(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182451
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20231219BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20231219BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231219BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H05K7/20 G
B60R16/02 610C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096065
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】藤坂 達也
【テーマコード(参考)】
5E322
5G361
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322EA10
5G361AA06
5G361AB12
5G361AC05
5G361AD01
5G361BA01
5G361BA02
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】電子部品の接点部を覆って接点部の露出を防止しつつ、接点部からの熱がこもることを防止できる電気接続箱を提供する。
【解決手段】通電時に発熱するリレー400が設けられた筐体を備える電気接続箱であって、リレー400の一面401に設けられた端子405を含む端子405の周囲を覆うカバー部材40を備え、カバー部材40は内外を通気する第1通気口42を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電時に発熱する電子部品が設けられた筐体を備える電気接続箱であって、
前記電子部品の側面に設けられた端子を含む該端子の周囲を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は内外を通気する通気口を有する電気接続箱。
【請求項2】
前記電子部品は前記筐体に設けられた台座に装着されており、
前記カバー部材は、
前記電子部品の前記側面と対向配置された対向板と、
前記筐体から離隔した前記対向板の縁に設けられ、前記対向板と前記側面との間隙を遮蔽して感電を防止する感電抑止板とを備え、
前記通気口は、前記感電抑止板に形成されている第1通気口を含む請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記第1通気口は、
前記感電抑止板において前記電子部品の前記側面寄りの一縁部に形成されている請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記通気口は、前記感電抑止板において前記一縁部から離れて形成された第2通気口を含む請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記第1通気口は、前記一縁部と対向する他縁部に向けて開放された櫛形状を成している請求項3又は4に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記通気口は、前記対向板に形成された第3通気口を含む請求項2から4のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記台座は前記対向板を挟持する挟持機構を備えており、
前記対向板は、前記挟持機構に形成された係合部と係合する係合突起を有する請求項2から4のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品を備える電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒューズ、リレー等の電子部品を備える電気接続箱が車両に搭載されている。
【0003】
電気接続箱は筐体を備えており、例えば、前記筐体は、一面側が開放されて前記電子部品が設けられた第1ケースと、第1ケースの開放された一面側を覆う第2ケースとからなる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、リレーのような電子部品は、電気接続箱の作動時に、大きな電流が流れる。よって、リレーの接点部に作業者の指が触れると感電のおそれがある。これに対しては、リレーの接点部をカバー部材で覆うことによって、感電等の不具合の発生を防止できる。
【0006】
