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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182485
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】荷台ステージ装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/00 20060101AFI20231219BHJP
   B62D 33/023 20060101ALI20231219BHJP
   A63J 1/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60P3/00 C
B62D33/023 Z
A63J1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096127
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】大畑 智則
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦子
(72)【発明者】
【氏名】金岡 真未
(57)【要約】
【課題】移動経路に狭い道や山道等が存在しても利用が可能であり、効率良く人員の輸送も可能な荷台ステージ装置を提供する。
【解決手段】
荷台4において立設された立設状態、及び荷台4の外側に突出するように横転させた横転状態とすることが可能なアオリ部材10を備えた車両2を少なくとも2台並べて配することによって構成される荷台ステージ装置1であり、アオリ部材10は、横転状態とすることにより、ステージ5の一部を構成するベース台12とすることができるものである。荷台ステージ装置1は、それぞれの車両2,2のアオリ部材10,10を互いに干渉しないように横転状態とすることにより形成される一対のベース台12,12を架橋するように接続する接続部材20を有し、接続部材20によって一対のベース台12,12を接続することにより、一対のベース台12,12が略水平状態で支持されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台において立設された立設状態、及び前記荷台の外側に突出するように横転させた横転状態とすることが可能なアオリ部材を備えた車両を少なくとも2台並べて配することによって構成される荷台ステージ装置であり、
前記アオリ部材は、前記横転状態とすることにより、ステージの一部を構成するベース台とすることができるものであり、
それぞれの前記車両の前記アオリ部材を互いに干渉しないように前記横転状態とすることにより形成される一対の前記ベース台を架橋するように接続する接続部材を有し、
前記接続部材によって一対の前記ベース台を接続することにより、一対の前記ベース台が略水平状態で支持されること、を特徴とする荷台ステージ装置。
【請求項2】
複数の前記ベース台の間の隙間を埋める少なくとも1つのスペーサ部材を有すること、を特徴とする請求項1に記載の荷台ステージ装置。
【請求項3】
前記接続部材が、前記アオリ部材における外縁部に対して係合可能な係合部を有していること、を特徴とする請求項1又は2に記載の荷台ステージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台ステージ装置に関する。さらに詳しくは、演奏や演劇等の各種のイベント等で利用される台座(舞台、ステージ)を形成可能な荷台ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野外のイベント会場等に移動して、荷台を野外ステージとして利用可能なステージカーが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のステージカーは、荷台の前後、左右、及び天井を覆う各パネル板を開放することにより、荷台をステージとして利用するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-138159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載のステージカーは、トラックなどの大型車両をベースとして構成されている。しかしながら、野外のイベント会場等に移動するまでの経路に狭い道や山道等が存在する場合は、上述した大型車両の通行が困難な場合があった。