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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182459
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】配電盤
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20231219BHJP
   H02B 1/56 20060101ALI20231219BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231219BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H02B1/56 A
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096075
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】真田 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 亮
【テーマコード(参考)】
5E322
5G016
5H770
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5G016CG03
5G016CG08
5G016CG09
5H770AA21
5H770PA02
5H770PA05
5H770QA11
5H770QA28
(57)【要約】
【課題】製造コストの増大を抑制しつつ、高発熱部品を効率的に冷却する。
【解決手段】配電盤は、ケーシングに収容された電力変換器と、吸気口及び排気口と、ケーシング内の空気を吸気口から排気口へ流すファンと、ケーシング内を低発熱部品が配置される第一領域、及び低発熱部品が配置されない第二領域とに区画する第一仕切り部と、第一仕切り部よりも下流側に配置され、第二領域を高発熱部品が配置される内領域、及び高発熱部品が配置されない外領域に区画する第二仕切り部とを備える。第一仕切り部は、ケーシング内の空気を第一領域に流入させる第一入口と、第一領域を流れた空気を第二領域へ流出させる第一出口とを有する。第二仕切り部は、第一出口とは間隔をあけた状態で、第一出口に対向する第二入口と、内領域を流れた空気を外領域へ流出させる第二出口とを有し、内領域の流路断面積が第二入口から第二出口にかけて漸次増加するように形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに収容され、外部から供給された電力を変換する電力変換器と、
前記ケーシングの外部の空気を前記ケーシング内に導入可能な吸気口と、
前記ケーシング内の前記空気を前記ケーシングの外部へ排出可能な排気口と、
前記ケーシング内に導入された前記空気を、前記吸気口から前記排気口に向かって流すことができるファンと、
前記ケーシング内の空間を、前記電力変換器に電気的に接続された低発熱部品が配置される第一領域と、該低発熱部品が配置されない第二領域とに区画する第一仕切り部と、
前記空気の流れ方向で前記第一仕切り部よりも下流側に配置され、前記第二領域を、前記電力変換器及び前記低発熱部品に電気的に接続された高発熱部品が配置される内側領域と、該高発熱部品が配置されない外側領域とに区画する第二仕切り部と、
を備え、
前記第一仕切り部は、
前記吸気口を通じてケーシング内に導入された前記空気を前記第一領域に流入させる第一入口開口と、
前記第一領域を流れた前記空気を前記第二領域へ流出させる第一出口開口と、
を有し、
前記第二仕切り部は、
前記第一出口開口とは間隔をあけた状態で、前記第一出口開口に前記空気の流れ方向で対向する第二入口開口と、
前記内側領域を流れた前記空気を前記外側領域へ流出させる第二出口開口と、
を有し、
前記第二仕切り部は、前記内側領域の流路断面積が前記第二入口開口から前記第二出口開口に向かうにしたがって増加するように形成されている配電盤。
【請求項2】
前記第二入口開口は、開口面積が前記第一出口開口の開口面積以上である請求項1に記載の配電盤。
【請求項3】
