルギーマネージメントサービスの計画を生成する例について説明する。
・需要予測
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、各需要家設置システム50の電力需給情報を収集し、エネルギーマネージメントサービスの計画の対象となる所定期間における、各需要家設置システム50の負荷需要予測を行う。エネルギーマネージメントサービス処理部120が、電力需給情報として、電力負荷53の需要負荷電力量累積値(消費電力量累積値)、および、太陽光発電システム54の発電電力量累積値などを取得するようにしてもよい。
【0117】
・エネルギーマネージメントサービスの判定
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、エネルギーマネージメントサービス関連情報を取得し、各需要家設置システム50が実施しているエネルギーマネージメントサービスを判定する。エネルギーマネージメントサービス処理部120が、エネルギーマネージメントサービス関連情報として、エネルギーマネージメントサービスの状態情報、ピークカット閾値、売電電力単価、および、時間帯別の買電電力単価などの情報を入手するようにしてもよい。
【0118】
・蓄電池65の情報の取得
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、各需要家設置システム50の蓄電池65の最新の状態情報を取得する。エネルギーマネージメントサービス処理部120が、蓄電池65の最新の状態情報として、充電上限値、放電条件値、および、蓄電残量などの情報を取得するようにしてもよい。
【0119】
・需要家設置システム50の静的な情報の取得
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、各需要家設置システム50の情報、および、蓄電池65の仕様情報を取得する。エネルギーマネージメントサービス処理部120が、需要家設置システム50の情報として、パワーコンディショニングシステム63のAC/DC変換効率(交流/直流変換効率)およびDC/AC変換効率(直流/交流変換効率)、パワーコンディショニングシステム63の構成(ハイブリッド型PCS、または、セパレート型PCSの区別など)、需要家設置システム50の電力系統30への接続状態などの情報を取得するようにしてもよい。エネルギーマネージメントサービス処理部120が、蓄電池65の仕様情報として、蓄電池65の充電電力上限値および放電電力上限値、蓄電池65の蓄電残量の上限値および下限値などの情報を取得するようにしてもよい。
【0120】
・調整力提供サービスの情報の取得
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、商品ブロックごと、サービスごと(一次調整力、二次調整力(1)、二次調整力(2)など)、かつ、需要家リスト・パターンに示される需要家ごと(需要家設置システム50ごと)に、調整力約定量の割当量の情報を取得する。
なお、「二次調整力(2)」の「(2)」は、「2」を「○」で囲った表記(マルニ)と読み替えるものとする。
【0121】
あるいは、エネルギーマネージメントサービス処理部120がエネルギーマネージメントサービスの計画を生成するのと並行して、調整力提供サービス処理部110が、調整力提供サービスの計画を生成するようにしてもよい。この場合、商品ブロックごと、サービスごと、かつ、需要家設置システムごとの調整力約定量の割当量を変数とし、最適化問題で探索する解の一部とする。
【0122】
この場合、最適化問題は、エネルギーマネージメントサービスの計画と、調整力提供サービスの計画とに共通の最適化問題とすることができる。最適化問題で探索する解は、時間ステップごと、かつ、需要家設置システム50ごとの、エネルギーマネージメント向け充放電量、および、商品ブロックごと、サービスごと、かつ、需要家設置システムごとの調整力約定量とすることができる。
エネルギーマネージメントサービス処理部120および調整力提供サービス処理部110は、最適化問題の制約条件を満たし、かつ、目的関数が示す評価がなるべく良くなるような解を探索する。
【0123】
・計画の生成
エネルギーマネージメントサービス処理部120がエネルギーマネージメントサービスの計画を生成するのと並行して、調整力提供サービス処理部110が、調整力提供サービスの計画を生成する場合、上記のように最適化問題の解を取得することで、それぞれの計画を生成する。
エネルギーマネージメントサービス処理部120および調整力提供サービス処理部110が、目的関数として、例えば、調整力提供による利得と、エネルギーマネージメントサービスの実施による利得との合計値を示す目的関数を使用し、目的関数の値がなるべく大きくなるような解を探索するようにしてもよい。需要家設置システム50の買電電力の場合は、買電電力量をなるべく小さくすることが、エネルギーマネージメントサービスの実施による利得をなるべく大きくすることに相当する。
【0124】
あるいは、エネルギーマネージメントサービス処理部120と調整力提供サービス処理部110とが別々に計画を生成するようにしてもよい。例えば、調整力提供サービス処理部110が、調整力提供サービスの計画を生成した後、エネルギーマネージメントサービス処理部120が、エネルギーマネージメントサービスの計画を生成するようにしてもよい。この場合、エネルギーマネージメントサービス処理部120が、調整力提供サービス処理部110が生成した調整力提要サービスの計画で示される、商品ブロックごと、サービスごと、かつ、需要家設置システムごとの調整力約定量の割当量を制約条件の一部として含む最適化問題を解いて、エネルギーマネージメントサービスの計画を生成するようにしてもよい。
