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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182432
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20231219BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 50/188 20210101ALI20231219BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20231219BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M50/184 A
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/188
H01G11/80
H01G11/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096035
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】門田 浩平
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AA15
5E078AB01
5E078AB13
5E078BA26
5E078CA06
5E078CA08
5E078EA06
5E078EA09
5E078FA02
5E078FA12
5E078FA13
5E078FA14
5E078FA15
5E078HA12
5E078HA13
5E078HA24
5H011AA09
5H011CC06
5H011FF04
5H011GG02
5H011HH02
5H011KK01
(57)【要約】
【課題】容器本体に蓋体を篏合する際、蓋体の位置決めを効率的に行うことができる蓄電素子を提供する。
【解決手段】蓄電素子は、電極体に接合される集電体を収納し、開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体と前記集電体との間に介在する絶縁部材とを備え、前記絶縁部材には、前記容器本体の内面に接触する接触面が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体に接合される集電体を収納し、開口部を有する容器本体と、
前記開口部を閉塞する蓋体と、
前記蓋体と前記集電体との間に介在する絶縁部材とを備え、
前記絶縁部材には、前記容器本体の内面に接触する接触面が設けられている
蓄電素子。
【請求項2】
前記接触面は、前記開口部に近づくにつれ、前記内面との面間距離が小さくなるテーパ部を含む
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記絶縁部材は、前記容器本体の内面に対向する側面を有し、
前記側面は、前記接触面と、前記容器本体の内面に接触しない非接触面とを含む
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記絶縁部材は、弾性体により構成され、
前記絶縁部材が弾性変形された状態にて、前記接触面は前記容器本体の内面に接触する
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記接触面は、前記容器本体の内面のうち、対向する2つの内面それぞれに接触するように複数設けられている
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記容器本体は、長側面及び短側面を有する矩形状を成し、
前記接触面は、前記長側面及び前記短側面のそれぞれの内面に接触するように複数設けられている
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記蓋体は、前記開口部を閉塞した際、前記容器本体の内部に位置する内板部と、前記容器本体の外部に位置する外板部とを含み、
前記外板部は、前記開口部を覆い、
前記絶縁部材は、前記内板部と前記集電体との間に介在する
請求項1に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
容器と端子と集電体とガスケットとを備える蓄電素子が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、容器(電池蓋)と、端子(正負極端子)と、端子及び容器を絶縁するガスケット(絶縁シール部材)と、集電体(正負極集電体)と、集電体及び容器の間に介在されるガスケット(絶縁部材)とを備える蓄電素子(二次電池)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-93160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の蓄電素子においては、容器本体に蓋体を篏合する際、蓋体の位置決めに関する点が考慮されていないという問題点がある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、容器本体に蓋体を篏合する際、蓋体の位置決めを効率的に行うことができる蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、電極体に接合される集電体を収納し、開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体と前記集電体との間に介在する絶縁部材とを備え、前記絶縁部材には、前記容器本体の内面に接触する接触面が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の蓄電素子によれば、容器本体に蓋体を篏合する際、蓋体の位置決めを効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