前記第二入口開口及び前記第二出口開口は、円形状を成している請求項1又は2に記載の配電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、内部に一部の高発熱部品が配置される第1通風経路と、この第1通風経路とは独立した状態で、内部に他の一部の高発熱部品が配置される第2通風経路とを有する配電盤装置が開示されている。この高発熱部品は、配電盤装置における電力変換用部品である。第1通風経路及び第2通風経路内の高発熱部品から生じる熱は、第1ファン及び第2ファンのそれぞれが駆動されることによって除かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-65747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、配電盤装置の分野では、付加価値向上のために高電圧化・大電流化・高周波化・高速スイッチング化の機運が高まっている。それに伴って、配電盤装置に用いられる例えばヒューズ等の高発熱部品を効率的に冷却する技術が要求される。上記特許文献1に記載の技術では、互いに独立した通風経路が複数形成されるため、高発熱部品を冷却するための構造が複雑化する。また、通風経路毎にファンを設ける必要がある。その結果、配電盤装置の製造にかかるコストが増大する場合がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、製造コストの増大を抑制しつつ、高発熱部品を効率的に冷却することができる配電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る配電盤は、ケーシングと、前記ケーシングに収容され、外部から供給された電力を変換する電力変換器と、前記ケーシングの外部の空気を前記ケーシング内に導入可能な吸気口と、前記ケーシング内の前記空気を前記ケーシングの外部へ排出可能な排気口と、前記ケーシング内に導入された前記空気を、前記吸気口から前記排気口に向かって流すことができるファンと、前記ケーシング内の空間を、前記電力変換器に電気的に接続された低発熱部品が配置される第一領域と、該低発熱部品が配置されない第二領域とに区画する第一仕切り部と、前記空気の流れ方向で前記第一仕切り部よりも下流側に配置され、前記第二領域を、前記電力変換器及び前記低発熱部品に電気的に接続された高発熱部品が配置される内側領域と、該高発熱部品が配置されない外側領域とに区画する第二仕切り部と、を備え、前記第一仕切り部は、前記吸気口を通じてケーシング内に導入された前記空気を前記第一領域に流入させる第一入口開口と、前記第一領域を流れた前記空気を前記第二領域へ流出させる第一出口開口と、を有し、前記第二仕切り部は、前記第一出口開口とは間隔をあけた状態で、前記第一出口開口に前記空気の流れ方向で対向する第二入口開口と、前記内側領域を流れた前記空気を前記外側領域へ流出させる第二出口開口と、を有し、前記第二仕切り部は、前記内側領域の流路断面積が前記第二入口開口から前記第二出口開口に向かうにしたがって増加するように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、製造コストの増大を抑制しつつ、高発熱部品を効率的に冷却することができる配電盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る配電盤の構成を示す配電盤の断面図である。
図2図1中における要部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示による配電盤を実施するための形態を説明する。
【0010】
[配電盤]
本実施形態における配電盤は、船舶における船体内の電力を変換する舶用配電盤である。配電盤は、船体内における機器室等に複数配置されている。図1に示すように、配電盤100は、ケーシング1と、電力変換器2と、吸気口3と、排気口4と、ファン5と、第一仕切り部6と、低発熱部品7と、第二仕切り部8と、高発熱部品9とを備えている。なお、図1中では、複数の配電盤100のうち、一の配電盤100のみを示している。
【0011】
(ケーシング)
ケーシング1は、配電盤100の外殻を成している。ケーシング1は、例えば金属等によって形成されている。ケーシング1は、上記機器室内の床面Fs上に配置されている。本実施形態におけるケーシング1は、床面Fsが広がる方向に対して垂直な上下方向Dvに延びる直方体状を成しており、内部に機器を収容可能な空間を画定している。
【0012】
以下、説明の便宜上、ケーシング1が延びる方向を「上下方向Dv」と称する。この際、上下方向Dvにおける上方側を単に「上方側Dvu」と称し、その反対側である下方側を単に「下方側Dvd」と称する。ケーシング1は、複数の面によって構成される内面10を有している。
【0013】
内面10を構成する複数の面のうち、最も上方側Dvuに配置され、下方側Dvdを向く面を「天面11」と称し、最も下方側Dvdに配置され、この天面11と対向する面を「底面12」と称する。天面11と底面12とは、例えば平行の状態にある。また、これら天面11と底面12とを接続する四つの面を「側面13」と称する。図1中では、紙面の都合上、四つの側面13のうち互いに対向しながら平行の状態にある二つの側面13のみを示している。
【0014】
(電力変換器)
