(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182462
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20231219BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20231219BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20231219BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2475
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096078
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】頭川 天洋
(72)【発明者】
【氏名】本村 浩平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直行
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H126FF10
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC03
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA33
5H127BA39
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】電気部品への被水を抑制する。
【解決手段】燃料電池システム10は、燃料電池スタック12と、リアクトル35を含み、燃料電池スタック12の出力電圧を変更するDC/DCコンバータ30と、燃料電池スタック12及びDC/DCコンバータ30を収容し、通気口11hが形成された筐体11と、筐体11に設けられたファン20と、を有する。ファン20の駆動により、通気口11hとファン20との間で流れる気流が筐体11の内部に発生する。燃料電池スタック12は、気流の流れを妨げないようにリアクトル35の一部を覆う被覆壁70を有する。ファン20は、リアクトル35よりも気流の流れ方向Fの下流に位置する。被覆壁70は、気流の流れ方向Fにおいてファン20とリアクトル35との間に位置する第1壁部71と、鉛直方向Zにおけるリアクトル35の上方に位置する第2壁部72と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
電気部品を含み、前記燃料電池の出力電圧を変更する電圧変換装置と、
前記燃料電池及び前記電圧変換装置を収容し、通気口が形成された筐体と、
複数の羽根部材が回転することにより駆動し、複数の前記羽根部材同士の隙間を介して前記筐体の外部と前記筐体の内部とが連通するように前記筐体に設けられたファンと、を有し、
前記ファンの駆動により、前記通気口と前記ファンとの間で流れる気流が前記筐体の内部に発生する燃料電池システムであって、
前記気流の流れを妨げないように前記電気部品の一部を覆う被覆壁を有し、
前記ファンと前記電気部品とのうち、一方は他方よりも前記気流の流れ方向の下流に位置し、
前記被覆壁は、前記気流の流れ方向において前記ファンと前記電気部品との間に位置する第1壁部と、鉛直方向における前記電気部品の上方に位置する第2壁部と、を有することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池システムは、前記電圧変換装置を前記筐体に取り付けるブラケットを有し、
前記被覆壁は、前記ブラケットと一体化されている請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記電気部品が前記ブラケットに取付けられる側を固定側とし、前記電気部品が前記ブラケットに取り付けられない側を非固定側とすると、
前記被覆壁は、前記電気部品よりも前記非固定側に設けられた第3壁部を有する請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記第3壁部は、前記気流の流れ方向において前記ファンに近づくほど、前記鉛直方向における寸法が大きい請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池システムは、前記燃料電池の発電に伴って生成された水が排出される排水タンクと、前記筐体の内部の空間を、下部空間と前記下部空間よりも前記鉛直方向における上部に位置する上部空間とに仕切る仕切壁と、を有し、
前記燃料電池は、前記上部空間に位置し、