図2】蓄電素子を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
図3】絶縁部材(下部ガスケット)を模式的に示す側断面図である。
図4】絶縁部材を模式的に示す平面図である。
図5】実施形態2(テーパ部)に係る絶縁部材を模式的に示す側断面図である。
図6】実施形態3(非接触面)に係る絶縁部材を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、電極体に接合される集電体を収納し、開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体と前記集電体との間に介在する絶縁部材とを備え、前記絶縁部材には、前記容器本体の内面に接触する接触面が設けられている。
【0010】
本発明の一実施形態に係る蓄電素子によれば、蓄電素子は、容器本体の開口部を閉塞する蓋体と集電体との間に介在する絶縁部材(下部ガスケット)を備えており、当該絶縁部材は、集電体と共に容器本体に収納されるものとなる。絶縁部材には、当該容器本体の内面に接触する接触面が設けられているため、容器本体に収納される際、当該接触面が内面に接触することにより、開口部内における絶縁部材の位置が規制され、これに伴い絶縁部材に固定されている蓋体の位置決めが行われる。蓋体は、開口部に篏合するにあたり、蓋体の外周面と開口部の内周面には、所定の隙間(クリアランス)が形成されるように蓋体及び容器本体は構成されているところ、接触面を有する絶縁部材により蓋体の位置決めを行うことができるため、蓄電素子の製造効率を向上させることができる。
【0011】
(2)上記(1)に記載の蓄電素子において、前記接触面は、前記開口部に近づくにつれ、前記内面との面間距離が小さくなるテーパ部を含むものであってもよい。
【0012】
上記(2)に記載の蓄電素子によれば、接触面は、接触する内面に対し所定の角度を有するテーパ部を含み、当該テーパ部は、集電体から開口部に近づくにつれ、内面との面間距離が小さくなるように構成されている。これにより、蓋体を開口部に篏合させるにあたり、絶縁部材を開口部に挿入する際、挿入開始時点は、テーパ部と内面との間にて離間距離(面間距離)を確保しつつ、挿入するにつれ当該面間距離を徐々に小さくして、テーパ部と内面とを接触させることができる。これにより、蓋体を開口部に篏合させる際の作業性を向上させることができる。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)に記載の蓄電素子において、前記絶縁部材は、前記容器本体の内面に対向する側面を有し、前記側面は、前記接触面と、前記容器本体の内面に接触しない非接触面とを含むものであってもよい。
【0014】
上記(3)に記載の蓄電素子によれば、接触面は、絶縁部材の側面に形成されており、当該側面は、接触面と、容器本体の内面に接触しない非接触面とを含む。すなわち、側面には、複数の切欠き部(肉盗み部)が形成されており、当該切欠き部(肉盗み部)は、非接触面に相当する。このように絶縁部材の側面において、切欠き部(肉盗み部)等により形成される非接触面を有することにより、絶縁部材の体積を減少させ、コストの低減及び製品重量の軽減を図ることができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかひとつに記載の蓄電素子において、前記絶縁部材は、弾性体により構成され、前記絶縁部材が弾性変形された状態にて、前記接触面は前記容器本体の内面に接触するものであってもよい。
【0016】
上記(4)に記載の蓄電素子によれば、絶縁部材は、例えばポリプロピレン等の樹脂等による弾性体により構成される。接触面が容器本体の内面に接触するにあたり、弾性体から成る絶縁部材は弾性変形した状態となるため、弾性変形による反発力により接触面と内面との間にて応力を生じさせ、接触面と内面との密着度を向上させて、絶縁部材の位置をより確実に規制することができる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれかひとつに記載の蓄電素子において、前記接触面は、前記容器本体の内面のうち、対向する2つの内面それぞれに接触するように複数設けられているものであってもよい。
【0018】
上記(5)に記載の蓄電素子によれば、接触面は、対向する2つの内面それぞれに接触するように複数設けられているため、当該対向する2つの内面の間において、絶縁部材の位置を規制し、蓋体の位置決めを更に確実に行うことができる。
【0019】
(6)上記(1)から(5)のいずれかひとつに記載の蓄電素子において、前記容器本体は、長側面及び短側面を有する矩形状を成し、前記接触面は、前記長側面及び前記短側面のそれぞれの内面に接触するように複数設けられているものであってもよい。
【0020】
