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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182446
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 25/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
D06F25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096059
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】戎家 嵩二
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA01
3B165AA11
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA23
3B165BA75
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA11
3B165CB31
3B165DW03
3B165EW01
3B165EW03
3B165FA01
3B165GA02
3B165GH04
3B165JM02
3B165JM03
(57)【要約】
【課題】静音性を向上させた槽乾燥を実現できる洗濯機を提供することである。
【解決手段】洗濯機は、衣類投入用の開口部を有するカバー部142を備えると共に、洗濯槽を回転可能に支持する洗濯機であって、カバー部142内に送風手段111を備え、カバー部142に、送風手段111により送り出される空気を洗濯槽内に向けて吹出口117から吹き出す送風案内手段113が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類投入用の開口部を有するカバー部を備えると共に、洗濯槽を回転可能に支持する洗濯機であって、
前記カバー部内に送風手段を備え、
前記カバー部に、前記送風手段により送り出される空気を前記洗濯槽内に向けて吹出口から吹き出す送風案内手段が設けられている、
洗濯機。
【請求項2】
前記送風案内手段はルーバーである、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記送風案内手段は、前記洗濯槽の底部に向けて傾斜した前記ルーバーを複数備え、
前記ルーバー同士の間隔が3mm以下である、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記送風案内手段は、前記吹出口を下流側の端部に有するノズル部を有し、
前記ノズル部は、前記吹出口に向かうにしたがってテーパー形状となっている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記送風案内手段は、前記カバー部の前後方向の後寄りであって前記カバー部の左右方向の中央寄りに設けられている、
請求項1~4の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記送風案内手段は、洗濯処理剤が収容可能な処理剤ケースと並んで設けられている、
請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記送風案内手段は、前記カバー部の前後方向の中央寄りであって前記カバー部の左右方向の何れか少なくとも一方に設けられている、
請求項1~4の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記吹出口は、前記洗濯槽を上側から見たときに、前記洗濯槽の左右方向に延びる中心線上に位置する、
請求項7に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記吹出口は、前記カバー部の内周側に位置し、
前記送風手段と連通する吸気口は前記カバー部の外周側に位置する、
請求項1~4の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記吸気口は、前記吹出口と対向する位置に配される、
請求項1~4、6、8の何れか1項に記載の洗濯機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯槽を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯槽を乾燥させる機能を有する洗濯機として、「衣類投入口を開閉する外蓋9の略中央部に位置させて開閉可能な吸気窓910を設け、外槽3の上端に設ける外槽カバー303には洗濯兼脱水槽6および撹拌翼8の回転によって外槽内に送り出された空気を外枠内に導く通気窓303aを設け、制御装置は、洗濯兼脱水槽および撹拌翼を一体的に高速回転させる通風運転と、洗濯兼脱水槽の回転を停止させた状態で撹拌翼を回転させる布入替え運転を繰り返し実行するように駆動装置を制御するように構成する。」が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-194528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の洗濯機では、洗濯兼脱水槽を乾燥させるために洗濯兼脱水槽および撹拌翼を高速回転させると、洗濯機の振動による騒音が発生し易いといった問題がある。
本発明は、静音性を向上させた槽乾燥を実現できる洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る洗濯機は、衣類投入用の開口部を有するカバー部を備えると共に、洗濯槽を回転可能に支持する洗濯機であって、前記カバー部内に送風手段を備え、前記カバー部に、前記送風手段により送り出される空気を前記洗濯槽内に向けて吹出口から吹き出す送風案内手段が設けられている。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、静音性を向上させた槽乾燥を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】発明1の第1実施形態の洗濯機の概略斜視図である。
図2】(a)は発明1の第1実施形態のカバー部の平面図であり、(b)はカバー部における槽乾燥ユニット部分の断面図である。
図3】(a)は発明1の第2実施形態のカバー部の平面図であり、(b)はカバー部における槽乾燥ユニット部分の断面図である。
図4】発明1の変形例を示す図である。
図5】発明3の実施形態の洗濯機の概略斜視図である。
図6】(a)は発明3の液剤ケースの断面図であり、(b)はフィルタを表側から見た斜視図であり、(c)はフィルタを裏側から見た斜視図である。
図7】発明3のフィルタの格子の角度を説明する図である。
図8】発明3のフィルタの格子の方向を説明する図である。
【0008】
<実施形態>