前記電気部品、前記排水タンク、及び前記被覆壁は、前記下部空間に位置している請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の燃料電池システムは、燃料電池と、電気部品と、燃料電池及び電気部品を収容する筐体と、ファンと、を有する。ファンの駆動により、筐体の通気口とファンとの間で流れる気流が筐体の内部に発生する。特許文献1に記載の燃料電池システムにおいては、筐体の内部に気流を発生させることにより、電気部品と空気との熱交換を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池システムに雨水がかかる等により、ファンの複数の羽根部材同士の隙間を介して筐体の外部から筐体の内部に水が浸入する場合がある。この場合、筐体の内部に浸入した水が電気部品にかかると、電気部品の性能に影響を及ぼすおそれがあるため好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための燃料電池システムは、燃料電池と、電気部品を含み、前記燃料電池の出力電圧を変更する電圧変換装置と、前記燃料電池及び前記電圧変換装置を収容し、通気口が形成された筐体と、複数の羽根部材が回転することにより駆動し、複数の前記羽根部材同士の隙間を介して前記筐体の外部と前記筐体の内部とが連通するように前記筐体に設けられたファンと、を有し、前記ファンの駆動により、前記通気口と前記ファンとの間で流れる気流が前記筐体の内部に発生する燃料電池システムであって、前記気流の流れを妨げないように前記電気部品の一部を覆う被覆壁を有し、前記ファンと前記電気部品とのうち、一方は他方よりも前記気流の流れ方向の下流に位置し、前記被覆壁は、前記気流の流れ方向において前記ファンと前記電気部品との間に位置する第1壁部と、鉛直方向における前記電気部品の上方に位置する第2壁部と、を有することを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、筐体の内部に浸入した水のうちで電気部品に向かう水は、第1壁部及び第2壁部に衝突することにより電気部品にかかりにくい。したがって、複数の羽根部材同士の隙間を介して筐体の外部から筐体の内部に水が浸入したとしても、電気部品への被水を抑制できる。
【0007】
燃料電池システムにおいて、前記電圧変換装置を前記筐体に取り付けるブラケットを有し、前記被覆壁は、前記ブラケットと一体化されてもよい。
上記構成によれば、ブラケットを筐体に取り付ける作業によって筐体への被覆壁の取り付けを済ますことができるため、作業効率を高められる。
【0008】
燃料電池システムにおいて、前記電気部品が前記ブラケットに取付けられる側を固定側とし、前記電気部品が前記ブラケットに取り付けられない側を非固定側とすると、前記被覆壁は、前記電気部品よりも前記非固定側に設けられた第3壁部を有してもよい。
【0009】
上記構成によれば、筐体の内部に浸入した水の一部が電気部品の非固定側に向かったとしても、この水は第3壁部に衝突することにより電気部品にかかりにくい。したがって、電気部品への被水をさらに抑制できる。
【0010】
燃料電池システムにおいて、前記第3壁部は、前記気流の流れ方向において前記ファンに近づくほど、前記鉛直方向における寸法が大きくてもよい。
上記構成によれば、気流の流れ方向においてファンに近い電気部品の部分ほど、筐体の内部に浸入した水がかかりやすいが、こうした部分は第3壁部によって広範囲を覆うことができる。これに対して、気流の流れ方向においてファンから離れた電気部品の部分には、筐体の内部に浸入した水がかかりにくいが、こうした部分は第3壁部によって覆う範囲を小さくできる。したがって、電気部品への被水を抑制しつつ、電気部品からの放熱性を高められる。
【0011】
燃料電池システムにおいて、前記燃料電池システムは、前記燃料電池の発電に伴って生成された水が排出される排水タンクと、前記筐体の内部の空間を、下部空間と前記下部空間よりも前記鉛直方向における上部に位置する上部空間とに仕切る仕切壁と、を有し、前記燃料電池は、前記上部空間に位置し、前記電気部品、前記排水タンク、及び前記被覆壁は、前記下部空間に位置していてもよい。
【0012】
上記構成によれば、電気部品に向かう水の一部が仕切壁によって遮断されることにより、水がかかりにくい電気部品の部分が被覆壁から露出して放熱されるように、気流の流れ方向の被覆壁の寸法を設定できる。したがって、電気部品への被水を抑制しつつ、電気部品からの放熱性を高められる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、電気部品への被水を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の燃料電池システムを示す部分破断斜視図である。