また、上述した特許文献1に記載のステージカーは、搭乗者が3名程度に限られるため、スタッフ等の輸送を考慮した場合、効率が悪くなる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、移動経路に狭い道や山道等が存在しても利用が可能であり、効率良く人員の輸送も可能な荷台ステージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の荷台ステージ装置は、荷台において立設された立設状態、及び前記荷台の外側に突出するように横転させた横転状態とすることが可能なアオリ部材を備えた車両を少なくとも2台並べて配することによって構成される荷台ステージ装置であり、前記アオリ部材は、前記横転状態とすることにより、ステージの一部を構成するベース台とすることができるものであり、それぞれの前記車両の前記アオリ部材を互いに干渉しないように前記横転状態とすることにより形成される一対の前記ベース台を架橋するように接続する接続部材を有し、前記接続部材によって一対の前記ベース台を接続することにより、一対の前記ベース台が略水平状態で支持されること、を特徴とするものである。
【0007】
上述した荷台ステージ装置は、並べて配された少なくとも2台の車両におけるアオリ部材を横転状態とすることにより一対のベース台が構成されており、一対のベース台同士が接続部材により略水平状態で接続されて支持されている。すなわち、上述した荷台ステージ装置では、少なくとも2台の車両における荷台が、アオリ部材を介して接続されている。従って、上述した荷台ステージ装置は、複数の荷台、及び横転させたアオリ部材の双方によりステージを拡張することができる。
【0008】
また、上述した荷台ステージ装置は、使用する車両の台数に応じて、車両の台数分の荷台とベース台とによるステージの拡大を行うことができる。ここで、形成されるステージは、例えば、コンサートや演劇等の舞台や、フリーマーケットや屋台等における台座など、各種の用途の台として利用することができる。また、上述した荷台ステージ装置は、車両として例えば、軽トラックを用いることにより、移動経路に狭い道や山道などが存在していても、移動先に到達することができる。また、上述した荷台ステージ装置は、複数台の車両を利用することにより、複数人のスタッフ等の搬送も併せて行うことができるので、効率良く人材を搬送することができる。なお、車両は、軽トラックだけではなく、移動経路に応じて中小型トラックや大型トラックなど、アオリ部材を有する各種の車両を用いることができる。
【0009】
ここで、2台の車両が、直列方向(車両前後方向)に並べて配置される場合において、車両後部のアオリ部材で構成される一対のベース台同士を上記接続部材により接続し、さらに、車両側方のアオリ部材を外側に突出するように横転状態とすると、複数のベース台の間に隙間が生じる。すなわち、車両後部の一対のベース台における車幅方向両側に隙間が生じる。このような隙間が生じると、ステージから、隙間を通じて物が落下したり、ステージ上の演者等の躓きを誘発したりする懸念がある。
【0010】
(2)かかる知見に基づき、上述した本発明の荷台ステージ装置は、複数の前記ベース台の間の隙間を埋める少なくとも1つのスペーサ部材を有すること、を特徴とするとよい。
【0011】
上述した荷台ステージ装置は、スペーサ部材により接続部材、及び複数のベース台の間の隙間を埋めることができる。これにより、上述した荷台ステージ装置は、ステージから、物が落下したり、ステージ上の演者等が躓いたりする要因を排除できる。
【0012】
(3)上述した本発明の荷台ステージ装置は、前記接続部材が、前記アオリ部材における外縁部に対して係合可能な係合部を有していること、を特徴とするとよい。
【0013】
上述した本発明の荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、係合部を介して接続部材をアオリ部材の外縁部に係合させることができる。従って、上述した荷台ステージ装置は、例えば、一対のアオリ部材が横転状態とされているときに、一対のアオリ部材(一対のベース台)同士を確実に接続することができる。また、上述した荷台ステージ装置は、例えば、車両の移送時のように、アオリ部材が立設状態とされているときに、接続部材をアオリ部材に係合させて保管することができる。これにより、上述した荷台ステージ装置は、接続部材を収容するためのスペースを新たに設ける必要がないので、車両における荷台のスペースが制約されることがない。また、上述した荷台ステージ装置は、接続部材をアオリ部材に係合させて保管できるので、接続部材を紛失したり、接続部材の搭載を失念したりすることを抑制できる。
【0014】
(4)上述した本発明の荷台ステージ装置は、前記アオリ部材における前記外縁部の少なくとも一部、又は前記係合部のいずれか一方が、磁性体で形成されており、他方が磁石を有しており、前記係合部が、前記アオリ部材における前記外縁部に対して、磁力及び係合により保持されること、を特徴とするとよい。
【0015】