上記(6)に記載の蓄電素子によれば、接触面は、矩形状を成す容器本体における長側面及び短側面のそれぞれに接触するように複数個、設けられている。これにより、開口部の断面に対する水平方向における絶縁部材の位置を規制し、蓋体の位置決めを更に確実に行うことができる。
【0021】
(7)上記(1)から(6)のいずれかひとつに記載の蓄電素子において、前記蓋体は、前記開口部を閉塞した際、前記容器本体の内部に位置する内板部と、前記容器本体の外部に位置する外板部とを含み、前記外板部は、前記開口部を覆い、前記絶縁部材は、前記内板部と前記集電体との間に介在するものであってもよい。
【0022】
上記(7)に記載の蓄電素子によれば、開口部が蓋体によって閉塞される際、内板部は当該開口部から挿入され、容器本体の内部に位置し、当該容器本体内に収納されるものとなる。この際、外板部は開口部を覆うものとなり、開口部を形成する上端面(開口部の外周面)の上に、外板部が載置されるものとなる。このように蓋体の外板部が開口部を覆う場合、内板部と、容器本体の内面との位置関係を視認することは困難となるが、これに対し、内板部と集電体との間に介在する絶縁部材の接触面が、容器本体の内面に接触することにより、蓋体の位置決めを容易に行うことができるため、蓄電素子の製造効率を向上させることができる。
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0024】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対(正極及び負極、以下同様)の端子の並び方向、一対の集電体の並び方向、一対の上部ガスケットの並び方向、一対の下部ガスケットの並び方向、電極体の両端部(一対の活物質層非形成部)の並び方向、電極体の巻回軸方向、又は、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、容器の厚さ方向、又は、1つの集電体における脚部(電極体接続部)の並び方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の容器本体と蓋体との並び方向、容器の短側面の長手方向、又は、集電体の脚部(電極体接続部)の延設方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0025】
(実施形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、実施形態1に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。図2は、蓄電素子を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。図1及び図2を用いて、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。
【0026】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)又はプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用電源や、電子機器用電源、電力貯蔵用電源などに使用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子10は、一次電池であってもよい。更に、蓄電素子10は、固体電解質を用いた電池であってもよい。また、本実施の形態では、直方体形状(角型)の蓄電素子10を図示しているが、蓄電素子10の形状は、直方体形状には限定されず、円柱形状、長円柱形状又は直方体以外の多角柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子であってもよい。
【0027】
本実施形態における図示のとおり、蓄電素子10は、容器100と、正極及び負極の端子200と、正極及び負極の上部ガスケット300とを備えている。また、容器100の内方には、正極及び負極の絶縁部材400と、正極及び負極の集電体500と、電極体600とが収容されている。絶縁部材400は、絶縁性を有する樹脂プレートから成り、下部ガスケットとして機能するものであってもよい。絶縁部材400の詳細については、後述する。
【0028】
容器100の内部には、電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。また、上記の構成要素の他、正極及び負極の集電体500の側方に配置されるスペーサ、電極体600等を包み込む絶縁フィルムなどが配置されていてもよい。
【0029】
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体110と、容器本体110の開口部111を閉塞する板状部材である蓋体120とで構成されている。また、容器100は、電極体600等を内部に収容後、容器本体110と蓋体120とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、容器本体110及び蓋体120の材質は特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。また、蓋体120には、容器100内方の圧力が上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁121、及び、容器100内方に電解液を注液するための注液部(図示せず)等も設けられている。
【0030】