【
図4】燃料電池システムの一部を示す斜視図である。
【
図5】燃料電池システムを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、燃料電池システムを具体化した一実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。燃料電池システムは、図示しない産業車両に搭載される。
<燃料電池システムの全体構成>
図1及び
図2に示すように、燃料電池システム10は、燃料電池としての燃料電池スタック12と、燃料電池スタック12の出力電圧を変換する電圧変換装置としてのDC/DCコンバータ30と、筐体11と、を有する。燃料電池システム10は、水素タンク13と、エアコンプレッサ14と、気液分離器15aと、希釈器15と、排水タンク16と、を有する。
【0016】
燃料電池システム10は、燃料電池スタック12の図示しないアノードと水素タンク13を接続する水素供給路17と、燃料電池スタック12の図示しないカソードとエアコンプレッサ14を接続するエア供給路18と、を備える。燃料電池システム10は、燃料電池スタック12と希釈器15を接続する排出路19aと、希釈器15と排水タンク16を接続する排水路19bと、を有する。
【0017】
燃料電池システム10は、外気と熱交換媒体との間で熱交換を行う熱交換器21と、ファン20と、熱交換媒体を燃料電池スタック12と熱交換器21との間で循環させる循環流路22と、を有する。熱交換媒体としては冷却水が用いられるが、その他の媒体を用いてもよい。
【0018】
<筐体>
図1に示すように、筐体11は、底壁11aと、天壁11bと、底壁11aの周縁と天壁11bの周縁とを繋ぐ筒状の周壁11cと、を有する。底壁11a、天壁11b、周壁11cによって、筐体11の内部の空間Sが区画形成されている。図面では、燃料電池システム10が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいい、X軸と平行な方向を水平方向Xともいう。また、Y軸と平行な方向を奥行方向Yともいう。したがって、奥行方向Yは、水平方向X及び鉛直方向Zの両方に直交する方向である。
【0019】
筐体11において、底壁11aと天壁11bとは鉛直方向Zに対向する。周壁11cは、水平方向Xに対向する第1側壁11d及び第2側壁11eと、奥行方向Yに対向する第3側壁11f及び第4側壁11gと、を有する。第1側壁11dには、複数の通気口11hが形成されている。すなわち、筐体11には通気口11hが形成されている。複数の通気口11hの各々は、第1側壁11dを板厚方向に貫通する。筐体11の第2側壁11eには、貫通孔11iが形成されている。貫通孔11iは、第2側壁11eを板厚方向に貫通する。
【0020】
筐体11は、燃料電池スタック12、エアコンプレッサ14、排水タンク16、及び熱交換器21を収容している。なお、
図1には図示しないが、筐体11は、水素タンク13、気液分離器15a、希釈器15、水素供給路17、エア供給路18、排出路19a、及び排水路19bを収容している。
【0021】
<燃料電池システムの構成部品>
燃料電池システム10は、仕切壁40を有する。仕切壁40は、筐体11の内部の空間Sを、下部空間S1と下部空間S1よりも鉛直方向Zにおける上部に位置する上部空間S2とに仕切っている。仕切壁40は鉛直方向Zに直交するように延びる平板状である。仕切壁40は筐体11に固定されている。
【0022】
仕切壁40は、水平方向Xにおいて筐体11の第1側壁11dから第2側壁11eの手前まで延びていてもよい。仕切壁40は、奥行方向Yにおいて筐体11の第3側壁11fと第4側壁11gとの間で延びていてもよい。仕切壁40は、例えば、筐体11の周壁11cに固定されていてもよい。この場合、奥行方向Yにおける仕切壁40の一方の端部は、第4側壁11gに固定されている。奥行方向Yにおける仕切壁40の他方の端部は、第3側壁11fに固定されている。仕切壁40の水平方向Xとは反対方向における端部は、第1側壁11dに固定されている。
【0023】
燃料電池スタック12及びエアコンプレッサ14は、上部空間S2に位置している。燃料電池スタック12及びエアコンプレッサ14は、仕切壁40に支持されている。燃料電池スタック12及びエアコンプレッサ14は、仕切壁40によって底壁11aよりも上方に配置されている。DC/DCコンバータ30及び排水タンク16は、下部空間S1に位置している。DC/DCコンバータ30及び排水タンク16は、燃料電池スタック12の下方に配置されている。
【0024】