上述した荷台ステージ装置は、接続部材が、係合部による係合に加えて、磁力による吸引力により、アオリ部材の外縁部に対して保持されるので、より確実に接続部材のアオリ部材からの脱落を抑制できる。
【0016】
(5)上述した本発明の荷台ステージ装置は、互いの前記ベース台の間に延長台が配されており、前記延長台は、前記ベース台を前記アオリ部材の横転方向に向けて略水平状態に支持することで、前記ベース台を前記横転方向に沿って延長可能であること、を特徴とするとよい。
【0017】
上述した荷台ステージ装置は、ベース台の間に配された延長台により、ベース台をアオリ部材の横転方向に沿って延長することができる。従って、上述した荷台ステージ装置は、小型の車両であっても、広いステージを形成することができる。また、上述した荷台ステージ装置は、延長台によりベース台の間を車幅方向に延長することで、車両におけるドアの開閉スペースを確保することができる。ここで、上述した荷台ステージ装置は、延長台の底面に、補強部材が設けられているとよい。これにより、延長台の撓み抑制効果が期待できる。
【0018】
(6)上述した本発明の荷台ステージ装置における前記係合部は、断面視においてコの字状に屈曲形成されると共に、前記外縁部に対して懸架することで、前記アオリ部材に保持されること、を特徴とするとよい。
【0019】
上述した荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、コの字状に屈曲された係合部をアオリ部材の外縁部に対して懸架できるので、接続部材が安定にアオリ部材に保持される。また、上述した荷台ステージ装置は、接続部材の重量により、アオリ部材の外縁部に対して確実に係合させることができる。そのため、上述した荷台ステージ装置は、接続部材の落下を抑制できる。
【0020】
(7)上述した本発明の荷台ステージ装置は、前記接続部材と前記アオリ部材との間に緩衝部材が設けられていること、を特徴とするとよい。
【0021】
上述した荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、接続部材とアオリ部材とが直接的に接触することを抑制できる。これにより、接続部材とアオリ部材とが干渉して騒音を発したり、アオリ部材や接続部材が損傷したりすることを抑制できる。
【0022】
(8)上述した本発明の荷台ステージ装置は、前記接続部材が、前記アオリ部材をクランプするクランプ機構を有しており、前記クランプ機構は、前記アオリ部材の厚みに応じて、クランプの隙間を変更可能であること、を特徴とするとよい。
【0023】
上述した荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、例えば、車種が異なり、アオリ部材の厚みが異なるような場合でも、アオリ部材同士を接続できる。これにより、上述した荷台ステージ装置は、汎用性を高めることができる。
【0024】
(9)上述した本発明の荷台ステージ装置は、複数の前記車両が、並列方向及び直列方向のいずれか一方又は双方に沿って配置されており、互いに向き合う前記アオリ部材が、前記接続部材により支持されること、を特徴とするとよい。
【0025】
上述した荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、様々な広さのステージを形成できる。上述した荷台ステージ装置は、例えば、並列方向に2台以上の車両を並べて各車両間のアオリ部材を接続することにより、車幅方向に幅広いステージを形成することができる。また、上述した荷台ステージ装置は、例えば、直列方向に車両を並べて各車両間のアオリ部材を接続することにより、車両前後方向に長尺なステージを形成することができる。また、上述した荷台ステージ装置は、車両を並列方向及び直列方向の双方に沿って並べて配置することにより、大きなステージを形成することも可能である。また、複数台の車両を利用することにより、複数人のスタッフ等の搬送も併せて行うことができるので、効率良く、人材を搬送することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、移動経路に狭い道や山道等が存在しても利用が可能であり、効率良く人員の輸送も可能な荷台ステージ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る荷台ステージ装置の全体斜視図である。
図2】本発明の荷台ステージ装置を構成する接続部材の取り付け状態の説明斜視図である。
図3】本発明の荷台ステージ装置を構成する接続部材を側面方向から見た一部切欠き斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る荷台ステージ装置の説明斜視図である。