電極体600は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成された極板である。負極板は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成された極板である。なお、上記集電箔として、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al-Cd合金など、適宜公知の材料を用いることもできる。また、正極活物質層及び負極活物質層に用いられる正極活物質及び負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。また、セパレータは、例えば樹脂からなる微多孔性のシートや、不織布を用いることができる。
【0031】
電極体600は、正極板と負極板との間にセパレータが配置され巻回されて形成されている。具体的には、電極体600は、正極板と負極板とが、セパレータを介して、巻回軸(本実施の形態ではX軸方向に平行な仮想軸)の方向に互いにずらして巻回されている。そして、正極板及び負極板は、それぞれのずらされた方向の端部に、活物質が塗工されず(活物質層が形成されず)基材層が露出した部分(活物質層非形成部)を有している。つまり、電極体600は、一方の端部610に、正極板の活物質層非形成部が積層されて束ねられた正極集束部を有し、他方の端部610に、負極板の活物質層非形成部が積層されて束ねられた負極集束部を有している。なお、本実施の形態では、電極体600の断面形状として長円形状を図示しているが、円形状又は楕円形状等でもよい。
【0032】
端子200は、集電体500を介して、電極体600の正極板及び負極板に電気的に接続される端子(正極端子及び負極端子)である。つまり、端子200は、電極体600に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体600に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。また、端子200は、電極体600の上方に配置された蓋体120に取り付けられている。具体的には、図2に示すように、端子200は、軸部210が、上部ガスケット300の貫通孔300aと、蓋体120の貫通孔120aと、絶縁部材400(下部ガスケット)の貫通孔410aと、集電体500の貫通孔510aとに挿入されて、かしめられることにより、集電体500と共に蓋体120に固定される。なお、端子200は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで形成されている。
【0033】
集電体500は、電極体600のX軸方向両側に配置され、電極体600の端部610に接続される部材(正極集電体及び負極集電体)である。具体的には、集電体500は、電極体600の端部610と容器本体110の側壁との間に配置され、電極体600の端部610の正極集束部及び負極集束部と端子200とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。また、集電体500は、蓋体120と電極体600の端部610とに固定的に接続(接合)されており、この構成により、電極体600が、集電体500によって蓋体120から吊り下げられた状態で保持(支持)され、振動や衝撃などによる揺れが抑制される。なお、集電体500の材質は限定されないが、例えば、正極側の集電体500は、電極体600の正極基材層と同様、アルミニウム又はアルミニウム合金などで形成され、負極側の集電体500は、電極体600の負極基材層と同様、銅又は銅合金などで形成されている。
【0034】
上部ガスケット300は、容器100の蓋体120と端子200との間に配置され、蓋体120と端子200との間を絶縁し、かつ封止する部材(正極上部ガスケット及び負極上部ガスケット)である。具体的には、上部ガスケット300は、矩形状の略板状部材の中央部分に、端子200の軸部210が挿入される貫通孔300aが形成された形状を有しており、貫通孔300aに軸部210が挿入されてかしめられることにより、上部ガスケット300が蓋体120に固定される。上部ガスケット300は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、又は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の樹脂などによって形成されている。
【0035】
絶縁部材400(下部ガスケット)は、容器100の蓋体120と集電体500との間に配置され、蓋体120と集電体500との間を絶縁する部材(正極絶縁部材及び負極絶縁部材)である。具体的には、絶縁部材400は、矩形状の略板状部材の略中央部分に、端子200の軸部210が挿入される貫通孔410aが形成された形状を有しており、貫通孔410aに軸部210が挿入されてかしめられることにより、絶縁部材400が蓋体120に固定される。絶縁部材400は、例えば、PC、PP、PE、又は、PPS等の樹脂などによって形成されている。
【0036】
図3は、絶縁部材400(下部ガスケット)を模式的に示す側断面図である。図4は、絶縁部材400を模式的に示す平面図である。上述のとおり、絶縁部材400は、端子200がかしめられることにより、蓋体120に固定され、蓋体120と集電体500との間に介在して設けられる。板状を成す蓋体120は、容器本体110の開口部111を閉塞した際、容器本体110の内部に位置する内板部122と、容器本体110の外部に位置する外板部123とを含む。これにより、絶縁部材400は、内板部122と集電体500との間に介在して設けられるものとなる。蓋体120は内板部122及び外板部123を含むとしたがこれに限定されず、蓋体120は、内板部122のみ、又は外板部123のみにより、構成されるものであってもよい。