図2に示すように、燃料電池スタック12は、図示しない産業車両に搭載される負荷に供給する電力を発電する。燃料電池スタック12は、複数の燃料電池セルをスタック化したものである。燃料電池セルは、固体分子型燃料電池である。燃料電池スタック12は、水素タンク13から水素供給路17を経由して供給される水素と、エアコンプレッサ14からエア供給路18を経由して供給される空気中の酸素とを反応させて直流の電気エネルギーを発生する。燃料電池スタック12では、水素を燃料ガス、空気中の酸素を酸化剤ガスとして発電が行われる。燃料電池スタック12では発電に伴って水が生成される。
【0025】
排出路19aは、燃料電池スタック12から排出された水素を含む排気であるアノードオフガスを希釈器15へ排出する。また、排出路19aは、燃料電池スタック12から排出された酸素と、燃料電池スタック12の発電に伴って生成された水を含む排気であるカソードオフガスを希釈器15へ排出する。
【0026】
希釈器15は、内部に気液分離器15aを有する。気液分離器15aは、希釈器15に排出されたアノードオフガスから水素と水を分離させる機能を有している。気液分離器15aによって分離された水は、排水路19bを介して排水タンク16に排出される。すなわち、排水タンク16には、燃料電池スタック12の発電に伴って生成された水が排出される。排水タンク16は、金属製である。希釈器15は、気液分離器15aによって分離された水素をカソードオフガスで希釈する機能を有している。
【0027】
循環流路22は、燃料電池スタック12と熱交換器21との間で冷却水を循環させる。循環流路22は、往路22aと、復路22bと、図示しないポンプと、燃料電池スタック12内及び熱交換器21内に取り回された図示しない熱交換流路と、を有する。往路22aは、熱交換器21から燃料電池スタック12に向けて冷却水を流すための流路である。復路22bは、燃料電池スタック12から熱交換器21に向けて冷却水を流すための流路である。図示しないポンプは、循環流路22で冷却水を循環させる。
【0028】
循環流路22を循環しつつ往路22aを通って燃料電池スタック12内の熱交換流路に流れ込んだ冷却水は、燃料電池スタック12で発生した熱を吸収して燃料電池スタック12を冷却する。復路22bを通って熱交換器21内の熱交換流路に流れ込んだ冷却水は、外気と熱交換されて冷却される。
【0029】
図1に示すように、熱交換器21は、筐体11の第2側壁11eに配置されている。燃料電池スタック12と熱交換器21とは、水平方向Xに互いに並んで配置されている。熱交換器21は、ケース21aを有している。ケース21aは、第2側壁11eの貫通孔11iを塞ぐように第2側壁11eに取り付けられている。ケース21aの中央には、筐体11の内部にて開口するケース孔21bが形成されている。ケース孔21bは、第2側壁11eの貫通孔11iを介して筐体11の外部と連通するとともに、筐体11の内部と連通している。
【0030】
<ファン>
ファン20は、熱交換器21と共に、通気口11hと水平方向Xにおいて対向している。ファン20は、仕切壁40の水平方向Xにおける端部から水平方向Xに離れて位置している。
【0031】
ファン20は、軸部材20aと、軸部材20aの周囲に設けられた複数の羽根部材20bと、を有する。ファン20は、複数の羽根部材20bが回転することにより駆動する。複数の羽根部材20bは、軸部材20aに連結されるとともに、ファン20の回転方向において互いに離間している。複数の羽根部材20b同士の隙間を隙間Gという。ファン20は、ケース21aのケース孔21bの内部に位置している。そのため、隙間Gは、第2側壁11eの貫通孔11iを介して筐体11の外部と連通するとともに、筐体11の内部と連通している。言い換えると、ファン20は、隙間Gを介して筐体11の外部と筐体11の内部とが連通するように筐体11に設けられている。
【0032】
燃料電池システム10において、ファン20の駆動により、通気口11hとファン20との間で流れる気流が筐体11の内部に発生する。詳細には、燃料電池スタック12の発電時にファン20が駆動されることにより、筐体11の外部から通気口11hを介して筐体11の内部に吸気される。筐体11の内部には、通気口11hからファン20に向かって流れる気流が発生する。筐体11の内部において、通気口11hからファン20に向かう気流の流れ方向を、気流の流れ方向Fとする。ファン20と通気口11hとは水平方向Xに互いに対向しているため、気流の流れ方向Fは水平方向Xに発生する。燃料電池スタック12から熱交換器21内に流れ込んだ冷却水は、熱交換器21にてファン20からの送風によって外気と強制的に熱交換されて冷却される。
【0033】
<DC/DCコンバータ>
図3及び
図4に示すように、DC/DCコンバータ30は、複数のリアクトル35と、図示しないスイッチング素子を有するスイッチング部36と、を構成部品として含む。本実施形態において、リアクトル35は電気部品に相当する。電圧変換装置としてのDC/DCコンバータ30は、電気部品を含むものである。
