(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018242
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】タイヤ充填体の製造方法、車輪の製造方法及び車輪
(51)【国際特許分類】
B29D 30/04 20060101AFI20230201BHJP
B60C 7/10 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B29D30/04
B60C7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122211
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】594040877
【氏名又は名称】井上護謨工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】白井 太郎
(72)【発明者】
【氏名】常国 冬広
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131BC55
3D131CC01
4F215AH20
4F215VA02
4F215VC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業効率が向上したタイヤ充填体の製造方法を提供する。
【解決手段】ホイール55のリムに、環状内部領域Rに連通する連通孔57A、57B,57Cが3つ形成されている。そして、タイヤ51付きのホイール55の環状内部領域R内への発泡樹脂の原料液の供給は、3つの連通孔のうちの1つの連通孔に受け皿70を宛がい、連通孔が浸かるようにその受け皿に発泡樹脂の原料液が溜められるとともに、他の連通孔から環状内部領域内の気体が吸引されて行われる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空体の内部の成形空間に外部から発泡樹脂の原料液を供給してタイヤ充填体を成形するタイヤ充填体の製造方法であって、
前記中空体は、前記成形空間に連通する連通孔を複数備え、
一部の前記連通孔が、前記原料液を前記成形空間に供給するための注入孔として使用されると共に、前記注入孔以外の一部又は全ての前記連通孔が、前記成形空間内の気体を吸引して前記成形空間を負圧にするための吸引孔として使用されるタイヤ充填体の製造方法。
【請求項2】
前記注入孔として使用される前記連通孔と、前記吸引孔として使用される前記連通孔と、が変更されて、前記原料液の供給が行われる請求項1に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【請求項3】
前記連通孔は、前記注入孔と前記吸引孔とに兼用される請求項1又は2に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【請求項4】
前記原料液の取り込み時に、前記注入孔と前記吸引孔との何れにも使用されない前記連通孔は、閉塞栓で塞がれる請求項1から3の何れか1の請求項に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【請求項5】
前記成形空間は環状をなし、
前記連通孔は、前記成形空間を周方向で複数分割する位置に配され、
前記注入孔として使用される前記連通孔の周方向隣の前記連通孔が、前記吸引孔として使用される請求項1から4の何れか1の請求項に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【請求項6】
前記中空体は、タイヤが装着されたホイールであり、
前記タイヤ充填体は前記タイヤ内で成形される請求項1から5の何れか1の請求項に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【請求項7】
前記連通孔が、前記ホイールに形成されている請求項6に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【請求項8】
前記吸引孔から吸引するときに、前記中空体の外面のうち前記注入孔の下部に受け皿を宛がい、前記注入孔が前記原料液に浸かるように、前記受け皿に前記原料液が溜められる請求項1から7の何れか1の請求項に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【請求項9】
前記中空体が加温される請求項1から8の何れか1の請求項に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【請求項10】
タイヤをホイールに装着して備え、タイヤ内部空間に、請求項1から9の何れか1の請求項に記載の製造方法により製造された前記タイヤ充填体が充填された車輪の製造方法。
【請求項11】
タイヤをホイールに装着して備え、タイヤ内部空間に発泡樹脂製のタイヤ充填体が充填された車輪であって、
前記ホイール又は前記タイヤに、前記タイヤ内部空間に連通する連通孔が複数形成されている車輪。
【請求項12】
前記連通孔は、前記ホイールを周方向で複数分割する位置に配置されている請求項11に記載の車輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤの内部に配されるタイヤ充填体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空体の内部の成形空間に外部から発泡樹脂の原料液を供給してタイヤ充填体を成形するタイヤ充填体の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-113790号公報(段落[0017]、