【0125】
また、上位制御装置22以外の機器が、エネルギーマネージメントサービス処理部120の機能を備えてエネルギーマネージメントサービスの計画を生成するようにしてもよい。例えば、下位制御装置62が、エネルギーマネージメントサービス処理部120の機能を備えてエネルギーマネージメントサービスの計画を生成するようにしてもよい。
【0126】
・調整力提供量の予測
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、上記の式(2)、式(3)および式(12)に示されるpfr,ch,prd 、および、pfr,dch,prd のように、調整力提供量の予測値を含む制約条件を用いてエネルギーマネージメントサービスの計画を生成する。
エネルギーマネージメントサービス処理部120が、蓄電池65の調整力約定量(調整力提供可能量)の50%を、調整力提供量の予測値とするなど、蓄電池65の調整力約定量の所定割合を、調整力提供量の予測値として用いるようにしてもよい。
【0127】
・調整力提供量の予測誤差の予測
エネルギーマネージメントサービス処理部120が、上記の式(12)に示されるΔpfr,ch,prd およびΔpfr,dch,prd のように、調整力提供量の予測誤差の予測値を含む制約条件を用いてエネルギーマネージメントサービスの計画を生成するようにしてもよい。
エネルギーマネージメントサービス処理部120が、蓄電池65の調整力約定量(調整力提供可能量)の5%を、調整力提供量の予測誤差の予測値とするなど、蓄電池65の調整力約定量の所定割合を、調整力提供量の予測誤差の予測値として用いるようにしてもよい。
【0128】
・蓄電池65の蓄電残量の制約条件
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、式(1)および式(12)に示されるCbatt,minおよびCbatt,maxのように、蓄電池65の蓄電残量の上下限値を含む制約条件を用いてエネルギーマネージメントサービスの計画を生成する。
エネルギーマネージメントサービス処理部120が、蓄電池65の定格による蓄電残量の上下限値を用いるようにしてもよい。例えば、蓄電池65の定格容量が10キロワット時(kWh)である場合、エネルギーマネージメントサービス処理部120が、蓄電池65の蓄電残量の上限値として10キロワット時を用い、下限値として0キロワット時を用いるようにしてもよい。
【0129】
例えば、エネルギーマネージメントサービス処理部120は、エネルギーマネージメントサービスの計画対象の全ての期間において、式(2)または式(3)に示されるように、蓄電池65の調整力提供量の予測値を考慮した蓄電残量が、式(1)に示されるように、蓄電残量の上下限値を超えないように計画を生成する。
【0130】
あるいは、エネルギーマネージメントサービス処理部120は、エネルギーマネージメントサービスの計画対象の全ての期間において、式(1)に代えて式(12)を用いて、蓄電池65の調整力提供量の予測値、および、蓄電池65の調整力提供量の予測誤差の予測値を考慮した蓄電残量が、蓄電残量の上下限値を超えないように計画を生成する。
【0131】
・蓄電池65の充放電電力の制約条件
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、式(4)に示されるpbatt,ch,maxおよび式(5)に示されるpbatt,dch,maxのように、充放電電力の上限値を含む制約条件を用いてエネルギーマネージメントサービスの計画を生成する。
エネルギーマネージメントサービス処理部120が、蓄電池65の定格に基づく充放電電力上限値を用いるようにしてもよい。例えば、蓄電池65の定格出力が5キロワット(kW)である場合、エネルギーマネージメントサービス処理部120が、蓄電池65の充電電力の上限値、および、放電電力の上限値のいずれにも5キロワットを用いるようにしてもよい。
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、エネルギーマネージメントサービスの計画対象の全ての期間において、式(4)に示されるpfr,ch,max および式(5)に示されるpfr,dch,max のように、蓄電池65の調整力約定量を考慮した蓄電池65の充放電電力が、充放電電力の上限値を超えないように計画を生成する。
【0132】
・電力系統30の売買電電力の制約条件
エネルギーマネージメントサービス処理部120が、式(6)に示されるpgen,buy,maxおよび式(7)に示されるpgen,sell,maxのように、電力系統30からの買電電力の上限値、および、電力系統30への売電電力の上限値、またはこれらのうち何れか一方を含む制約条件を用いてエネルギーマネージメントサービスの計画を生成するようにしてもよい。
【0133】
例えば、エネルギーマネージメントサービス処理部120が、電力系統30からの買電電量の上限値として3キロワットを使用し、電力系統30への売電電力の上限値として0キロワットを使用するようにしてもよい。上述したように、買電電力の上限値は、例えば、ピークカット値として指定され得る。売電電力の上限値は、例えば、逆潮流の可否、あるいは、逆潮流が認められる条件等に従って設定され得る。