【0034】
図5に示すように、水平方向Xにおいて、複数のリアクトル35はスイッチング部36よりもファン20寄りに位置している。ファン20は、リアクトル35よりも気体の流れ方向Fの下流に位置する。リアクトル35及びスイッチング部36は下部空間S1に位置する。
【0035】
図4に示すように、スイッチング部36には放熱部32が熱的に結合されている。放熱部32は、放熱部32をスイッチング部36に取り付けるための取付部材33と、取付部材33に一体の複数の放熱フィン34と、を有する。放熱部32は、金属製である。取付部材33は、スイッチング部36の背面36aに固定される。複数の放熱フィン34の各々は長四角板状のプレートフィンである。複数の放熱フィン34は、鉛直方向Zに間隔を空けて並設されている。リアクトル35は、図示しないコアと、コアに巻回されたコイル部品とを有する。
【0036】
図5に示すように、DC/DCコンバータ30は、リアクトル35を3つ有する。スイッチング部36と3つのリアクトル35は、水平方向Xに一列に並んでいる。言い換えると、スイッチング部36と3つのリアクトル35は、気流の流れ方向Fに一列に並んでいる。
【0037】
<ブラケット>
燃料電池システム10は、ブラケット50を有する。ブラケット50は、電圧変換装置としてのDC/DCコンバータ30を筐体11に取り付けるためのものである。DC/DCコンバータ30は、ブラケット50によって筐体11の底壁11aに取り付けられている。
【0038】
ブラケット50は、金属板製である。ブラケット50は、金属体を折り曲げて形成されている。ブラケット50は、筐体11の底壁11aにブラケット50を固定するための固定板51と、固定板51から鉛直方向Zの上方へ突出する取付板61と、を有する。複数のリアクトル35及びスイッチング部36は、取付板61に取り付けられている。
【0039】
固定板51は、鉛直方向Zの上方から見た平面視で長四角板状である。固定板51を板厚方向に貫通させたボルト51aを底壁11aに螺合することにより、固定板51が底壁11aに固定されている。なお、底壁11aに対する固定板51の固定方法は、ボルト51aによる固定に限られない。固定板51を底壁11aに溶接して固定してもよいし、固定板51を接着剤によって底壁11aに接着して固定してもよい。
【0040】
取付板61は、奥行方向Yにおいて排水タンク16と隣接している。取付板61は、固定板51の水平方向Xに延びる一対の縁部のうち、奥行方向Yにおいて排水タンク16寄りに位置する縁部から突出している。取付板61は、排水タンク16に向かって凹むように折り曲げられている。奥行方向Yにおいて、リアクトル35がブラケット50の取付板61に取付けられる側を固定側Y1とし、リアクトル35がブラケット50の取付板61に取り付けられない側を非固定側Y2とする。
【0041】
図5に示すように、ブラケット50の固定板51は、鉛直方向Zにおける仕切壁40より下方で底壁11aに固定されている。したがって、ブラケット50は、仕切壁40の下方に配置されている。DC/DCコンバータ30がブラケット50に取り付けられているため、複数のリアクトル35及びスイッチング部36は、仕切壁40の下方及び排水タンク16の側方に配置されている。
【0042】
<被覆壁>
燃料電池システム10は、気流の流れを妨げないようにリアクトル35の一部を覆う被覆壁70を有する。被覆壁70は、下部空間S1に位置する。被覆壁70は、第1壁部71と、第2壁部72と、第3壁部73と、を有する。
【0043】
図4に示すように、第1壁部71は、気流の流れ方向Fにおいてファン20と電気部品としてのリアクトル35との間に位置する。第1壁部71は、水平方向Xに直交するように延びる平板状である。水平方向Xから見た平面視において、第1壁部71は、四角形状から排水タンク16から遠い側の下方が切り欠かれた形状をなす。第1壁部71は、複数のリアクトル35のうち、水平方向Xにおけるファン20に近い側の端に位置するリアクトル35の鉛直方向Zの上部を覆っている。水平方向Xにおけるファン20から遠い側の端に位置するリアクトル35のうち、鉛直方向Zにおける下部は第1壁部71から露出している。
【0044】
第1壁部71は、第1壁部71の上端に位置する第1端縁71aと、鉛直方向Zに延びる第2端縁71b及び第3端縁71cと、を有する。第3端縁71cは、第2端縁71bよりも排水タンク16寄り(固定側Y1)に位置する。
【0045】