電力変換器2は、ケーシング1外部の船体内に配置された電源等(図示省略)から入力された電力を変換するとともに、変換した電力をケーシング1外部へ出力する装置である。電力変換器2は、複数がケーシング1に収容されている。図1中では、五つの電力変換器2がケーシング1に収容されている場合を一例として示している。これら電力変換器2は、外部から供給される液冷媒等によって冷却される。
【0015】
(吸気口)
吸気口3は、ケーシング1の外部の空気をケーシング1内に導入可能な孔である。したがって、吸気口3は、ケーシング1外の空間とケーシング1内の空間とを連通させている。吸気口3は、ケーシング1中に配置されている。なお、本明細書中における「ケーシング1中」とは、ケーシング1の内部ではなく、ケーシング1の内面10及び外面に亘るようにケーシング1に形成されていることを意味する。
【0016】
吸気口3は、ケーシング1の側面13から外面に向かって貫通するようにケーシング1に複数形成されている。即ち、吸気口3は、ケーシング1の側面13が広がる方向に複数配置されている。図1中では、紙面の都合上、複数の吸気口3のうち一の吸気口3のみを示している。本実施形態における吸気口3は、ケーシング1の側面13における底面12に近接した下方側Dvdの部分から外面に向かって貫通している。
【0017】
(排気口)
排気口4は、ケーシング1内の空気をケーシング1の外部へ排出可能な孔である。したがって、排気口4は、ケーシング1外の空間とケーシング1内の空間とを連通させている。排気口4は、ケーシング1中に配置されている。本実施形態における排気口4は、ケーシング1の天面11から外面に向かって貫通するようにケーシング1に形成されている。
【0018】
(ファン)
ファン5は、吸気口3を通じてケーシング1内に導入された空気を、吸気口3から排気口4に向かって流すことができる送風機である。ファン5は、ケーシング1に収容されている。本実施形態におけるファン5は、ケーシング1の天面11に設けられ、排気口4の近傍に配置されている。
【0019】
ファン5が駆動されることによって、外部から吸気口3を通じて空気がケーシング1内に導入される。ケーシング1内に導入された空気は、上方側Dvuに向かって流れ、排気口4を通じてケーシング1の外部に排出される。
【0020】
(第一仕切り部)
第一仕切り部6は、ケーシング1内の空間を第一領域R1と第二領域R2とに区画する部材である。第一仕切り部6は、例えば金属等によって形成されている。第一仕切り部6は、ケーシング1に収容されている。本実施形態における第一仕切り部6は、ケーシング1に収容された際、上下方向Dvに延びる円筒状を成している。第一仕切り部6は、吸気口よりも上方側Dvuに配置されている。
【0021】
第一仕切り部6がケーシング1内に配置されることで生じる第一領域R1は、第一仕切り部6の内側の空間に相当する。第一仕切り部6がケーシング1内に配置されることで生じる第二領域R2は、第一仕切り部6の外側の空間に相当する。電力変換器2及びファン5は、この第二領域R2に配置されている。ここで、第一仕切り部6は、第一入口開口61と、第一出口開口62とを有している。
【0022】
第一入口開口61は、吸気口3を通じてケーシング1内に導入された空気の一部を第一領域R1に流入させる。第一入口開口61は、下方側Dvdを向き、底面12と対向している。第一入口開口61は、円形状を成している。第一出口開口62は、第一領域R1内を流れた空気を第一仕切り部6よりも上方側Dvuの第二領域R2へ流出させる。第一出口開口62は、上方側Dvuを向き、天面11と対向している。第一出口開口62は、円形状を成している。
【0023】
第一入口開口61と第一出口開口62との間の第一領域R1は、流路断面積が一様に形成されている。なお、ここでいう「一様」とは、実質的に一様に形成されていることを意味するものであって、製造上のわずかな誤差や設計上の公差は許容される。第一仕切り部6の内周面は、円筒面状を成している。第一領域R1に流入しないケーシング1内の空気は、第一仕切り部6の周りの第二領域R2を第一仕切り部6の外周面に沿って上方側Dvuに向かって流れる。
【0024】
(低発熱部品)
低発熱部品7は、電力変換器2に電気的に接続されている部品である。低発熱部品7は、ケーシング1に収容されている。低発熱部品7は、電力変換器2が駆動されることで発熱する。本実施形態における低発熱部品7には、例えば、電力変換器2が備える正極や負極等の端子にバスバー等によって接続された端子台が挙げられる。
【0025】
低発熱部品7は、第一仕切り部6が画定する第一領域R1に配置されている。言い換えれば、低発熱部品7は、第一仕切り部6に収容されている。したがって、第一領域R1には、低発熱部品7が配置され、第二領域R2には、低発熱部品7が配置されていない。なお、図1中では、低発熱部品7と電力変換器2との間における電気的な接続の様子を二点鎖線で概念的に示している。