エネルギーマネージメントサービス処理部120は、例えば、エネルギーマネージメントサービスの計画対象の全ての期間において、式(4)に示されるpfr,ch,max および式(5)に示されるpfr,dch,max のように、蓄電池65の調整力約定量を考慮した充放電電力が、買電電力の上限値および売電電力の上限値を超えないように計画を生成する。
【0134】
以上のように、計画部122は、ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池65の蓄電残量に、電力系統30の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池65を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、蓄電池65の蓄電残量を得られるという関係と、その蓄電池65の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、制約条件を満たし、かつ、目的関数が示す評価がより良くなるように、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池65の充放電量の計画を生成する。制御指令部130は、生成された計画に従って蓄電池65に充放電を行わせる。
【0135】
上位制御装置22によれば、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力量の予測値を反映した、時間区間の終了時における蓄電池65の蓄電残量が、上下限値を超えないようにエネルギーマネージメントサービスの計画を生成することができる。したがって、上位制御装置22によれば、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力量の予測値のぶんの、蓄電池65の蓄電残量または空き容量を確保することができる。上位制御装置22によれば、この点で、比較的長期間にわたって調整力提供サービスにおける電力の調達に対応することができる。
【0136】
ここで、調整力提供サービスで、放電側(順潮流側)の電力のみが調達される場合がある。例えば、需給調整市場では、一次調整力、および、二次調整力(1)について、調達する調整力は放電側のみとされ、充電側は調整力として認められない。調整力提供サービスで放電側の電力のみが調達される場合、蓄電池65が調整力提供のために放電し続けると、蓄電残量が無くなり、調整力を長時間提供することが困難となると考えられる。蓄電池65が、エネルギーマネージメントサービスでも放電を行う場合は、調整量を提供可能な時間がさらに短くなる。
【0137】
これに対し、上位制御装置22によれば、エネルギーマネージメントサービスにて、調整力提供のための蓄電池65の蓄電残量を確保することができ、比較的長期間にわたって調整力提供サービスにおける電力の調達に対応することができる。
上位制御装置22が計画を生成するエネルギーマネージメントサービスでの充放電電力は、調整力提供サービスにおけるベースラインとして事前申告される。上位制御装置22によれば、このベースラインの設定によって、比較的長期間にわたって調整力提供サービスにおける電力の調達に対応できるといえる。
【0138】
また、計画部122は、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池65の充電電力と、調整力提供サービスでの蓄電池65の充電電力との合計が、蓄電池65の充電電力の上限値以下であることを示す制約条件、または、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池65の放電電力と、調整力提供サービスでの蓄電池65の放電電力との合計が、蓄電池65の放電電力の上限値以下であることを示す制約条件の少なくとも何れかをさらに満たすように、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池65の充放電量の解探索を行う。
【0139】
これにより、上位制御装置22では、蓄電池65の充放電電力の上限値に配慮したエネルギーマネージメントサービスの計画を生成することができ、計画を実施可能であることが期待される。
仮に、蓄電池の充放電電力の上限値を超えるようなエネルギーマネージメントサービスの計画が生成された場合について考えると、このエネルギーマネージメントサービスの、充放電電力の上限値を超える部分は、実施することができない。
これに対し、上位制御装置22は、蓄電池65の充放電電力の上限値の制約を満たすようにエネルギーマネージメントサービスの計画を生成する。この点で、上位制御装置22が生成するエネルギーマネージメントサービスの計画は実施可能であることが期待される。
【0140】
また、設定部121は、時間区間の終了時における蓄電池65の蓄電残量が、蓄電残量の上限値から、その時間区間における調整力提供サービスでの蓄電池の充電電力量の予測誤差を減算した差以下であることを示す制約条件、または、時間区間の終了時における蓄電池65の蓄電残量が、蓄電残量の下限値と、その時間区間における調整力提供サービスでの蓄電池65の放電電力量の予測誤差との合計以上であることを示す制約条件の少なくとも何れかをさらに満たすように、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池の充放電量の解探索を行う。