【0037】
蓋体120を下方(Z軸方向)から見た際における外板部123の面積は、内板部122の面積よりも広い。このように面積の異なる内板部122と外板部123とによって、蓋体120には、段差が構成される。開口部111が蓋体120によって閉塞される際、内板部122は当該開口部111から挿入され、容器本体110の内部に位置し、当該容器本体110内に収納されるものとなる。この際、外板部123は開口部111を覆うものとなり、開口部111を形成する上端面(開口部111の外周面)の上に、外板部123が載置されるものとなる。外板部123における開口部111の側の内面は、内板部122の周縁(側面401)に対し外周を構成するように設けられており、外板部123の内面が、開口部111の上端面(短側面114を形成する側壁の上端面)と接することにより、外板部123は、前記開口部111を覆う。
【0038】
矩形状を成す絶縁部材400の側面401は、容器本体110の長側面113それぞれの内面112に対向する側面401と、短側面114の内面112に対向する側面401とを含む。上述のとおり、絶縁部材400は、正極側の絶縁部材400(正極絶縁部材)と、負極側の絶縁部材400(負極絶縁部材)とを含み、それぞれの絶縁部材400は、容器本体110における開口部111の長手方向の両端に位置する。これら絶縁部材400の側面401は、容器本体110の内面112に接触(当接)する接触面402(当接面)を含む。矩形状を成す絶縁部材400は、4つの側面401を有するものとなるが、長側面113の内面112に対向する2つの側面401と、短側面114の内面112に対向する1つの側面401から成る3つの側面401が、これら内面112に接触するものであり、接触面402に相当する。
【0039】
容器本体110の開口部111は、長側面113を構成する側壁と、短側面114を構成する側壁とにより形成される。長側面113を構成する側壁それぞれは平行に設けられ、これら長側面113の内面112は、対向している。短側面114を構成する側壁それぞれは平行に設けられ、これら短側面114の内面112は、対向している。
【0040】
上述とおり、絶縁部材400は、正極側の絶縁部材400と、負極側の絶縁部材400とを含み、これら絶縁部材400における長側面113の側に位置する接触面402(側面401)は、対向する長側面113の内面112それぞれに接触する。これにより、正極側及び負極側の絶縁部材400それぞれの接触面402は、容器本体110の内面112のうち、対向する2つの内面112(長側面113の内面112)それぞれに接触するように複数設けられている。
【0041】
絶縁部材400において、長側面113の側に位置する2つの接触面402による面間距離は、長側面113の内面112同士による面間距離以上である。これら接触面402における面間距離と、対向する2つの長側面113の内面112による面間距離とを、同じ距離にすることにより、当該接触面402と長側面113の内面112との隙間を無くすことができ、容器本体110の開口部111に対し、蓋体120の位置決めの精度を担保することができる。これら接触面402における面間距離を、対向する長側面113の内面112における面間距離よりも若干大きくした場合、絶縁部材400は弾性変形された状態にて、接触面402は長側面113の内面112それぞれに接触するものとなる。
【0042】
正極側の絶縁部材400の4つの側面401のうち、正極側の短側面114の内面112に面する側面401は、当該内面112に接触することにより、接触面402として機能する。負極側の絶縁部材400の4つの側面401のうち、負極側の短側面114の内面112に面する側面401は、当該内面112に接触することにより、接触面402として機能する。これにより、正極側及び負極側の絶縁部材400それぞれの接触面402は、短側面114の内面112それぞれに接触するように設けられている。
【0043】
正極側の短側面114の内面112に接触する接触面402(正極側の絶縁部材400の側面401)と、負極側の短側面114の内面112に接触する接触面402(負極側の絶縁部材400の側面401)との面間距離は、正極側の短側面114の内面112と、負極側の短側面114の内面112との面間距離以上である。これら接触面402における面間距離を、対向する短側面114の内面112における面間距離と同じ距離とすることにより、当該接触面402と短側面114の内面112との隙間を無くすことができ、容器本体110の開口部111に対し、蓋体120の位置決めの精度を担保することができる。絶縁部材400の接触面402における面間距離を、対向する短側面114の内面112における面間距離よりも若干大きくした場合、絶縁部材400は弾性変形された状態にて、接触面402は短側面114の内面112それぞれに接触するものとなる。
【0044】
上述のとおり絶縁部材400は樹脂等の弾性体により構成されるため、接触面402同士の面間距離を、当該接触面402が接する内面112同士の面間距離の例えば1.1倍等、内面112同士の面間距離よりも若干大きくした場合であっても、蓋体120が開口部111に篏合する際、絶縁部材400は変形して開口部111から容器本体110内に収納される。弾性変形して容器本体110内に収納された絶縁部材400は、接触面402により容器本体110の内面112を押圧するため、容器本体110の開口部111に対する蓋体120の位置決めの精度を向上させることができる。