発明1の実施形態に係る第1の洗濯機は、衣類投入用の開口部を有するカバー部を備えると共に、洗濯槽を回転可能に支持する洗濯機であって、前記カバー部内に送風手段を備え、前記カバー部に、前記送風手段により送り出される空気を前記洗濯槽内に向けて吹出口から吹き出す送風案内手段が設けられている。これにより、洗濯兼脱水槽や撹拌翼を高速回転させる場合に比べて静音性を高めることができる。また、送風手段がカバー部内にあるため外観的に凹凸を少なくすることができる。
第1の洗濯機は、少なくとも、カバー部、洗濯槽、送風手段、送風案内手段を備えればよく、他の構成については特に限定しない。洗濯槽は、縦型でもよいし、横型でもよい。
カバー部は、筐体を構成する本体部と一体(一体成形品等)であってもよいし、別体であってもよい。カバー部は、開口部を塞ぐ蓋部を有してもよいし、有しなくてもよい。
送風手段及び送風案内手段は、カバー部に取り付けられてもよいし、カバー部以外の部材に取り付けられてもよい。送風手段及び送風案内手段は、1個でもよいし、複数個でもよい。送風手段は1個で、送風案内手段は複数個でもよい。この場合、送付手段と送風案案内手段とをダクト等で接続してもよい。
【0009】
発明1の実施形態に係る第2の洗濯機は、第1の洗濯機において、前記送風案内手段はルーバーである。これにより、洗濯槽の内部へ風を送り易くできる。また、送付手段に触れることを避けることができる。
ルーバーは、1個(1枚)でもよいし、複数個(複数枚)でもよい。ルーバーの延伸方向は、水平方向でもよいし、上下方向でもよいし、これらと交差する方向でもよい。
【0010】
発明1の実施形態に係る第3の洗濯機は、第2の洗濯機において、前記送風案内手段は、前記洗濯槽の底部に向けて傾斜した前記ルーバーを複数備え、前記ルーバー同士の間隔が3mm以下である。これにより、送付手段に触れることを避けることができる。また、洗濯中に飛散する水しぶきが送風手段に入り難くできる。
【0011】
発明1の実施形態に係る第4の洗濯機は、第1の洗濯機において、前記送風案内手段は、前記吹出口を下流側の端部に有するノズル部を有し、前記ノズル部は、前記吹出口に向かうにしたがってテーパー形状となっている。これにより、洗濯槽の内部へ風を送り易くできる。また、送付手段に触れることを避けることができる。また、洗濯中に飛散する水しぶきが送風手段に入り難くできる。
ノズル部は、1個でもよいし、複数個でもよい。テーパー形状は、吹出口に向かうにしたがって、前後方向の寸法が小さくなってもよいし、左右方向の寸法が小さくなってもよいし、上下方向の寸法が小さくなってもよいし、これらの方向と交差する方向の寸法が小さくなってもよいし、前後方向、左右方向、上下方向、交差方向の少なくとも2つの方向の寸法が小さくなってもよい。
【0012】
発明1の実施形態に係る第5の洗濯機は、第1~第4の洗濯機において、前記送風案内手段は、前記カバー部の前後方向の後寄りであって前記カバー部の左右方向の中央寄りに設けられている。これにより、衣類等の出し入れの際に、衣類等が送風案内手段に引っ掛かるのを抑制できる。
送風案内手段は、複数個ある場合は、上記位置以外の位置に設けられてもよい。
【0013】
発明1の実施形態に係る第6の洗濯機は、第5の洗濯機において、前記送風案内手段は、洗濯処理剤が収容可能な処理剤ケースと並んで設けられている。これにより、衣類等の出し入れの際に、衣類等が送風案内手段に引っ掛かるのを抑制できる。
送風案内手段は、複数個ある場合は、上記位置以外の位置に設けられてもよい。
【0014】
発明1の実施形態に係る第7の洗濯機は、第1~第4の洗濯機において、前記送風案内手段は、前記カバー部の前後方向の中央寄りであって前記カバー部の左右方向の何れか少なくとも一方に設けられている。これにより、洗濯槽の中心に向けて送風し易くなる。また、処理剤ケースを後部の中央に配置するためのスペースを確保しやすくできる。
【0015】
発明1の実施形態に係る第8の洗濯機は、第1~第4、第7の洗濯機において、前記吹出口は、前記洗濯槽を上側から見たときに、前記洗濯槽の左右方向に延びる中心線上に位置する。これにより、洗濯槽の中心に向けて吹き出し易くなるため、洗濯槽の乾燥効率を向上させることができる。
【0016】
発明1の実施形態に係る第9の洗濯機は、第1~第8の洗濯機において、前記吹出口は、前記カバー部の内周側に位置し、前記送風手段と連通する吸気口は前記カバー部の外周側に位置する。これにより、効率よく、吸引した空気を吹出口から吹き出すことができる。
【0017】
発明1の実施形態に係る第10の洗濯機は、第1~第9の洗濯機において、前記吸気口は、前記吹出口と対向する位置に配される。これにより、送風手段の終了を向上させることができる。
なお、第2~第10の何れかの洗濯機は、他の洗濯機の構成と組み合わせてもよい。
また、第1~第10の何れかの洗濯機は、発明3に係る洗濯機の構成を有してもよい。
【0018】
<第1実施形態>
1.概要
洗濯機1は、図1に示すように、縦型タイプである。洗濯機1は、洗濯水を貯留するための外槽と、外槽内に回転可能に支持された洗濯槽10と、洗濯槽10等を乾燥させるための槽乾燥ユニット11と、洗濯処理の運転コースの入力や選択を行うための操作部12、洗濯処理の運転状況等を表示するための表示部13と、洗濯槽10に対して給水したり排水したりする給排水ユニットと、洗濯槽10を駆動する駆動モータと、給排水ユニットや駆動モータ等を制御して洗濯処理を行う制御部と、駆動モータや制御部等の駆動手段に給電するための電源部と、を筐体14に備える。
ここでの洗濯機1は、洗濯槽10に洗濯処理剤を投入するための処理剤投入ユニット15を筐体14に備える。
以下、要部について説明する。
2.要部
(1)筐体
筐体14は、図2のように衣服(衣類)投入用の開口部142aから見て前後左右を基準とする。つまり、給水部16がある側を後側として、その反対側が前側であり、前側から見て左側及び右側を定義し、前後方向及び左右方向に直交する方向が上下方向である。
筐体14は、本体部141と、本体部141の上側に配されるカバー部142と、カバー部142の衣服投入用の開口部142aを開閉するための蓋部143とを備える。ここでは、本体部141の下側にベース部144を備える。
ここで、蓋部143は回動することで、開閉可能とされる。蓋部143は、当該回動軸が左右方向に延びており、前後方向に開閉する。カバー部142の前側には、操作部12や表示部13が存在し、回動軸が後側に存在する。
【0019】
カバー部142は、上方から見ると枠状(四角枠状)をし、内周面又は内周面の下端縁により開口部142aが形成される。なお、カバー部142には、操作部12、表示部13、給水部16が設けられているが、少なくとも槽乾燥ユニット11が設けられていればよい。
カバー部142は、開口部142aに面する内周壁部142bと、内周壁部142bの上端から左右方向及び前後方向等に水平に延伸する上壁部142cと、上壁部142cの外周縁から下方に延伸する外周壁部142dとを有している。