図1等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタイヤ充填体の製造方法においては、作業効率の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、中空体の内部の成形空間に外部から発泡樹脂の原料液を供給してタイヤ充填体を成形するタイヤ充填体の製造方法であって、前記中空体は、前記成形空間に連通する連通孔を複数備え、一部の前記連通孔が、前記原料液を前記成形空間に供給するための注入孔として使用されると共に、前記注入孔以外の一部又は全ての前記連通孔が、前記成形空間内の気体を吸引して前記成形空間を負圧にするための吸引孔として使用されるタイヤ充填体の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図8】発泡樹脂の原料液が供給されたタイヤ付きのホイールの断面図
【
図9】変形例に係るタイヤ充填体の製造方法を説明するための図
【
図10】変形例に係るタイヤ充填体の製造方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1には、本開示の製造方法により製造されたタイヤ充填体10を有する車輪50が示されている。車輪50は、例えば、ゴルフカートや電動車いす、シニアカー等に用いられる。
【0008】
車輪50は、タイヤ51をホイール55に装着してなる。詳細には、
図2に示すように、タイヤ51は、径方向内側に開口する内向き開口52を幅方向に挟む1対のビード部53を有し、それらビード部53が、ホイール55のリム56の外周面に形成された周方向に延びる外周凹部56Uに嵌め込まれることで、ホイール55に取り付けられる。
【0009】
タイヤ充填体10は、発泡ポリウレタン製で、タイヤ51とホイール55との間の環状内部領域R(特許請求の範囲中の「成形空間」に相当する)内全体に充填されている。また、タイヤ充填体10は、環状内部領域R内で成形され、タイヤ51及びホイール55と一体になっている。
【0010】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の車輪50には、ホイール55のリム56に、環状内部領域Rに連通する連通孔57が3つ形成されている。連通孔57は、リム56の幅方向の中央部で、リム56を周方向で3等分する位置にそれぞれ配されている。また、これら連通孔57は、蓋体58により閉塞されている。
【0011】
次に、タイヤ充填体10が充填された車輪50の製造方法について説明する。まず、
図3及び
図4に示すように、連通孔57が3つ形成されたホイール55にタイヤ51が装着される。このタイヤ51付きのホイール55(特許請求の範囲中の「中空体」に相当する)は、70~90度に加温される。
【0012】
次いで、タイヤ51付きのホイール55の環状内部領域R内に発泡樹脂の原料液が供給される。環状内部領域R内への発泡樹脂の原料液の供給は、第1~第3の供給工程により行われる。以下、詳細を説明する。
【0013】
第1供給工程では、まず、
図5に示すように、タイヤ51付きのホイール55が、3つの連通孔57の1つが最下部に位置するように傾けられる。そして、残りの2つの連通孔57のうちの1つの連通孔57を覆うように、リム56の内側面(径方向の内側の面)に受け皿70が宛がわれる。また、もう1つの連通孔57は閉塞栓75により閉塞される(
図6(A)参照)。以降、この第1供給工程で最下部に配された連通孔57を第1連通孔57Aといい、受け皿70が宛がわれた連通孔57を第2連通孔57Bといい、閉塞栓75により閉塞された連通孔57を第3連通孔57Cという。
【0014】
図5及び
図7に示すように、受け皿70は、U字状の端面がリム56の内側面に密接し、リム56の径方向内側に進むにつれて上方に向かうように湾曲している。この受け皿70に発泡樹脂の原料液が供給されて、連通孔57(第2連通孔57B)が浸かるように発泡樹脂の原料液が溜められる。受け皿70への発泡樹脂の原料液の供給は、ミキシングヘッドから直接垂れ流されて行われる。なお、発泡樹脂の原料液は供給中に発泡が進む。
【0015】
ところで、発泡樹脂の原料液は粘性が高く、発泡樹脂の原料液に連通孔57を浸けるだけでは、発泡樹脂の原料液は環状内部領域R内に流入しにくい。
【0016】
そこで、本実施形態の製造方法では、1つの連通孔57(第2連通孔57B)が発泡樹脂の原料液に浸けられると共に、他の連通孔57(第1連通孔57A)に吸引ノズル77が宛がわれ、環状内部領域R内の気体が吸引される。これにより、環状内部領域R内が負圧になり、受け皿70に溜められた発泡樹脂の原料液が連通孔57から環状内部領域R内に取り込まれやすくなる。
【0017】
つまり、本実施形態の製造方法では、複数の連通孔57の1つが環状内部領域R内に発泡樹脂の原料液を供給するための注入孔として使用されると共に、他の1つが環状内部領域R内の気体を吸引して環状内部領域R内を負圧にするための吸引孔として使用される。また、注入孔としても吸引孔としても使用されていない連通孔57が閉塞栓75により閉塞される。
【0018】
第2連通孔57B(注入孔)から取り込まれた発泡樹脂の原料液は、タイヤ51付きのホイール55の傾きに沿って、第1連通孔57A(吸引孔)側へ流動する(