図5】本発明の荷台ステージ装置を構成する接続部材の収納状態を表す斜視図である。
図6】変形例1に係る本発明の荷台ステージ装置の全体斜視図である。
図7】変形例2に係る本発明の荷台ステージ装置の全体斜視図である。
図8】変形例3に係る本発明の荷台ステージ装置で用いられる接続部材の側面図である。
図9】変形例4に係る本発明の荷台ステージ装置の概略斜視図(模式図)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る荷台ステージ装置1について、図1図5を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、2台の車両2,2が並列に配置されている場合を例として説明する。
【0029】
図1に示すように、荷台ステージ装置1は、アオリ部材10を備えた少なくとも2台の車両2,2と、接続部材20等を備えている。
【0030】
車両2は、本実施形態では、軽トラックが用いられている。従って、車両2は、狭い道や山道等の走行に適したものとされている。車両2は、前方に運転室3と、運転室3の後方に配された荷台4と、荷台4の車幅方向両側に配される左右一対の側方アオリ部材10L,10Rと、荷台4の後方側に配される後方アオリ部材10B等を備えている。なお、説明において、特に区別が必要でない場合は、側方アオリ部材10L,10R及び後方アオリ部材10Bは、総称してアオリ部材10と称することがある。
【0031】
運転室3は、ハンドル、アクセル、ブレーキ等の各種の運転機器(図示せず)を備えた運転席、及び助手席(共に図示せず)を備えており、運転者と少なくとも1人の乗員が搭乗可能なものとされている。なお、運転室3に搭乗できる人数は、車両2に応じて適宜変更できる。運転室3の下方には、前輪6,6(一方は非表示)が設けられている。
【0032】
荷台4は、矩形状の略平坦な台として形成され、荷物等の積載が可能なものとされている。荷台4の下方には、後輪7,7(一方は非表示)が設けられている。また、荷台4は、ステージ5の一部を構成するものとされている。
【0033】
左右一対の側方アオリ部材10L,10R(アオリ部材10,10)は、車両前後方向に延びる矩形状の板状部材で形成されている。詳細は後述するが、本実施形態では、側方アオリ部材10L,10Rが、鉄等の磁性体で形成されている。側方アオリ部材10L,10Rは、荷台4の車幅方向両側に立設されている。側方アオリ部材10L,10Rは、下端側が複数のヒンジ11を介して荷台4の車両前後方向に沿う軸線周りに回動可能に支持されている。
【0034】
また、側方アオリ部材10L,10Rは、荷台4において立設された立設状態から、荷台4の外側に突出するように横転させることにより横転状態とすることができる。側方アオリ部材10L,10Rは、横転状態とすることにより、後述するステージ5の一部を構成するベース台12とすることができる。なお、側方アオリ部材10L,10Rは、適宜のロック機構により、立設状態で固定することが可能である。
【0035】
後方アオリ部材10B(アオリ部材10)は、車幅方向に延びる矩形状の板状部材で形成されている。また、本実施形態では、後方アオリ部材10Bが鉄等の磁性体で形成されている。後方アオリ部材10Bは、荷台4の後端側に立設されている。後方アオリ部材10Bは、下端側が複数のヒンジ11を介して荷台4の車幅方向に沿う軸線周りに回動可能に支持されている。
【0036】
また、後方アオリ部材10Bは、荷台4において立設された立設状態から、荷台4の外側に突出するように横転させることにより横転状態とすることができる。後方アオリ部材10Bは、横転状態とすることにより、後述するステージ5の一部を構成するベース台12とすることができる。なお、後方アオリ部材10Bは、適宜のロック機構により、立設状態で固定することが可能である。
【0037】
接続部材20は、本実施形態では、図2及び図3に示すように、板状部材が断面視(側面視)において、コの字状に屈曲された形状をなしている。また、接続部材20は、内壁部分がアオリ部材10の外縁部に対して係合可能な係合部21を形成している。
【0038】
図1及び図2に示すように、係合部21は、互いに干渉しないように横転状態とされた一対のベース台12,12における側端側外縁部に係合させることができる。これにより、接続部材20は、一対のベース台12,12を架橋するように接続(連結)することができる。また、接続部材20は、一対のベース台12,12を接続することにより、一対のベース台12,12を略水平状態で支持することができる。これにより、2台の車両2,2における荷台4,4がベース台12,12を介して接続され、荷台4,4及びベース台12,12によりステージ5が形成される。
【0039】