開口部142aは、上方から見ると、円形状、長円形状、これらに似た形状をしている。外周壁部142dは、上方から見ると、方形状、矩形状、これらに似た形状をしている。内周壁部142bは、上端から下端に移るにしたがって内側(洗濯槽10の回転軸側)に張り出すように傾斜している。つまり、内周壁部142bは、上側広がりに傾斜している。これにより、外周壁部142dと内周壁部142bとの間に、槽乾燥ユニット11を配置するスペースが確保できる。また、衣類等の取り出しを容易とできる。
【0020】
(2)処理剤投入ユニット
処理剤投入ユニット15は、粉末状の洗剤、液体状の洗剤、液体状の柔軟剤等の処理剤を収容可能な処理剤ケース151をカバー部142に備える。ここでの処理剤ケース151は前後方向にスライド可能に設けられている。処理剤投入ユニット15は、手動の投入ユニットであってもよいし、自動の投入ユニットであってもよいし、これら両方であってもよい。
処理剤投入ユニット15は、カバー部142の後側であって左右方向の中央位置に配されている。これにより、処理剤ケース151を大きくでき、スライド操作を容易に行える。
【0021】
(3)槽乾燥ユニット
槽乾燥ユニット11は、図1及び図2に示すように、カバー部142の左右方向の一方側(洗濯機1に向かった場合の左側)であってカバー部142の前後方向の中央寄りに設けられている。これにより、洗濯槽10の中心(回転軸)に向けて送風しやすくできる。
ここでの「前後方向の中央寄り」とは、開口部142aにおける前後方向の中心を通り且つ左右方向に延伸する左右仮想線L1と槽乾燥ユニット11とが交差する場合(図2の(a)参照)、槽乾燥ユニット11と左右仮想線L1とが交差しない場合であって、槽乾燥ユニット11の前後方向の中心が、開口部142aの前後方向の端よりも、左右仮想線L1に近い場合とを含む。
槽乾燥ユニット11が上記位置に配されることにより、衣類等を洗濯槽10に投入する際又は洗濯後の衣類等を洗濯槽10から取り出す際に、槽乾燥ユニット11に衣類等が引っ掛かるのを抑制できる。
【0022】
槽乾燥ユニット11は、図2の(b)に示すように、カバー部142内に送風手段111を備える。これにより、洗濯槽10内に静かに空気を送り出することができる。また、カバー部142内に送風手段111を備えるため、カバー部142の外観において凹凸を少なくすることができる。また、カバー部142の内部にあるため、使用者が送風手段111に触れにくくできる。
【0023】
槽乾燥ユニット11は、送風手段111により送り出される空気を洗濯槽10内に向けて吹出口117から吹き出す送風案内手段113をカバー部142に備える。これにより、効果的に、洗濯槽10内に空気を送り出すことができる。
送風案内手段113は、送風手段111が装着されるケース115に形成されている。換言すると、ケース115は、送風案内手段113を構成する送風案内部を有する。
【0024】
ケース115は、ここでは、上下方向又は上下方向に沿った方向と平行な一対の板部115aと、一対の板部115aの少なくとも上下方向の一方端側を連結する板部115bとを有する。ここでの板部115bは、一対の板部115aの上端を連結し、便宜上、上板部115bとする。
一対の板部115aの内周側(洗濯槽10の回転軸側)の端縁は、カバー部142の内周壁部142bの傾斜と同様に傾斜している。つまり、板部115aの内周縁とカバー部142の内周壁部142bとが同じ又は略同じ形状をしている。これにより、意匠性を高めることができる。また、衣類等の出し入れの際に衣類等がケース115に引っ掛かるのを抑制できる。
一対の板部115a及び上板部115bの内周側の端縁により吹出口117が構成される。ケース115は、吹出口117がカバー部142の内周側に位置するように、カバー部142に取り付けられる。
【0025】
送風手段111は、ファンとモータとを有している。ここでは、ケーシングに一体に組み込まれている。送風手段111は、回転軸が水平方向(左右方向)又は水平方向に沿った方向に延伸するように、例えば、ケース115に取り付けられている。
送風手段111はケース115の外周側に位置し、送風手段111と連通する吸気口142fはカバー部142の外周壁部142dに複数個設けられている。これにより、吸気口142fは送風手段111と対向することとなり、送風手段111は効率よく吸気できる。また、吸気口142f、送風手段111及び吹出口117が対向するような位置関係となり、送風手段111が効率よく吸引した空気を洗濯槽10に吹出口117から効率よく吹き出させることができる。
【0026】
送風案内手段113は、図2の(b)に示すように、ルーバー113aであり、カバー部142の内周壁部142bに沿って設けられている。これにより、ケース115の吹出口117にルーバー113aが位置することとなり、使用者が送風手段111に触れ難くできる。
ルーバー113aは、板状をし、その長手方向の両端がケース115の一対の板部115aに接続する。ルーバー113aは、上下方向に間隔をおいて複数枚ある。複数のルーバー113a同士の距離D1は3mm以下である。つまり、上下に隣接するルーバー113aにおいて、上側に位置するルーバー113aの下面と、下側に位置するルーバー113aの上面との距離D1が3mm以下である。これにより、使用者が送風手段111に触れるのを防止できる。
複数のルーバー113aは、洗濯槽10の底部に向けて傾斜している。つまり、洗濯槽10の回転軸を基準として、外周側から内周側に向かうにしたがって洗濯槽10の底部に近づくように傾斜する。これにより、空気を洗濯槽10の内部に吹き出すことができる。また、洗濯中に飛散した水しぶきが送風手段111側に入るのを抑制でき、ルーバー113aに付着した水しぶきをルーバー113aに沿って下方に流下させることができる。
ルーバー113aの傾斜角度は、25~45度の範囲内が好ましい。この範囲にすることで、空気を洗濯槽10の内部の広い範囲に供給できる。なお、ルーバー113aは、モータ又は手動により上下方向に揺動するように構成されていてもよい。
【0027】
(4)制御部
制御部は、洗濯工程、洗い工程、脱水工程等を行う洗濯処理後に、適宜送風工程を行う。
送風工程は、洗濯処理後に、衣類等を取り出し、蓋部143が閉じられた後に、行われる。なお、蓋部143の開閉は、蓋部143に設けられた被検知部143a(図1参照)と、カバー部142に設けられたセンサ149とにより行われる。
制御部は、自動で送風工程を行うとしてもよい。例えば、洗濯処理の回数が所定回数(例えば、10回)になると、送風工程を行うようにしてもよいし、洗濯処理ごとに送風工程を行うようにしてもよい。
また、制御部は、手動で送風工程を行うとしてもよい。例えば、送風工程を開始する操作を使用者から受け付けると、送風工程を行うようにしてもよい。
なお、送風工程は、蓋部143を閉じた後に、使用者から開始操作を受け付けるようにしてもよい。
制御部は、送風工程に合わせて、洗濯槽10を回転させてもよい。回転は同一方向であってもよいし、所定時間毎で回転方向を反転させてもよい。この際の回転数は、40~60rpmが好ましく、さらに好ましくは50~60rpmである。
【0028】
<第2実施形態>
1.概要