【0141】
上位制御装置22によれば、調整力提供サービスでの蓄電池65の充放電電力の予測値に誤差が含まれる場合に対応して、蓄電池65の蓄電残量または空き容量の余裕分を確保することができる。上位制御装置22によれば、この点で、より長期間にわたって調整力提供サービスにおける電力の調達に対応できると期待される。
【0142】
また、上位制御装置22が用いる最適化問題の目的関数は、エネルギーマネージメントサービスの計画対象となっている期間について、時間区間ごとの電力単価と、その時間区間における商用電力の消費電力量との積の合計による電力料金を計算する関数である。
上位制御装置22によれば、目的関数の値がなるべく小さくなるように解探索を行うことで、需要家の電力料金がなるべく小さくなるようなエネルギーマネージメントサービスを計画することができる。上位制御装置22によれば、この点で、エネルギーマネージメントサービスの実施が需要家の利益につながると期待される。
【0143】
図4は、実施形態に係る制御装置の構成の例を示す図である。
図4に示す構成で、制御装置610は、計画部611と、制御部612とを備える。
かかる構成で、計画部611は、ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、制約条件を満たし、かつ、目的関数が示す評価がより良くなるように、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池の充放電量の計画を生成する。制御部612は、生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる。
【0144】
制御装置610によれば、調整力提供サービスでの蓄電池の充放電電力量の予測値を反映した、時間区間の終了時における蓄電池の蓄電残量が、上下限値を超えないようにエネルギーマネージメントサービスの計画を生成することができる。したがって、制御装置610によれば、調整力提供サービスでの蓄電池の充放電電力量の予測値のぶんの、蓄電池の蓄電残量または空き容量を確保することができる。制御装置610によれば、この点で、比較的長期間にわたって調整力提供サービスにおける電力の調達に対応することができる。
【0145】
図5は、実施形態に係る制御方法における処理の手順の例を示す図である。
図5に示す制御方法は、計画を行うこと(ステップS611)と、制御を行うこと(ステップS612)とを含む。
計画を行うこと(ステップS611)では、コンピュータが、ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、制約条件を満たし、かつ、目的関数が示す評価がより良くなるように、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、エネルギーマネージメントサービスでの蓄電池の充放電量の計画を生成する。
制御を行うこと(ステップS612)では、コンピュータが、生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる。
【0146】
図5に示す制御方法によれば、調整力提供サービスでの蓄電池の充放電電力量の予測値を反映した、時間区間の終了時における蓄電池の蓄電残量が、上下限値を超えないようにエネルギーマネージメントサービスの計画を生成することができる。したがって、図8に示す制御方法によれば、調整力提供サービスでの蓄電池の充放電電力量の予測値のぶんの、蓄電池の蓄電残量または空き容量を確保することができる。図8に示す制御方法によれば、この点で、比較的長期間にわたって調整力提供サービスにおける電力の調達に対応することができる。
【0147】
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
図6に示す構成で、コンピュータ700は、CPU710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740と、不揮発性記録媒体750とを備える。
【0148】
上記の上位制御装置22、および、制御装置610のうち何れか1つ以上またはその一部が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、これらの装置の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU710は、プログラムに従って、これらの装置が処理を行うための記憶領域を主記憶装置720に確保する。各装置と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。また、インタフェース740は、不揮発性記録媒体750用のポートを有し、不揮発性記録媒体750からの情報の読出、および、不揮発性記録媒体750への情報の書込を行う。
【0149】
上位制御装置22がコンピュータ700に実装される場合、その各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0150】
また、CPU710は、プログラムに従って、上位制御装置22が処理を行うための記憶領域を主記憶装置720に確保する。通信部140が行う通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。上位制御装置22とユーザとのインタラクションは、インタフェース740が入力デバイスおよび出力デバイスを有し、CPU710の制御に従って出力デバイスにて情報をユーザに提示し、入力デバイスにてユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0151】