【0045】
(実施形態2)
図5は、実施形態2(テーパ部403)に係る絶縁部材400を模式的に示す側断面図である。本実施形態において、絶縁部材400は、実施形態1と同様に蓋体120(内板部122)と集電体500との間に介在して設けられている。
【0046】
正極側及び負極側の絶縁部材400それぞれにおいて、短側面114の内面112に接触する接触面402は、接触する内面112に対し、例えば30°程度の所定の角度を有するテーパ部403を含む。蓋体120が開口部111に篏合された状態において、当該テーパ部403は、集電体500から開口部111(蓋体120)に近づくにつれ、内面112との面間距離が小さくなるように構成されている。
【0047】
テーパ部403が形成されていることにより、蓋体120が開口部111に篏合した際、絶縁部材400の側面401の一部が、短側面114の内面112に接触する接触面402として機能する。すなわち、絶縁部材400の側面401において、蓋体120の側に位置する領域は、短側面114の内面112に接触し、当該蓋体120の位置決めを担う接触面402として機能する。絶縁部材400の側面401において、集電体500の側に位置する領域は、短側面114の内面112に対し、離間している。
【0048】
蓋体120を開口部111に篏合させるにあたり、絶縁部材400を開口部111に挿入する際、挿入開始時点は、テーパ部403と内面112との間にて離間距離(面間距離)が確保される。これにより、挿入開始時点において、絶縁部材400を開口部111に容易に挿入することができる。絶縁部材400を開口部111に挿入するにつれ、当該面間距離を徐々に小さくして、テーパ部403と内面112とを接触させることができる。これにより、蓋体120を開口部111に篏合させる際の作業性を向上させることができる。
【0049】
本実施形態において、短側面114の側に位置する接触面402において、当該接触面402がテーパ部403を含む旨を説明したがこれに限定されず、長側面113の側に位置する接触面402についても、テーパ部403を含むものであってもよい。すなわち、短側面114の側に位置する接触面402のみ、長側面113の側に位置する接触面402のみ、又は、短側面114及び長側面113の双方の側に位置する接触面402が、テーパ部403を含むものであってもよい。
【0050】
(実施形態3)
図6は、実施形態3(非接触面404)に係る絶縁部材400を模式的に示す平面図である。本実施形態において、絶縁部材400は、実施形態1と同様に容器本体110の内面112に対向する側面401を有する。長側面113の内面112に対向する側面401、及び短側面114の内面112に対向する側面401において、各側面401は、内面112に接触する接触面402と、当該内面112に接触しない非接触面404とを含む。
【0051】
長側面113の内面112それぞれに対向する2つの側面401それぞれには、例えば、複数の切欠き部が形成され、当該切欠き部によって、内面112に接触しない非接触面404が構成されるものであってもよい。この場合、切欠き部が形成されていない領域が、内面112に接触する接触面402に相当する。絶縁部材400において、長側面113の内面112に対向する側面401の中央に、切欠き部を形成することにより、当該切欠き部から成る非接触面404と、当該非接触面404の両端、すなわち本実施形態の図示にて左右に位置する2つの接触面402とを構成することができる。
【0052】
正極側及び負極側の絶縁部材400それぞれにおいて、短側面114の側に位置する側面401には、当該側面401から突出した1つ以上の突起部(本実施形態の図示では2つの突起部)が設けられており、当該突起部の端面が、短側面114の内面112に接することにより、接触面402として機能する。この場合、短側面114の側に位置する側面401において、突起部の端面(接触面402)以外の領域は、非接触面404に相当する。
【0053】
このように、接触面402は、絶縁部材400の側面401に形成されており、当該側面401は、接触面402と、容器本体110の内面112に接触しない非接触面404とを含む。側面401には、例えば、複数の切欠き部(肉盗み部)が設けられており、当該切欠き部(肉盗み部)により非接触面404が形成されるものであってもよい。このように絶縁部材400の側面401において、切欠き部(肉盗み部)等により形成される非接触面404を有することにより、絶縁部材400の体積を減少させ、コストの低減及び製品重量の軽減を図ることができる。
【0054】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
10 蓄電素子
100 容器
110 容器本体
111 開口部
112 内面
113 長側面
114 短側面
120 蓋体
121 ガス排出弁
122 内板部
123 外板部
200 端子
300 上部ガスケット
400 絶縁部材(下部ガスケット)
401 側面
402 接触面
403 テーパ部
404 非接触面
500 集電体
600 電極体
610 端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6