第2壁部72は、鉛直方向Zにおける電気部品としてのリアクトル35の上方に位置する。第2壁部72は、第1壁部71の第1端縁71aから延びている。第2壁部72は、鉛直方向Zに直交するように延びる平板状である。鉛直方向Zから見た平面視において、第2壁部72は長方形状をなす。第2壁部72は、複数のリアクトル35を鉛直方向Zの上方から覆っている。詳細には、第2壁部72は、3つのリアクトル35のうち、水平方向Xにおいてファン20寄りに位置する2つのリアクトル35と、ファン20から遠い端に位置するリアクトル35の一部と、を覆っている。複数のリアクトル35のうち、水平方向Xにおいてファン20から遠い端に位置するリアクトル35の一部は、第2壁部72から露出している。
【0046】
第2壁部72は、水平方向Xに延びる第1長縁部72a及び第2長縁部72bと、奥行方向Yに延びる第1短縁部72c及び第2短縁部72dと、を有する。第1長縁部72aは、第2長縁部72bよりも奥行方向Yにおいて排水タンク16寄り(固定側Y1)に位置する。第1長縁部72aは、ブラケット50の取付板61に接している。第1長縁部72aは取付板61に固定されていてもよい。第1短縁部72cは、第2短縁部72dよりも水平方向Xにおけるファン20寄りに位置する。第1短縁部72cは第1壁部71の第1端縁71aと繋がっている。
【0047】
第3壁部73は、奥行方向Yにおける排水タンク16から遠い側(非固定側Y2)で電気部品としてのリアクトル35の一部を覆う。本実施形態の奥行方向Yは、気流の流れ方向Fと鉛直方向Zとに直交する方向である直交方向に相当する。第3壁部73は、第2壁部72の第2長縁部72bから延びている。第3壁部73は、鉛直方向Zに延びる平板状である。第3壁部73は、電気部品としての複数のリアクトル35よりも非固定側Y2に設けられている。第3壁部73はファン20に近い側から遠い側に向かって鉛直方向Zの幅が狭くなる形状をなす。第3壁部73は、複数のリアクトル35を奥行方向Yにおける排水タンク16から遠い側(非固定側Y2)で覆っている。詳細には、第3壁部73は、3つのリアクトル35のうち、水平方向Xにおいてファン20寄りに位置する2つのリアクトル35と、ファン20から遠い側の端に位置するリアクトル35の一部と、を覆っている。複数のリアクトル35のうち、水平方向Xにおけるファン20から遠い側の端に位置するリアクトル35の一部は、第3壁部73から露出している。
【0048】
第3壁部73は、水平方向Xに延びる第1縁部73aと、鉛直方向Zにおいて第1縁部73aより下方に位置する第2縁部73bと、鉛直方向Zに延びる第3縁部73c及び第4縁部73dと、を有する。第1縁部73aは第2壁部72の第2長縁部72bと繋がっている。第3縁部73cは、第4縁部73dよりも水平方向Xにおいてファン20寄りに位置する。第3縁部73cは第1壁部71の第2端縁71bと繋がっている。
【0049】
第2縁部73bは、水平方向Xにおいて第1壁部71に近づくほど鉛直方向Zの下方に位置するように延びている。第3壁部73の鉛直方向Zにおける寸法を寸法L1ともいう。第3壁部73は、気流の流れ方向Fにおいてファン20に近づくほど、鉛直方向Zにおける寸法L1が大きい。
【0050】
第2壁部72は、複数のリアクトル35から鉛直方向Zに離れている。第3壁部73は、複数のリアクトル35から奥行方向Yに離れている。被覆壁70は水平方向Xにおいてリアクトル35に向けて開口する開口部75を有する。開口部75は、第2壁部72の第2短縁部72dと、第3壁部73の第4縁部73dと、によって形成されている。開口部75は、第2壁部72及び第3壁部73と複数のリアクトル35との間の間隙と連通している。そのため、開口部75から第2壁部72及び第3壁部73と複数のリアクトル35との間の間隙へと、流れ方向Fに流れる気流が生じる。こうして、被覆壁70は気流の流れを妨げないように複数のリアクトル35の一部を覆っている。
【0051】
被覆壁70は、第1壁部71の第3端縁71cから延びる延出部76を有する。延出部76は、奥行方向Yに直交するように延びる平板状である。延出部76を板厚方向に貫通させたボルト76aを取付板61に螺合することにより、延出部76が取付板61に固定されている。こうして被覆壁70がブラケット50に固定されることにより、被覆壁70は、ブラケット50と一体化されている。
【0052】
<気流の流れ方向の被覆壁の寸法>