第1実施形態では、槽乾燥ユニット11は、ルーバー113aを有する送風案内手段113を備える。第2実施形態では、ノズル部を有する送風案内手段について図3を用いて説明する。
槽乾燥ユニット21は、カバー部242の内部に配される送風手段111と、送風手段111により送り出される空気を洗濯槽10内に向けて吹出口217から吹き出す送風案内手段213とを備える。槽乾燥ユニット21は、送風案内手段213を構成する送風案内部(ノズル部)を有するケース215を備える。
なお、第2実施形態における要部の構成の効果は、第1実施形態と同じ又は同じような構成の効果については、その説明を省略する場合があるが、第1実施形態と同様にその効果を奏する。
以下、要部について説明する。
【0029】
2.カバー部
カバー部242は、第1実施形態と同様に、開口部242aを構成する内周壁部242bと、上壁部242cと、外周壁部242dとを有し、内周壁部242bは、上端から下端に移るにしたがって内側に張り出すように傾斜している。
なお、カバー部242の後部側であって左右方向に中央位置に処理剤投入ユニット15が配されている。また、カバー部242には、送風手段111と連通する吸気口242fが複数個設けられている。
【0030】
3.槽乾燥ユニット
槽乾燥ユニット21は、カバー部242の前後方向の中央寄りであってカバー部242の左右方向の一方側(左側)に設けられている。
槽乾燥ユニット21は、カバー部242内に送風手段111を備える。これにより、静粛性、カバー部242の外観上の凹凸、安全性を向上できる。
槽乾燥ユニット21は、送風手段111により送り出される空気を洗濯槽10内に向けて吹出口217から吹き出す送風案内手段213をカバー部242に備える。これにより、効果的に、洗濯槽10内に空気を送り出すことができる。
槽乾燥ユニット21は、送風手段111とケース215とを有し、ケース215により送風案内手段213を構成する案内部(ノズル部)が形成されている。これにより、送風案内手段213を容易に実施できる。
【0031】
ケース215は、ここでは、一対の板部215aと、一対の板部215aを連結する連結板部とを有している。連結板部は、図3の(b)に示すように、上下一対の連結板部215b,215cを有する。一対の連結板部215b,215cの間には送風手段111が配される。これにより、送風手段111からの空気が一対の連結板部215b,215cの間を通って、吹出口217から吹き出される。
ここで、連結板部215bは、上側に位置するため、上連結板部215bとし、連結板部215cは、下側に位置するため、下連結板部215cと便宜上する。
ケース215は、送風手段111を収容する収容空間と、送風手段111からの空気を吹出口217に案内する送風案内空間とを有する。収容空間と送風案内空間とは連続しているため、送風手段111から送風される空気のほとんどが送風案空間を通ることとなり、送風手段111からの空気を有効に利用できる。
【0032】
上連結板部215bは、カバー部242の内周壁部242bの傾斜に合わせて傾斜する傾斜部分215dと、傾斜部分215dの上端から左右方向の外方へ延伸する平坦部分215eとを有する。ここで、傾斜部分215dを、便宜上、上傾斜部分215dとし、平坦部分215eを、便宜上、上平坦部分215eとする。
下連結板部215cは、上傾斜部分215dに対して左右方向の外方側に位置し且つ上傾斜部分215dの吹出口217側部分と対向する傾斜部分215fと、傾斜部分215fの上端から左右方向の外方へ延伸する平坦部分215gとを有する。ここで、傾斜部分215fを、便宜上、下傾斜部分215fとし、平坦部分215gを、便宜上、下平坦部分215gとする。
【0033】
ケース215は、上傾斜部分215dが槽乾燥ユニット21の周りのカバー部242の内周壁部214bに面一状となるように、カバー部242に設けられている。これにより、槽乾燥ユニット21を設けているにもかかわらず、カバー部242の意匠性を維持できる。
ケース215は、吹出口217がカバー部242の内周側に位置するように、カバー部242に取り付けられる。これにより、効率的に洗濯槽10を乾燥できる。
【0034】
吹出口217は、一対の板部215aと上傾斜部分215dと下傾斜部分215fとの下端で形成され、前後方向に長い矩形状をしている。
収容空間は、一対の板部215aと、上平坦部分215eと、下平坦部分215gとで構成される。
送風案内空間は、一対の板部215aと、上連結板部215bと、下連結板部215cとで構成される空間であって収容空間を除いた空間であり、これらにより、送風案内部であるノズル部が形成される。
送風案内空間を構成する上連結板部215bと下連結板部215cとの間隔は、下流側の吹出口217に向かうにしたがって小さくなる。つまり、ノズル部は、吹出口217に向かうにしたがって細くなるテーパー形状となっている。
このように、送風手段111は、ケース215内であって上流側(外周側)に収容されることとなり、送風手段111に使用者が接触するのを防止できる。ノズル部は、テーパー形状とすることで、送風手段111の空気を効率よく吹き出すことができる。また、送風手段111からの空気の流速を高めて吹き出すことができ、洗濯槽10の乾燥を早めることができる。同様に、洗濯中に飛散した水しぶきが送風手段111側に入るのを抑制でき、ノズル部内に入った水しぶきも上傾斜部分215d又は下傾斜部分215fに沿って下方に流下させることができる。
なお、吹出口217は下方に向いているが、上傾斜部分215dと下傾斜部分215fとで形成される送風案内空間は、下方に移るにしたがって内側(洗濯槽の回転軸側)に向かうように傾斜するため、洗濯槽の内部へと空気が吹き出される。
【0035】
<変形例>
1.洗濯機
洗濯機は、縦型であってもよいし、横型(ドラム型)であってもよい。横型の場合、衣類を乾燥する乾燥ユニットにおける温風を洗濯槽に吹き込むための吹込口を利用することで実施できる。
【0036】
2.処理剤投入ユニット
処理剤投入ユニット15は、カバー部142における後側であって左右方向の中央位置に配されているが、他の部位、例えば、後方(後部)であって左右方向の一方側部位、左右の一方側であって前後方向の中央部位や一方側部位(例えば、左側後部側)であってもよい。
【0037】
3.槽乾燥ユニット
(1)送風手段
送風手段111はケース115,215に取り付けられ、ケース115,215がカバー部142,242に取り付けられているが、直接カバー部142,242に取り付けられてもよいし、カバー部の構造によっては筐体(14)の本体部(141)に取り付けるようにしてもよい。送風手段は、回転軸が水平方向以外の方向に延伸するように、ケースやカバー部に取り付けられてもよい。送風手段は、一体型でなくてもよい。送風手段は、2個以上あってもよい。
【0038】
(2)送風案内手段
(2-1)ルーバー
ルーバー113aは、13枚であったが、吹出口117の位置、洗濯槽の大きさ、ルーバー113aの長手方向(第1実施形態における前後方向)の長さ、傾斜角度等によって適宜決定してもよい。