一方、リレーには大きな電流が流れるので、リレー及びリレーの接点部には熱が発生するが、上述の如く、カバー部材でリレーの接点部を覆う場合、熱がカバー部材内にこもり易くなる。即ち、カバー部材内の空気は、リレー及びリレーの接点部から熱を奪って移動するが、カバー部材が原因で外側に放出されず、カバー部材内に熱い空気が滞留するようになる。カバー部材内に熱がこもった場合、カバー部材及び周囲の絶縁用の樹脂製部品が溶損して絶縁性が保てず、短絡等の不具合が発生するおそれがある。
【0007】
しかしながら、特許文献1の電気接続箱では、このような問題に対して考慮しておらず、解決できない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子部品の接点部を覆って接点部の露出を防止しつつ、接点部からの熱がこもることを防止できる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態に係る電気接続箱は、通電時に発熱する電子部品が設けられた筐体を備える電気接続箱であって、前記電子部品の側面に設けられた端子を含む該端子の周囲を覆うカバー部材を備え、前記カバー部材は内外を通気する通気口を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、電子部品の接点部を覆って接点部の露出を防止しつつ、接点部からの熱がこもることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る電気接続箱の斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る電気接続箱の平面図及び側面図である。
【
図3】実施形態1の電気接続箱においてカバー部材の取り付け状態を拡大して示す部分的斜視図である。
【
図4】実施形態1の電気接続箱においてカバー部材の取り外し状態を拡大して示す部分的斜視図である。
【
図5】実施形態1の電気接続箱においてカバー部材が取り付けられた状態での挟持機構の概略的縦断面図である。
【
図7】実施形態1の電気接続箱においてカバー部材が取り外された状態での挟持機構の概略的縦断面図である。
【
図8】実施形態1の電気接続箱においてカバー部材及び装着座の矩形板部を省略した状態の概略的縦断面図である。
【
図9】実施形態1の電気接続箱のカバー部材を示す斜視図である。
【
図10】実施形態2の電気接続箱のカバー部材を示す斜視図である。
【
図11】実施形態3の電気接続箱のカバー部材を示す斜視図である。
【
図12】実施形態4の電気接続箱のカバー部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、通電時に発熱する電子部品が設けられた筐体を備える電気接続箱であって、前記電子部品の側面に設けられた端子を含む該端子の周囲を覆うカバー部材を備え、前記カバー部材は内外を通気する通気口を有する。
【0014】
本実施形態にあっては、前記カバー部材が前記電子部品の側面に設けられた端子を含む該端子の周囲を覆っており、前記カバー部材の前記通気口が前記カバー部材の内外を通気する。よって、斯かる電子部品の接点部が覆われて該接点部の露出が防止されつつ、前記接点部からの熱が前記カバー部材内にこもることを防止できる。
【0015】
(2)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記電子部品は前記筐体に設けられた台座に装着されており、前記カバー部材は、前記電子部品の前記側面と対向配置された対向板と、前記筐体から離隔した前記対向板の縁に設けられ、前記対向板と前記側面との間隙を遮蔽して感電を抑止する感電抑止板とを備え、前記通気口は、前記感電抑止板に形成されている第1通気口を含む。
【0016】
本実施形態にあっては、前記感電抑止板が、前記カバー部材の前記対向板と、前記電子部品の前記側面との間隙を遮蔽して感電を抑止しており、前記感電抑止板に形成されている前記第1通気口が前記カバー部材の内外を通気する。よって、斯かる電子部品の接点部が覆われて該接点部の露出による感電が抑止されつつ、前記接点部からの熱が前記カバー部材内にこもることを防止できる。
【0017】
(3)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記第1通気口は、前記感電抑止板において前記電子部品の前記側面寄りの一縁部に形成されている。
【0018】
本実施形態にあっては、前記第1通気口が前記電子部品の前記側面寄りの一縁部に形成されている。換言すれば、前記第1通気口は、前記電子部品の接点部の上側、即ち、前記接点部から熱を奪って高温になった上昇空気の経路に形成されている。よって、前記カバー部材の外側に高温の空気が迅速に放出され、前記接点部からの熱が前記カバー部材内にこもることを防止できる。
【0019】