図5に示すように、燃料電池システム10に雨水がかかる等によって、ファン20の羽根部材20b同士の隙間Gから筐体11の内部に水Wが浸入するおそれがある。このとき、電気部品としての3つのリアクトル35に向かう水Wの一部が仕切壁40によって遮断される場合がある。しかしながら、仕切壁40でリアクトル35全体を覆うと、リアクトル35の冷却を阻害することが考えられる。3つのリアクトル35のうち、水平方向Xにおいてファン20から最も離れているリアクトル35の少なくとも一部に水Wがかかりにくい。こうした水Wがかかりにくい部分が被覆壁70から露出するように、本実施形態において、気流の流れ方向Fの被覆壁70の寸法が設定されている。詳細には、底壁11aに対する角度Aが45度をなすように水Wがファン20の羽根部材20b同士の隙間Gから筐体11の内部に浸入したと仮定する。この仮定の下、水Wが直接かからないリアクトル35の部分が露出されるように、被覆壁70の第2壁部72及び第3壁部73の気流の流れ方向Fの寸法L2は設定されている。寸法L2は、水平方向Xにおける第2壁部72及び第3壁部73の寸法でもある。
【0053】
<気流による空冷>
燃料電池スタック12の発電時、ファン20が駆動されることにより、筐体11の外部から通気口11hを介して筐体11の内部に吸気される。筐体11の内部には、通気口11hからファン20に向かう気流が発生する。この気流によって、熱交換器21を空気が通過することにより、熱交換器21が空冷される。すると、熱交換器21内の熱交換流路での冷却水の冷却効率が高められる。その結果、冷却水を用いて冷却される燃料電池スタック12も効率良く冷却できる。
【0054】
DC/DCコンバータ30のスイッチング部36及びリアクトル35は、燃料電池スタック12の発電に伴い発熱する。通気口11hからファン20に向かう気流の発生に伴い、放熱部32の放熱フィン34及び取付部材33に沿って空気が流れる。すると、放熱フィン34及び取付部材33が空気と熱交換される。その結果、放熱部32によってスイッチング部36が空冷される。
【0055】
通気口11hからファン20に向かう気流の発生に伴い、3つのリアクトル35の被覆壁70から露出する部分に沿って空気が流れるとともに、第2壁部72及び第3壁部73と複数のリアクトル35との間の間隙に空気が流れる。これにより、3つのリアクトル35が空気と熱交換されるため、3つのリアクトル35が空冷される。
【0056】
[作用]
次に、燃料電池システム10の作用を説明する。
燃料電池システム10に雨水がかかる等によって、ファン20の羽根部材20b同士の隙間Gから筐体11の内部に水Wが浸入するおそれがある。このとき、筐体11の内部に浸入した水Wの一部が電気部品としての3つのリアクトル35に向かう。水平方向Xから3つのリアクトル35に向かう水Wは、第1壁部71に衝突する。鉛直方向Zの上方から3つのリアクトル35に向かう水Wは、第2壁部72に衝突する。こうして、3つのリアクトル35に向かう水Wは、被覆壁70に衝突することにより3つのリアクトル35にかかりにくい。
【0057】
[効果]
上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)燃料電池システム10は、気流の流れを妨げないように電気部品としての複数のリアクトル35の一部を覆う被覆壁70を有する。被覆壁70は、気流の流れ方向Fにおいてファン20と複数のリアクトル35との間に位置する第1壁部71と、鉛直方向Zにおける複数のリアクトル35の上方に位置する第2壁部72と、を有する。そのため、複数の羽根部材20b同士の隙間Gを介して筐体11の外部から筐体11の内部に水Wが浸入したとしても、水Wが第1壁部71及び第2壁部72に衝突することにより、3つのリアクトル35にかかりにくい。したがって、3つのリアクトル35への被水を抑制できる。
【0058】
(2)燃料電池システム10は、電圧変換装置としてのDC/DCコンバータ30を筐体11に取り付けるブラケット50を有する。被覆壁70は、ブラケット50と一体化されている。そのため、ブラケット50を筐体11に取り付ける作業によって筐体11への被覆壁70の取り付けを済ますことができるため、作業効率を高められる。
【0059】
(3)被覆壁70は、電気部品としての3つのリアクトル35よりも非固定側Y2に設けられた第3壁部73を有する。したがって、筐体11の内部に浸入した水Wの一部が3つのリアクトル35の非固定側Y2に向かったとしても、この水Wは第3壁部73に衝突することにより、3つのリアクトル35にかかりにくい。したがって、3つのリアクトル35への被水をさらに抑制できる。
【0060】
(4)第3壁部73は、気流の流れ方向Fにおいてファン20に近づくほど、鉛直方向Zにおける寸法L1が大きい。気流の流れ方向Fにおいてファン20に近いリアクトル35の部分ほど、筐体11の内部に浸入した水Wがかかりやすいが、こうした部分は第3壁部73によって広範囲を覆うことができる。これに対して、気流の流れ方向Fにおいてファン20から離れたリアクトル35の部分には、筐体11の内部に浸入した水Wがかかりにくいが、こうした部分は第3壁部73によって覆う範囲を小さくできる。したがって、3つのリアクトル35への被水を抑制しつつ、3つのリアクトル35からの放熱性を高められる。