制御装置610がコンピュータ700に実装される場合、その各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0152】
また、CPU710は、プログラムに従って、制御装置610が処理を行うための記憶領域を主記憶装置720に確保する。制御装置610と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。上位制御装置22とユーザとのインタラクションは、インタフェース740が入力デバイスおよび出力デバイスを有し、CPU710の制御に従って出力デバイスにて情報をユーザに提示し、入力デバイスにてユーザ操作を受け付けることで実行される。
【0153】
なお、上位制御装置22、および、制御装置610が行う処理の全部または一部を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0154】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0155】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0156】
(付記1)
ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成する計画手段と、
生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる制御手段と、
を備える制御装置。
【0157】
(付記2)
前記計画手段は、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充電電力と、前記調整力提供サービスでの前記蓄電池の充電電力との合計が、前記蓄電池の充電電力の上限値以下であることを示す制約条件、または、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の放電電力と、前記調整力提供サービスでの前記蓄電池の放電電力との合計が、前記蓄電池の放電電力の上限値以下であることを示す制約条件の少なくとも何れかをさらに満たすように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行う、
付記1に記載の制御装置。
【0158】
(付記3)
前記設定手段は、前記時間区間の終了時における前記蓄電池の蓄電残量が、前記蓄電残量の上限値から、その時間区間における前記調整力提供サービスでの前記蓄電池の充電電力量の予測誤差を減算した差以下であることを示す制約条件、または、前記時間区間の終了時における前記蓄電池の蓄電残量が、前記蓄電残量の下限値と、その時間区間における前記調整力提供サービスでの前記蓄電池の放電電力量の予測誤差との合計以上であることを示す制約条件の少なくとも何れかをさらに満たすように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行う、
付記1または付記2に記載の制御装置。
【0159】
(付記4)
前記目的関数は、前記エネルギーマネージメントサービスの計画対象となっている期間について、時間区間ごとの電力単価と、その時間区間における商用電力の消費電力量との積の合計による電力料金を計算する関数である、
付記1から3の何れか一つに記載の制御装置。
【0160】
(付記5)
コンピュータが、
ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成し、
生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせる、
ことを含む制御方法。
【0161】
(付記6)
コンピュータに、
ある時間区間の開始時における、計画生成対象の蓄電池の蓄電残量に、電力系統の安定化のための調整力提供サービスでの、その時間区間における充放電電力量の予測値と、その蓄電池を用いるエネルギーマネージメントサービスでの、その時間区間における充放電電力量の計画値とを反映させることで、その時間区間の終了時における、前記蓄電池の蓄電残量を得られるという関係と、前記蓄電池の蓄電残量の上限値および下限値とを含む制約条件と、前記エネルギーマネージメントサービスにおける目標に対する評価を示す目的関数とに基づいて、前記制約条件を満たし、かつ、前記目的関数が示す評価がより良くなるように、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の解探索を行うことで、前記エネルギーマネージメントサービスでの前記蓄電池の充放電量の計画を生成することと、
生成された計画に従って蓄電池に充放電を行わせることと、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0162】
22 上位制御装置
110 調整力提供サービス処理部
120 エネルギーマネージメントサービス処理部
121 設定部
122、611 計画部
130 制御指令部
140 通信部
610 制御装置
612 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6