(4)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記通気口は、前記感電抑止板において前記一縁部から離れて形成された第2通気口を含む。
【0020】
本実施形態にあっては、前記感電抑止板に、前記第1通気口に加えて、前記一縁部から離れた位置に前記第2通気口が形成されている。よって、前記カバー部材内の高温の空気が、一層迅速に、前記カバー部材の外側に放出され、前記接点部からの熱が前記カバー部材内にこもることをより効果的に防止できる。
【0021】
(5)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記第1通気口は、前記一縁部と対向する他縁部に向けて開放された櫛形状を成している。
【0022】
本実施形態にあっては、前記第1通気口が、前記一縁部と対向する他縁部に向けて開放された櫛形状を成しているので、前記電子部品の接点部の露出による感電の抑止が確保されつつ、前記カバー部材内の高温の空気を前記カバー部材の外側に放出する通気口が拡大される。
【0023】
(6)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記通気口は、前記対向板に形成された第3通気口を含む。
【0024】
本実施形態にあっては、前記カバー部材の前記対向板に前記第3通気口が形成されているので、外気が前記第3通気口を介して前記カバー部材内に流れ込む。よって、カバー部材を内外に通気する空気の循環が短くなり、前記カバー部材内の高温の空気を外側に放出することによる放熱の効率を高めることが出来る。
【0025】
(7)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記台座は前記対向板を挟持する挟持機構を備えており、前記対向板は、前記挟持機構に形成された係合部と係合する係合突起を有する。
【0026】
本実施形態にあっては、前記カバー部材の取り付けの際、前記挟持機構が前記カバー部材の前記対向板を挟持し、前記対向板の前記係合突起が、前記挟持機構の前記係合部と係合する。よって、意図しない前記カバー部材の取り外しを防止できる。
【0027】
[本発明の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電気接続箱を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電気接続箱100の斜視図であり、
図2は、実施形態1に係る電気接続箱100の平面図及び側面図である。
図2Aは電気接続箱100の平面図であり、
図2Bは電気接続箱100の側面図である。
電気接続箱100は、例えば、EV(Electric Vehicle)の電池パック200(
図2参照)のような装着対象の外側に取り付けられる。
図2Bでは、説明の便宜上、電気接続箱100が電池パック200に取り付けられた状態を示している。
【0029】
電気接続箱100は、例えば、ヒューズ、基板等が設けられた筐体50を備えている。筐体50は、扁平であり、平面視略長方形であって、長さ方向の一端部の一角が階段状に切り欠かれた形状を成している。筐体50は、例えば、樹脂からなり、前記装着対象に取り付けられるロウアーケース30と、ロウアーケース30を覆うアッパーケース20とからなる。以下、説明の便宜上、アッパーケース20側を上とし、ロウアーケース30側を
下として説明する。
【0030】
ロウアーケース30は、アッパーケース20側の一面が開放された箱体の形状をなす。また、アッパーケース20は、ロウアーケース30側の一面が開放された箱体の形状をなす。アッパーケース20は、前記長さ方向の寸法と、前記長さ方向と直交する幅方向の寸法とがロウアーケース30よりも少し大きく、ロウアーケース30を覆っている。
【0031】
ロウアーケース30は、外側面が前記装着対象に接する底壁31と、底壁31の縁からアッパーケース20側に垂直に延設された側壁33とを有する。
【0032】
アッパーケース20は、ロウアーケース30の底壁31と対向する天井壁21と、天井壁21の縁に周設されており、ロウアーケース30側に垂直に延びる側壁22とを有する。アッパーケース20は、前記長さ方向の両端部及び中間部に、筐体50を前記装着対象へ取り付けるための締結部23が設けられている。
【0033】
詳しくは、締結部23は、前記長さ方向の一端部の両隅に夫々設けられ、また、他端部の両隅及び両隅の間に夫々設けられている。更に、アッパーケース20において、前記長さ方向の中間部にも、前記幅方向に3つの締結部23が並設されている。各締結部23は、底壁31と対向する天井壁21の内側面に突設されており、天井壁21の略中央部の1つの締結部23を除く他の締結部23は、側壁22の近傍に設けられている(
図2A参照)。