図6(A)参照)。発泡樹脂の原料液が第1連通孔57A(吸引孔)近傍まで到達すると、吸引が停止されると共に発泡樹脂の原料液の供給が停止され、第1供給工程が終了する。
【0019】
次の第2工程では、タイヤ51付きのホイール55が、第3連通孔57Cが最下部に位置するように傾けられる。閉塞栓75が第3連通孔57Cから外されて、第1連通孔57Aに取付けられる。そして、第3連通孔57Cに吸引ノズル77が宛がわれて環状内部領域R内の気体が吸引されると共に、再び、第2連通孔57Bに宛がわれた受け皿70に発泡樹脂の原料液が溜められる。これにより、第2連通孔57B(注入孔)から取り込まれた発泡樹脂の原料液が第3連通孔57C(吸引孔)側へ流動する(
図6(B)参照)。発泡樹脂の原料液が第3連通孔57C(吸引孔)近傍まで到達すると、吸引が停止されると共に発泡樹脂の原料液の供給が停止され、第2供給工程が終了する。
【0020】
次の第3工程では、タイヤ51付きのホイール55が、第1連通孔57Aが最下部に位置するように傾けられる。閉塞栓75が第1連通孔57Aから外されて、第2連通孔57Bに取付けられる。そして、第1連通孔57Aに吸引ノズル77が宛がわれて環状内部領域R内の気体が吸引されると共に、受け皿70が第3連通孔57Cに宛がわれ、受け皿70に発泡樹脂の原料液が溜められる。これにより、第3連通孔57C(注入孔)から取り込まれた発泡樹脂の原料液が第1連通孔57A(吸引孔)側へ流動する(
図6(C)参照)。発泡樹脂の原料液が第1連通孔57A(吸引孔)近傍まで到達すると、吸引が停止されると共に発泡樹脂の原料液の供給が停止され、第3供給工程が終了する。
【0021】
上記第1~第3の供給工程により、環状内部領域Rの周方向全体に発泡樹脂の原料液が行き渡る。また、第1~第3の供給工程は、タイヤ51付きのホイール55が加温された状態で行われるので、発泡樹脂の原料液の流動性が高まり、作業効率が向上する。
【0022】
その後、全ての連通孔57が蓋体58により閉塞される。そして、環状内部領域R内で発泡樹脂の原料液が発泡硬化し、タイヤ充填体10が充填された車輪50が得られる。
【0023】
本実施形態の構成は以上である。次に、本実施形態の作用効果について説明する。上述したように、タイヤ充填体10は、タイヤ51付きのホイール55の連通孔57から発泡樹脂の原料液が供給されることを経て製造される。ここで、本実施形態では、発泡樹脂の原料液を供給する際に、吸引孔としての連通孔57から環状内部領域R内の気体が吸引されることにより、受け皿70に溜められた発泡樹脂の原料液が注入孔としての連通孔57から取り込まれやすくなり、作業効率が向上する。また、発泡樹脂の原料液が注入孔からスムーズに取り込まれるので、受け皿70から発泡樹脂の原料液が溢れて周囲が汚れることも防がれる。特に、発泡樹脂の原料液の粘性が高い場合に、それらの効果をより享受できる。
【0024】
なお、従来、高粘度の液体を注入する場合、液体を高圧で注入する高圧設備が用いられることがあった。これに対して本実施形態によれば、高圧設備を用いることなく高粘度の液体を注入可能になるので、設備にかかるコストを抑えることができる。また、高圧設備を用いた場合、注入のためのホースを使い捨てる必要があったが、本実施形態では、発泡樹脂の原料液がミキシングヘッドから受け皿70へ直接垂れ流されるので、注入側ではホースを用いず、かつ、原料液が付着する受け皿70は比較的洗浄しやすく、また、吸引ノズル77は、気体を吸うためのもので原料液が付着しにくいので、備品の使いまわしが可能である。
【0025】
また、ホイール55には連通孔57が複数形成されていて、発泡樹脂の原料液の供給を複数の区間(連通孔57同士の間)に分けて行うことができるので、環状内部領域Rの周方向全体に発泡樹脂の原料液を行き渡らせやすくすることができる。また、各連通孔57が吸引孔と注入孔との両方に使用できるので、吸引孔用の連通孔57と注入孔用の連通孔57とを別に設けるよりも連通孔57の数を少なくすることができる。
【0026】
[他の実施形態]
(1)ホイール55ではなくタイヤ51に連通孔が形成され、タイヤの連通孔から発泡樹脂の原料液の供給及び吸引が行われてもよい。
【0027】
(2)上記実施形態では、吸引孔と注入孔との両方に使用されない連通孔57が閉塞栓75により閉塞されていたが、閉塞されなくてもよい。また、注入孔として使用される連通孔57以外の全ての連通孔57が吸引孔として使用されてもよい。
【0028】
(3)
図9に示すように、タイヤ充填体10は、タイヤ51と、タイヤ51を保持する金型90とからなる中空体100内で生成されてもよい。この場合、タイヤ充填体10がタイヤ51と一体に成形された後に、そのタイヤ51がホイール55に取り付けられる。また、
図10に示すように、タイヤ充填体10は、金型90内で生成されてもよい。
【0029】
(4)連通孔57の数は、環状内部領域Rの長さに応じて適宜設定すればよく、2つであってもよいし、4つ以上あってもよい。また、複数区間の供給を同時に行ってもよい
【0030】
(5)注入孔として使用される連通孔57の数と、吸引孔として使用される連通孔57の数と、が異なっていてもよい。
【0031】
(6)注入孔内にホースを差し込み原料液を供給する構成であってもよい。
【0032】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0033】