ここで、接続部材20は、図4に示すように、アオリ部材10の高さd1が、接続部材20の高さd2よりも大きくなるように形成するとよい。これにより、接続部材20は、収納時にアオリ部材10の外縁部(上端側)に懸架することができる(図5参照)。また、接続部材20は、長さd3が、一対のベース台12,12の幅(d1+d1)よりも小さくなるように形成するとよい。これにより、接続部材20と荷台4との干渉が抑制される。
【0040】
図3に示すように、係合部21には、アオリ部材10の外縁部と接する部分にシート状の磁石22が敷設されている。また、上述したようにアオリ部材10は、磁性体で形成されているので、接続部材20を、アオリ部材10に懸架した際に係合部21がアオリ部材10の外縁部に係合すると共に、磁石22とアオリ部材10の外縁部とが磁力により保持される。これにより、接続部材20のズレや脱落が抑制されるので、ステージ5が安定に維持される。なお、磁石22の磁力は、適宜、変更することができる。
【0041】
また、係合部21は、図5に示すように、収納する際に、係合部21がアオリ部材10(図示では、側方アオリ部材10L)の上端側外縁部と係合すると共に、磁力により保持される。
【0042】
このように、接続部材20は、係合部21を有しているので、一対のアオリ部材10,10が横転状態とされているときに、一対のアオリ部材10,10(一対のベース台12,12)同士を確実に接続することができる。また、接続部材20は、車両2の移送時のように、アオリ部材10が立設状態とされているときに、アオリ部材10に係合させて保管することができる。これにより、上述した荷台ステージ装置1は、接続部材20を収容するためのスペースを新たに設ける必要がないので、車両2における荷台4のスペースが制約されることがない。また、上述した荷台ステージ装置1は、接続部材20をアオリ部材10に係合させて保管できるので、接続部材20を紛失したり、接続部材20の搭載を失念したりすることを抑制できる。
【0043】
また、上述した荷台ステージ装置1では、係合部21がコの字状に屈曲形成されているので、係合部21をアオリ部材10の外縁部に対して懸架できる。従って、接続部材20が安定にアオリ部材10に保持される。また、上述した荷台ステージ装置1は、接続部材20の重量により、アオリ部材10の外縁部に対して確実に係合させることができる。そのため、上述した荷台ステージ装置1は、接続部材20の落下を抑制できる。
【0044】
また、上述した荷台ステージ装置1では、接続部材20が、係合部21による係合に加えて、磁力による吸引力により、アオリ部材10の外縁部に対して保持されるので、より確実に接続部材20のアオリ部材10からの脱落を抑制できる。
【0045】
ここで、接続部材20の内壁には、フェルト、保護フィルム、ゴムシート等の緩衝部材23が、敷設されている。なお、緩衝部材23は、接続部材20とアオリ部材10との間に設けられていればよい。すなわち、緩衝部材23は、接続部材20に設けられるものだけではなく、アオリ部材10及び接続部材20のいずれか一方又は双方に設けられていてもよい。
【0046】
緩衝部材23は、接続部材20がアオリ部材10に直接的に接触することを抑制できる。そのため、接続部材20やアオリ部材10が損傷したり、騒音を発したりすることを抑制できる。
【0047】
以上が、本発明の一実施形態に係る荷台ステージ装置1の構成であり、次に、本発明の荷台ステージ装置1の作用効果について説明する。
【0048】
上述した荷台ステージ装置1は、並べて配された少なくとも2台の車両2,2におけるアオリ部材10,10を横転状態とすることにより一対のベース台12,12が構成されており、一対のベース台12,12同士が接続部材20により略水平状態で接続されて支持されている。すなわち、上述した荷台ステージ装置1では、少なくとも2台の車両2,2における荷台4が、アオリ部材10,10を介して接続されている。従って、上述した荷台ステージ装置1は、複数の荷台4,4、及び横転させたアオリ部材10,10の双方によりステージ5を拡張することができる。
【0049】
また、上述した荷台ステージ装置1は、使用する車両2の台数に応じて、車両2の台数分の荷台4とベース台12とによるステージ5の拡大を行うことができる。ここで、形成されるステージ5は、例えば、コンサートや演劇等の舞台や、フリーマーケットや屋台等における台座など、各種の用途の台として利用することができる。また、上述した荷台ステージ装置1は、車両2として例えば、軽トラックを用いることにより、移動経路に狭い道や山道などが存在していても、移動先に到達することができる。また、上述した荷台ステージ装置1は、複数台の車両2を利用することにより、複数人のスタッフ等の搬送も併せて行うことができるので、効率良く人材を搬送することができる。なお、車両2は、軽トラックだけではなく、移動経路に応じて中小型トラックや大型トラックなど、アオリ部材10を有する各種の車両を用いることができる。また、上述した荷台ステージ装置1は、例えば、並列方向に2台以上の車両2を並べて各車両間のアオリ部材10を接続することにより、車幅方向に幅広いステージ5を形成することができる。また、複数台の車両2を利用することにより、複数人のスタッフ等の搬送も併せて行うことができるので、効率良く、人材を搬送することができる。