【0034】
各締結部23は有底筒形状を有しており、天井壁21側が開放されている。また、各締結部23の底には、筐体50を前記装着対象に取り付ける際に用いられる貫通孔(図示せず)が形成されている。前記装着対象から締結部23の前記貫通孔内にネジを挿通させて締結部23内に設けられたナット(図示せず)に螺合させることによって、筐体50(電気接続箱100)を前記装着対象に取り付けることができる。
【0035】
また、天井壁21の前記内側面と反対側の外側面211には、重力、熱膨張の差等に起因する天井壁21の反りを防ぐために、複数のリブ24が突設されている。
【0036】
そして、天井壁21の外側面211には、他装置との接続のための各種の接続部212が複数個所に設けられている。また、天井壁21の外側面211の略中央部に、リレー400(電子部品)用の装着座213(台座)が複数設けられ、リレー400が夫々の装着座213に装着されている。
【0037】
各リレー400には、後述のバスバー500が夫々接続されている。また、バスバー500とリレー400との接点部はカバー部材40によって覆われている。
【0038】
図3は、実施形態1の電気接続箱100においてカバー部材40の取り付け状態を拡大して示す部分的斜視図であり、
図4は、実施形態1の電気接続箱100においてカバー部材40の取り外し状態を拡大して示す部分的斜視図である。
【0039】
装着座213は、平面視矩形の凹部である。即ち、装着座213では、矩形の底面221(
図8参照)の各縁から上側に板材が立設されている。リレー400は、直方体形状を成しており、底面側から装着座213に装着され、上面402は露出されている。リレー400と装着座213との間にはカバー部材40が取り付けられている。
【0040】
リレー400は、一面401(側面)に2つの端子405が横方向に隔てて設けられており、端子405にはバスバー500が夫々接続されている。端子405は、内周面にネ
ジ部が形成された円筒形状であり、一端部のみが一面401から露出され、残りの部分はリレー400内に埋設されている。バスバー500の一端部に形成された貫通孔にボルト300を通して端子405と螺合させることによって、バスバー500が端子405にネジ止めされている。なお、一面401の中央部であって、2つの端子405の間には、縦方向に延びる短冊形状の遮蔽板406が突設されている。
【0041】
また、リレー400は、一面401と隣り合う側面403に、装着座213の後述する被係合部220と係合する係合突起404が突設されている。
【0042】
装着座213は、リレー400の一面401と対向する矩形板部216を有している。矩形板部216は、横方向の両端部216aを除く、リレー400の端子405に対応する中間部が切り欠かれている。両方の端部216aの間であって、リレー400の遮蔽板406に対応する位置には係合樋219が設けられている。係合樋219は、内側が遮蔽板406の形状に対応しており、遮蔽板406と係合している。係合樋219は、縦方向の寸法が遮蔽板406よりも短く両端が開放されている。よって、遮蔽板406の上端が係合樋219の上端から抜け出ている(
図4参照)。
【0043】
矩形板部216の各端部216aには、カバー部材40の後述する係合突起45と係合する切り欠き217(係合部)が形成されている。切り欠き217は縦方向に延びる長方形である。端部216aは挟持柱218と共に挟持機構215を成す。挟持柱218及び挟持機構215については後で詳説する。
【0044】
装着座213において、矩形板部216と隣り合う板部には、横方向の中間部に、開放部213aが設けられている。開放部213aには、リレー400の係合突起404と係合する被係合部220が設けられている。被係合部220は、倒立のU字形状を成している。被係合部220と係合突起404とが係合することによって、リレー400が装着座213に保持される。
【0045】
装着座213には、矩形板部216の両端側に、カバー部材40を挟持する挟持機構215が夫々設けられている。挟持機構215は、上述の如く、矩形板部216の端部216aと、挟持柱218とから構成されている。2つの挟持柱218は同じ形状である。
【0046】
図5は、実施形態1の電気接続箱100においてカバー部材40が取り付けられた状態での挟持機構215の概略的縦断面図であり、
図6は、
図5の矢印VIによる矢視図であり、
図7は、実施形態1の電気接続箱100においてカバー部材40が取り外された状態での挟持機構215の概略的縦断面図であり、
図8は、実施形態1の電気接続箱100においてカバー部材40及び装着座213の矩形板部216を省略した状態の概略的縦断面図である。
図8では、便宜上、ボルト300及びバスバー500を外した状態を示している。
【0047】