【0026】
(第二仕切り部)
第二仕切り部8は、ケーシング1内の第二領域R2を内側領域Riと外側領域Roとに区画する部材である。第二仕切り部8は、例えば金属等によって形成されている。第二仕切り部8は、ケーシング1に収容されている。本実施形態における第二仕切り部8は、ケーシング1に収容された際、上下方向Dvに延びる円錐台形状に形成された筒状を成している。
【0027】
第二仕切り部8は、ケーシング1内における空気の流れ方向で第一仕切り部6よりも下流側に配置されている。即ち、本実施形態における第二仕切り部8は、第一仕切り部6よりも上方側Dvuに配置されている。
【0028】
第二仕切り部8がケーシング1内に配置されることで生じる内側領域Riは、第二仕切り部8の内側の空間に相当する。第二仕切り部8がケーシング1内に配置されることで生じる外側領域Roは、第二仕切り部8の外側の空間に相当する。電力変換器2及びファン5は、第二領域R2における外側領域Roに配置されている。ここで、第二仕切り部8は、第二入口開口81と、第二出口開口82とを有している。
【0029】
第二入口開口81は、第一領域R1から第一出口開口62を通じて流出した空気、及び第一仕切り部6の周囲の第二領域R2を上方側Dvuに向かって流れる空気の一部を内側領域Riに流入させる。第二入口開口81は、下方側Dvdを向き、底面12及び第一入口開口61と対向している。第二入口開口81は、円形状を成している。第二出口開口82は、内側領域Riを流れた空気を第二仕切り部8よりも上方側Dvuの外側領域Roに流出させる。第二出口開口82は、上方側Dvuを向き、天面11と対向している。第二出口開口82は、円形状を成している。
【0030】
第二入口開口81と第二出口開口82との間の内側領域Riは、第二入口開口81から第二出口開口82に向かうにしたがって流路断面積が増加するように形成されている。言い換えれば、第二仕切り部8は、内側領域Riの流路断面積が第二入口開口81から第二出口開口82にかけて漸次増加するように形成されている。第二仕切り部8の内周面は、漏斗状を成している。内側領域Riに流入しないケーシング1内の空気は、第二仕切り部8の周りの外側領域Roを第二仕切り部8の外周面に沿って上方側Dvuに向かって流れる。
【0031】
ここで、図2に示すように、第二入口開口81は、開口面積が第一出口開口62の開口面積よりも大きく形成されている。したがって、第二入口開口81の内径L2は、第一入口開口61の内径L1よりも大きい。また、第二出口開口82の内径L3は、第二入口開口81の内径L2よりも大きい。
【0032】
(高発熱部品)
高発熱部品9は、電力変換器2及び低発熱部品7に電気的に接続されている部品である。高発熱部品9は、ケーシング1に収容されている。高発熱部品9は、電力変換器2が駆動されることで低発熱部品7よりも発熱する。本実施形態における高発熱部品9には、例えば、電力変換器2と低発熱部品7とを接続する電流経路中に配置された電力変換器2用のヒューズや、低発熱部品7から他の配電盤100へ向かって延びる電流経路中に配置されたヒューズ(バスタイヒューズ)等の回路素子が挙げられる。
【0033】
高発熱部品9は、第二仕切り部8が画定する内側領域Riに配置されている。言い換えれば、高発熱部品9は、第二仕切り部8に収容されている。具体的には、高発熱部品9は、内側領域Riにおける第二入口開口81の近傍に配置されている。ここでいう「第二入口開口81の近傍」とは、例えば、上下方向Dvで第二仕切り部8を二分した際の下半側の内側領域Riを意味する。
【0034】
したがって、内側領域Riには、高発熱部品9が配置され、外側領域Roには、高発熱部品9が配置されていない。なお、図1中では、高発熱部品9と、電力変換器2及び低発熱部品7との間における電気的な接続の様子を二点鎖線で概念的に示している。
【0035】
(作用効果)
上記構成では、内側領域Riの流路断面積が上方側Dvuに向かうにしたがって増加するため、ファン5が駆動されることで内側領域Riを空気が流れた際、この空気は内側領域Ri内で減圧膨張する。これにより、内側領域Ri内の気圧が外側領域Ro内の気圧よりも低下するため、内側領域Ri内に配置された高発熱部品9に接触する空気の流速が、外側領域Roを流れる空気の流速よりも上昇する。また、内側領域Riには、第一出口開口62を通じて第一領域R1から流出した空気と、第二仕切り部8よりも下方側Dvdの外側領域Roを上方側Dvuに向かって流れる空気の一部とが、第二入口開口81を通じて導かれる。即ち、第一領域R1を流れる空気よりも温度が低い空気を内側領域Riへ取り込むことができる。これらの作用によって、高発熱部品9が効率的に冷却される。また、高発熱部品9に接触する空気の流速を上昇させるためにファン5等を追設する必要がない。更に、ケーシング1内に第一仕切り部6及び第二仕切り部8を配置するといった簡易な構成で上記の作用を実現することができる。したがって、配電盤100の製造コストの増大を抑制しつつ、高発熱部品9を効率的に冷却することができる。