【0061】
(5)燃料電池システム10は、筐体11の内部の空間Sを、下部空間S1と下部空間S1よりも鉛直方向Zにおける上部に位置する上部空間S2とに仕切る仕切壁40を有する。電気部品としての3つのリアクトル35及び被覆壁70は、下部空間S1に位置している。そのため、電気部品としての3つのリアクトル35に向かう水Wの一部が仕切壁40によって遮断されることにより、水Wがかかりにくいリアクトル35の部分が被覆壁70から露出して放熱されるように、気流の流れ方向Fの被覆壁70の寸法を設定できる。したがって、3つのリアクトル35への被水を抑制しつつ、3つのリアクトル35からの放熱性を高められる。
【0062】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
○ 排水タンク16は樹脂製でもよい。
○ 燃料電池スタック12は下部空間S1に位置してもよい。
○ 電気部品としての3つのリアクトル35及び被覆壁70は、上部空間S2に位置してもよい。
【0064】
○ 仕切壁40は、筐体11の周壁11cに固定されていなくてもよい。例えば、仕切壁40から底壁11aに延びる脚部を仕切壁40に設けるとともに、この脚部を底壁11aに固定することにより仕切壁40を筐体11に固定してもよい。
【0065】
○ 燃料電池システム10から仕切壁40を省略してもよい。
○ 取付板61は折り曲げられていない平板状であってもよい。
○ ブラケット50は、取付板61だけを有していてもよい。この場合、ブラケット50は、固定板51を有さないため、ブラケット50の底壁11aへの取り付けは、取付板61を底壁11aに溶接することで行ってもよい。
【0066】
○ ブラケット50に対して被覆壁70を一体化する方法は、ボルト76aによる固定に限られない。例えば、被覆壁70を取付板61に溶接して固定することにより、被覆壁70をブラケット50と一体化させてもよい。例えば、被覆壁70を接着剤によって取付板61に接着して固定することにより、被覆壁70をブラケット50と一体化させてもよい。
【0067】
○ 燃料電池システム10からブラケット50を省略してもよい。この場合の被覆壁70は、奥行方向Yにおいて排水タンク16寄りから電気部品としての3つのリアクトル35を覆う壁部をさらに有してもよい。
【0068】
○ 第3壁部73の鉛直方向Zにおける寸法L1は、気流の流れ方向Fにおいてファン20に近づくほど大きくなるものに限らない。例えば、第3壁部73の鉛直方向ZにおけるL1は、第3縁部73cから第4縁部73dにかけて同一の大きさであってもよい。
【0069】
○ 被覆壁70から第3壁部73を省略してもよい。
○ リアクトル35の数は、スイッチング部36に応じて変更してもよい。
○ リアクトル35は、気流の流れ方向Fに一列に並んでいなくてもよい。例えば、気流の流れ方向Fの上流に2つのリアクトル35を鉛直方向Zに並べて配置するとともに、それら2つのリアクトル35より下流に1つのリアクトル35を配置してもよい。たとえば、3つのリアクトル35を鉛直方向Zに並べて配置してもよい。
【0070】
○ 被覆壁70が覆う電気部品に、スイッチング部36を含んでもよい。この場合は、例えば、上記実施形態よりも被覆壁70の寸法L2を大きくすることにより、リアクトル35に加えてスイッチング部36を被覆壁70によって覆うことができる。
【0071】
○ 被覆壁70が覆う電気部品を、リアクトル35にかえてスイッチング部36としてもよい。この場合のスイッチング部36は、例えば、リアクトル35よりも水平方向Xにおいてファン20に近い位置にある。
【0072】
○ 燃料電池システム10は、気液分離器15aを備えていなくてもよい。この場合、排出路19aは希釈器15に接続される。
○ 燃料電池は、複数の燃料電池セルをスタックしたものではなく、1つの燃料電池セルでもよい。
【0073】
○ ファン20の駆動によって通気口11hとファン20との間で流れる気流の流れ方向Fは、ファン20から通気口11hに向かう方向であってもよい。この場合、電気部品はファン20よりも気流の流れ方向Fの下流に位置する。要するに、ファン20と電気部品とのうち、一方は他方よりも気流の流れ方向Fの下流に位置すればよい。
【符号の説明】
【0074】
F…流れ方向、G…隙間、L1,L2…寸法、S…空間、S1…下部空間、S2…上部空間、W…水、Y1…固定側、Y2…非固定側、Z…鉛直方向、10…燃料電池システム、11…筐体、11h…通気口、12…燃料電池スタック、16…排水タンク、20…ファン、20b…羽根部材、30…DC/DCコンバータ、35…リアクトル、36…スイッチング部、40…仕切壁、50…ブラケット、70…被覆壁、71…第1壁部、72…第2壁部、73…第3壁部。