各挟持柱218は、各端部216aの内側に、各端部216aから離れて、装着座213の底面221に突設されている(
図8参照)。各挟持柱218は、縦方向に延びる、扁平な直方体形状の筐体であり、底面221側が開放されている。
【0048】
挟持柱218の両主面は端部216a及びリレー400と対向している。斯かる両主面のうち、リレー400側の一方の主面は開放され、上部に上端部218cが設けられている。挟持柱218及びリレー400の一面401の間に、バスバー500の前記一端部が下方から挿入され、上端部218cによって位置決めされている(
図6参照)。
【0049】
また、挟持柱218において、他方の主面には、各側壁218bの近傍に側壁218b
に沿って切り込みを入れて切り起された付勢部218aが形成されている。付勢部218aは、下側が側壁218bよりも短く、下側の端部が端部216a側に突出している。
図7に示すように、付勢部218aは、端部216aの切り欠き217と対応する位置に配置されている。
【0050】
図9は、実施形態1の電気接続箱100のカバー部材40を示す斜視図である。
図9Aはカバー部材40の表側を示す斜視図であり、
図9Bはカバー部材40の裏側を示す斜視図である。カバー部材40、例えば、絶縁材からなり、上述の如く、リレー400の一面401における接点部を覆う。即ち、カバー部材40は、リレー400の端子405(ボルト300)と、端子405に接続されているバスバー500の一端部とを含む、一面401の略全面を覆う。
【0051】
カバー部材40は、取り付け状態で、一面401と離れて対向配置される対向板44を有している。対向板44は、矩形であり、取り付け状態では、両長辺が縦方向に対向するように、端部216a及び挟持柱218の間に介在されて、端部216a及び挟持柱218によって挟持される。
【0052】
対向板44は、表側面に、上述の如く、各端部216aの切り欠き217と係合する係合突起45が2つ突設されている。また、対向板44は、横方向における中間部46が外側に突出している。中間部46は横断面視で略C字形状を成しており、カバー部材40の取り付け状態で、中間部46の内側には係合樋219が収容される。
【0053】
長手方向(横方向)における対向板44の両端には、リレー400に向けて側壁47が夫々延設されている(
図4参照)。側壁47は縦方向に延びる長方形であり、下端に近い程、対向板44と一面401との対向方向(以下、単に対向方向と称する)における寸法が小さくなる。
【0054】
対向板44の上側縁、即ち、対向板44において筐体50から離隔した縁には、リレー400側に上縁板41(感電抑止板)が延設されている。上縁板41は、対向板44の上側縁に沿って延びる長方形である。上縁板41は、対向板44とリレー400の一面401との間の間隙600を遮蔽する。前記対向方向において、上縁板41の寸法は間隙600よりも大きい。また、横方向において、上縁板41の寸法は対向板44よりも大きい。
【0055】
よって、上縁板41は、カバー部材40の取り付け状態で、一面401寄りに配置する一縁部41aと対向する他縁部41bが対向板44よりも外側に張り出している。また、上縁板41の長手方向の両端部が側壁47よりも外側に張り出している。
【0056】
上縁板41は、長手方向の中間部に凸部43が突設されている。凸部43は一面401側が開放され、横断面視で略C字形状を成している。カバー部材40の取り付け状態で、凸部43の内側には遮蔽板406の上端部が収容される。
【0057】
また、上縁板41は、カバー部材40の内外を通気する第1通気口42を有している。第1通気口42は一縁部41aに設けられている。詳しくは、第1通気口42は、一縁部41aの中間部を、一縁部41aに沿って切り欠いて形成されている。第1通気口42は、細長い長方形であり、上縁板41において、凸部43の両側に夫々設けられている。第1通気口42は、端子405の真上に設けられている。前記対向方向において、第1通気口42とリレー400の一面401との間隔700(
図6参照)は、例えば2~4mmである。
【0058】
以下、実施形態1の電気接続箱100におけるリレー400の取り付けについて説明す
る。
作業者は、対向板44の下端から、カバー部材40(対向板44)を端部216aと挟持柱218との間に挿入する。対向板44が端部216aと挟持柱218との間を移動する際、挟持柱218の付勢部218aが対向板44を端部216a側に押し付ける(
図6の実線矢印参照)。よって、対向板44は、端部216aの内側面に当接したまま下側に移動する。即ち、対向板44の表側の係合突起45が、端部216aに当接したまま移動し、係合突起45が端部216aの切り欠き217の位置に達した際、切り欠き217内に入り込み、
図5及び
図6に示すように、切り欠き217と係合する。