【0050】
以上が、本発明の荷台ステージ装置1の作用効果であり、次に、変形例1に係る荷台ステージ装置1についての詳細を説明する。なお、以下の変形例1~変形例4の説明において、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。また、上述した実施形態と同一の部材については同一の符号を用いていることに留意されたい。
【0051】
≪変形例1≫
図6に示すように、変形例1に係る荷台ステージ装置1は、車両2,2が直列方向に配されている点以外は、上述した実施形態と同様である。変形例1に係る荷台ステージ装置1では、車両2,2がそれぞれ、後端部同士が向き合うように配されている。
【0052】
また、変形例1では、車両2,2における後方アオリ部材10B,10Bが車両後方側に向けて干渉しないように横転状態とされている。これにより、車両2,2の間にベース台12,12が形成される。また、ベース台12,12の車幅方向両側において、ベース台12,12が、接続部材20,20によって接続され、略水平状態で支持されている。
【0053】
このように、変形例1に係る荷台ステージ装置1は、直列方向に車両2,2を並べて各車両2,2間の後方アオリ部材10B,10Bを接続することにより、車両前後方向に長尺なステージ5を形成することができる。
【0054】
また、上述した荷台ステージ装置1は、上述の実施形態と変形例1とを組み合わせることにより、ステージ5を形成することができる。具体的に説明すると、上述した荷台ステージ装置1は、例えば、複数の車両2を、並列方向及び直列方向のいずれか一方又は双方に沿って配置し、互いに向き合うアオリ部材10,10を接続部材20により支持することで広いステージ5を形成することができる。
【0055】
このように、上述した荷台ステージ装置1は、車両2を並列方向及び直列方向のいずれか一方又は双方に沿って並べて配置することにより、様々な広さや形状のステージ5を形成できる。また、上述した荷台ステージ装置1は、複数台の車両2の組み合わせにより、大きなステージ5を形成することも可能である。また、複数台の車両2を利用することにより、複数人のスタッフ等の搬送も併せて行うことができるので、効率良く、人材を搬送することができる。
【0056】
以上が、本発明の変形例1に係る荷台ステージ装置1の構成及び作用効果であり、次に本発明の変形例2に係る荷台ステージ装置1についての詳細を説明する。
【0057】
≪変形例2≫
図7に示すように、変形例1に係る荷台ステージ装置1は、互いのベース台12,12の間に延長台30が配されている点以外の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0058】
延長台30は、一方のベース台12を、他方のベース台12に向けて延長するものとされている。延長台30は、車両前後方向に長手となるように矩形状に形成されている。また、延長台30は、短手方向(車幅方向)両端側において、アオリ部材10の外縁部と係合可能な係合溝31,31が長手方向(車両前後方向)に延びるように形成されている。
【0059】
延長台30は、係合溝31,31に、ベース台12,12の車両前後方向に沿う外縁部を係合させることにより、ベース台12,12を略水平状態に支持するものとされている。従って、延長台30は、ベース台12,12をアオリ部材10の横転方向に向けて略水平状態に支持することで、ベース台12,12をアオリ部材10の横転方向に沿って延長することができる。ここで、変形例1においては、係合溝31,31の間に、ステージ5を延長するための延長代W1が配されている。従って、延長台30は、ベース台12,12を、アオリ部材10の横転方向に沿って、延長代W1だけ延長することができる。延長代W1は、形成するステージ5の大きさに応じて、適宜、変更することができる。なお、延長台30は、変形例1に係る荷台ステージ装置1のように、車両前後方向(直列方向)にベース台12,12を延長する場合にも利用できる。
【0060】
このように、上述した荷台ステージ装置1は、小型の車両2であっても、広いステージ5を形成することができる。また、上述した荷台ステージ装置1は、延長台30によりベース台12,12の間を車幅方向に延長することで、車両2におけるドアの開閉スペースを確保することができる。ここで、上述した荷台ステージ装置1は、延長台30の底面に、補強部材(図示せず)が設けられているとよい。これにより、延長台30の撓み抑制効果が期待できる。なお、補強部材は、適宜、折り畳み式に形成することにより、収納時に省スペース化できる。