【0036】
また、上記構成によれば、高発熱部品9が低発熱部品7よりも上方側Dvuに配置されている。これにより、高発熱部品9から発生した熱、及び高発熱部品9と熱交換した空気は、高発熱部品9よりも上方側Dvuに移動するため、これらが低発熱部品7へ到ることがない。したがって、例えば低発熱部品7が高発熱部品9よりも上方側Dvuに配置された場合と比較して、高発熱部品9からの熱の影響を低発熱部品7が受けることがない。その結果、低発熱部品7を効率的に冷却することができる。
【0037】
また、船体内における機器室等では、配電盤100の設置可能なスペースが限定される場合がある。上記構成によれば、低発熱部品7と高発熱部品9とが上下方向Dvに配置された状態で空冷されるため、例えば、これらが床面Fsに対して平行な方向でケーシング1内に配置された場合と比較して、床面Fsに対して平行な方向での配電盤100の占有スペースを削減することができる。
【0038】
また、上記構成によれば、第一出口開口62と対向する第二入口開口81の開口面積が、第一出口開口62の開口面積よりも大きいため、第一領域R1から流出した空気を内側領域Riへ円滑に導くことができる。したがって、第一領域R1内で流速が上昇した空気の運動量を効率的に利用することができるため、内側領域Riに導かれた空気の流速が上昇する。その結果、高発熱部品9をより効率的に冷却することができる。
【0039】
また、上記構成によれば、第二入口開口81が円形状を成しているため、第一仕切り部6の周囲の外側領域Roを流れる空気を内側領域Riへ円滑に導くことができる。また、第二出口開口82が円形状を成しているため、第二出口開口82が他の形状である場合と比較して、内側領域Riから空気を上方側Dvuへ円滑に流出させることができる。その結果、高発熱部品9をより効率的に冷却することができる。
【0040】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0041】
なお、上記実施形態では、第一仕切り部6が上下方向Dvに延びる円筒状を成している構成を説明したが、この構成に限定されることはない。詳細な図示は省略するが、第一仕切り部6は、例えば板状を成し、ケーシング1の内面10における側面13とともにケーシング1内の空間を低発熱部品7は配置される第一領域R1と、低発熱部品7が配置されない第二領域R2とに区画してもよい。したがって、第一入口開口61及び第一出口開口62は、円形状に限定されることはなく、矩形等の多角形状であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、第二仕切り部8が上下方向Dvに延びる円錐台形状に形成された筒状を成している構成を説明したが、この構成に限定されることはない。詳細な図示は省略するが、第二仕切り部8は、例えば板状を成し、ケーシング1における内面10の側面13とともに第二領域R2を高発熱部品9は配置される内側領域Riと、高発熱部品9が配置されない外側領域Roとに区画してもよい。したがって、第二入口開口81及び第二出口開口82は、円形状に限定されることはなく、矩形等の多角形状であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、第一仕切り部6及び第二仕切り部8が金属によって形成されている構成を説明したが、この構成に限定されることはない。第一仕切り部6及び第二仕切り部8は、例えば合成樹脂等によって形成されてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、吸気口3がケーシング1の内面10における側面13から外面に向かって貫通するようにケーシング1に形成されている構成を説明したが、この構成に限定されることはない。吸気口3は、例えば、ケーシング1の内面10における底面12から床面Fs側に向かって貫通するようにケーシング1に形成されてもよい。この場合、ケーシング1は、例えば床面Fs上に配置された架台等(図示省略)に支持された状態で、ケーシング1と床面Fsとの間には空気が流通可能な隙間が形成されていればよい。
【0045】
また、上記実施形態では、五つの電力変換器2がケーシング1に収容されている場合を説明したが、五つに限定されることはない。四つ以下又は六つ以上の電力変換器2がケーシング1に収容される構成であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、電力変換器2が外部から供給される液冷媒等によって冷却される構成を説明したが、液冷媒に限定されることはない。電力変換器2は、例えば、空冷等で冷却される構成であってもよい。具体的には、電力変換器2は、吸気口3からケーシング1内に導入された空気によって冷却されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、第二入口開口81の開口面積が第一出口開口62の開口面積よりも大きく形成されている構成を説明したが、この構成に限定されることはない。第二入口開口81の開口面積は、第一出口開口62の開口面積と同一であってもよい。したがって、第二入口開口81の内径L2は、第一入口開口61の内径L1と同一であってもよい。