例えば、以下の特徴は、「タイヤの内部に配されるタイヤ充填体の製造方法」に関し、「従来、中空体の内部の成形空間に外部から発泡樹脂の原料液を供給してタイヤ充填体を成形するタイヤ充填体の製造方法が知られている(例えば、特開2002-113790号公報(段落[0017]、
図1等参照)。」という背景技術について、「作業効率の向上が求められている」という課題をもってなされたものと考えることができる。
【0034】
[特徴1]
中空体の内部の成形空間に外部から発泡樹脂の原料液を供給してタイヤ充填体を成形するタイヤ充填体の製造方法であって、
前記中空体は、前記成形空間に連通する連通孔を複数備え、
一部の前記連通孔が、前記原料液を前記成形空間に供給するための注入孔として使用されると共に、前記注入孔以外の一部又は全ての前記連通孔が、前記成形空間内の気体を吸引して前記成形空間を負圧にするための吸引孔として使用されるタイヤ充填体の製造方法。
【0035】
特徴1の製造方法によれば、発泡樹脂の原料液を供給する際に、吸引孔から成形空間内の気体が吸引されて成形空間が負圧になるので、原料液が注入孔から取り込まれやすくなる。
【0036】
[特徴2]
前記注入孔として使用される前記連通孔と、前記吸引孔として使用される前記連通孔と、が変更されて、前記原料液の供給が行われる特徴1に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【0037】
特徴2の製造方法によれば、原料液の供給を満遍なく行うことができる。
【0038】
[特徴3]
前記連通孔は、前記注入孔と前記吸引孔とに兼用される特徴1又は2に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【0039】
特徴3の製造方法によれば、注入孔用の連通孔と吸引孔用の連通孔とを別々に設けるよりも連通孔の数を少なくすることができる。
【0040】
[特徴4]
前記原料液の取り込み時に、前記注入孔と前記吸引孔との何れにも使用されない前記連通孔は、閉塞栓で塞がれる特徴1から3の何れか1の特徴に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【0041】
特徴4の製造方法によれば、注入孔と吸引孔との何れにも使用されない連通孔が塞がれるので、成形空間内の気体の吸引が効率よく行われる。
【0042】
[特徴5]
前記成形空間は環状をなし、
前記連通孔は、前記成形空間を周方向で複数分割する位置に配され、
前記注入孔として使用される前記連通孔の周方向隣の前記連通孔が、前記吸引孔として使用される特徴1から4の何れか1の特徴に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【0043】
特徴5の製造方法によれば、原料液の供給が、複数の区間に分けて行われるので、成形空間の周方向全体に原料液を行き渡らせやすくなる。
【0044】
[特徴6]
前記中空体は、タイヤが装着されたホイールであり、
前記タイヤ充填体は前記タイヤ内で成形される特徴1から5の何れか1の特徴に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【0045】
特徴6の製造方法によれば、タイヤ充填体がタイヤ内で一体に成形されるので、タイヤ充填体を生成した後にタイヤに取り付けるよりも作業が容易になる。
【0046】
[特徴7]
前記連通孔が、前記ホイールに形成されている特徴6に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【0047】
[特徴8]
前記吸引孔から吸引するときに、前記中空体の外面のうち前記注入孔の下部に受け皿を宛がい、前記注入孔が前記原料液に浸かるように、前記受け皿に前記原料液が溜められる特徴1から7の何れか1の特徴に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【0048】
注入孔内にホースを差し込み原料液を供給してもよいし、特徴8のように、注入孔が原料液に浸かるように、受け皿に原料液が溜められることで原料液を供給してもよい。
【0049】
[特徴9]
前記中空体が加温される特徴1から8の何れか1の特徴に記載のタイヤ充填体の製造方法。
【0050】
特徴9の製造方法によれば、原料液の流動性が高まり、作業効率が向上する。
[特徴10]
タイヤをホイールに装着して備え、タイヤ内部空間に、特徴1から9の何れか1の特徴に記載の製造方法により製造された前記タイヤ充填体が充填された車輪の製造方法。
【0051】
[特徴11]
タイヤをホイールに装着して備え、タイヤ内部空間に発泡樹脂製のタイヤ充填体が充填された車輪であって、
前記ホイール又は前記タイヤに、前記タイヤ内部空間に連通する連通孔が複数形成されている車輪。
【0052】
特徴11によれば、ホイール又はタイヤに連通孔が複数形成されているので、タイヤ充填体の成形時に、一部の連通孔を原料液を注入する注入孔として使用して、他の連通孔を、タイヤ内部空間内の気体を吸引してタイヤ内部空間を負圧にするための吸引孔として使用することができる。
【0053】
[特徴12]
前記連通孔は、前記ホイールを周方向で複数分割する位置に配置されている特徴11に記載の車輪。
【0054】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0055】
10 タイヤ充填体
50 車輪
51 タイヤ
55 ホイール
56 リム
57 連通孔
70 受け皿
R 環状内部領域