【0059】
係合突起45及び切り欠き217が係合した際、上縁板41の他縁部41bの下面が端部216aの上端面と当接する(
図6の破線円部分参照)。また、この際、上縁板41の長手方向の両端部の下面も、矩形板部216(端部216a)と隣り合う板部の上端面と当接する(
図3参照)。
【0060】
これによって、対向板44が挟持機構215(端部216a及び挟持柱218)に挟持されて保持される。即ち、係合突起45及び切り欠き217の係合によって、カバー部材40の上側への移動が防止され、他縁部41bの下面及び端部216aの上端面の当接によって、カバー部材40の下側への移動が防止される。対向板44は横方向における両端部が夫々挟持機構215によって挟持される。
【0061】
なお、カバー部材40を取り外す場合は、作業者が係合突起45をリレー400の一面401側に押し付けることによって係合突起45及び切り欠き217の係合を解錠した後、端部216aと挟持柱218との間からカバー部材40を上側に抜き出せば良い。
【0062】
通電時に、リレー400には大きな電流が流れるので、作業者の指が端子405に触れると感電の恐れがある。これに対して、実施形態1の電気接続箱100は、以上のように、カバー部材40を有しており、カバー部材40が対向板44とリレー400の一面401との間の間隙600を遮蔽する。よって、間隙600に指先が入り、感電等の不具合が発生することを未然に防止できる。
【0063】
上述の如く、リレー400には大きな電流が流れるので、リレー400及びリレー400の接点部(端子405及びバスバー500)には熱が発生する。カバー部材40内の空気は、リレー400及びリレー400の接点部から熱を奪い、上昇する(
図6の白抜き矢印参照)。
【0064】
しかし、カバー部材40が間隙600を遮蔽する場合、リレー400及びリレー400の接点部で発生する熱を奪って高温になった空気がカバー部材40の外側に放出されず、熱がカバー部材40内にこもり易くなる。カバー部材40内に熱がこもった場合、カバー部材40及びカバー部材40の周囲の樹脂製部品が溶損して絶縁性が保てず、短絡等の不具合が発生するおそれがある。
【0065】
これに対して、実施形態1の電気接続箱100においては、カバー部材40に第1通気口42が設けられているので、カバー部材40の内外を通気できる。斯かる通気によって、リレー400及びリレー400の接点部で発生する熱がカバー部材40の外側に放熱され、カバー部材40の内側にこもらないので、熱がカバー部材40内にこもることによる不具合の発生を未然に防止できる。
【0066】
また、実施形態1の電気接続箱100においては、上述の如く、リレー400の接点部(端子405)の真上に第1通気口42が設けられている。即ち、高温になった空気の移動経路に第1通気口42が設けられている。よって、第1通気口42は、高温になった空
気をカバー部材40の外側に素早く排気させることができる。
【0067】
更に、第1通気口42とリレー400の一面401との間隔700が2~4mmであるので、第1通気口42から間隙600に人の指先が入ることはない。よって、カバー部材40の内外を通気しつつ、上述した感電防止の効果を担保できる。
即ち、実施形態1の電気接続箱100では、リレー400の接点部露出による不具合の発生防止と、カバー部材40内に熱がこもることによる不具合の発生防止とを両立させることが出来る。
【0068】
以上においては、第1通気口42が一縁部41aに設けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、上縁板41に設けられていれば、上述と同様の効果を得ることが出来る。
【0069】
また、以上においては、上縁板41において、凸部43の両側に第1通気口42が夫々1つずつ設けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。凸部43の両側に第1通気口42が夫々複数箇所に設けられても良い。
【0070】
(実施形態2)
実施形態1の電気接続箱100では上縁板41における一縁部41aにのみ通気口が設けられている場合を例に説明したが、実施形態2の電気接続箱100は、上縁板41において一縁部41a以外の場所にも通気口が設けられている。
【0071】
図10は、実施形態2の電気接続箱100のカバー部材40を示す斜視図である。
実施形態2の電気接続箱100では、実施形態1と同様、上縁板41の一縁部41aであって、端子405の真上の位置に第1通気口42が設けられている(
図6参照)。また、実施形態2の電気接続箱100では、カバー部材40が、上縁板41に、第2通気口48を更に有している。
【0072】