したがって、第二入口開口81の開口面積は、第一出口開口62の開口面積以上であればよい。これによっても、上述した作用効果を奏することができる。また、第二出口開口82の内径L3は、第二入口開口81の内径L2と同一であってもよい。
【0048】
また、上記実施形態で説明した配電盤100は、船舶における船体内の電力を変換する舶用配電盤に限定されることはなく、電力変換を必要とする発電所等の設備内で用いられる配電盤であってもよい。
【0049】
<付記>
実施形態に記載の配電盤は、例えば以下のように把握される。
【0050】
(1)第1の態様に係る配電盤100は、ケーシング1と、前記ケーシング1に収容され、外部から供給された電力を変換する電力変換器2と、前記ケーシング1の外部の空気を前記ケーシング1内に導入可能な吸気口3と、前記ケーシング1内の前記空気を前記ケーシング1の外部へ排出可能な排気口4と、前記ケーシング1内に導入された前記空気を、前記吸気口3から前記排気口4に向かって流すことができるファン5と、前記ケーシング1内の空間を、前記電力変換器2に電気的に接続された低発熱部品7が配置される第一領域R1と、該低発熱部品7が配置されない第二領域R2とに区画する第一仕切り部6と、前記空気の流れ方向で前記第一仕切り部6よりも下流側に配置され、前記第二領域R2を、前記電力変換器2及び前記低発熱部品7に電気的に接続された高発熱部品9が配置される内側領域Riと、該高発熱部品9が配置されない外側領域Roとに区画する第二仕切り部8と、を備え、前記第一仕切り部6は、前記吸気口3を通じてケーシング1内に導入された前記空気を前記第一領域R1に流入させる第一入口開口61と、前記第一領域R1を流れた前記空気を前記第二領域R2へ流出させる第一出口開口62と、を有し、前記第二仕切り部8は、前記第一出口開口62とは間隔をあけた状態で、前記第一出口開口62に前記空気の流れ方向で対向する第二入口開口81と、前記内側領域Riを流れた前記空気を前記外側領域Roへ流出させる第二出口開口82と、を有し、前記第二仕切り部8は、前記内側領域Riの流路断面積が前記第二入口開口81から前記第二出口開口82に向かうにしたがって増加するように形成されている。
【0051】
これにより、内側領域Ri内の気圧が外側領域Roよりも低下するため、内側領域Riに配置された高発熱部品9に接触する空気の流速が外側領域Roを流れる空気の流速よりも上昇する。更に、内側領域Riには、第一領域R1から流出した空気と、第一領域R1を流れる空気よりも温度が低い外側領域Roの空気とが第二入口開口81を通じて導かれる。したがって、高発熱部品9が効率的に冷却することができる。また、ファン5等を追設せず、ケーシング1内に第一仕切り部6及び第二仕切り部8を配置するといった簡易な構成で上記作用を実現することができる。
【0052】
(2)第2の態様に係る配電盤100は、(1)の配電盤100であって、前記第二入口開口81は、開口面積が前記第一出口開口62の開口面積以上であってもよい。
【0053】
これにより、第一領域R1から流出した空気を内側領域Riへ円滑に導くことができる。したがって、第一領域R1内で流速が上昇した空気の運動量を効率的に利用することができる結果、内側領域Riに導かれた空気の流速を上昇させることができる。
【0054】
(3)第3の態様に係る配電盤100は、(1)又は(2)の配電盤100であって、前記第二入口開口81及び前記第二出口開口82は、円形状を成していてもよい。
【0055】
これにより、第一仕切り部6の周囲の外側領域Roを流れる空気を内側領域Riへ円滑に導くことができるとともに、内側領域Riから空気を上方側Dvuへ円滑に流出させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…ケーシング 2…電力変換器 3…吸気口 4…排気口 5…ファン 6…第一仕切り部 7…低発熱部品 8…第二仕切り部 9…高発熱部品 10…内面 11…天面 12…底面 13…側面 61…第一入口開口 62…第一出口開口 81…第二入口開口 82…第二出口開口 100…配電盤 Dv…上下方向 Dvd…下方側 Dvu…上方側 Fs…床面 L1…第一出口開口の内径 L2…第二入口開口の内径 L3…第二出口開口の内径 R1…第一領域 R2…第二領域 Ri…内側領域 Ro…外側領域
図1
図2