ルーバー113aは、横断面が直線状をした板状部により構成されているが、横断面が湾曲状の板状部により構成されてもよい。ルーバー113aは、ケース115に固定されていたが、例えば、手動又はモータにより自動で向きを変更可能にケースに設けられてもよい。
(2-2)ノズル
送風案内手段213は1個の吹出口217を有していたが、複数の吹出口を有してもよい。送風手段111は、ケース215内に配されていたが、ケースの外部であってケースの吸入口と対向する状態でケース又はカバー部に取り付けられてもよい。
送風案内手段213は、樹脂製の一体形成品(射出成形品)に形成されていたが、ケースを複数の部材により構成し、複数の部材から形成されるようにしてもよい。
【0039】
(3)送風手段と送風案内手段
送風手段111と送風案内手段113,213は、洗濯槽の回転軸と直交する方向(水平方向)に配されているが、例えば、上下方向、上下方向又は左右方向に交差する方向に配されてもよい。
送風手段111と送風案内手段113,213は、隣接して設けられているが、離間して設け、ダクト等で接続するようにしてもよい。
吸気口、送風手段及び吹出口は対向する位置関係にあってもよいし、3つの内、1つが対向しなくてもよいし、すべてが対向しなくてもよい。
【0040】
(4)配置位置
槽乾燥ユニット31は、図4の(a)に示すように、カバー部342の前後方向の後寄りであって左右方向の一方側に設けられてもよい。ここでは、処理剤投入ユニット15の処理剤ケース151が前後方向の後寄りであって左右方向の中央に配され、槽乾燥ユニット311は、処理剤ケース(手動用又は自動用のケース)151と並んで設けられている。なお、手動用のケースとは、1回分の液剤が収容されるケースであり、自動用のケースとは、複数回の運転のために使用される複数回分の液剤が収容されるケースである。
槽乾燥ユニットは、カバー部の前後方向の後寄りであって左右方向の中央側に設けられてもよい。
【0041】
(5)個数
槽乾燥ユニットは、2個以上設けられてもよい。その場合、その配置位置は特に限定するものではない。
例えば、槽乾燥ユニット41は、図4の(b)に示すように、カバー部442の前後方向の後寄りであって処理剤投入ユニット15の左右方向の両側に設けられてもよい。
槽乾燥ユニット51は、図4の(c)に示すように、カバー部542の左右方向の両側であって前後方向の中央寄りに設けられてもよい。
槽乾燥ユニットは、カバー部の前後方向の後寄りと、左右方向の一方側とに設けられてもよい。槽乾燥ユニットは、カバー部の前後方向の後寄りと、左右方向の両方側とに合計で3個設けられてもよい。
【0042】
(6)その他
槽乾燥ユニットは、送風手段と送風案内手段との間に、ヒータ等の加熱手段を備えてもよい。
洗濯槽10の回転が同一方向である場合には、送風方向と反対方向に洗濯槽10を回転させることが好ましい。具体的に、左右方向の一方側に槽乾燥ユニット11,21が存在する場合において、図2,3のように槽乾燥ユニット11,21が仮想線L1,L2で区画される左上、右下(上面視)に存在する場合には、洗濯槽10を上側から見て、反時計周りに回転させ、槽乾燥ユニット11,21が仮想線L1,L2で区画される右上、左下に存在する場合には、洗濯槽10を上側から見て、時計周りに回転させる。一方、後側に槽乾燥ユニット11,21が存在する場合において、図4の(a)のように槽乾燥ユニット31が仮想線L1,L2(図2,3参照)で区画される右上(上面視)に存在する場合には、洗濯槽10を上側から見て、反時計周りに回転させ、槽乾燥ユニット31が仮想線L1,L2(図2,3参照)で区画される左上に存在する場合には、洗濯槽10を上側から見て、時計周りに回転させる。
【0043】
<発明2>
1.先行技術
特開2014-158966号公報には、洗濯から乾燥までの工程を行うことができる洗濯乾燥機1Aが記載されている。当該洗濯乾燥機1Aは、筐体2内に、洗濯兼脱水槽8、外槽9、駆動装置10、洗剤・仕上剤の投入装置11、給水ユニット12A、乾燥ダクト20などを備え、乾燥ダクト20は、筐体2の背面内側に縦方向に設置されている。
しかしながら、上記洗濯乾燥機1Aでは、上下方向に乾燥ダクト20が伸びているため、筐体2が大きくなるといった問題がある(以下、便宜上、「第2の課題」とする)。
【0044】
2.発明2
発明2に係る洗濯機は、上記第2の課題を解決するために提供され、発明2は、装置の大型化を抑制できる乾燥機能付き洗濯機の提供を目的とした。
(1)第1の洗濯機
第1の洗濯機は、衣類投入用の開口部を有するカバー部を備えると共に、洗濯槽を回転可能に支持する洗濯機であって、前記カバー部内に送風手段及び加熱手段を備え、前記カバー部に、前記送風手段により送り出される空気を前記洗濯槽内に向けて吹出口から吹き出す送風案内手段が設けられている。
これにより、洗濯槽内に送風でき、衣類等の乾燥を促進できる。
第1の洗濯機を構成する各部は、発明1の第1実施形態及び第2実施形態で説明した洗濯機を構成する各部と同じであってもよいし、異なってもよい。
衣類等の乾燥の観点からは、第1実施形態又は第2実施形態の槽乾燥ユニットを利用でき、この場合、「槽乾燥ユニット」を「衣類乾燥ユニット」とし、槽乾燥ユニットと同様の構造であってもよい。
なお、槽乾燥に着目した発明1における第2から第10の洗濯機を、発明2における第2から第10の洗濯機としてもよい。発明1における第2から第10の何れかの洗濯機を、発明2の第2以降の洗濯機としてもよい。
洗濯機は、送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段を、送風案内手段の上流側(送風手段)側に備えてもよい。
【0045】
なお、洗濯槽10又は洗濯槽10の底部のパルセータを回転させながら乾燥運転を行う場合には、乾燥空気が向かう方向と反対方向に洗濯槽10又はパルセータを回転させることが好ましい。これにより、衣類等の絡まりを抑えながら乾燥させることができる。
つまり、左右方向の一方側に槽乾燥ユニット11,21が存在する場合において、図2,3のように槽乾燥ユニット11,21が仮想線L1,L2で区画される左上、右下(上面視)に存在する場合には、洗濯槽10を上側から見て、反時計周りに回転させ、槽乾燥ユニット11,21が仮想線L1,L2で区画される右上、左下に存在する場合には、洗濯槽10を上側から見て、時計周りに回転させる。一方、後側に槽乾燥ユニット31が存在する場合において、図4の(a)のように槽乾燥ユニット31が仮想線L1,L2(図2,3参照)で区画される右上(上面視)に存在する場合には、洗濯槽10を上側から見て、反時計周りに回転させ、槽乾燥ユニット31が仮想線L1,L2(図2,3参照)で区画される左上に存在する場合には、洗濯槽10を上側から見て、時計周りに回転させる。
【0046】
<発明3>
1.先行技術
米国特許出願公開2017/233939明細書には、cabinet30と、cabinet30内に支持されるtub40と、tub40内に回転可能に設けられるdrum50と、上部に液剤を投入する上面開口部を有するmain body100と、main body100の液剤をtub40へ供給するliquid additive supply deviceとを備え、main body100には網目状のfilter300が配される洗濯機が開示されている。