【0061】
以上が、本発明の変形例2に係る荷台ステージ装置1の構成及び作用効果であり、次に本発明の変形例3に係る荷台ステージ装置1についての詳細を説明する。
【0062】
≪変形例3≫
図8に示すように、本発明の変形例2に係る荷台ステージ装置1は、接続部材20が、アオリ部材10をクランプするクランプ機構40を有する点以外の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0063】
クランプ機構40は、接続部材20の一方面側を貫通する複数のネジ部材41と、アオリ部材10の一方面と当接する複数の当接部材42(例えば、首振り機構付きバイス)等を有している。当接部材42の当接面には、適宜、ゴム部材等を設けるとよい。これにより、当接部材42とアオリ部材10との直接的な接触が抑制されるので、騒音や損傷の発生が抑制される。
【0064】
ネジ部材41は、接続部材20に開孔されたネジ孔(図示せず)に螺合されている。また、ネジ部材41は、接続部材20の内部側の一端に当接部材42が取り付けられており、他端に摘み部43が設けられている。従って、クランプ機構40は、摘み部43を回転させてネジ部材41を締め込むことにより、当接部材42をアオリ部材10に当接させることができる。これにより、クランプ機構40は、アオリ部材10を挟持して略水平状態で支持することができる。すなわち、クランプ機構40は、アオリ部材10の厚みに応じて、クランプの隙間を変更することができる。
【0065】
このように、上述した荷台ステージ装置1は、例えば、車種が異なり、アオリ部材10,10の厚みが異なるような場合でも、アオリ部材10,10同士を接続できる。これにより、上述した荷台ステージ装置1は、汎用性を高めることができる。
【0066】
以上が、本発明の変形例3に係る荷台ステージ装置1の構成及び作用効果であり、次に、本発明の変形例4に係る荷台ステージ装置1についての詳細を説明する。
【0067】
≪変形例4≫
図9は、車両2,2を直列方向(車両前後方向)に並べて配置した場合の荷台ステージ装置1の模式図である。図示のように、2台の車両2,2が、直列方向(車両前後方向)に並べて配置される場合において、車両後部の後方アオリ部材10B,10Bで構成される一対のベース台12,12同士が接続部材20により接続されている。さらに、車両側方の側方アオリ部材10L,10Rが外側に突出するように横転状態とされることにより、複数のベース台12,12の間に隙間16が生じる。すなわち、車両後部の一対のベース台12,12における車幅方向両側に隙間16,16が生じる。このような隙間16,16が生じると、ステージ5から、隙間16,16を通じて物が落下したり、ステージ5上の演者等の躓きを誘発したりする懸念がある。
【0068】
そのため、本発明の変形例4に係る荷台ステージ装置1は、複数のベース台12の間に形成された隙間16(本変形例4では、一対の隙間16,16)を埋めるスペーサ部材50(本変形例4では、一対のスペーサ部材50,50)が設けられている。
【0069】
スペーサ部材50は、接続部材20と同様に断面視においてコの字形状に形成されている。スペーサ部材50は、両側端部を側方アオリ部材10L,10Rの車両後部側における側方外壁部15に係合させることができる。また、スペーサ部材50は、隙間16を埋める大きさに形成されている。従って、スペーサ部材50を一対の側方外壁部15,15に係合させることで、スペーサ部材50により隙間16が閉塞される。
【0070】
このように、上述した荷台ステージ装置1は、スペーサ部材50により接続部材20、及び複数のベース台12,12の間の隙間16を埋めることができる。これにより、上述した荷台ステージ装置1は、ステージ5から、物が落下したり、ステージ5上の演者等が躓いたりする要因を排除できる。
【0071】
以上が、本発明の荷台ステージ装置1の実施形態及び変形例1~4の構成及び作用効果であるが、本発明の荷台ステージ装置1は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0072】