第2通気口48は、上縁板41を内外に貫通する円形の貫通孔であり、一縁部41aから離れた位置に形成されている。上縁板41において、凸部43の両側に、夫々3つの第2通気口48が形成されている。3つの第2通気口48は、上縁板41にて、一縁部41aと他縁部41bとの間に形成されており、上縁板41の長手方向に間隔を隔てて設けられている。
【0073】
実施形態2の電気接続箱100は、上述の如く、一縁部41aにおいて端子405の真上の位置に第1通気口42が形成されており、実施形態1と同様、リレー400に発生する熱及びリレー400の接点部で発生する熱が素早くカバー部材40の外側に放熱され、カバー部材40の内側にこもらないので、熱がカバー部材40内にこもることによる不具合の発生を未然に防止できる。
【0074】
更に、実施形態2の電気接続箱100は、以上のように、第1通気口42に加えて、上縁板41に第2通気口48を更に有している。従って、カバー部材40は、リレー400及びリレー400の接点部で発生する熱を、第1通気口42及び第2通気口48を介してカバー部材40の外側へ、より迅速に、排出できる。
【0075】
以上においては、第2通気口48が円形の貫通孔である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。第2通気口48は、例えば、三角形、矩形、長円形、長方形等であっても良い。
【0076】
以上においては、上縁板41において、凸部43の両側に、夫々3つの第2通気口48
が形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。第2通気口48の数は、3つより多くても良く、3つより少なくても良い。
【0077】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0078】
(実施形態3)
実施形態1の電気接続箱100では上縁板41にのみ通気口が設けられている場合を例に説明したが、実施形態3の電気接続箱100は、上縁板41以外の位置にも通気口が設けられている。
【0079】
図11は、実施形態3の電気接続箱100のカバー部材40を示す斜視図である。
実施形態3の電気接続箱100では、実施形態1と同様、上縁板41の一縁部41aであって、端子405の真上の位置に第1通気口42が設けられている。また、実施形態3の電気接続箱100では、カバー部材40が、対向板44に、第3通気口49を更に有している。
【0080】
第3通気口49は、対向板44を内外に貫通するスリット形状の貫通孔であり、縦方向に延びている。対向板44において、中間部46の両側に、夫々1つの第3通気口49が形成されている。各第3通気口49は、対向板44にて、中間部46と係合突起45との間の部分であって、中間部46寄りの位置に形成されている。横方向における第3通気口49の寸法(以下、幅と称する)は、略2~4mmである。
【0081】
実施形態3の電気接続箱100は、上述の如く、一縁部41aにおいて端子405の真上の位置に第1通気口42が形成されており、実施形態1と同様、リレー400に発生する熱及びリレー400の接点部で発生する熱が素早くカバー部材40の外側に放熱され、カバー部材40の内側にこもらないので、熱がカバー部材40内にこもることによる不具合の発生を未然に防止できる。
【0082】
更に、実施形態3の電気接続箱100は、以上のように、第1通気口42に加えて、対向板44に第3通気口49が設けられている。第3通気口49を介して、外気が、カバー部材40内に流れ込み、リレー400及びリレー400の接点部から熱を奪って上昇し、第1通気口42からカバー部材40の外側に排出される。よって、実施形態3の電気接続箱100では、対向板44に第3通気口49が形成されていない場合に比べて、カバー部材40を内外に通気する空気の循環が短くなり、放熱の効率を高めることが出来る。
【0083】
そして、実施形態3の電気接続箱100は、以上のように、第3通気口49の幅が2~4mmであるので、第3通気口49から間隙600に人の指先が入ることはない。よって、第3通気口49は、カバー部材40の内外を通気しつつ、人の指がリレー400の端子405(ボルト300)又はバスバー500に触れることを防止できる。
【0084】
以上においては、第3通気口49がスリット形状である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。第3通気口49は、例えば、三角形、矩形、長円形等であっても良い。
【0085】
以上においては、対向板44において、中間部46の両側に、夫々1つの第3通気口49が形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、中間部46の両側に、夫々複数の第3通気口49が形成されても良い。
【0086】