しかしながら、上記洗濯機では、液剤とともに埃がフィルタ(filter300)において付着すると、フィルタ(filter300)を液剤が通過し難くなってしまうといった問題がある(以下、便宜上、「第3の課題」とする)。
【0047】
2.発明3
発明3に係る洗濯機は、上記第3の課題を解決するために提供され、発明3は、フィルタの目詰まりを抑制することができる洗濯機の提供を目的とする。
(1)第1の洗濯機
第1の洗濯機は、液剤供給装置を搭載する洗濯機において、外槽と、前記外槽内に回転可能に設けられる洗濯槽と、液剤を貯蔵する液剤タンクと、前記液剤タンクの内部の液剤を前記洗濯槽へ供給する液剤供給装置と、を備え、前記液剤タンク内に配される板状のフィルタは、その面方向に沿って斜めに格子が延びる格子状の構造を有する。
これにより、斜めに伸びる格子によって、ごみ等の分散を抑制することができ、フィルタの目詰まりを抑制することができる。
第1の洗濯機は、少なくとも、外槽、洗濯槽、液剤タンク、液剤供給装置を備えればよく、他の構成については特に限定しない。洗濯槽は、縦型でもよいし、横型でもよい。液剤タンクは、その形状は特に限定するものではなく、上方から見たときに、例えば、前後方向に長い形状でもよいし、左右方向に長い形状でもよいし、方形状でもよい。液剤タンクの個数は特に限定するものでない。また液剤タンクが複数個ある場合、1個以上の液剤タンクにフィルタが配されればよい。液剤供給装置は、自動で供給する装置であってもよいし、手動で供給する装置であってもよい。
フィルタは、板状をすればよく、直線的な平面状をしてもよいし、湾曲状をしてもよいし、屈曲部を有してもよい。フィルタの液剤タンクへの配置位置、配置する姿勢(例えば、垂直状、水平状、傾斜状等である)は特に限定するものではない。1つの液剤タンクに配するフィルタの数は特に限定するものでなく、1個であってもよいし、複数個であってもよい。
フィルタの格子状は、交差する角度は、90度であってもよいし、90度以外であってもよい。
【0048】
(2)第2の洗濯機
第2の洗濯機は、第1の洗濯機において、前記格子状の構造は、複数の格子部を有し、前記複数の格子部には、少なくとも、前記液剤が当該フィルタを通過する方向における上流側に位置する表側格子部と、前記表側格子部より下流側に位置する裏側格子部とが含まれ、前記液剤が通過する方向からみたときに、前記表側格子部と前記裏側格子部とが交差する。
これにより、目詰まりを抑制しつつ、ごみ等がフィルタを通過するのを抑制できる。
【0049】
(3)第3の洗濯機
第3の洗濯機は、第2の洗濯機において、前記表側格子部は、前記液剤が当該フィルタを通過する方向と直交する横方向の一方側と他方側との間に位置する境界部分を基準に、一方側から前記境界部分に向かうに従って低くなる第1表側格子部を一方側に有し、前記横方向の他方側から前記境界部分に向かうに従って低くなる第2表側格子部を他方側に有する。
これにより、ごみ等を境界部分側に集めることができる。
境界部分は、フィルタの枠部を連結してもよいし、連結しなくてもよい。境界部分は、一方側と他方側とを結ぶ横方向に対して、直交してもよいし、交差してもよい。境界部分は、横方向に並ぶよう、1個以上の貫通孔を有してもよいし、有しなくてもよい。境界部分の面方向(横方向)の厚みは、格子状を構成する格子の面方向の厚みより大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じでもよい。
【0050】
(4)第4の洗濯機
第4の洗濯機は、第3の洗濯機において、前記境界部分は、前記格子部内の格子よりも、面方向の厚みが大きい。
これにより、フィルタを補強できる。また、境界部分側に集まったごみが境界部分を超え難くできる。
【0051】
(5)第5の洗濯機
第5の洗濯機は、第2の洗濯機において、前記表側格子部は、前記液剤が当該フィルタを通過する方向と直交する横方向の一方側から他方側に向かうに従って低くなる第3表側格子部を有する。
これにより、ごみ等を横方向の他方側に集めることができる。
【0052】
(6)第6の洗濯機
第6の洗濯機は、第2~第5の洗濯機において、前記フィルタは、前記複数の格子部のいずれかより面方向の厚みが大きい2つの厚み部の間に前記複数の格子部を有する。
これにより、フィルタを補強できる。
厚み部は、所定方向に間隔をおいて少なくとも2つあればよく、枠部であってよいし、枠部と当該枠部を連結する連結部であってもよいし、枠部を連結する2つの連結部であってもよいし、枠部と連結しない2つの部材であってもよい。
【0053】
(7)第7の洗濯機
第7の洗濯機は、第1の洗濯機において、前記格子状の構造は、交差する複数の格子部を有し、前記複数の格子部は、前記液剤が当該フィルタを通過する方向における上流側に向かって突出する斜め方向に延びる延伸リブ部を有する。
これにより、液剤量の減少に伴ってごみが延伸リブ部に沿って流れ、ごみ等の分散を抑制することができる。
【0054】
(8)その他
第2~第7の何れかの洗濯機は、他の洗濯機の構成と組み合わせてもよい。
また、第1~第7の何れかの洗濯機は、発明1に係る洗濯機の構成を有してもよい。
【0055】
3.実施形態
(1)概要
洗濯機1001は、図5に示すように、洗濯水を貯留するための外槽と、外槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、液剤を貯留する液剤タンク1015と、液剤タンク1015の内部の液剤を洗濯槽に供給する液剤供給装置1016と、洗濯処理の運転コースの入力や選択を行うための操作部1012、洗濯処理の運転状況等を表示するための表示部1013と、洗濯槽に対して給水したり排水したりする給排水ユニットと、洗濯槽を駆動する駆動モータと、給排水ユニットや駆動モータ等を制御して洗濯処理を行う制御部と、駆動モータや制御部等の駆動手段に給電するための電源部と、を筐体1014に備える。
液剤タンク1015は、筐体1014の上壁1014aの開口1014bを介して上方に取り出し可能に設けられ、開口1014bは蓋部1014cにより開閉可能に構成されている。
液剤は、洗濯処理に使用され、例えば、洗剤、柔軟剤等である。本実施形態においては、洗剤用の液剤タンク1015と、柔軟剤用の液剤タンク1015とが別々に設けられている。液剤供給装置1016は、例えば、ポンプ、開閉弁(電磁弁)等を利用できる。
液剤タンク1015は、タンク本体1151と蓋体1153とを備え、図6の(a)に示すように、タンク内の塵や屑等のごみが洗濯槽に入るのを防止するフィルタ1017が内部に設けられている。なお、液剤タンク1015は、吐出口1154を介して液剤供給装置1016と接続する。また、蓋体1153は、タンク本体1151に対して着脱可能な構成であり、液剤を注ぎ入れるための開閉式の蓋部をさらに有していてもよい。
ここでのフィルタ1017は、1つのタンク本体1151内に1個設けられているが、複数個設けられてもよい。
以下、フィルタ1017について説明する。