本実施形態では、2台の車両2,2を並列方向又は直列方向に並べて配置したが、使用する車両2の台数は、3台以上並べるものであってもよい。また、車両2を配置する方向は、並列方向と直列方向とを組み合わせたものでもよい。また、アオリ部材10は、矩形状で、平坦状に形成されていることが望ましいが、アオリ部材10は、矩形状や平坦状のものには限定されず、各種の形状のものを利用できる。例えば、アオリ部材10が、適度に湾曲していてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、一対のアオリ部材10,10で形成される一対のベース台12,12が略水平状態で支持されるものとしたが、ステージ5の使用において許容される範囲で、水平状態から逸脱していてもよい。例えば、ベース台12,12が、僅かに山形となるように支持されていてもよい。また、接続部材20は、実施形態のものには限定されず、各種の形状のものが利用できる。例えば、接続部材20が係合ではなく、ベース台12,12の下面側に架橋されるものでもよい。かかる場合は、適宜、ネジ等でベース台12,12と接続部材20とを接続すればよい。また、接続部材20を設ける個数は、ベース台12,12の支持強度等に応じて単数のものから複数のものまで各種の数量で構成することができる。また、接続部材20は、係合部21の嵌め込みにより係合させるものだけではなく、ネジ止め等で固定するものや、挿込み等の異なった方式で係合させるものなど、各種の方式で接続することができる。
【0074】
また、本実施形態では、車両2として軽トラックを例示したが、車両2は、軽トラックには限定されず、道路状況などに応じて、中小型車や、大型車を用いることもできる。また、車種もトラックには限定されず、アオリ部材10を有する各種の車両を利用することができる。
【0075】
また、本実施形態では、アオリ部材10が磁性体で形成されており、接続部材20における係合部21に磁石22が設けられたものを例示したが、磁石22は、必要に応じて設ければよく、磁石22を有しない構成とすることもできる。また、本実施形態では係合部21に磁石22が設けられているが、アオリ部材10側に磁石22を設け、係合部21側が磁性体として構成されていてもよい。また、アオリ部材10や接続部材20は、繊維強化プラスチックや樹脂等で形成することもできる。かかる場合は、アオリ部材10又は接続部材20のいずれか一方に磁性体のシート等を設け、他方に磁石22を設ければよい。
【0076】
また、延長台30は、延長する長さに応じて、各種の形状や大きさのものを利用できる。また、延長台30とベース台12との接続は、各種の手段を用いて行うことができる。
また、本実施形態では、延長台30が平坦に形成されているが、許容される範囲で、湾曲等していてもよい。また、延長台30は、接続部材20やスペーサ部材50と兼用するものでもよい。また、スペーサ部材50は、必要に応じて設ければよく、隙間16の形状や大きさに応じて適宜、大きさや形状を変更することができる。また、スペーサ部材50は、延長台30や接続部材20と兼用するものでもよい。
【0077】
本実施形態では、接続部材20を、アオリ部材10の外縁部に対して懸架できるものを例示したが、接続部材20は、アオリ部材10の外縁部に対して懸架できないものでもよい。また、接続部材20は、アオリ部材10に対して懸架以外の方法で、保持してもよい。また、接続部材20は、側方アオリ部材10L,10Rだけではなく、後方アオリ部材10Bに懸架することもできる。また、本実施形態では、接続部材20に緩衝部材23が設けられているものを例示したが、緩衝部材23は、必要に応じて設ければよく、緩衝部材23を排することもできる。また、緩衝部材23を設ける場合において、緩衝部材23は、接続部材20側だけではなく、アオリ部材10側に設けたり、接続部材20及びアオリ部材10の双方に設けたりすることもできる。
【0078】
また、接続部材20のクランプ機構40は、必要に応じて設ければよく、クランプ機構40を有しないものとすることもできる。また、クランプ機構40は、上述した変形例に係るものだけではなく各種の機構のものを利用できる。また、上述した荷台ステージ装置1は、クランプ機構40に代えて、アオリ部材10の厚みに応じて隙間を調整できる各種の機構を利用することができる。
【0079】
以上が、本発明に係る荷台ステージ装置1の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の荷台ステージ装置は、演奏や演劇などのイベントの舞台(ステージ)に利用することができる。また、本発明の荷台ステージ装置は、フリーマーケット、屋台などの各種の台座として利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 :荷台ステージ装置
2 :車両
4 :荷台
5 :ステージ
10 :アオリ部材
10L:側方アオリ部材
10R:側方アオリ部材
10B:後方アオリ部材
12 :ベース台
16 :隙間
20 :接続部材
21 :係合部
22 :磁石
23 :緩衝部材
30 :延長台
40 :クランプ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9