以上においては、中間部46と係合突起45との間の部分であって、中間部46寄りの位置に第3通気口49が形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定される
ものではない。カバー部材40を取り付けた場合、装着座213の端部216aと重ならない位置であって、端部216aによって隠されない位置に第3通気口49を形成すれば良い。
【0087】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
(実施形態4)
実施形態1に係る電気接続箱100では第1通気口42が長方形である場合を例に説明したが、実施形態4に係る電気接続箱100は、第1通気口42と形状が異なる第1通気口42Aを有している。
【0089】
図12は、実施形態4の電気接続箱100のカバー部材40を示す斜視図である。
上述の如く、実施形態4の電気接続箱100では、カバー部材40に第1通気口42Aが形成されている。第1通気口42Aは、実施形態1の第1通気口42と同様の位置、上縁板41の一縁部41aであって端子405の真上の位置に設けられており、上縁板41を内外に貫通している。上縁板41において、凸部43の両側に、夫々第1通気口42Aが形成されている。
【0090】
しかし、第1通気口42Aは実施形態1の第1通気口42と異なる形状を有している。各第1通気口42Aは、他縁部41bに向けて開放された櫛形状を成している。詳しくは、各第1通気口42Aは、一縁部41aの中間部を一縁部41aに沿って細長い長方形に切り欠いて形成された櫛基部421Aと、櫛基部421Aから他縁部41bに向けて延出された細長い櫛歯部422Aとを有する。櫛基部421Aは、実施形態1の電気接続箱100の第1通気口42と同様の形状を成している。櫛歯部422Aは、櫛基部421Aの長手方向に沿って所定間隔にて複数箇所に形成されている。並設方向における櫛歯部422Aの寸法(以下、幅と称する)は、略2~4mmである。
【0091】
実施形態4の電気接続箱100は、上述の如く、一縁部41aにおいて端子405の真上の位置に第1通気口42Aが形成されているので、リレー400に発生する熱及びリレー400の接点部で発生する熱が素早くカバー部材40の外側に放熱される。よって、カバー部材40の内側に熱がこもらず、熱がカバー部材40内にこもることによる不具合の発生を未然に防止できる。
【0092】
更に、実施形態4の電気接続箱100は、以上のように、第1通気口42Aが他縁部41bに向けて開放された櫛形状を成している。換言すれば、実施形態4の電気接続箱100では、実施形態1に係る第1通気口42に対応する櫛基部421Aに加えて、複数の櫛歯部422Aが上縁板41に形成されている。従って、カバー部材40は、リレー400及びリレー400の接点部で発生する熱を、櫛基部421A及び櫛歯部422Aを介してカバー部材40の外側へ、一層迅速に、排出できる。
【0093】
そして、実施形態4の電気接続箱100は、以上のように、第1通気口42Aの櫛歯部422Aの幅が2~4mmであるので、第1通気口42Aから間隙600に人の指先が入ることはない。よって、第1通気口42Aは、カバー部材40の内外を通気しつつ、人の指がリレー400の端子405(ボルト300)又はバスバー500に触れることを防止できる。
【0094】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0095】
今回開示された実施形態1~4はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によっ
て示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0096】
各実施形態1~4に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0097】
20 アッパーケース
21 天井壁
22 側壁
23 締結部
24 リブ
30 ロウアーケース
31 底壁
33 側壁
40 カバー部材
41 上縁板(感電抑止板)
41a 一縁部
41b 他縁部
42,42A 第1通気口
43 凸部
44 対向板
45 係合突起
46 中間部
47 側壁
48 第2通気口
49 第3通気口
50 筐体
100 電気接続箱
200 電池パック
211 外側面
212 接続部
213 装着座(台座)
213a 開放部
215 挟持機構
216 矩形板部
217 切り欠き(係合部)
216a 端部
218 挟持柱
218a 付勢部
218b 側壁
218C 上端部
219 係合樋
220 被係合部
221 底面
300 ボルト
400 リレー(電子部品)
401 一面(側面)
404 係合突起
405 端子
406 遮蔽板
421A 櫛基部
422A 櫛歯部
500 バスバー
600 間隙
700 間隔