【0056】
(2)フィルタ
(2-1)共通構造
フィルタ1017は、液剤タンク1015内の液剤が洗濯槽に供給される際に、液剤が当該フィルタ1017を通過するように液剤タンク1015内に配されている。図6の(a)では、前側(図6の(a)において左側である)から後側に液剤が流れ、フィルタ1017は、液剤タンク1015の吐出口1154側に配される。フィルタ1017は、吐出口1154を覆うように設けられ、ここでは、液剤タンク1015の底壁と後壁とに立て掛けるように設けられている。これにより、吐出口1154にごみ等が流れ込むのを規制できる。
フィルタ1017は、上下方向の途中で屈曲する「く」字状又はこれに似た形状をしているが、平坦な形状であってもよい。
なお、フィルタ1017において、液剤が通過する方向(前側から後側に向かう方向)において上流側を表側とし、下流側を裏側とする。
【0057】
フィルタ1017は、例えば、樹脂製の成形品が利用されている。フィルタ1017は、板状をし、その面方向に沿って斜めに格子が伸びる格子状の構造を有する。
なお、格子状は、複数本の格子が平行又は略平行に伸びるような形状(平行格子ともいう)と、第1方向と平行又は略平行に延びる複数本の第1格子と、第1方向と異なる第2方向と平行又は略平行に延びる複数本の第2格子とが交差するような形状(交差格子ともいう)とがある。
フィルタ1017は、図6の(b),(c)に示すように、格子状の構造を有するフィルタ部1170を1個又は複数個有している。ここでは、4個のフィルタ部1170a,1170b,1170c,1170dを有している。なお、4個のフィルタ部を区別する必要がない場合は、その符号を「1170」として説明する。
【0058】
フィルタ1017は、枠部1171と連結部1172とを有している。ここでの枠部1171は、矩形状又は矩形状に似た形状をし、連結部1172は、枠部1171の中間部分を連結するような形状をしている。
4つのフィルタ部1170は、枠部1171と連結部1172とで囲まれた領域に形成され、連結部1172は、隣接するフィルタ部1170の境界部分ともいえる。
具体的には、枠部1171は、上下方向又は上下方向に沿った方向に延伸する一対の縦枠部分1171aと、上下方向と直交する横方向又は横方向に沿った方向に延伸する一対の横枠部分1171bとを有する。これにより、フィルタ1017を補強できる。
連結部1172は、一対の縦枠部分1171aの中間部分を連結する横連結部分1172aと、一対の横枠部分1171bの中間部分とを連結する縦連結部分1172bとを有し、十字(「+」)状をしている。なお、縦枠部分1171a及び縦連結部分1172bは、横連結部分1172aで20度程度屈曲している。これにより、フィルタ部1170の面積を大きくできる。
なお、連結部1172は、図6の(c)に示すように、裏側に張り出すリブ部分1172cを有している。
連結部1172の横連結部分1172aの幅(縦方向の寸法)と縦連結部分1172bの幅(横方向の寸法)の少なくとも1つは、格子1177,1178の幅(格子が延びる方向と表裏方向とに直交する方向の寸法)よりも大きい。
【0059】
フィルタ部1170(格子状の構造)は、複数(例えば、「2」である)の格子部1173,1174を有している。これにより、交差格子状の構造が得られる。
(2-2)複数の格子部
(2-2-1)例1
2個の格子部は、表側に位置する表側格子部1173と、表側格子部1173よりも下流側(裏側)に位置する裏側格子部1174とである。表側格子部1173と裏側格子部1174とは、交差するように設けられている。つまり、フィルタ部1170を表裏方向から見ると、図6の(b),(c)に示すように、表側格子部1173を構成する複数の表側格子1177が第1方向に延び、裏側格子部1174を構成する複数の裏側格子1178が第2方向に延び、表側格子1177と裏側格子1178とが交差する。
なお、図では、表側格子部1173及び裏側格子部1174は、4つのフィルタ部1170a,1170b,1170c,1170dに対応して、符号に「a」等を付している。
【0060】
(2-2-2)例2
例1は、表側格子部1173と裏側格子部1174とは、表側格子部1173の裏面が裏側格子部1174の表面に接続し、表裏方向に重なっていないが、2つ(複数)の格子部が、表裏方向に重なってもよい。
つまり、例2の複数の格子部は、第1方向に傾斜する複数の第1格子から構成される第1格子部と、第2方向に傾斜する複数の第2格子から構成される第2格子部とを含み、同一平面内で第1格子部と第2格子部とが交差し、第1格子部と第2格子部の一方の格子部が、上流側に向かって突出し且つ斜め方向に延びる延伸リブ部分を有するようにしてもよい。
換言すると、第1格子部の裏面と第2格子部の裏面とが面一状態で、第1格子と第2格子とが交差し、第1格子と第2格子の一方の格子部の延伸リブ部分の表面が他方の格子部の表面よりも上流側に位置するような場合である。なお、例2の形態を、第1格子部と第2格子部とが表面と裏面とが面一状態となるように交差し、第1格子部と第2格子部の一方の格子部の表面にさらに表側に突出するリブ部分があるとしてもよい。
【0061】
(2-2-3)例3
例3では、例3の複数の格子部は、第1方向に傾斜する複数の第1格子から構成される第1格子部と、第2方向に傾斜する複数の第2格子から構成される第2格子部とを含み、第1格子部の表裏方向の中間部分が、第2格子部と交差してもよい。
換言すると、第1格子部の裏面が第2格子部の裏面よりも裏側に位置し、第1格子部の表面が第2格子部の表面よりも表側に位置するような場合である。
【0062】
(2-3)格子の方向
格子の延伸方向を、上記「(2-2)複数の格子部」の例1を使って説明するが、「(2-2)複数の格子部」の例2及び例3においても同様に適用できる。
【0063】
(2-3-1)例4
図8の(a)の太線で示すように、表裏方向と直交する横方向(水平方向)の一方側に位置するフィルタ部1170a,1170bにおける表側格子部1173a,1173bの表側格子1177Aは、横方向の他方側に位置するフィルタ部1170c,1170d(表側格子部1173c,1173d)との間に位置する縦連結部分1172bを基準に、一方側から縦連結部分1172bに向かうにしたがって低くなる。
表裏方向と直交する横方向(水平方向)の他方側に位置するフィルタ部1170c,1170dにおける表側格子部1173c,1173dの表側格子1177Bは、太線で示すように、縦連結部分1172bを基準に、他方側から縦連結部分1172bに向かうにしたがって低くなる。
つまり、表側格子部1173は、横方向の一方側から縦連結部分1172bに向かうにしたがって低くなる第1表側格子部1173a,1173bを有し、横方向の他方側から縦連結部分1172bに向かうにしたがって低くなる第2表側格子部1173c,1173dを有する。
換言すると、表側格子部1173を表側から見たときに、表側格子1177が、逆「ハ」字状をしている。
上記の方向に格子が形成されると、液剤の量の減少に伴ってタンク内のごみが、表側格子部1173の表側格子1177A,1174Bに沿って流れ、縦連結部分1172b側に近づく。これにより、表側格子部1173における縦連結部分1172bから離れた側にごみが溜まるのを防止できる。したがって、フィルタ部1170の縦連結部分1172bから離れた側では、ごみ等により目詰まりが生じ難くすることができる。
また、縦連結部分1172b側にごみが溜まる傾向にあるが、縦連結部分1172bには貫通孔が設けられていないため、溜まったごみの影響が少ない。
【0064】
(2-3-2)例5
図8の(b)に示すように、フィルタ4017は、フィルタ部4170a,4170b,4170c,4170dを有している。
表裏方向と直交する横方向(水平方向)の一方側に位置する表側格子部4173a,4173bの表側格子4177Aは、図8の(b)の太線で示すように、縦連結部分4172bを基準に、一方側から縦連結部分4172bに向かうにしたがって低くなる。
表裏方向と直交する横方向(水平方向)の他方側に位置する表側格子部4173c,4173dの表側格子4177Bは、太線で示すように、縦連結部分4172bを基準に、縦連結部分4172bから他方に向かうにしたがって低くなる。
つまり、表側格子部4173は、横方向の一方側から他方側に向かうにしたがって低くなる第1表側格子部4173a,4173bと第2表側格子部4173c,4173dを有する。
換言すると、表側格子部4173を表側から見たときに、表側格子4177A,4177Bがすべて同じ方向に延伸している。
上記の方向に表側格子4177A,4177Bが形成されると、タンク内のごみが、表側格子部4173の表側格子4177A,4177Bに沿って一方側から他方側に流れる。これにより、表側格子部4173における横方向の一方側にごみが溜まるのを防止できる。したがって、フィルタ部4170の一方側の領域でごみ等により目詰まりを生じ難くできる。
図8では、格子の向きが分かるように、便宜上、太く示している。
【0065】
(2-4)格子の角度
格子部の角度を、上記「(2-2)複数の格子部」の例1及び「(2-3)格子の方向」の例4を使って説明するが、「(2-2)複数の格子部」の例2及び第3や、「(2-3)格子の方向」の例5においても同様に適用できる。
表側格子1177の角度は、図7の(b)の太線で示すように、横(水平)方向に対して45度であってもよい。
表側格子2177の角度は、図7の(a)の太線で示すように、横方向に対して45度より大きい角度、例えば、75度であってもよい。
格子3177の角度は、図7の(c)の太線で示すように、横方向に対して45度より小さい角度、例えば、15度であってもよい。
表面が最も表側に位置する格子部の格子の角度は、格子構造の開口面積の観点からは45度が好ましく、縦連結部分におけるごみ等の停留性(溜り具合)の観点からは、縦連結部分がギザギザ状となるため、45度より大きい角度が好ましい。また、樹脂成形の観点から、格子間の孔が潰れてしまうため、45度より大きい角度が好ましい。
図7では、格子の向きが分かるように、便宜上、太く示している。
【0066】
<変形例>
1.フィルタ
フィルタ1017は、矩形状に似た形状をしているが、他の形状であってもよい。フィルタ1017は、横方向から見ると、途中の1か所で屈曲するが、2か所以上で屈曲してもよいし、屈曲しなくてもよい。
フィルタは、液剤タンクの底壁と後壁に立て掛ける(またがる)ように傾斜状に設けられている。つまり、垂直方向における上側が下側よりも吐出口(後)側に近くなるよう傾けて配されている。好ましくは、吐出口の上方にフィルタが位置する関係が良い。しかしながら、フィルタは吐出口の上流側に位置すればよく、例えば、フィルタの面方向が垂直となるよう配されてもよいし、水平となるように配されてもよい。
フィルタは、横型の洗濯機だけでなく、縦型の洗濯機にも適用できる。
【0067】
2.フィルタ部
フィルタ部は、上下左右に2個の合計4個あるが、1個であってもよい。フィルタ部は、上下左右に2個の合計4個あるが、上下に2個以上であってもよいし、左右に2個以上あってもよい。フィルタ部は、上下方向又は左右方向に対して交差する方向に2個以上あってもよい。これらの場合においても、斜めに伸びる格子を有することで、左右方向の一方側にごみが集まり、左右方向の他方側で目詰まりが生じ難くなる。
【0068】
3.格子部
フィルタ部1170は、3個以上の格子部を有してもよい。
例1の変形例として、表側に位置し且つ第1方向に第1格子(表側格子)が延びる第1格子部(表側格子部)と、裏側に位置し且つ第3方向に格子(裏側格子)が延びる第3格子部(裏側格子部)と、第1格子部と第3格子部との間に位置し且つ第2方向に格子が延びる第2格子部(中間格子部)との3つの格子部を有してもよい。なお、第1方向~第3方向は、すべて異なる。
例2の変形例として、第1方向に第1格子が延びる第1格子部と、第2方向に第2格子が延びる第2格子部と、第3方向に第3格子が延びる第3格子部との3つの格子部を同一平面で交差するように有し、3つの格子部の裏面が面一状で、3つの格子部の1つが他の2つの格子部の表面よりも上流側に位置してもよい。
例3の変形例として、第1方向に第1格子が延びる第1格子部と、第2方向に第2格子が延びる第2格子部と、第3方向に第3格子が延びる第3格子部との3つの格子部を、1つの格子部の表裏方向の中間部分で他の2つの格子部と交差するように有し、1つの格子部の表面が他の2つの格子部の表面よりも表側に位置し、1つの格子部の裏面が他の2つの格子部の裏面よりも裏側に位置してもよい。
【0069】
4.格子
斜めに延びる格子は、直線状に延びているが、湾曲状に延びてもよいし、直線状に延びる格子と湾曲状に延びる格子を含んでもよい。
格子は、その延びる方向と直交する断面形状が一定であるが、一定でなくてもよい。例えば、上部から下部に移るにしたがって細くなってもよい。
【0070】
5.その他
蓋部1014cは、左右方向を回動軸として、前側が持ち上がって後側に開放されるよう構成されるが、これに限定するものではない。前後方向を回動軸として開閉する構成であってもよい。具体的に、左側が持ち上がり右側の回動軸を中心に開く構成でもよいし、右側が持ち上がり左側の回動軸を中心に開く構成でもよい。
蓋部1014cは、複数の液剤タンク1015に対して1つに限定されるものではなく、左右方向を回動軸及び前後方向を回動軸とした場合のいずれであっても、2以上に分けられていてもよい。また、蓋部1014cは、回動により開閉する構成に限定されず、着脱式で、上側に引き上げることで筐体1014から取り外す構成であってもよいが、振動によりガタツキによる音が発し難いよう適宜、着脱可能な係合構造を有していてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 洗濯機
10 洗濯槽
11 槽乾燥ユニット(衣類乾燥ユニット)
15 処理剤投入ユニット
142 カバー部
1001 洗濯機
1014 筐体
1015 液剤タンク
1017 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8